宅配専門スーパーOniGo(オニゴー)が「10分配達」にこだわる理由

宅配専門ネットスーパー“ダークストア”の「OniGo(オニゴー)」は、今年8月東京目黒で開業し、店舗数と配達エリアを拡大させています。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』著者の理央さんは、通常のネットスーパーとの違いは「10分で届くこと」と簡潔に説明。その違いこそが価格競争なしの勝負を可能にしていて、見つけた3つのニッチなニーズから逆算したサービスの生み出し方は、大いに参考になると伝えています。

 

ダークストアに学ぶ、中小企業のスーパーニッチの探し方

このところ、ダークストアが話題になっています。ダークストアとは、消費者が買いに行くような、一般的なお店ではなく、インターネットで注文を受けて、生鮮食品や食料品を扱う、宅配専門のスーパーのことを指します。

小売業なのですが、実際に直接買える店を持つのではなく、スマホで注文を受けてから、品揃えをして、配達します。

このダークストアという名前は、実店舗がなく、どこにあるのか分からない、という、見えない“ダークな”ストア、というところから来ているそうです。もともと、欧米や中国では人気があって、急成長しているとのことですが、日本では、東京渋谷でオニゴー(Onigo )という会社がこのダークストアのサービスを提供しています。

この会社のホームページを見てみると、「10分で届く宅配スーパー」とあります。そして何より面白いのが、会社案内のところに、「Qコマース事業」すなわち、クイックコマース事業を展開しています、とある点です。

具体的には、生鮮食品、食料品のモバイルオーダー、プラス即時配送サービスと説明してありますが、インターネット通販を表すEコマースではなく、すぐに宅配します、という意味での、「クイックコマース」事業です、と、自社を定義しています。

コロナで外出もままならない、なるべく外に出たくない、届けてほしい、という需要が増えてきている中で、ウーバーイーツのようなデリバリーアプリは、かなり浸透してきました。食品スーパーの宅配については、日本でも西友やイトーヨーカ堂などは、ネットで注文することはできます。このオニゴーの特徴は、「10分で届ける」とうたっていることです。

まだサービスできる地域は限られているようで、私のオフィスがある四谷のあたりはサービス外だそうですが、メールアドレスを登録しておけば、サービスが開始されたら連絡が来る、とのことなので、やはり10分で届けるということにこだわっています。多くの宅配スーパーは、夕方を過ぎ他注文は翌日配送となるため、便利さは格別です。

 

注意を受けたらその場でメモ取り。他人に指摘されても反論せずに済ませる術

人間誰しも、注意を受けたり耳の痛い指摘をされた際にはこちらの言い分を口にしたくなるもの。しかしそれが「得策」かと言えば決してそうではないことも、ほとんどの方が理解しているのではないでしょうか。今回、iU情報経営イノベーション専門職大学教授を務める久米信行さんのもとに届いたのも、そんな「反論グセ」をなんとかしたいというご相談。久米さんはメルマガ『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』の中で、「どうすれば反論を飲み込めるようになれるのか」という読者からの質問に、極めてユニークかつ建設的な作戦を伝授しています。

 

オトナの放課後相談室「すぐ反論する性格から脱却したい」

Question

shitumon

会社で、注意や指摘を受けると、反射的に反論してしまいます。

本来ならまず受け止めるのが、マナーかと思うのですが、責められているように感じて、防御本能的に反論してしまうのです。

なので、周囲からは素直じゃないヤツ、言い訳の多いヤツと見られています。

何とか脱却したいのですが、どうすれば反論を飲み込めるようになるでしょうか?(東京都・31歳、男性)

久米さんからの回答

反論は飲み込まずに半ばスルー。ただ注意と指摘をメモしてはいかがでしょう?

私も昔はついつい反論してしまう人間でした。その血を引き継いでしまったのか、今では、二人の息子に意見するたびに反論されているのですが、逆の立場になって気づいたのですが、あまりいい気分ではありませんね。

さて、どうすれば「反論を飲み込めるか」とのご質問ですが、「飲み込む」という表現からして「嫌いな食べ物を無理やり胃袋に放り込む」がごときツラそうなことに聞こえます。

そこで、もっと簡単にスルーできそうな楽な方法を一緒に考えましょう。

思わず反論してしまうのは、おそらく、ご自身が、誰かの言葉を重く受け止める真面目な性格だからでしょう。真面目なこと自体はもちろん美徳です。ところが、つい過剰に反応して反論した結果、悪気はないのに相手から反感を持たれてもつまらないですよね。

そこでまずは「アドバイスありがとうございます。次からそのようにいたします」とでも返答して、半ばスルーされてはいかがでしょうか。

そして、注意を受けながら、その場でメモを取ってみるのも得策です。助言を傾聴し、叱咤激励を真摯に受け止めていることが相手にも伝わることでしょう。

これまで私は、経営者として、また教師として、誰かを怒らなければならない修羅場を経験してきましたが(実は気持ち良い役割ではなく私は嫌いなのです)、実は怒りながらも不安を感じているのです。

「ちゃんと注意や助言の意味を理解してくれているだろうか?」
「理解した上で、ちゃんと実行してくれるだろうか?」
「それどころか逆恨みされてしまうのではないだろうか?」

こうした「叱る人の不安」を解消してあげてはいかがでしょう。

そのためには、怒られ始めたら、思い切って「ご注意ご助言いただいたことメモさせていただいてもよろしいですか?」と切り出してみましょう。

そんな言葉は、私もかけられたことが無いので、きっとそれだけで感動します。そして、叱る側も、怒りたい激情より、助言したい理性の方が優位になるでしょう。その結果、感情にまかせて叱られて「何が悪いのか、何をすれば良いかがわからない」という最悪な状況から脱することができるはずです。

この「叱られた時はメモする作戦」が良い点は、思わず反論したくなる脳の回路を、とりあえず言われたことをメモする回路に切り換えることができることです。言われたことをそのままメモするのは、やってみればわかりますが、意外に、脳のメモリやCPUを食うものなのです。おそらく反論する余裕も無くなるはずです。

 

“親中”自民・松下新平参院議員に文春砲。中国人女性「秘書」めぐり疑惑浮上でネット激怒

以前よりネット上で保守派から「親中派」と指摘されていた自民党の松下新平参院議員(55)に文春砲が飛んだ。もちろん、その内容は「中国がらみ」のため、ネット上で大きな話題となっている。

文春オンラインは15日午後4時、スクープ記事として、松下議員が、中国系企業の東京支店長を務める中国人女性を「外交顧問 兼 外交秘書」にさせ、名刺や議員会館内を自由に往来できる通行証などまで与えて、パーティ券販売に関与させていると報じたのだ。さらに、松下事務所側は「無償のボランティア」と女性について説明しているものの、実質的には「秘書業務」を行っていて、秘書給与は「中国系企業」が肩代わり、という政治資金規正法違反の疑いまで浮上しているという。

自民党・松下新平参院議員 中国人女性「外交秘書」との関係巡り、政治資金規正法違反の疑い

今回の件について、詳しい内容は文春オンラインを参考にしていただくとして、実は松下議員については中国との「蜜月」が以前よりネット上で指摘されていた。今年10月には参院議員会館にて「日中一帯一路促進会 基調講演」を主催していたことが判明し、一部のネットユーザーから“親中議員”としてウォッチ対象となっていたのだ。


今回の文春砲で、松下議員と中国との「蜜月」が裏付けられた形となり、自民党を支持している保守派のネットユーザーたちからは厳しい声が多くあがっている。はたして今回の報道内容は事実なのだろうか? もし事実であれば議員辞職レベルの問題であり、本人自らの口で説明を求められるのは必至だ。今後も松下議員の疑惑について注目していきたい。

アメリカで生活をしている人は全員が“英語ペラペラ”という勘違い

海外で生活することになったら、おそらく多くの人が不安に思うのは「言葉が通じないのでは…」ということかもしれません。今回のメルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』では、著者で20年以上アメリカに在住する医学博士・しんコロさんが“自分が悪い”とは思わなくていい、として今までに一番英語が通じなかった事件を語りながら海外でのコミュニケーションについて語っています。

 

英語が通じない時

海外生活に関して「英語が通じなくて困ることはないか?」という疑問を寄せられることがあります。

確かに、たとえ英語が話せたとしてもアメリカのような多国籍文化の国にいると、うまく英語が通じないことがあります。20年前に渡米してきた直後は、自分の英語が相手にうまく伝わらない時「自分の言い回しが悪いのかな」とか「自分の発音が悪かったのかな」などと思ったものでした。しかし、20年来もアメリカにいると、英語が通じない時は「理解しないお前が悪い」くらいのアメリカンな傲慢さを身につけることができます(笑)。もちろん、そこまで性格が悪くなることはありませんが、自分の話していることに自信や確信があれば、「自分が悪いのかな」と思う頻度は減ってきます。今日はちょっと「英語が通じない時」について最近のエピソードを書きたいと思います。

例えば、先日もこんなことがありました。フードコートのカフェコーナーで自分のコーヒーをピックアップする時のことです。カウンターに行き、自分の名前と注文したコーヒーの種類を伝えました。すると目の前の南米出身っぽい女性店員が「はぁ?何なん?」と言って怪訝な顔をしました。もし僕の名前やコーヒーの種類の名前が聞き取れなかったならば「何と言いましたか?」とか「もう一度言ってください」などの対応をするでしょうが、この時の女性の応対は「は?貴方誰?」のようなトンチンカンな対応だったのです。僕は自分がトンチンカンに話しかけていない自信があるし、その女性をナンパしているわけでもないので(笑)、「僕はコーヒーをピックアップしに来てるんですよ」と伝えました。すると女性は「ああ、そういうこと…」みたいな応対をしました。「そういうことにきまっとろうが!それ以外何があるん!」と心に思いましたが、そこはぐっとおさえます。

このように、自分がちゃんと英語を話していても、相手がちゃんと理解しないでトンチンカンなコミュニケーションになることがあります。このトンチンカンレベルは日本では想像できないほどです。多民族多国籍多言語になると、色々なトンチンカンが起きるわけです。でもこうして僕は自分の言っていることに確信があるので、自分がキョドることはありません。しかし、そんな僕がキョドってしまう事件が先日起きました。僕の20年来のアメリカ生活を経た後の、英語が全く通じない事件でした。

 

“強い武器でスライムばかり倒している人”が天才に届かない当然の理由とは

やらなければいけないことを後回しにしてしまう…なんとも耳が痛い話ですが、多くの人が当てはまるのではないでしょうか?そこで今回は現役精神科医のゆうきゆう先生が天才と呼ばれる人たちの時間の過ごし方を解説。自身のメルマガ『セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術』の中で、ゲームに例えたわかりやすい話でそのコツを紹介しています。

天才の時間の過ごし方、できない人の時間の過ごし方

こんにちは、ゆうきゆうです。

みなさん元気でお過ごしでしょうか。

さて、みなさんは「時間」というものの大切さをご存知でしょうか?

「時間なんて大切に決まってるじゃん!今のこの一分一秒を大切に、とかいう話でしょ?」と思われる方も多いかもしれませんが、今回は、それとは少し違ったお話をしましょう。

3つの武器と3つのモンスター

今、あなたはゲームの世界にいます。

まず、手元にAとBとCの3つの武器があったとします。

Aが一番強い武器で、Bは真ん中、Cは一番弱い武器だとしましょう。

そして目の前にモンスターが3体。弱そうなスライム系、ちょっとだけ強そうな牛の姿をしたモンスターと一番強いドラゴンがいたとしましょう。

武器は強い順に3つ、モンスターも強い順に3種類います。このとき、それぞれのモンスターに対して1個の武器しか使えないとするならば、ドラゴンをどの武器で倒しますか?

いかがでしょうか。

当然ドラゴンに対しては一番強い武器で戦うのではないでしょうか。

誰もが当然、このような選択をすると思います。

ところが現実では、この選択をできないことが多いのです。

例えば1日の中で、一番やらなければならないミッションがあったとしたら、多くの人がそのミッションを後回しにしてしまうと思います。なぜなら面倒くさいからです。

まずはサクサクと軽いこと・やりやすいことから手をつけていき、一番大切なミッションをやらないまま時間が過ぎてしまい、そして夕方になって、「あぁ~ドラゴン残ってた…でもダルいし、また明日にしよう!」と先延ばしにしていくことが多いのではないでしょうか?

しかしこれはゲームで例えるなら、一番強い武器を一番弱いスライムに使って過ごしているようなもの。一番良い武器を一番強い敵に当てなければ、いつまでたってもゲームをクリアできません。

岸田政権コロナ対策に「弱点」あり。今すぐ再確認すべき4つのポイント

未だ正体不明のオミクロン株の蔓延や第6波襲来の可能性など、気を抜くことが許されないコロナ対策。我が国は今現在、重症者数・死者数ともに低く推移していますが、岸田政権のコロナに対する備えは万全と言えるのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では著者で米国在住作家の冷泉彰彦さんが、アメリカから見た日本のコロナ禍の現状を「うらやましく見える」とした上で、この状況を維持するため厳しく再確認すべきポイント4点を提示。さらにそれぞれについて詳しく考察しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2021年12月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

緊急告知・第5弾LIVE配信のお知らせ

 

政治経済からエンタメ、スポーツ、コミュニケーション論まで多角的な情報をお届けしている冷泉彰彦さんが、メルマガ読者を対象にライブ配信を行います。この機会にぜひ初月無料のメルマガお試し購読をどうぞ。

 

テーマ:2022年の世界を展望する
日時:2021/12/18(土)21:00~ ※90分程度を予定

 

この配信はメルマガ読者限定配信です。事前にメルマガの読者登録をお済ませください(初月無料のお試し購読期間でも視聴できます)。

 

視聴忘れのないように、まぐまぐ!Liveアプリでフォローをお願いします。配信開始時に通知が届きます。

 

視聴方法はこちらから。

 

※配信内容・時間は変更になる場合があります

 

岸田政権のコロナ対策、本当に改善しているのか?

今日現在で言えば、岸田政権のコロナ対策ということでは「水際作戦」が話題になっているようです。私は、オミクロン株が弱毒性だということがハッキリ証明できない間は、日本が一定程度の「国境閉鎖」をしながら「時間を稼ぐ」という姿勢については短期的な合理性はあると思います。

ただ、今後のことを考えると、海外からの帰国者について、

  1. 外国人配偶者は入国禁止
  2. 3、6、10日の強制隔離は無料だが実務が混乱
  3. 国内世論に配慮してワクチン接種を義務付けられない

といった問題は検討課題だと思います。1.は日本人と同居していることからリスクはイコールなので認める方向、2.についてはシンガポールの一時期のように、有料(14日で15万円とか)にする代わりに実務を安定させる、3.は接種義務づけにして(タイミングによってはブースターも義務付け)、その分だけ規制を緩めるというのが現実的と思います。

それはともかく、心配なのは本来のコロナ対策です。岸田政権は、菅政権が政権末期に世論に見放された経験を踏まえて、その「経験に学んで」バージョンアップをしようとしている、その姿勢は見えます。また総理の発言には相当な力が入っているのは事実だと思います。ですが、具体的な点に関しては、まだまだ弱い点が気になります。4点指摘したいと思います。

1点目は、司令塔です。安倍政権の際には、初期には厚労省の幹部がデイリーの会見をしていましたし、やがて当時の加藤勝信厚労相が司令塔的な会見をしていました。ですが、勝信さんはどうしても勝信さんであり、カメラの前では「組織防衛語」しか話せないことから外された経緯があります。

菅政権になってからは、田村厚労相(当時)が司令塔なのかというと、徐々に西村康稔氏が経済(再生=この言い方やめませんか?)担当大臣になって、この西村氏が司令塔になっていました。つまり、厚労省が司令塔になると、どうしても感染対策が経済より優先するニュアンスになるので、経済担当が司令塔という形にしたわけです。

実は、この判断は五輪を強行するためでもあり、当時の世論は相当な違和感を持っていたはずです。西村氏は、ここで「経済」と「役所」と「世論」という、全く相入れない3つの要素を「ノラクラ」と渡って、何となく危機管理風のコミュニケーションをやっていました。切れ味はないのですが、組織防衛的とも言えない、意味不明ではないが曖昧ではあるという不思議な言葉を話す人でした。

 

だから遅々として進まない。日本のデジタル化を妨げている3つの要因

今年になってようやくデジタル庁なる役所が発足したものの、順調にデジタル化が進んでいるとは到底思えぬ日本社会。なぜ我が国は先進各国に比べここまで遅れを取ってしまったのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では「Windows95を設計した日本人」として知られる中島聡さんが、日本のデジタル化を妨げている3つの要因を挙げ各々について詳細に解説。その上で、デジタル化を進めるために今すぐ始めるべき3つのアクションを提示しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

 

デジタル庁に向けた提言

先週になって、日本のデジタル庁が「デジタル社会の実現に向けた『新重点計画』の策定に向けてのご意見」を募集していることに気がついたのですが、残念ながら期限を過ぎてしまっているし、そもそも質問項目が役に立ちません。私なりに言いたいことはたくさんあるので、一通りここに書いておくことにします。

日本でデジタル化が進んでいない原因は複数ある上に、それらが複雑に絡み合っているので分かりにくいし解決しにくいのが現状です。なので、まずは、それらを可能な限り独立した問題に分割し、それぞれに対して対策を施す必要があります。

日本社会のデジタル化を難しくしている問題は、大きく分けると以下の三つになります。

  • 解雇規制
  • 社会の新陳代謝不足
  • ITゼネコン

解雇規制

米国で急速にデジタル化が進んだのは、その方が、より良いサービスを安価に提供できるからです。特に重要なのは「安価に」という部分で、それまで人が行なっていた作業を自動化することにより、「人件費」を減らすことが出来るという意味です。

米国には、日本のような解雇規制がなく、社員でも必要に応じて解雇できるため、「自動化による人件費の削除」は、デジタル化を進める上で強い進化圧として働いたのです。

その流れは、パソコンが普及し始めた90年代から始まり、インターネットが普及した2000年以降は、急速にさまざまなもののデジタル化が進みました。

日本でも米国のように社会のデジタル化を進めることは、サービスの向上という意味でも国際競争力という意味でも、とても良いことですが、それによって職を失う人々が大量に出ることを無視して議論を進めることは出来ません。

もちろん、デジタル化によって新しく生まれる職もあるので、必ずしもトータルでマイナスになるとは限りませんが、少なくとも、一部の人たちにとって、デジタル化は「痛みを伴う改革」であることを忘れてはなりません。

日本では、解雇規制があるため正社員の解雇が事実上不可能ですが、小泉政権時代に派遣法が改定された以降、(解雇規制で守られている)正社員になれずに、派遣社員としてしか働けない人々が急速に増え、それが社会に格差を生み出してしまいました。

このままの状態でデジタル化を進めれば、最初に切られるのは、社会の弱者である派遣社員たちであり、それが一層の格差を産むことは確実です。

そう考えると、日本における社会のデジタル化は「派遣法の見直し」と「解雇規制の撤廃」とセットであるべきだと私は考えています。解雇規制の撤廃により、正社員と派遣社員の境を無くし、同時に「派遣労働」を禁止することにより、派遣会社による「中抜き」を排除し、賃金が100%労働者に渡るようにします。

解雇規制を撤廃すれば、「自動化による人件費の削除」がデジタル化を進める良い進化圧となり、それを加速することになります。

当然ですが、一時的には失業者が増えるし、社会が必要とする人材とのミスマッチも生じるでしょうから、手厚い社会保障と、再教育の機会を国が提供する必要があります。

生活保護を受ける権利がありながらも、実際に受けている人が極端に少ない日本の現状を考えれば、失業手当、生活保護、介護保険、国民年金を一つに統合した上で、申し込みや審査が不要なユニバーサル・ベーシック・インカムに移行することも真剣に考慮すべき時期に来ていると思います。

 

米軍基地だけじゃない。沖縄の人さえ知らぬ「国連軍基地」の存在

1996年4月の基地返還合意から25年が過ぎても、未だ危険な普天間基地が閉鎖されず、メディアも「辺野古問題」としてしか扱わない沖縄の基地問題。膠着状態が続く根本原因の一つに、当事者である沖縄県民も沖縄米軍基地について、基礎知識すら持たないままでいることを上げるのは、軍事アナリストの小川和久さんです。今回のメルマガ『NEWSを疑え!』で小川さんは、自著『フテンマ戦記 基地返還が迷走した本当の理由』の記述を引用し、県庁の基地対策課も、抱える自治体の一つである嘉手納町役場も、沖縄県内にある「国連軍基地」の存在を知らなかったという残念な事実を伝えています。

 

キミは沖縄の国連軍基地を知っているか

毎年、今の時期になると1995年9月4日に沖縄で起きた少女暴行事件と、それを受けた琉球放送の番組のことが思い出されてなりません。このいたましい事件が、1996年4月の普天間基地返還合意へとつながっていったからです。

それから25年が経過し、政府が推し進める辺野古移設案が軟弱地盤問題などで視界不良となるなか、原点である普天間基地閉鎖による危険性の除去は忘れ去られ、いつの間にかマスコミでも「辺野古問題」として取り扱われるようになっています。

普天間基地移設問題が膠着している根底には、米軍側の作戦所要を満たさず、建設面からも課題の多い辺野古案をごり押しする政府側の問題があることはいうまでもありません。

しかし、政府がどんな姿勢を示そうとも、それを正していく力が国民の側になければ、無理無体がまかり通ってしまうのは防ぎようがありません。その国民の側がどんな状態だったのか、それを示すエピソードを拙著『フテンマ戦記 基地返還が迷走した本当の理由』(文藝春秋)から引用しておきたいと思います。

「この年(注・1995年)の12月は2回、私は琉球放送の企画のため沖縄各地を歩いた。玉城朋彦キャスターが同行してくれた。それ以来、玉城氏を通じて沖縄のキーパーソンとの関係を築いていくのだが、残念なことに玉城氏は2016年2月2日、59歳で歿した。

 

企画についての琉球放送側の意図は、沖縄米軍基地の実態、そして日米同盟の実像を沖縄県民に正しく伝え、平和に向けての姿勢を正して行こうというものだった。これは玉城氏だけでなく、上司である大城光恵(みつよし)常務の意向だった。

 

そのおり、いたずら心もあって、私は移動中のワゴン車内から玉城氏に3カ所への電話取材を依頼した。沖縄県庁の基地対策課、嘉手納町役場、浦添市にある米国総領事館である。質問は、沖縄県内にある国連軍基地について知っているかどうかだった。

 

言うまでもなく、沖縄県内の国連軍基地は嘉手納、普天間、ホワイトビーチの3カ所である。これは公表されている。だが、残念なことに、嘉手納基地に日米の国旗と国連旗が翻る嘉手納町の役場も、毎年、沖縄の米軍基地に関する報告書を出している沖縄県庁も、どこが国連軍基地なのか全く知らなかった。それとは逆に、米国総領事館は電話に出た館員のレベルでも即答があった。

 

このように当事者意識を欠いていては米軍基地問題を扱えるわけがない。その認識を琉球放送側と共有した点で、極めて有意義な電話取材となった。玉城氏も、沖縄県と嘉手納町の有様を目の当たりにして、深刻な顔になった」

それまでにも、沖縄県民は基地問題について強い姿勢を示してきたことは間違いありません。しかし、その実態は沖縄米軍基地についての基礎知識すら持たないままの、政府や米国側から見れば「遠吠え」のような状態に終始してきたのです。

普天間基地返還合意から25年という時間も、大部分が「遠吠え」のような実効性を持たない形式的な抗議のうちに過ぎてきはしなかったか、と思わざるを得ません。リアリティを備えた議論によって問題を解決していくために、今年も言わせていただきました。(小川和久)

 

image by: Shutterstock.com

もっと心を豊かに。なぜ人は「オンリーワンの服」を着なければいけないのか

興味の薄い向きからは「高価すぎる」と思われがちではあるものの、新作の発表を心待ちにするファンも多数存在するラグジュアリーブランド。その購買行動は、どのような動機に支えられているのでしょうか。今回のメルマガ『j-fashion journal』ではファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、顧客がアイテム、ことアパレル商品を購入する際に最も大切にするもの、重視することをさまざまな側面から考察。さらに、坂口さんが思うところの「オンリーワンの服」を着るべき理由を説いています。

 

個人が作るファッション

1.個人に権限と責任を与える

欧米アパレル企業と、日本アパレル企業とは意志決定に違いがある。

欧米アパレルが商品企画をクリエイティブディレクターやデザイナーという一人の人間が統括するのに対し、日本のアパレル企業は合議制であることということ。日本国内でもデザイナーズブランドは、デザイナーが一人で方向性を決定するので、これは欧米型に近い。

そもそもブランドとは、一つの世界観を表現するものであり、ブランドに統一感を持たせるには、一人の人間が判断することが望ましい。これは、あらゆるクリエイティブな表現活動に共通している。

個人にはそれぞれの嗜好がある。例えば、色の好みは様々だ。一口に赤といっても、人によって好きな赤は異なる。したがって、正解はない。多くの人間の意見を聞いて色を決定すると、統一感がなくなる。統一感を持たせるには、一人で調整する方が合理的なのだ。

欧米のファッションビジネスはコレクションを作る業務と、それをビジネスに展開する業務とに分かれている。コレクションはデザイナーに決定権がある。

そして、コレクションを商品にする権限、数量や価格決定の決定権は、プロダクトマネージャーやマーチャンダイザーが決定権を持っている。

個人に権限を与えて任せる。その代わり、売れなければその個人を排除する。これが欧米の考え方である。個人に権限を与えるからプロフェッショナルになるのだ。

2.合議制で決定し、全体の責任にする

日本では会議で決定することが多い。それぞれの会社やブランド内部には独自の力関係が存在する。そして、会議では、実質的に発言権や決定権を持つ個人が全体を調整する。しかし、会議で決定する形態を取るために、個人が責任を負うのではなく、連帯責任となる。個人に任せない代わりに責任は追求しない。そして、プロフェッショナルは育たない。

アパレルにクリエイティブな要素、ファッションの要素を盛り込もうとすれば、合議制より個人が決定した方が良い。しかし、個人の感性に依存しない実用衣料のような商品ならば、無難で平均的なものの方が良いのかもしれない。

日本の大手アパレルはライセンスブランドが多い。そのため、商品の方向性はライサンサーが示してくれる。ライセンシー企業はコレクションを作る業務とは無縁である。したがって、合議制でもビジネスが成立する。

あるいは、売れ筋後追い型のアパレルであれば、売れ筋商品の情報をキャッチして、それをいかに安く素早く作って安く売るかが勝負となる。ここでも、コレクションを作る業務とは無縁だ。他社のコレクション商品をコピーすればいいのだから。

 

病床の講義で完成した“お父さんの味”。亡き夫の洋食店を守る妻と子

老舗洋食店から独立し、多くの常連客をようやく掴むことのできた矢先に亡くなってしまった店主。その跡を継ぐのは妻と娘でした。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、一軒の洋食店で紡がれ続ける、まるで映画のようなエピソードを紹介しています。

母娘が受け継ぐ、亡き主人から病床で聞き書きした、洋食レシピ

ハンバーグ、ビーフシチュー、ポークソテー、ロールキャベツ……。

東京都板橋区に、正統派の洋食が食べられるお店「AIDA(あいだ)」があります。

テーブル席には、ギンガムチェックの赤いテーブルクロスが掛かっている、これぞ洋食屋という雰囲気。老舗洋食店「つばめグリル」から独立した店主が営んでいました。

そう、過去形なのです。昨年、店主の間宮透さんが亡くなってしまったのです。

58歳。まだまだこれからという時の悲劇です。

2011年にオープンし、苦労しながらも、何とか軌道にのせることができ、多くの常連さんを掴んでいました。ところが3年前、病魔に襲われ、厨房に立つことができなくなりました。胃ガンでした。

妻ゆみ子さんとの間には、4人の子どもがおり、末娘がまだ高校生だったこともあり、金銭的にもお店を閉めることはできませんでした。

そこで、妻のゆみ子さんが一年発起。夫とは、つばめグリルでの上司と部下。つまり、ゆみ子さんも料理人だったのです。結婚と子育てで20年以上のブランクがありましたが、やらない選択肢はありませんでした。

その手伝いを名乗り出たのが、末娘の来未(くるみ)さんです。将来はお店を継ぐと決意したのです。

高校卒業後は調理士学校に通いながら、お店を手伝い、師匠である母から厳しく指導されています。母と娘の二人三脚が始まったのです。