メニューが“出世する”大衆洋食店。「とんかつ380円」60年以上愛される秘密とは

60年以上地元の人に愛される広島の大衆洋食店。そこには、客の人生とともに成長できるメニューが用意されていました。今回、メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の中で、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんがその洋食店が愛され続ける秘密を語っています。

メニューが出世する大衆洋食店。お客さまの人生とともに

サービストンカツ 380円。ゆでキャベツ・ポテトサラダ・ライスつき。1日150~200個出るという、このお店の看板商品です。

広島市中区にあるこの洋食店は、創業66年の老舗。地元では知らない人はいない、地域に根づいたお店です。なぜ、これほどまで安く提供しているのでしょうか。

まずは、精肉店が経営していることで、安く提供できるということ。だとしても、安過ぎるのですが、一番の理由は、“創業者の想い”です。

周辺に住む、お金の無い若い人や学生さんたちに、美味しいものを食べさせてあげたいと考えたことから、始まりました。

トンカツが破格の値段で食べられるとあって、大評判となり、以来、繁盛し続けています。1~3階まである客席は、356席。昼時にはいつも満杯になります。

380円のトンカツと聞くと、学生相手の安い食堂をイメージするかもしれませんが、洋食店らしいメニューも揃った、正統派のお店です。

トンカツ、ビフカツ、ステーキ、タンシチュー、ポークチャップ、カレーライス、ハヤシライス、オムライスなども楽しめます。

ここのメニューには、面白い特徴があります。うなぎの「松竹梅」のように、ランクがあるのです。

「サービスランチ」→「並ランチ」→「上ランチ」→「特ランチ」。

「サービスステーキ」→「上ステーキ」→「スペシャルステーキ」。

「ビーフカツレツ」→「上ビーフカツレツ」。

「タンシチュー」→「上タンシチュー」。

「並ロース寿き焼き」→「ロース寿き焼き」→「特ロース寿き焼き」→「特上ロース寿き焼き」。

ここまでバリエーションを作っているのは、お客さまの懐具合やその日の気分で選ぶことができるようにするためです。

大阪王将、今度は黒焦げ餃子で炎上。「厨房にナメクジ大量発生」不衛生だけではない、次々出てくる疑惑に批判殺到

フランチャイズである仙台中田店で大量のナメクジが発生していると元従業員から告発され渦中にある大阪王将。騒動はこれで収まらず、今度は別の店舗で黒こげの餃子を提供するなど、次々と新たな疑惑が浮上している。

テイクアウトで黒焦げ餃子を普通に提供

黒焦げ餃子が告発されたのは神奈川県川崎市にある鹿島田店。餃子をテイクアウトし、蓋を開けてみると、出てきたのは真っ黒に焦げた餃子だった。

ちょっと焼きすぎてしまったレベルではない。明らかに客に出す商品とは言えないだろう。こんなに焦げた餃子を見て、店員が気付かないはずはない。

この餃子を客に提供する際、店員は何も思わなかったのだろうか。それとも、提供せざるを得ない何か別の事情でもあったのだろうか。

いずれにせよ、さまざまな問題が起きている大阪王将に更なる疑念を抱かせる事態となってしまった。

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保健所「問題ない」立ち入り検査はわずか1分!?

中華料理チェーン「大阪王将」の仙台中田店で働いていたと語る人物が、厨房にナメクジが大量発生しているなど、その劣悪すぎる衛生環境を自身のTwitterで暴露し、波紋を広げている。

この人物は大阪王将の仙台のフランチャイズを経営する「有限会社ファイブエム商事」の社員だったといい、大阪王将の調理検定の合格賞状や名刺、果てはマスク越しだが自分の顔も公開、全面的に会社と戦おうとしているようだ。

蛆虫撃退係として、店舗内の蛆虫を退治していたことを暴露。店内には蛆虫、ゴキブリ、広東住線虫という寄生虫だけでなく、仙台中田店では店内に猫を飼っており、従業員が猫を抱きながら調理をしていたという。あまりにひどい状況に耐えかねて、本部に報告したが放置され、今回告発に至ったようだ。

大阪王将のサイトに苦情の書き込みが殺到し、保健所の検査が入った。

しかし、検査の前に問題になったものや猫は、あらかじめ撤去されており、保健所の立入検査はわずか1分で終了したという。

保健所は「ナメクジや猫などは見つからなかった。厨房内の清掃が行き届いていないため、清掃や消毒をするように指導した。改善状況の確認は行うものの、営業停止などの処分は考えていない」と発表した。

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告発された「仙台中田店」「仙台西多賀ベガロポリス店」は臨時休業中。ちなみに現在、Googleマップでは「仙台西多賀ベガロポリス店」の店名が「蛆虫店」と書き換えられている。この問題は当分の間、尾を引くことになりそうだ。

大京のマンションが「値段以外」の要素で注目されている理由とは

消費者にとって、値段は多くの類似した商品を比較するのに重要な要素ではありますが、「価格は高いけど…」と、その他の点で購入することも多いですよね。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』の著者でMBAホルダーの理央 周さんが 、そうした値段以外で選ばれるための“差別化の方法”を紹介しています。

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値段以外で選ばれるには何をすればいいのか? 大京のマンション開発に学ぶ差別化の方法

マンション開発大手の大京が、今後開発する分譲マンションの駐車場に、電気自動車(EV)用のコンセントを標準で設置する、と発表したのが、話題になっています。

大京のホームページにその写真が載っているのですが、駐車場の壁に充電器のようなものが設置してあって、そこからケーブルで直接車に繋ぐ、という感じです。

そこだけ見ていると、ガソリンスタンドで、ホースを給油口につないでいるのと全く同じに見えます。

この仕組みは、ユビ電株式会社(プレスリリースより本社:東京都渋谷区、代表取締役:山口典男)の、「WeCharge」というアプリを使うそうです。

EVやガソリン併用のPHV(ハイブリッド車)で、使えるとのことで、プロセスも意外とシンプルです。

バーコードを読み取って、アプリでクレジットカードの情報など利用の手続きをします。そして、自分に合った料金プランを選びます。

これもサイトに一覧表になっていますが、ベーシックプランだと、月額基本料金は不要、1時間当たり176円とのことです。

次のショートプランでは、月額の基本料金が1,100円で、30kWhまではその定額、
それを超える場合は1時間につき、超過料金 49.5円/kWhとのこと。

これ以外にも、ミドルプラン、ロングプラン、スーパーロングプランと、全部で5つのプランから選べるようになっています。こういう全てのプロセスを、スマホでできる、というもの便利ですよね。

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キンプリ永瀬廉、“肉食系女優”との共演でどうなる?今後の俳優人生を左右する試練

24日に初回の放送を終えたドラマ『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』(日本テレビ系)。視聴率は6.1%とやや低空飛行だったものの、主演を務めるのは今やジャニーズ事務所が最も推すグループ・King&Princeの永瀬廉ということもあり、ファンからの評判は上々のようです。そんな永瀬が今、苦慮していることがあると語るのは芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さん。一体どういうことなのでしょうか。解説していきます。

キムタクも通った道。永瀬廉に必要となるファクター

ニュースサイト『日刊大衆』が、“渦中の人”広瀬すずと『King & Prince』永瀬廉の連ドラ初共演を報じていました。ストーリーは恋愛ものということもあって、ファンの間からは心配の声が続々と上がっています。

TBSの“火曜ドラマ”枠といえば、『逃げるは恥だが役に立つ』や『恋はつづくよどこまでも』のように女性向けの恋愛ものを題材にすることが多く、視聴者にも、大手クライアントにも大人気のドラマ枠です。

歴代の出演者も佐藤健、上白石萌音、星野源、新垣結衣、綾瀬はるか、竹野内豊、杉咲花、『King & Prince』平野紫耀…人気者同士のキャスティングが売りの枠でもあります。

この枠で来年1月期に広瀬と永瀬が恋愛もので初共演というのですから、ファンは不安に、芸能マスコミはワクワクしてしまいますよね。

私がこの報道でまず感じたのは、ジャニーズ事務所が役者として今売り出し中の永瀬の、相手役に苦慮しているのだろうという事実です。

タレントを売り出していく上で、キャスティングというのは“生命線”といえる程重要なファクターです。

永瀬といえば今まで、黒島結菜、久保田沙友、清原果耶、山田杏奈が相手役を務めてきましたが、内情は“相手役は暗中模索”の状態というのが現状のようです。

ファンからも認められ、当人同士もピッタリといくような相手役を“絶賛募集中”という感じでしょうか。

私が危惧するのは、どちらがどちらに白羽の矢を立てたのかはわかりませんが、この共演は周りが期待する“化学反応”を起こせるのかどうかという疑問です。

さらにタイミングが悪いと思うのは、広瀬と山崎の“半同棲”が報じられたことです。

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とんだ藪蛇。安倍元首相「国葬」決定で岸田首相が踏んだ“虎の尾”

9月27日に日本武道館で行われることが決定した安倍元首相の国葬を巡り、賛否両論が噴出しています。このような状況となることは容易に予想できたはずの岸田政権は、なぜ安倍氏を国葬で送る決断を下したのでしょうか。今回のメルマガ『』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、岸田首相の「即決即断」を藪蛇とした上でその理由を解説。さらに海外メディアの報道を紹介しつつ、国内外に良からぬ影響を与えかねない国葬決定に対して危惧を示しています。

 

※本記事は有料メルマガ『』2022年7月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にをどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

藪蛇となった岸田首相主導の「国葬」決定/岸・安倍一家3代の統一教会との癒着に向けられる世間の冷ややかな目

安倍晋三元首相を「国葬」に付そうという岸田文雄首相の珍しく独断専行・即断即決的な決定は、どうも拙速だったようで、週刊誌だけでなく一般紙も含めメディアは一斉に、岸信介元首相以来3代に及ぶ統一教会=国際勝共連合との深い癒着関係の探究に焦点を合わせている。それを見て、最初は遠慮がちに様子見していた言論人たちも次第にはっきりと疑念を表明するようになり、野党も立憲民主まで含めて「反対」姿勢に傾いている。国会前では市民の反対デモも起きていて、まさに藪を突いて蛇を出すの有様となった。

放っておけばよかったのに

推測するに岸田は、参院選で大勝を得た高揚感の中で、事件現場に設けられた献花台に長蛇の列が出来たり、ブリンケン米国務長官が早速飛んで来たのをはじめ各国首脳から弔意が寄せられたりした様子を見て、「これは行ける!」と判断したのだろう。官邸を通じて内閣法制局に「国葬」を打てるだけの何らかの法的根拠を見出すよう指示した。

安倍は自民党にとっても極めてアンビバレント(両義的)な存在で、確かに首相としての在任期間最長という記録は一目も二目も置かざるを得ないが、それでいて改憲も拉致も北方領土もアベノミクスも口数ばかり多い割には何の成果もないという虚しさは覆い難く、それどころかモリ・カケ・サクラなど答弁が嫌で国会も出来るだけ開かないようにするという卑劣さも被さって、まあウンザリしながらも腫れ物扱いで付き合ってきたというのが本当のところだろう。本人にもその党内の空気は痛いほど分かるから、わざわざ最大派閥の会長に就いて現役性を誇示し、核共有への踏み込みや防衛費2%目標などをあたかも大長老が現内閣に“指示”を下すがごとき口調で公言したりして、必死で体面を繕ってきた。

その危ういバランスを思えば、こんな不幸な亡くなり方をしたとはいえ大騒ぎせず、せいぜいが大平正芳や岸信介など多くの首相経験者の時と同じ「内閣・自民党合同葬」程度にして粛々と済ませればよかったのだ。ところがこれを政権浮揚の一大行事に仕立ててやろうかという岸田の政局思惑が絡んで「国葬」という無理な設定に突き進んだ。

どこぞの川柳欄に「国葬に閻魔が呆れる嘘の数」という秀句があったが、まさに岸田は閻魔まで起こしてしまったのである。

 

習近平に「2つの誤算」浮上。なぜ中国は3月の台湾侵攻を諦めたのか?

毛沢東、鄧小平両氏に並ぶ実績として「一つの中国」の実現、すなわち台湾併合を虎視眈々と狙っているとされる習近平国家主席。しかしジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんによると、今年に入って習氏は2度、そのタイミングを逸しているといいます。それはいつ、どのような原因によるものだったのでしょうか。宇田川さんは自身のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』で今回、中国が台湾侵攻を思い止まった時期と、その理由を解説しています。

この記事の著者・宇田川敬介さんのメルマガ

 

ウクライナ侵攻と台湾侵攻の遅れ

今回で第54話「風雲急を告げていた中国の台湾侵略計画の新たな展開」の最終回になります。

その為に、何故人民解放軍の台湾侵攻が遅れたのかということと、今後の新たな展開について考えて締めたいと思います。

さて7月20日にバーンズ氏はコロラド州アスペンで開かれたアスペン安全保障フォーラムで、中国がウクライナ侵攻から得ている教訓について問われるとこのように答えています。

「何年か先に武力を使って台湾を支配するかどうかという選択肢に関しては中国指導部はおそらく影響を受けていない。影響を受けているとすれば、それをいつ、どのように実行するかに関してだろう」

つまり、中国共産党と人民解放軍が台湾侵攻をするということは、全く変わっていない。

そのうえで、どのように行うのかということをウクライナで参考にしているということであり、その方法論と時期について、考えているに過ぎないということを行っているのです。

つまり、要するに人民解放軍が「侵攻するかしないか」ではなく、「いつどのような方法でやるのか」ということだけが問題という見方をしているということになります。

本来は、ウクライナ侵攻とほぼ同時に行うということであったはずですが、それがウクライナ侵攻のロシアの対応や国際的な対応を見て変わったということを言っているのと同じになります。

さて、ではなぜ中国共産党は台湾に侵攻しなかったのでしょうか。

私の情報の範囲では、はっきり言って「タイミングを逸した」ということではないかと思います。

ロシアが2月24日に侵攻を開始しました。

しかし、この時にはまだ北京で冬季パラリンピックを行っていたということになります。

ロシアは、そもそもドーピングの問題で、ロシアの国家としてのオリンピックなどの国際大会に対する代表派遣を禁止されていて、あくまでも「ロシアオリンピック委員会」として、出場しているのに過ぎなかったのです。

その為に、ロシアが国家として、突然ウクライナ侵攻をしてもあまり大きな影響がないというか、国家的に影響はなかったということになります。

しかし、そのロシアの侵攻に合わせて中国共産党が台湾に侵攻することはできなかったということになります。

単純に、中国は北京オリンピックの主催者であり、またオリンピックでは台湾は「チャイニーズタイペイ」として、「国と地域」の「地域」のカテゴリで、中国とは異なる内容で出場になっています。

ようするに「二つの政府がある」ということであり、なおかつそれは「統合できない」というような状況が明らかになっていました。

そのうえで、その二つの政府が突然戦争を始めれば、当然に2022年の冬季北京パラリンピックは継続が不可能になります。

そのことから、2月24日の段階では戦争を始めることができなかったということになります。

つまり、「台湾侵攻をするタイミングを逸した」1回目ということになります。

この記事の著者・宇田川敬介さんのメルマガ

 

西側諸国にブーメラン。対ロ制裁で露呈した民主主義「劣化」の正体

多くの人権問題を抱える習近平政権に対し、「自分たちの信じるところの民主主義」の受け入れと徹底を求める西側先進国。しかしその民主主義自体、中国の手本たり得るものなのでしょうか。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、著者で多くの中国関連書籍を執筆している拓殖大学教授の富坂聰さんが、2つの象徴的な出来事を例に取り、西側の民主主義がいかに劣化してしまったかについて解説。ウクライナ戦争の先行きや対ロ制裁の効果を見誤ったことも、民主主義の劣化に起因するとの見解を示しています。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

 

欧米先進国は中国に「われわれの民主主義を見習え」と本当に自信をもって言えるのか

少し古い話になるが、中国のテニスプレーヤー・彭帥選手が中国の副首相と不倫をしたとSNSで告発した事件があった。当時、大学には中国からの留学生も少なくなく、ある日、この問題で学生から話しかけられた。

「先生、彭帥問題の裏に江沢民がいるって日本人は本気で信じているのですか?」

これは質問ではない。揶揄だ。案の定、話のオチは、日本の専門家とテレビのズレ方が事故レベルだって、笑い話だった。

彼らが知るメディアには、確かに遊び心が不足している。自由度も低い。だが、こういうでたらめを大声で言う人物が入るスペースはない。だから不思議で仕方がないのだ。

笑っていられないのは、ワイドショーレベルのこうした中国分析が、日本の中枢でもまかり通っているからだ。霞が関はまだしも、永田町は惨憺たる状況だ。そのことは政治家の発信を見ていれば分かる。

最近も李克強首相が習近平国家主席に取って代わるという「ミニクーデター説」がまことしやかに日本を駆け巡った。いわゆる「李上習下」だ。私のもとにもテレビ局から問い合わせがあった。しかし、「そういうことは中国がひっくり返るような場合を除けば起きません」と答えると、それっきりになった。

結局、「ミニクーデター説」はすぐにフェードアウトしたが、そこに反省はない。中国が乱れているという情報は、後で間違いが判明しても譴責されることはない。だから次から次へとウソを撒き散らす輩が湧いてくる。

問題は、例えばロシア・ウクライナ戦争の見通しを日本全体で間違うという欠陥にも通じるから深刻だ。いざという場面でも緻密な分析はできないという意味だからだ。

ただロシア・ウクライナ戦争の見通しでいえば、間違えたのは日本だけではなかった。アメリカを中心とした西側先進国全体──日本以外は確信犯だった可能性も高いが──にも不正確な情報はあふれていた。

曰く、ウラジミール・プーチンは孤立していて正しい情報が入らず無謀な戦争を仕掛けた。ロシア内部にも反プーチンの風が吹き、クーデターも起きる。またウクライナの反転攻勢でロシア軍は年末までに駆逐される。西側の制裁でロシア経済の崩壊も不可避、といった情報だ。

戦争はまだ続いているが、現状では概ねの答えは出ていると言わざるを得ない。

なぜ、これほどはずしてしまったのか。少し大胆な見立てをすれば、これこそが「民主主義の劣化」の正体だ。さらに踏み込んでいえば、民主選挙のもつ負の側面がさらけ出された結果かもしれない。

示唆に富んだ二つの出来事がある。

一つは、イギリスのトニー・ブレア元首相が、英ディッチリー財団の年次講演会で行ったスピーチだ。伝えたのは『newsphere』(2022年7月20の記事)だ。ブレア氏はこの講演で、台頭する中国を念頭に、「欧米の政治的・経済的支配は終焉を迎えつつある」と危機感を表している。そして、だからこそ西側諸国は「自国の政治を立て直し結束する」ことが大切だと訴えたのだ。

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「国葬」と聞いて思い出す、勲章も社葬も固辞した石田礼助氏の逸話

岸田文雄首相は、参院選の遊説中に凶弾に倒れた安倍晋三元首相の「国葬」を実施すると表明。賛否の声が渦巻くなか、7月22日の閣議で9月27日の挙行が決定しました。「国葬」の報に接した時に三井物産の役員や国鉄総裁を務めた石田礼助氏を思い出したと語るのは、評論家の佐高信さん。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、生前には勲章を断り、遺言で社葬も固辞していた石田氏の言動を紹介。汚職事件のキズを持つ先輩の大臣就任を諌めた時の「日本人は極めてケッペキ」の言葉が、現代では通用しなくなったと、“モリカケ、桜”のキズを持つ元首相の「国葬」への疑念を表明しています。

この記事の著者・佐高信さんのメルマガ

 

日本人は極めてケッペキか?

国葬なのだという。それを聞いて私は、城山三郎が『粗にして野だが卑ではない』(文春文庫)で描いた石田礼助の遺言を思い出した。三井物産の役員をし、国鉄総裁となった石田は、勲一等を送ると言われ、「おれはマンキーだよ。マンキーが勲章下げた姿見られるか。見られやせんよ。キミ」と言って断った。

次の遺言の中のママは夫人のつゆを指す。

  • 死亡通知を出す必要はない。
  • こちらは死んでしまったのに、第一線で働いている人がやってくる必要はない。気持はもう頂いている。
  • 物産や国鉄が社葬にしようと言ってくるかも知れぬが、おれは現職ではない。彼等の費用を使うなんて、もってのほか。葬式は家族だけで営め。
  • 香典や花輪は一切断われ。
  • 祭壇は最高も最低もいやだ。下から2番目ぐらいにせよ。
  • 坊さんは1人でたくさんだ。
  • 戒名はなくてもいい。天国で戒名がないからといって差別されることもないだろう。
  • 葬式が終わった後、「内々で済ませました」との通知だけだせ。
  • ママは世間があるからというかも知れぬが、納骨以後もすべて家族だけだ。
  • 何回忌だからといって、親族を呼ぶな。通知をもらえば、先方は無理をする。
  • それより、家族だけで寺へ行け。形見分けをするな。つゆが死んでも同じだ。

77歳で国鉄総裁にかつぎだされた石田は国会で背筋をピンとのばし、議員たちを見下ろすようにして「諸君!」と呼びかけた。「生来、粗にして野だが卑ではないつもり。ていねいな言葉を使おうと思っても、生まれつきできない。無理に使うと、マンキーが裃を着たような、おかしなことになる。無礼なことがあれば、よろしくお許し願いたい」と断った上で、「国鉄が今日のような状態になったのは、諸君たちにも責任がある」と言い放った。

赤字を構わずに選挙区に鉄道を引いたからである。「我田引水」ならぬ「我田引鉄」と言われた。もっともな批判だが、誰にも言える言葉ではなかった。

石田は若き日に、物産の先輩である山本条太郎に、「大臣になろうと思うが、君の意見は」と尋ねられ、ズバリと答えた。「あなたの眉間にはシーメンス事件のキズがある。日本人は極めてケッペキ。おやめなさい」。山本の顔色が変わるような直言だった。

石田の言うように「日本人は極めてケッペキ」かどうかは疑わしいが、石田自身は潔癖だった。今度の国葬の主にはモリ、カケ、桜といったキズがある。それを含めての国葬だとするならば、「日本人は極めてケッペキ」という石田の評価を返上しなければならないだろう。

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エアコン普及率わずか5%で悲鳴。欧州を襲う記録的猛暑はなぜ起きた?

日本では異例の早さで梅雨が明け、記録的な暑さとなっていますが、世界でもどうやら状況は同じようです。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』では著者でジャーナリストの伊東森さんが、世界での熱波の影響や地球温暖化との関係について詳しく語っています。

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日本、そして世界で熱波が到来。しかしヨーロッパのエアコン普及率はわずか5%、地球温暖化との関係は?

日本、そして世界ともに記録的な暑さが続いている。日本では異例の早い梅雨明け同時に、記録的な暑さが到来。この記録的な暑さは世界でも同様。ヨーロッパ、インド、パキスタンでは40℃を超える厳しい暑さに見舞われた。その影響により、森林火災や干ばつも起きている。

とくに6月中旬のヨーロッパの気温は平年を10℃も超えるような暑さだった。猛暑は世界中のメディアでも話題に。

英BBCは、「日本で猛烈な熱波 1875年の観測開始以降で最悪」との見出しで、「日本が過去150年近くで最悪の熱波に見舞われており、各地でうだる暑さが続いている。」と伝えた(1)。

同じくBBCは、「猛烈な熱波が欧州を北上、仏英で猛暑警報 スペイン北部で43度観測」と題し、

「スペイン北部では18日、摂氏43度を記録した。フランスとイギリスではそれぞれ猛暑警報が発令された。フランス、ポルトガル、スペイン、ギリシャで発生した山火事では、数千人が避難を余儀なくされている。イギリスでは過去最高気温に達すると予想されている。専門家はフランスの一部が暑さによる「終末」に直面しているとしている。」とした(2)。

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