まるで生き地獄。消費税が上がるとサラリーマンの給料が減る理由

これまでも「元国税が暴露。『消費税は社会保障のため不可欠』が大ウソな理由」等で、消費税がいかに欠陥に満ちたものかを白日の下に晒し続けてきた、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。そんな「天下の悪税」が10月1日にアップされたわけですが、今後私たち庶民の生活はさらに苦しくなるのでしょうか。大村さんは今回、自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、消費増税とサラリーマンの給料の関係についての「衝撃の事実」を記しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2019年10月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

消費税が上がるとサラリーマンの給料が減る理由

このメルマガでは、消費税の欠陥についていろいろ説明してきましたが、まだまだ消費税の欠陥はあります。それは、「消費税は企業の人件費を減らす圧力がある」ということです。これは曖昧な根拠で言っているのではありません。数式的に見て明確に、消費税には人件費を減らす圧力があり、実際のデータ的にも消費税導入後に人件費はさげられているのです。

これから税金に関して少々専門的な話になりますが、少し我慢して読みすすめてください。消費税は、その計算式の上で、「人件費が大きい企業ほど納税額が大きくなる」という仕組みがあるのです。企業は、消費税を納付する時、客から預かった消費税をそのまま納付するのではありません。企業は、仕入や様々な経費を支払ったときに、消費税を払っています。だから、企業は客から預かっ「預かり消費税から経費で支払った消費税を差し引いてその残額を税務署に納付するのです。だから単純に言えば、消費税の納付額というのは、次のような算出で表されます。

  • (売上-経費)×消費税率(10%)=納付額

これを見ると、法人税などの計算とあまり変わらないように見えます。しかし、法人税と大きく違うところは、経費の中に人件費が入っていない事です。社員の給料には消費税はかかりません。そのため給料分の経費は「支払い消費税」の計算からはずさなくてはならないのです。となると、消費税の計算は、ざっくり言って次のような算式になります。

  • (売上-経費+人件費)×消費税率(10%)=納付額

この算式を見れば、人件費が多いほど消費税の納付額が大きくなることがわかるはずです。実際、企業が何かの業務を行う時、人件費を払って社員を雇うよりも、業者などに発注した方が消費税の節税になるのです。

だから、企業は新しく人を雇ったり、社員に残業させて残業代を払うよりは、外注したほうがいいということになるのです。先ほども言いましたように、消費税導入後に、実際に、サラリーマンの給料は下がり非正規雇用が増えているのです。日本のサラリーマンの給料は、バブル崩壊以降、先進諸国に比べてあまりに下がりすぎたので、ここ数年こそ、少し上向きになっていますが、この30年で下がった分を取り戻すには遠く及ばないのです。

給料の減額や非正規社員の増加は、消費税の導入だけが理由ではないでしょうが、大きな要因の一つであることは間違いないのです。消費税推進論者の学者などは、「消費税増税で人件費が下がるようなことはない」と言っていますが、理屈の上でも実際のデータでもそうなっているのだから、それは詭弁なのです。

NHK経営委員長が白状した「日本郵政にNHKが謝罪」の出来レース

日本郵政の鈴木副社長による言いがかりとも受け取れる猛抗議に屈した、NHK経営委員会。先日掲載の「詫びる気ゼロ。NHKと猿芝居した日本郵政を牛耳る権力者の実名」で、そのNHKサイドの判断を批判した元全国紙社会部記者の新 恭さんですが、今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では、何が鈴木氏を激怒させたのかを探るとともに、彼とNHK経営委員会のそれぞれが犯した「違反行為」を指摘しています。

猿芝居の日本郵政副社長とNHK経営委員長が国会で答弁

まったくガバナンスのきいていない日本郵政が、「クローズアップ現代+」の放送内容を根に持ち、あろうことか、ガバナンスがなっていないと理由をつけてNHKに抗議した問題。盗人猛々しい日本郵政のイチャモンに対し、それはそうだと無定見に相槌をうったNHK経営委員会はいったいどうなっているのか。

そんな、ため息まじりの怒りが世間に広がるなか、日本郵政側の仕掛人、鈴木康雄上席副社長と、同調者とみられる石原進NHK経営委員長の二人がそろって、国会にやってきた。

10月10日の衆議院予算委員会は、立憲民主党と国民民主党などが統一会派を組んで初の委員会論戦である。関西電力のお偉いさん方へ原発の地元企業から何億ものカネが還流していた疑惑などは、少なくとも関電の会長、副社長、あるいは1億円を超える金品をもらっていた二人の役員を呼んで、真相を追及すべきところだが、案の定、原発ムラと縁の深い自民党の反対で参考人招致はお預けになった。

関電はダメだが、これはOKというわけで、日本郵政の事実上の支配者と、九州財界のドンでもあるNHK経営委員長が呼ばれ、嫌々ながら国会に姿を現したのだから、とくと観察せねばなるまい。

この二人に対する質疑を担当したのが、小川淳也議員。立憲民主党の若手論客だ。この人はいきなり核心に切り込むから面白い。

小川議員 「NHKへのクレームの首謀者はおそらく日本郵政の鈴木副社長だ。総務省時代は放送課長だったことがある。そのころからの影響力をカサに着たのではないのか」

鈴木氏は放送界ににらみをきかせる立場で役人時代を過ごし事務次官にまで上り詰めた。退官して9年が経っても、総務省にはまだ力の及ぶかつての部下が幹部に出世して残っているだろう。

NHKへの抗議を主導したのは間違いなく鈴木氏である。だが、抗議の対象は「クロ現+」の番組内容そのものではない。最初にかみついたのは、続編のための情報提供呼びかけをしたクロ現公式ツイッターの動画だ。

鈴木氏 「圧力をかけた記憶はない。放送されたものに続いて第2回の放送をするというさいに、まったく事実の適示もなくきわめて刺激的な言葉だけを並べたような動画による呼びかけをしていたので、それを削除してほしいと要請した」

昨年4月24日に放送された番組では現役の郵便局員が告白”しており、リアリティがあった。NHKのサイトに“告白”の数々が掲載されている。以下はそのひとつ。

現役郵便局員です。高齢者に対する強引な勧誘、重要事項の不告知、虚偽の説明が常態化しておりまして…背景に会社上層部からの苛烈な要求を満たすため、追い込まれた現場がやむを得ずお客様をだましたり、複数人でお客様宅を訪問しているのが現状です。

こうした内容に鈴木氏らが激怒したのがコトの発端だが、事実に反すると思うのなら、実態をまずは調査すべきである。不正営業が行われていたのは確かであり、日本郵政のガバナンスこそが強く問われるべきだ。

NHKの制作スタッフは、第2弾を放送すべく、7月に入ると公式ツイッターに2本のショート動画をつけて情報提供を呼びかけた。鈴木氏はこの動画とコメントに納得できず、削除を求めた。

女将のいるファミレス『ばんどう太郎』に老若男女が集まる理由

たとえお値段が高くてもあの店だったら行く価値あり、とお客様に思ってもらえるのはなかなか難しいものですが、そんなハードルを軽々と超えてしまっているファミリーレストランがあります。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、地元民に愛され、親子3世代で来店する顧客を多く抱える和食ファミリーレストラン「ばんどう太郎」の戦略と戦術を分析しています。

価格が高くても来店する理由を創る

今号は、地元に愛されている和食レストランチェーンを分析します。

● 株式会社坂東太郎が展開している和食ファミリーレストラン「ばんどう太郎

戦略ショートストーリー

3世代家族の方をターゲットに「効率よりも従業員満足・顧客満足を重視する文化」に支えられた「接客が丁寧」「お祝い事ができる」等の強みで差別化しています。

子どもから、おじいちゃん、おばあちゃんまで3世代が満足するメニュー・サービスを提供することで、顧客(特に地元の茨城県民)からの支持を得ています。

■分析のポイント

「ばんどう太郎」はファミリーレストランとしては高単価の商品が多く、実際に「客単価も他社と比較すると高いようです。

  • 売上=客数×客単価

で表されるように「客単価」は店舗にとって重要な要素です。

インバウンド集客などを図り、客数を増やすことに取り組んでいる企業もありますが、人口減少のトレンドのなかで、「客数」を増やすのは容易ではありません。かと言って、「客単価」を上げようとしても、いままでの価格帯から単純に価格を上げただけでは、客離れにもつながってしまいますので、各社はメニューに付加価値をつけるべく奮闘しているわけです。

今回は、そのような中で、「ばんどう太郎」が他社よりも「客単価」が高い理由について考えてみたいと思います。

まずあげられるのが、慶事プランの存在です。「祝い鯛付お食い初め膳」は4,200円と高単価ですし、その他の慶事プランも同様に高単価メニューとなっています。「ばんどう太郎」はファミリーレストランでありながら、お祝い事ができることを強みにしているからこそ、客単価アップにつながっていると言えます。

そして、3世代で来店できることも「客単価アップ」につながります。おじいちゃん、おばあちゃんは、孫と過ごす団らんの場にお金を惜しまないでしょうし、食事にこだわるシニアの方は、多いですからね。

3世代が満足できる料理を提供することはもちろん、お座敷には、子供向けと高齢の方向けの椅子が用意するなど3世代が安心して来店できる環境を整えることが「客単価アップ」につながる打ち手になっているということです。ちなみに、3世代で来店いただけると「客数アップ」にも貢献しますね。

また、店舗に女将さんがいること真心を大切にしたサービスを受けられることも「客単価アップ」のポイントになります。丁寧な接客により顧客の満足度も高まるでしょうし、このことが他社よりも高くても支払う価値があると顧客が思うことにつながるためです。

上記のように「客単価」が高い理由を考えてみましたがこれらの理由は顧客にとって、価格が高くても来店する理由でもあるわけです。つまり、慶事プランや3世代での来店しやすさ丁寧な接客が他社との差別化につながっているということです。

茨城県民御用達の「ばんどう太郎」が今後どのような存在のなっていくのか注目していきたいです。 

被災タワマン住民に伝えたい、震災でマンションの絆が深まった話

台風19号による被害が日々伝えられる中、一部地域のタワーマンションの断水や停電状況が、どこかセンセーショナルな視線で報道されています。これを受け、無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者でマンション管理士の廣田信子さんは今回、自身が東日本大震災時に経験したマンションでの被災生活や、興味の視線に晒されながらも徐々に立ち直ったきっかけ等を記しています。

被災したマンションがんばれ!必ず体験は活きる!

こんにちは!廣田信子です。

台風19号の被害状況がどんどん明らかになります。川の氾濫で自宅が水没した方々が、呆然としつつも家の片づけを始めている様子に、心が痛みつつ、それでもどこか実感が伴っていない自分を感じてしまいます。

それなのに、マンションの方々が停電や断水、エレベーターが使えないことで、そこでの生活をあきらめ、親戚宅やホテルに避難している話を聞いたとき、残った方々が、みんなが力を合わせて泥をカキ出している様子を見たときには、自分の東日本大震災の時の体験が瞬時に蘇り、自分のことのように感じます。

3.11の翌日、ようやくマンションにたどり着いたとき、マンションの敷地は液状化で噴き出した泥に埋まっていました。断水で水が出ない、排水管もやられているので、手洗いもできない、トイレの水も流せない、2週間の被災生活が始まりました。マンション管理や防災に関わっている者として、この様子は写真にとっておくべき…と思っても、とてもその現状にカメラを向けられませんでした。

小さなお子さんがいたり、高齢者の方は、水が出ない、トイレが使えない生活にやはり親戚宅やホテルに避難しました。1階に仮設トイレが設置されましたが、和式の仮設トイレを高齢者や子供は使えないのです。

残った人間は、総出で敷地内の泥カキをしました。自然にリーダーが現れ、呼び掛けに多くの人が集まります。日常の生活を取り戻すために、みんなで力を合わせた時間は気持を前向きにしてくれるものでした。

水が使えないので、きれいに清掃はできず、泥は残ります。それが乾燥すると、細かい粒子となって舞い上がり、マスクなしではいられない状況になります。泥カキ作業で、泥だらけになって自宅に戻って、無意識に洗面所で手を洗おうとして、水が出ないことに気づくのです。

そんな生活を共有した人たちの仲間意識は、特別なものがあります。人が集まって住まいを共有して暮らしているマンションはいざというときには、心強いと改めて確信しました。

たくさんの遠方の知人が、心配して連絡をくれましたが、「ありがとう、大丈夫」と言いながら、そう、無事で大丈夫だった…でも日常はここにまだない…という気持ちは伝えようがありませんでした。そんなとき、同じマンションの人たちは、何も言わなくても、思いを共有できる存在でした。

私が、市内の写真を撮ることができたのは、被災から10日後でした。復旧のめどが立ったことで、少し客観的に現実を見られるようになったからです。それでも、傾いたままの戸建て住宅には、とてもカメラが向けられませんでした。

そのころには、身近な被災地を見ようとたくさんの方が浦安に入りバチバチ写真を撮っていました。「わ~すごいね。こんなに傾ている」…という会話に、胸が痛み、何だか腹も立ちました。昨夜は、そんな当時の気持ちが蘇って、なかなか寝付けませんでした。

今回、浸水被害にあったマンションの皆さんたいへんでしょうが、どうぞがんばってください。きっと、今回の経験は、管理組合をより強くするはずです。そして、被災すると、前向きに頑張っていても、どこか心が弱くなっています。

見学気分で訪れたり被災した人たちを傷つけるような言動はやめたいです。私も、知人の何気ない「だから、埋め立て地のマンションなんて買っちゃいけないって言ったでしょう」という言葉がグサッときました。被災から3カ月もたっていたのに(笑)。

こういうとき、近くにいて、傷みを共有し、手助けができる人間以外は、ただ、心で祈り、エールを送るしかないのです。

で、あとは、被災地への寄付ですよね!

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なぜ中国はソ連に代わって米国と覇権争いをするようになったのか

 世界の覇権争いは米ソから米中への移った、と語るのはジャーナリストとして数々のメディアで活躍中の嶌信彦さん。嶌さんは今回、自身の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』で、世界の新たな覇権争いの型に注目しながらその行く末を案じています。

注目される米中覇権争いの“型”

新天皇が即位し、元号が令和となってからすぐの5月25日、トランプ大統領が国賓として来日した。日米間の政治的議題としては日本の農産物輸入の拡大や北朝鮮の完全非核化などについて議論することになっていたが、安倍首相の真の思惑は新天皇の国賓第一号としてトランプ大統領を宮中晩餐会に招き歓待することだっただろう。

アメリカは15世紀、16世紀にかけてスペイン、ポルトガルによって発見された新大陸である。大航海時代(15~17世紀中頃)は、インド、東南アジアを巡りアジア地域に進出。大西洋方面ではアメリカ、中南米まで出かけ未開発地域を開発していった。しかし、スペインに対抗してイギリスが海洋進出を始め、スペインの無敵艦隊を破ると世界の海や地域はイギリスの支配下に入っていく。イギリスは世界に植民地を持ち“太陽の沈まぬ国”とまでいわれる覇権国になるのだ。

一方で社会主義国家建設を目指して勢力を拡大してきたのがソビエト連邦である。隣接する東ヨーロッパ諸国を傘下に治め、自由主義、民主主義を標榜する西欧諸国と衝突をくり返し、ついに第二次世界大戦を引き起こすまでに至る。この時、西欧諸国の呼びかけに応じたのはヨーロッパを故郷とするアメリカだった。アメリカにはヨーロッパの人々が新天地を求めて大勢の人々が渡り、新しい文化・文明を築きあげ、ソ連と並ぶ大国に成長・発展していたのである。

欧州諸国はソ連との戦争に勝ち目がなくなってきた時、アメリカに支援を求めソ連を欧州の地からようやく追い出すのだ。と同時にアメリカの軍隊が欧州の地に残ることを要請し、ここにNATO(北大西洋条約機構)軍が誕生し、ソ連・東欧を中心とするワルシャワ条約機構軍とソ連が崩壊する1991年まで世界は米・ソ二極の対立の時代が続いたのである。

今のソ連には社会主義経済政策の失敗から往年の力はなく、代わって台頭してきたのが市場主義的な社会主義国家政策をとる中国だ。民間の企業経営を国の産業政策や補助によって育成し、ここ20年でアメリカと肩を並べるほどの力をつけてきた。宇宙・科学から日常の工業製品、家庭用品まで先進国に劣らない製品を作るようになっている。

このため世界の経済競争、軍事、科学などの対立は「米ソ」から「米中」へと移り、いまや関税をかけ合う米中貿易戦争へと進んできた。

現役教師が激白、激辛カレーいじめ事件で子供が被る深刻な実害

「神戸教師いじめ事件」については、常軌を逸したいじめ内容に加え、そのような状況が長期放置された異常な職場環境に驚かれた方も多いのではないでしょうか。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師の松尾英明さんが、「激務」と言われるにもかかわらず信念を持って教職を目指す若者が、困っている同僚を助けない酷い職場環境を伝え知れば、希望の職種を考え直す事態に陥ると指摘し、具体的改善策を記しています。

同僚性の欠如が不幸の根源

教育メルマガである以上書かざるを得ない、世間を騒がせている教師間のいじめ事件について。

この事件については方々で取り上げられており、周知のことである。誰がどこからどう見ても陰湿で極めて悪いことである。社会への負のインパクトも極めて大きく、日本中の学校教育関係者自体への信用失墜は免れない。

あれを知って、「教員になろう!」と思う若者が減ったことも容易に推測される。次年度以降の全国の教員採用試験の壁も更に低くなった訳である。つまり、教員の質の低下が加速する。

これによって、現場はまた同様か更にひどい事件を引き起こす人材(人災)を採用する可能性が高まる。その最終的な被害者は子どもたちであり、未来の社会である。負のスパイラルの加速であり、痛恨の極みである。

今回の事件について、個人の性質等のことは置いておく。残酷すぎて、到底尋常な精神でやれる行動ではない。それに至る個人の精神構造については、想像を絶しており、複雑すぎて、正直全くわからない。

よって、ここでは集団としての問題のみに焦点をあてる。

今回の問題の集団としての構造的根本は、「同僚性の欠如」の一言に尽きる。要は、みんな自分のこと、保身しか考えていなかったのである(視聴率をねらって、子どもが見る時間でも刺激的な映像を流すマスメディア側の人たちの問題と、本質は同じである)。

人は誰しも、自分が幸せになりたい。幸せの形は違えど、みんな幸せになりたいのである。それ自体は、自然なことであり、否定すべくもない。

そう考えると「他人の幸せを心から願う人はどうなのか」という疑問が湧く。それは「誰かに幸せになって欲しいという願いであり、それもやはりその人自身の幸せの形である。

そうであるならば、自分が本当に幸せになるにはどうするか考える必要がある。それには、環境である。幸せの必要条件としては、自分の周りが「快適な環境」であることが挙げられる。周りが不幸だと、その不幸はやがて自分にも感染するのは、自明である(戦争が、その最もわかりやすい形である)。

教師の場合で考える。第一の人的環境要因は子どもが考えられるだろう。学校が子どものための機関であり、教師が子どものための職業なのだから、当然である。

しかしある調査によると、教員のストレスに直接関わる第一要因は、「子どもではなく同僚」であるという。「保護者」も要因に挙げられるそうだが、保護者との問題も、同僚性が高い場合、解決できる。つまり、子どもが言うことをきかなかろうが問題を起こそうが、同僚性が高ければ、何とかなる。逆に言えば、同僚性が低いとすべてが壊れる

自分自身が本当に大切なのであれば、同僚を大切にする必要があるということになる。自分のことしか考えないのは、結局自分を不幸にする。同僚のことも考え、自分のクラス以外の子どもの幸せをも願ってこそ、自分自身も幸せになれる。自分の周りにいる不幸な状況にある人を放っておかないことである(一方で、他人を幸せにする義務もない。やりすぎは、幸せの押し付けになる)。

これは、教師だけでなく、保護者にもいえる。我が子以外の子どもへの関心をもつことで、我が子が幸せになる。保護者同士も、同様である。

学級王国」と呼ばれる状態こそは、不幸の根源である(「我が子第一主義」も同様)。隣のクラスに勝つことを目的にしていては自分も子どもも真に幸せになることはない。同僚のクラスもその子どもも共に成長することを願うことで、自分も自分のクラスも幸せになれる。自分の学級だけが順調であることに得々としている間は、不幸に向かっていると考えてよい。そう考えると「学級経営という言葉自体も今後は考え直していく必要がある。

やるなら北海道しかねえ。飲食店は「北の国」で始めるべきワケ

新規出店を考えている人、今ある商品をもっと売りたい人…、共通するのは、集客率を上げたいという願いではないでしょうか。そんな方々のために、今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、「地域」をキーワードにした販売促進のヒントを記しています。

飲食店を新規出店するなら、北海道へ!!

全国の百貨店で、「北海道物産展」が開催されています。しかも、ほとんど同時期に。いまや、百貨店における集客の要。唯一、成功が確約されているイベントだと言えます。

この物産展の凄さは、毎回出店している人気店もあれば、開催の度に新しいお店が登場していることです。バイヤーが、北海道の隅々までまわり、お店探しをしているのです。

同時期に違う百貨店で開催するということは、出店するお店が重複していないということです。それだけ、北海道には可能性を秘めたお店が多いということ。

ここに、ビジネスのヒントを見ることができます。

もし、飲食店を始めるのなら、北海道でオープンさせる方が上手くいく可能性は高いと言えます。北海道は食の宝庫として知られ、全国の人から注目を浴びています。つまり、同じ飲食店を始めても、北海道にあるということだけで、注目される確率は高くなるのです。

しかも、百貨店バイヤーが自店を見つけてくれるのです。他の地域では、誰も探し出してはくれません。そして、物産展への出店が実現することとなります。そこで話題になれば、北海道のお店へと足を運んでもらえるようになります。観光地でもない場所に出店するより、繁盛へのスピードが速くなるということです。

新規出店するなら、北海道を検討してみる価値は充分にあります。

心に響くフレーズ

大東元気でまっせ体操」という名の高齢者向け運動教室が注目されています。介護費用の削減とともに、元気で長生きしてもらうために、大阪の大東市が考案したものです。座ってする体操、立ってする体操、寝てする体操の3パターンがあります。その人の状態に合わせて、効果的な運動ができるようになっています。

キャッチフレーズは、「効きまっせ 若ぅなりまっせ 寝たきりにならんで 儲かりまっせ」。大阪人が敏感に反応するフレーズがお見事です。

この運動教室は、全国にも広がりを見せています。しかし、実施する地域によってキャッチフレーズを変えています

瀬戸内海の島では、「漁師をやってる息子を助けるために」。漁業従事者が多いことを考慮し、このフレーズになっています。つまり、地域に合わせたアプローチをしているのです。そこに住む人びとの心に響くフレーズを使っているのです。

同じ“商品”であっても、アプローチの仕方を変えることで集客力が違ってくる、ということです。

これは、販促の基本とも言えますが。

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諦めろ日本。「団塊ジュニア」の出産ラッシュ終了で少子化急加速

先日、2019年の出生数が、予定より2年も早く90万人割れする見通し、と報道されました。若年層の「未婚化」が加速するなか未だに経済成長を追い求める日本の姿に、メルマガ『虚構新聞友の会会報』の発行者で虚構新聞の社主UKさんが、かつて栄華を極め、その後衰退したイギリスの事例を紐解きながら「余計なプライドを捨てよ」と述べています。

もう後がない状態から出産を始めた「団塊ジュニア」

「日経新聞」などの報道によると、今年2019年の出生数は90万人を割ることがほぼ確実になったそうです。

▼出生数90万人割れへ19年、推計より2年早く
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50672490W9A001C1MM8000/

記事によると「団塊ジュニア世代が40代後半になり出産期の女性が減ったことが大きい」そうで、2016年に100万人を割ってから、たった3年でさらに10万人減らしました。このペースで減少が続けば、2046年には日本人が一人も生まれなくなる異常事態です。

上記記事について、少子高齢化を専門にする公益財団法人中部圏社会経済研究所研究部長の島澤諭さんが詳しく解説されています。

▼少子化はもう止められない「出生数90万人割れ」へ少子化が加速する社会の課題とは
https://news.yahoo.co.jp/byline/shimasawamanabu/20191010-00145900/

社主も以前少子化を記事にしようと調べていたときに知ったのですが、実は近年、出生率は回復傾向にありました。2005年に過去最低の1.26を記録したあと、じわじわと上昇し、2016年には1.44まで戻っていたのです。

確かにそう言われてみると、30代に入った社主の同級生らもこの時期に相次いで子どもを2人3人ともうけていたので、ちょっとずつ子どもを育てる余裕が出てきた=経済的な余裕が出てきたのかな、と想像していました。

しかし島澤さんの記事によると、決してそうではないようです。

「2006年から2015年に至るまでの少子化の反転(つまり出生率の上昇)は、雇用の不安定化や晩婚化で出産のタイミングを遅らせてきた団塊ジュニア世代にとって、子供を産むためにはもう後がない状態になったことで出産を始めたというテンポ効果によってもたらされたものでした。」

もう後がない状態になったから出産を始めた」。大事なことなので、繰り返しました。

つまり、近年の出生率の上昇基調は、景気回復や国の少子化対策が功を奏したわけではなく、単に「いま産まなければもう産めない」と追い詰められた家庭に産まれただけだったのです。先の同級生たちも世間的には晩婚だったので、記事が指摘するように「今産まなければ」という考えで子どもをつくったのかもしれません。

しかしここに来て、とうとう国が出生率回復の決め手として当てにしていたボリュームゾーン「団塊ジュニア世代」の出生率ボーナスが終了。今後は先細りするしかなくなったわけです。

中学生向け「公民」の教科書には、「少子化が進んで現役の働き手=納税者が減ると、社会保障の基盤が弱くなり、その分、現役世代1人当たり経済負担は増える」という感じの記述があります。これは社主が中学生だった20年以上前からずっと教科書に載っている内容ですが、結局その後20年間、良い意味で教科書を書き換えるような変化は訪れず、少子高齢化はみるみる加速。むしろ、当時の教科書にはなかった「介護保険制度」や「消費増税」という残念な用語が書き足されることになりました。

社会科では、少子高齢化を「現代日本の課題」として「外国人との共生・日本の国際化」などと並べて解説してきました。そしてこの「課題」という言葉には「何か対策をすれば解決できる」という希望的ニュアンスが含まれています。ですが、少子高齢化はもはや課題のレベルを超え打つ手のない受け入れるべき事実です

それでもあえて解決策を出そうとするなら、「80歳以上の高齢者を全員安楽死させる」とか「優秀な遺伝子を持った子どもを国家施設で大量生産する」とか、ディストピアSFみたいな方法しか思い浮かびません。

もう少し現実的な解決策があるとすれば、少子化という現象が先進国全体の傾向である以上、米国のように移民を大量に受け入れて多民族国家を目指すというやり方もなくはありませんが、今の日本なら移民を受け入れるよりも「攻めの姿勢」の方がさらに現実的かもしれません。大東亜共栄圏を復活させて、東南アジアの数値を出生率に組み込んで測定し直すという方向などいかがでしょうか。

「どっちにしてもディストピアSFじゃねえか」というツッコミはさておき、この少子化を事実として受け入れなければならない以上、今後は少人数で回る国作りへと方向転換するしかありません。ちなみにこの点に関しては、今話題の小泉進次郎環境大臣が以前から「人口減を強みに変える」ということを主張しておられます。

「私は人口が減っていく部分をすべて移民で、っていうのは反対です。人口減少を強みに変えるという発想のなかで、日本が守るべきものを守りながら、技術の革新、イノベーションをより危機感を持って進めるかということを、どこまで追求できるかをチャレンジする国家になったほうがいいと思います。」

▼小泉進次郎氏が若者に訴えた 「もう人口減少、嘆くのやめませんか」
https://www.huffingtonpost.jp/2016/10/09/shinjiro-koizumi-youngvoice-2016_n_12420990.html

例によって、具体的な政策が見えてこないので、この発言だけを見る限り「この人に任せて大丈夫かいな」などと思ってしまうのですが、社主はもういっそ「強みという発想自体も辞めるべきではないかと思います。簡単に言えば「経済大国という強みにこだわらず看板を下ろしてしまえばよいのです。

決して経済成長を諦めなければならないと言っているわけではありません。もし今の日本にまだ成長の余地が残されているとするなら、徹底的に追求すればよいでしょう。しかし政権交代後の7年間、「経済大国の看板を懸命に維持しようと大企業優遇の政策を強めた割にはその富が弱者へと回されず、そのうえ人為インフレによって、年々生活費が上昇しているのが現状です。

2013年に掲げた安倍首相の約束が正しければ、4年後の2023年には国民1人当たりの総所得が今より150万円増えているはずですが、本当に実現するのでしょうか。

▼首相、1人あたり国民総所得「10年後に150万円増やす」(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFL050LJ_V00C13A6000000/

出生数が想定以上のペースで下がっている理由の1つに「自分が今これだけ苦しい生活をしているのに、これから生まれる子どもにこれ以上の辛さを味わわせたくない」という、ある意味での親心もあるでしょう。国がいくら「子育て支援」を連呼して暗に「産めよ殖やせよ」をほのめかそうと、共働き世帯の増加などに配慮した政策がうまくいっていないから誰も産まないし殖やさない。やはり数字は正直です

「経済大国」に関してもう1つ。最近、あの奇跡の高度経済成長でさえ「日本人の実直さ・勤勉さが理由ではなく、本来の労働効率の悪さを1億人越えの人口と残業ありきの長時間労働で補ってきただけ」という身もふたもない分析が出てきたりもしました。

▼日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2019/08/post-78.php

「日本はかつて豊かな国だったが、近年は競争力の低下や人口減少によって経済力が低下しているというのが一般的なイメージかもしれない。だが、現実は違う。」

「先ほど、日本の労働生産性は先進各国で最下位であると述べたが、実はこの順位は50年間ほとんど変わっていない。日本経済がバブル化した1980年代には、各国との生産性の差が多少縮まったものの、基本的な状況に変化はなく、ずっと前から日本の生産性は低いままだ。1人あたりのGDP(国内総生産)が世界2位になったこともあるが、それはほんの一瞬に過ぎない。」

労働生産性が先進国最下位の国が、先進国で最も深刻な少子高齢化になっているということは、かつてのような「人海戦術が通用しなくなったことを意味しています。このように少子高齢化は、それを起爆点として悲観的な将来へと次々連鎖していくのです。そして20年前は「課題」の1つに過ぎなかった未来像を、私たちはいよいよ現実として甘受しなければならない段階に達しつつあります。

話が変わりますが、これまで会報では何度か書いてきたように、社主は「UK」の名の通り英国びいきなのですが、かつて覇権国家「大英帝国として人一倍のプライドを抱いていたその英国も、第二次世界大戦後、その看板を下ろさなくてはならない事件がありました。

それが1956年のスエズ危機です。英国はこの時、米ソ両大国から見放され、その結果スエズ運河を失うとともに、もはや欧州の一国家でしかないことを世界中に知らしめる顛末となりました。その後、世界における英国の地位はご存知の通り。いまだに自国を世界の盟主だとは当の英国人でさえ誰も思っていないでしょう。

長い長い不況にさらされ、日本人としての自信を失ったと言われる中、「日本を取り戻す」と気概を示すことは、それはそれで大事なことかもしれませんが、今必要なのは精神論ではなく残酷な現実から目を背けない覚悟です。とは言え、同じ現実の甘受でも、もう少し賢いやり方があってもいいはずです。

1990年代、英国では『キーピング・アップ・アピアランシズ(体面を保つ)』という、自分は労働者階級なのに上流ぶる滑稽なおばさんが出てくるシチュエーション・コメディが人気を集めました。身の丈に合わないことをしようとして失敗するバケットおばさん(本人はフランスっぽく「ブーケ」と名乗っている)の滑稽さには、そのタイトル通り、必死で体面を保とうとしている今の日本に通じる部分が感じられます。

そしてまた、バケットおばさんをバカにして終わるのではなく、彼女の振る舞いの中に誰しもが持つ虚栄心のような性(さが)を見出し、さらにそれを自虐や哀しさを含んだユーモアへとつなげていくところが英国コメディの巧みさでもあります。

長年、実直さと勤勉さを売りにしてきた日本で、凋落するこの現状を自嘲・自虐として笑いに変えるのは難しいかもしれません。しかし、人口減を嘆かず、さらに「人口減を強みに変える」という経済指標を絶対視した気概も捨て哀愁ペーソスをもって受け入れるのも、これからの時代を生き抜く一つの知恵であるように思います。

沈みゆくタイタニック号に取り残されて為す術なくなった乗客だって、あり得ない希望にすがりつこうとパニックになるより、せめて皮肉の一つでも残して海の藻くずと消えた方が潔くて粋じゃないですか。

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