世界のトヨタを猛追。中国が「世界最大の自動車輸出国」になる日

早ければ2023年にも、日本を抜いて世界最大の自動車輸出国になる見通しの中国。日刊で中国の自動車業界情報を届けてくださるメルマガ『CHINA CASE』では今回、中国自動車情報サイト「盖世汽車」の周暁鶯CEOが行った講演をもとに、中国の自動車業界が「トヨタ、VWなどの世界大手」を猛追する構造を解説しています。

中国が日本を抜き世界最大の自動車輸出国へ、早ければ23年にも

中国自動車情報サイト「盖世汽車」の周暁鶯CEOは2023年3月14日、2023年第4回ソフトウェアが自動車を定義する(SDV)フォーラム及びAUTOSAR中国デーで講演、同社のシンクタンク部門の研究結果としての、2030年までの新車販売パワートレイン比率、ADAS及び自動運転車比率などの情報を開示した。

その中で中国は2022年、自動車輸出が311万台に達し、これは2025年には530万台となり、早ければ2023年にも日本を抜き世界最大の自動車輸出国になるとの見通しを示した。

26年にBEVが主流に

それによれば2030年、中国新車販売におけるガソリン車比率は19%にまで低減、その時最大のシェアを誇るのはやはりBEVであり、43%となる。2026年に比率上、BEVがガソリン車を上回ることになる、という。

一方で、今後急拡大するのはフルHEVとPHEVであることもデータから見て取れる。2022年に21%だったBEVは2030年に43%と倍増以上にシェアを拡大しているが、フルHEVは22年の4%から2030年には13%と3倍以上、PHEVは同じく5%から2030年には16%以上とやはり3倍以上拡大している。

それに比べると、現状中国で盛んに新規参入があり、ホットスポットになっているレンジエクステンダー(REEV)は同じく1%から2030年には4%と4倍以上に拡大はしているものの、2030年におけるシェアは引き続き小さい。

中国ではPHEVとREEVのそれぞれの優位性による議論が絶えず、このデータはそこに一石を投じる可能性がある。

中国でさえADASが主流

ADASの浸透状況については、2030年までに新車販売の75%に自動運転レベル2程度のシステムが搭載される見込みであると読む。

一方、それ以上の、より自動運転に近づく自動運転レベル3や、自動運転レベル4/5については、それぞれ6%と3%にとどまり、まだまだ小さな市場となりそうで、中国とは言え、乗用車分野の新車販売において、自動運転が急速に普及することはなく、主流はADASと結論付けるデータになっている。

今回の講演で、周CEOは現状の中国自動車業界を三つのカテゴリに分け、「米テスラ、蔚小理等の純粋な新興勢力」「AION、ZEEKR等の従来中国OEM新ブランド」「トヨタ、VWなどの従来世界大手」とし、新興勢力や従来中国OEM新ブランドがソフトウェア方面に力を入れ、従来世界大手を猛追している構造を示唆した。

出典: https://auto.gasgoo.com/news/202303/14I70333957C108.shtml

この記事の著者・CHINA CASEさんのメルマガ

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帆立の貝殻が「歯磨き粉」に生まれ変わる?注目のアップサイクル市場とは

最近聞くことも増えた「アップサイクル」という言葉、皆さんは知っていますか? なんとなく、「SDGsに必要な取り組み……」くらいの知識しかない人も少なくないはずです。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、著者の佐藤きよあきさんが、その内容を具体例を用いて詳しく解説しています。

廃棄物を売るための魔法「アップサイクル」。付加価値が生まれ、高く売れる!!

「アップサイクル」という言葉を最近よく見掛けます。

SDGsに繋がる取り組みとして、注目を集めています。

本来であれば、価値がないとされてきたモノ、すなわち廃棄されるモノに、新たな価値を生み出し、循環型社会を実現するものです。

消費社会では、その製造過程で大量の廃棄物が出て、その処理にはエネルギーや公害の問題がつきまといます。

特に注目されるのが食品廃棄物、“食品ロス”とも言われます。

日本の場合、農林水産省によると、食品廃棄物は年間2531トン。

そのうち食品ロスは600万トンで、国民1人あたりに換算すると、1年で47キロにもなります。

これだけのモノが捨てられていることに、平気でいられる人はいないはず。

そこで、その解決策のひとつとして、「アップサイクル」という考え方が生まれたのです。

商習慣や食品販売制度などによって、使用されなかった食品原料や製造過程で生じる切れ端などをアップサイクルで生まれ変わらせる取り組みが始まりました。

たとえば、需要が少なく、廃棄せざるを得なかった鶏のレバーやハツを、レバーパテや生姜煮、アヒージョ、レバー焼肉、ヤンニョムレバーなどの缶詰にして、販売している企業があります。

また、廃棄されるはずのブロッコリーの茎や大根の皮をココナツオイルで揚げた野菜チップスもあります。

日本の食品廃棄の約20%が食品メーカー由来なので、今後、こうした企業はますます増えることでしょう。

アメリカでは、ビールを製造する過程で出てきた、大麦の絞りカスを使って、植物性ミルクを作っています。

コールドプレスジュースを製造する過程で廃棄される野菜の絞りカスを利用したチップスも。

オーストラリアでは、コーヒーの実(コーヒーチェリー)を使い、スーパーフードのエナジーバーを作っています。

「ChatGPT」をビジネスに導入したい部下とAIを信じられない上司

今話題のChatGPTを業務に取り入れている企業も増えてきましたが、まだまだ「受け入れ難い」といった声があるのも事実。メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』著者で、世界的なコンサルティング会社マッキンゼーで14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんのところには、「仕事に活かしたいのに上司がAI不信で理解してくれない」という相談が届いています。赤羽さんはどう回答したのでしょうか?

今話題のChatGPTを仕事にも活かしたいと考えていますが、上司が全く理解してくれません。「そんなものを使って何になる、ウソばっかりつかれるぞ」という感じです。どう説得すべきでしょうか

Question

shitumon

経営改革部門にいるので、今大変な話題になっているChatGPTをぜひ仕事にも活かしたいと考えていますが、上司が全く理解してくれません。元々ITにあまり強くない人で、スマホも何とかかんとか使っているレベルです。メールの返信もすごく遅かったりします。ただ、ChatGPTについてはどこからか聞きかじっていて、まだ使えない、ただのおもちゃだと思いこんでいます。「そんなものを使って何になる、ウソばっかりつかれるぞ。だいたいAIというのはな、ほとんど詐欺なんだよ。賢いふりをして適当なことを言うからな」と一方的な感じで聞く耳がありません。こういう上司にはどう接してどう説得すればいいのでしょうか。

 

赤羽さんからの回答

ご相談どうもありがとうございます。大変ですね。

通常、こういう人に言っても無駄なので、隠れて進めるか、別の説明をするか何か適当に進めておくしかありません。ただ、ChatGPTは使い方次第で結構素晴らしい結果も出しますので、それを見せて上司を驚かすのはいかがでしょうか。

このタイプの上司はかなり単純なことも多いので、いっぺんで熱心なファンになるかもしれません。

進め方です。

職場で使い始めると茶々が入るので、毎晩自宅で1時間くらい使って使い慣れます。残業代がとか言うより、ChatGPTに習熟するほうがはるかに価値がありますので、気にしないでください。

無料のChatGPT(3.5)で十分ですので、何度も命令してみて、現業務にどう活かせるか試してみてください。目途が立ってから職場で使い始めましょう。

例えば、

・謝罪文のドラフトをつくってもらう
・ウェブ記事などのサマリーをつくってもらう(日本語で、英語で)
・海外支社向けの英語資料の翻訳をしてもらう
・箇条書きをパラグラフにあるいはその逆をしてもらう
・競合企業の最新情報を経営者的視点でまとめてもらう
・会社ブログの効果的なタイトルを50挙げてもらう
・社内報の原稿を1,000字で書いてもらう

などですね。これらは、今のChatGPTが得意とするところですので、自宅で数回ずつやって操作に慣れてから、上司の目の前で実演するとよいと思います。

気をつけるべきは、ChatGPTを魔法の杖と勘違いして、とんでもない短納期で山のような仕事を押しつけてくることです。

今、何ができて何はできないか、躊躇せず、上司に説明しましょう。

ご注意ください。

この記事の著者・赤羽雄二さんのメルマガ

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知る人ぞ知る?端午の節句に「菖蒲」が関連するのはなぜなのか

桜の季節となり、春を感じるこの頃。日本人は古来から四季の移ろいを生活文化に取り入れてきました。今ではなくなってしまったものも多いですが、『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、高千穂神社の宮司さんが語った日本文化に基づいた「本来あるべき生き方」についての思いを紹介しています。

天地自然を崇拝し、生活を営んだ日本人

古来、日本人は季節の移ろいを敏感に感じ取り、それを生活文化として昇華させてきました。

『致知』4月号の「巻頭の言葉」では、日本神話ゆかりの地・高千穂神社宮司の後藤俊彦氏が「悠久なる歴史や日常の暮らしを見直し、本来あるべき生き方を考える」をテーマに思いを綴られています。

日本文化に基づいた本来あるべき生き方とはどのようなものでしょうか。

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年立ちてまづ汲みあぐる若水のすめる心を人は持たなむ

この和歌は年の始めを尊ばれた大正天皇の御製である。

昇る太陽も汲む水も常に変わらないが、私共はそれを新年には初日と呼び、若水と称たたえる。年が改まれば天地自然もまた神聖な命が蘇ると信じているからである。

「冬来たりなば春遠からじ」というが、1月から3月にかけて時は瞬く間に過ぎてゆく。日本人が季節の移ろいを感じとる感性が鋭いのは、変化に恵まれた四季の風土に生き、人と自然の間に一線を画すことなく一つの生命体として捉えてきたからだろう。

キリスト教にもイースター(復活祭)などの四旬節があり、自然を愛し尊ぶ心は世界の人々に共通しているが、それを五節句や年中行事として生活文化にまで昇華させてきたところにわが国の国風のようなものを感じる。

例えば、花粉が飛散し病気が流行りやすい3月は桃の節句である。わが国では伊邪那岐命が桃の実を投げて黄泉の国の悪鬼を追い払った神話等の記述から、古来桃には邪気を祓うとの信仰があった。

平安時代には紙や木片で作った人形で体を撫で、息を吹きかけて身の穢れや禍いを落とし、川に流して身を清める「流し雛」であったが、市民文化が成熟してくる江戸時代の中頃から観賞用の立派な雛人形が飾られるようになった。

5月は梅雨の季節で田植え月である。労働で疲れた身体を病気から守るために、この時期に根が薬用植物である菖蒲を刈り、軒に吊したり菖蒲湯に入ったりして無病息災の祈願をした。

菖蒲は尚武と音が同じことから、雛祭りに対して男子の節句として定着した。

このような行事は季節ごとの農耕生活の節目とも重なり、人々の健康を守り、稲の生育から子供の成長に至る大自然の生生化育に適っているように思われる。

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「お似合いです」だけじゃダメ?できる販売員がやっていること

洋服を買いに行ったとき、ショップの店員から「お似合いです」の言葉をかけられた経験を持つ人、とても多いのではないでしょうか? 気分は良いものですが、同時に「どうせお世辞だろ」と感じるケースも少なくないはずです。今回のメルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんは、アパレル業界は昔から「客に似合わないことを伝えられると良いと言われる」と紹介しています「似合わない」をどう伝えれば良いのか? 解説をご覧ください。

似合わないことを伝えるのは難しいという話

アパレルショップなどでは、店員がお客様に対して、「お似合いですよ」と伝える機会が多くあります。

ご試着をされた際などに、似合っていることを伝えて、購買意欲を高めようという意図でしょう。

似合うの褒め方がどうとかはありますが、まずほとんど多くの人が意識してやっていることのひとつだと言えるように思います。

でも業界的に昔からよく言われることもあります。

それは、「似合わないことを伝えられると良い」という話です。

お客様に本当に似合っているならば似合うと言えば良いものの、似合っていないようならば、正直に「似合わない」ことを伝えるとお客様からの信頼にもつながるという逸話です。

確かにこれは一理ありますし、僕も経験上きちんと似合わないことを伝えられた方がお客様も納得してくれるようなことは何度もありました。

でも現実問題としては、「似合わない」と伝えるのにはかなりの壁が立ちはだかります。

ここには「伝える勇気」なども含まれるのですが、より強いのは「どう伝えれば良いかわからない」という意見です。

下手に似合わないことを伝えると気分を害されてしまう心配がありますし、うまく表現ができない人も多いのではないでしょうか。

そこで考えていただきたいのが、2つのポイントです。

1.自分の趣味嗜好で伝える
2.代替案を出す

まずひとつは、ここで言う「似合わない」は、販売員である自分の趣味嗜好の前提であると伝えることです。

例えば、「僕の好みの話になってしまうのですが、個人的には、お客様向きじゃないかと思います」のような表現ですね。

お客様がどう感じているかがわからない時などは、一般論としてではなく、あくまでも「私の好み」を理由として伝えると、そこまで不快感なく伝わりやすい場合があります。

直接的に「似合いませんね」という言葉を使うのではなく、より柔らかい表現を使うのも鉄則です。

と同時にこれだけだとまだ足りません。

そこでふたつ目の「代替案を出す」ことが考えられます。

Aの商品が似合わない時には、Bという選択肢があることを伝えるわけです。

先ほどの例であれば、「僕の好みの話になってしまうのですが、個人的には、こちらの商品よりも(今試着している商品)、Bの商品がお似合いになるかと思います」のような伝え方でしょうか。

直接的な「似合わない」がより薄まり、代替案としてさらに似合う商品があることを伝えています。

でも結果的には「似合わない」ことを暗に伝えている表現にもなるのです。

僕が伝える時はこういう考え方で伝える機会が多いですが、これもお客様によって変わる部分です。

あなたなりの「似合わない」を伝える表現方法を持っておくと、よりお客様の信頼を勝ち取れるきっかけになるかもしれませんよ。

今日の質問です。

・「似合わないこと」をお客様に伝えるのは、どのような意味があると思いますか?
・実際に似合わないと伝えるためには、どのような表現ができると良いですか?

出典:メルマガ『販売力向上講座メールマガジン

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過去最大の赤字「楽天グループ」の資金繰りは本当に大丈夫なのか?倒産リスクを徹底検証

2月14日に行われた決算発表で、過去最大となる3,729億円の赤字計上を報告した楽天グループ。モバイル事業が大きく足を引っ張っていると伝えられますが、同社の倒産はあり得るのでしょうか。今回、楽天の状況を事業全体とキャッシュフローの観点から考察しているのは。財務コンサルティング等を行う株式会社ファインディールズ代表取締役で、iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授の村上茂久さん。村上さんは楽天が巨額の赤字となった理由を解説するとともに、今後の経営を左右するポイントについて考察しています。

プロフィール:村上茂久(むらかみ・しげひさ)
株式会社ファインディールズ代表取締役、GOB Incubation Partners株式会社CFO。iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授。経済学研究科の大学院(修士課程)を修了後、金融機関でストラクチャードファイナンス業務を中心に、証券化、不動産投資、不良債権投資、プロジェクトファイナンス、ファンド投資業務等に従事する。2018年9月よりGOB Incubation Partners株式会社のCFOとして新規事業の開発及び起業の支援等を実施。加えて、複数のスタートアップ企業等の財務や法務等の支援も手掛ける。2021年1月に財務コンサルティング等を行う株式会社ファインディールズを創業。

モバイルで赤字に陥っている楽天グループ。資金繰りは大丈夫なのか?

2月に発表された楽天グループ株式会社(以下、楽天)の2022年12月期の決算は、過去最大の赤字となる3,729億円の当期純損失となりました。前年度の21年12月期でも1,338億円の純損失と大きな赤字の計上となりましたが、22年12月期はその3倍弱となる赤字の計上です。

この赤字の要因は、すでに多くの報道でなされている通り、携帯事業である楽天モバイルによるものです。携帯事業(モバイル事業)の赤字はなんと4,928億円と巨額なものです。

世間ではこのモバイル事業の赤字ばかりに注目されがちですが、一方で楽天全体の事業構成はどうなっているのでしょうか。本稿では、楽天の事業全体とキャッシュフローの観点から2022年12月期の楽天の決算について考察をします。

楽天の3つの事業の柱

楽天の事業といえば、何をイメージしますでしょうか。ネットで買物をする人にとっては、祖業であるEコマースの印象が強いかも知れませんし、投資等をされている方にとっては楽天証券や楽天銀行などの金融事業のイメージが強いでしょう。

楽天の事業は、主にインターネットサービス、フィンテック、そしてモバイルの3つから構成されています。セグメント別で見るとそれぞれの事業の収益はどうなっているのかそれぞれ確認していきましょう。図表1は楽天のセグメントに係る売上収益とセグメント損益をグラフにしたものです。

セグメント別の売上収益において、最も大きな割合を占めるのが、全体の半分強を占めるインターネットサービスです。売上収益は1兆859億円で、セグメント損益は782億円となっています。楽天におけるインターネットサービスは、インターネット・ショッピングモール「楽天市場」をはじめとする各種ECサイト、旅行予約サイト、ポータルサイト等から構成されています。

売上収益で言うと二番目に大きな割合が占めるのが、フィンテックであり、6,634億円となっています。利益の面でいうと987億円も稼いでいて、インターネットサービスよりも稼ぎ頭となっています。このフィンテック事業は、具体的には、銀行、証券、クレジットカード事業等になります。これら2つの事業については、売上収益は増収をしていて好調と言えます。

最後は今回の赤字の主たる要因となったモバイル事業です。セグメント別収益における売上収益は3,687億円で全体に占める割合は17%程ですが、損益で言うと、インターネットサービスとフィンテックの合計1,800億円の利益を大きく上回る4,928億円もの損失を計上しています。

つまり、楽天全体で見ると、インターネットサービスもフィンテックも十分に利益を出している状況ですが、売上収益のわずか17%しかないモバイルが大きく損失を計上しているため、全体として赤字が大きくなっているということです。

世界的エンジニアがGPT4へ質問。人間の職を奪う「人工知能」による失業問題の解決方法はあるか?

その性能の高さが早くも大きな話題となっている、OpenAIが先日新たに発表した対話型AI「GPT4」。多くの人間から職を奪うとも言われる人工知能ですが、当の人工知能はその問題をどう捉えているのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、Windows95を設計した日本人として知られる中島聡さんが、人工知能による失業者増と社会不安についてGPT4と議論した一部始終を公開。中島さんが次々と繰り出す鋭い質問に、GPT4が具体的な取り組みを上げつつ的確に答えています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

人工知能が人間から職を奪う問題を、当の人工知能はどう考えているのか

GPT4がリリースされたので、さっそく、人工知能による失業者の増加と、それによってもたらされるだろう社会不安について議論してみました。


:初めまして。最近、人工知能が人から職を奪い、それが社会を不安定にするのでは、と心配です。

GPT4:初めまして。あなたの懸念は理解できます。最近の技術革新により、人工知能やロボットが人間の仕事を代替できるようになってきていますが、それが必ずしも悪いことではありません。

歴史を振り返ると、技術革新がもたらす仕事の変化は常にあったと言えます。例えば、産業革命によって多くの手作業が機械に置き換えられましたが、それによって新たな産業や職種が生まれ、経済発展に寄与しました。同様に、人工知能やロボットが人間の仕事を代替することで、労働力がより高度なスキルや新たな産業にシフトできる可能性があります。

ただし、この変化に伴う社会的な影響を無視することはできません。一部の人々が失業するリスクがあり、スキルや職種が変わることへの適応が求められます。また、経済格差や教育格差が拡大する懸念もあります。

これらの問題に対処するためには、政府や企業が積極的に取り組むことが重要です。例えば、職業訓練プログラムや教育制度の改革、所得格差の縮小策などが考えられます。

最終的に、人工知能やロボットがもたらす変化は、私たちがどのように対応するか次第で、良い方向にも悪い方向にも進むことができます。社会全体で協力して、技術革新が持続可能な発展につながるよう取り組むことが重要だと考えられます。

この記事の著者・中島聡さんのメルマガ

証拠はなく「結論ありき」。TikTok「スパイ疑惑」再浮上の裏事情

トランプ政権時代に問題視され一旦は収まったTikTokへの「スパイ疑惑」が再燃しています。米議会はTikTokの周CEOを呼び5時間以上にわたり公聴会を実施しましたが、今回もアメリカ側から決定的な証拠が提示されることはありませんでした。メルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、多くの中国関連書を執筆している拓殖大学の富坂教授が、公聴会のやりとりやメディアの伝え方を振り返り、「結論ありき」で証拠を重要視しないのがアメリカの中国批判の一つのパターン、と指摘。今回の騒動の行方を探っています。

アメリカはどこまで本気でTikTok排除の損得を考えているのか

アメリカがやり玉に挙げる中国の「問題」には一つのパターンがある。それは疑惑に対し「ある」とアメリカが断じた証拠が提示されることはないことだ。だからこそ忘れかけていた疑惑が何度も再浮上して耳目を集める。

最近では新型コロナウイルスの武漢ウイルス研究所流出説や中国発の動画投稿アプリ・TikTokに対するスパイ疑惑だ。アメリカ政府や議会がTikTokを目の敵にするのは、その親会社・字節跳働(バイトダンス)が中国の企業だからだ。

こう聞けば日本の多くの読者は「中国企業であれば中国共産党の意向に逆らえないのだから疑って当然だ」と思うかもしれないが、そこまで単純な話ではない。そのことはこの原稿を最後まで読んでもらえれば理解してもらえるはずだ。

TikTokは世界で最もダウンロードされたアプリであり、成長速度も世界最速だ。米メディアは、アメリカだけでも毎月1億5000万人が使用していると報じている。

そのTikTokへのプレッシャーが最初に高まったのは3年前のトランプ政権でのこと。それがいまバイデン政権の下で疑惑が再燃しているのだ。同政権がバイトダンスに突き付けた最後通牒的な条件は「TikTokのアメリカ企業への売却」。もしくは、アメリカ国内でのアプリ使用の「禁止」だ。

議会は23日、最高経営責任者(CEO)の周受資を呼び、公聴会を開いた。周が議会で証言するのは初めてのことだが、公聴会は「説明を聞く場」というより、共和・民主両党の議員たちが立場表明をする政治ショーの場と化した。

5時間に及んだ公聴会を受け、メディアは一斉に「懸念払しょくできず」、「主張に隔たり」、「疑問は解けなかった」と報じたが、そもそも「結論ありき」だったという印象が拭えなかった。

3月24日に放送したNHK「国際報道2023」は、選挙をにらんだ政治的な動きに焦点を当てていたが、それはアメリカのテレビも同じであった。公聴会では議員が発した質問に対し周CEOが答えようとしても、遮られる場面が多くみられ、TikTok側の主張が伝わったとは考えにくかったからだ。

周CEOの主張は主に「中国政府に情報提供をしたこともなければ、求められたこともない」という点と「TikTokの情報は『プロジェクト・テキサス』によりアメリカ企業(オラクル)によって厳しく管理されている」という2点だった。前者に関しては、そういう疑惑に対して「証拠を見たことはない」と反論した。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

統一教会の内部資料で判明。投票してはいけない800名の地方議員

3月23日に9道府県の知事選が告示され、熱戦の火蓋が切られた統一地方選挙。しかしその投票先選びには細心の注意が必要なようです。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では、かつて旧統一教会の信者だったジャーナリストの多田文明さんが、800名もの地方議員が旧統一教会と連携しているという、教団の内部資料で判明した驚愕の事実を紹介。その上で、今回の選挙の結果如何では「教団の国教化」がさらに進む懸念があるとして、有権者に対して候補者の見極めを訴えています。

地方統一選挙がスタート。教団と関係を持つ多数の地方議員の存在が内部資料から明らかに

地方統一選挙に先立ち、3月18日に全国霊感商法対策弁護士連絡会の集会にて「政治家の皆様へ統一教会と関係断絶を求める声明」が発表されました。

声明では「国会議員、地方議員を問わず、政治家(首長を含む)には統一教会との関係断絶」を改めて願うとともに「関係断絶を明らかにするため、その所属する各議会において統一教会との関係を断絶する決議」などを求めています。

今も地方議員のなかには、旧統一教会の関連団体にかかわっている者も多くいると考えられていますので、大事な声明といえます。

教団と連携している国会議員150名、地方議員800名、食口議員44名の内部資料も

同日に行われた集会では報道特集(TBS)の編集長により、教団の内部資料が明らかされました。

それによると「2020年議員渉外拡大と教育目標」にて、現在、連携している国会議員は150名、連携している地方議員は800名いることになっています。しかも、現在44名の食口議員(統一教会の信者議員)がいるとの数字も出ています。

特に食口議員は今回のような旧統一教会の批判くらいでは、びくともしないと思いますので、これらの議員はしっかりと有権者に信者を名乗って出馬すべきです。

「教団との関係を持っていたが、今後一切、選挙運動の支援を受けていない」という声を、800名を超える議員一人ひとりからは、ほとんど聞こえてきませんので、教団の関係が継続している恐れがあります。今後の高額献金、霊感商法などの旧統一教会の被害を再び引き起こさないためにも、有権者に対してしっかりと、その声をあげるべきだと思います。

旧統一教会の元2世信者が、過去に関係のあった首長のリストを作って下さっています。今後、地方議員もアップする予定とのことです。ぜひとも、投票の際の参考にしてください。

議員データベース

この記事の著者・多田文明さんのメルマガ

狙われる日本人。中国「ロシアへの武器供与」がもたらす最悪シナリオ

ワシントン・ポスト紙は3月18日、ウクライナでの戦闘でロシア軍が中国製の弾薬を使用したという情報を報道しました。この問題について論じているのは、外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏。アッズーリ氏は今回、中国によるロシアへの武器供与が世界に及ぼす悪影響を考察するとともに、現実化しかねない「日本にとっての最悪のシナリオ」を解説しています。

中国がロシアへ武器供与疑惑。日中関係悪化を助長する愚行

ウクライナ情勢で緊張が続くなか、ホワイトハウスは18日、弾薬不足に陥っているロシア軍が戦場で中国製の弾薬を使用している可能性に言及した。これが中国から直接供与されたものなのか、もしくは中国製の弾薬を使用する第三国から持ち込まれたものかについては分かっていないが、中国やロシアと良好な関係にあるベラルーシから経由してロシア軍に供与されている可能性もある。米国は仮に中国が直接支援しているとなれば、深刻な結果に繋がると警告している。

米政府関係者の中では、以前からこれについて懸念が示されていた。2月、ブリンケン国務長官は、「中国がこれまでロシアへ供与してきた殺傷力のない装備に加え、殺傷能力のある兵器を供与するとの情報がある」と明らかにし、サリバン大統領補佐官も「中国は依然として武器供与を検討対象から外しておらず、仮に供与すれば大きな過ちである」と警告した。また、北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長も「中国がロシアに武器支援を検討している兆候を確認した」として中国に自制を呼び掛けた。

軍事侵攻を正当化しかねぬ中国の和平仲裁案

中国はこれに対して強く反発し、「戦場に武器を提供し続けているのは米国だ」と武器供与について否定している。中国は2月、「ウクライナ危機の政治解決に関する中国の立場」と題する事実上の和平仲裁案を発表し、全ての国の主権と独立、領土の一体性の保障など計12項目を提示し、核兵器使用や原子力発電所への攻撃に反対するとした。

中国としては和平仲裁案を示すにより、中国の中立性や客観性を内外に強くアピールしたい狙いがあろうが、この仲裁案では大前提となるロシア軍のウクライナ領土からの撤退についてそもそも記されておらず、「このとおりにロードマップを進めると、ロシアによる侵攻がそもそも正当化させることになる」との批判の声が欧米から挙がっている。米国としては、こういった和平仲裁案の課題や中国の狙いを捉え、武器供与の疑惑を排除していないのだろう。