京セラを離れても生き続ける。稲盛和夫が怠らなかった「コンパ投資」

8月24日、老衰のため90歳の生涯を閉じた稲盛和夫氏。松下幸之助氏と並び「経営の神様」と称される稲盛氏ですが、何が彼を名経営者たらしめたのでしょうか。その本質として「コンパ投資」を挙げるのは、健康社会学者の河合薫さん。河合さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で今回、稲盛氏が生涯怠らなかったコンパ投資が何たるかを解説するとともに、「コンパ」がJAL再建時にも力を発揮したというエピソードを紹介しています。

プロフィール河合薫かわい・かおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

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稲盛氏が続けた“コンパ投資”

質のいい現場、人生に意味を与える現場を作ってきた“名経営者“が、また1人いなくなってしまいました。

京セラの創業者、稲盛和夫氏。KDDIの前身となる第二電電(DDI)を立ち上げ、2010年に経営破綻したJALを再生に導いた、厳しいけど決して「冷たくない」経営者です。

私が京セラの本社(京都)を訪問させていただいのは、2005年2月。某ビジネス雑誌で、「上司とストレス」というテーマの巻頭記事を書くための取材です。

当時は「心の病」という言葉が一般化し、国がメンタルヘルス対策に動きだしていました。そこで「社員が生き生きと働いている企業」を数社訪問し、社員と会社の“健康の謎“を解くために、取材を重ねました。そのうちのひとつが、稲盛氏が仲間と共に、1959年に創業した京セラでした。

私が訪問した時、稲盛さん名誉会長でした。創業者メンバーの1人で、1989年6月から1999年6月29日まで社長を務めた、伊藤謙介氏が色々なお話をしてくださいました。

「うちの会社の中には、“コンパルーム“というタタミじきの大部屋があって、そこで鍋をつつき合う。すべての工場、海外支店にもあって、海外スタッフも“コンパルーム“って呼んでます」(by 伊藤氏)

伊藤さんはこう話しながら、100畳のコンパルームに案内してくださった。正面には稲盛さんと同郷の長渕剛さんが描いたという大きな絵。圧巻の100畳間で、私たちも“コンパ“を体験させてもらいました。

創業当初、稲盛氏の自宅に創業メンバーたちが集まって鍋を囲んだことが、コンパルームの原型だとか。

「あの頃はお金もなかったし、同僚3人で6畳一間に住んでいた時代。今は厳しいけどみんなで心を一つにして、同じ志をもって、素晴らしい会社を作っていこうって。酒飲んで、しゃべって、ぶつかり合って。それがコンパルームに引き継がれているんです」(by 伊藤氏)

コンパの語源は「Kompani=仲間」。稲盛さんは、「会社づくりに上司も部下も関係ない」と考えていたのではないでしょうか。役職や肩書きはただの役割であって、みな「京セラ」を支える立派な会社員。コンパは組織のヒエラルキーを超えて1対1で「人」として向き会う大切な「場」。

創業者たちの“思い“が、先輩から後輩へ、そして、また後輩へと引き継がれていたのです。

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全固体電池に賭けるトヨタ、3~5年の計画遅れが「致命傷」になるワケ

EV化の流れに乗り遅れてしまったトヨタ自動車は、リチウムイオン電池によるEV開発でシェアを奪うことには注力せず、「全固体電池」への巨額投資で、2~3年以内に市場投入する計画と伝えられています。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんが、長年トヨタと直接ビジネスをしてきた経験から、トヨタが「全固体電池」に賭けることになった背景と勝算、リスクについて詳しく解説しています。

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全固体電池に社運を賭けるトヨタ自動車

ここ1年ほど、トヨタ自動車と全固体電池に関する記事をしばしば見かけます。

私は、長年トヨタ自動車を含めた日本の自動車メーカーと直接ビジネスをしてきたこともあり、彼らが「EVシフト」に乗り遅れてしまった理由や、ソフトウェア開発で出遅れてしまったしまった経緯などを、多くの人よりも理解しているつもりです。

特にトヨタにとっては、「ハイブリッド市場での大成功」が足を引っ張る形になっているのはとても皮肉なことですが、あるフェーズでの成功者が、次のフェーズに乗り遅れることは、どの業界でもしばしば起こることです。

典型的なのが、フィーチャーフォン(日本ではガラケー)時代の覇者であったNokiaとMotorolaが、Appleが起こしたスマートフォンへの急激なシフトにまともな対応が出来ず、Apple、Google、Samsungに主導権を渡してしまったケースです。

ガソリン価格の高騰により、燃費の良いハイブリッド車の人気が高いのもトヨタのEVシフトを難しくしています。現時点ではハイブリッド車こそがトヨタにとっての「飯の種」であり、EVシフトを急ぐ理由は全くないのです。

一方、ディーゼル事件で消費者からの信頼を失ったドイツのメーカーは、高級車市場でTeslaにシェアを激しい勢いで奪われていることもあり、急速なEVシフトをせざるを得ない状況に追い込まれています。ポルシェがいち早くTaycanをリリースしたのはそれが理由だし、フォルクスワーゲンも本気でEVシフトに取り組んでいます。

トヨタ自動車は、ハイブリッドの次のフェーズとして水素自動車に力を入れていましたが、その戦略がEVに足元を救われる状況になっているのも大きな問題です。トヨタ自身も「水素の時代」がすぐに来るとは期待していなかったと思いますが、このまま「EVシフト」が急速に進んでしまうと、トヨタ自動車が描いていたような「水素の時代」は来なくなってしまう可能性が高いのです。

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脳を活かせ。自分の「人生のドライバーズシート」を他人に渡さない方法

あなたは「人生のドライバーズシート」に座れていますか? 今回のメルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』では、著者で、Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍されている尾原和啓さんが、情報に慣れてしまう脳を活性化させ、学びを吸収するための効率的な方法を紹介しています。

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情報に慣れてしまう脳みそ。人生のドライバーシートを手渡さない方法

今日は2つお話をしたくて、1つは脳の仕組を利用して効率よく学びを吸収できるためのやり方、もう1つが人生のドライバーズシートを渡すなっていう話をさせていただきたいと思ってます。

情報に慣れてしまう脳みそ

と言うのはですね、人間の脳みそって無茶苦茶ナマケンボウなんです。

土台に僕たち見てるこの風景って情報量に溢れてるわけですよ。特にどんどんどんどん情報化社会にっていう中で自分たちの脳みそが処理しきれないだけの情報なんですよね。そうすると人間の脳みそって何をやっているかって言うと、如何に見慣れた情報であればシャットダウンしていくことで脳みそをセーブしようとするんですね。

つまりこれ何かって言うと、どんなに面白い本でもどんなに面白い講演でも、一定の間隔で情報を浴びせ続けられると、15分で人間は感じなくなるんですね。

これってわかりやすい例でいくと、臭い部屋に入ると人間って匂いを感じなくなるじゃないですか、あれと一緒なわけですよ。

アウトプット=学びの最大化

じゃあそれに対してどうやれば効率よく学ぶかっていうとさっきの2番目の話、人生のドライバーズシートを渡すな、ですね。

つまり何かって言うとこれ有名な心理学実験の話で、同じ道を走ったドライバーの人と助手席にいた人、どっちの人の方が道を覚えてましたか?というと、チッチッチッチ…、答えはもう明らかですね。

ドライバーの方なんです。

何故かっていうと、やっぱりドライバーの方っていうのは自分で自分の道を選択するってことだったりとか、助手席にいる人の命含めて守るっていうことがあるから主体者なんですよね。

だから主体者の人っていうのはそれだけ真剣に選択っていうものを見続けるからやっぱり覚えるわけですよ。

一方で助手席の人たちっていうのは受信者ですよね。

ドライバーの人が連れて行ってくれるから、そうすると道は覚えないわけですよ。だとしたら助手席に乗っている人が道を覚えられる方法は何か?って言うとナビ役をやること、なんです。

これと同じなわけですよ。

情報を摂取しようとするとどうしても僕たちっていうのは特に動画だったりとか便利なリモート講演だったり、この僕の講座みたいに、どんなに便利なものも受け取り手、助手席として受け取り手に回ってしまうとついつい人間は自分の脳みそを楽にするために記憶がだんだん止まっていくんでしょうね。

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公明・熊野議員の官能小説風セクハラに創価学会「ギャー!」淫語LINE流出で即入院面会謝絶、元医師の本領発揮へ

6日夜、与党・公明党所属の熊野正士参院議員(57)が、創価学会の女性信者とのセクハラトラブルを抱え、入院中で面会謝絶の状態であると「文春オンライン」と「デイリー新潮」が報じた。翌7日、報道を受けて公明党は「そのような事実があれば、党として議員辞職を求める」とコメント。公明党の山口那津男代表と北側一雄副代表も今回の報道で初めて熊野議員と女性のLINEのやりとりを知ったと公表した。ところが「文春オンライン」によると、山口・北側両氏は「女性から直接セクハラ被害を訴えられ、5月までには公明党中枢が事実を把握しながら、参院選挙のために事実を隠蔽していた」と報じられた。これが事実であれば公明党全体を揺るがす大事件だが、当事者の熊野議員は入院し「面会謝絶」だという。多くの国会議員が引き起こしたセクハラ疑惑同様、今回も有耶無耶のまま終わってしまうのだろうか……。

元医師の熊野議員が女性に送った「下着の色は?」

熊野議員は近畿大学や大阪大学の附属病院で放射線科医として勤務したのち、2016年に参議院選挙で比例区から出馬し初当選。2022年7月に2期目の当選を果たした。公式YouTubeでは「ドクターとしてコロナ対策に全力!」とアピールし、「ワクチン3回目の摂取の無償化」「国産飲み薬の早期承認の実現」などを掲げている。

問題の女性創価学会信者は、親の代から入信している宗教二世で、学会の福祉団体の幹部も務めており影響力を持っているという。

熊野議員とは共通の知人を通じて名刺交換し、以降LINEのやりとりをするようになったとしている。

当初、大阪から単身赴任で議員宿舎に暮らし「家族とうまくいかない」「議員として何も実績を残せていない」などと落ち込む熊野議員を放っておけず、話を聞いてあげていたという。

ところが、知り合ってから1年半ほどが経過すると、毎晩のように直接電話をかけてくるようになった、と報じられている。

その上、LINEのメッセージも、「〇〇さん、愛しています」という愛のメッセージから始まり、次第に「下着の色は?」「今、どんな格好をしているの?」などと卑猥な内容の文章を送るようになったという。

描写がネチっこい“官能小説風セクハラ”破廉恥なLINEの中身

今年3月には、まるで官能小説にしか見えないような直接的な性表現の文章を大量に投下していたようだ。その“官能小説型セクハラ”の中身だが、ここに直接文言を書くのも憚れるような内容で、見る人によっては吐き気をもよおすかもしれない。これが、与党国会議員で医学博士、妻子持ち男性の送る内容なのだろうか? 熊野議員は、直接会ったときに女性の身体を触ることもあったようだ。

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4月26日の深夜にかかってきた熊野議員からの電話で、女性はついに限界を迎え、知人を通じて公明党の北側副代表に熊野議員のセクハラを訴えたという。

文春オンラインによると、北側副代表は当初、熊野議員と話をすると言ったものの途中で態度を急変。折しも参院選挙を控えていた時期であり「選挙で1議席が獲得できるまで待って欲しい」と女性信者に口止めを申し出たとしている。

セクハラ疑惑を報じられた国会議員たち

セクハラがあったのは事実か、虚偽か?ハッキリしないまま有耶無耶になっているのが国会議員たちのセクハラ問題だ。直近だけでも政界関係者の下半身スキャンダルはこのように相次いでいる。

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自民党の細田博之衆院議員は「週刊文春」誌上で、複数の女性記者に対して「添い寝をしたら教えてあげる」などと発言していたと報じられたが、報道各社へ調査を行ったところ誰も声を上げることはなかった。新聞社などのメディアにとって、大物政治家はネタを提供する側であり、政治家のセクハラを黙認するしかないという事情があったのかもしれない。その後、細田議員はセクハラを事実無根として文春を提訴している。

吉川赳衆議院議員はパパ活疑惑によって自民党を離党。しばらく雲隠れしていたが、自身のブログで何を言いたいのか分からない「小室圭的言い訳長文」で、パパ活疑惑を否定し、比例区で当選しながら議員辞職することなく国会議員のイスに居座っている。吉川氏は選挙事務所もなくなり、政治活動をしようがないが、解散しないかぎりきっちりと任期まで給与をもらうつもりらしい。

維新の猪瀬直樹参院議員は6日、自身の「セクハラ疑惑」を報じた朝日新聞をなぜか提訴している。

これらの疑惑を報じられた国会議員たちは、真のお父様や池田大作先生に誓って、何もないと胸を張って断言できるのだろうか。

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「戦争です」の声も。韓国民主党・李在明代表の召還通知で荒れる党内部

先日、韓国民主党代表に選出された李在明氏がソウル中央地検から召還通知を受けました。その経緯と現在の民主党内部について、韓国在住歴30年を超える日本人著者が発行するメルマガ『 キムチパワー 』の中で紹介しています。 

李在明氏、9月9日検察へ

共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表に向けた検察捜査が本格的に開始され政局が揺れ動いている。李代表はペクヒョンドン・大庄洞(デジャンドン)開発特恵疑惑と関連した虚偽事実公表疑惑で9月1日午前、ソウル中央地検から「9月6日午前10時までに出席せよ」という召還通知を受けた。先月28日、民主党代表に選出されてわずか4日ぶりのことだ。民主党は「政治報復」と反発し、国民の力は「捜査をきちんと受けろ」と反論している。

検察はまず、昨年10月20日、民主党の大統領選候補だった李代表が、国会国土交通委員会京畿道国政監査に京畿道知事の資格で出席し、ペクヒョンドンの韓国食品研究院敷地の用途変更特恵疑惑と関連し、虚偽事実を公表した疑い(公職選挙法違反)について取り調べる予定だ。

検察が問題視するのは当時、李代表が「(城南市長時代の2015~2016年)国土交通部が『職務遺棄を問題視する』と脅迫し、やむを得ず(ペクヒョンドンマンション敷地の)用途変更をした」と述べた。当時、国民の力は「城南市が用途変更に線を引いたが突然立場を変えた事実が明らかになった」として李代表を告発した。事件を捜査していた京畿(キョンギ)南部警察庁の反腐敗・経済犯捜査隊は先月26日、同代表を起訴意見で検察に送致した。

検察は、李代表が昨年12月放送のインタビューで、大庄洞の開発特恵疑惑関連捜査を受けている途中、極端な選択(自死)をした故金ムンギ元城南都市開発公社開発1処長について「城南市長在任時は知らなかった」と言ったことについても虚偽事実の公表(公職選挙法違反)の容疑で捜査中だ。これまで李代表の大庄洞関連発言は、ソウル中央地検が、ペクヒョンドン関連発言は、水原(スウォン)地検城南支部が捜査してきた。検察は近く、李代表が出席し次第、ソウル中央地検と水原地検城南支部捜査チームの合同調査を行う計画だ。

検察の召喚通知に民主党は驚いた。朴聖俊(パク・ソンジュン)民主党報道官は同日、国会のブリーフィングで「検察が途方もない理由で、同代表に出頭を通知した」、「検察は、李代表が昨年の国政監査とマスコミのインタビューで、虚偽事実を発言したと主張するが、そのような主張が誤りであることを立証する事実が一部の取材記者の証言で確認されたにもかかわらず『聞かないで召喚』をほしいままにしている」と主張した。

さらに、「キム・ゴンヒ女史関連事件や国民の力の議員に対する告発事件は次々と無嫌疑処分し、野党代表の政治的発言は、司法的判断に引き渡すという荒唐無稽な仕打ち」とし、「第1野党代表に対する政治報復、野党を崩壊させようとする政治弾圧に対して民主党は引き下がれない。強力に立ち向かって戦う」と明らかにした。

なぜ、社員に軽い懲戒処分をしただけの会社は裁判で負けたのか?

ビジネスでもプライベートでも重要なのが「聞く力」。今回の無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、著者で特定社会保険労務士の小林一石さんが、会社の「聞く力」が不足していたために負けてしまったという裁判内容について紹介しています。

軽い懲戒処分であれば、軽くやっても大丈夫か

「聞く力」

はたして某首相のこの力は発揮されているのか、いないのか。

ただ、首相に限らず誰でも仕事でも、プライベートでも、この力が大切なのは間違いないでしょう。

男女間の喧嘩の原因も「聞く力が不足していることが1番の原因」というデータはありませんが感覚的には全く関係無いこともなさそうです。

これは会社が行う懲戒処分についても同じことが言えます。

それについて裁判があります。

あるコンサルティング会社で会社が行った懲戒処分(けん責)に納得がいかないと、社員が裁判を起こしました。

会社はこの社員が社内の別の担当者に送ったメールの内容が「非協力的で協調性を欠く」として、けん責処分を行っていたのです。

そのメールの具体的な内容は、社員の企業年金制度の移行に対し、「もし私が不利益を被ることがあったら、訴訟しますことをお伝えします」というものでした。

「チャイナリスク」問題への政治介入に日本経済界が戸惑う2つの理由

世界の工場からビッグマーケットとなり、いまではアメリカと競うほどの経済大国で技術大国になろうかという中国。この流れの中でビジネスにおける「チャイナリスク」も、その内容は急激に変化しているようです。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、著者で多くの中国関連書籍を執筆している拓殖大学教授の富坂聰さんが、「チャイナリスク」の変遷を解説。政治の介入でリスク軽減を期待した経済界の思惑とは違った方向に動いている現状を伝えています。

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チャイナリスクの裏に隠れた政治リスクに備える時代

チャイナリスクという言葉が日本に定着して久しい。しかし、リスクが現実になったという記憶は乏しい。実際の中国ビジネスの現場を概観すれば、日本企業に大きな利益がもたらされたという事実は揺るぎないだろう。その証拠に、多種多様の問題が日中ビジネスの上に降りかかっても、最終的に日本企業が大挙して中国から撤退するという選択には至っていない。

過去を振り返ってまず気づかされるのは、対中ビジネスにつきまとうチャイナリスクは時代ごとに形を変えているという事実だ。そもそも「納期は絶対に守る」といったビジネスの基本的な考え方のすり合わせや品質保持の大切さを教える苦労を経て、日本企業がやっと中国で利益を生み出せるようになった後に指摘され始めたのがチャイナリスクである。当時は専ら政治制度の違いや「人治」の問題との戦いだった。

杓子定規で柔軟性のない思考の壁や、現地の都合で生まれるローカルルール、そして朝令暮改だ。習近平政権になるまで賄賂への対応も日本にとっては頭の痛い問題だった。

2000年代の初めには反日感情の高まりなどから日中関係が悪化し政治リスクが注目された。これを受け「チャイナプラスワン」という考え方が生まれ、日本企業のなかで中国だけに頼った経済発展の危うさを見直す動きが活発化した。

チャイナプラスワンが難航するなか、今度は日中間に技術をめぐる軋轢が生じ始める。日中の企業間にあった技術の差が縮まったことが背景にある。チャイナリスクの中心は、いつのまにか「技術の窃取」と「知的財産の侵害」への対抗になっていった。

さらに時を経て問題化したのは、中国がルールメイカーとして台頭し始めたことだ。世界の工場としてだけではなくビッグマーケットとしての地位を確立した中国が、世界のなかで経済・貿易のルールに悪影響を及ぼすのではないかという警戒が生れたのだ。この懸念は日本だけでなく欧米も共有し、最終的にはTPP(環太平洋経済連携協定)へとつながってゆく。

そしていま、チャイナリスクの中心は米中対立の行方になっている。注目すべきは、ここでチャイナリスクの中身に大きな変化が起きたことだ。従来のチャイナリスクは「中国におけるビジネス環境の改善」を目的に、欧米や日本の企業が中国と対峙する構図であったのに対し、いまは経済界がその中心からはじき出されてしまっているといる点だ。まさに「ねじれ」だ。

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安倍国葬前に逮捕される大物政治家は誰か?Xデーは9月中旬「時効で逃がさぬ」東京地検特捜部ガチギレの矛先

検察人事に介入してきた安倍元首相の突然の死によって“覚醒”した感がある東京地検特捜部。9月6日にはKADOKAWAの元専務ら2名を逮捕するなど東京オリンピックの贈収賄事件を厳しく追及して国民から快哉の声が上がっていますが、やはり大本命は安倍氏と関係が近かったあの大物政治家のようです。『アクセスジャーナル・メルマガ版』の山岡記者が解説します。

※この記事はメルマガ『アクセスジャーナル・メルマガ版』2022年9月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料お試し購読をどうぞ。

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森元首相、菅義偉前首相「ではない」

東京五輪のスポンサー契約を巡る、「電通」元専務で、東京五輪組織委元理事の高橋治之容疑者と、紳士服大手「AOKIホールディングス」(8214。東証プライム。横浜市都筑区)との贈収賄事件──ここに来て、高橋容疑者は、AOKIがスポンサー契約を結ぶ前後に、東京五輪組織委会長だった森喜朗元首相をAOKI側と面会させたと特捜部の調べに供述しているとの情報が出て来ており、他の複数の政治家も含め、特捜部はどの政治家を狙っているのかと、一挙に世の関心はそちらに向かいつつある。

本紙が得た情報では、確かに特捜部は森元首相、それに菅義偉前首相に関する情報もかなり集め、すでに関係者から供述も取っているようだ。

もっとも、この2人の元首相の名が出て来るのは、専ら、AOKIとは関係ない、五輪開催を東京に持って来た件の方で、そのなかには民間企業「セガサミーホールディングス」(6460。東証プライム。東京都品川区)の里見治会長の名も出ている。

この絡みに関しては、本紙では約2年前に『週刊新潮』記事を紹介しているので、そちらをご覧いただきたい。これには高橋容疑者も深く関り、IOC委員だったラミン・ディアク親子には東京招致委員会(竹田恒和理事長。当時)から2・3億円、その過程で、竹田氏の“親分”の高橋容疑者の口座に約9億円入金されていた疑惑が出ていた。

しかしながら、特捜部は時効の関係(東京招致が決まったのは2013年9月。わが国の贈収賄の時効は贈賄側が3年、収賄側は5年)、それに森元首相は高齢で持病もあり、勾留中に万一のことがあってはいけないということで、やる気はないという。

「捜査権限の問題もある。ただし、特捜部はフランスの検察(現在も捜査中)からはかなりの情報を得ている。結局、五輪絡みで国内でやれるものはないか徹底して調べ、そのなかで出て来たのがAOKIの件。

ただし、検察は今、司法取引をすごくやっていて、高橋らの逮捕前に、電通の現役幹部とか、セガサミー側と片っ端呼んで供述を取ってがっちり押さえている。高橋は口が堅いというが、まず逃れようがない」(政界関係者)

「平井卓也 初代デジタル大臣を逮捕」が最有力

そして、実はAOKIの件はある意味、入口に過ぎないとも。

「甲斐行夫検事総長は、安倍晋三元首相が検察人事に手を付けたことを本当に怒っている。安倍氏の死去を契機に、安倍氏も関与したこの東京五輪の闇の部分で政治家をやろうとしている」(同)

その結果、すでに目を付け、周りを固めているのが、何と「平井卓也」元デジタル相(当選8回。岸田派)というのだ。

平井氏が岸田派と聞いて、不可解と思う読者もいると思うが、特捜部が平井氏に目を付けたのはこういうことだと見るのは、ある永田町関係者。

「平井氏も電通出身。そして上司が高橋容疑者だった。ちなみに、安倍元首相の妻・安倍昭恵氏も電通に務めていたことがあり、平井氏と面識があるとも。そうした縁から、五輪利権に預かる安倍・森コンビが、他派閥の方が好都合ということで利権絡みの使い走りに平井氏を使っていたようなんです」

ちなみに、本紙過去記事を検索すると、平井氏、安倍元首相が心酔していた教祖の息子の結婚式に出席。また、安倍政権時代、安倍氏は北朝鮮への強硬ぶりを見せながら、その裏で朝鮮総連中央本部の問題ではちゃっかり譲歩していたわけだが、その関連で平井氏も関与していた。

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国葬、五輪、統一教会。汚染だらけで逃げ場ない岸田政権“ジリ貧”支持率

統一教会汚染や東京五輪汚職、さらには安倍首相の国葬等々を巡り有権者からの信頼を完全に失い、支持率下落に歯止めのかからない岸田内閣。「危険水域」と言われる30%割れの可能性も否定できない状況になりつつありますが、彼らに打つ手はあるのでしょうか。今回のメルマガ『uttiiジャーナル』では著者でジャーナリストの内田誠さんが、あまりに酷いと言わざるを得ない諸問題を改めて取り上げ、各々についてその本質を追求。「岸田氏は何のために総理大臣になったのか」とまでの厳しい見方を記しています。

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国葬、電通、統一教会。問題だらけの岸田内閣狂騒曲:「デモくらジオ」(9月2日)から

今日、冒頭にお話申し上げようと思いますのは、この間の政治の流れというか…これは岸田内閣の行く末を考える上でも重大な色んな問題が同時多発的に起こっていて、なんというのか、もうシッチャカメッチャカな状態ではないかと思うんですね。突っ込みどころ満載もいいところじゃないですか。

これが、やがて秋の国会が始まりますけれど、国会が本格的に始まったときに、もうそうなると統一教会が自民党に与えた、あるいは保守政権に与えてきた影響の範囲なんていうことでは終わらない。

一つには国葬の問題がありますし、それからエネルギー政策の大転換ですね。これ、とてつもない問題ですけれど。それからもう一つ大きなこととしてあるのは防衛費の増額の問題。これは概算要求がすごいのが出て、スタンドオフミサイルがどうのこうのと色々あるのですが、5兆6,000億円くらいでしたかね、ところがそれで収まらない。いわゆる事項要求といって金額を示さない要求もたんとつまれていますので、こういうものを全部合わせれば「6兆円台の半ば」…あれ、どこかできいた数字、思い出しません?

自民党の安倍派の会合で、在りし日の安倍さんが防衛費の2%云々の話のときに言っていたこと。防衛力の抜本的な強化ということを岸田政権は言っているから、これは6兆円台の後半までいくのではないかと、嬉しそうに話していました。どうやらその数字にはある意味で「根拠」があったのでしょうね。ドンピシャ。少なくとも、事項要求を大体計算するとそのくらいになるだろうという意味で今報じられている6兆5,000億円以上というね…。ものすごい大軍拡、防衛費の大増額ということになります。

それからもう一つ大きな問題としてあるのは、オリンピックを巡る汚い金のやりとりですね。これは、今刑事事件になっているわけですが、どこまで伸びていくのか。これ、こういうレベルの問題が起きたときに、政治が絡んでいないはずがないですよね。これ、当然ね、オリンピックを巡って動いたおカネはもっと他にも色々あるわけですね。いわゆる規制の緩和ということに関しても、神宮エリアの規制の解除を巡ってどれだけのカネが動いたのだろうかということがありますね。こうなるとこれはちょっと大騒ぎだと思うんですよね。

これ、電通じゃないですか。今、家宅捜索を受けたり、元専務が逮捕されたりしていますが。これ、国葬の話とか影響してくると言うか、笑っちゃいますが。いや、これ、国葬を笑う訳ではないですが、普通なら電通に丸投げしていたんじゃないかと誰でも思いますよね。(この事務作業)ややこしいですよ、だって、ものすごい数の外国要人が来るわけでしょ。その一人一人に警備がつくわけですよね。

で、それは全部バラバラにやるわけではなくて、警備が連携していないと意味が無いですよね。ということは、その段取りとか、いつどこで誰がどのように配置されるかという、まさに奈良の銃撃事件で起きたようなことを繰り返さないために、綿密な計画を練らなければならない。そんなことが外務省の官僚や内閣府の官僚に出来るだろうか。今、やっているのかもしれませんが、多分、死にそうな顔して働いているのではないかと。本当に気の毒としか言い様がないですが、しょうがないですね、官僚になっちゃったんだから。こういう問題が起きてくるでしょう。

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川を泳いで敗走か。ウクライナの反撃に重火器を破棄して退却するロシア軍

南部地域の領土を取り戻すべく、8月29日に反転攻勢に出たウクライナ軍。9月4日にはゼレンスキー大統領が東部と南部の3つの集落を奪還したと表明しましたが、この先紛争はどう展開していくのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、さまざまな情報を整理しつつ戦況を解説。さらにロシア・ウクライナ両国の思惑と、この戦争が鮮明化させたものについて考察しています。

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ウクライナ軍がヘルソン市に迫る

ウクライナ戦争はウ軍がヘルソン市の奪還を目指し、29日より総反撃を開始した。今後を検討しよう。

ウクライナ独立記念日の8月24日後の29日から南部ヘルソン州のドニエプル川西岸地域の奪還に向け、ウ軍は総反撃を開始した。

この反撃とともに、引き続き、ウ軍はクリミア半島やヘルソン州、ザポリージャ州のロ軍の弾薬庫や兵站拠点、司令部、空軍基地などを撃破して、ロ軍の補給をなくす動きをしている。

ロ軍は、戦争資源が枯渇してきたので、ドンバス方面に優秀部隊を集めて、この地点での突破を志向しているようだ。このため、ロ軍はイジューム西のノバ・フサリフカから突然、ドネツ川の橋を破壊して、対岸まで撤退した。

イジューム周辺の優秀な正規兵をドネツク周辺に移動させるようである。この正規兵の代わりに募集兵を充当するので、防衛の難しい地点を放棄するようだ。その募集兵も少なく、この地域は手薄になっている。

そのため、ウ軍は徐々に前進している。偵察隊を出して、ロ軍の空白地帯を見つけて、そこに浸透する方法で前進しているようだ。

プーチン大統領はドネツク州の完全制圧の期限を8月31日から9月15日に延期して、ロ軍に絶対命令を出したという。このため、ドネツクへの兵員増強がロ軍も必要になり、イジューム周辺やハルキウ周辺、スラビアンスク東側から多くの経験豊富な正規兵を移動させて募集兵に置き換えているようだ。

この2週間を見ると、ロ軍が前進できたのは、ドネツク近郊のピスキーだけであり、一度は押し戻したウ軍は、耐えられなくなり完全撤退した。

しかし、ピスキーから先に攻撃できない程ロ軍も消耗したようである。この情報でプーチンが動いた可能性がある。ドネツクに兵員を集めろと。現地指揮官と直接連絡しているので、全体戦局を見ずに、一部地域の戦術レベルで動員の命令を出したようだ。

これに関連して、多大な犠牲を払って前進したので、ロ軍は休戦をウ軍に申し出たが、時間稼ぎのような気もする。ドネツクに部隊を集める方向でロシア軍は動いているので、危ないような気がする。

このような動きから見ると、ロ軍の戦略は、南部も捨て、イジューも捨て、ドネツク市周辺を確保ということになる。

一方、ウ軍は、ドニエプル川のヘルソン市とノバ・カホフカの中間地点のリボグのポンツン・フェリーを破壊した。アントノフスキー橋やその付近のフェリー、カホフカ橋や付近の船橋も攻撃して、ドニエプル川西岸への補給を止める攻撃を継続しているが、フェリーの破壊もできるようになったようである。

これは、射程70km、誤差1mの「ボルケーノ」GPS誘導弾がウ軍に供給されて、PzH2000の155mm榴弾砲から打てるようになったことで、この弾は最後の段階で熱追尾ができるので動く目標でも狙えるからである。これで、ロ軍の補給は完全に止まることになる。

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