プーチンの凋落。中国とトルコに打ち砕かれた大ロシア帝国構想の夢

かつて超大国として米国と対峙していたソビエト連邦ですが、1991年の崩壊以降、プーチン大統領の強権を以ってしてもその輝きを取り戻すことができずにいます。中国やトルコなどの躍進が著しい中、今後のパワーバランスはどのように変化してゆくのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、現時点で各地で起きている紛争やトラブル、各国の思惑等を改めて分析・紹介しつつ、世界の行く末の予測を試みています。

 

凋落するプーチンの帝国ロシアと地政学リスクの変遷

9月27日に突如始まり、ロシア・フランス・米国の3度の仲介による停戦合意も反故にされてきたナゴルノカラバフ地域の帰属を巡るアゼルバイジャンとアルメニアの間で戦われた紛争。今月に入り、4度目の正直とばかりに、ついにロシア・プーチン大統領が直接仲介に乗り出し、停戦合意が成立しました。

武力に勝るアゼルバイジャンが“自国領”であるナゴルノカラバフを取り戻し、領土保全という当初の目的を達成する結果になりました。

一方、1991年以降、自国民が移住し、ナゴルノカラバフ地域を実効支配し、【民族自決権】を主張してきたアルメニアは、“プーチン・和平合意”に基づき、アルメニア軍とアルメニア系住民をナゴルノカラバフから撤退させました。

和平合意の確実な実施を行うため、ロシアはロシア軍を平和維持部隊として派遣し、アゼルバイジャンとアルメニア両国の緩衝材となることで事態は収まったかのように見えます。

「さすがプーチン大統領!」
「これでドミノのように戦火が広がる危険性があった紛争も終わった」

そのような評価も多く聞かれますが、実際のところはどうなのでしょうか?

紛争が“終わった”こと自体は素晴らしいことだと考えますが、今回の合意後すぐにアルメニアでは大規模なデモが起きており、親ロシアの現政権の命運は風前の灯火です。恐らくそう長くないうちに、現政権は倒され、その後の統治の主が誰になるのかは分かりません。

そして今回、アゼルバイジャン側の“勝利”をロシアがサポートしたという形になることで、当該地域(中央アジア・コーカサス)における力のバランスが変化しようとしています。言い切ってしまうと、現在、シリアをはじめ複次的に対峙しているトルコに、ナゴルノカラバフという対ロシアカードを与えてしまいました。

それはどういうことでしょうか?

何度もお話ししている通り、アゼルバイジャンの軍事力を大幅に近代化し増強したのは誰でもないトルコです。同じイスラム教徒でかつ隣国の好もあり、今回のナゴルノカラバフ地域での紛争でもトルコはアゼルバイジャンの後ろ盾となり、今回の勝利を支えました。その結果をロシアが公的に認めサポートすることになり(実際には背負うことになり)、トルコとしては大きなカードを得たことになります。

 

ジョブスもエジソンも発達障害だった。親はASD児をどう育てるべきか?

発達障害者は、日本社会では活躍できない邪魔者・お荷物なのでしょうか?実は、私の息子は発達障害(ASD)の診断を受けています。そして現在、5歳まで育ててきた経験から、発達障害はこれからの日本では武器になり、特定分野で一流になれる素質をもった存在であると考えています。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)

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プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお) 米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。

私の息子は発達障害(ASD)の診断を受けている

先日、妻が2人の息子を連れて遊びに行ったとき、居合わせた見知らぬ男性の若者が「アイツ、ブツブツ言って、発達障害じゃねーの?」とわざと聞こえるように言い放ったそうです。ことの顛末は妻のブログに記載されています。

そうなんです、私の長男(5歳)は発達障害なのです。

発達障害にはASD(自閉症スペクトラム、かつてのアスペルガー症候群)、ADHD(注意欠陥・多動性障害)、LD(学習障害、ディスレクシアとも呼ばれる)の3分類があるのですが、長男は3歳の時にASDという診断を受けています。

それはともかく、心では思ったとしても、実際に口に出す人って本当にいるんだという現実に驚くとともに、この男性のように「発達障害なんてキモい」「邪魔だ」という発想をする人はやはり少なくないんだろうなと感じました。

そして、そんな男と付き合っているであろう彼女(?)がとても不憫に思いました。

ちなみに私はこういう人間に遭遇することを想定して、撃退用のセリフを用意しています。「人間が小さいなー!5歳児の言動程度にいちいちイライラする、あんたの脳年齢の方がヤバイよ!」 「溶けてる溶けてる!そんな言葉が口から出てくるようじゃ、あんたの脳細胞の方がずっと溶けてるよ!」「お前の肛門は口についてるのか?排泄物みたいな言葉を吐きやがって!」。

いいんです。私はケンカになることを恐れず、無礼な人間にはこれくらいどぎつい言葉で撃退してやります(笑)。

そして、この出来事から、改めて発達障害の人が人間社会に存在する意味を考えてみました。

発達障害者は日本では生きづらい

私の息子の診断でもある「ASD」(つまり自閉症)の場合は、人の気持ちがわからない、空気が読めない、物事を順序立てて考えるのが苦手、強いこだわりがある、お金・時間などの抽象的な概念の理解が低いなどといった傾向があります。

また、聴覚など特定感覚器官が非常に鋭敏なことがあり、それが良くも悪くも特性となっています。

ただし、正式名称が「自閉症スペクトラム」とスペクトラム(連続している、連続体)という名がついている通り、自閉症にも重症から軽症まであり、知的に障害がある場合もあれば、知的レベルの高い人もいて、その現われ方はさまざまです。

つまり、人によって障害の出方は異なり、ADHDやLDも絡み合っていることがあります。

たとえば、私の長男は知的障害はないものの、ADHD傾向が強く、突然に大声を上げて走り回ったり、落ち着かないときがあったりします。 ASDには、特に人とのコミュニケーションが苦手、忘れっぽい、自分のやり方に固執する、複数のタスクを同時にこなせない、状況や手順が変わるとパニックになりやすいといった特質が共通してあり、これが周囲と軋轢(あつれき)を起こすなど社会でうまくやっていけず、仕事が続かないなど、貧困に陥りやすい原因になっていることがわかっています。

ADHDの場合も同様に、表面上はコミュニケーションに問題なさそうに見えても、ミスや忘れることが多い、時間を守れない、落ち着きがないといった特質があり、やはり組織や人間関係でつまづきがちです。

最近でも「大人の発達障害」がたびたびメディアで騒がれていますが、抱えていた「生きづらさ」は実は発達障害だったんだと、診断を受けて気づくパターンは少なくないようです。

特に日本は「空気を読む」ことが重視され、「同調圧力」も強いため、和や秩序を乱す存在として排他的扱いを受けやすいと言えます。  

『鬼滅の刃』商標を狙う中国。日本は無印良品の屈辱を再び味わうのか?

先日、その劇場版が公開からわずか24日間で興行収入200億円を突破した『鬼滅の刃』。巷では様々なコラボ商品を見かけるなど、出版・映画業界にとどまらない社会現象クラスのブームとなっているが、中国ではそんな“鬼滅人気”にあやかるべく、無関係の企業が『鬼滅の刃』の商標登録を狙っていると一部メディアが報道し、波紋を呼んでいる。

記事によると、中国で商標権を管轄している国家知識産権局商標局のサイトで『鬼滅の刃』を検索すると、すでに20以上の中国企業によって商標申請が行われているとのこと。その業種は教育、広告、家具、アパレル、飲食、日用品など多岐にわたり、いずれも目下許可待ちの状態になっているという。

商標登録の申請数が膨大すぎる中国

中国国内における商標登録に関する最近の状況をみてみると、近年オンラインによる申請が広く普及し、登録にかかる費用も安価になったこともあり、商標登録の出願がかなり増えているようで、2019年の出願件数はなんと783.7万件にのぼるという。

ちなみに同年の日本での出願件数は19.1万件。中国と日本では人口に大きな差はあるものの、そうだとしても相当に多い数となっており、中国国内における商標への注目度の高さが窺える。

このように商標登録の申請が増えている中国だが、そのため申請が滞っているのかと思いきや、逆に登録までの所要期間は、近年大幅に短縮されているという。

11月8日付のAFPBB Newsの記事によると、2016年には13~14か月かかっていた商標登録までの期間が、現在では8~9か月と5か月間も短縮されたとのこと。近年の商標登録の増加に対応すべく、国のほうも体制を整えたということだろうか。ちなみに日本国内の場合だと、約13ヶ月かかるという。

そして中国の商標登録に関する独特な点、日本を含めた他の国からすると困りものなのが、外国商標の保護が不十分な点だ。

日本の商標法には「他人の周知商標と同一又は類似で不正の目的をもつて使用をする商標」という条項があり、海外で周知された商標をいかに日本国内で真っ先に出願しても、無効になる可能性が高い。この手の規定は、日本以外の多くの国における商標に関する法律にも存在するが、中国はその規定内容が他の国と比べて緩いという。

中国の商標への意識は変わりつつある?

このような中国による商標の“横取り”の事例で、日本国内でもよく知られているのが、良品計画が抱えた一連の商標訴訟だ。

【関連】無印良品、中国で商標敗訴は当然?国家ぐるみで知財をパクる中国「7つの手口」=鈴木傾城

中国へ進出した良品計画と、中国国内ですでに「無印良品」の商標を保有していた現地企業との商標権を巡っての裁判だったが、結果は現地企業の勝利。敗訴となった良品計画には賠償金の支払いが命じられたことが日本国内で報じられると、ネット上では一斉に怒りの声があがった。

ただ、この裁判の結果に関しては中国国内の世論でも「この裁判結果はまともじゃない」との声があがるなど賛否両論があったようで、さらに最近では中国当局も“パクリ国家”との誹りを払拭すべく、コピー商品や海賊版追放の取り組みを強化させているようだ。

その影響もあるのか、今回の中国国内における『鬼滅の刃』の商標登録に関しても、現地の商標登録検索サイトを見るに、確かに様々な現地企業が申請を行っているようだが、そのほとんどが拒絶されているという情報も。ちなみに集英社は、2019年の段階ですでに『鬼滅の刃』の中国国内における商標登録の申請をいち早く行っているようだ。

日本国内で何かヒットコンテンツが生まれる度に取沙汰されてきた、中国による商標の“横取り”。しかし、過去の失敗に学んだ日本企業の手際のよい対応と、中国国内における商標への意識の変化によって、それも過去のものとなりつつあるのかもしれない。とはいえ、鬼滅ファンにとってはとても心配な状況だけに、今後の推移を見守りたいところだ。

羽織の市松模様を商標出願?日本国内でも問題に

また『鬼滅の刃』の商標登録を巡っては、日本国内でも物議を醸している事柄がある。版元の集英社が、同作の主人公・竈門炭治郎が着ている市松模様の「羽織の柄」を商標出願したことだ。

認められる可能性は低いとの専門家の声も散見されるが、日本の伝統的な着物の柄を一企業が商標登録することに対し、抵抗感を示す向きも少なくない様子。国内外を問わず商標についても大きく話題になるなど、『鬼滅の刃』の人気ぶりには驚くばかりだ。この勢いに乗って興行収入首位の座を『千と千尋の神隠し』から奪うのかどうか。今後も目が離せそうにない。

なぜ人気コンサルはアラフォー管理職にドラッカーの本を勧めないのか

多くの企業で、ある年代を境に行われている「管理職」の適正を判断する面談や研修。出世するための切符を手に入れるためには、さまざまな「適性」を要求されるそうです。今回、『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の著者で人気コンサルの永江さんに届いた相談は、アラフォーで管理職になるために「経営視点を身につけるにはどうすればよいか、というもの。果たして永江さんからの回答は?

アラフォー管理職が「経営視点」を身につけるためにはどうしたら良い?

Question

shitumon

永江さんこんにちは。いつもブログやメルマガ楽しみにしています。私は、子持ちのアラフォー女性で典型的日本企業の総合職です。先日、所定の年次に達したことから管理職の適正を判断される試験というか面談を数日間受けました。(こういうことが行われるタイプの企業ということです)

総評として、ファシリテーション能力があるとか、実務的な判断能力とか、段取り良く事を進めることが出来る等、チームとしての働き方のようなものは評価されたものの、自由な発想や経営者的な視点、および既存の枠組みにとらわれない考え方については欠けているという評価でした。

これらの評価について納得感はあり、評価された点については、これまで担当として試行錯誤してきた部分ですので素直に嬉しいですし、評価されなかった部分はこれまで必要に迫られていなかったなという感じです。

そこで質問ですが、これまで通りの働き方ですと、経営管理的な視点(これはおそらく自部門意外の視点という意味も含まれるのかと)や、既存の枠組みを超えた発想を意識する機会はほぼなさそうです。なので、ある程度自己啓発的に意識することが重要なのだと思うのですが、具体的には何から手を付けていくべきでしょうか。

経営学の定番の本を読んでみれば、とのアドバイスも受けました。ドラッカー等読めば良いのでしょうか。このままだと空回りしそうで怖いです。よろしければアドバイスお願いします。

ドンキ台湾1号店にバイトの応募が殺到「異常な日本好き」の理由とは?

来年早々にも日本のディスカウントストア「ドン・キホーテ」が台湾に初進出することが決定しています。台湾出身の評論家・黄文雄さんはメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の中で、ドンキの台湾1号店にバイト応募が殺到していることを紹介。なぜ、台湾人は日本のチェーン店で働きたがるのか、その明確な理由を記しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年11月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

台湾ドンキ1号店のスタッフ募集に台湾人から2倍の申込みがあった訳

ドンキ、台北市に台湾1号店開設へ

総合ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の海外向けブランド「ドンドンドンキ」が台湾に進出です。実はこの数年、ドン・キホーテを運営する「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)」は、次々とアジアでの出店を果たしています。その結果、現在はシンガポール7店舗、タイ2店舗、香港5店舗となっています。

アジア進出第一号店は、2017年12月にオープンしたシンガポールの「オーチャードセントラル店」でした。この店舗の特徴は以下の通りです。以下、一部報道を引用します。

「『DON DON DONKI』は店内ほぼすべての商品をメイドインジャパンもしくは日本市場向けの商品でラインナップする『ジャパンブランド・スペシャリティストア』をコンセプトとした東南アジア仕様の新業態。

店内演出や日本酒のバーカウンターの設置などによるアミューズメント性あふれる店舗空間で、生鮮食品(青果・鮮魚・精肉・惣菜)や加工食品のほか、家庭雑貨品・日用消耗品・化粧品・バラエティグッズなどのジャパンブランドにこだわった豊富な商品をシンガポール国内におけるプライスリーダーを目指した圧倒的な低価格で提供する。

(中略)

東南アジア初進出となるこの度のシンガポールにおける店舗開発は、これまでの海外進出時のような現地法人のM&Aでなく、これまで国内外で培った業態開発や店舗作りのノウハウを集結した新たな挑戦となるという」(出典:流通ニュース2017年11月06日「ドン・キホーテ/シンガポール1号店「DON DON DONKI」出店」

上記のように、「ドンドンドンキ」のコンセプトは、日本製品を海外で安く提供することをコンセプトにしているだけでなく、店舗によってはバーカウンターや寿司バー、イートインスペース、さらにはカラオケやゲームセンターなどのアミューズメントエリアなどを設けた店舗設計になっています。

品揃えは生鮮品から化粧品やオモチャなど、日常生活で使うほぼすべてのものを網羅しています。さらに驚くべきは、その価格です。これまで、海外で売っている日本食は高いというイメージがありました。しかし、「ドンドンドンキ」ではその日の仕入れ具合やレートなどにもよりますが、時には日本と同じくらいの価格で手に入れることができるのです。例えば、納豆やお寿司など現地のスーパーでは手に入らないものも、手ごろな価格で気軽に買えるようになったのです。

自民党を支持する若者は「肉屋を支持する豚」なのか?菅内閣の正体

菅政権は安倍政権に引き続き、若年層の支持率が高いという調査結果が出ています。若者たちは支持政党が持つ国家観と、それに影響を与える支持団体の存在を理解しているでしょうか?(『らぽーる・マガジン』原彰宏)

若者に支持される自民党

公職選挙法の選挙権年齢が、20歳以上から18歳以上に引き下げられました。18歳といえば、就学生で言えば高校3年生ですね。

彼らにすれば、政治を意識したときからずっと安倍政権だったので、安倍晋三前総理しか総理大臣を知らないということになります。それが、「7年8ヶ月」という長期期間が意味するところでもあります。

高校3年生と言えば、大学進学希望者には受験が待っています。この学年の受験から、今までのセンター試験とは違う新しい共通テストが始まります。

公明党は、コロナ禍ということで、各受験生に一律2万円を共通テスト受験代として支給することを提案しています。共通テスト受験目的であれば、受験料そのものを無料にするほうが事務作業や経費の面からも合理的と言えるのですが、あえて現金給付にするのは、18歳の有権者に、政権与党を強く意識してもらうためではないかという憶測もあります。

【関連】東京五輪、海外選手“特別入国”のウラ事情と開催中止へのシナリオ=原彰宏

一般的に、最初に投票した政党を、その後の投票でも支持するという傾向があるとも言われています。共通テスト受験のための振り込みは、もうすでに終わっているのですがね。

自民党は、若者層の支持が大きいことが統計からも示されていて、それを背景にした若者層へのアピールだとするなら「いかがなものか」と思いますね。

とにかく、目先の利益、それも生活に身近なメリットを前面に出すことで支持を得ようとする動きを、有権者はどう考えるのでしょう。

本当に若者に優しい政策になっているか?

菅政権は、発足して1ヶ月以上も国会で所信表明をしませんでした。「携帯料金値下げ」は、たしかに国民受けの良い政策で、とくに若者層には受け入れられやすい政策ではありますからね。

「木を見て森を見ず(物事の細部にとらわれると、全体を見失う)」という意味で、細部に拘ると、ものごとの本質を見誤るというものです。

同じような表現で「鹿を追う者は山を見ず」というのがあります。鹿を捕えようとしている者は、獲物にばかり気を取られて山全体のことが目に入らなくなってしまうことから、目先の利益を追っている者は、それ以外のことが見えなくなり道理を忘れてしまう…という戒めの意味があります。

大事なのは「目の前の優位性」ではなく、「将来の安心」をどうするのかにあります。

国の役割とは?

国の役割とは何か。会社組織で考えてみましょう。

会社運営のためにお金を稼いでくるのが「営業部門」、お金を生み出すための製品を作るのが「製造開発部門」、そしてお金を稼ぐための業務潤滑を担う「総務・人事、経理部門」、顧客サポートの部門もあるかもしれません。クレーム処理も、お金を稼ぐ大事なお仕事です。

これら直接お金を稼ぐことに関わる部門とは別に、社長や役員たちの「管理部門」があります。彼らの仕事は対外折衝、つまり他社や業界団体・行政などとの交渉です。会社を代表する責任者という存在です。同時に、会社のお金に関する責任もあります。広報や株主総会など、社外に向けての説明義務もあります。

従業員にとって求められる政策は、待遇改善であり、さらに給料アップにつながれば嬉しいですね。

経営者にとっては会社経営のために、法人税減税や業界全体の規制緩和が求められます。

会社役員は、直接お金を作りはしないですが、従業員が会社の業績を上げやすいように、対外折衝などでサポートするのが仕事です。従って、従業員の待遇改善も役員の仕事です。

これを国家に当てはめると、「管理部門」は政権(内閣)が担います。総理大臣が国家の社長で、さしずめ各大臣は役員(取締役)といったところでしょうか。

国家(いわゆる政権)が行うことは、お金を直接稼ぐのではなく、国民が安心して働くことができ、安全に生活できるように以下を行います。

•外交(国を代表した対外折衝)
•安全保障(国の安全、国民生活の安全)
•お金(税金)の管理と分配(生活保障等)

国民を代表してこれらのことを行うので、その方向性をしっかりと国民に示すことが大事で、それにより私たちは、国が、現在の、そして将来の私たちの生活をどのようにしてくれるのかを判断することができるのです。

それが、政権の支持・不支持を決める材料になるのです。

国家観を見ずに「エサ」に飛びついてはいけない

私たちの生活を、将来どのように導いてくれるのかというのが「国家観」です。

政権が示す「国家観」に基づいて、各省庁が方針を決め、そのための法律を国会で審議します。それを具体的に私たちにサービスとして提供するのが行政・役所になります。

携帯電話料金値下げ要請は「国家観」ではなく、会社で言えば、社長が「ダンピングしてでも安売りして売ってこい」と音頭を取っているようなもので、会社展望や営業方針を打ち出しているものではありません。目先の売上を上げるための、社長としての決断を述べているに過ぎません。

会社のためにお金を生むのは「営業部門」であり「製造・研究部門」であって、「管理部門」はお金を生みません。営業や製造がお金を生みやすいように対外折衝や行政との交渉に動くのが管理部門の役目です。

国家も同じです。お金を生む(納税)のは国民で、国は、国民が安心して生活できるように動くことなのです。

政党ごとに「国家観」があります。それを見比べることで、どの政党に、私たちの未来を託すのかを判断します。

この続きは、MONEY VOICE「若者こそ知るべき日本会議と菅内閣の関係。彼らは自分の敵か味方か?」でご覧いただけます

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うつろう、おもかげ。知の巨人・松岡正剛が見る日本人の心の歴史

私たちが住む日本という国は、いったい「どのような国」なのか、言葉でうまく説明できる人は少ないのかもしれません。今回の無料メルマガ『おやじのための自炊講座』では著者のジミヘンさんが、「知の巨人」とも称される編集者で著述家の松岡正剛氏が、「日本という方法」について書いた一冊を紹介。初めて読むという松岡氏の本に心奪われた理由について綴っています。

日本という方法 おもかげ・うつろいの文化

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日本という方法 おもかげ・うつろいの文化

松岡正剛 著/NHK出版

皆さん、お元気ですか。ジミヘンです。

日本は「主題の国」ではなく「方法の国」である。多神で多仏、天皇と将軍、無常と伊達、仮名と漢字。外来の文化を吸収し自らのものとしてきた日本は、互いに矛盾するものを保持したまま多様で多義的な社会・文化を築き上げてきた。史書の編纂、日記、短歌、さらには政治体制や哲学までを編集行為ととらえると領域を超えて「おもかげ」「うつろい」という特質が見えてくる。歴史に蓄積された様々な層を「方法」によって辿る大胆な日本論。

書店の文庫本コーナーでピカッと光る一冊に出会う。タイトルは『日本という方法 おもかげの国・うつろいの国』。何とも不思議な表題だ。「日本の方法」ではなく、「日本という方法」。著者は、“知の巨人”と呼ばれる松岡正剛氏である。と言いながら氏の著作を読むのは初めてだ。

何度も言及しているが、このメルマガのテーマは、映画・文学・食・世相・科学など多様であるが、最も興味をそそられるのが「日本人論」だ。節操なく何事も自分の中に取り込んでゆく不可思議な国民性。思想的な統一がないように思えるが、その倫理観・道徳観には見事な一致が見られる。わが国民の美質が誇らしく思えることがある。

著者は先ず「日本は一途(いちず)で多様な国」とし、「天皇と万葉仮名と語り部」「和漢が並んでいる」「神仏習合の不思議」「ウツとウツツの世界」「主と客と数寄の文化」など縷々説明しながら日本人の気質と変化に言及するが、難解な内容である。平安の世から江戸、或いは近代まで時代は行き来し、エピソードも一つ処に留まらず多彩である。長年の研究、思考のアウトプットを披歴しているのだから素人にはすんなりと入ってこない。

「日本という方法」とは、どうやら外来コードを取り入れて日本的モードを作り出す「日本的編集方法」を指すのではないか。文字をもたなかった日本は漢字を借りて日本語を表現した。現代における「たらこスパゲティ」のように何事も<日本流>に変えてしまう。

ついに「糖尿病」と「癌」の関連性が明らかに。日米で同様の報告

進行するとさまざまな合併症を引き起こす糖尿病。合併症とは言えないまでも、いくつかの癌にかかりやすくなることが明らかになっています。『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』著者で、糖質制限の提唱者としても知られる医師の江部康二先生が、糖尿病と癌の関連性について、日本とアメリカの学会の報告を要約。なぜ糖尿病患者は癌のリスクが上がるのか、リスクを軽減するにはどうすればいいのかを探っています。

糖尿病と発癌のリスク。糖質制限食で発癌予防は?

近年、糖尿病と癌罹患リスクとの関連が明らかになってきており、糖尿病と癌との関連について、日本糖尿病学会と日本癌学会の専門家による合同委員会が設立されました。

2013年に糖尿病と癌に関する委員会報告が、医学雑誌〔糖尿病 56(6):374~390、2013〕に掲載されました。

A)以下は委員会報告の要約です。

  • 近年、糖尿病と癌罹患リスクとの関連が明らかになってきており、糖尿病と癌との関連について、日本糖尿病学会と日本癌学会の専門家による合同委員会を設立することとなった。
  • わが国の疫学データでは、糖尿病は全癌、大腸癌、肝臓癌、膵臓癌のリスク増加と関連していた。
  • 糖尿病による癌発生促進のメカニズムとしてはインスリン抵抗性とそれに伴う高インスリン血症、高血糖、炎症などが想定されている。
  • 2型糖尿病と癌に共通の危険因子としては加齢、男性、肥満、低身体活動量、不適切な食事(赤肉・加工肉の摂取過剰、野菜・果物・食物繊維の摂取不足など)、過剰飲酒や喫煙が挙げられる。
  • 不適切な食事、運動不足、喫煙、過剰飲酒は糖尿病と癌罹患の共通の危険因子であるので、糖尿病患者における食事療法、運動療法、禁煙、節酒は癌リスク減少につながる可能性がある。
  • 特定の糖尿病治療薬が癌罹患リスクに影響を及ぼすか否かについてのエビデンスは現時点では限定的である。

B)以下は委員会報告からの引用で、米国糖尿病学会と米国癌学会の見解です。

2010年、ADA(American Diabetes Association:米国糖尿病学会)とACS(American Cancer Society:米国癌学会)は合同で糖尿病と癌との関連についてのconsensus reportを発表し、糖尿病と癌罹患もしくは癌予後との間の関係、糖尿病と癌に共通する危険因子、糖尿病と癌とを結ぶ分子機構、糖尿病治療が癌リスクや癌予後に及ぼす影響について多面的に論じている。ADAとACSはこの報告書で9つの要約と推奨事項をまとめた。この中で、

a)糖尿病(主に2型糖尿病)は肝臓癌、膵臓癌、子宮内膜癌、大腸癌、乳癌、膀胱癌などのリスク増加と関連がある一方で、前立腺癌リスク減少に関連していること

b)健康的な食事、運動、体重コントロールは2型糖尿病およびいくつかの癌の罹患リスクを減少し予後を改善するため推奨すべきであること

c)医療者は糖尿病患者に対し性別・年齢に応じて適切に癌のスクリーニングを受診するように推奨すべきであること

d)いくつかの糖尿病治療薬と癌罹患リスクとの関連が報告されているが、現時点では糖尿病治療薬を選択する際に癌のリスクを主要な検討事項とするべきではないことなどが挙げられた。

このように糖尿病は、日本でも米国でも、確実に癌発生のリスクとなることがあきらかとなってきています。その機序を大別すると以下の3つに集約されます。

(1)高血糖のリスク
(2)インスリン抵抗性とそれに伴う高インスリン血症のリスク
(3)肥満のリスク

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渡部建の復帰報道も妻・佐々木希は重大決意?【2020年11月週間人気記事】

ジャニーズの長男がまさかの不倫。マッチこと近藤真彦(56)が25歳年下の女性との不倫を認め、無期限の活動自粛を発表しました。と思ったら、不倫騒動で自粛していたアンジャッシュの渡部建(48)が「笑ってはいけない」で復帰するという報道も。この芸能界の“不倫サイクル”は一体何なのでしょうか?

今回は11月9日〜11月15日までのMAG2NEWSアクセスデータをもとにした、週間人気記事をご紹介!

政治ネタから社会ネタ、芸能の話題まで今週も盛りだくさん!相変わらず敗北を認めない米大統領選挙から、多額の負債を負ってしまった女性タレント、不可解な行動を取り始めた元アイドルアナウンサーまで、気になる話題を一挙に総ざらい。見逃していた記事を一気にチェックしてみてはいかがでしょうか?

2020年11月週刊人気記事ランキング(11/9~11/15)

第10位 岡村隆史の予言的中に「悔しい…」性を売る貧困シンママ 日本は三流国に墜ちたのか

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お笑いコンビ「ナインティナイン」の岡村隆史さんの失言は的中してしまったのでしょうか?シングルマザーの女性たちが苦しんでいます。困窮がゆえに夜の街で働くシングルマザーが増えているといい、そこから日本の凋落ぶりが垣間見えてきます。
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大接戦の末、第46代大統領就任が確実となったバイデン氏。しかしトランプ大統領は慣例となっている敗北宣言も拒否し続けています。トランプ氏は今後、どこに着地点を見出すのでしょうか。米国在住の作家・冷泉彰彦さんが、「北朝鮮への亡命」を含めた展開され得るシナリオを考察しています。
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2007年初頭に発覚し、各メディアが大々的に報じた菓子メーカー「不二家」による不祥事。中でもTBSの情報番組『みのもんたの朝ズバッ!』による同社へのバッシングは凄まじく、不二家商品の小売店からの撤去や製造停止など、影響は甚大なものとなりました。元検事で弁護士の郷原信郎さんがその疑惑追求の一部始終を公開していきます。
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第7位 女性のカラダを狙う「精子提供者」の闇。SNSで誘い性行為 卑劣な手口とは

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妊娠を希望する女性に対して、大きな希望となっている第三者からの精子提供。最近ではSNSなどインターネット上でやり取りし、精子を提供する男性が急増しているといいます。その一方で、個人間での精子取引は女性の体だけが目的だったり、学歴や経歴詐称など、大きなトラブルも起きているようです。
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