読む人の心をざわつかせない。なぜ文筆家は「静かなサイト」を作ったのか?

文筆家の倉下忠憲さんが今月立ち上げたばかりのWebサイト「Knowledge Walkers」。その名の通り「知をわたる人たちの総合サイト」を称するKnowledge Walkersですが、倉下さんはあえて「静かなサイト」として作り上げたといいます。その理由はどこにあるのでしょうか。今回倉下さんは自身のメルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』で、サイトを必要最低限の機能で構成した狙いを解説。さらにその試みが提起するであろう問題を記しています。

静かなサイトをつくる。昨今のWebが騒がしくなりすぎていることに対するアンチテーゼとして

Knowledge Walkers」は、静かなサイトを目指しています。英語で言えばカーム(calm)・サイト。

昨今のWebが騒がしくなりすぎていることに対するアンチテーゼとして、そうした概念を立ち上げてみました。

ではカーム・サイトとは、具体的にどんなサイトなのでしょうか。

■視覚的に静か

まず上げられるのが、視覚的にうるさくないサイトです。Knowledge Walkers(とR-style)をご覧になればわかるように、画像的要素はできるだけ入れないようにしています。書影画像など、入れておかないと読む人がわかりにくいものについては画像を使いますが、「別になくてもいいんじゃね」的なものについては画像を使いません。

また、ボタンをクリックしたときの動作などUI的なアクションも省きました。大きな動きがまったくないサイトは、使っていても認知的に静かなものです。同様にサイドバーにもフッターにも何も情報がありません。ただ、画面の真ん中にテキストが置いてあるだけです。

以上のように、サイトはただ文章を提示し、読者はそれを読むという以外のことがほとんど何もできないサイトが、カーム・サイトです。

■ごく部分的な広告

上記の発展として、広告的な情報も掲載していません。Googleアドセンスや他のサービスの自動的な広告、画像的な広告、動画的な広告はどのように工夫したとしても「うるさく」なってしまうので、一切を排除しています。

また、たいへん素晴らしい情報が記載されているサイトであっても、本文の段落と段落の間に画像広告が入り込むと途端に認知資源が消耗してきます。読み飛ばせばいいわけですが、人間の「目に入ったものを処理する」力は無意識のものですし、文章を読もうという気持ちが高まっているときほど画像などを無視するのは難しくなります(逆に言えば、ほぼ本文を読んでないサイトでは広告も目に入っていないと言えます)。

だからこそ、文章を読んでもらおうとするのならば、広告的情報は少なくとも本文内に入れるのは避けた方がよいでしょうし、もっと言えば視野には入れない方が良いのだと思います。

これは別に「インターネットに広告を入れるべきではない」という先鋭的な意見ではありません。たとえば、書店で売っている雑誌にはさまざまなページに広告が入っていますが、それがうるさいと思うことはないでしょう。もともと雑誌という媒体が「ぱらぱら読む」ことを想定しているからです。

しかし、文庫本の小説の本文の途中に広告が入っていたらさすがにげんなりするでしょう。

つまり、インターネット上のWebサイトを作る際、そのサイトが何を目指しているのかを考えて広告の有無を判断したほうがいい、という話になります。文章をじっくり読んでもらいたいなら、できうる限り(経済的に無理がない限り、という意味です)広告的要素は減らしていく。少なくとも本文の中に入れ込むようなことは避ける。そういう心がけが必要でしょう。

この記事の著者・倉下忠憲さんのメルマガ

日本の選挙を“つまらない”ものにするボンボン世襲議員の存在

前半戦が終了した統一地方選挙。メルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』の著者でジャーナリストの伊東森さんは、日本の選挙制度の問題について、韓国やフィンランドと比較しながら解説しています。

統一地方選前半戦終了 韓国の世襲議員、わずか5%程度 求められる主権者教育、フィンランドの場合 選挙制度の問題も

第20回統一地方選挙は4月9日、前半戦となる9の道府県知事選と6の政令市長選の投開票を迎えた

大阪の府知事、市長の「ダブル選」は日本維新の会系の大阪維新の会が再び制す。自民党の支持層が割れた保守分裂選挙となった奈良は維新候補、徳島は無所属で新人の元衆議院議員後藤田正純氏(53)が当選を決めた。

与野党対決となった北海道、大分は自民党候補が勝利。神奈川、福井、鳥取、島根の4つの知事選は与野党相乗りの現職が勝利を収めた。

なお、41の道府県議選、17の政令市議選も投票が行われる。結果、道府県議選では女性の当選者が過去最多となった(*1)。

しかし奈良県知事選の結果は、今後、影響が残りそう。現職と県連推薦の元総務官僚が自民党支持層を奪い合い、結果、維新候補の完勝を招く。

元総務官僚は、県連の会長を務める高市早苗経済安全総務担当相の、総務大臣当時の秘書官だった。5選を狙う現職に対し、「世代交代」を訴えた高市氏が押し切った形に。

自民党内では年内の衆議院解散もささやかれるなか、地方組織に“しこり”を残した。

目次

・韓国 世襲議員、わずか5%程度
・求められる主権者教育 フィンランドの場合
・改革待ったなし 選挙制度の問題も

韓国 世襲議員、わずか5%程度

日本の選挙を“つまらない”ものにしている要因の一つが世襲議員の多さだ。日本の衆議院では26%(2017年)で、自民党に限ってみれば40%に達するという(*2)。

また、日本では世襲議員の当選率が7~8割と、極めて高いというデータもある。

一方、来年4月に総選挙を控える韓国のでは、国会議員の世襲議員の割合はわずか5%程度。韓国メディアによると、アメリカ上下両院の6%(2015年)よりも少ないという。

その理由を、韓国建国大学の李鉉出教授(政治学)は、西日本新聞の取材に対し、

「韓国社会は機会の平等に極めて敏感。議員との血縁を特権とすることは許さない」(*3)

と指摘した。公正・公平に敏感な背景には、韓国社会の厳しい競争と兵役があるという。

学歴社会の韓国では子どもの頃から厳しい受験勉強を強いられる。兵役も回避できない国民の義務だ。親などの力によってこうした競争を避け、特別な地位を得ることには強い反発がある」(*4)

とする。

李教授は、

「韓国は植民地支配や軍政から、民主化運動を経て今の政治体制を築いた。既得権益を変えようという意識も強く、世襲もその対象になる」(*5)

と分析する。

求められる主権者教育 フィンランドの場合

主権者教育の在り方も大いに問題がある。日本で主権者教育が“解禁”となったのは2015年。2016年の18歳選挙権実現に向けて通知を出し、1969年から続いていた「政治教育の原則禁止」の方向性から大きく舵を切った。

他方で、いまだ教員に対し、“政治的中立”性を強く求めており、現場の教員は萎縮、一部の私立学校を除き、多くの学校現場では現実的な事象を取り扱うことができないでいる

諸外国の場合は、政党やさまざまな問題・立場を取り扱うことで“政治的中立”を目指す。これを「積極的政治中立性」という。

たとえばフィンランドでは、教員が一方的に教える方式ではなく、生徒が教科書やパソコンなどを使いリサーチを行い、プレゼンテーションをしながら学んでいくスタイルが一般的だ(*6)。

教科書の内容も違う。以下のようなものがフィンランドの教科書に記載されてある。

右翼、またはブルジョアの政党は、自分自身に対する努力と個人の責任を強調しています。彼らの意見では、たとえば、地方自治体は必ずしもすべての基本的なサービスを自社で作成する必要はありませんが、合理的な場合には民間企業からそれらを購入する必要もあります。(*7)

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

年収1,000万もらっているはずの地方議員の実績が見えない不思議

年収1,000万をもらえる地方議員という職業。彼らは何をして、そこまでのお金を得ているのでしょうか。今回のメルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』では、地方議員の現実を現役医師で作家の和田秀樹さんが批判まじりに語っています。

年収1,000万円が当たり前。地方議員というすごい家業

国会議員はともかくとして、地方議員は、とくに世襲の議員は、かなりの数が無投票で当選するらしい。

それで年収1,000万円が当たり前だ。

すごい家業である。

今は維新の公認を受けると自動的に近い形でも当選するようだ。

無投票なりが起こるのは、議員の定数が多すぎるからだろう。

なぜ減らして金を浮かせようという発想にならないのかも不思議でならない。

あと、不思議なのは、実績をみないことだ。

明石の市長はカッとなる癖があって市長をやめたが、人口を増やしたり、人気のある街にしたりで実績はある。

維新は確かに公務員の給料をさげたり、福祉の打ち切りをやって、自治体の赤字を解消するのかもしれないが、当たり前のことだが市民サービスはよくならない。

それ以上に、ウヨク的なことばかり言っているので、中国人などから嫌われて、インバウンドの観光客も、あるいは中国企業も関西にはこなくなった。

このままでは福岡にGDPで抜かれるという予想さえある。

自民党に任せていれば、今後ずっと日本の経済成長もないし、実質賃金はあがらないだろう。30年やって駄目なものは50年やっても同じだろう。

ただ、下がらないので、外国からみたらシャビ─でも、自分たちの生活は維持できていると思えるおめでたい国民に支えられているのだろう。

それと同じで、維新にやらせていたら大阪の地盤沈下はずっと続くだろう。

関西人として情けないとしか言いようがないが、これも民意と思うしかない。

そもそも、維新の上のほうの人たちは関西商人(松井は土建屋の子のようだが、行政相手の仕事が主で、客に頭を下げる必要がなかったようだ)の血が流れていない。

私は関西商人の血筋なので、頭を下げるのはタダというのがしみついている。

中国だろうが、ロシアだろうが、儲かるなら頭を下げる。

そして、後で舌を出していればいい。

日本では、もうしたたかということばが死語になったようだ。

※本記事は有料メルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』2023年4月15日号の一部抜粋です。

この記事の著者・和田秀樹さんのメルマガ

image by: Shutterstock.com

世界中から称賛の嵐。京都橘高校吹奏楽部の演奏に感動するワケ

京都橘高校吹奏楽部をご存知でしょうか? メディアにも多く取り上げられる彼女たちの演技は、動画サイトにもアップされ高く評価されています。メルマガ『j-fashion journal』の著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんは、京都橘高校吹奏楽部の動画はなぜ感動するのか、その理由を探っています。

1.京都橘高校吹奏楽部の動画に感動する理由

最近、京都橘高校吹奏楽部の“SING! SING! SING!”の動画を見続けています。何度観ても素晴らしいし、あれだけ激しいダンスをしながら笑顔で演奏するのは生半可なことではありません。しかも音の質がとても高い。

海外からの反応だけをまとめた動画も何本もあり、世界中から驚愕の声が届いています。

「どうしたら、あんな演奏ができるんだ」
「彼女たちが高校生だというのが信じられない、プロではないのか」

等々です。

彼女たちの凄さについて、日本人の私が考察してみたいと思います。

2.中学時代からの憧れ

まず、彼女たちは高校生です。高校生活は3年間しかありません。3年間で完璧に仕上げています。普通ならば演奏するだけで精一杯で、ダンスしながら演奏する段階まで行かないでしょう。それでも、毎年超難関プログラムを完成させ、その伝統を守っています。しかも、一人や二人の天才の話ではなく、100人以上の部員のレベルを上げているのです。

伝統の力というのは非常に大きいと思います。なぜなら、橘高校吹奏楽部に入部してくる新入生はほとんどが中学時代は吹奏楽部に所属しており、優秀な学生たちが集まってきます。彼女たちは、もちろん過去の橘高校吹奏楽部のパフォーマンスを見て、自分もやってみたいと思っているのです。もちろん、全員が経験者というわけでもないでしょう。それでも、強い憧れを持って入部してくることに変わりはありません。

つまり、彼女たちは中学校の3年間と高校の3年間の6年間で世界を驚愕させるレベルに達しているのです。

この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ

社交辞令と演技だらけの日本人の雑談が世界で通用しないのは当然

あなたは、ビジネス相手とどんな雑談をしていますか?今回、無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で土井英司さんが紹介するのは、世界の一流ビジネスマンたちが雑談で話していること、そのポイントを語った一冊です。

スモールトークのススメ⇒『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』

81+GCNCIJvL
世界の一流は「雑談」で何を話しているのか

ピョートル・フェリクス・グジバチ・著 クロスメディア・パブリッシング

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、Googleで人材開発・組織改革・リーダーシップマネジメントに従事したピョートル・フェリクス・グジバチさんが、世界レベルの雑談=スモールトークを論じた一冊。

日本では、雑談というとつい天気の話などになりがちですが、本書で紹介する「スモールトーク」や「ダイアローグ」はそれとは一線を画したもの。

明確な目的意識を持って、「その人に特化した」トークをする、質問をする、自己開示をする、そんなやり方が紹介されています。

以前、外国人とのパーティやイベントを主催してわかったことですが、日本人は、英語ができる方でも、なかなか会話が弾まないことが多い。

なぜなのかずっと疑問に思っていたのですが、本書を読んでその謎が氷解しました。いわく、

日本人の雑談は、「社交辞令」と「演技」と「決まり文句」の3つで構成されている>

なるほど、これでは会話で信頼を得ることはできませんよね。

これから、日本は成長する世界と付き合っていくことでしか成長を実現できなくなると思いますが、そのためには、日本人特有のコミュニケーションではなく、世界標準のコミュニケーションを身につける必要がある。

最低限、第4章で書かれた「6つのNGポイント」はクリアしておくべきですが、それ以上を目指して、実りあるスモールトークにしたい。

大人だけでなく、子どもの教育でもこういうことを教えるべきだと思いました。

Google社内の雑談文化についても言及があり、社内コミュニケーションを改善したい上司や経営者にとっても、興味深い視点が示されています。

早くも終了した「ヌートバー」ブーム。WBC優勝から1ヶ月、メルカリには新品未使用のペッパーミルが…

3月に日本中が熱狂したWBCから早1か月。世界一に輝いた侍ジャパンのメンバーの中でも、存在感が際立っていた選手が2人いる。大谷翔平とラーズ・ヌートバーである。特に、ヌートバーがヒットを放った際に行う「ペッパーミルパフォーマンス」は大きな話題となり、ペッパーミルが爆売れするという現象が発生した。しかし、ブームは“長く続かない”ようである。

“ヌートバーブーム”は終わったのか

多くのスポーツニュースを掲載するWebメディアの編集者はこう話す。

「日本代表だったこともあり、ヌートバー選手の試合情報を取り上げていますが、はっきり言って数字が取れない記事が増えているんです。WBC後のヌートバー関連の記事はアクセス数が良かったのですが、最近はサッパリ。編集部内では『彼のブームは終わったか……』といった話が出ています」

確かに、Yahoo!ニュースを見ると、ヌートバーの試合記事のコメントもあまり盛り上がっていないようである。

「今後もヌートバー選手を取り上げますけど、頻度を下げていくかもしれないですね。反対に、大谷翔平選手の記事は相変わらず絶好調ですよ(笑)」

ペッパーミル使い道ない問題

ミドルネームである「タツジ」や「たっちゃん」の愛称で親しまれるヌートバー。WBC期間中、ネットでは「今後、タツジ情報を追いかける」「たっちゃん、日本でプレーしてくれないかな」といった声があった。もちろん、引き続き応援をしている人は多いだろう。しかし、熱が冷めてしまった人もいるのかもしれない。

「ライトな野球ファン層がメジャーリーグに関心が薄いのは事実。大谷選手くらい派手に活躍すればさすがに興味を持つのでしょうが、『わざわざメジャー情報は追いかけないよ』という人が多いのが現実です。なので、ヌートバー選手の記事が話題にならなくなっても、不思議なことではないのです」(前出の編集者)

ブームといえばもう一つ。ペッパーミル爆売れ現象だ。“ヌートバー効果”で売り上げが増加したと言われるペッパーミルだが、購入者からはこんな声がある。

「ノリで買ったけど、使わないですね(笑)。メルカリで売ろうと思ったけど、みんな同じ考えなのか出品者が多くて売れそうにないから諦めました。まあ、記念に取っておくかな」(東急ハンズで値が張るペッパーミルを購入した30代男性)

男性の言う通り、メルカリには「新品未使用 ペッパーミル」が多数出品されていた。ブームに乗って購入したが、使い道がなく売る決断をしたのか。それとも、WBC前から持っていたペッパーミルを売っているだけなのか。

第二次“ヌートバーブーム”の開幕も?

「ただ、もう一度ブームが来る可能性もあるんです。というのも、ヌートバー選手を獲得したい日本の球団はとても多い。メジャーでは目立つ存在ではないかもしれませんけど、日本に来れば違います。彼自身が『日本のでプレーをする』選択をしてもおかしくはないですよ。そうすれば、第二次“ヌートバーブーム”の開幕は間違いないでしょう」(前出の編集者)

第二次“ヌートバーブーム”の到来は、野球ファンにとって嬉しいものになることは確実だが、果たしてどうなるか?

image by:Jeffrey Hyde, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

後手に回って結局「誤報」。北のミサイルすら見失う自衛隊の役立たず

4月13日、北海道全域に鳴り響いたJアラートの避難を呼びかける音声。結果的に日本への着弾はなく事なきを得たものの、ミサイルを見失った自衛隊の能力が問われる事態となっています。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野さんが、自衛隊の危機察知・対応能力のお粗末さを厳しく批判。軍としての最低限の力もない自衛隊に「敵基地攻撃能力」を持たせることなど無意味でしかない、との厳しい見解を記しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年4月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

敵基地攻撃能力など持つだけ無駄。間抜けな日本の危機察知・対応能力

陸上自衛隊で最強とされる第8師団の司令官以下、中心幹部10名を載せたヘリコプターが4月6日、宮古島周辺で忽然と姿を消し、1週間経ってもどこへ行ったか分からなかった事件と、北朝鮮が13日に発射したICBMらしきものを自衛隊のレーダーが捉えた直後に画面上で見失い、どこへ行ったか分からなくなって、自棄のやんぱちで北海道全域にJアラートを出してしまった出来事とは、全く同質の問題。つまりは日本自衛隊には軍としての最低限のまともな危機察知能力も危機対応能力も備わっていないということである。

こんな有様をそのままにして、いくら防衛費を倍増して最新兵器を買い与えても何の役にも立たないし、ましてや「敵基地先制攻撃能力」など持たせても無駄な戦争を引き起こすだけで百害あって一利もないことが、これでますます明らかになった。

クソの役にもたっていない日本のミサイル探知システム

今回の場合、北朝鮮は午前7時22分頃にロケットを発射し、それからたぶん数分後(と思われるが正式発表がないので不詳)に自衛隊のレーダー網で捉えたが、松野博一官房長官の記者会見での発言によれば「探知の直後にレーダーから消失していた」。

「直後」というのがどのくらい直後で、従って、自衛隊のレーダーがそれを捉えていたのが数十秒なのか数分間なのかも(正式発表がないので)分からないが、その短い間に得られたデータを元に防衛省のシステムが予測軌道や落下地点を自動計算した結果、北海道方面に8時頃に落下する可能性があると判断、内閣官房が7時55分頃になって「Jアラート」を発出した。が、現実にはどこかに何かが落下して来たという確認は取れないまま、落ちて来るならとっくに来ているはずだという時間が過ぎた8時20分頃に「落下の可能性がなくなった」と“訂正”を出した。

問題点は3つ。

第1に、北朝鮮がミサイルを発射したということを日本が自分で察知する能力はなく、専ら米国の早期警戒用の静止衛星に頼るしかない。

偵察衛星には2種類あり、

  1. 高度200km前後の低軌道を飛んで地上の30cmかそれ以下のものまで撮影できるが1日に1回程度巡回するだけのいわゆるスパイ衛星
  2. 3万6,000kmの静止軌道上にあって特定地域を常時監視し、赤外線装置によってミサイル発射や核爆発などの熱源を感知する早期警戒衛星

がある。が、後者は何かしらが発射されたことを赤外線感知するだけ。その情報が、米航空宇宙防衛司令部から横田米空軍基地内にある在日米空軍司令部&航空自衛隊司令部=日米共同作戦センターにもたらされ、やがて米日両軍のレーダーシステムが北のミサイルを捕捉することになるが、地上ないし海上(のイージス艦の)レーダーは地平線から上に出てきたものしか捉えることができないので、それまでに若干の時間差が生じる。

今回の場合は、ICBMの発射実験で、それを真っ直ぐの軌道で撃てばハワイかロサンゼルスかに届いてしまう危険があるので、ロフテッド軌道〔わざと垂直に近い上空に打ち上げる〕で日本海に落としたり、日本列島を飛び越えて北太平洋に落とすなどして発射と制御の精度を試す実験をする。これが実験だったからいいようなものの、本当に日本を攻撃目標としたミサイル攻撃であった場合、こんなにノンビリして、後になって「あれ?間違いでした」とか言っているのでは到底間に合わず、たぶん数分、長くても6~7分程度で核弾頭か通常爆弾を装着したミサイルは日本に届いている。つまり今のシステムはクソの役にも立っていないということである。

さらに、「敵基地攻撃能力」との関係で言えば、そのように敵の対日攻撃の予兆の察知、及び発射の事実確認を自分では出来ずに他国に頼るというのは、ほとんど信じられない能天気で、自国の運命を誰かに預けるという売国的行為でさえある。想像して貰いたい。仮に米国が邪悪な意図を持って、日本と北朝鮮を戦争させたいと思えば、北がミサイルを撃ったというフェイクの初発情報を流せばいいわけで、赤子の手を捻るようにこの国の運命を左右することができる。

だから米国に頼らない完全武装の自主防衛態勢を目指すのか、それとも武力で歪み合う東アジアの安保環境を外交戦略として克服して行こうとするのかが、根本的な選択肢である。

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

欧州は黙認か。中国に台湾侵攻を決意させたマクロンの「余計な一言」

開戦から400日以上が経過した現在も、激化の一途を辿るウクライナ戦争。東部のバフムトでは露軍の優勢が伝えられていますが、ロシア国内では不協和音が響いているようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、ロシアの有力者たちが上げ始めた露軍批判の声を紹介。さらに台湾や中東でも、ごく近い将来に戦火が上がる可能性を指摘しています。

台湾と中東でも上がる戦火。世界が再び迎える戦争の世紀

ロ軍は、バフムトとアウディーイウカ、マリンカの3拠点の攻撃に絞り、徐々に防御の方向にシフトしているのは、先週と同じ。

バフムト方面

ウ軍はバフムト市から撤退して良いが、ワグナー軍とロ軍空挺部隊の多くに損害を与えることに価値を見出している。ワグナー軍は攻撃を市内に絞り、市内中心部を確保しバフムト駅の攻防になっている。プリゴジンは、市内の80%をワグナー軍が占領したと言う。しかし、ワグナー軍がビルに侵入すると、ウ軍は撤退しながら、そのビルごと破壊して行く戦術になっている。

対して、ロ軍は、市内にテルミット焼夷弾を打ち込んで、ウ軍の排除を行っている。しかし、損害無視のワグナー軍が優位になっている。しかし、ワグナー軍は市内の東側での戦闘しか要員を割り当てられていない。他はロ軍空挺部隊であり、その攻撃をウ軍は撃退し続けている。ワグナー軍とロ軍空挺部隊では戦闘能力には大きな差がある。

そのワグナー軍は、徐々に数が少なくなり、市郊外の戦闘をロ軍に交代して、市内東側に移動させたようである。このため、市外での攻撃は減り、ウ軍が優勢になっている。

市外北西では、ボダニウカとクロモベにロ軍が攻撃したが、ウ軍は撃退しているし、市外南西では、ロ軍の攻撃もない。

このような状況であり、プリゴジンは「ウ軍がバフムートを離れる兆候はない」とし、周辺のロ正規軍は、引き続き郊外地区を守り、ワグナー軍を支援するよう求めた。

その他方面

バフムトに兵員を集めていることで、クレミンナ方面やリシチャンスク方面での攻撃が少なくなっている。しかし、クピャンスク方面では、リマンペルシーをロ軍が占領したことで、徐々にクピャンスクに近づいている。

アウディーイウカ周辺で、ロ軍は損害が大きく、攻撃を控えているようである。セベルネだけに攻撃したが、ウ軍に撃退されている。プレヴォマイシケはウ軍が奪還したようだ。

マリンカにもロ軍が攻撃しているが、ウ軍は撃退している。この地点は、数か月攻撃をしているが、ロ軍は前進できないでいる。

宇国防安保委員会のダニロフ氏は、クリミアで発生する謎の爆発について「ウクルオボロンプロム(ウクライナ防衛産業体)は新型兵器の開発やテストに従事しており、何らかの兵器のテストが行われるなら我々の領土で実施されるため、新型兵器のテストがクリミアで実施される可能性を否定できない」とした。また、クリミアのロ軍が、塹壕を掘っても絶対に助からないとした。

この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ

腰抜けニッポン。中国の邦人“不当拘束”に抗議が「控え目」な岸田政権

中国で相次ぐ、不当と言っても過言ではない外国人の拘束。現在も5人の日本人が満足な説明もなく収監されていますが、国内メディアではほとんど取り上げられないのが現状です。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、NYタイムズが伝えた6年間服役させられていた邦人に関する記事を紹介。その上で、腰が引けていると思わざるを得ない日本外交の弱さを疑問視しています。

中国に拘留される日本人

大手製薬メーカーのアステラス製薬社員が中国でスパイ容疑で拘束されました。

これに関連してNYタイムズが4月13日に記事を出しています。

スパイ容疑で中国に拘束されて昨年10月に帰国した鈴木英司氏に関するものです。

スパイ容疑で日本人を拘束する中国

 

鈴木英司さんは、スパイ容疑で中国の刑務所に6年間服役していた。氏は「日本は自分を裏切った」と言った。

 

中国の外国人に対する投獄を数値化することは難しいが、北京は異常に多くの日本人をスパイ容疑で拘束しているようだ。

 

日中友好団体の元会長である鈴木氏の場合、逮捕されたのは2016年の中国への旅行中で、1983年に初めて中国を訪れて以来、200回以上訪れていたうちの1回であった。

 

これらの訪問で、彼は多くの中国の学者やトップと親しくなり、李克強前首相にも2度会ったという。その後、大学で中国に関する講義をしたり、戦後の日中関係正常化に関する本を翻訳したりしている。

 

しかし、中国が外国人に対する警戒心を強めるにつれ、そうした人間関係や資格が彼を疑いの対象にしたと彼は言う。

 

日本の大学から帰国した中国人教授20人近くが逮捕されるなど、中国政府が中国に関する学術研究を統制しようとする動きを強めている中で、鈴木氏は自分が標的にされたと考えている。

 

鈴木さんは北京から帰国する準備をしていたところ、私服の男たちにバンに放り込まれ、7カ月間、非公式に拘束され、取り調べを受けた。

 

その間、部屋の電気は寝ているときも消されることはなく、太陽は一度だけ、わずか15分ほどしか拝めなかったという。

 

日本の領事は月に1度、鈴木さんを訪ねてきた。

 

しかし、彼らはほとんどサポートをしてくれなかったという。外交官の一人に、自分のことを公表してほしいと頼むと、叱られたそうだ「“これ以上有名になりたいのか”と言われました」

 

昨年10月、ようやく帰国した彼は、自分の拘束についてほとんど誰も聞いていないことに気づいたという。

解説

私も鈴木氏が中国から帰国したことはニュースで知っていたのですが、それほど大きな話題になることもなかったという印象です。

日本のマスコミの中国に対する忖度があったのかもしれません。

鈴木氏にすれば「北朝鮮の拉致被害者と同じようなものではないか。なぜもっと大きく取り上げてくれないのだ」という気持ちがあったのでしょう。

今回、アステラス製薬の社員の拘束で、あらためて中国に6年間拘禁された鈴木さんにNYタイムズがスポットライトを当てた形です。

この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ

中国と韓国にも喰われる始末。なぜ日本の製造業はここまで凋落したのか?

かつては世界が羨み嫉妬した経済大国も今は昔。その凋落ばかりが語られ国民生活も苦しくなる一方の日本ですが、なぜ我が国はここまでの惨状に陥ってしまったのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、国際データを読み解きつつその原因を考察。そこから明らかになったのは、製造業の労働生産性の低下を招いた「ある理由」でした。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2023年4月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

なぜ日本の製造業は中国、韓国に喰われたのか?

日本経済は、バブル崩壊以降低迷していると言われています。特に平成時代は、「失われた30年」とさえ言われ、世界における日本の存在感は年々薄くなり、国民生活は年々厳しくなっています。

バブル期には、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とも言われ、日本は世界経済を席巻する存在でした。日本の工業製品は世界市場で圧倒的な強さを示し、電化製品や自動車は世界中に溢れていました。

そして日本の経済成功により溜まりに溜まったジャパンマネーは、世界経済の動向に大きな影響を与えるようになっていました。欧米の有名企業を日本企業が傘下に置いたり、世界の主な都市の象徴的なビルディングを日本の企業が買収するようなことも多々見られました。

たとえば、アメリカ・ニューヨークの象徴ともいえる「ロックフェラーセンター」を日本企業が保有していたこともあったのです。ロックフェラー・センターというのは、ニューヨーク・マンハッタンの中心部の約8万平方メートルの敷地に、19の商業ビルを隣接させた複合施設です。

アメリカの大企業家であるロックフェラーが、その財力によって1930年から建設を始めたものであり、アメリカの豊かさを象徴する建造物群でした。

またベルリンの壁の跡地には、日本のソニーが巨大な複合商業施設「ソニーセンター」を建設し、ベルリンの新しい名所ともなっていました。

日本の一人勝ち状態は、世界の羨望とともに「日本バッシング」として、激しい批判を浴びることもありました。

現在では、そういう話は完全に過去のものとなっています。日本の工業製品は世界市場から次々と退場していき、中国、韓国、そのほかの新興国にその座を奪われつつあります。かつて日本は、世界の工場と言われたこともありましたが、その名称は今は中国や東南アジア諸国のものになっています。

ロックフェラーセンターもソニーセンターも、その大半が日本企業の手から離れています。本当に日本経済は低迷しているのでしょうか?もしそうならば原因は何なのでしょうか?

今号から数回に分けてそれを国際データから読み解いていきたいと思います。

この記事の著者・大村大次郎さんのメルマガ