洋服を買いに行ったとき、ショップの店員から「お似合いです」の言葉をかけられた経験を持つ人、とても多いのではないでしょうか? 気分は良いものですが、同時に「どうせお世辞だろ」と感じるケースも少なくないはずです。今回のメルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんは、アパレル業界は昔から「客に似合わないことを伝えられると良いと言われる」と紹介しています「似合わない」をどう伝えれば良いのか? 解説をご覧ください。
似合わないことを伝えるのは難しいという話
アパレルショップなどでは、店員がお客様に対して、「お似合いですよ」と伝える機会が多くあります。
ご試着をされた際などに、似合っていることを伝えて、購買意欲を高めようという意図でしょう。
似合うの褒め方がどうとかはありますが、まずほとんど多くの人が意識してやっていることのひとつだと言えるように思います。
でも業界的に昔からよく言われることもあります。
それは、「似合わないことを伝えられると良い」という話です。
お客様に本当に似合っているならば似合うと言えば良いものの、似合っていないようならば、正直に「似合わない」ことを伝えるとお客様からの信頼にもつながるという逸話です。
確かにこれは一理ありますし、僕も経験上きちんと似合わないことを伝えられた方がお客様も納得してくれるようなことは何度もありました。
でも現実問題としては、「似合わない」と伝えるのにはかなりの壁が立ちはだかります。
ここには「伝える勇気」なども含まれるのですが、より強いのは「どう伝えれば良いかわからない」という意見です。
下手に似合わないことを伝えると気分を害されてしまう心配がありますし、うまく表現ができない人も多いのではないでしょうか。
そこで考えていただきたいのが、2つのポイントです。
1.自分の趣味嗜好で伝える
2.代替案を出す
まずひとつは、ここで言う「似合わない」は、販売員である自分の趣味嗜好の前提であると伝えることです。
例えば、「僕の好みの話になってしまうのですが、個人的には、お客様向きじゃないかと思います」のような表現ですね。
お客様がどう感じているかがわからない時などは、一般論としてではなく、あくまでも「私の好み」を理由として伝えると、そこまで不快感なく伝わりやすい場合があります。
直接的に「似合いませんね」という言葉を使うのではなく、より柔らかい表現を使うのも鉄則です。
と同時にこれだけだとまだ足りません。
そこでふたつ目の「代替案を出す」ことが考えられます。
Aの商品が似合わない時には、Bという選択肢があることを伝えるわけです。
先ほどの例であれば、「僕の好みの話になってしまうのですが、個人的には、こちらの商品よりも(今試着している商品)、Bの商品がお似合いになるかと思います」のような伝え方でしょうか。
直接的な「似合わない」がより薄まり、代替案としてさらに似合う商品があることを伝えています。
でも結果的には「似合わない」ことを暗に伝えている表現にもなるのです。
僕が伝える時はこういう考え方で伝える機会が多いですが、これもお客様によって変わる部分です。
あなたなりの「似合わない」を伝える表現方法を持っておくと、よりお客様の信頼を勝ち取れるきっかけになるかもしれませんよ。
今日の質問です。
・「似合わないこと」をお客様に伝えるのは、どのような意味があると思いますか?
・実際に似合わないと伝えるためには、どのような表現ができると良いですか?
出典:メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』
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