トランプ米新大統領の悲劇的宿命と「パンなきサーカス」の帰結点。日本は「USスチール買収妨害」の罠を回避できるか?

食糧と娯楽さえ与えておけば国民は政治的関心を失う、という愚民政策のたとえとして「パンとサーカス」という言葉がよく使われる。米国在住作家の冷泉彰彦氏によれば、トランプ新大統領が矢継ぎ早に繰り出そうとしている政策は、ほぼすべてがこの「サーカス」にあたるという。ただ、不幸なことに第二次トランプ政権は、米国民の最大の関心事である物価高への対策を持ちあわせていない。世界中を巻き込み、間もなく開幕するのは「パンなき空腹のサーカス」となりそうだ。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:就任直前、トランプ体制と日本外交を考える

トランプ新大統領が傾倒する「危険なサーカス」

まもなく米新大統領に就任するトランプですが、グリーンランド領有への野心、メキシコ湾の「アメリカ湾」への改名要求、パナマ運河支配権の奪還表明と、矢継ぎ早に「無茶振り」が繰り出されるのには驚きました。

カナダを「51番目の州にする」という話題もこれに連なります。こうした動きに対して「帝国主義的」だという批判はまあともかく、肯定的な観点から「汎アメリカ主義」などと評している向きもあるようですが、見当外れだと思います。

こうした「仕掛け花火」というのは、単なる「目くらまし」であり、もっと言えばローマ帝国末期の様相への批判として使われた「パンとサーカス」つまり民衆には「食わせて見世物を見せておけばいい」という種類の態度だと思います。

つまり、領土要求というのは「サーカスゲーム」であり、全体的にフェイク性も伴っていると考えるべきです。

大真面目に言うのであれば、アメリカの安全を保障するのは、周辺国との安定した関係のはずです。とりわけカナダとメキシコはどちらもアメリカと長大な国境を接しています。仮にトランプ次期政権が、麻薬の流入や不法移民、あるいはテロ容疑者の流入をコントロールしたいのであれば、カナダ、メキシコとの良好な関係は大前提になります。

今回の言動は、その反対方向を目指しているわけですから、どう考えてもアメリカの「安全」より「危険」を増大する話になります。またグリーンランドに関しては、デンマークだけでなくNATOの結束を根本から破壊する危険性を持っているとも言えます。

【関連】USスチール買収阻止の空騒ぎ、日鉄がんばれ!の勘違い。バイデンも日本もなぜ「国益と無関係の話」に熱くなれるのか?

「宿命」から逃れられないトランプ氏

この「デンマーク、カナダ、メキシコ、パナマ」をまとめて敵視して、一種の領土ナショナリズムの炎を相手にも、自国にも点火してしまうというのは、どう考えてもアメリカの国益にはマイナスです。

これによって誰が得をするのかですが、これはどう考えてもプーチンや習近平になります。では、トランプは彼ら、特にプーチンの調略を受けてやっているのかというと、直接的なものとしてはないでしょう。

例えば、トランプなどは金の弱みを握られていて、プーチンの意のままに動かされていたという説があるわけですが、現在はそのような可能性は少なくなっているからです。

現在進んでいるのは、イーロン・マスクのドイツ右派への肩入れなども含めて、特にNATOを壊すような動きですから、結果的にプーチンには大きなメリットになる話ですが、さすがに脅されてやっているということはなさそうです。

では、どこからこうした暴言がでてくるのかというと、基本的に本人と周囲の思いつきのレベルだと思います。芸人がネタを思いつくのと全く同じで、「サーカス」の出し物として観客の関心を惹くことができるからやっているだけです。

どうしてそんなバカバカしいことが必要なのかというと、それはトランプの背負っている宿命のためだと考えられます。

まずは時代錯誤的な妄想「アジア版NATO」構想をドブに捨てよ。石破首相が公明党の「アジア版OSCE」に賛同する前にやるべきこと

石破茂氏が首相就任前から主張している「アジア版NATO」の設立。ところがここに来て首相は、公明党の山口那津男元代表から説明を受けた同党の「アジア版OSCE」なる構想に好意的な姿勢を示したと新聞各紙が伝えています。そんなニュースを取り上げているのはジャーナリストの高野孟さん。高野さんはメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で今回、この動きを「1つの事件」だとしてそう判断する理由を解説するとともに、首相が公明党の構想に賛同する前段階で「しておかなければならないこと」を指摘しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:またまた露呈した軍事オタク首相の政治オンチぶり/公明党の「アジア版OSCE」構想にどうして簡単に賛成するのか?

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

「軍事オタク首相」の政治オンチぶりがまた露呈。公明党の「アジア版OSCE」構想に簡単に賛成する石破氏

公明党の山口那津男=元代表が1月8日石破茂首相と面会し、「アジア版OSCE」を創設する同党の構想について説明し、さらに13日から自公両党幹事長が訪中して開かれる「日中与党交流協議会」の席で西田実仁=公明党幹事長からその構想を中国側に提案するつもりだと伝えた。それにに対し石破は「しっかり勉強してみたい」と応じ、さらに翌9日、東南アジア訪問に先立つ記者会見で「アジア版OSCEを念頭に置いて各国と対話していく」考えを示した。

これは1つの「事件」と言うか、スキャンダルである。石破自身がよく分かっていない上に、聞いている記者がまるで珍紛漢紛なので数段程度の小さな新聞記事にしかなっていないが、よろしいですか、「アジア版OSCE」というのは「アジア版NATO」の対抗概念なんですよ。聞いた記者はすぐさま、「えっ?!それじゃあ石破さんが『長年の信念』とされてきた『アジア版NATO』構想はもう取り下げるんですか?」と突っ込みを入れなければならないが、そうする者はいなかったようだ。

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

2025年2月9日。福音派予言者ビックスが警告する巨大地震・津波の「前兆」…シンクロするビジョンは何を意味するのか?

2025年2月9日前後に、観測史上最大規模の巨大地震が米西海岸一帯で発生する。さらにその地震か、あるいは別の地震による巨大津波は日本をも襲うだろう――そんな予言が今、大変に注目されている。類似の予言としては「2025年7月5日」のものがよく知られているが、今回ご紹介する「2025年2月9日」予言のキリスト教福音派ブランドン・ビックス氏は、なんとあのトランプ氏暗殺未遂事件を的中させた人物だという。彼ら福音派はいったい「誰から」啓示を受けているのだろうか?『未来を見る! 「ヤスの備忘録」連動メルマガ』著者の高島康司氏が、不気味なシンクロをみせる予言の謎を読み解く。

2025年にシンクロする福音派の不気味な予言

今回はいつもの世界情勢の分析から離れ、福音派の人々が数年前から神の啓示として与えられたと称する予言の内容を紹介する。福音派の中で予言のシンクロが見られるのだ。

原理主義的なアメリカの福音派の特徴は、聖書の深い意味の読み取りと解釈よりも、神や天使の来訪、そして奇跡を実際の体験として共有することを優先する。そうした特徴もあってか、夢や白昼夢を通して主の啓示を受けたとする予言者のようなタイプの人々が、キリスト教の他の宗派に比べ、多く存在している。その啓示の内容は圧倒的に予言による未来への警告だ。

ブランドン・ビックス氏~トランプ暗殺未遂とリップル(XRP)高騰を的中

そうした自分の受けた予言を公表している人々の中で最近もっとも注目されてるのが、このメルマガの記事でも何度も紹介したことのあるブランドン・ビックス氏である。ブランドン・デール・ビッグス氏はオクラホマ州在住で福音派教会の用務員をしている人物だ。約1年前からユーチューブで予言の公開を始めた。

ビッグス氏が注目されたのは、トランプの暗殺未遂が起こる4カ月前にこの事件を詳細に予言していたことだった。3月14日にユーチューブにアップロードされたポッドキャストの録音で、ビッグス氏はトランプが銃撃され、それが耳の横を通過するだろうと予測した。

「トランプが立ち上がるのを見た。そして、彼の命が狙われるのを見た」とビッグス氏は録画の司会者、スティーブ・チオコランティ牧師に語った。そして、「弾丸は彼の耳の横を通り、頭に非常に近かったので鼓膜が破れた」と彼は語り、録画の数週間前にその幻覚を見たと述べた。ビッグス氏は続けて、トランプが膝から崩れ落ちて神を崇拝し始めたのを目撃したと述べた。

これはまさに7月13日に起こったことだった。その後、ビッグス氏は、これまでほとんど値動きのなかった仮想通貨リップルの高騰も予言して当て、さらに注目される存在になった。

・ビットコイン(BTC)
・リップル(XRP)
・イーサリアム(ETH)
・ソラナ(SOL)
・ステラルーメン(XLM)
・ドージコイン(DOGE)
・アルゴランド(ALGO)
・マンドックス(MANDOX)
・ポリゴン(MATIC)
・オーキッド(OXT)

・以下の分散型金融(DeFi)が大変に注目される。
・ユニスワップ(Uniswap)
・スシスワップ(SushiSwap)

ちなみにこのビッグス氏は、トランプの大統領就任後には上記の暗号通貨が高騰するとも予言している。

結婚詐欺師の常套句。経営者を名乗る悪人は「何」が「どうされた」からカネを貸してほしいと言ってくるのか?

マッチングアプリの登場により出会いのハードルが大きく下がった反面、いわゆる「結婚詐欺」の被害も急増している現代日本。詐欺を働く人間はどのような手口でターゲットからカネを騙し取るのでしょうか。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では著者の多田さんが、結婚詐欺師の巧妙に過ぎるやり口や「決まり文句」を紹介。さらに開運・霊感商法が使う「悩みの数値化」という手法を解説するとともに、その勧誘の撃退法をレクチャーしています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:シニア層による詐欺事件が続発 巧妙な結婚詐欺に要注意! 霊感商法の手口は今も様々な場面で使われて、被害を出し続けている

巧妙な結婚詐欺に要注意

今、マッチングアプリで出会った男性からお金をだまし取られた女性の被害を取材していますが、相手の心理を巧みについた手口がみられます。こちらは後日、記事にする予定でおります。

2024年10月、結婚詐欺の容疑で、男性2人が逮捕されていますが、二人三脚で行う劇場型の手口でした。男性らは「社長」(51歳)と「秘書」(22歳)に役割分担をして、マッチングアプリで出会った40代女性からお金を借りる名目でお金をだまし取りました。

嘘の話を信じさせるために、社長役の男性は、女性との結婚を約束した上で、高級車に乗りレストランもすばらしいところに誘います。プレゼントもかかさなかったといいます。さらにダメを押すように、秘書役が運転手をつとめて演出をしていましたので、被害女性も疑う余地はなかったかもしれません。

これまでも結婚詐欺の事例を取材してきて、経営者を名乗る人物が「会社の口座が凍結されているので、お金を貸してほしい」と言ってくるケースが多くありましたが、この事件でも、口座凍結を理由に「工事代金が必要だ」といって、3,500万円以上をだまし取っています。

詐欺を見抜くポイントとしては、金持ちの経営者なのに「口座凍結」を理由に「お金がないから貸して」という言葉が出てくる。また相手の両親や会社関係者に会わせようとしない言動があった場合には疑って下さい。自分では判断できない時には、知人、友人に相談して、しっかりと相手の身元を含めて見極めてもらうことも必要です。

この記事の著者・多田文明さんのメルマガ

なぜ、新トランプ政権はここまで「暗号通貨」に力を入れるのか?

今月20日に正式に発足する米国の新トランプ政権。前回の政権時と異なる部分もすでに目立ってきています。今回のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』ではジャーナリストの上杉さんが、大きく対応を変更した「AIと暗号通貨」に関する新生トランプ政権の方針を探っています。

トランプ政権 AI・暗号通貨シフト その主要人と顔ぶれ

2025年1月20日、トランプ政権が正式に発足する。2016年からの前回政権と違い、今回のトランプ政権は多くの政策に対して柔軟な姿勢を打ち出そうとしている。とりわけ、長年後ろ向きだったAIと暗号通貨に関しては、その対応を大きく変更して積極姿勢に転じている。象徴的なイーロン・マスクの抜擢に代表されるように、その人事を知れば、今回のトランプ大統領の狙いが見えてくる。上杉とNOBORDERワシントン支局からの情報、および独自のAIメディアの分析による最新リポートをお届けする。

暗号通貨政策の概要

規制緩和:トランプ政権は、暗号通貨産業の成長を促進するために、より緩やかな規制環境の整備に入る方針。

ビットコイン戦略準備金の創設:正式就任直後には、政府としてビットコイン等の暗号通貨を戦略的資産として保有することを宣言する予定。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)への反対:トランプ大統領は、金融の自由と分散化を脅かすとして、CBDCの創設には強く反対している。この方針に変更はない模様。

暗号通貨諮問委員会の設立:金融業界などの影響力のある人物を集めて政策形成や規制枠組みについて助言を受ける諮問委員会を立ち上げる予定。

暗号通貨関連の税制改革:暗号通貨に対する税金の引き下げを示している。これは強く推進されるだろう。

この記事の著者・上杉隆さんのメルマガ

話すのが苦手でも大丈夫!会話をリードして相手の心を開くコミュニケーション術

プライベートはもちろんのこと、ビジネスでも大事なコミュニケーション力。人と話すのに苦手意識のある方でも、あるコツを掴めば克服できるかもしれません。今回、メルマガ『“人と話すことが苦手な方”専門のメルマガ『サプコミュ通信』』の著者である青木朋博さんが伝えてくれているのは、あなたにも「コミュニケーションで相手を導く力」があるということ。気になるその力をどのように引き出せるのか、ぜひ教えていただきましょう。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:相手を心地よく導くこと♪

どうすればコミュニケーションで相手を導ける?

こんにちは!“人と話すことが苦手な方”専門のコミュニケーションコンサルタント、青木朋博です!やってきましたね、2025年!お互い健康に気をつけて素敵な1年にしていきましょうね!

1年のはじまりに、あなたのコミュニケーションには相手を導く力があることをお伝えいたしますね。良好な声と話し方は好印象を与えるだけではなく、相手のペースを良い方向へ導くことも可能になるのです。

コミュニケーションにおいては、相手のペースに合わせて、緩急をつけて話すことはとても大切なことですよね。難しい内容をものすごい早さで話されてしまったなら、せっかく聞こうとしていた気持ちも失われてしまうことでしょう。

せっかくのコミュニケーションの機会を壊してしまうことのないよう、まずはゆっくりと話して相手にご理解いただくことがポイントです。相手がお急ぎの場合など一部例外はありますが、基本的には「まずゆっくり」を心がけることが大切です。相手のペースにチューニングを合わせるようなイメージですね。

コミュニケーションは難しいもので、そこから一定のペースを保ち続けると、今度は飽きられてしまうもの。相手の心を導くためには、ときにテンポ良く、ときにゆったり、ときにはテンションを上げてみる…そんな変化が必要です。もちろん急激な変化ではなく、あくまで寄り添いながらの変化です。

例えば、おとなしい性格で声の小さな相手を導くならば、まずはこちらも声のトーンを合わせながらゆったり話します。チューニングが合ってきたら、段々と声のテンションを上げていき、嬉々とした表情も合わせて話すのです。優しく相手の手を取って軽くリードしながら歩いていくような、そんなイメージですね。相手も心地よく引っ張られ、一緒に高揚していけることでしょう。

こんなふうに、良好なコミュニケーションは相手を心地よく導くことが可能となること、覚えておいてくださいね♪

この記事の著者・青木朋博さんのメルマガ

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まじめ過ぎるがゆえに…愛宕神社の宮司が語った「人生は適当でいい」という言葉の意味

日々の仕事や人間関係は、すべてうまくいくなんてことはありませんよね。やはり悩みは付き物でしょう。真面目に仕事して生きていればいいという訳でもなさそうです。メルマガ『小野寺S一貴 龍神の胸の内【プレミアム】』の著者であり研究者である小野寺S一貴さんの心に残ったというのは、真面目な神社の宮司が言った「人生は適当でいい」という言葉。悩める人へ送ったというこの言葉にどんな意味が込められていたのかお話してくれています。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:『人生は適当でいいんだよ』の言葉に隠された意味

神社の宮司が言った「人生は適当でいい」の言葉の意味

「人生はさ、適当でいいんだよ」

これはある時、愛宕神社の宮司さんが言った言葉。な、なんと!!神社の宮司が?そんなことを?まっさかー!!と、思うかもしれませんが、本当の話です。

「適当でいい」それだけを聞けば、「えー?」と、首を傾げたくなるセリフでしょ?特に「適当」という言葉は「いい加減に行動すること」「でたらめなこと」を指す意味合いが強いから、抵抗を覚える人も多いかも。

じゃあ、宮司さんがいい加減な人かというとそうじゃない。むしろ逆。最近は神社での重要な神事でも、演奏は録音を流すところが多いんです。

だけど、うちの宮司(この際なので、うちの宮司という言い方をさせてもらいます!!)は違います。大事なお祭りには、東京から雅楽の演者を呼んで生で演奏してもらう。お金もけっこうかかるだろうに、「私は神事に関しては一切手を抜きたくないんだよ」というのが、うちの宮司なんです。

で、先日、その雅楽のメンバーと食事をする機会がありました。するとね、彼らは言ったんです。

「仙台愛宕神社に出会ってから30年。ずっと呼んで頂いて、こんなに継続して私たちに演奏の場を用意してくれるのは全国でもここだけですよ。ありがたい」

そう、心からの感謝の気持ちを述べていました。雅楽は飛鳥時代、仏教と共に海を渡ってきた文化。それだけ長い歴史があるにも関わらず、最近では演奏する機会も限られて後継者もどんどん減ってきていると言います。だから、今なお演奏を聴いてもらえる機会を作ってくれることをその人は心から喜んでいました。

また神事の式次第では、はじめに神前にお供え物を供える「献饌」(けんせん)と、最後にお供え物を下げる「撤饌」(てっせん)という儀式があります。ところが最近では、最初からお添え物を上げておくケースが増えていて(献饌では水や神酒の蓋を外すなど簡易的な動作で済ませるなど)。

だけど、愛宕神社はやっぱり違う。重要な神事の時には、周辺の神社から助勤(つまりはバイト)として神職の方々に来てもらい、ひとつひとつのお供え物を供える儀式を、雅楽の演奏の中、省略することなくすべて行うんですね。もちろん、撤饌も省略することなく行います。

そんな真面目過ぎるほどの宮司がね。「キミたちさ、人生は適当でいいんだよ」なんて言っても、説得力ねえなあって思いません?僕は思いました。

ただ、言いたいことはわかったんです。人生に真面目に向き合うほど、「まあ適当でいい」という、一見相反する姿勢が必要と言えばいいかな。自分が真面目に取り組んでいるからこそ、この「適当に済ますことの重要さ」がモノを言う。

というのは、宮司がこのセリフを口にした相手は、本当に真面目で一生懸命やるのだけど、頭が堅すぎて融通がまったく効かないという性格の人だったんです。

つまり、どんなことでも「ちゃんと完璧に清く正しくしないと気が済まない」人。だからでしょうか。自分の仕事に誇りを持ち、多くの人に知って欲しい、広めたいと強く思う反面、

「SNSは軽いから嫌いだ!!」

「こんなやり方は正しくないから反対」

「その説明は厳密に言えば間違っている」

という感じで、真っすぐであるが故に少しも妥協ができない人。すべてを(自分にとっての)正しくやらないと気が済まないという人だったんです。

ここで、僕は思うんですね。これだと、一番叶えたい望み「自分の仕事を広める」を阻害する要因にしかなくね?と。SNSは嫌いだからと使わなければ、発信の手段は限られます。必要な人に届かない。どんなに正しい説明でも、難しくて取っつきにくければ、誰も興味を持ってくれない。

僕だってね「日本の神様の魅力を広めたい!」と思うから、かなりくだけた書き方をしてるわけです。その方がわかりやすいし、おもしろいから。

僕の一番の願い「神様に興味を持ってもらう」ためには、誰にでもにもわかりやすいほうがいい。多少くだけてもいいじゃないか、と思うんです。

それが「適当」ということ。いいですか?僕が言う「適当」は、このことを指すんです。正直、僕の「適当古事記」が、神道の世界でどう受け入れてもらえるか、不安でしたよ。「もしかしたら神職の人に叱られるかもな」って心配になったほどだもの。でも意外と大丈夫だった(笑)。

神職の中でも立場のある偉い人ほど柔軟で、

「へえー。小野寺さん、これはおもしろいですよ」

「ふーん、こんな切り口があったとはねえ。これなら子どもたちにも興味を持ってもらえそうだね」

と、シン日本の神様入門をドンと買って下さり、氏子の方々にお配りしてくれた某神社さんもありました。真面目な人ほど、その正しさを続けていくのにある程度の「適当さ」を持っていました。

だから宮司さんも、あえて「人生なんて適当でいいんだよ」という言葉を使ったんでしょう。極端に正しさばかりを求めて、悩み深くなる人だから。人生に遊びがなくて、自分が苦しくなっている人だったから(雅楽を守るには、と本当に真剣に考えている人だったのです)。

本当にいい加減で適当な人の前では、絶対にそんなことは言いませんよ。むしろ「人生を生きる上で、しっかり考えて進みなさい」くらい言ったかもしれません。まさに人を見て諭し方を変える「対機説法」だったと思います。

真面目に生きるほど、適当さがなければいけない。かくいう僕だって、かつては頭が固くて融通が効かないことばかりでした。だけど、すべてを真面目に(自分が正しいと思うように)やろうと思ったら、絶対に破綻する。周りとぶつかることも多くなるし、うまくいかないことも増えたでしょう。

だからこそ、「本当に大事なこと」以外は適当で済ますくらいの余裕が必要なんです。周りの人に譲ることができればね、理解も得られやすくなるし。

やり方に頑なに固執しなければ、様々な方法を模索できたりもする。いろいろ選べるようにもなるんですよ。適当にOKな部分は緩くやる柔軟さが、いざ「大事な部分」に着手する時に、大きな強みに変わっていく。

それにね。「適当」って言葉は本来は、ほどよく当てはまっていることを表す言葉。まるっと条件にあっていれば、それを許容できる気持ちの余裕。それをね、皆さんに持って欲しいと僕は思うわけです。その方が生きていて楽しい。嬉しいことやちょっと幸運なことも増えていきます。頑なは、やっぱりうまくいきません。

真面目に。だけど、適当に。このふたつのバランスをね、ぜひとも今年は考えて日々を過ごしていきましょう。どうしてもね、どちらかに偏りがちになるけど、神社の宮司だって「適当」をやっているんです。3割くらいは、適当論でいきましょうよ。ラクにね、人生は苦しむためのものじゃないから……。

この記事の著者・小野寺S一貴さんのメルマガ

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スマホじゃダメなんだ。現代人が今も「紙の手帳」をわざわざ使っている納得の理由

スマホアプリなどのデジタルツールでスケジュールを管理している人が増えているなかで、なぜか今「紙の手帳」の売上が回復してきているそうです。メルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』の著者で文筆家の倉下忠憲さんは、自身もアナログのツールを捨てたことはないとして、アナログツールを使うことの重要性について語っています。

アナログな「紙のノート」をいま使うということ

紙の手帳の売り上げが回復している、というニュースを聴きました。デジタル化が進む社会において──なにせDXが騒がれています──、なぜそんなことが起きているのでしょうか。

思春期特有の反抗的行動、あるいはラッダイト運動的要素ということもあるのかもしれませんが、それ以外の理由もいろいろあるはずです。

アナログならではの

私もさんざんデジタルツールを使いながら、アナログツールを捨てたことはありません。アイデア出しや自分の考えをまとめるときなどはノートやコピー用紙を引っ張り出してきます。もしこうした道具たちがなければ、執筆作業の困難さは三割増し(当社比)だったでしょう。

しかしながら、思い返してみると、上記のような用途は「デジタルツールでは役不足なので、必要に応じてアナログツールを使う」という形であり、言ってみれば主要なツールはデジタルで、そこで埋まらない穴をアナログツールで手当てする、という構図です。

しかしながら、ここ一年ほど、具体的には今年の2月くらいからMDノート(A5サイズ)で読書日記などの「Knowledge Walkers手帳」を書きはじめ、先月には同じくMDノート(新書サイズ)で着想メモを書きはじめました。

これらは知的生産活動においてデジタルツールの穴を埋めるものではありません。

Knowledge Walkers手帳は、純粋に趣味的な(あるいは活動支援的な)ものですし、まったく同じ内容をデジタルツールに入力が可能です。

同様に着想メモ帳も、基本的にはずっとデジタルツールで、具体的にはEvernoteからはじまり、さまざまなツールを転々として直近はWorkFlowyに落ち着いている「インボックス」的使い方として運用していたものを、「わざわざ」アナログのノートの置き換えたものです。

極端なことを言えば、能率・効率という観点から見て、「劣った」やり方をしています。効率性至上主義の人はぜったいに許容できないやり方でしょう。

一方で私はというと、なんだかな懐かしいなという気分と共に、このやり方は手放さない方がいいだろうという思いを強めています。

この記事の著者・倉下忠憲さんのメルマガ

石原さとみ“旦那顔出し”ショックで日経平均急落か!?「どこが一般の方や…」外国人投資家もたぶん驚く金融エリートの経歴

3連休明けの日経平均株価は一時800円超の値下がり(本稿作成時点)。年明け以降、軟調に推移する東京株式市場に、一部の市場関係者からは「石原さとみショックだ」の指摘も!? そのような分析はジョークにしても、これまで「一般の方」とされてきた石原の夫が昨年末に“顔出し”したことの衝撃は、やはり各方面に波紋を広げているようです。芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんが詳しく解説します。

石原さとみ旦那の経歴に「どこが一般の方なんだよ…」総ツッコミ

石原さとみの夫が昨年末、経済紙の電子版に顔出しで登場した件について、『女性セブン』が、彼の輝かしいプロフィールとあわせて記事にしています。

石原は、芸能人やプロ野球選手などが結婚を発表するとき、相手方をマスコミに晒したくない場合によく使われる「一般の方」という言葉で夫の存在を話していました。

しかしまたこれもよくある話で…特に女性芸能人の旦那様になる人には、思わず「どこが一般の方なんじゃ!」とツッコミたくなる場合が多々あります。

例えば元フジテレビ・アナウンサーの加藤綾子が選んだ“一般の方”は、大手スーパーマーケットの2代目社長で、昨年の売上高は4,126億円…芸能界の人間ではないから“一般の方”なのかわかりませんが、“一般”とか“普通”の解釈の仕方は人それぞれ違うようですね。

【関連】2025年2月9日。福音派予言者ビックスが警告する巨大地震・津波の「前兆」…シンクロするビジョンは何を意味するのか?

『女性セブン』に掲載された“パリッとしたスーツを着こなす切れ長の目が印象的なイケメン”に対して、SNSでは「清潔感があって、全身から知性のオーラを醸し出している」という反応があったほか、「ファッション誌でモデルの仕事をやっていた人だから、もっとワイルドな人かと思っていた」「石原の元カレ、山下智久とはちょっとタイプが違う感じ」などなど、様々な意見が飛び交っています。

5年前の電撃婚直後には、マスコミ主導で、この“一般の方”のイケメン論争が大いに盛り上がりました。本人が自分から「僕の妻は石原さとみ」と話しているわけではありませんから、あくまでも憶測でしかありませんが、そのベールが初めて取られたというわけです。

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想定年収1億5,000万円、石原の強運がエリート夫を引き寄せた!?

さて、その輝かしいプロフィールから、下世話な話で申し訳ないのですが、どうしても気になるのが“一般の方”たる石原さとみの夫のフトコロ事情です。

30歳代後半で、大手外資系証券会社に入社14年目の役職付きの“一般人”は、他にも複数社の代取や社外取締役を兼任…。給与と報酬を概算すれば、少なく見積もっても1億5,000万円の年収が想定できます。

噂では、“夢を叶えるライブ配信プラットフォーム”設立者の元カレとの破局からわずか1年足らず、合コンで“一般の方”と出会ったというのですから、石原の強運と“引きの強さ”には脱帽してしまいます。

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記事で私が苦笑してしまったのは、このご夫婦の“成功の秘策”は瞑想だと書かれていたことです。

悩み考え過ぎるタイプの石原は、“一般の方”から勧められた瞑想で頭スッキリ、今では2人一緒に瞑想タイム…という内容に、瞑想という行為には否定も肯定もしませんが、思わず「それは瞑想じゃないだろう…もっと違う絆だろう」とひとりツッコミを入れてしまいました。

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こんな時代です。

西武ライオンズの源田壮亮選手や、斎藤元彦兵庫県知事、旧ジャニアイドルたちのように、“一般の方”が顔出ししたことで、元カノたちから良からぬタレ込みがないことを祈るばかりです…。

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プロフィール:芋澤貞雄

1956年、北海道生まれ。米国でテレビ・映画のコーディネーター業を経て、女性週刊誌などで30年以上、芸能を中心に取材。代表的スクープは「直撃! 松田聖子、ニューヨークの恋人」「眞子妃、エジンバラで初めてのクリスマス」。現在も幅広く取材を続ける。https://twitter.com/ImozawaSadao

image by : Dick Thomas Johnson, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

トランプ「米にケンカ売る国は容赦しない」の本気度。世界を火の海にしかねぬ“トランプ2.0外交”の大混乱

デンマーク領のグリーンランド購入やパナマ運河の獲得など、大統領就任前から次々と物議を醸す発言を繰り出すトランプ氏。今月20日の新生トランプ政権誕生からの4年間、世界はどのような事態に見舞われるのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、「トランプ2.0」が国際社会にもたらす影響を外交面にフォーカスし予測。併せてウクライナや中東地域において米国がどのように振る舞うべきかについて考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:“ハリケーン・トランプ”は世界に平和と取り戻すのか?それとも秩序の完全なる崩壊に導くのか?

“ハリケーン・トランプ”は世界に平和と取り戻すのか?それとも秩序の完全なる崩壊に導くのか?

今回のタイトルにもなったこの問い。

正直、私にも皆目答えは分かりませんが、このような問いが頻繁に投げかけられる状況から、各国も、ビジネス界も、トランプ政権の再来に期待と不安の両方を抱き、その動向に、政権発足前から注目していることが分かります。

新年早々、開会された米連邦議会では、大統領選を戦ったカマラ・ハリス氏が、現職の副大統領として、議会上院においてトランプ氏の当選を確認し、これで実質的にトランプ政権の再来が制度的にも確実になりました。

あと10日ほどで第2次トランプ政権が誕生し、世界はこれからの4年間、ドナルド・トランプ氏が率いるアメリカ合衆国と付き合うことになりますが、それはどのような4年間であり、その影響は“その後の世界”にどのように及ぶのでしょうか?

トランプ氏に心酔し、自他ともにアルゼンチンのトランプと称するミレイ大統領や、「きっとトランプ氏は露骨な形でイスラエル、特に自分の味方をしてくれるだろう」と期待するイスラエルのネタニエフ首相は分かりやすいとしても、イタリアのメローニ首相が、バイデン大統領のイタリア訪問を前に、マーアラーゴ(フロリダのトランプ氏の別荘)を訪れて、親密さをアピールする姿はちょっと意外に映りました(まあ、彼女はイタリアの極右政党を率いていますので、共通点が見いだせないわけではないのですが)。

それに反して、北朝鮮は、前政権時にトランプ大統領との歴史的な首脳会談を行ったにも拘らず、今はロシアの庇護があるからでしょうか、トランプ氏のアメリカに対して“超強硬戦略”で臨むと表明して、早くも対決姿勢を強めています。

あとの国々は、「実際に政権運営が始まるまで何が起こるか分からないから」と静観を決め込んでいるようですが、トランプ大統領がどのような出方をしてくるのか、戦々恐々としていると思われます。

イランはトランプ前政権時には目の敵にされ(というよりは、トランプ大統領のオバマ政権への当てつけと対抗の餌食)、イラン核合意からの脱退に始まるイランの国際社会への復帰を阻まれたこともあり、「きっと第2次政権でもイランに強硬姿勢で臨むのではないか」と身構えているようです。

特にイスラエルの攻撃によって、支援してきたハマス、ヒズボラ、そしてシリアが崩壊もしくは著しく弱体化され、イランの面子を潰されたこともあり、国内外で政権への突き上げが起きていることで、これまで以上に、イランは体制維持のために強硬手段に出かねないという懸念を抱いています。

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