南海トラフ地震より確実な恐怖。日本政府の無策が進める“亡国の少子化”

少子高齢化の大波に飲まれ、抜け出すことができずにいる日本。このような惨状に至るまでに、何か打てる手はなかったのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、少子化対策に成功した欧米と我が国とでは何が異なっていたかを解説。さらに子育て世代にダメージのある政策ばかりを講じてきた日本政府を強く批判しています。

少子高齢化は50年前からわかっていた

ご存じのように現在日本は深刻な少子化問題を抱えています。出生率は先進国では最悪のレベルであり、世界最悪のスピードで高齢化社会を迎えつつあります。

この少子化については、「日本人のライフスタイルが変わったから」と考えている人も多いようです。確かに、ライフスタイルの変化によって晩婚化、非婚化が進んだという面もあります。しかし、晩婚化、非婚化というのは、女子教育の進んだ先進国ではどこにでも見られるものです。日本が先進国の中でもっとも少子化が進んでいる理由にはなりません。

実は日本が先進国の中で少子化が進んだのは、「政治の無策」という面も大きいのです。というより、少子高齢化は人災だとさえいえるのです。今回から数回に分けて、いかにして日本の政治が少子高齢化を招き寄せたのか追究したいと思います。

実は日本では半世紀近く前から、「このままでは少子高齢化になる」ということがわかっていました。わかっていながら、有効な対策を講じてこなかったのです。

今の日本はこのまま少子高齢化が進めば、どれほど日本の企業が頑張ったところで、日本の衰退は免れません。その事実は、どんな楽観論者も否定できないはずです。そして、少子高齢化というのは、今、何も手を打たなければ、必ず進んでいきます。つまり、今、何も手を打たなければ、日本は必ず衰退するのです。

南海トラフ地震の場合は、もしかしたら、この数十年のうちには起きないかもしれませんし、もしかしたら100年くらい起きないかもしれません。しかし、少子高齢化は、南海トラフ地震のような不確定な要素はまったくありません。このままいけば、必ず避けられないものなのです。厚生労働省の発表では、2022年の出生数は80万人を割りこみ79万9,728人でした。出生数が80万人を下回るのは1899年の統計開始以来、初めてのことです。1970年代には200万人を超えていたこともあったので、この落ち込み方は凄まじいものがあります。

この記事の著者・大村大次郎さんのメルマガ

「大谷翔平、出ないじゃん」プロ野球オールスターゲーム、佐々木朗希が先発もファンは“白け気味”のナゼ

日本中が大盛り上がりだったWBCは、日本代表が3大会ぶり3度目の世界一で幕を閉じた。しかし、以前から囁かれていた「野球離れ」が食い止められたかというと話は別である。各家庭で当たり前のように野球中継を見ていた時代に、誰もが楽しみにしていた「プロ野球オールスターゲーム」も例外ではない。昔では考えられないような「意見」を口にする野球ファンもいるようだ。

現地で「フレッシュオールスターゲーム」を観る“ガチファン”の意見

まずは、昨日行われた『フレッシュオールスターゲーム2023』を現地・富山で観戦したというガチのプロ野球ファン(50代・男性)に話を聞いた。

「フレッシュは去年のゲームも、その前の坊ちゃんスタジアムでの試合も当然現地観戦です。球界のこれからを担う選手の活躍を観るのが楽しいんです。オールスターに関してはテレビ観戦が主だけど、年に一度のこの日を待ちわびてたからすごく嬉しいね」

今日から始まるオールスターゲーム。初戦の先発は、パ・リーグが佐々木朗希投手(ロッテ)、セ・リーグが村上頌樹投手(阪神)。令和の怪物と今季ブレイクを果たした右腕の投げ合いは見ものである。

「長い回はもちろん投げないけど、佐々木と村上というなかなかお目にかかれない投げ合いを観れるのがオールスターの醍醐味。野球ファンで、オールスターは楽しみじゃない、なんて意見はないんじゃないかな?」

「ちっとも祭典じゃない」by ヤクルトファン

しかし、ホームゲーム時にはほぼ必ず神宮球場に行くというヤクルトスワローズファンの男性(40代)は、前出の男性と温度差が異なる。

「まあ、ウチは村上が出ないし選手少なすぎるだろというのもあるけど……。なんか、オールスターって昔と比べて特別感がなくなったと思うんです。昔よりも野球/選手のレベルが格段に上がってて、巨人が強くて阪神が弱いみたいなこともないじゃないですか。つまり、ぼくらファンからしたらレギュラーシーズンで楽しめちゃうんですよね。オールスターはお祭りだけど、選手の真剣度も低くなりますから、近年はあんまり楽しめていないのが正直なところですね」

別のヤクルトファンの男性(30代)もこう話す。

「今年はないっすね。いくら調子が悪いとはいえ、去年三冠王の村神様が出ない時点でちっとも祭典じゃないし、ただ単にセ・リーグとパ・リーグのレギュラークラスが試合する、というだけ」

ryuchellさんが浴びせられた「罵詈雑言」の卑劣。“自分らしく”も許されないのか?

日本中を衝撃とともに駆け巡った、ryuchellさんの訃報。多様性について積極的に発言していたryuchellさんの自殺報道は、さまざまな方面に大きな波紋を広げています。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、訃報を巡るツイッターの荒れようを批判。さらに自身の経験や当事者の声を交えつつ、性的マイノリティの生きづらさについて考察しています。

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

言えない、知られたくない、自分らしく生きたい。ryuchellさんの訃報と「根っこは同じ」こと

先週立て続けにSNSにあふれる「言葉」の数々に、ほとほと嫌になる出来事が起こりました。

1つ目は経産省に勤めるトランスジェンダーの職員への「女性用トイレの使用制限」の違法判決について、2つ目はタレントでモデルのryuchellさんの訃報についてのツイッターの荒れようです。

トランスジェンダー職員のトレイ問題と、ryuchellさんの訃報は全く別の問題ではありますが、私には「根っこは同じ」ように思えます。

2人ともこれまで「そこにあるのにない」ように扱われた問題に声を上げ、「これまでの当たり前が当たり前じゃない」と一歩踏み出した人。どちらも「私」たちの社会の問題でもあるのに、「自分が見ている世界」が全てとばかりに、憶測に基づく罵詈雑言が綴られていて呆れました。

トランスジェンダー職員のトレイ問題については、本日公開の日経ビジネスのコラムに書いたので、メルマガでは性的マイノリティの生きづらさについて取り上げます。

以前、お伝えしたかもしれませんが、私は数年前にHIV陽性者のための大規模な調査研究に、研究者のひとりとして参加しました。調査項目は、HIV検査、陽性告知、医療環境、暮らし、仕事、セクシャルヘルス、アディクション、人間関係、心の健康などで、私は「心の健康」の担当です。

その中に「自殺念慮」を問う項目を設けたところ、対象者1,100名のうち7割以上が「これまでに自殺を考えたことがある」と回答。そのうち「過去一年間に本気で自殺を考えたことがある」という人が約3割もいました。

自殺念慮とは、特別な理由なくまたは周囲の人には理解できないようなきっかけで「自殺したい」という思いにとらわれてしまう心理状態です。ストレスの原因から逃避するために自殺を手段に選ぶ「自殺願望」とは違い、能動的かつ具体的に自殺を計画しようとする傾向があることがわかっています。つまり、全体の3割、3人に1人が自殺念慮を抱いていたのです。

調査ではストレス対処力であるSOCも測定したのですが、一般の成人を対象とした調査に比べ、著しく低いことがわかりました。SOCは育った環境で育まれる力です。特に「信頼できる人がいるという確信」は、SOC形成に大きな影響を与えます。

これまで世界中のSOC研究者たちが調査した結果でも、SOCの高い人たちは一様に「私には信頼できる人がいる」とし、「自分の生活世界は信頼できるものだ」と考えていました。

なぜ、性的マイノリティが大半を占めるHIV陽性者に、SOCが低い傾向が認められたか?この点については先の調査結果だけでは特定することはできません。

しかしながら、自殺念慮の高さから推測すると、彼ら彼女らには心を許せる友人がいなかったのではないでしょうか。言いたくても言えない、知られたくない、でも、自分らしく生きたい…。そんな生きづらさを抱えて生きている。生きる力がいつ萎えるかもわからない、ギリギリの状態にある。なのに「場外から石を投げる人」があとを断ちません。

この記事の著者・河合薫さんのメルマガ

偉業を成し遂げた明治大学サッカー部。元会社員監督の「勝者のメンタリティー」

日本代表長友佑都選手を初め、多くのプロを輩出する明治大学サッカー部は、2019年に全5冠制覇の偉業を成し遂げたことでも知られる名門チームです。そんなチームを率いる監督が、元会社員という異色の経歴を持っていることを知っていましたか?今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、明治大学サッカー部監督・栗田大輔氏が語る「勝者のメンタリティー」について紹介しています。

勝者のメンタリティー 栗田大輔(明治大学サッカー部監督)

大学サッカー界において、2019年に史上初となる全5冠制覇の偉業を成し遂げた明治大学サッカー部。

2015年に監督に就任した栗田大輔氏は、長年会社員として働く傍ら小中学生向けのクラブチームを設立・運営するなど、異色の経歴の持ち主です。

そんな栗田氏が以前のインタビューで語られた「勝者のメンタリティー」というお話をご紹介いたします。

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いくら人間性を磨いたところで、実力が伴わなければ元も子もありません。

長年指導していると、こういう時に勝ち、こういう時には負けるという法則が肌感覚で分かるようになってきました。

それを私は勝者のメンタリティーと表現しています。

1.チームに迷いがないこと

全員の矢印が同じ目標に向かい、オン・ザ・ピッチ(コート上)だけでなく、オフ・ザ・ピッチでも日本一を追求し、どのチームよりも厳しく皆が集中力を高めているチームは絶対に負けません。

2.よい準備ができていること。

目標から逆算して今週やるべきことが明確になっているか、試合を想定して練習できているか。

意識のレベルとスキルが揃った時は、試合前から勝利の確信を得ることがあり、ロスタイムでの逆転や交代選手の大活躍など、奇跡のようなことが連発するから不思議なものです。

選手にはよく「才能×努力×考え方」と伝えます。

どんなに才能があってもその人が天狗になって自分の実力を過信したり、妬みや僻み、愚痴をこぼしていれば実力は絶対に伸びません。

これは多くの先人が証明しているところです。

努力は目には見えませんし、努力自体は「足し算」で、日々積み重ねるしかありません。

それでもある時急に成長し、気づきを得て道が開けるのは、それまでの努力が才能や考え方と掛け合わさり、相乗効果が生まれるからです。

『致知』2021年11月号より

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配偶者の浮気相手を確実にこらしめる「内容証明」の送り方

芸能人の不倫問題が世間を騒がせるようになって久しい現代ですが、当然、我々一般人の中でも、こうした男女トラブルは多くあります。仮に、自分が配偶者から裏切りを受けてしまったら?メルマガ『探偵の視点』の著者で現役探偵の後藤啓佑さんが、上手な内容証明の送り方を伝授します。

浮気相手方への対処

浮気調査を行うと、妻でも夫でも、当然浮気の「相手方」が現れます。配偶者との今後を考えるのと同時に、この「相手方」への対処をどうするか考える必要が出てくるのです。

考えられるのは、弁護士の方にお願いして、相手に内容証明を送り付けること。そしてその反応次第で裁判をするのかどうかを判断します。多くは、ここで和解します。これがオーソドックスです。

しかし、このパターンの場合、多くは

・相手も弁護士を入れてくる

もしくは

・無視される

という対応を取られることが多いです。もちろん、たまにすんなりと内容証明に記載してある条件及び慰謝料額300万円(例)を支払う人はいますが、感覚的には多くありません。

では何故、相手も弁護士を入れてきたり、無視されたりする確率が高いのでしょうか?

それは、「考える時間があるから」です。

内容証明が届いたときはかなりびっくりします。しかし、1日2日経つと、ネットで調べたり、知人に聞いたりと対処法を考えるようになります。

そうなってしまうと、内容証明を受け取った相手方の思考は

「やばい、どうしよう」

から

「どうすれば自分が損しないか」

に変わっていきます。素直に従うのは馬鹿らしいという考えになり、弁護士を立てたり無視したりするようになるわけです。

なので、内容証明に過度な期待は禁物です。

上記のことを避けるには、相手方についてよく調べておくことが重要です。相手の性格や資産状況などを把握していれば、内容証明の文章に、相手が従いやすくなるワードを盛り込むことができます。

あとは、送る場所。自宅なのか?勤務先なのか?実家なのか?

これも相手の状況をよく見て、あえて「逃げ道」を残しておくことが重要です。

家族にバレたくない!と思うタイプの相手であれば、初めから自宅に送るのはナンセンス。家族には知られないように配慮して、勤務先に送りましたよ。無視したり○○という対応が無いのであれば、届いていないと見なして次は自宅に送ります。というようにすれば、従いやすくなるでしょう。

もちろん、ここも文言をしっかり考えないと脅迫になってしまうので注意!

このように相手を知ることで、内容証明のパワーはグッとアップします。これが、内容証明のコツですね!

この記事の著者・後藤啓佑さんのメルマガ

 

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夏休みの宿題にChatGPTを使うのは本当に「ずるい」ことなのか?

夏休みの宿題のなかでも子どもたちを悩ませることの多い読書感想文。文科省からChatGPTの使用禁止が名言されましたが、果たしてそれは本当に「ずるい」ことなのでしょうか。無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』の著者で現役小学校教諭の松尾英明さんは、 読書感想文だけでなく、自由研究にも利用できるとして実際にChatGPTに相談した結果と、禁止ルールのほうに問題があるのでは、と疑問を投げかけています。

夏休みの宿題にChatGPTの活用は悪なのか

夏休みの読書感想文について、文科省よりChatGPT使用禁止が明言された。それ以前に、ChatGPTは13歳以下だとそもそも使用できず、18歳未満には保護者の許可が必要というルールがある。

以前メルマガにも書いた通りで、思い切り予想通りだが、人間は「ダメ」と言ったら止めるものでもないというのが現実である。

メルカリ等に夏休みの宿題代行業者が氾濫して大儲けした現状を見れば明らかである。

さて、これは読書感想文コンクールに限らない。

例えば、夏休みの自由研究にも利用できる。

大人の権限でちょっとChatGPTさんに相談して、ものの数分でアウトラインを出してもらった。

以下、ChatGPTさんの出してくれたアイデアである。

タイトル:浮力の不思議

■はじめに

浮力の不思議についてみんなに紹介します。みんなが水に入ると浮くこと、それは浮力という不思議な力が働いているんだよ!この研究では、浮力の仕組みを楽しく学んでみよう!

■浮力とは

浮力って何だろう?実験を通じて浮力の不思議な力を見つけ出そう!水に入る物体がどうして浮くのか、どうして沈むのかを調べてみよう。アーキメデスの原理という言葉も覚えようね。

■実験1:異なる物体の浮力を比較

いろんな物体を水に浮かべてみよう!例えば、おもちゃや果物、コインなど。それぞれの物体が水に浮く理由を考えながら、不思議な現象を観察しよう。もしかしたら、大きさや形が浮力に影響を与えるかもしれないね!

■実験2:浮力と重力のバランス

水に浮かべた物体には浮力が働いているけれど、重力という力もあるんだ。水に浮かべた物体の重さを計って、浮力と重力のバランスを確かめてみよう。ちょっと難しそうだけど、一緒に考えよう!

■実験3:船の浮力の原理

船は大きな物体だけれど、なぜ浮くのかな?紙船やアルミホイル船を作って、水に浮かべてみよう。どんな形の船が一番浮きやすいかな?不思議な船の浮力の原理を見つけよう!

■実験4:浮力を利用した物体の設計

浮力って素晴らしい力だね!実験を通じて浮力を利用した物体や構造物の設計を考えてみよう。例えば、浮き輪や船、水中のおもちゃなどを自分で考えて作ってみよう!どんな物体が浮力を最大限に使えるかな?

■結果と考察

実験の結果をまとめよう!浮力の不思議な力を見つけたり、物体の形や大きさが浮力に与える影響を考えたりしたね。浮力の大切さや日常生活での活用方法についても考えてみよう。

■まとめ

浮力の不思議を調べて、たくさん学びましたね!水に浮く現象や物体の設計など、楽しいことがたくさんありました。浮力の力って、みんなの生活にも意外と関係しているんだよ!これからも科学の不思議を追求していこうね!

■参考文献

浮力に関する本やウェブサイトのリストを紹介します。これらの情報源からもっと面白いことを学びましょう!

■付録

実験の写真や図、興味深い発見のメモなどをまとめた付録を用意しました。楽しい研究の記録を残しましょう!

何をしたらいいかわからない子どもにとって、これはかなり助けになる(そもそもインターネットサイトの存在自体が、相当な手助けになる)。

このアウトラインに従って実際に実験してみれば、それはそれで面白そうでもある。

またそれぞれの項目について「書いて」と言えばここも書いてくれる。

子どもが使用禁止だとしても、夏休みの自由研究は実質親の宿題という面もある。

どうしていいかわからない親が手助けのために使うことは十分に有り得る。

中国外交と日本外交を比べると見えてくる我が国の“ノービジョン”

中国の傍若無人な行動は日本人から見ると嫌われる原因にもなりえますが、そんな中国が平和の使者となった例があります。メルマガ『j-fashion journal』の著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんは、中国を理解するために感情ではなく損得であえて考えた結果を語っています。

「中国の外交」と「日本の外交」を比較する

こんにちは。

中国が平和の使者となり、ロシア・ウクライナ戦争を仲介する、という構想は潰えたようですが、サウジとイランの平和の使者の役割は果たしたようです。米国離れの中東諸国にとって、今や、中国の評価は鰻登りです。

一帯一路では、散々悪い噂ばかりを聞いていましたが、やることはやっていたんですね。

西側のメディア情報ばかり見ていると、こちらの意識も自然とバイヤスが掛かってしまいます。

一帯一路をあくどい企みと見るのではなく、素直に評価することも大切だと思います。

そうなってくると、日本の外交はどうなんだ、という話になりますね。

日中の外交について考えてみたいと思います。

1.暴れん坊と平和の使者

中国は、近隣国に圧力をかけ、隙があれば、自国の領土を拡大しようとします。自分の都合だけを優先して、他国との約束を守りません。

多分、中国は日本が嫌いというわけではありません。嫌いだから攻めているのではなく、領土を拡大したいから侵犯しているだけです。

日本が好きとか嫌いとかではなく、自国の利益になるなら、日本と付き合う。自国の利益になるなら、日本を恫喝するのです。

現在、中国政府は日本企業の投資を歓迎しています。中国経済の活性化のために日本の力を活用したいのです。

日本人は、まず相手の気持ちを考えるので、相手が嫌がることをしません。特に、頼みごとをする場合、嫌がらせはしないでしょう。それが日本人の常識です。

しかし、中国人の常識ではありません。彼らの常識は、人間も国家も、自分の利益のために行動するということです。文句があるなら、相手に言えばいい。文句を言わないということは、文句がないということです。

サウジアラビアとイランは、中国の仲介により、外交関係が正常化しました。なぜ、中国は仲介したのでしょうか。

米国は、イランに対して、厳しい経済制裁を課しています。しかし、中国はイランと友好関係を深めています。

中国は、サウジともビジネスがしたいと考えていました。しかし、サウジは米国と同盟関係でした。米国とイラン、サウジとイランは対立していました。

ところが、最近になって、サウジと米国の関係が冷え込んできました。

その機を逃さず、中国はサウジに対して、イランに投資しないかと持ちかけました。政治や宗教問題は棚上げにして、経済を切り口に関係修復をしよう、という提案です。もちろん、中国は事前にイランの意志も確認していました。

日本人にとっては、暴れん坊の中国が、中東に平和をもたらしたことは驚きでした。しかし、考えてみれば、不思議なことではありません。自国にとっても、相手国にとっても利益があるなら、それを進めるだけです。また、国際的に大国の存在感を示すこともできます。

好き嫌いの感情ではなく、損得の勘定で考えれば、中国を理解することができます。

この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ

精神科医が思わず苦言。誹謗中傷を禁止する前に日本がすべきこと

テレビで連日報道される有名人の自殺ニュース。実はこういった報道は海外ではやってはいけないことになっていると語るのは精神科医の和田秀樹さん。今回のメルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』では、 誹謗中傷を禁止する前に日本がやるべきことについて語っています。

自殺を誘発するマスメディア

またまた、テレビがものすごい勢いで自殺報道をしている。

有名人の死を大々的に取り上げるのも、亡くなった方を美化するのも、WHOや国連の自殺報道のガイドラインではやってはいけないことになっている。何かにつけて国際標準とかいう割には、こういうことだけは外国を見習わないのが日本のテレビマスコミだ。

言い訳がましく、命の電話の番号などを伝えてお茶をにごしているが、基本的にはこういう報道が明らかに自殺を増やすのに、それをやめようとしない。

人がその後何人死んでも視聴率が稼げればいいのだろうが、その癖して、正義の味方面をして、誹謗中傷メールをやり玉に挙げる。

もちろん誹謗中傷メールは本来は許されないことだが、以前のメルマガにも書いたが、m3などという医者向けのサイトでは、誹謗中傷が野放し状態だ。

もちろん、私もその被害者なのだが、日本の医者の思考回路もよくわかるし、私の医療に関する考え方に賛成の人が3%くらいしかいないことも勉強になった。

残念ながら、ネット社会なのだから、誹謗中傷はなくすことは難しいだろう。

だからこそ、メンタルヘルスを充実させるべきなのだが、厚生労働省は全国82の大学医学部で、精神科の主任教授にカウンセリングが専門の医者が一人もいない状態を放置している。

誹謗中傷で悩む患者さんが、カウンセリング(認知行動療法ももちろん含む)もしないで薬で治るとでも思っているのだろうか?

いじめにせよ、ハラスメントにせよ、もちろんなくなるに越したことはないのだが、残念ながらゼロには絶対にできないし、どんなに減らしても今の1割がいいところだろう。

ならば、そういうものを受けた人がメンタルケアを受けることが大切なのに、それができる人を増やすことにまったく日本の政府も役所も熱心でない。もちろん、医学部教授の間でもカウンセリングのできる人間を精神科の教授にしようという機運はまったくあがらない。

この記事の著者・和田秀樹さんのメルマガ

海外パビリオン申請ゼロ「大阪万博」に開催危機。会場建設工事を妨げている2つの要因

開催まで2年を切った大阪万博。しかしその目玉である海外パビリオンの建設申請が未だゼロという異常事態に見舞われています。何がこのような状況を招いてしまったのでしょうか。今回、政治学者で立命館大学政策科学部教授の上久保誠人さんは、その原因として「アベノミクスの失敗」を指摘。さらに大阪万博を巡る問題が浮き彫りにした「日本の現実」を記すとともに、この国が今後地道に取り組むべき課題を提示しています。

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)
立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

なぜ大阪万博2025の会場建設は遅々として進まないのか? 問われる大阪維新の資質

2025年大阪・関西万国博覧会(以下、大阪万博)に参加する国や地域が独自に建てるパビリオン建設で問題が生じている。万博の中心となるのは、中国、ドイツ、オランダなど約50の国・地域が、自ら費用を負担して建設する施設だ。しかし、その建設に必要な申請が大阪市に1件も提出されていないことが判明したのだ。

以前から、万博の会場整備に関する建築工事の入札で、不落・不調が続いていることが懸念されていた。例えば、政府が出展する「日本館」の建設工事の入札が不成立となって、随意契約に切り替わった。また、日本国際博覧会協会(万博協会)が担う八つのテーマ館の一部で建設業者が未定のままである。

2025年4月の万博の開幕まで2年を切っている。複雑な構造の施設も多く、開幕までに工事が完了しないのではないかと、懸念が広がっている。

この問題の背景には、物価高による資材価格の高騰、少子高齢化による深刻な人手不足がある。例えば、会場建設費が、当初想定の1.5倍の1,850億円に膨らんでいる。複雑な構造のパビリオンでは、費用が想定を超えてしまったケースも出ている。予定価格引き上げや簡素なデザインへの変更で入札のやり直しが続出している。そのため、建設会社から、万博の建設工事が敬遠されている可能性もあるという。

物価高の背景には、ウクライナ戦争に端を発した石油・ガスなど資源や穀物の供給不足による世界的なインフレがある。だが、より本質的には歴代政権の「無策」が問題だ。

「無策」の典型は「アベノミクス」である。中途半端に斜陽産業を延命させる異次元のバラマキを行う一方で、新しい産業を育てる成長戦略が欠けていた。その結果、現在、世界各国の中央銀行がインフレ対策として、次々と利上げに踏み切る中、日本銀行は金融緩和を継続して景気を下支えし続けるしかなかった。アベノミクスの延命策が、産業から利上げに耐えられる体力を失ってしまったからだ。

要するに、政府の長年の政策の失敗で、日本の産業は脆弱化してしまったため、円安、物価高の進行に有効な策を打てないでいる。それが、資材の高騰により建設会社が工事を請けることができず、万博の建設工事が進まないことの、本質的な理由なのである。

【関連】名前も悪い「アベノミクス」最大の問題は、“批判を許さぬ空気”の醸成だ

イージス・アショアの二の舞いか。敵基地攻撃ミサイル論の無理筋

2024年度からの開始が困難となった防衛増税。岸田政権は23年度から5年間の防衛費総額を43.5兆円にするとしていますが、極めて厳しい状況になりつつあります。この事態を受け「岸田大軍拡の見直し」を提言するのは、ジャーナリストの高野孟さん。高野さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で今回、見直すべき理由として軍拡路線の目玉である「スタンドオフ・ミサイル」論のあまりのいい加減さを上げるとともに、そこに透けて見える隠された狙いを白日の下に晒しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年7月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

河野太郎氏を再び防衛大臣に。「スタンドオフ・ミサイル」不要論

自民党の税制調査会が7月13日の幹部会合で、岸田政権が取り組む大軍拡のための増税を24年度から始めることは「もはや無理だということを確認した」。同会の宮沢洋一会長がそのように明言した。ということは、23年度から5年間の防衛費総額を43.5兆円、それ以前の5年間に比べ1.6倍にまで増やすという“意欲的”な閣議決定は、事実上、25年度からの3年間で無理やり達成するか、期間を繰り延べるかしなければならなくなることがほぼ確定した。そもそも財源について何の当てもないままこんな無謀な計画に踏み出してしまったことの矛盾が、早くも露呈した訳である。

23年度の防衛予算は6兆6,000億円(米軍再編関係費などを除く当初予算)で、これを27年度までの5年間合計43.5兆円にするには、24年度から毎年1兆円ずつ上乗せして27年度には11兆円超にまで持っていくスピードを確保しなければならない。それすら無茶な話であるというのに、1年遅らせて、24年度は23年度と同程度、25年度に1兆円上乗せだったと仮定すると、26年度に2兆円、27年度に4兆円をそれぞれ上乗せするという急カーブを描かないと到底間に合わないので、これはもう無理というものだろう。

無理なら期間を繰り延べればいいのだが、この1年間の遅れの政治的な意味合いは微妙で、仮に23年秋以降の解散・総選挙で自民党が敗北して岸田文雄首相が辞任するか、そうでないとしても24年秋の自民党総裁選で岸田が再選されなかった場合、25年度予算を編成するのは誰か別の人で、その人は岸田大軍拡を踏襲せず大幅に見直すか撤回するかもしれない。防衛費増が1年遅れて、発注も開発も量産・配備もまだ本格的に軌道に乗っていない状態なら、余計に見直し易いことになる。

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