最速の梅雨明けで灼熱地獄。熱中症と冷房病どちらも防ぐ方法は?

6月27日、関東地方は観測史上最も早く梅雨が明け連日猛暑。気象庁の気温予想のマップはさながらRPG内の毒の沼のようになっています。この状況で最大限警戒が必要なのが熱中症です。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』著者で、気象予報士でもある健康社会学者の河合薫さんは、4年前に続き2度目となった6月梅雨明けの理由を解説。熱中症を避けるには冷房が必須も、設定温度を低くしすぎると厄介な「冷房病」の危険度も高まると注意を呼びかけています。

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灼熱地獄と熱中症と。

あっという間に梅雨が明けてしまいました。平年だとこれからが“梅雨本番”です。ところが、なんと関東では平年より22日も早く、雨の季節が終わってしまいました。

「6月に梅雨明けなんて信じられない!」という意見もSNSでは散見されますが、6月に梅雨明けしたのは、今回が2度目(1951年以降)。4年前の2018年の梅雨明けは6月29日です。

わずか4年で2回も6月中に明けたのは、温暖化の影響と言わざるをえません。地球は確実に暖まっていて、極端な気象現象が起こりやすくなっているのです。

特に、今年はインド気象局が、モンスーンが平年より1週間ほど早く北上していることを確認し、インドでは4月下旬から猛烈な熱波に襲われ、最高気温を更新していました。そもそも梅雨は日本だけの現象ではなく、中国では「梅雨(メイユー)」インドではモンスーン(雨季)と、広くアジアの現象です。すべて繋がっているのです。

その数千キロにもわたる梅雨前線をつくっているのが、チベット高原です。中国大陸や日本が位置する中緯度には、偏西風とよばれる強い西風がふいていますが、冬のあいだチベット高原の南まで南下していた偏西風は、春から夏にかけて暖かい空気に持ち上げられ少しずつ北上します。

この西風がチベット高原にぶつかる時期が6月頃。標高5000メートルもあるチベット高原で、偏西風は北と南の2つの流れに分離され、その2つの風が日本の東で、再び合流します。やがて7月になると、偏西風はさらに北上し、チベット高原の北に押し上げられると日本の梅雨は終わります。

今年はすでに6月下旬に、偏西風がチベット高原を越え、チベット高気圧を明瞭に確認できました。どこからどうみても「梅雨明け」なのです。

ちなみに2018年の夏は、記録的な猛暑。まさに灼熱地獄でした。気象庁の季節予報では、今年も平年より暑くなることが予想されていますので、“暑さとの戦いの夏”になりそうです。「災害級の夏」到来です。熱中症をいかに防ぐか?これが今後2ヶ月の最大の課題といえるでしょう。

熱中症は「私」たちが想像する以上に恐ろしい症状です。自覚できない状況で起る「足音なき症状」なので余計に怖い。

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閑散期でも赤字を出さない年商10億の飲食業が打った「驚異の販促策」

飲食業で悩みとなるのが季節による売上の変動。数店舗を経営していると、閑散期にいかに赤字にならないような施策を打つかが非常に重要になります。今回のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』では、船井総合研究所で史上最年少のフード部マネージャー職に就き、現在は京都で外食・中食業態を複数経営しつつ、多くの企業をサポートする堀部太一さんが、年商10億円の飲食業の企業が赤字を出さないために採用した販促策の実例を紹介。どういったロジックでその策にたどり着いたか、順を追ってレクチャーしています。

この記事の著者・堀部太一さんのメルマガ

 

年商10億円企業が閑散期に赤字を出さない為に行った事

飲食業は規模のメリットは他の業種に比べると意外に小さいものです。結局、1店舗ずつの積み重ねでしかありません。大きな赤字のお店があれば複数店舗の黒字を簡単に吹っ飛ばしてしまいます。

だからこそ、赤字の店舗を無くしていき、1店舗の収益性を徐々に高めていく。このような戦い方が必要になってきます。

しかし。それでも飲食業は「季節指数」があります。そのため、大きな黒字を出す時もあれば、逆に赤字になってしまう時も。ここをどう対策するか?が今回のテーマになります。

赤字になるタイミング

一般的な飲食業の営業利益率は8%です。その時を「100%」とするならば赤字転落するのは売上が「85%」を下回ってきた時になります。

年商10億円ということは平月の売上が8,000万円。85%になる時なので月商6,800万円ですね。通常よりも「1,200万円」をどうするか。ここが一つのポイントになります。

既存業態で行うこと

  • 繁忙期:ニーズがある
  • 閑散期:ニーズがない

上記の前提で見るならば繁忙期は徹底してご新規様の獲得です。そして「名物」の組数対比での出数を注視し、ご新規様に徹底して優位性あるものを楽しんで頂く。

そして顧客基盤を活かして閑散期の再来店を狙っていく。このような戦い方になってきます。

そして閑散期は徹底して「有効顧客」となるお客様の来店頻度増です。このタイミングでは「えこひいき」が大切です。「えこひいき」の内容は業態別で適したもので良いです。

  • 限定の料理
  • 値引き

この辺りになってくると思います。ではこれをどうアプローチしていくか。

<有効顧客数は?>
上述の通りこちらの企業は年商10億円。客単価が4,000円程度になってくるため、年間の来店客数は25万人になります。

250,000人=10億円/4,000円

そしてこちらの企業の「年間平均利用回数」は「2.5回」程度になってきます。そのため、有効顧客は10万人となります。

100,000人=250,000人/2.5回

<アプローチできる顧客数は?>
10万人の有効顧客がいらっしゃいますが、その全員にアプローチできるなんてことはないですよね。せっかく有効顧客数が多くても、アプローチできる人がいない…そうならないために、

  • アプリ会員
  • LINE会員
  • メルマガ会員
  • キッズ会員

など業態に合わせて会員のお客様を増やし、閑散期にアプローチできる体制を作ろうとしてきた訳です。

この記事の著者・堀部太一さんのメルマガ

 

「底辺の職業ランキング」が大炎上。上から見下した差別に批判殺到、同種のサイトも次々と記事を削除

就活情報サイト「就活の教科書」が作成した「底辺の職業ランキング」に「職業差別だ!」「仕事をバカにしている」と批判が殺到し炎上している。運営会社は28日に記事を削除し、事実関係を確認すると表明しているが、ランキングを見た人たちの怒りの声はおさまりそうにない。

誰でもできると仕事と12業種を断定

「底辺の仕事ランキング」は「就活の教科書」上で2021年5月から公開されていた。

冒頭では「何を底辺職と思うかは人それぞれ」で、「底辺職と呼ばれている職業は社会を支えている人で、そのような人がいるからこそ、今の自分があるのだということに気がつきましょう」とエクスキューズした後に、ランキングを展開。下記の12種類の職業と1種類の例外を紹介した。

上から①土木・建設作業員、②警備スタッフ、③工場作業員、④倉庫作業員、⑤コンビニ店員、⑥清掃スタッフ、⑦トラック運転手、⑧ゴミ収集スタッフ、⑨飲食店スタッフ、⑩介護士、⑪保育士、⑫コールセンタースタッフ、(例外)株・FXトレーダーとなっている。いずれもエッセンシャルワーカーと呼ばれる生活に必要不可欠な職種ばかりだった。

さらに底辺職の特徴として

  • 肉体労働である
  • 誰でもできる仕事である
  • 同じことの繰り返しである

と解説して、デメリットを平均年収が低く、結婚の時に苦労して、体力を消耗すると上げていた。

12種類の職業の人の神経をもっとも逆撫でしたのは、「誰でもできる」と断定したことだろう。どの職業も熟練と経験を積まなければ、一人前にはなれない。

記事は、底辺職にならないためには、転職したり、スキルや資格取得が必要だと結論づけた。

就活情報サイトは就活サイト、就活支援サービス、就活エージェントなどと提携しており、サイトを訪れた就活中の学生を提携先に誘導することで利益を得ている。

提携先に誘導する手段とはいえ、あまりにもエッセンシャルワーカーを下に見たこのランキングは、「職業差別を助長する」「就活生に差別意識を植え付ける」などと指摘され、記事は28日には削除されている。

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他にもある底辺職ランキングを書いたサイト

実は「底辺の仕事ランキング」について書いた記事は他にもたくさん存在している。いずれも就活情報サイトで、内容も似たりよったりだが、6月30日の日付で改訂されている。おそらく「就活の教科書」の炎上を受けて、エッセンシャルワーカーを蔑む言葉を削除したように思われる。

「底辺職」という言葉は就活ジャンルではよく検索されるパワーワードのようで、その中でもランキング記事は人気記事だった。

就活情報サイトはどれもキーワードで検索上位を狙って記事を作成する。そのためには「底辺職 ランキング」で表示される上位記事の情報を全て網羅する必要がある。

その結果、検索上位で表示される記事はどれも似たりよったりのものにならざるをえない。「就活の教科書」のランキング記事は皮肉にも検索上位になったがために、悪目立ちして炎上する事態になったようだ。

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このように検索上位狙いだけで作成すると、当事者への配慮が抜け落ちた記事が生まれることになる。Google検索結果だけを意識せず、読者の気分を害さない記事作りに注意する必要があるだろう。

北欧2国がNATO加盟へ。巧みな戦略でウクライナ戦争の勝者に躍り出たトルコ

北欧のフィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)への加盟が実現する見通しとなりました。両国のNATO加盟に反対していたトルコが一転して支持を表明。トルコが提示していた要求をフィンランドとスウェーデンが応じた形となったようです。上手に立ち回った印象が強いトルコ。そこで今回は、大きな意味を持つことになったクルド人問題について解説していきます。

クルド人に関して

クルド人というのは、中東のトルコからシリア、イラク、イランにまたがった、山岳地帯に住むイラン系の民族のことを言います。

ご想像の通り、政治的には非常に不安定な地域で、人口は推定3000万人と言われながら、これ実はサウジアラビアと同じ規模ですが、同時に「国を持たない最大の民族」と言われています。

こうなった理由は、100年前の西欧の都合に端を発していて、1916年、第一次世界大戦末期に、当時の強国だったイギリスとフランスとロシアが、敗北国であるオスマン帝国をどう分割するか、という協定を結びました。

これはサイクス・ピコ協定と呼ばれていますが、これは当時の2大植民地大国であるイギリスとフランスが、戦後の自分達の権益を確保するために勝手に決めたもので、この時クルド人が無視され、クルド人が住むエリアの真ん中に線を引きました。

その後、列強の都合で、トルコの国境を決め、そしてイラクやシリア、ヨルダンなどの国を誕生させていったのですが、クルド人は最初の線引きが尾を引いたことと、トルコが必死に領土分割を防いだこともあり、民族として国を持てず、結局クルド人はトルコ、シリア、イラク、イランという4か国にそれぞれ分割されるという、日本人には想像できない不幸な形となりました。

その後、それぞれの国で、少数民族として扱われながら、独裁者や強権政権、過去はサダムフセインのイラクや、シリアのアサド政権、そして今はエルドアン大統領のトルコなどに対して分離や独立を求めていきます。

しかし、それぞれの国は自国の領土分割に繋がる話を認めませんし、一方でこのエリアには、今でも数億バレルの石油が埋蔵されると言われている大権益の眠るエリアのため、一部のイラク領土内にあるクルド人自治区を除けば、まだまだ独立には長い道のりが続くと見られています。

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トルコとクルド人

ここでトルコですが、トルコには最も多くのクルド人が住んでいて、その数は1500万人と言われています。これ人口比率でいうと20%近い割合ですが、トルコでは山岳トルコ人と呼ばれてクルド人としては認められず、しかもクルド人の若者の失業率も3人に2人だといい、社会問題としても大きいものとなっています。

そして今国際的に起こっている問題は、このトルコに住むクルド人の一部が1980年前後から過激武装化して、トルコ内でテロを含む武力闘争をしており、累計で4万人もの死者が出ている状況となっています。

彼らはクルド労働者党(PKK)と呼ばれている組織で、アメリカやEU、そして日本も、このPKKをテロ組織として指定しています。

エルドアン大統領としては、当然PKKを掃討すると言うことで、極端に言えば内戦状態となっており、PKKが逃げ込んでいるイラク北部に対し越境攻撃を加えている状況にあります。

実は今、この攻撃が激しさを増していて、5月には1年ぶりにトルコ軍の地上部隊をイラク北部に投入しました。これはれっきとした軍事行動ですが前回も述べた通り、エルドアン大統領としては国内のテロ組織を壊滅することによる「国民を守る強い大統領」というアピールもあると思います。

そして、北欧2か国のNATO加盟反対の理由が、このPKKと近い「クルド人民防衛隊」YPGと呼ばれる組織をスウェーデンが支持しているのでは、ということがエルドアン大統領の反対の口実ともなっています。

ここはロシアに恩を売り、国内支持へのアピールという政治的な部分が大きいと前回述べましたが、ただ、このYPGはIS、イスラム国掃討作戦の際に、アメリカもずっと支援してきた組織です。

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次回、アメリカのこれまでのこのエリアに対する大きな関与とその失敗の歴史について説明をしたいと思います。

出典:メルマガ【今アメリカで起こっている話題を紹介】欧米ビジネス政治経済研究所

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プーチン“余裕綽々”で次の一手。徴兵で市民を「ウクライナ送り」か?

誰しもが目を疑ったロシアによるウクライナ侵攻から4ヶ月あまり。依然激しい戦闘が続き両軍の消耗が伝えられますが、未だ停戦の道筋すら見えないのが現状です。そのような状況下で目にすることが多くなった「ウクライナ疲れ」なる言葉を取り上げているのは、ジャーナリストの内田誠さん。内田さんは自身のメルマガ『uttiiジャーナル』で今回、かような言葉が使われだしてしまった背景と、プーチン大統領の次なる動きを考察するとともに、新たな対立構造が出来上がりつつある世界の中で日本が進むべき道を探っています。

この記事の著者・内田誠さんのメルマガ

 

「ウクライナ疲れ」の中、どうやって戦争を終わらせられるか:「デモくらジオ」(6月24日)から

これは新語流行語大賞にはならないだろうと思いますが、変な言葉が使われるようになってきて。いわく「ウクライナ疲れ」。あまりにもウクライナ侵攻に関する情報が満ちあふれている。実際にはどうか分からないところもありますが、たくさん、量だけは出ている。

それによってウクライナやウクライナ侵攻に関わるニュースの、その時々のニュースを見たいか見たくないかという意味だけにおける「関心」。内容に対する関心とはまた違うと思いますが、そのニュースに対する関心が下がっていて、まあ、テレビ局がウクライナに関して追ったニュース、これのニュース番組例えば1時間とか30分とかの、何番目に持ってくるかという判断が次第に遅くなっていく。番組冒頭から取り上げるのではなくて、視聴率がちょっと落ちたあたりに持ってくる。ニュース番組というのは冒頭の視聴率が高く、そこから下がっていくというのが一般的な傾向かなと思いますが。まあ、3番目5番目という形になっていくと、そのニュースの価値が減っていくというか。まあ、それを「ウクライナ疲れ」というね。

まあ、とにかくジャーナリストが処刑スタイルでロシア兵によって殺害されたのではないかという話が出てくるくらいですから、そう簡単に取材ができる場所ではない。そういうところにも命を張って、前線でヘルメットに防弾チョッキ姿で走り回っているジャーナリストも大勢いらっしゃるわけですが、安全な場所で取材する他のテーマとは大分違うわけですね。ところが観ている方は危険になれてしまって、なかなかそのことに驚かなくなってくるというね。

とにかく侵攻とか軍事作戦とか言いますけれど、砲弾や爆弾やミサイルを一般住民が暮らしているところに無差別に放りこんで、まるで解体仕事のような、町を解体する勢いで砲爆撃を浴びせ、そして前進すると。古今東西の戦争が常にそのような形で行われたのかというと、そうではないと思うのですが。戦争行為そのものがいずれも粗野な行為なわけですが、そのなかでも乱暴極まりないやり方。ウクライナ市民の犠牲者が4千数百人という数字がでていますけれど、そんなに少ないわけはありませんよね。ロシア兵の死者数もすごいですが。とにかく、酷いことが今も行われています。

で、このところメディアはどうやって戦争を終わらせられるか、どうやって終わっていくことが可能なのかというふうな話に少しずつ移ってきているようですね。それも当然で、4ヶ月、2月の24日からでしたからね、4ヶ月たって、国連の機能しないことはもう分かったわけですが、様々な国際会議の場でこの問題が扱われるようになってきている。その中に当事者の姿もある訳ですが。EUの首脳会議でウクライナがEU加盟候補国に選ばれたということがありました。これはまあ、EUって、財政の問題とか、非常に厳しいですので、この状況、戦争という状況があったとしても、じゃあウクライナに肩入れしてEUに入れられるかというと、多分、そう単純な話ではないのだと思いますね。

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ウクライナ支援に限界。欧米の領土妥協案に猛反発のゼレンスキー

どれだけ国際社会の批判を浴びようとも、ウクライナへの攻撃の手を緩めることのないプーチン大統領。長期化の様相を呈するこの紛争への支援の限界を感じ始めた欧米各国の間からは、ウクライナに対して妥協を促す声も上がっていると伝えられます。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』では著者でジャーナリストの伊東森さんが、ロシアとウクライナの関係性を地域の歴史を紐解きつつ解説するとともに、現在一部から上がっているウクライナへの領土全面奪回の断念を求める声を紹介。ゼレンスキー大統領は猛反発するものの、イタリアが国連に提出した和平案に含まれる内容を鑑みると、実際に領土の割譲を迫られる可能性もあるとの見方を示しています。

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ウクライナとロシア 両国を分かち合い、そして隔てるもの 豊富な資源を持つウクライナ東部ドンバスをめぐり駆け引き

ロシア軍によるウクライナ侵攻から、まもなく4カ月が経過する。首都キーウでは、日常が戻りつつあるようだ。値段が上がっているもの、しかし食料品は豊富にあるという(*1)。

ただ、燃料不足が深刻。製油施設が攻撃を受けた影響で、多くのガソリンスタンドが営業を休止している。

侵攻直後、ロシア軍がキーウ近郊まで迫ってきたこともあり、いったんは多くの人が街から避難した。しかし、ロシア軍がキーウ近郊から撤退したことを受け、4月ごろから徐々に人々が戻りつつあるという。

だが、戦争は長期化しそうだ。NATO(北大西洋条約機構)のイエンス・ストルテンベルグ事務総長はドイツ紙のインタビューに対し、ウクライナにおける戦争は「数年続く」おそれがあると警告した(*2)。

ロシア軍は、ウクライナ東部のルハンシク州の最後の拠点とされるセベロドネツクへの攻勢を強め、双方の攻防が激しくなっている。

よく、ウクライナとロシアとの関係を「兄弟のようだ」とする話が出てくる。

そもそもキエフを中心とした現在のウクライナ地域は、「ロシアの発祥の地」といっても過言ではない。ここで生まれた文化とこの地で受容されたキリスト教の正教会が、後にモスクワなど現在のロシアの地に広がっていったからだ。

 

日本に例えるなら、畿内に発祥した中央政権が、武士の世になり、政治的な拠点を関東に移していったことに似ている。

(山中俊之、2022年2月27日)

しかし、日本とは少し事情が異なるようだ。

日本では、畿内と関東で別の国家となったことはない。畿内と関東で同一民族という点でも異論はない(アイヌ民族など先住民・少数民族の存在は決して忘れてはならないが)。

 

一方、ロシアとウクライナはたもとを分かち、言語も文化も徐々に変わっていったのだ。そして、「弟分」のロシアが強大な帝国になり、「兄貴分」のウクライナを支配した。旧ソ連時代にも、連邦内の共和国として支配を続けた。

 

この点が、ウクライナから見ると、「弟分のくせに、偉そうに」となる。ロシアから見ると、「自分たちの源流であり、ロシアに近い存在」となる。

(山中俊之、2022年2月27日)

そもそも、国民国家とはベネディクト・アンダーソンによれば、「想像の共同体」に過ぎない。そうなれば、想像とは、いとも簡単に崩れ去る。国家の形など、脆弱だ。

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目次

  • ウクライナとは
  • ウクライナとロシアの関係
  • くすぶる、領土分割案 支援に限度 ゼレンスキー大統領は反発

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

 

誰もクビにせず給料もカットせず。立命館大学の学食運営企業が下した大きな決断

先日掲載の「アイディアが斬新。人気の学食運営会社が学生を経営参画させるワケ」では、「日本一の学食」として知られる東洋大学の学生食堂を手掛ける企業の取り組みを紹介した、フードフォーラム代表を務めるフードサービスジャーナリストの千葉哲幸さん。西日本に目を向けると、彼らとはまた一味違ったユニークな活動を展開する組織がありました。今回千葉さんは、立命館大学びわこ・くさつキャンパスの学食の運営受託を皮切りに、滋賀県で産学官交流のハブとして大きな役割を果たす、地域愛にあふれる会社の奮闘ぶりを紹介しています。

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プロフィール千葉哲幸ちばてつゆき
フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

地元の大学の学食を運営受託、以来地元産学官の事業のオファーが増える

滋賀県長浜市に本拠を置く株式会社nadeshico(代表/細川雄也、以下ナデシコ)という外食企業がある。その同社が、立命館大学びわこ・くさつキャンパス(滋賀県草津市)の学生食堂の一つを運営受託することになり、昨年9月同キャンパスに「Forest Dining nadeshico」をオープンした。場所は正門から校舎群までをつなぐメインストリートに面し、大きな自然庭園を後背にしている。館内は150坪100席とゆったりとして、テラス席も充実している。フードメニューは約10品目で500円、600円が中心となっている。同キャンパスはJR南草津駅から約3㎞離れた場所にあり(バスで15分間)、理系の学部が中心となって構成され学生数は1万3,000人。ナデシコという会社が、いかにして学食「Forest Dining nadeshico」を開業することになり、どのように変化していったかを紹介しよう。

「性奴隷」は感情的で欺瞞的。韓国人団体が慰安婦像撤去を求める理由

韓国市民の熱心な働きかけにより、世界各国に設置されている慰安婦像。しかしベルリンの中心地に2020年に建立された慰安婦像の撤去を、韓国の市民団体が訴えている事実をご存知でしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、香港の有力英字紙に掲載された韓国人団体「慰安婦詐欺をなくす会」の活動や主張内容を紹介。その上で、慰安婦問題の反論すら外国人頼みという日本人の姿勢を批判しています。

この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ

 

従軍慰安婦問題、韓国人同士の論争

6月25日の香港サウスチャイナモーニングポスト紙、ドイツ、ベルリンで話題になっている従軍慰安婦像の撤去問題について論じています。ご紹介しましょう。

なぜ韓国の非主流派グループは第二次世界大戦の「慰安婦」に対する日本の立場を支持するのか?

 

「慰安婦詐欺をなくす会(慰安婦詐欺清算連帯)」は、植民地時代に日本軍の売春宿で働く契約書にサインした証拠があると指摘した。同会は学識経験者、政治家、活動家からなる約40人から成っている。

 

「慰安婦詐欺をなくす会」の代表のチュ・オクスン氏によれば、日本の植民地時代に軍のために女性が売春宿で働く契約が交わされていたことは明らかだとしている。

 

多くの場合、契約は若い女性の両親によって結ばれていた。韓国人が考えたくないことだが、女性たちが自分の意思に反して売春に引きずり込まれたという証拠はほとんどなく、女性たちは契約終了後に帰国することが許されていたと言うのである。

 

「性奴隷」という言葉は、単に間違っているだけでなく、感情的、欺瞞的であると彼らは主張する。慰安婦たちは実際に契約し、お金を払い、最低6ヶ月、通常は1年の契約が終了した時点で職場を離れることを許されていたと言う。

 

また、日本が統治していた朝鮮半島の農村部では貧困が蔓延しており、ブローカーはそれを利用して若い女性を集めていたと指摘する。

解説

まさに日本が主張していたことを韓国の内側から主張しはじめたグループがあるのです。

この「慰安婦詐欺をなくす会」の代表チュ・オクスン氏に加えて、ベストセラー『反日種族主義』の共同著者のイ・ウヨン氏、韓国歴史教科書研究所のキム・ビョンホン所長らが主張しているのが、ドイツ、ベルリンのミッテ地区からの慰安婦像の撤去です。

記事はこれについて以下のように記しています。

彼らはドイツ、ベルリンのミッテ区の慰安婦像の横にあるパネルの情報が間違っているとして像の撤去も希望している。

 

韓国歴史教科書研究所のキム・ビョンホン所長は、「ミッテ区は当初、戦争の犠牲者、特に戦時中に性暴力の犠牲になった女性を象徴する像を承認しました。しかし除幕式でパネルに書かれた碑文は全く違っていました」と述べた。

 

碑文には、日本軍が何千人もの女性を拉致し、「性奴隷」として奴隷にしたと書かれている。彼らはベルリンのミッテ当局に矛盾点を指摘し、パネルの変更を要求したが、地元の韓国人団体が強く働きかけ、像は元の看板とともに残された。

 

彼らの懸念は、この像が恒久的なものとなり、他の都市で同様の像やプレートを建立しようとする動きを支援するために利用される可能性があるということだ。

 

キム氏は言う。「私たちがドイツを訪問した最大の理由は、慰安婦をめぐる誤った物語が韓日関係を傷つけているからだが、韓国とドイツやその他の国々との関係も傷つけている。このような状況が続けば、韓国は虚偽が事実として扱われる国というレッテルを貼られ、国際社会で孤立してしまうだろう」

この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ

 

“人工芝”の畳が話題。ピンチの畳業界を救う画期的な新商品の戦略とは

あなたの家に和室はありますか?日本の住居の特徴であった畳の和室も、今ではすっかり需要が減少しています。今後はさらに先細りが予想されていく中、とある商品がリリースされ話題となっています。MBAホルダーで無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者である青山烈士さんが紹介するのは、 画期的な商品開発といえる“人工芝”の畳。話題になっているこの商品と戦略と戦術を分析しています。

注目の人工芝の畳(たたみ)「部屋芝」を分析

今号は、注目の人工芝の畳(たたみ)を分析します。

● 創業50年の畳店(細川製畳株式会社)が展開する「部屋芝

和室をうまく活用できていない方をターゲットに「伝統技術」に支えられた「和室が健康的なアクティブ空間に変わる」「設置が簡単」等の強みで差別化しています。

和室の需要が減少している中で、和室を伝統技術を活かした室内緑化で生まれ変わらせることで注目を集めています。

■分析のポイント

和室の需要が減少していて、畳離れが加速しているようです。私の自宅には和室がありませんが、新築で和室が無い家も増えているように感じます。

このような世の中の流れは変えることが難しいため、畳業界にとっては、新規顧客の開拓は厳しい状況と言えるでしょう。

となると、重要となるのが、既存の和室ユーザーのリノベーション市場となります。と言っても、古くなった畳の交換需要だけでは業界として厳しくなるのは明らかです。

そして、いままで畳業界において、新商品といったものが、リリースされることは少ない印象ですから、お客様に提案する機会も作りにくかったのではないでしょうか。

そのような状況の中で、リリースされたのが「部屋芝」です。

畳を天然芝に近いモノに仕上げるという発想は畳の常識からすれば、邪道かもしれませんが、畳業界にとっては、新しい価値提供に他なりません。

古い畳から新しい畳へという、需要が主流の中で和室の畳を「部屋芝」へという、新たな流れを作ることにチャレンジしていることが、素晴らしいと思います。歴史ある業界、変化の少ない業界でチャレンジしたことに価値がありますね。

「部屋芝」は“和室革命”を掲げていますが、過去の畳業界において、目に見えてわかるもの、お客様が見てわかるレベルでの革命と言うのは無かったのではないでしょうか。

ですので、和室革命という言葉も、とてもフィットしていると思います。今後、「部屋芝」がどのように拡がっていくのか注目していきます。

低年齢化が進む韓国の麻薬犯罪。なぜクスリに手を出す若者が増えたのか

世界中で問題となっている麻薬犯罪、それは韓国も例外ではありません。しかも、韓国では10代や20代といった若者たちの麻薬使用が急増しているといいます。そこで今回のメルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、 深刻化している韓国の麻薬事情について語っています。

意外に深刻な韓国の麻薬犯罪

「一度やってみる?気分がよくなるぞ。一度くらいは大丈夫さ。ダイエットにもなるぜ」。17歳のAさんは、知り合いの女性(20)Bさんの紹介で一緒に会った30代の男性から、この言葉を聞いて注射器を受け取った。

1週間経ったとき「注射を打たなければ耐えられない」という中毒症状が現れ、Bさんにずっと連絡して「打たせてほしい」と言ったという。

昨年警察に検挙されたAさんは「注射器に入っていたのがヒロポンだと知っていたらやらなかっただろう」と話したが、一歩遅れた後悔だった。

中央日報が取材した10代の麻薬共和国は、このように単純な好奇心の一回性で終わらなかった。10代が海外直送で麻薬を密輸し、ソーシャルネットワーク(SNS)メッセンジャーや秘密チャットアプリを通じて販売まで行っている。

暗号通貨で決済し、捜査機関の追跡をかわす。大韓民国が10代麻薬犯を量産する「麻薬共和国」に転落したのだ。

海外直接購入(電子商取引)だけで年1億個、通関検索を含め取り締まりは難しくなるが、10代のための麻薬予防教育はもちろん、治療・リハビリシステムさえ整っていない。

ごく少数の芸能人・留学生・中毒者だけが麻薬をやるという麻薬神話は7年前にすでに壊れてしまっている。

10代麻薬犯は2021年の全体麻薬犯(1万6,153人)のうち比重(2.8%)が小さく見えるが、専門家らは実際の発生件数は1万人を超えるものと推算している。

麻薬は殺人・強盗・強姦など他の凶悪犯罪とは異なり、捜査機関が認知できなかった事件がはるかに多い代表的な暗数犯罪であるためだ。麻薬犯罪の特性上、犯行が隠密で自主申告率はきわめて低い。