バカ殿様だけではなかった。デキすぎて「主君押込」にあった殿様がいた

戦国時代には当たり前だった「下剋上」。実は、天下泰平の江戸時代にも、まれに起きることがあったそうです。今回のメルマガ『歴史時代作家 早見俊の無料メルマガ』では、時代小説の名手として知られる作家の早見さんが、その「一種の下剋上」ともいわれる「主君押込」について詳しく解説しています。

江戸時代の下剋上

戦国時代は下剋上、つまり、家臣が主人を倒し、領国を奪い取るのは珍しくありませんでした。力こそが正義であった乱世であればこその行為です。

対して、天下泰平の江戸時代は身分秩序が固まり、武士は主君や御家への忠義に生きていました。家臣が主君に意見をするのはともかく、主君を排斥するなどは絶対に許されませんでした。合戦によって自国が脅かされる心配はありませんでしたから、凡庸な殿さまでもよかったという背景もあります。

ところが、稀にではありますが江戸時代にも一種の下剋上が起きました。

主君押込(しゅくんおしこめ)です。

主君押込とは読んで字の如く家臣が主君、つまり殿さまを座敷牢に閉じ込める行為です。殿さまが余りにも不行状を重ねると幕府から目をつけられ、場合によっては減封やお取り潰しになってしまいますので御家存続の為に取られた措置でした。

家老や重臣たちは結託をして殿さまを座敷牢に押込、無理やり隠居させ、世継ぎの男子がいれば家督を相続させ、いなければ他家から養子を迎え御家の存続を図りました。

幕府も主君押込には目を瞑っていました。

江戸時代の武士は主君への忠義を求められましたが、家臣は主君よりも御家に忠義を尽くしました。御家存続が何よりも大事、その為の主君への忠義だったのです。

極論すれば、殿さまは神輿でした。

神輿は担ぎやすい方がいいものです。ですから、悪政、不行状、愚昧な殿さまは家臣にとっては担ぎにくく、御家を危うくする存在でした。

露呈した“日本の暗部”。ジャニーズ問題もビッグモーター事件も「同じ構図」という闇

創業者ジャニー喜多川氏の性加害問題を受け、9月7日の記者会見で藤島ジュリー景子氏の引責辞任と東山紀之氏の新社長就任を発表したジャニーズ事務所。しかしながら、「ジャニーズ」の名称を継続して掲げる姿勢等には大きな批判も集まっています。今回この問題を論じているのは、米国在住作家の冷泉彰彦さん。冷泉さんはメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で、「ジャニーズ事件」には大きな2つの問題が横たわっているとしてその各々について解説するとともに、同事件とビッグモーター問題や給食停止問題との共通点を考察しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年9月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

日本社会特有の問題をどう罰し防止するか。ジャニーズ、ビッグモーター、給食問題の本質

ジャニーズ事務所の問題が議論になっています。性犯罪者の名前を冠した事務所が存続して良いのか?性犯罪を許容する体質の事務所との取引継続は許されるのか?などというのは、確かに大きな問題だと思います。

ただ、そのような当面のビジネス取引をどうするかという問題の前に、大きく2つの問題が横たわっているのを感じます。

1点目は、性暴力の被害者に関する救済という問題です。救済というのには2つあって、名誉の問題と、もっと具体的なメンタルヘルスの問題です。まず、メンタルヘルスに関しては、様々な心的外傷の中でも、この種の被害というのは非常に大きなものであることが推察できます。

あまり大々的に報じる必要はないのですが、今回の事件は史上空前の規模の性暴力犯罪であり、被害者も膨大な数になると思われます。彼らに対して、どのような治療、救済をするのか、これは緊急の問題であると思います。コスト的にも大きな責任であり、民事、刑事の双方から事務所の法人として責任を引き出して、負担させるスキームを進めなくてはなりません。

一方の被害者の名誉の問題は、この治療や救済においてプライバシーを守り切ることもそうですが、とにかく、男性だろうが女性だろうが、異性間であろうが、同性間であろうが、また自分の性的指向と一致する組み合わせだろうがなかろうが、とにかく意に反した性的な行為の強制の被害者というのは、その名誉を徹底して守るということです。

被害の事実を本人以外が明かすことは厳禁とするだけでなく、被害経験を知られた場合も、それによって社会的に不利になることは絶対にしないと同時に、偏見や差別など心的な攻撃も絶対に許さないということです。これも性別問わずに全く同じ基準で社会規範とすべきです。

ここまでは、とにかく原則を立てて徹底するしかありません。

全員が「空気を読み」「忖度して」犯罪の継続に加担

その一方で2番目の問題は重たい課題です。それは、「漠然とした空気による権力行使」という日本社会特有の問題を、どう罰し、どう防止するかという問題です。

ジャニジムの問題では、ジャニー喜多川以外の家族(イコール経営陣)にしても、ベテランのタレントにしても、本人の性癖というのは知っていたわけです。そして、取引先の企業も全く知らなかったわけではないと思います。その上で、全員が「空気を読み」「忖度して」犯罪の継続に加担してきたわけです。

この構造は「ビッグモーター」に似ています。オーナー側は全く不可能な利益目標を押し付けて、パワハラそのものの圧力をかけていたわけです。ですが、顧客の自動車を一旦破壊しろとか、街路樹を切れとか、具体的な指示はしていないことになっています。仮にそうだとして、各店舗の現場では、そこまで猛烈な利益確保を実現するには、犯罪に手を染めるしかなかったし、その手口を「横のヒソヒソ話」で拡散していたのでしょう。

ここでも「空気を読み」「忖度する」という行動があります。こうした言語化されない、あるいは文書などの証拠が残らない形での、「権力が後押しする」犯罪行為の強制、あるいは犯罪行為の幇助や隠蔽というもの、これに対して日本の法体系は弱いということです。

この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ

習近平に命をかける兵士は一人もいない。中国が戦争など出来っこない決定的な理由

今年7月6日、台湾への睨みをきかす東部戦区の将兵たちに対し、戦争への備えを指示したとされる習近平国家主席。巷間囁かれているような台湾への武力侵攻は果たして起こり得るのでしょうか。今回のメルマガ『j-fashion journal』では、ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが数々の情報を総合した上で、現在の中国には軍事侵攻を行なう力はないと判断。彼らに今できるのは挑発や弱い者いじめ程度としています。

中国軍を完全掌握できず。習近平に戦争なんて本当にできるのか?

こんにちは。

習近平主席は、就任後一貫して江沢民派の人民解放軍幹部を攻撃しています。それでも、習近平主席は、軍を完全に掌握できていません。

私には、台湾との戦争の前に、人民解放軍は習近平主席に滅ぼされるのではないかと見えるほどです。

そもそも一部の共産党幹部が富を独占しているような国で、庶民出身の兵士が真剣に命をかけて戦えるのでしょうか。

最近では、地方政府の公務員、学校の教職員までもが、給料が遅配しているとか。

人民の不満は蓄積され、習近平への批判は高まるばかりです。

これで本当に戦争ができるのでしょうか。こんな心配を裏付ける事件が多数発生しています。今日はそんなお話をしたいと思います。

1.最も米軍との戦争を嫌っていたロケット軍幹部

台湾有事はどのように始まるのでしょう。

ロシアのウクライナ侵攻では、最初にミサイル攻撃を行いました。遠距離からのミサイル攻撃で、敵国の反撃能力を奪う、あるいは、防空システムを破壊します。

多分、中国の台湾侵攻でも同様の作戦を考えていると思われます。その時、主役となるのは中国人民解放軍の陸上核弾道ミサイルと通常弾道ミサイルを担当するロケット軍です。

しかし、現在のロケット軍は非常に不安定な状況にあります。ロケット軍は特殊な技術が必要であり、他の人民解放軍とは孤立した存在でした。また、ミサイル技術については米国に留学して学んでいました。当然、米国からの協力もあったわけです。

ロケット軍幹部は、最も米軍との戦争を嫌っていました。彼らは米国の実力と自国の実力を熟知しています。戦争が始まれば、真っ先に標的になるのは、ロケット軍です。できれば、戦争をしたくないと思うのも当然でしょう。

実は、ロケット軍の詳細な情報が米国から公開されています。装備品だけでなく、それぞれの拠点の住所、組織、担当者個人の情報等が公開されたのです。中国政府は、ロケット軍幹部の中に米国スパイがいると考え、腐敗防止という名目でロケット軍指導部の大幅な入れ替えを行いました。

新しく昇進したロケット軍司令員・王厚斌氏は海軍出身で、新政治委員・徐西盛氏は空軍出身です。これは全く異例の措置で、専門家部隊のロケット軍に素人のトップが就任したということです。

指導部と現場の連携は見込めず、このままではロケット軍は機能しないでしょう。習近平が攻撃命令を出しても、ミサイルが発射されるか分かりません。ロケット軍にクーデターの意志があれば、ミサイルは北京に向かうかもしれません。ということで、ロケット軍は機能しないと思います。

この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ

リクルートの「スタサプ」に学ぶ、予測が通用しない市場でのマーケティング展開法

受験対策のみならず、今や老若男女のあらゆる学びのサポート役として知られるに至った、リクルートが運営する「スタディサプリ(スタサプ)」。同サービスはなぜ、ここまでの成功を収めることができたのでしょうか。その秘訣を探るのは、神戸大学大学院教授で日本マーケティング学会理事の栗木契さん。栗木さんは今回、イノベーションに挑む企業を待ち受ける「3つの不確実性」を、いかにしてスタサプが事業成長の機会に転換したかを詳細に解説しています。

【関連】全国の高校の4割にあたる2000校が利用。リクルートの「スタサプ」が起こした教育革命

プロフィール栗木契くりきけい
神戸大学大学院経営学研究科教授。1966年、米・フィラデルフィア生まれ。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(商学)。2012年より神戸大学大学院経営学研究科教授。専門はマーケティング戦略。著書に『明日は、ビジョンで拓かれる』『マーケティング・リフレーミング』(ともに共編著)、『マーケティング・コンセプトを問い直す』などがある。

リクルート「スタディサプリ」に学ぶマーケティングの不確実性への対処法

イノベーションに挑む企業が、市場で直面する不確実性

企業がイノベーションに挑もうとすれば、市場において不確実性に直面することが避けがたい。ここでいう不確実性とは、行動の主体が自らの行動の先に何が起こるかを、正確には予測できないという問題である。イノベーションを実現しようとするマーケティングは、ほぼ間違いなく不確実性に満ちた海へと漕ぎ出すような行動となる。

この市場における不確実性は3つの局面にわけてとらえることができる。一口に不確実性といってもその有り様はひとつではないのでる。

S.サラスバシーが定式化したエフェクチュエーションの問題空間(Sarasvathy (2008) 訳 pp. 84-94)にもとづけば、その第1は、企業が行動をはじめる前には、未来の市場の状態は完全には予測できてはいないという不確実性である。そして第2は、企業にとって、何が成功を生み出すための鍵要因かも事前にはわかっていないという不確実性であり、第3は、企業にとって、最終的には何が自らの行動の目的になるかも定かではないという不確実性である。

このように、市場と向き合う企業にとっての予測の困難さという問題の対象には、未来の市場の状態(状態の不確実性)、市場での自らの行動が生み出す効果(効果の不確実性)、そして、これらの状態や効果に反応しながら行動を進めていく目的(反応の不確実性)の3つがある。そして、この3つの局面のそれぞれにおいて、企業は自らの行動の先に何が起こるかを、正確には予測できないという問題に直面するのである。

不法移民に全米から上がる悲鳴。米国民主党を分裂させる国境危機

これまで人道的見地から、不法移民に対して寛容な姿勢を示してきたアメリカ民主党。そんな同党が今、不法移民問題で分裂の危機に見舞われているといいます。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、米有力紙が伝えた民主党の現状を伝える記事を紹介。さらに日本メディアに対しては、こうしたアメリカの政治意識の潮流をしっかり報じるべきとの注文をつけています。

【関連】溢れ返る不法移民たち。アメリカの大都市で進む深刻な「治安悪化」の原因は

不法移民への対応で分裂する米民主党を海外はどう報じているのか?

今週は不法移民への対応で米国の民主党が分裂し始めているという報道です。

共和党はまとまっています。トランプが起訴されたりしてマスコミの集中砲火を受けていますが、「国境の重要性」という大義を疑う共和党員はいないからです。

逆にバイデン大統領の民主党は分裂を始めています。

ニューヨーク・タイムズが2023年9月8日に長文で報道しているので要約してご紹介しましょう。

1年前、テキサス州のアボット知事は、不法移民や亡命希望者をニューヨーク、ワシントン、シカゴらに送り込み始めた。

 

その不法移民の波は聖域都市をますます緊張させ地域社会は疲弊している。

そして国境危機は、今や民主党を分裂させている。

 

ニューヨークのアダムス市長(民主党)は今週、「連邦政府の救済措置と国境での取り締まりがなければ、急増する移民がニューヨークを破壊する」と宣言した。

 

シカゴのジョンソン市長(民主党)は先月、ホワイトハウスに「はっきり言って、シカゴ市は支援と移民政策の変更なしには、新しい到着者を安全に迎え入れることはできません」と嘆願した。

 

また民主党議員であるマサチューセッツ州のヒーリー知事は、非常事態を宣言し、州兵を出動させ、ホワイトハウスに助けを求め始めた。

 

今、突然、一部の民主党議員の声が共和党議員のように聞こえるようになった。

かつては不法移民に寛容だった民主党議員が不本意ながら共和党に加わってバイデン大統領に砲火を浴びせている。

解説

米国北部に位置する民主党系の都市や州の首長が不法移民の流入に悲鳴をあげており、バイデン大統領に何とかしろと訴えている状況です。

「そんなに不法移民を保護したいのなら送り込んでやる。自分たちでこの問題を経験してみろ」と不法移民をバスや飛行機で送り込んだフロリダ州とテキサス州の知事の意図が当たった形です。

ところが、声を上げ始めた一部の民主党議員の中にもさらに意見の相違があります。

ある人は「国境管理をしっかりしろ」と言い、別の人は「不法移民に早く労働許可を与えろ」と言っているのです。

この2つの政策は全く違います。

国境管理をしっかりするという主張は、基本的に共和党(トランプ)と同じ政策です。

ところが、不法移民に早く労働許可を与えろという主張は、不法移民を保護する政策であり、さらに流入を加速する結果になります。

不法移民対策を主張し始めた民主党議員の中に全く方向性の違う人が混在しているのです。

なぜでしょうか?

この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ

1円端末と転売ヤー撲滅がゴールに。総務省「端末割引規制」の本末転倒

回線とセットでスマホを販売する時の割引の上限について見直しをしていた総務省は、4万円までは「上限2万円」、4~8万円は「上限50%」、8万円以上は「上限4万円」と、端末価格に応じて設定すると発表しました。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、この新規制について「本末転倒」とダメ出し。一般メディアが言うような「1円端末撲滅」などできないと語り、総務省が何もしない方が市場は健全になると訴えています。

総務省が割引上限を見直し。4~8万円端末は「上限50%」に──もはや何が目的なのか、本末転倒な政策に

総務省は9月8日、「競争ルールの検証に関する報告書2023(案)」において、パブリックコメントを受け、報告書の修正案を公表した。案では携帯電話端末の割引上限を「一律4万円」としていたが、これにNTTドコモやKDDIが異を唱えたことで「原則4万円」に改められた。ただ、4~8万円の端末は「割引前の50%」、4万円未満の端末は「2万円」に設定するという提言にまとまった。

この提言を受けて、一般メディアなどでは「1円端末を撲滅させる」的な見出しが躍っているが、結局、どんな割引施策に変更したところで「1円端末」が絶滅することはないだろう。

そもそも、総務省の端末割引規制は、目的を見失っており、なぜか最近は「1円端末や転売ヤーの撲滅」がゴールになっている。しかし、転売ヤーを生んだのは総務省の失策が原因であり、総務省が何もしないことが、市場の健全化、競争環境の整備につながるはずだ。もはや、総務省の規制は本末転倒となっている。

今回、原則4万円で、4万以下の端末は上限2万円、4~8万円は50%の割引上限となったが、このルールであれば、各キャリアは、従来通り「2万円程度」の端末ラインナップを強化する一方、4万円の割引がめいっぱい適用できる「8万円程度」の端末が増えるだけではないだろうか。

いまのラインナップを見ても、キャリアが扱うiPhoneSE(第3世代)の128GBモデルが8万円程度となっている。新しい提言を適用すれば、まずは4万円を引いて、購入補助プログラムを適用しつつ、残価も考慮したら、それこそ1円程度の負担で手に入れることも可能になるはずだ。店頭では「実質1円」をアピールするのだから、「1円端末の撲滅」にはなりっこない。

ただ、メーカーとしては、これまで7~8万円程度のラインナップを強化しようとしていたが、あまり上手くいかなかったこともあり、今回の提言で8万円を狙った商品企画が増えてくるかも知れない。キャリアや市場は2万円を求めるかも知れないが、やはり業界的には8万円程度のまともな端末が増えた方が健全だろう。

いずれにしても、総務省のよくわからないルールによって、キャリアやメーカー、販売代理店、さらにはユーザーが振り回されるのはもう勘弁だ。今回の改訂で、「転売ヤー」や「1円端末」が減らなかったら、2~3年後にまた新しいルールを作る気なのか。

もはや、市場に対して何のメリットも生んでいないばかりか、FCNTや京セラのようなメーカーを生み出すことにつながりかねないだけに、総務省には本当にいい加減、自分たちの過ちを認めて襟を正して欲しい。

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

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ホンマでっか池田教授が考察。「家畜化」で動物の形態や感性はどう変わる?

人懐こい性質の野生のキツネだけを選び交配を繰り返したら、性質が強調されただけでなく、毛色や尾、耳や骨などの形状まで似た特徴をもつように変化していったという実験結果があるようです。今回のメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』では、CX系「ホンマでっか!?TV」でもおなじみの池田教授が、なぜキツネの性質と形態が連動するように変化していったのかを考察。三毛猫の毛色を決定する遺伝子の作用、オオカミがイヌに進化していく過程や昆虫のマークオサムシに見られる不用説の発現などと比較しながら論じています。

動物は家畜化するとどうなるのか

今、『自己家畜化する日本人』(祥伝社)という本を出版準備中で、10月には発売する予定である。その中で、家畜化すると動物の形態や感性はどう変化するかを論じているが、本稿では本に書かなかったことも含めて議論したい。ソ連の遺伝学者ドミトリ・ベリャーエフは1959年から野生のキツネを家畜化する実験に取り組んで、主に人間に対する反応の違いに基づいて、キツネを選別していった。

人間をあまり怖がらない人懐こいキツネを選抜して人為的に交配を繰り返し、そうやって生まれたキツネの中から、さらに人懐こいキツネを選抜して交配実験を繰り返すと、キツネはどんどん攻撃性が低く人間に対して従順になっていった。不思議なのは、性質ばかりでなく外見も明らかに変化したことだ。50世代ほど選抜を繰り返した結果、被毛の色が白いまだら模様になった他、尾が巻き上がるようになり、耳は垂れ下がり、頭骨が小さく、顎や歯も小さくなっていた。

人為選択の基準になるのは、あくまで人に対して従順かどうかで、形態ではない。それにも関わらず、形態が変化するということは、形態と性質は連動しているということだ。ペットの毛の色は基本的には遺伝子によって決定される。よく分かっているのはネコの毛色だ。有名なのは三毛猫で、ネコの毛色を決める遺伝子は9種類あるのだが、オレンジ色を発現させる遺伝子はX染色体上にあり、対立遺伝子は黒色を発現させる。

哺乳類の性染色体はオスがXY、メスがXXで、メスの場合は細胞ごとに片一方のX染色体が不活性化されて発現しない。Xが2つとも活性化すると、おそらく、2つの染色体に乗っている遺伝子が作り出すたんぱく質の量が過剰になりすぎて、不都合を起こすのだろう。すなわちメスの1つの細胞では父親由来のX染色体か、母親由来のX染色体かの、どちらか一方しか活性化されない。どちらが活性化されるかはランダムに決まる。

今、メスのXXのうち、1本にはオレンジ色の遺伝子が乗っており、もう一本には黒色の遺伝子が乗っているとして、皮膚の表面でこの2つの遺伝子がランダムに発現すると、例えば常染色体に白色の遺伝子が乗っている場合は、白、黒、オレンジの三毛になる。

オスはXYなので、X染色体にオレンジの遺伝子が乗っていると、白とオレンジ、黒色の遺伝子が乗っていると、白と黒の猫になり、三毛猫にはならない。三毛猫になる場合は性染色体がXXY(Yがあるのでオスになる)の場合だけだ。この場合もXは片方しか活性化しないので、上述した理由により、三毛猫になるのだ。遺伝学的によく分かっている三毛猫の発現パターンについて説明したが、ネコの毛色と性格はそれほど密接な相関はなさそうで、ネコを性格に基づいて人為選択しても、それに呼応して毛色が変化することはないと思う。

この記事の著者・池田清彦さんのメルマガ

「教員という職業が不人気になったから教員不足」という大嘘。現役小学校教師が“実態”を解説

前回の記事で教員不足について触れたメルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』。著者で現役小学校教師の松尾英明さんは、本当に教員のなり手がいないのか?という疑問にメスを入れています。

本当に教員のなり手はいないのか?

教員不足問題について。

各地で学校教員の数が不足している。これは事実であり、間違いない。学校はここ最近、慢性的な人手不足である。

大量採用の世代が一気に退職していることが理由の一つ。これに伴い、管理職不足を起こしている自治体もある。管理職はほとんどが上の世代であり、未経験でいきなり入れるポジションではないので、これは当然である。

団塊世代の大量退職により、教諭も足りていない。次のデータを見て見る。

【R4学校教員統計】中間報告公表について(文科省H.P.)

小学校教員の平均年齢は平成の半ば過ぎから現在の42.1歳まで常に下がり続けている。しかしながら、この「平均年齢」前後の教員の絶対数は、全ての中で最も少ない。つまりは、数としてが多いのが20代と60代というように、大きく割れている状態である。統計学的に表すと「標準偏差が大きい」という、平均値から大きく分散した状態である。平均値があまり当てにならない状態ともいえる。特に規模の大きな学校については、20代の若手が構成の中心である。ここは団塊の世代が定年により大量退職されるので、大量採用したいという単純な話である。

さらに諸々の理由により、教員定数を今まで以上に多く確保する必要が出ている。だから、採用数の方が多くなり続け、倍率は下がっているという構造である。

テレアポは一字一句このまま話せ。敏腕コンサルが教える「アポが取れやすい電話の会話」

多くの営業コンサルがやっている「答えを教えずに考えさせる」という手法。しかし、答えがわからない人に答えを教えることができないというコンサルが多いようです。メルマガ『売れる営業マンの常識は売れない営業マンの非常識!』。著者で営業実務コンサルタントの島田安浩さんは、そういったコンサルが嫌いだとバッサリ。実例をはっきりと出して、今回は「テレアポ」の超実践的トーク術を紹介しています。

テレアポはこのトークをそのまま使えば良いですよ!

逆算で考えるようにしましょう。【営業=教育】なので、最終的に、お客様に「教えに来てくれるんだなぁ~」と、思って貰えれば良いわけです。

簡単でしょう?

かと言って、「教えに歩いているけど」と言っても、アポには結び付きません。ひと工夫が必要になります。

普通のコンサルはこれで、「考えてください!」とやります。考え方を伝えて、自分で考えさせる。これが、コンサルのやり方です。

ただ、「分かりますか?」って、話です。

・逆算で考える?
・営業=教育?
・教えに来てくれるんだなぁ~

答えが分かりそうで分からないのです。俺は、そういうコンサルが嫌いなんです。「もったいぶらずに答えを教えろ!」って思います。

ところが、多くの営業コンサルは答えを知りません。だって、今現在、自分で現場に出て営業して無いから、知る訳が無い!のです。

考え方を伝えるのが仕事、それを活用して、考えて売るのは、クライアントの仕事って感じです。

もちろん、それで成果の出る優秀なクライアントもいます。そういう気付きを与えて、それがきっかけになったりしますが、多くの人には理解不能なんです!

こういうコンサルって、結局は金のためにコンサルをしているように思います。

クライアントの成功は自分の成功と言いながら、「そこは自分で考えないと力が付かない!」って逃げている。「違うだろう!答えを知りたいから投資してるんだろう!」って、感じですね、

まあ、沢山のコンサルを見てきましたが、本当に売らせられるコンサルは少ないです。どこかの誰かが言ったような話をパクって来て教えたり、他社事例を自分の手柄のように指導したり、アメリカの有名なコンサルの猿真似をしたりが、ムチャクチャ多いです!まあ、真似が出来るだけ凄いのですが、

結局は、10%程度の優秀な人に成果を出させて、こんなに凄い実績が出たって、言っているだけなんです。

結局は、「今、売れるか?」これだけです。

今、売れないヤツに指導なんて出来ないです。ぜひ、営業コンサルを使う場合は、そこを確認ください。

ジャニーズ事務所の会見「テレ東以外、全キー局が生放送」で感じた“深い闇”

ジャニーズ事務所の新社長に東山紀之氏が就任すると発表した会見は大きな話題となり、この時間帯のテレビは会見一色となりました。今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』ではジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、注目を集めるジャニーズ事務所問題とメディアの「深い闇」について詳しく語っています。

ジャニーズ事務所の問題についての雑感

さて今週は、「ジャニーズ事務所社長に東山紀之氏が就任する会見について」と題して、ある意味で思うことを見てみようと思います。

ちなみに、私はこの件に関してはあまり詳しくありませんし、また、その内容に関して語れるほど見識があるわけではありません。しかし、そもそも台風13号が首都を直撃し、またインドでは世界の20か国が集まってG20の会議をしているようなときに、有名芸能事務所のタレントと故元社長の関係で社会的な影響力は大きいとはいえ、一民間企業とそこの所属タレントの問題で、ここまですべてのマスコミが行うというのはどうなのでしょうか。

ちなみに記者会見を中継しなかったのは、いつものテレビ東京だけでした。

基本的に故ジャニー喜多川氏については、私が中学や高校の時から男色の性加害の噂はありましたし、また、本人の意向は別にして、周辺からすれば「芸能界とはそこまでして売れたい人の集団なのか」などというような認識があったのではないかという気がします。

昔は、芸能人というのは「差別用語」で言われていたのですが、現在では全く時代が変わっており、多くの人のあこがれの職業になっています。その時代に合わせた対応が今回なされたのではないかという気がするのです。

さて、今回の内容は故ジャニー喜多川氏の所業に関して様々言うつもりはありません。

今回の問題に関しては「加害者本人が死んでしまっている状態で、この話題を議論すること」ということが一つ目の話題になります。もう一つの話題は、「今後のジャニーズ事務所に関して」ということがあるでしょう。そして最後に「今まで見ぬふりをしてきたマスコミは同罪ではないのか」という話をしなければなりません。

この記事の著者・宇田川敬介さんのメルマガ