元朝日新聞校閲センター長が教える、文章の書き出しが上手くなるコツ

文章を書くにあたり何より難しく多くの人の頭を悩ませるのが、その書き出し。読みづらさを感じさせず、読む側の興味を喚起させるような書き出しを身につけるためには、どんな文章をお手本にし、どこに注意を払えばいいのでしょうか。今回のメルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』では著者で朝日新聞の元校閲センター長という経歴を持つ前田さんが、自身が舌を巻いたという2冊の「名作」を紹介しつつ、良い文章の書き出しとその習得法を考察しています。

 

文章の書き出しはどうする?

文章の書き出しは難しい。いろいろと書こうと思っていることが邪魔をして、一歩を進めないという感じになってしまうことが、多いですね。

僕はそういう時に、参考にしている文章がいくつかあります。今回は、その文章の紹介をもとに書き出しについて、考えていきたいと思います。

春はあけぼの。やうやう白くなりゆく、山ぎはすこし明かりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたる。

『枕草子』(清少納言)の書き出しです。

高校時代、ひねくれてひん曲がった日々を送っていた僕は、哲学ということばに引き寄せられて、小難しい本を読んでいたのです。文字を追うばかりでまったく内容も頭に入らないし、理解もできない。ただ、それ風のものを読んでいる自分に満足していただけでした。

ところが、古典の教科書に載っていたこの短い文章を読んで、なんてかっこいいんだろうと、思ったのです。こんなに簡単なことばなのに、スーッと情景が思い浮かぶ。

『枕草子』の書き方を変えてみると…

最初の一文は「春はあけぼの、いとをかし」と続くところかもしれません。しかし、そこを「春はあけぼの」だけで止める。次に夜明けの様子をたたみかけていきます。次第にあたりが白くなって、山と空の境が少し明るくなる、紫がかった雲が細くたなびいている、と。

修飾を極力減らして、言い切る。そんな書き方ができるんだ、と僕は思ったのです。古語辞典を引き引き読んでいた古典が、非常に身近に感じたのです。しかも、ここに書かれた一連の主題ををポンと最初に置いたところが、潔いと感じたのです。

たとえば、これが

やうやう白くなりゆく、山ぎはすこし明かりて、むらさきだちたる雲のほそくたなびきたるゆゑに、春はあけぼの。

のように「春はあけぼの」を最後に持ってきたら、さほど印象に残らなかったかもしれません(この古文が正しいかどうかは疑問なのですが…)。

重厚ならいいというものではない

当時の僕は、重厚でデコラティブな方が、説得力のある文章だという思いがあったのです。当時の西洋文学の翻訳も、すっと頭に入ってきませんでした。そういうものの方が、ありがたい文章だという刷り込みがあったのかもしれません。

夏目漱石や森鴎外の作品も、旧字体・旧仮名遣いで書かれていたものがまだまだ多く、活字も小さい。次第に現代仮名遣いのものが増えてきましたが、本を読むこと自体がものすごくエネルギーのいる作業だったように思います。

語彙もないのに、やたらと小難しいことばを使おうとしてつまずいていた自分の愚かさを思い知らされたのが『枕草子』だったのです。「身の丈で書けばいい」。それができてから、次のステップを踏むべきなのです。無理をして背伸びをしても、すぐに馬脚を現します。語彙が少ないなら、それをどう組み合わせてどう表現するかを工夫すればいい。四字熟語や難しい熟語を使っても、それに染みついた感覚が、却って文章の流れに不自然な渦をつくってしまいます。柔らかい木の造作にそこだけ金属を埋め込んだような違和感が出る場合もあります。計算されたものならば、そうした表現も斬新なものとなるかもしれません。しかし普通は、そこまで文章を突き詰めて考えることはしないので、どこか付け焼き刃のような不自然さが出てしまうのです。

いま、僕は一つの要素で一文を書いて、それを文脈を追って積み重ね、ミルフィーユのように文章を書いていこう、と心がけています。さらに、文においても文章においても、言いたいことはできるだけ前に出そうとも思っています。そうした考えの原点になったお手本の一つです。

 

【書評】なぜ宮崎駿はスタジオジブリを作らざるをえなかったのか?

『千と千尋の神隠し』がベルリン国際映画祭金熊賞とアカデミー長編アニメ映画賞に輝くなど、世界が認める宮崎駿氏と、彼とともにスタジオジブリを牽引した高畑勲氏。その2人の天才の「手綱」を捌いてきたプロデューサー・鈴木敏夫氏の書籍が刊行から2年を経た今も話題を呼んでいます。今回の無料メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』では、そんな一冊を引用を含めて紹介。ジブリアニメをもう一度見直したくなること請け合いの裏話も満載です。

【一日一冊】天才の思考 高畑勲と宮崎駿

bs20210830-s天才の思考 高畑勲と宮崎駿
鈴木敏夫 著/文藝春秋

高畑勲と宮崎駿という2匹の猛獣をコントロールしてきたスタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫さんがアニメ制作の裏話を教えてくれる一冊です。

著者の鈴木敏夫さんが宮崎駿と出会ったのは、徳間書店が「アニメージュ」の創刊準備をしているとき、鈴木敏夫さんが担当になってからです。

そして宮崎駿が「アニメージュ」で『風の谷のナウシカ』の連載を始め、この『風の谷のナウシカ』を原作として博報堂にいた宮崎駿の弟を巻き込んで映画化することになったのです。

ところが、どこの制作会社もナウシカの制作を引き受けてくれませんでした。宮崎駿と仕事をすると、完璧主義の宮崎駿についていけない社員が辞めたり、病んだりして、組織がガタガタになってしまうという理由で断られたのです。

結局、トップクラフトという会社が引き受けましたが、予想どおりナウシカの完成後、ほとんどすべての主要なアニメーターが退職してしまいました。

どこもナウシカの制作を引き受けてくれない…「宮崎さんが作るならいいものが作れるだろう…でも、スタッフも会社もガタガタになるんだよ。今までがそうだった」。完璧主義者と仕事をやると会社がダメージを受けるということです。(p23)

『風の谷のナウシカ』がヒットしたことで、次は『天空の城ラピュタ』を作ることになりました。当然のことながら引き受けてがいないので、自前でスタジオを作ることになりました。それがスタジオジブリなのです。

アニメの世界は、出来高払いなので適当にたくさん作ったほうが儲かる仕組みになっています。そのため宮崎駿のように、手間と時間をかけて精密な作画を作っていると、朝から夜中の12時まで作業を続けたとしても、生産量が半分になってしまうので、収入は月に10万円にしかならないのです。

手間をかけるだけ損をするのがアニメであり、宮崎駿はそうした環境の中で最高品質の作画にこだわる変わり者であり、天才だったのです。

スタジオジブリではそうした環境を打破するために予算を2倍にして月に20万円支払うことにしました。それでも20万円だったのです。

『魔女の宅急便』の制作費は4億円かかりました。1億円も行かない映画が多かった時代、それはすごい金額です。それだけ用意しても、宮崎駿の求めるクオリティで仕事をしていくと、出来高払いのアニメーター一人あたりの報酬はだいたい月に10万円。1年かけて全身全霊で仕事に打ち込んでも120万円にしかなりません。当時でいっても普通の仕事の半分ぐらい。(p97)

パラ組織委「因果関係なし」に批判殺到。引率教員コロナ感染でも“観戦は継続”に保護者激怒、若者の不満爆発で自民党が窮地に

千葉市教育委員会は29日、市立貝塚中学校の教員6人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。うち2人が、東京パラリンピックの学校連携観戦プログラムに引率として参加しており、貝塚中は9月3日まで休校するという。朝日新聞などが報じた。

パラリンピック引率教員がコロナ感染も「観戦は継続」

貝塚中は25日に観戦プログラムに参加。50代と40代男性教員2人は他の教員と1年生55人を引率して幕張メッセでゴールボールを観戦したが、2人はその後の27、28日に発症した。

記事によると、教員も生徒もパラ観戦ではマスクをしており、「2メートル以内」「計15分以上」の接触者がいないため、市保健所は生徒を濃厚接触者に当たらないと判断。今のところ体調不良を訴える生徒はいないが、参加生徒のうち感染した教員と一緒にバスに乗っていた18人が今後PCR検査を受けるとしている。

市立小中は29日まで夏休みで、30日から授業を開始したが、貝塚中は9月3日まで休校にする。

保護者たちから不安の声が広がる中、市教委はパラリンピックの学校連携観戦プログラムは「子どもたちの教育環境を考慮すると、引き続き実施する」として続ける方針を表明。

しかし、ネットでは「今すぐに中止すべき」「大人に子供が振り回されるのはおかしい」「容易に想定できたことなのに最悪の展開」「感染者が出ても続ける理由って何?誰の支持なの?」など、子どもを持つ親を中心に疑問の声があがっている。

東京五輪・パラリンピック組織委員会の武藤敏郎事務総長は30日、会見の中でこの件について触れ、「報告を受けている。大会との因果関係はない」と感染と大会との因果関係を否定し「観戦実施以前に発熱の症状があったと聞いている」と説明した。

<追記>
千葉県は30日午後、現在実施している東京パラリンピックの学校連携観戦プログラムによる子どもたちの観戦について、これまでの主張を一転して中止する方針を決めた。

熊谷俊人知事は「直前のキャンセルが多く、多くの保護者が安心して送り出せない以上、実施にこだわるべきではない」と説明した。

【関連】「国から補助金もらって政権批判」vs「音楽フェスで君が代」政治色が一層濃くなったフジロックに賛否両論。「感染者の有無」が政争の具とされる恐れも浮上

パラ観戦推奨も学校行事は軒並み中止で若者の不満爆発

熊谷知事はパラ観戦を「パラアスリートのプレーを間近に見ることで、共生社会や障害者福祉の理解を広げる重要な教育機会」との立場だが、コロナ感染者が出てもなお続ける必要があったのか。

とても納得できる継続理由ではないが、学生や若者たちは大人が決めたことに対して逆らうことはできない。それゆえ、いつも損をすることになるのは若者たちだ。

修学旅行や学園祭は軒並み中止、大学は学費だけ払ってリモート授業。後手後手に回る菅政権の対応のマズさで、この2年間は我慢ばかり強いられている。

都内の私立高校に通う高校2年生の女子生徒は、もともと海外だった修学旅行先がコロナの影響で京都・大坂になり、さらに緊急事態宣言の延長で現在は教員の間で「都内巡り」が検討されているという。今秋の修学旅行を目前に控え「私の青春を返して欲しい」と怒りをあらわにした。

若者たちの政治参加で自民党がしっぺ返しを食らう?

しかし、今まで黙るしかなかった若者たちでも、声を上げることができるようになった。それは“18歳選挙権”だ。

日本においては公職選挙の選挙権年齢は20歳以上だったが、2016年6月19日に施行された公職選挙法の改正により、現在は18歳以上に選挙権が与えられている。

これを推進してきたのは自民党で、若者たちへ選挙参加を促そうとさまざまなネット選挙を展開。熱心に宣伝活動を行い、自民党は若者たちを新たな“票田”として期待していた。

だが、その期待はもろくも崩れかけている。今秋に行われる衆院選では「自民党を支持しない」という若者たちの声が多くなることが予想されている。

【関連】衆院選は過半数割れか?お膝元の大惨敗で見えた菅自民「屈辱の下野」

あれだけ力を入れてきた18歳選挙権のせいで、自民党は不満を募らせる若者たちからしっぺ返しを食らうことになりそうだ。

缶ビールに泡を立てろ。「ドライ頼み」の脱却に成功したアサヒビールの大逆襲

かつて「この味、辛口。」のキャッチコピーで一世を風靡したビール業界の雄「スーパードライ」ですが、その後は「発泡酒」や「第三のビール」が台頭し、一度は奪ったビール系飲料シェア首位の座もキリンビールに奪われてしまったアサヒビール。そのアサヒが起死回生の一手として今年の春に送り込んだのが居酒屋のビールみたいに泡の立つ「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」でした。「テレビ東京『カンブリア宮殿』(mine)」では、アサヒがコロナ禍で飲食店の酒類販売休止が続く中、社運を賭けてのぞんだ新商品投入の舞台裏に迫ります。

新時代の幕開け!アサヒビールの戦略に迫る

4月上旬。東京・目黒区のスタジオに現れたのは、俳優の菅田将暉さんと中村倫也さん。人気絶頂の二人が臨んだのは新しい缶ビール「アサヒスーパードライ生ジョッキ缶」のCM撮影だった。

その蓋は、フルオープンのスタイルになっている。蓋を開けると泡がどんどん出てきて、缶なのに生ビールのような新感覚のビールだ。二人はその様子を見ただけで大興奮。二人とも飲むのはこの日が初めてだそうだ。

去年12月、アサヒビール本社で行われていた新商品の発売を決める最重要会議。そこに社長・塩澤賢一の姿もあった。一人一人に配られた完成目前だった生ジョッキ缶の試作品。店で飲む生ビールのような味わいを目指したこれまでなかった缶ビールだ。ピリピリした空気の中、自社商品にもかかわらず絶賛の声が次々と上がり、発売が正式に決定した。

「本当にワクワクしてもらえると思いますし、ほとんどの方に『試してみたい』と思ってもらえるのではないかと想像しています」(塩澤)

0fe08eeba630da0c7fe44d144a84e68c

今年1月には記者発表。アサヒはこれに社運をかけている。実は今、アサヒはライバルとの競争の中にあって土俵際に追い詰められていたのだ。

その歴史を紐解くと、昭和の時代は業界万年3位。「夕日ビール」などとやゆされたこともあった。大手4社では最後発のサントリーにも追い上げられた。

「毎年毎年、売り上げが下がっていく、この会社、このままで大丈夫なのかな、と」(塩澤)

そんな中、起死回生のメガヒット商品が生まれ会社を救う。1987年発売の「スーパードライ」だ。当時のトレンド、「苦味」から離れ、「辛口」を売りにすると、これが受けた。かつてない「キレのあるビール」は消費者の心を捉えた。そして1998年、アサヒはキリンを抜き、ビール業界売り上げトップに立つ。CMには村上龍も引っ張り出された。

しかし、「スーパードライ」頼みの天下はずっとは続かなかった。2000年代に入ると手頃な発泡酒や第三のビールが台頭。「スーパードライ」の販売量は減り続け、さらにコロナショックが追い打ちをかけた。アサヒは去年、11年ぶりにビール系飲料のシェアでキリンに首位の座を明け渡したのだ。

逆襲を期し、コロナ禍の家飲みも意識して世に送り出すのが生ジョッキ缶だった。

茨城・守谷市のアサヒグループ研究開発センター。湧き上がってくる泡は、開発担当の古原徹を中心に生まれた。そこには発想の転換があったと言う。

「缶ビールは泡を立てないことが品質上は良好なんです。泡を立てることが今までの開発の考え方と180度違うので、どんな技術を使えば泡立ちができるのか、開発の初期段階ですごく苦労しました」(古原)

泡が生まれる秘密は缶の内側にあった。特殊な塗料を焼き付け、細かい凹凸を作ったのだ。通常の缶にフルオープンの蓋を付けて開けても泡は湧き上がってこない。しかし、生ジョッキ缶は開けてしばらくしても泡が湧き上がり続ける。蓋を開けた時に発生する泡が凹凸に触れて増殖、より多くの泡になるのだと言う。

開発にかかった時間は実に4年。古原は凹凸の数や大きさを試し続け、40回以上の試作を繰り返し、最高の泡立ちにたどり着いたのだ。

01

 

性暴力や拷問、虐殺も。タリバン報道の裏で進行するアフガン以上の悲劇

収束の見えないアフガン情勢が連日大きく報じられていますが、アフリカ東部に位置するエチオピアが大混乱に陥っているという事実をご存知でしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、内戦状態にあるエチオピアの現状と複雑に絡んだ各国の思惑を解説。さらに今後その緊張が高まった場合には、周辺地域を巻き込んだ国際紛争に発展しかねないとの懸念を示しています。

 

アフガンだけじゃない。世界を揺るがす“もう一つの国内紛争”と国際情勢の裏側

国際社会がタリバンによるカブール陥落とその後のアフガニスタン情勢の混乱に驚く中、よく似た状況が遠く東アフリカの地で進行しています。

それはHorn of Africa(アフリカの角)と呼ばれる東アフリカの要の位置にあるエチオピアです。東京オリンピックでエチオピア出身の長距離ランナーたちが快挙を成し遂げて歓声を集めているころ、エチオピアの人たちは非常に残虐な争いの真っただ中で苦しむという状況でした。

昨年11月4日に勃発した政府軍と北部ティグレ州の武装勢力TPLFとの間の武力紛争は、11月29日にティグレ州の州都メケレが政府軍によって陥落し、TPLFのリーダー、ゲブレミカエル氏ほかが山中に逃げ込んだことで、終戦を迎えたと思われていました。

しかし、逃亡前にゲブレミカエル氏が言い残したように、「TPLFは決して停戦など行わず、最後の一人になるまで政府およびアビィ首相の横暴に抵抗する」という言葉はその後現実化しました。

ゲリラ的な戦いを繰り返してメケレを奪還したTPLFは、リーダーであるゲブレミカエル氏が大けがを負うという事態に見舞われましたが、勢いを取り戻し、2021年6月以降、政府軍への反攻を本格化させました。

6月にはコロナ理由で遅れていた総選挙が行われ、アビィ首相率いる繁栄党(Prosperity Party)が圧勝し、盤石の勢力基盤を手に入れたと感じた政府は、TPLF掃討作戦を再開し、その後、各地で非常に激しい戦闘が繰り広げられています。

その結果、各地で政府軍そしてTPLF双方による人権侵害行為が繰り返されており、多くの犠牲者が出ている模様です。

6月以降の戦闘で情勢が大きく変わったのが、TPLFが息を吹き返し、ティグレ州の支配を取り戻したことを機に、アムハラ州およびアファール州に駐留していた政府軍と州軍を駆逐し、あと少しで首都アジスアベバに到達する勢いです。

ここ最近は、アビィ首相に近く統率力が高いと言われる首都近郊の政府軍と、TPLFに打ち負かされたアムハラ州の州兵が協力してTPLFの侵攻を食い止めているとの情報がありますが、そこにアムハラ州の拡大主義勢力が第3の勢力として、政府軍およびTPLF双方に戦いを仕掛けているらしく、ここにきて情勢が緊迫し、非常に複雑化しています。

電話やインターネット回線という情報インフラが、政府によって意図的に遮断され、北部ティグレ州をはじめ、TPLFが奪還したと言われているアムハラ州やアファール州でも情報発信が妨害され、かつ国内外のメディアのアクセスも政府軍が阻止しているせいで、伝えられる情報はほとんどアビィ政権側(とその仲間たち)の見解や主張ばかりであり、TPLF側の主張やアビィ政権に反感を抱く勢力側の情報が伝わらないため、なかなか実情が掴めないのが事実です。

 

遅すぎた日本の自衛隊機アフガン派遣。決心のできぬ政府が国を滅ぼす

アフガニスタン情勢を受け日本政府は23日と24日、航空自衛隊の輸送機3機を現地に派遣しました。これに対し「10日以上遅い」とその決断と実行の遅さを指摘するのは、メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さんです。その言葉どおり現地は既に混迷を極め、日本人とアフガニスタン人協力者を輸送機に迎え入れるのが困難になっていると伝えられます。小川さんは、法的にも部隊にも機材にも問題がないのに首相が「決心」できないのは、官僚の知識不足のせいと過去の例も紹介し解説。一事が万事緊急事態に対応できない現状では、国が滅んでしまうと最大級の警鐘を鳴らしています。

首相が「決心」できないと日本は滅びる

ようやくと言いましょうか、航空自衛隊の輸送機がアフガニスタンに向けて出発しました。

「政府は23日、イスラム主義勢力タリバンが全土を掌握したアフガニスタンから邦人らを退避させるため、航空自衛隊のC2輸送機1機をアフガン近隣国に派遣した。24日にもC130輸送機2機を出発させ、アフガンで働く国際機関の日本人職員のほか、日本大使館や国際協力機構(JICA)が雇用する現地職員らを近隣国に移送する。(中略)

 

C2は、拠点となる近隣国まで隊員らを運ぶ。空自小牧基地(愛知県)所属の2機のC130が、拠点とアフガンの首都カブールの国際空港とを行き来して邦人らを退避させる」(24日付 読売新聞)

何回も申し上げているように、危機管理の要諦は「必要なことを適切なタイミングで行う」ことにあります。それを前提にすると、アフガンの政権が崩壊した12日の直後のあたりでは現地入りしていなければならず、そこからすると10日以上も遅いことになります。派遣された自衛隊には何の問題もありません。いつでも出発できる態勢にあったからです。むろん、外国の旅客機をチャーターして現地に向かわせることも簡単にできたはずです。

ここで厳しく問われなければならないのは首相官邸の機能不全です。法律的にも派遣できる、部隊は待機している、機材も整っている、現地も一定の安全確保ができている。それなのに10日以上も遅れてしまったのは、首相官邸をはじめとする日本政府には「決心」ができないからです。

この「決心」とは、自衛隊や世界の軍隊の指揮官教育で叩き込まれるもので、敵の大軍が迫ってきているといった目の前の緊急事態に対して、いかに素早く、正面突破、迂回攻撃、退却などを的確に選択し、味方の損害を最小限に抑え込みながら戦うか、という点に主眼があります。世界のビジネスパーソンの教育でも重視されています。

どうして首相官邸は条件が整っているのに迅速に自衛隊機やチャーター機を派遣できなかったのでしょうか。意外かも知れませんが、首相官邸に航空機の運用についての基礎知識を備えた人材が配置されていないということに尽きるのです。だから、首相に適切なタイミングで「決心」してもらうことができなかったのです。

ウーバー配達員が明かす、地蔵仲間の意外な“月収金額”と台風の配達ウラ事情

メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』に届いた相談をきっかけに、女性タクシードライバーから紹介された現役ウーバーイーツ配達員にインタビューする機会を得た交通ジャーナリストの吉田武さん。前回の記事『ウーバー配達員が明かした「マクドナルドへの苦情」で得する裏ワザと過酷な配達事情』では、吉田さんは同じウーバー配達員から、マクドナルドで注文した商品が冷めていたとき等に苦情を出す時の裏技や、過酷な配達事情について聞き出しました。そして今回も同配達員が、ウーバー地蔵仲間が経験したという“事故”や、自らの月収、そして配達員が足りない状況に陥った場合のウーバー裏事情についても明かしています。

※本記事は有料メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』2021年6月25日、7月2日、9日号の一部を抜粋したものです。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

ウーバー配達員に聞く、地蔵仲間の“事故”と「高収入」と台風配達ウラ事情

今回も、女性タクシードライバーのFさんから紹介して頂いた、ウーバーイーツで自身の電動自転車を使ってフードデリバリーをしているという清水さん(下の名前はNGとのこと)から、配達する側からの目線で交通状況など含め忌憚なく伺ってきた。

【関連】配達員自身が告白、ウーバーの「危険運転」とマクドナルド配達の裏
【関連】ウーバー配達員が明かした「マクドナルドへの苦情」で得する裏ワザと過酷な配達事情

吉田:で、地蔵待ちして知り合った同じ配達員の地獄を味わったエピソードとは?

清水:ウーバーイーツ始めて1カ月経った頃、自転車での配達時に散歩中の犬を後輪で踏んづけてしまったと。

吉田:なんかエグい話になりそうですが……。

清水:どうしても配達先を探すのにスマートフォン片手にキョロキョロするのがフードデリバリーあるあるなんですけども、それを自転車走行中にやってしまったんですね。

吉田:つまり走行中にスマフォを見ながらってわけですね。

清水:はい。完全にアウトです。リードで首輪された状態で散歩していたポメラニアンが歩道でゆっくり走行中ではあったものの、突然吠えて彼の自転車へ向かってきたそうで、前輪にリードが絡まってしまい、そのまま転倒しそうになったところ、後輪でポメラニアンの首部分を踏んづけてしまい……。

吉田:そのポメラニアンのケガの状態は?

清水:ほぼ即死だったみたいです。首の骨を思いっきり自転車の後輪で踏みつけてますから飼い主さんはその場で大泣きしてしまい、動物病院へ行くも助からず……だったと。

吉田:エグすぎる話ですなぁ……。過失割合はどうなったんです?

清水:彼は自転車の保険加入しておらずだったことで100%悪いので補償することに。

吉田:犬は周りを気にせず今回のように突然飛び出す”可能性”もあるわけで、本来ならば事故として現場検証してもらえば100%の過失扱いにはならなかったと思うのよね。

清水:それはなぜですか?

吉田:彼がスマフォ見ながら自転車を運転していたのは大きな過失かもしれないけど、飼い主はポメラニアンのリードをしっかり短めにして持っていれば防げた事故ではないかと思えるんですよ。状況見ていないからなんと言えないけど、飼い主側も飛び出すことを常に予測する=想定していないと散歩させてはダメなんですよ。僕の家でも犬を飼ってますけど、当然突然の飛び出しの可能性はゼロだと思ったことはないですからね。

清水:飼い主側にも注意すべき義務があるってことですか?

吉田:もちろんです。飼い主さんの愛犬ポメラニアンは本当に気の毒だけど、突然吠えて自転車の前に飛び出してしまったわけで、そこに飼い主側の過失が発生する。これがウーバーイーツの配達員ではなく高齢のお年寄りが運転している自転車だったらどうなったと思いますか?

清水:間違いなく転倒して骨折の1つや2つしているでしょうね。

吉田:そこなんですよ。今回はスマフォ見ながらで彼への過失が大きいのは仕方ないけども、清水さんもいつ何時自分自身に散歩中の犬が飛び出してくるかなんてわからないし、その可能性は十分秘めていますからね。

清水:では仮にゆっくりと歩道を徐行運転しながら犬が飛び出してきて接触してしまった場合はどうなりますか?

吉田:事故の主たる原因が犬の飛び出しと判断されれば過失ゼロです。飼い主側が注意義務を怠ったということになります。その際に「回避できる可能性はこの至近距離な状況ではとても無理でした」と答えれば、裁判とかでもし争うことになった場合有効になるはずです。それだけペットを散歩させる場合は、飼い主の責任が大きいので決して100%の過失になることはないです。但し、自転車走行中にイヤフォン付けていたり、スマフォいじっていたら無理だけどね(苦笑)。

清水:勉強になります。では、この彼は自分を責めているんですけども、過失割合は吉田さん判断でどうだと思いますか?

必要以上に周囲の顔色をうかがってしまうことは決してマイナスではない

プライドが傷つけられたことによって情緒が未成熟なまま大人になってしまった親に育てられた子供は、対人不安や知人恐怖が埋め込まれてしまうようです。今回の無料メルマガ『東北の人気メンタルトレーナーが送る『自信をはぐくむ、幸せな自分のなり方』』では、このような子供たちに対して、「マイナス面」として捉えるのではなく「特性」として考え、それを活かせる場所をアドバイスしています。

自分の個性を活かせる場所を見つけましょう

劣等感などによって自尊感情が傷つけられ情緒的に未成熟なまま親になった人は、傷ついた自尊心を「家庭の中でTOPに君臨すること」で回復させようとすることって少なくありません。たとえば、

・なにかと恩着せがましい
・なにかと賞賛を要求する
・なにかとルールを押し付ける
・なにかと家族のために自分を犠牲にしていることをアピールする
・弱いものを暴力や精神攻撃で支配する
・外面はいいのに、家の中では周りの悪口を言いまくる

などなど…。こうしたことをすることによって、家族から「すごいね!」「ありがとうね!」と言われないと気が済まないのです。

家族もこうした欲求に応えないと不機嫌になることを知っているので、とにかく相手の要求に応じるままに与え続けるのですが、残念なことにこの要求はとどまるところを知りません…。与えても与えても「もっと欲しい」「どうしてくれないのだ!」と、さらなる要求をされるので、家族としては心身消耗状態になります…。

日本の「当然」が海外では「意外」? NYでセミの抜け殻を見て考えた

晩夏の季語で、儚いもののたとえとしても用いられる「空蝉」。読んで字の如くセミの抜け殻を意味する言葉ですが、そこに意味を見出す感覚は日本人独特のものかもしれません。今回の『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』では著者でNY在住の人気ブロガー・りばてぃさんが、現地の公園で誰も見向きもしない蝉の抜け殻を目にして考えた、「多様性」にも通ずる思いを綴っています。

 

季語と日本人の心

久しぶりに撮影のためにワシントン・スクエア・パークへ。

ダウンタウン西側のSOHOから少し北に上がったところにある公園。

ニューヨーク大学の校舎が立ち並ぶエリアでもありますし、有名ジャズクラブのブルーノート本店も近くにあるなど飲食店やバーも多く、特に夜は飲み屋街としても賑わうエリアです。

そんなエリアにあるこの公園は、日中は近所に住む方々や子ども連れ、ミュージシャンの演奏などのんびり過ごす地元の人たちが集まる憩いの場になってまして、夏は真ん中の大きな噴水に水が貯められミニプールになっていて水着で遊ぶ子どもたちで賑わったりしています。

とにかく地元の人々に愛されている公園なのです。なので、取材に行った日の日中は30度を超える猛暑で、午前中だったけどもすでに30度近くても、相変わらず地元ニューヨーカーで賑わってました。

もう平和そのもの。のんびりまったりと撮影をしていたのですが、ふと公園のベンチ横にある木を見るととっても立派な蝉の抜け殻がくっついていたのです。抜けてそのままの状態。

ツイッターに載せたので写真を見たい方はこちらからどうぞ。

Liberty/ りばてぃ

日本の田舎でもこんな綺麗なのは見たことないなぁというほど立派で、夫と一緒に興奮ぎみに撮影して楽しかったのですが、すぐ近くのベンチに座っていた人たちはまったく興味を示しておらず、このアジア人は何を撮っているのだろう?と不思議に思っていたかもしれません。

蝶々なら綺麗とかふわふわ飛んでいて可愛いとか思ったり、鳥さんだったら珍しい鳥だとかあるかもしれません。実際、バードウォッチングはNYではメジャーですし珍しい鳥や動物がNYに来たらニュースで報じられるほどだったりします。

最近では白いフクロウさんとか、オシドリさんとか。

そんなわけでニューヨーカーが自然のものに興味がないわけではないのですが、蝉に対してはあまり興味がないようでした。

でも、日本では蝉の抜け殻は季語になっているほど身近で文化に根ざしています。

季語で有名なものには、蝉が脱皮して空になったことを表す「空蝉(うつせみ)」。

子季語には蝉の殻、蝉の抜殻、蝉のもぬけなどがあるそうです。

日本人は蝉の鳴き声を聞くと夏の風物詩と感じ、抜け殻を見ると夏の終わりを告げるものとして俳句や和歌に残したりします。言葉にしなくても風情を感じたりするわけです。

特に蝉は、地中に出て脱皮して元気に鳴いていてもその期間は1週間ほど。

土の中での生活が長いとはいえ、成虫としての寿命があまりにも短いので、蝉の人生とあっという間に過ぎ去る自分の人生を重ねたり、一生とは何かを考えたりします。俳句や和歌だけじゃなく小説やエッセイなどでも蝉に関する表現は出てくるでしょう。

 

韓国軍、奇跡の撤退。アフガンから391人を救出した作戦の全貌

日本をはじめ各国がアフガンからの自国民や関係者の救出に手間取る中、韓国が起こした奇跡に同国市民が沸いています。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、韓国軍の輸送機がアフガンから391名もの人々を救出したというニュースを紹介。さらにアフガン人の韓国協力者を「難民」の扱いではなく「特別功労者」として受け入れた韓国政府に対する賛辞を、報道を引く形で記しています。

「難民」ではなく「特別功労者」として

クールコリアが久しぶりに登場した。アフガニスタンから391人を飛行機に乗せて救出した韓国の作戦だ。ミラクル作戦と命名された今回の作戦、8月25日のニュースを筆者は391人を乗せて仁川に来るんだな、と別に何のひっかかりもなく見ていた。ところが8月26日になって、朝から391人の話題だけなのだ。なんだなんだと注視してみると、日本から派遣した自衛隊機は回収者ゼロ、ベルギーもゼロ、ドイツ7人、豪州は50人、オランダは接近自体が不可だったとあるではないか。

ええ?それじゃあの「391人」という数字は、途方もない奇跡なんじゃないのか。韓国、でかしたぜ!と思わず筆者の口から雄叫びがあがってしまった。これを書いているのが26日午後3時だけれど、たぶん午後4時ごろに仁川空港に到着する予定のようだ(発送することには到着しているかも)。

韓国国防部国防政策室のキム・ミンギ室長は26日午前、CBSラジオ「キム・ヒョンジョンのニュースショー」に出演し、カブール脱出作戦の裏話を熱く語った。まず今回の輸送作戦の名前は上述したように「ミラクル作戦」。キム室長は「今日26日入国するアフガン現地人は、韓国を助けてくれた人たちで、大使館や韓国病院、職業訓練院に勤めていた」とし「76家族が入国するが、このうち乳幼児が100人余りになる」と話した。家族単位で動くので、幼い子どもが多かった。

当初の申請人数は427人。今回の入国は391人だ。金室長は「他の国を希望した方もいれば、個人的理由で来られない方もいた」と説明した。当初、韓国政府は民間機の輸送を計画していた。しかし、状況が緊迫するにつれ、軍の輸送機を投入することになった。金室長は「計画を作って準備していたが、こんなに早く(8月15日に)カブールがタリバンに占領されるとは思わなかった」とし「危機意識を感じ、急に軍用機投入を決定した」と話した。映画『モガディシュ』を見ると内戦の様相がいかに早く変わったかが分かる。タリバンがこのように早くカブールを占領すると予想した人は誰もいなかった。米国もそうだったし、ひいてはタリバンさえも同様だった。

映画『モガディシュ』は、今年7月28日に封切された韓国映画だ。28日の公開初日から動員数歴代1位をマークし、その後も勢いが続いている。『モガディシュ』は1991年にソマリアの首都モガディシュで、ソマリア内戦当時、孤立した人々の生死を駆けた脱出を描いた映画だ。奇しくもアフガン救出作戦と相似形だ。『モガディシュ』は一言でいって「命をかけて空港に向かう道を探す路程」だ。今回のカブールも同じだった。今月15日、タリバンがカブールを占領した後、カブール空港は修羅場となった。タリバンは空港を掌握することはできなかったが、空港への道を遮断した。アフガン人の空港出入りは禁止された。金室長は「カブール空港内外で2万人余りの人員が右往左往しているため、空港ゲートには入れない状況だった」とし「作戦初日には(集結地)内に入った人員が(391人のうち)26人しかいなかった」と明かした。豪州50人、ベルギーはゼロ、ドイツ7人、オランダは接近自体が不可だったというではないか。金室長は「絶対にこうなってはならないという判断で「神の一手」を投入した」とし「再集結地として、空港近くの聞いたらすぐわかる地域を選定した。そこにバスを待機させ、(入国希望者が)集まればバスで移動した」と話した。このバスもアメリカのバスを使ったりという韓国人ならではの臨機応変さを発揮したものだった。ただ黙って誰かがしてくれるのを待ってはいなかったわけだ。