ウィル・スミスは逮捕寸前?ビンタ事件で浮き彫りになった日米間の相違とは

世界中で話題になっている、先日のアカデミー賞授賞式でのウィル・スミスの平手打ち事件。ロサンゼルス市警察はウィル・スミスを逮捕する準備をしていたとCNNが報じるなど、一連の騒動は“事件”として扱われていました。しかし、日本ではウィル・スミスを擁護する意見が多かったことは周知の通りです。そこで今回は、メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』著者でニューヨークの邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋克明さんが、ウィル・スミスのビンタ事件でわかった日米間の相違について語っています。 

 

ウィルのビンタに見る日米間の相違

日本でも(もちろん世界中でも)かなり話題になっています。俳優ウィル・スミスの「アカデミー賞、平手打ち事件」。事件なんて書くと誤解されそうですが(笑)。今回は、実は、本当に「事件」になるかもしれない、というお話。

映画くらいしか趣味のない僕にとって、毎年この時期の世界最大の映画の祭典「アカデミー賞授賞式」のテレビ中継を生で鑑賞することは1年を通して、最も楽しみなイベントのひとつ。開始前から実際の映画鑑賞のごとく、飲み物、スナックを用意し、正座をしつつ、万全の体勢でテレビの前に臨みます。正座は嘘だけど。

誰に頼まれたわけでもないのに、勝手にひとりでノミネート作品の中からどれが受賞するのかを予想して一喜一憂しています。最低限でも「作品賞」にノミネートされた作品は、すべて観ている状態にしたいのですが、さすがに外国語映画賞までは全部フォローできない。ニューヨークでは未公開作品もあるからです。今回、作品賞にノミネートされた9作品のうち8作品は鑑賞していました。

いきなり本題とは関係ない話ですが、いつも不思議に思うのですが、ノミネート作品を全部観ていないのに受賞作品を予想しているユーチューバーや、一般人が存在するのは、なぜ?観ていないのに、どうして予想できるのか。

多分、本職の映画評論家の方々の意見に影響されて、バイアスがかかっている状態での予想の、そのまた予想なのだと思うのですが、あんまり意味ないんじゃないかなと思うわけです。余計なお世話だけど。

当然、日本において今年のアカデミー賞の話題を独占したのは、日本映画史上初の作品賞にノミネートされた『ドライブ・マイ・カー』だったことは言うまでもありません。ノミネートされた途端、劇場に足を運ぶ人が急増したことがニュースになりました。

いや、もちろん、世界的に評価されたのだから劇場でかかっている間に実際に見ておきたいと思うのはとてもいいことだと思うのです。映画ファンとしても、「映画館冬の時代」と言われている今、観客動員が増えることはとても喜ばしいことです。

ただ、それらの方々が観終わって、SNSで急に大絶賛するのは、少し、見ていて滑稽に感じました。余計なお世話だけど。

 

もはや時代遅れ?メイドインジャパンに拘る日本を世界が失笑するワケ

「国産は信用できて、中国産は信用できない─」そうした思いを抱いている日本人は多いでしょう。しかし、時代が大きく動いている今、かつての思想は改める必要があるかもしれません。今回、中国出身で日本在住の作家として活動する黄文葦さんは自身のメルマガ『黄文葦の日中楽話』で、 中国産に対するステレオタイプを変えなくてはいけないとして、その理由を語っています。

 

何故日本人がいまだに「国産」に拘っているのか

22年前、当方が日本に来たばかりの時、日本人が日本製に愛着を持っていることが羨ましかった。国産が一番いい、一番信頼できる。その年代、中国では逆であった。中国人は外国製品にとても憧れ、国産よりずっと優れていると考えていた。

最近、自宅の近くに新しいレストランがオープンしたのだが、その店の看板には、「すべて国産の食材を使用している」と書かれている。何故日本人がいまだに「国産」に拘っているのか理由を考えずにはいられない。今の時代に、「国産」「日本製」について、日本人は再認識する必要があるのではないか。

「国産」「日本製」に関する中身が変わっている。日本製は単純な日本製ではなくなった。例えば、日本の腕時計メーカーのブランドの腕時計でも、部品の製造、組み立て、検査を中国で行う。日本製のムーブメントを使っている限り、「日本製」を名乗れる。

腕時計に限らず、服の生産も同じようなことがある。海外縫製なのに、「日本製」になっている。日本で造られる洋服でも、海外から日本に来た研修生が縫製している。

また、日本のブランド服には、デザイナーは海外出身の方だとか…今の時代、日本製でも、国際協力で完成する場合は多い。産地について、観念を更新する時がきたのではないか。

コロナの前、当方はかつて中国から来日した親友を連れて料理屋さんに行ったら、「中国産は一切使用しておりません」という宣伝チラシを発見した。

親友に日本国産食材の素晴らしさを紹介してあげたら、皆は何となく納得してくれた。「せっかく日本に来たので、やはり、正真正銘な日本産を味わいたい。でも、中国商品は日本では信頼されていないみたいだよね」と言われた。

実際に、日本のスーパーでは中国産食材はたくさんあるはず。多くの日本家庭の食卓には中国食品は欠かせない存在であるはず。多くの日本企業には単に利潤を追求するため中国産食材を輸入したとは簡単に言えないだろう。中国食材を輸入しなければならない。そして、日本のビジネス業界には、内向きの宣伝文をもっと外向きの宣伝文に変えたらいいと思った。

 

黒柳徹子から山中伸弥教授まで。なぜ大物著名人が続々登場する致知出版社「無料メルマガ」から生まれた書籍は30万部以上も売れたのか?

2006年から16年近くにわたって配信を続けている無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』。毎回、日本の財界人からノーベル賞受賞者、国民的スポーツ選手、有名料理人など多くの著名人のインタビュー記事の一部と、読むたびに心を動かされる印象的な言葉や名言を紹介しているメルマガです。2020年に第一弾として、過去に配信されたメルマガの名言などをまとめた書籍『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』が35万部を超えるベストセラーとなった致知出版社さんですが、3月には第二弾となる新刊『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』を発売しました。なぜ著名人の名言を集めた本がこれだけ売れるのか、そして多くの重鎮や有名人に毎回ご登場いただけるのか、さらに長年メルマガを続けられる秘訣など、同社書籍編集部の小森俊司さんにお話を伺いました。

44年も前から続く老舗雑誌、月刊『致知』

──まずは、致知出版社さんについて簡単にご紹介をいただけますでしょうか。

致知出版社・小森俊司さん(以下、小森)弊社の創立は1973(昭和48)年ですが、主力はなんといっても月刊誌の『致知』で、1978年の創刊以来、「人間学」をテーマに44年間にわたって発刊を続けてきました。『致知』は毎月1冊、読者の方へ直接お届けする定期購読誌で、国内外に11万人以上の熱心な愛読者がおられます。

「人間学」という言葉を初めて聞かれる方もあるかもしれませんが、平たく言えば“人間性を高める学び”のことをいいます。雑誌だけでなく、弊社から発刊される書籍もすべてこの「人間学」をテーマとしています。いつの時代にも変わることのない、人間にとって大切な生き方とは何かを主軸にして、出版活動を続けてきました。

発刊わずか1年で30万部を突破した著名人の言葉集

──ありがとうございます。そして、第一弾の1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』ベストセラーおめでとうございます。424ページ、2,500円を超える書籍が1年間で30万部を超えることは異例中の異例だと思いますが、ここまで売れた理由は何が要因だと思われますか?

小森「すべてのページに感動があった」ということではないかと思います。本書は、1日1話1ページの形式で、書名の通り、読めば心が熱くなるお話ばかりを365名分、収録しています。

その中の誰一人として、心が熱くならないお話がない。どのページから読み始めても必ずそこに感動がある。

本書は書店で特によく売れているのですが、皆さんも本を買われる前は必ず立ち読みをされると思うんですね。その開いた1ページで読み手の心を鷲掴みにしてしまう。次のページを開いても、そのまた次のページを開いても、やっぱりすごいことが書いてある。胸が熱くなる。そんなふうにして思わず本をレジに持って行かれる人が多いのではないかと思います。

その分、編集する側は本当に大変で、365本にしたいからといって、1ページとして数合わせのようなことはしなかった。登っても登っても頂の見えない365という山を、一歩ずつ、一歩ずつ地道に登っていくという営みでしたが、そうして醸成された時間こそが、この本のコクとなって、いつまで経っても独特の香りを放っているのだと思います。

また、自分自身が若い頃に出合って、ずっと心に残っていた言葉があります。映画監督の黒澤明監督が名画『七人の侍』を撮る時に「ステーキの上にうなぎのかば焼きを乗せ、カレーをぶち込んだような、観客がもう勘弁、腹いっぱいという映画を作ろうと思った」と述べたそうですが、ページを開くたびに次から次へと感動が押し寄せてきて、胸がいっぱいになる。そんな圧倒的な感動を味わえる本を作りたいと思いましたし、この本は必ずそうなり得るはずだという確信を抱いていました。

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シリーズ第一弾1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書(致知出版社 刊)
日本が誇る超一流の方々の名言集、絶賛発売中

『致知』に大物著名人ばかり登場している理由

──本書には、稲盛和夫氏や五木寛之氏など、著名な方々が数多く登場されていますが、ここまでの有名人や著名人に登場していただける理由はどこにあるとお考えでしょうか?

小森いろいろな要因が考えられますが、『致知』の創刊理念がいささかもぶれていないということが挙げられるのではないかと思います。創刊理念は「いつの時代でも、仕事にも人生にも一所懸命に生きている人はいる。そういう人たちの心の糧になる雑誌を創ろう」というものです。

私自身がこの『致知』を初めて手に取ったのは20年近く前、24歳の時でしたが、その時に“日本にこんな雑誌があったのか”と雷に打たれるような衝撃を受けるとともに、無骨だけれども、なにか心惹かれるものを感じました。その時はうまく言葉にできませんでしたが、それは雑誌そのものが持つ「志」のようなものではなかったかと、いまになって感じます。

もっとも、『致知』は決して有名な方や著名な方ばかりを取り上げているわけではありません。有名無名を問わず、一道を歩んでいる人の生き方に焦点を当てる編集方針を貫いてきましたが、雑誌そのものが有する志のようなものを、ご登場者の方々も感じ取ってくださっている結果なのかもしれません。

もっとも印象に残った読者からの反響

──読者から一番反響があった言葉はなんでしょうか?

小森

たくさんあり過ぎて、とても一つに絞りきることはできないのですが、例えば今回、ベストセラーとなった本の第二弾として新たに発売となった『1日1話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書』の中からですと、次のような言葉が挙げられます。 

「“他に善かれかし”と願う邪心のない美しい思いにこそ、周囲はもとより神様も味方し、成功へと導かれるのです」
稲盛和夫(京セラ名誉会長)

「辞めるんだったらいま辞めろ。いま辞めないんだったら生涯続けろ」
桂 歌丸(落語家) 

「世の中は決して行き詰まらぬ。もし行き詰まったものがあるならば、これは熱と誠がないからである」
北里柴三郎(細菌学者)

「もしも、思いのままになる人生であったとしたら、私は涙というものを知らない人間になったと思います」
三浦綾子(作家)

「苦難は人間を謙虚にする。謙虚になるところからすべては始まると思います」
大村智(北里大学栄誉教授)

 ──今回の記事を呼んで、この書籍に興味を持った方へ何か一言いただけますでしょうか。

小森365人もの方の心の琴線に触れるお話が、ここまでギュッと凝縮されて一冊に収まっているような本はほかにないと思います。

「第二弾は第一弾と比べると、内容が薄まる」というのが定説ですが、本書では決してそのようなことがないよう、編集部でプロジェクトチームを結成し、総力を結集して選を重ねました。

 第一弾の『1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書』も424ページと持ち歩きにくく、2,500円以上という高価格でありながら、30万部突破のベストセラーとなり、業界の定説を覆しました。今回の第二弾も、そういう定説を打ち破る本になればと願っていますし、また読者の皆さまのご期待に必ずお応えできる本であると自負しています。人間力を高めたい、仕事力を高めたいと願っている人には、文字通りのまたとない教科書となるはずです。

メルマガを15年もの長きにわたって続けてくることが出来た秘訣

──無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』を続けられてもうすぐ16年になります。メルマガをこれだけの長い期間続けることができた秘訣、メルマガをやっていてよかったことなどありましたら教えてください。

小森毎日、毎日、どんな言葉で、どんな内容を配信すれば、読者の方が興味を持ってくださるのかと考え、実践を続けてきたことが、「どんな言葉が読者の方に届くか」という言葉の感覚を磨くうえで非常に勉強になりました。また、実利的なことを申せば、いま弊社の新刊をリリースする際に、メルマガなしの販促というのは考えられません。ここ数年で、さまざまなSNSが出てきましたが、どんなSNSもその比ではないほどの圧倒的な影響力がメルマガにはあると感じます。

──その『致知出版社の「人間力メルマガ」』に興味を持った方々へ、何か一言いただけますでしょうか。

小森「人間学」や「人間力」というものに興味を持ってくださった方への入り口としては最適です。私が入社した当時、上司がある本の編集後記に「人が成長しようとするとき、人生の先輩の体験から学ぶことはたくさんあります。お父さんやお母さんから話を聞いたり、おじいちゃんやおばあちゃん、学校の先生や近所の人たちからもいろいろなことを教えてもらえます。そして、もっと大きな人間になるためには、大きく生きた人の話を聞くことが大切です」と書いていて、すごく感動しました。そうか、大きな人間になるためには、大きく生きた人の話を聞けばいいんだ、と。人間力メルマガは、毎朝7時30分届くのですが、一日の始まりにこのメルマガを読んで「よし、今日もがんばるぞ!」とやる気のスイッチを入れていただき、より大きな人生を生きていっていただけたらと心から願っています。しかもそんなメルマガが無料なんですから、読まない手はありませんよね(笑)。

──引き続き、MAG2NEWSでもメルマガの内容をご紹介させていただきたいと思っております。この度は、お時間をいただきありがとうございました。

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致知出版社の「人間力メルマガ」』が一冊の本になりました。
日本が誇る超一流の方々の名言集、好評発売中!

image by: MAG2NEWS編集部

宮脇咲良に整形疑惑!?アプデで最強ビジュアルも“ハイブ鼻”になったとファン指摘、「LE SSERAFIM」で5月韓国デビュー

HKT48及び日韓合同の女性ガールスグループ「IZ*ONE」の元メンバーだった宮脇咲良が今年5月、韓国で再デビューを果たす。大手芸能事務所・HYBEと傘下レーベルのSAUCE MUSICによる初のガールズグループ「LE SSERAFIM」(ル セラフィム)のメンバーの一人として選出された宮脇。デビュー記念プロジェクトが進められていく中、公開されたビジュアルをめぐり宮脇にある“疑惑”が沸いているようだ。

あのBTS所属の大手事務所移籍に合わせて鼻をイジった?

韓流・KーPOPファンにはまことしやかに囁かれている噂がある。あのBTS(防弾少年団)を輩出した大手芸能事務所HYBEに所属したタレントは、みんな同じようなツンとした高い鼻になるというのだ。

SAUCE MUSICは「8eight」「GFRIEND」などのガールズグループを育てた芸能事務所として知られていたが、2019年にHYBEに買収され、宮脇所属の「LE SSERAFIM」はHYBEの共同名義としてはじめてデビューするガールズグループとなる。

そのために気合いが入ったのか、デビューに向けて公開された宮脇のビジュアルは、1年前に「HKT48」の卒業コンサートを開催した頃のガーリッシュなイメージとはガラッとかわり、クールな大人の女に変貌を遂げていた。だが、そこで注目されたのが宮脇の“鼻”だ。

事務所移籍に合わせて、「宮脇が鼻を整形したのではないか」という噂がネットを賑わせている。過去の写真と見比べてみると、やや鼻先がツンと上がったような気がしないでもない。下から撮影したアングルだとその違いがわかりやすいようにもみえる。

真偽はともかく、アップデートした宮脇のビジュアルを称賛する声は多数あがっており、再デビューするにあたり、宮脇の顔面偏差値がさらに向上したという意見がほとんど。「もともと美形なのにさらに美しくなった」とファンたちは喜んでいる。

宮脇咲良は新しいアイドルの形となりえるのか?

「LE SSERAFIM」は4月4日の宮脇を筆頭に、毎日1人ずつメンバーのビジュアルが公開されていく予定だ。

写真と共に公開された30秒あまりの映像の中で宮脇は、黒髪に黒色で身体のラインが分かるセクシーな衣装を着て、画面を見据えて挑発する。

セクシーで格好いいイメージに釘付けになるファンも多くネットでは「咲良ちゃんきたー!」「かっこいい」の声もたくさんあがっていた。

それ以前に公開されているティザーPVの数本もわずか1分足らずのものながら、1本1本がまるで映画のようにダークファンタジー、近未来SF、など独特な世界観で描かれていた。

このPVだけでは一体どんなグループなのか分かりかねるが、スタッフの並々ならぬ意気込みは伝わってきた。

日本を飛び出し、韓国でも成功を収めようとしている宮脇。新しいアイドルの形として、多くの後輩たちが宮脇の姿に憧れそうだ。「LE SSERAFIM」と宮脇咲良の今後の活躍に期待が高まる。

小泉悠氏が解説。苦戦するロシアと粘るウクライナで「踏み込めない西側」の見えぬ出口

ロシアがウクライナ侵攻を開始してから1ヶ月。ウクライナの粘り強い抵抗により、将官が7人も死亡するなどロシアが苦戦し一進一退と見るのは、ロシアの軍事・安全保障政策が専門の軍事評論家・小泉悠さんです。今回のメルマガ『小泉悠と読む軍事大国ロシアの世界戦略』では、海外の情報機関やニュースサイトが伝える情報を分析。この先の戦いのカギとして、ロシアに対し譲歩しない代わりに、ゼレンスキー大統領が求める強力な軍事的支援にも踏み込めずにいるNATOが、4月の会合で具体的な支援策を出せるどうかに注目しています。

※ 本記事は有料メルマガ『小泉悠と読む軍事大国ロシアの世界戦略』2022年3月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール小泉悠こいずみゆう
千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了(政治学修士)。外務省国際情報統括官組織で専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所(IMEMO RAN)客員研究員、公益財団法人未来工学研究所特別研究員などを務めたのち、現在は東京大学先端科学技術研究センター特任助教。

 

苦戦続くロシア、粘るウクライナ、踏み込めない西側

開戦1ヶ月で戦況は一進一退

ウクライナでの戦争は、開戦から1ヶ月を経ました。当初の予想を大きく裏切ってロシアはウクライナを攻めあぐね、戦争の出口はいまだに見えてきません。

この状態が膠着を意味するかどうかはまだわからないと前号(第169号(2022年3月21日)ロシアの非核エスカレーション抑止攻撃|note)では述べましたが、それから1週間を経ても、戦況は大きく変わっていません。相変わらずキーウやハルキウは陥落せず、むしろ前者の周辺ではウクライナ軍が部分的に反撃に出てロシア軍に防勢を強いてさえいます。

米国防総省によると、ロシア軍はキーウ北西部15-20km地点で前進を止め、塹壕を掘って防勢に入っており、東部では20-30kmまで迫っていたロシア軍が55kmのところまで後退したとされています。
Battle in Eastern Ukraine Heats Up as Russians Are Driven Back East of Capital > U.S. Department of Defense > Defense Department News

また、ベルジャンスクでは何らかの手段でロシア海軍の揚陸艦を撃沈するという成果を挙げたらしいことはNEW CLIPSのコーナーで紹介したとおりであり、さらに3月25日には6人目の将官(南部軍管区第49諸兵科連合軍司令官のヤコフ・レゼンツェフ中将)が戦死したという情報も出回りました(これ以外に国家親衛軍の将軍も一人戦死しており、ロシア全体では計7人)。ウクライナ軍がロシア軍の攻勢を凌ぎながら、可能な範囲で逆襲を続けていることが見て取れます。
ロシア軍将官7人死亡、1人解任 西側当局:AFPBB News

また、ロシア軍に関する公開情報分析で有名な『インフォルム・ナパーム』は、戦死した兵士に贈られる勲章のシリアルナンバーから判断するに、ロシア軍の戦死者は最初の1週間だけで4800人近くに上っていた可能性を指摘しています。
Medal count: OSINT analysis of real Russian losses for the first week of hostilities in Ukraine – InformNapalm.org

ただし、米国防総省によると、ロシア軍はアゾフ海に臨む要衝マリウポリの市内にまで侵入しているほか、東部のドンバス地方でも活動を活発化させているとのことです。また、ウクライナも占領地域を大幅に奪還できるほどの大攻勢に出られているわけではありません。3月28日はウクライナ軍が北東部のスムィでロシア軍の大隊戦術グループ(BTG)を撤退させたとされていますが、米戦争研究所(ISW)は再編成のための撤退であったとしています(それでもBTGを丸ごと撤退させるのはこれが初めてのようですが)。

全体として言えば、戦況は一進一退で、どちらも決め手を欠く状況が続いているということになるでしょう。

 

追い詰められたロシアが爆発。プーチンを疑心暗鬼にしたNATOの大罪

病院や学校といった民間施設が攻撃対象にされるなど、深刻な人道危機に晒されているウクライナ。許されぬ蛮行に走った独裁者として記憶されることが確実なプーチン大統領ですが、何が彼をここまで追い詰めたのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、この戦争に関して絶対的に悪なのはロシアだとした上で、NATOの側にも大いに反省すべき点があるとし、その理由を解説。さらに今この段階で西側諸国とロシアが信頼感を構築する努力を怠れば、第三次世界大戦の勃発も否定できないと警告しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2022年4月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

 

ロシアは”仲間外れのジャイアン状態”だった

今回のロシアのウクライナ侵攻について、どうしてもお伝えしたいことがあり、今号では予定を変更してこのことについて少し述べさせてください。

まず今回の戦争について、筆者は絶対的にロシアが悪いし、ロシア軍は一刻も早く停戦し、撤退すべきだと思います。ウクライナの人々には、どうにか頑張って生き抜いていただきたいし、日本からも多くの人が心を痛めていることを伝えたいし、些少ながら筆者もウクライナ大使館に寄付をさせていただきました。

今回のロシアの侵攻というのは、まるで東西冷戦時代のソ連のような蛮行であり、今の時代にこういう所業が許されていいわけはありません。プーチン大統領は完全に判断を誤っていますし、歴史的な責任を負うことになるでしょう。

が、今回の戦争について反省しなければならないのは、プーチン大統領だけではないのです。NATOの側にも大いに反省すべき点があるのです。

今回の戦争の発端は、ウクライナがNATOに加盟しようとしたことに対してプーチン大統領が怒ったというものです。

あまり論じられることはありませんが、このNATOという存在は、時代錯誤気味なのです。そもそもNATO(北大西洋条約機構)というのは、第二次大戦後の東西冷戦時代に、ソ連や東欧諸国の共産圏国家群に対抗するためにつくられた軍事同盟です。仮想敵国は、ソ連や東欧諸国ということになっていました。

が、ご存じのように、ソ連は今や存在しない国ですし、東欧諸国には共産主義国家はなくなりましたので、NATOにとっての「敵」はいなくなったはずなのです。かつてNATOに対抗してソ連や東欧諸国でつくられていたワルシャワ条約機構という軍事同盟は消滅しています。つまり、NATOにとってもはや敵はいなくなったのです。

「敵はいなくなったけれど、国同士の同盟関係は大事だからこのまま続けていこうよ」ということで、NATOは今も続いているわけです。もちろんNATOがそれだけの存在であれば、あまり問題はないと言えます。

が、NATOは、仮想敵国としていたソ連がいなくなった代わりに、ロシアを事実上の仮想敵国として存続しているのです。NATOに「ロシアを仮想敵国とする」という明確な指針があるわけではありませんが、NATOのこれまでの経緯を見ると、「ロシアに対抗するための軍事同盟」という性質が如実にあるわけです。

ロシアから見れば、「自分たちはソ連とは違うんだし、東西冷戦のような西側諸国を敵対視する政策はやめたのだから、いつまでもロシアを仮想敵国とするのはやめてくれ」ということだったのです。

ソ連崩壊以降、ロシアは西側諸国と積極的に交流し、不完全ながらも民主化を進めました。貿易も年々拡大し、今ではヨーロッパのエネルギー資源の重要部分をロシアが賄うほどになっています。人的な交流も盛んですし、かつて鉄のカーテンで閉ざされた「東西冷戦時代」のソ連とは明らかに違います。

にもかかわらず、NATOは基本方針を変えずにここまで来てしまったのです。NATOというのは、ヨーロッパの大半の国々とアメリカが加盟している世界最強の軍事同盟です。その世界最強の軍事同盟から、いつまでも仮想敵国とされているのは、気味のいい話ではありません。

考えてみてください。第二次大戦で敵国だったからといって、アメリカ、韓国、中国が、日本を仮想敵国とした軍事同盟を保持し続けていたら、日本としては相当、気分が悪いですよね?もちろん、ロシアと日本ではかなり状況が違いますから、こういう比較は乱暴ではあります。ただ、周囲の国々から仲間外れにされるということは、その国としては絶対に面白くはないはずです。

しかも「世界最強の軍事同盟」から仲間外れにされ、敵視されているのです。恐怖さえ感じていたかもしれません。

今のロシアというのは「仲間はずれにされたジャイアン」のような状態だと言えます。ジャイアンといえども、みんなから仲間外れにされれば、不安になり恐怖を覚えるでしょう。そして、一番近くにいた奴をつかまえて殴りかかった、それが今回のウクライナ戦争ではないでしょうか?もちろん、ウクライナとしてはたまったものではありませんが。

 

絶体絶命の独裁者。「プーチンが核シェルターに移動」が意味するもの

3月29日、トルコの仲介により対面方式の停戦交渉に望んだウクライナとロシア。ロシア側はキーフ周辺での軍事行動の大幅な縮小を表明しましたが、未だ攻撃が収まる気配はありません。この紛争を巡る非公式な協議に参加したという、メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』の著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんは今回、その席上で驚きを禁じ得なかったという各国参加者の「関心」の推移を記すとともに、世界の目がウクライナに向いている間に悪化の兆しを見せる、北東アジア地域の安全保障環境の変化を解説。さらにプーチン大統領が核シェルターに移動したという、「最悪の事態発生を意味する可能性のある情報」を紹介しています。

 

ウクライナ紛争が引き起こした混乱の国際情勢

「いったい何がしたいのだろうか?もう分からなくなってきた」

これは私自身も抱く疑問と違和感なのですが、ロシアでもウクライナでも、そしてロシア包囲網を固めようとする国際社会でも、この疑問がそれぞれのコンテクストで大きくなってきているようです。

ロシアのプーチン大統領周辺の絶対的忠誠を誓う人たちと、国内で行われるプロパガンダ戦に影響されるプーチン大統領支持者という例外を除き、共通している点は【ロシアによる武力侵攻は、2月24日以前の環境に鑑みて、いかなる理由があったとしても、許されるものではない】というものです。私もその立場を取っています。

しかし、それ以外の点については、必ずしも統一された視点が存在していないようです。

特に顕著なのが、当事者たちも、各国の政府も、メディアも、そしてビジネスも、冒頭に挙げたように「いったい何がしたいのか?何のためにこんなことに付き合わされているのだ?」という違和感と疑問です。

この疑問は、ニューヨークにいるロシア人・ウクライナ人も含むかつての同僚から投げかけられました。事務総長以下、ロシアによる軍事侵攻に対して国連は激しい非難をロシアに加えていますが、同時に「ウクライナはよく持ちこたえている」と抗戦の健闘を称えるような見解に対して複雑な心境を隠せないそうです。

私自身、CNNのプログラムでコメントをした際、ウクライナ人の女性が2人の子供たちを避難させ、自らは対戦車砲を抱えて交戦し、欧米メディアのカメラの前で、嬉々として「私はキエフやウクライナのためのみならず、民主主義のために戦っている」と語っている姿を見て、とても複雑な気持ちになりました。

最近、よく話されている“もう一つの桃太郎”のお話ではないですが、この女性がミサイルを撃ち込む先にも“だれか”がいるわけで、物理的には見えなくても、確実にミサイルの先にいる生命や安全を脅かしているのも事実ですが、どこかその“事実”は、戦時特有のハイな感情でしょうか?それとも、旧ユーゴスラビア戦争以降、盛んになった情報戦のなせる業なのでしょうか?決して語られることはありません。

もちろん“最初に手を出した”のは、ロシアの国家安全保障への脅威を理由に武力侵攻したプーチン大統領とロシア軍ですが、今、ウクライナによる抗戦状況を称え、「ロシアは衰退している」という論調をベースに、善と悪という二分化が明確になってきていることに懸念を覚えます。

私自身、紛争調停の現場において、紛争現場ゆえのハイな感情と“自分の行動を正当化し、都合の悪いことは切り捨てる”という【確証バイアス】が戦争においてなせる業を何度も観てきましたが、今回も「憎きロシア人を殺してやった!!!」という論調を見るにつれ、何とも言えない気味悪さを感じています。

直接的な被害に遭い、終わらない悲劇に苛まれているのは、もちろんウクライナの一般市民で、そんな彼ら・彼女たちと連帯し、支援しているのは他国の一般市民ですが、それ以外の人たちの目的って何なのでしょうか?

 

京大教授と“宿敵”竹中平蔵との対談で判った新自由主義のヤバさ

先日掲載の「京大教授が暴露。元旦『朝生』CM中に立憲・小川淳也議員が口走った激しい言葉」では、期せずして竹中平蔵氏と「共闘関係」となった次第を明かした京都大学大学院教授の藤井聡さん。しかし自身の番組にゲストとして迎えた竹中氏との対談では、その思想に戦慄を覚えるに至ったといいます。竹中氏の主張の何が藤井さんにそこまでの感情を抱かせたのでしょうか。今回のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』に藤井さんがその一部始終を余すところなく記しています。

【関連】京大教授が暴露。元旦「朝生」CM中に立憲・小川淳也議員が口走った激しい言葉

(この記事はメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2022年3月26日配信分の一部抜粋です)

 

竹中平蔵氏とのTV対談が示す新自由主義の「ヤバさ」の本質~政府がPBや新自由主義に拘る謎を解く~

この度、MXテレビの東京ホンマもん教室に、「新自由主義者」の象徴としばしば言われる経済学者・竹中平蔵氏をゲストにお迎えしました。

テーマは「(1)成長は必要か?」「(2)財政拡大は必要か?」「(3)新自由主義は必要か?」の3つ。この内(1)の成長必要論は両者完全合意、(2)については総論合意だが各論(とりわけPB規律についてのみ激しく)対立、そして(3)の新自由主義の必要論については、激しく対立する討論となりました。

こうした展開は事前に想定していた通りでしたが、今回のハイライトはやはり、(3)の新自由主義です。

※ 子細は下記をご視聴下さい。ちょうど対談箇所からの再生となります。
→ 【東京ホンマもん教室】3月26日 放送見逃し動画 ウクライナ侵攻と尖閣~“他人事”を決め込む日本人の危ない現状認識~ ゲスト:竹中平蔵

当方、改めてこの討論動画を拝見し、竹中氏の発言を精査し、分析いたしたのですが、ここではその分析結果をご報告差し上げたいと思います。

この分析は、竹中氏のみならず、経済政策を巡る「新自由主義」的な一般的議論にどういう種類の「詭弁」が含まれているのか、さらにはどういう恐るべき「反社会的」思想が混入しているのかを改めて浮き彫りにするものでもありますので、是非ともご一読いただきたいと思います。

まず(1)の成長必要論は、今回の対談のきっかけとなった今年の朝生元旦スペシャルでの論争をなぞるもので、(立憲民主の小川政調会長が主張する様な)反成長論こそが国民を不幸にし、かえって環境を逆に「破壊」し得るという点について概ね合意となりました。この点は特に追加で申し上げる事もありません。

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そして、(2)についても成長のために財政政策が必要であり、それを阻止する財務省は極めて危険である、という点までは合意できました。しかし竹中氏は、PB目標だけは撤廃してはならないという論調に終始されました。

当方は、

「今やもう、PB規律が一番キツイ規律になっているのであり、これをやめ、より柔軟な規律(債務体GDP非やインフレ率、成長率による財政規律)に規律を改変しなければ、国民を救う財政が展開できない」

と主張したのですが、竹中氏はこの主張に徹底的に反対し、PB規律堅持を主張し続けたのです。

なぜ、竹中氏がそこまでPBにこだわるのか、是非、皆様もじっくりと下記動画の前半部分の竹中氏の発言をお聞き頂ければと思いますが……。

【東京ホンマもん教室】3月26日 放送見逃し動画 ウクライナ侵攻と尖閣~“他人事”を決め込む日本人の危ない現状認識~ ゲスト:竹中平蔵

要約すると以下の3点を竹中氏は主張しておられました。

  • PB規律を導入したのは私である
  • 多様な規律があっても良いが、その内の一つとして財政の総量規制を導入することが必要であり、そのためにもPBは必須だ
  • PBよりもキツイ規律があり(キャップ規制)、それを私が緩和させてPB規律を導入したのだ。

この3点は、上述の当方の主張の反論になっているかといえば、一切なっていないことは一目瞭然です。

 

落語家が明かす、イソップ童話「うさぎとかめ」でウサギが亀に負けた本当の理由

イソップ童話として名高い「うさぎとかめ」ですが、この話は何を伝えたいのかと聞かれたら、誰でも「うさぎにはいつでも勝てると油断があり、人生は油断をしてはいけないという戒め」と答えるのではないでしょうか。しかし、今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、 落語家の四代目 三遊亭圓歌さんが、ある企業の社長から聞いたという「うさぎとかめ」が本当に伝えたいことについて紹介しています。

うさぎは、なぜ亀に負けたのか? 四代目 三遊亭圓歌(落語家)

私が、笑いを交えながら人生や経営、子育てなどについて、私なりの考えを盛り込んだ、いまの落語や講演のスタイルを確立したきっかけを与えてもらったのは、遠縁に当たるジュポン化粧品本舗の故・養田実社長です。

養田社長は若いころ、柳亭痴楽師匠に弟子入りし、落語家を目指した経歴の持ち主だけに、私の気持ちをよく理解してもらい、「これからの時代、落語だけで食べていくのは難しいから、半分は落語、半分は講演にして企業を回ってみたらどうか」と、いろいろな異業種交流会などに連れていってくださったのです。

私はここで学んだ多くの経営者の言葉や、本で読んだ中村天風、森信三、石川洋といった先哲の言葉にヒントを得ながら、それをどう落語家の自分なりに消化し、人々を笑わせ、元気づけていけるかということに知恵を絞りました。

古典落語を基礎にこれらを取り入れた私の芸風の確立は、すなわち私の人生観の確立でもありました。

養田社長から教わった忘れられない話があります。

私が真打ちになったのは昭和62年5月。

林家こぶ平さんと一緒の昇進でした。

真打ちが発表されると、二人がいる部屋に一斉にマスコミが押し寄せたのです。

ところが、フラッシュを浴びたのはこぶ平さんだけ。数メートル横に私がいたのですが、どこの社も見向いてもくれませんでした。

考えてみれば、こぶ平さんは正蔵、三平と続いたサラブレッド、一方の私は、いわば落語界には何の縁もない田舎生まれ、田舎育ちの駄馬でした。

私はくやしくて涙を抑えられなくなって走って外に飛び出し、電車に乗りました。そこに偶然にも養田社長がいたのです。

「歌さん(※当時は三遊亭歌之介)、浮かぬ顔してどうしたんだ」

と聞かれ、私は理由を話しました。すると養田社長はこう切り出したのです。

「うさぎとかめの童話があるだろう。うさぎは、どうしてのろまなかめに負けたのか。言ってごらん」

私は答えました。

「うさぎにはいつでも勝てると油断があったのです。人生は油断をしてはいけないという戒めです」と。

養田社長は

「本当にそう思っていたのか。零点の答えだ」

と語気を強めて、静かにこのように話したのです。

かめにとって相手はうさぎでもライオンでも何でもよかったはずだ。なぜなら、かめは一遍も相手を見ていないんだよ。かめは旗の立っている頂上、つまり人生の目標だけを見つめて歩き続けた。一方のうさぎはどうだ、絶えずかめのことばかり気にして、大切な人生の目標をたった一度も考えることをしなかったんだよ。君の人生目標は、こぶ平君ではないはずだ。賢いかめになって歩き続けなさい」

さらに養田社長は言葉を続けました。

「どんな急な坂道があっても止まってはだめだよ。苦しいときには、ああ何と有り難い急な坂道なんだ、この坂道は俺を鍛えてくれているではないか、と感謝しなさい。有り難いというのは難が有るから有り難いんだよ」と。

私は社長のこの一言で迷いが吹っ切れたのです。そして、自分の人生の目標に向かって黙々と歩き続けよう、と思ったのです。

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