メンツ丸つぶれ。中国・習近平がゼレンスキーの「キーウ招待」を断れない理由

3月29日、ゼレンスキー大統領が習近平国家主席に対して、キーウへの訪問要請を行ったことが大々的に報じられました。中国サイドの動きに世界の注目が集まっていますが、習主席はどのような決断を下すのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、考えうる中国政府の反応と、彼らの思惑を考察。さらに訪問要請を断った場合に中国が直面する事態を解説しています。

ゼレンスキーの勝負手。習近平は「キーウ訪問要請」を受けるのか

「中国は混乱に満ちた国際情勢を落ち着かせ、平和をもたらすために仲介の任を受け入れる」

習近平国家主席がロシア訪問を終えた後、政府の外交部隊の人たちが口々に語った“覚悟”です。

「ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したロシア・ウクライナ戦争の泥沼化を受け、国際経済が大きなダメージを受け、特にグローバル・サウスと呼ばれる途上国が被害を受ける中、その“救済”のために中国が立ち上がるのだ」という覚悟から、2月18日に王毅政治局員がミュンヘン安全保障会議で「中国はロシアとウクライナの仲介をする準備がある」と表明しました。

その後、2月24日には12項目からなる停戦案をロシア・ウクライナに示し、3月20日からは習近平国家主席の訪ロカードを切って、直接プーチン大統領に中国を仲介役に指名するように迫りました。

報じられているように、3日間に及んだ習近平国家主席の訪ロで語られた内容は、プーチン大統領にとっては形勢の逆転ともとることが出来る内容、つまりロシアと中国の力関係の逆転にも思えましたが、なぜかプーチン大統領はご満悦で、中国に仲介の労をとってもらうことにも前向きな姿勢を示しています。

今回の訪ロおよびロシア・ウクライナ戦争の仲介役という観点において、あえて足りなかったことがあるとすれば、当初予定されていたゼレンスキー大統領との“オンライン会談”が成り立たなかったことでしょう。

「もしかしたらモスクワからキーウに飛ぶという電撃訪問があるかも…」という期待もありましたが、習近平国家主席の訪ロ時に岸田総理がキーウ訪問をしたこともあってか、ウクライナ入りもオンライン会議も見送られました。

また面白いことに、ウクライナ政府からは特段、習近平国家主席の訪ロについてのコメントがなかったように思います。

複雑怪奇な国際関係で成功を収めてきた中国

しかし、今週に入って、【ゼレンスキー大統領が習近平国家主席に対してキーウ訪問を要請した】という情報が入ってきました。

「やはりその手を打ってきたか」と感じていますが、「これに中国がどのように返答するかによって、中国の狙いが見えてくるのではないか」と非常に関心をもって動向を追っています。

そして中国がどのように返答するのかによって、今後のウクライナ・ゼレンスキー大統領の動き方にも大きな影響を与えることになります。

ちなみにこれまでの中国の立場と言えば、内政不干渉の原則を貫き、他国に対する政治・外交的な介入は避けてきました。それは自国の国内問題に口出しされたくないという願いの裏返しでもあります。

中国の海外進出は、これまで経済的な利益の追求が主目的であり、それが複雑怪奇な国際関係においては成功を収めてきたと言えます。

その最たる例が、中東において分け隔てなく経済的な関係を結び、どの国ともよい関係を築いてきた方針です(それが3月10日のイランとサウジアラビア王国の関係修復に帰結した一因と考えられます)。

しかし、3月に入って本格化したロシアとウクライナの仲介努力は、これまでの中国の外交方針を根本から変えるものであると表現することが出来ます。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

「今」を大切に。そう思わないと過去や未来を考えてしまう脳のこと

昔のことを考えて「あのときこうしていれば」と後悔し、確かな未来が見えず「このままでいいのか」と心配する。人間の脳は、意識しないでいるとすぐに過去と未来を行き来する「タイムトラベル」の力を働かせてしまうようです。そこで、「今」に集中することを説く「マインドフルネス」の考え方が生じるのですが、本当に過去と未来を切り捨ててしまっていいのか? と考えるのは、文筆家の倉下忠憲さん。今回のメルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』では、人間の脳にタイムトラベル能力がある意味を考え、より良い「今」とするための付き合い方を考えています。

脳の「タイムトラベル」能力と「今を生きる」ということ

イーサン・クロスの『Chatter』という本で、脳の「タイムトラベル」能力が解説されていました。

まず脳には、デフォルトモード・ネットワーク(DMN)という状態があります。その状態は何か特別なことに注意が向いているのではなく、ぼんやりと雑念にふけっているような状態です。で、その状態が一日のうちで多くの割合を占めています。

では、その「雑念」において脳が何をしているのかと言えば、かつて自分がやったことを反芻し、反省し、修正しようとしたり、これから自分がやろうとしていることを想像し、計画したりしているのです。前者は「過去」ですし、後者は「未来」と言えるでしょう。

これが脳のタイムトラベル能力というわけです。私たちは目の前にあるものに注意を払うことから退避し、「過去」や「未来」に思いをはせることをしょっちゅう行っているわけです。

マインドフルネスはそうした退避を抑制する行為だと言えます。過去や未来に思いをはせることを止めるのだから、結果的に注意は「今」に向きます。単純な理屈ですね。ここから「今を生きよう!」というきらきら光るポジティブなメッセージなども生まれてくるのでしょう。心理的吸血鬼な私にとっては灰になってしまいそうなメッセージです。

■極端な主張

たしかに脳のタイムトラベル能力を止めてしまえば、「過去」や「未来」に思いをはせることなく、「今」に意識を集中できます。さらに、グタグタと過去の出来事を悔やんだり、もやもやと未来の出来事に悩んだりすることも止められるでしょう。こうした心の葛藤が心理的にネガティブな影響を強く与えることを考えれば、そのような抑制に効果があることは十分理解できます。

でも、本当に「今」だけに生きればそれでいいのでしょうか。あたかもそれは、指を切ってしまう可能性があるから、世界中から包丁を無くそうといっているようなものです。あまりにも極端すぎる主張。たしかに包丁を無くせば「包丁で指を切る可能性」はゼロになるわけですが、包丁によって得られる利便性は失われます。そして、包丁以外で指を切る可能性は相変わらず残っています。

現実的な(というかプラグマズティックな)解決は、包丁を慎重に使おうといったことでしょう。利便性は受け取りつつも、被害は被らないようにすること。単純に言えば「うまく使おうとする」こと。それが極端ではない主張になります。

この記事の著者・倉下忠憲さんのメルマガ

コロナのニュースすら流れない国も。ちっとも「脱マスク」が進まぬ日本と海外の差

3月13日より我が国でも「個人の判断」となったマスクの着用。しかし未だ脱マスクの流れは緩やかなままという状況が続いています。そもそもなぜ政府は、突如「マスク解禁」へと急ハンドルを切ったのでしょうか。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』ではジャーナリストの伊東森さんが、日本と海外それぞれの脱マスク事情を紹介。さらに政権がノーマスクの方針を打ち出した「政治的意図」を解説しています。

それがいちばん難しい。「個人の判断」で脱マスクはどこまで進むのか

新型コロナウイルス対策としてのマスクの着用が、3月13日から、屋内外を問わず「個人の判断」となった。

医療機関の受診時や混雑した電車・バスの乗車時などは引き続き着用が推奨されるものの、日常生活では基本的に“一人ひとり”がマスクを着用するか、決める。

政府はこれまで、他人とおおむね2メートル以上の距離が取れない場合にマスクの着用を推奨してきた。しかし13日からは、高齢者など重症化リスクが高い人への感染を防ぐため、着用の推奨は、

  1. 医療機関の受診時
  2. 医療機関や高齢者施設への訪問時
  3. 通勤ラッシュなど混雑した電車やバスに乗車する時

の三つの場面に限定。またこれからも感染の流行時、重症化リスクの高い人が混雑した場所に外出する場合は、自分の身を守るために着用が効果的と呼びかける。

国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は、朝日新聞の取材に対し、

「どんな感染症でもマスクが大事というわけではない。ただ、新型コロナについては、その特徴をふまえると、マスクの効果が期待できる」(*1)

とする一方、

「感染状況が落ち着いている現在は、マスクを外すことにさほど神経質になる必要はない」(*2)

とする。

目次

  • ディズニーランドは「個人の判断」。判断分かれる日常生活の現場
  • コロナがニュースにすらならない国も。ここまで違う海外マスク事情
  • 「政治判断」で危険な橋渡るも「政治責任」は取らぬ岸田首相

ディズニーランドは「個人の判断」。判断分かれる日常生活の現場

マスクの着用が3月13日から個人の判断に委ねられることを受け、日常生活における現場ではとくに顧客に対する着用の呼びかけをやめるといった運用の指針の変更が相次ぐ。

ただ、政府は高齢者などへの配慮は引き続き必要であるとし、業界によっては、着用のルールの緩和に慎重な現場も残る。

3月9日、オリエンタルランドは東京ディズニーランドと東京ディズニーシーでのマスク直用について、13日からは入園客や従業員の判断に委ねると発表。

業界団体のガイドラインの見直しを踏まえたもので、ホテルやモノレールの車内でも着用を求めない。

百貨店やスーパーを含む小売業界の12の団体も、2月の下旬、

「顧客に常時正しく着用するよう依頼する」

としてきたガイドラインを、

「統一的な着用推奨は行わない」

に変更。

日本ホテル協会も、レストランや宴会場での飲食時にマスクをつけなくてよい運用にする。

一方、引き続き顧客にマスクの着用を求めるところも。演劇の製作会社や劇団などでつくる「緊急事態舞台芸術ネットワーク」は、ガイドラインに、

「主催者の判断で着用の推奨を継続することもできる」

と盛り込んだ。実際、松竹は13日以降も、劇場内ではマスクの着用を推奨するという(*3)。

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

大谷翔平の住む「一軒家の家賃」が安すぎる問題。年収85億円なのに…

日本時間31日、エンゼルスの大谷翔平投手が開幕戦に「3番投手」として出場し、6回2安打無失点と好投しました。大谷選手は先日行われたWBCでも大活躍をみせ、MVPにも選出。日本が誇るスターであることは疑いようがありません。昨日、そんな大谷選手の「近況」について『女性セブン』が報じ話題になっています。総年収が85億円と言われる彼の質素な生活に、芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんは驚きの声を上げています。

気さくだったエンゼルスの選手たち

球春到来です。

今年は特にWBC3度目の優勝もあり、野球界は大いに盛り上がる…盛り上がって欲しいものです。

大谷翔平が所属するロサンゼルス・エンゼルスは、藤浪晋太郎が所属するオークランド・アスレチックスとアウェイで開幕を迎えました。

新しくなったピッチ・タイマーや守備シフトの禁止、ベース・サイズの変更などで何だかバタバタと落ち着かなく見えますが、皆さんはどう感じられましたか?

テニスでピッチ・タイマーが導入された時、サービスを打つまでのローテーションが自分のリズムだからと、罰金や警告を受けても“いいよ、別に。金なら払うから。自分のルーティンは守る”としたラファエル・ナダルのような選手がMLBにはいるのでしょうか…気になりますね。

メジャーが開幕を迎えると、私の頭の中には決まって43年近く前の光景がまるで昨日のことのように鮮やかに蘇ります。

43年前、留学を目的に渡米した私は、エンゼルスのホーム・グラウンドと車で10分位のブエナ・パークというエリアにルーム・シェアで住んでいました。

アパート近くにはディズニーランドやナッツベリー・ファームといった人気スポットがあり、住環境は申し分ないエリアでした。

パラマウント・スタジオの近くにある大学には、サンタ・アナ・フリーウェイとサンタ・モニカ・フリウェイを乗り継ぎ通い、片道約1時間かかるドライブも何の苦痛も感じませんでした。

ブエナ・パークでの生活で今だに脳裏から消えないのが、エンゼルスのホーム・グラウンド近くの高級日本料理店での“バス・ボーイ”体験です。

“バス・ボーイ”とは、客用のバスを運転するわけではなく、飲食後の客の食器等の片付けをする仕事のことです。

前述したロケーションですから、当時はチームの人気選手たちがよく来店してくれていました。メジャーで“安打製造機”と言われたロッド・カル―に遭遇したのもこの店です。

選手は気さくな人たちで、貧乏臭いジャパニーズ・バス・ボーイに「暇な時、球場に遊びに来ればいい」と優しく声を掛けてくれたことを覚えています。

店のマネージャーいわく、「エンゼルスは弱小チームで客席はいつも閑古鳥が鳴いている状態だからそう声を掛けたんじゃないのかな」とその裏事情を解説してくれたものです。

大谷翔平の住む自宅の家賃安すぎる問題

さて、大谷の近況を『女性セブン』が報じています。

私が一瞬目を見開いて読んだのは、6年目の開幕を迎えた大谷が、今だに日本人が比較的多いエリアのアーバインに住んでいるということでした。

ロスには世界的な大スーパースターが住むのに相応しい場所が他にあるというのに…。

さらに驚いたのは、3ベッドルームでバルコニーにはジャグジーのある家賃50万円の一軒家に住んでいるという記述です。

先日発表された総年収は約85億円…いくら“ボク、元々物欲がないんです”と言われても、このギャップには少々納得がいきませんでした。

税金を払えば手元に残るのは約40億円少々ですが、それでも家賃50万円とは…。

小さい頃からお年玉やお小遣いをもらっても、“これは大きくなってからグローブやバットを買うためにとっておく…”といって貯金していた大谷ですが、20年近く経った今でもその金銭感覚は少しも変わっていないということなのでしょうね…驚きです。

『女性セブン』を読みながら、私がかつて取材した中学時代の友人が「ファッションにはほとんど無関心、無頓着なんです。日ハム入団後も2歳上の姉貴が洋服を準備してあげていたんですョ…」と教えてくれたことを思い出していました。

野球以外のことにはほぼほぼ興味が無い…そんな28歳なんですね。

かつては「遠征だと数日間同じシャツを着ているワースト・ドレッサー」と、チームメイトでありWBCアメリカチームキャプテンのマイク・トラウトに言われていた大谷も、2020年に『HUGO BOSS』とパートナー・シップ契約を結んでからはさすがにもう“ダサい”とは言われていないでしょうし、広告モデルを務めるコーセーの高級ブランド「コスメデコルテ(DECORTE)」でお肌もピッカピカという感じでしょうか。

今や周りが放っておかない大谷翔平ですが、それでも堅実に、驕る事の無い、今でも残る素朴な少年の面影が彼の魅力であることは疑う余地のないところでしょうね。

今年も楽しみです!

プロフィール:芋澤貞雄
1956年、北海道生まれ。米国でテレビ・映画のコーディネーター業を経て、女性週刊誌などで30年以上、芸能を中心に取材。代表的スクープは「直撃! 松田聖子、ニューヨークの恋人」「眞子妃、エジンバラで初めてのクリスマス」。現在も幅広く取材を続ける。https://twitter.com/ImozawaSadao

記事提供:芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄の「本日モ反省ノ色ナシ」

image by:Conor P. Fitzgerald/ Shutterstock.com

閉鎖的な体質が問題。日本で働きたくないアジア人が増えている訳

海外から多くの人々が日本に職を求めてやってきた時代も今は昔。近年は、日本で働きたくないというアジアの人々が急増しているというのが実状のようです。一体何がこのような状況を招いたのでしょうか。今回のメルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』で、マレーシアに11年以上滞在する文筆家で編集者ののもときょうこさんが、その原因を探っています。

「日本で働きたくない」アジアの人が増えている背景を解説します

NIKKEIリスキングの記事によると、日本で働きたいアジアの人の数が減っているそうです。

ホウレンソウに不信感 日系企業はアジアで人気低下|NIKKEIリスキリング

同研究所所長の大滝令嗣教授は、中国やインド、インドネシア、タイなどアジア主要8カ国を対象に「日系企業は海外でどう見られているか」をテーマに22年に調査を実施。

アジアのホワイトカラー人材が働きたい国を調べたところ、日本企業で働きたい人が減っているそうなのです。

22年の調査では米国は67%、欧州は58%、日本は40%。それぞれ下がったが、日本の落ち込み幅が特に大きかった。一方で急伸したのは自国の企業で、14年は58%だったが、22年に82%でトップとなった。

東南アジア式「まあいっか」で楽になる本』の「ビジネス編」にも書いた通り、マレーシアでも同じ現象が見られます。

90年代には出会う人々から口々に「どうすれば日本で働けるのか」と聞かれた時代がありました(年配の方には今もこの感覚のままの人が多い気がします)。

2000年後半くらいからこの率がガクンと減り、今は「観光に行くのはいいけど、働くのはちょっとね、カローシしたくないし、差別もされたくない」という人が多数。うちのクラスでも日本に留学する子はいないです。

マレーシアには欧州や米国、日系企業がそれぞれ進出してきており、転職している人たちはその文化の違いを肌で感じているようです。厳密には、オープンな文化の日系企業ももちろんあるのですが、イメージ全体が悪くなっているのは残念です。

閉鎖的な雰囲気が苦手である

問題は言語だけではなく、閉鎖的な体質にあると言われます。

かつて日系企業で働く障害は圧倒的に言語の壁だった。しかし、22年は言語に次いで、閉鎖的な雰囲気、限定的な昇進、低い報酬を問う声が高まっている。日本の会社の課題は言葉の問題以上に「島国根性」とも呼ばれる閉鎖性なのかもしれない。

少し前に話題になった「地方から逃げ出す人」と似ているかもしれないです。ダイバーシティがまったくないというわけです。

【関連】この“不寛容”が地方を潰す。移住者が逃げていく土地に共通する特徴

パネリストの1人、日系メーカーのインド人マネジャーは、「日本企業のダイバーシティは言葉だけ。男女比や外国人の比率ばかりを気にして、ダイバーシティがなぜ必要なのか、そこから何が生み出されるのかを理解していない。インドでは某日系自動車メーカーのプレゼンスが高く、多くの優秀なインド人エンジニアたちの憧れでもあるが、入社後、日本的風土を目にするとすぐに他のインドや欧米系のメーカーに転職するケースが目立つ」と指摘する。

同セミナーに参加したもう1人の中国人女性、シーメン・チーさんは、日本企業の採用面接で「なぜ中国の女性が日本で働くのか」と問われてショックだったという。人事担当者にとっては何気ない質問だろうが、多様性を是としているグローバル企業ではそもそもこのような問いかけは出てこない。

日本に憧れて日本企業で働いたり、協業した人の多くから似たような話を聞きます。地方移住の問題と似ていて、実は制度ではなくて、一人ひとりの心のありようが受け入れを難しくしている――これが日本の昨今の問題だと思う。

「多様性」がお題目になっていて、実際に外国人と働いたことも、友達になったこともない人が多いから、悪気はなく「日本人中心」の発言をしてしまう。

この「国民性」を変えるのは、難しいだろうと思います。

この記事の著者・のもときょうこさんのメルマガ

ついに開かれた「第3次世界大戦」の扉。ポーランドの戦闘機供与が引き金に

西側諸国からウクライナへ供与され続ける大量の兵器。しかし先日ポーランドとスロバキアが相次いで発表した戦闘機の供与は、これまでとはフェーズの異なる「危険な援助」と言っても過言ではないようです。外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏は今回、戦闘機の供与が第3次世界大戦のトリガーとなりうる理由を解説。さらにその戦火が東アジアに飛び火する可能性についても言及しています。

このまま第3次世界大戦へ突入か?ウクライナを巡る最悪シナリオ

ウクライナでの戦況は一層に改善の兆しが見えない。今日、ウクライナ東部の要衝バフムトなどで戦闘が続いているが、そこでの戦闘に参加しているロシア民間軍事会社「ワグネル」の創設者プリゴジン氏は3月半ば、最前線の戦闘に参加する傭兵を5月中旬までにおよそ3万人新たに採用する計画を明らかにした。

ワグネルはロシア各地40都市あまりで若者の採用を行っており、採用は順調に行われているという。これまでのウクライナでの戦闘で送り込まれたワグネルの傭兵は5万人に上り、これまでに3万人が死傷したとされる。プーチン大統領は昨年秋に予備兵などを想定した部分的動員を発表したが、ワグネルによる採用もあり、ロシア市民の事実上の動員はいっそう進んでいる。

「ミグ29」の供与でいっそう混沌となるウクライナ戦争

一方、欧米によるウクライナ軍事支援も、最近ではフェーズが変わってきている。ポーランドのドゥダ大統領は3月半ば、ウクライナに対して旧ソ連製の戦闘機「ミグ29」4機を供与すると明らかにした。これまで米国など西側諸国はウクライナへ軍事支援を続けてきたが、戦闘機の供与はNATO諸国でポーランドが初めてとなった。また、スロバキアのヘゲル首相もウクライナへ「ミグ29」13機を引き渡すことを政府として承認したと発表した。

欧米諸国はこれまで武器を中心にウクライナへ供与を続けてきたが、最近は米国の主力戦車M1エイブラムスやドイツのレオパルト2、英国のチャレンジャー2など最新鋭の戦車300以上が供与されることが決定するなど、ウクライナ戦争は欧米とロシアの代理戦争の様相を呈してきている。しかし、米国は戦闘機F16のウクライナへの供与には否定的な立場を崩していない。

だが、戦闘機の供与を巡ってウクライナ戦争はよりいっそう混沌とし、敷いては第3次世界大戦の繋がりかねない様相だ。大量の戦闘機をウクライナが保持するようになれば、今後大量のワグネル傭兵たちが犠牲となるシナリオは想像に難くない。ワグネルが3万人も追加募集するということは、それだけロシア側の劣勢が顕著になっていることの裏返しであり、さらなるロシア側も劣勢によってプーチン大統領がこれまで以上に挑発的な行動に出る可能性がある。

新庄監督も穏やかじゃない。新球場エスコンフィールドに不釣り合いな日本ハム「超小粒」戦力

30日、日本ハムvs楽天で開幕したプロ野球2023年シーズン。本拠地の新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」での初陣を飾れなかった日ハム・新庄剛志監督は試合後、悔しさを隠し切れない様子だった。BIGBOSSとして指揮を執った昨シーズンは9年ぶりの最下位に甘んじたチームだが、今季は「優勝」を宣言した新庄監督。新球場に加えて平均年齢22・5歳の超若手チームに期待の声も多かった。しかし、現実的には非常に厳しいシーズンが予想されそうだ。

スケールのでかい球場に不釣り合いなチーム

総事業費約600億円を投入し完成した「エスコンフィールドHOKKAIDO」は、日本のプロ野球の球場としては異例の環境だ。フィールドが一望できる球場内ホテルがあるだけでなく、試合を観戦しながら温泉に浸かることも、サウナに入浴することもできるというスケールの大きさで、「まるでメジャーの球場みたい」「野球に興味はないけど行ってみたい」と注目を集めている。

だが、新球場とは異なり、チームのスケールはなんとも小さいのが現実だ。

「若いチームだから仕方ない部分はあるにせよ、今年も最下位が濃厚なのではないか」と語るのは、スポーツ紙の記者である。

「新庄監督は早くから、チームの4番に高卒5年目の有望株・野村佑希選手の起用を明言しました。確かに、暴力問題で巨人に移籍した中田翔選手が座り続けた時代に比べると風通しも良くなったでしょうけど、チームとしての小粒感は否めません。強豪揃いのパ・リーグですから、このままでは今年も最下位になる可能性が高いと思います」

日本ハムといえば、2017年に7球団が競合した末に入団した清宮幸太郎がおり、昨日は5番ファーストで出場。あわやホームランかという当たりのツーベースを放った。しかし前出の記者の表情は暗い。

「昨シーズンに監督の指示で減量を行い、結果的に一軍で完走しましたが、本来ならば彼が4番としてチームの顔になっていなければいけないとは思います。同期の三冠王・ヤクルトの村上宗隆選手のようにとまでは言いませんが、せめて“若いチームを引っ張る主砲”の立ち位置になってもらいたかったですね。体格がスッキリしたせいもあり、随分と普通の選手になったな……が正直な感想です」

「正社員には推薦しない」でうつ病になった契約社員が会社を訴えた結果

会社の人事評価に振り回されるビジネスパーソンは多いと思います。「もし悪かったら…」なんて考えると不安になるものですよね。実は、この人事評価で裁判に発展したケースがあると今回の無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』の著者で特定社会保険労務士の小林一石さんが紹介しています。評価面談の際の上司の“伝え方”が争点になったようです。

「上司の不適切な面談」で労災は認められるのか

例えば、ある試験に落ちたとします。みなさんだったらどう感じるでしょうか?

もちろんショックを受けたり落ち込んだりはするかも知れませんが特に重要視していない試験だったり受かるつもりもなかった試験であれば、それほどショックは無いかも知れません。

逆に「受かると思っていた試験」に落ちたらかなりのショックなのではないでしょうか。

同様に「映画を観たら面白くなかった」「面白そうと思って観た映画が面白くなかった」場合や「食べてみたら美味しくなかった」「美味しそうと思って食べてみたら美味しくなかった」場合なども、前者より後者のほうが精神的なダメージは大きいでしょう。

これは人事評価についても同じことが言えます。

それについて裁判があります。

ある会社で、業務が原因でうつ病になったとして労災を申請した契約社員が、労基署が労災と認めなかったため裁判をおこしました。

そこで問題になったのが上司や社長との面談でした。

その契約社員は正社員になるために必死に勉強して資格を取得し、日頃は上司から良い評価をもらっていたにも関わらず、いざ面談で「正社員には推薦しない」と言われたというのです。その精神的なショックでうつ病を発症したと訴えました。

ではこの裁判はどうなったか。

「浪費癖」と「借金」にまみれた野口英世が、それでも周りから感謝されたワケ

千円札の顔となっている野口英世。彼が成し遂げた偉業は有名ですが、どのような人生を送ったのかについてはあまり知られていないかもしれません。メルマガ『歴史時代作家 早見俊の無料メルマガ』では、時代小説の名手として知られる作家の早見さんが福島にある野口英世記念館に赴いた際の体験を語っています。

野口英世と篤志家

先日、福島県猪苗代にある野口英世記念館を見学しました。親切な読者さんの紹介で館長にご案内頂き、野口博士の偉業に接することができました。記念館は今も大勢の来館者があり、筆者が訪れた時も修学旅行の生徒さんで一杯でした。

貧しい農家に産まれ、左手に大火傷のハンデイキャップを抱えながら、類まれなる努力と行動力で世界的な細菌学者となった野口英世博士の生涯は広く知られています。小学生の頃に読む偉人伝には不可欠、偉人伝以外でも渡辺淳一作、『遠き落日』を読んだ方も多いと思います。

館長は野口博士の小学校時代の学友であった八子弥寿平氏の御令孫でいらっしゃいます。八子家に伝わる野口博士の興味深いエピソードをお聞かせくださり、博士が帰国した際に遺された書も拝見することができました。

野口博士の負の部分、浪費癖と借金について様々な書籍で記されていますが、貸した人たちは返ってこなくても恨んでいなかったそうです。むしろ、みな、誇らしかったとか。

たとえば、映画『遠き落日』で猪苗代に帰郷した野口英世がお世話になった八子家を訪れ、土産の金時計を渡しますが、弥寿平氏の母親からこんなもの、と放り投げられるシーンがあります。

映画では莫大な金を借りておいてこんな物でごまかすのか、という怒りの描写でしたが、館長によると、これはフィクションだそうです。事実は金時計を貰い、八子家は感激したとか。その上、立派な書まで書いてもらい、感謝しかなかったのでした。

八子家の他、猪苗代の人々は、博士を郷土の誇りだと大歓迎したのです。

館内には有名な手紙、母親シカさんから博士に会いたい、帰って来ておくれと書き送った手紙、が展示されています。誤字混じりのたどたどしい文章ですが、それだけに息子への深い愛情が感じられ、目頭が熱くならない人はいないでしょう。