救える命も救えない。すでに5都府県で「医療崩壊」目前か

政府の専門家会議は1日、東京と大阪、神奈川などの5都府県で新型コロナウイルス感染者増加による医療崩壊の恐れがあるとの懸念を示したと、朝日新聞読売新聞などが報じた。専門家会議は「オーバーシュートが起こる前に医療崩壊が起こる」とし「今日あすにも抜本的な対策が必要」と、政府への提言で訴えている。

5都府県で医療崩壊の可能性

読売新聞によると、専門家会議であがったのは、東京都、大阪府、神奈川県、愛知県、兵庫県の5都府県で、人口集中都市を有することから「すでに医療提供体制が切迫している」と明らかにし、「きょう明日にでも抜本的な対策を講じることが求められている」と何度も強く訴えた。オーバーシュートは見られていないが、患者が急激に増え、感染源がわからない例も増加しているとして、直近1週間で感染者が大幅に増えた「感染拡大警戒地域」では新学期に入っても学校の一斉休校を検討すべきだと求めた。

また、時事通信によると、医療崩壊を起こさないための対策として、地域の医療機関でも患者を受け入れることや、症状が軽い人には自宅療養や宿泊施設での療養の選択肢を与えるべきだと述べた。政府には、「既存の治療薬の効果と安全性の検討支援」や「新たな国内発ワクチンの開発加速」を求めた。

警戒感緩み、感染急増

専門家会議では、若者に限らず「中高年層もクラスターを作っている」と分析。クラスターは病院、高齢者施設、海外への卒業旅行、夜の会合、合唱、サークルなどで見られるという。また、「自粛疲れ」ともいえる状況が見られたことをあげ「一部の市民の間で警戒感が予想以上に緩んだ」と指摘した。

リーマン再来?新型コロナで「ハウステンボス」数十人を派遣切り

テーマパーク「ハウステンボス」(長崎県佐世保市)が新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、従業員として働く派遣社員数十人との契約を3月中旬に打ち切っていたことが2日、分かった。企業の都合で契約を途中で打ち切る「派遣切り」は約40人の派遣社員のうち半数以上になるという。

ハウステンボスが数十人を一斉に派遣切り

「ハウステンボス」は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2月末から先月15日までの2週間余りにわたって休園し、それ以降は利用できる施設を屋外のアトラクションなどに限定して営業している。

しかし、屋内施設などでの業務が減少したため、派遣会社に対し契約の打ち切りを同日通知したという。
これに対し会社は「新型コロナウイルスの影響で業務が減り、本意ではないが打ち切らざるをえなかった」と説明。やむを得ず契約を早期に解消したとしている。

NHKによると、契約を打ち切られた男性は派遣会社から電話で「きょうで契約終了だ」と伝えられ、住んでいる寮も先月いっぱいで退去するよう求められたと伝えている。

ハウステンボスの担当者は、「現在、派遣会社側と補償について協議している」と説明。今後他の業界でも派遣切りが広がっていくのではないかと、不安が広がっている。

健康な若者が死に始めた。新型コロナ拡大のイタリアは日本の明日

新型コロナウイルスによる感染症の死者が1万3,000人以上と、震源地中国を超えてしまったイタリア。深刻な医療崩壊が起きているとの指摘もありますが、現地は今、どのような状況となっているのでしょうか。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では、執筆者のひとりでローマのマンガ学校で講師を務めるMidoriさんが、イタリアの現状をレポート。さらに「今の日本は3月始めのイタリアと同じ」とし、「感染爆発した国の様子を見て正しく警戒してほしい」と強く訴えています。

イタリアからのお願い「絶対に甘く見ないでください」

ローマ在のMidoriです。

とりあえず、中国を除いて世界一(今、二番目か)の感染者数を誇る、イタリアに在住する者からのお願いです。

パニックを起こすのも怖いですが、甘く見ないで欲しいと思います。まだ感染者数が少ないうちになんとか食い止めて、ワクチンや治療薬ができるまで抑えてほしい。

閉じた空間で大人数が集まるところを避け、頻繁な手洗い、うがい、洗面が必須です。あらゆる石鹸の泡の成分が、ウィルスの水溶部分と油溶部分を切断して繁殖できなくするようです。

ちなみにイタリア人は、あらゆる洗剤の一人あたりの消費量が世界一というくらい清潔な国民です。でも、ハグと握手の挨拶習慣と、集まって食べてだべるのが大好きなところがアダになったと思います。

とうぞ、頻繁な手洗い、咳やくしゃみをするときは手で覆うのではなく腕で(手で覆ったら手にウィルスが付着して、その手であちこち触るとまずい)、ということを守って、食い止めてください。お願いします。

今、日本全国の累計感染者数はイタリアにおける3月始めと同等です。イタリアでは10万人を越えるのに、一か月しかかかってません。

「イタリアの医療機関がなってないんだろ」「イタリアではハグするから、こっちはしないし」など、「ウチは違うから大丈夫」と思いたいための言い訳を捜さないでいただきたい。イタリアでも、中国でこの感染が始まった時は似たようなことを言ってました。人間の性です。

医療や細菌学などの知識はまったく持っていませんが、素人目にもこのウィルスはこれまでのウィルスと性格が違うと感じます。

いろいろ読んだところ、我々高等動物のDNAは二重螺旋でどこかがエラーを起こしても修復するそうですが、ウィルスは一重でエラーが起こるとそのまま継続して行くので変異しやすいそうです。

だから、去年のインフルエンザのワクチンは、今年は効かなかったりするんですね。このウィルスは感染力が強く、エラーを起こす、つまり変異を起こす場が多いので、変異の速度が凄いように思えます。

イタリアでも当初は、重篤になるのは高齢者か糖尿病などの既存症を持った人だけ、と言われていて実際そうだったのですが、ここへ来て、健康な若者が死亡するケースが出て来ています。先日、26歳のボーイスカウト隊長を務めていた青年が、この新型コロナで亡くなりました。

では、以下、イタリアからのレポートです。

3月14日が全て。国民が新型コロナの警戒を緩めた安倍首相の言葉

日を追うごとに新型コロナウイルスの感染者数が増え続ける日本列島。すでにイタリアなどでは医療崩壊が起き深刻な状況に陥っていますが、日本は感染爆発を抑え、長期に渡るウイルスとの戦いに対処することは可能なのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、さまざまな専門家の意見を引きながら、これから政府が最も力を入れるべきことを考察しています。

制圧困難な新型コロナとの長期戦に現政府は対処できるのか

新型コロナウイルスの感染拡大をうけて、2月29日、安倍首相は記者会見でこのような声明を読み上げた。

「全国的なスポーツ、文化イベントについては、中止、延期…全国すべての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週月曜日から春休みに入るまで、臨時休業を行うよう要請いたしました」

京都大学の山中伸弥教授は3月28日、自身の情報発信サイトを更新し、「日本は2月末の安倍首相の号令により多くの国に先駆けてスタートダッシュを切りました」と評価したうえで、以下のように続けた。

「しかし最近、急速にペースダウンしています。このままでは、感染が一気に広がり、医療崩壊や社会混乱が生じる恐れがあります」

自粛のあとの気のゆるみ。そのきっかけは、安倍首相の3月14日の記者会見ではなかっただろうか。

「瀬戸際との専門家の見解が示されてから2週間余りが経過しました。爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度、持ちこたえているのではないかという評価です。…大変な御協力を頂いた全ての国民の皆様に心より感謝申し上げます。(中略)児童生徒の皆さんも…屋外に出て運動の機会も作ってください。今後、予定されている卒業式についても…是非、実施していただきたいと考えています」

国家のトップの発言は、論理よりイメージとして残りやすい。2週間ガマンしたからもう大丈夫、と誤解した国民に安心感が広がった。東京都に緊張が走ったのは、それから11日ばかり過ぎた3月25日のことである。

1日の公表感染者数が41人に急増し、小池都知事は緊急の記者会見を開いた。「今の状況を感染爆発の重大局面ととらえこの認識を共有したい」と述べ、週末は不要不急の外出を控えるよう呼びかけた。

安倍首相は国民の気分を引き締めなおす必要に迫られた。「この戦いは長期戦を覚悟していただく必要がある」(3月28日記者会見)。

「黒」を「白」と言ってはばからない安倍首相にしては、珍しく率直な発言である。長期戦とはどのくらいか。半年か、1年か、それともそれ以上の年月がかかるのか。安倍首相は言う。

「いつこのコロナとの戦いが終わるのか、終息するのか、現時点で答えられる世界の首脳は一人もいないんだろうと…私もそうです」

いつ終わるかわからない戦い。ならば、3月24日に「概ね、1年間の延期」でバッハIOC会長と合意し、その後、来年7月23日開催と決まった東京オリンピックは、本当にできる確証がないことになる。

なぜなら、その発言に続いて「オリンピックを開催するためには、日本だけがそういう状況になっていればいいということではなくて、まさに、世界がそういう状況になっていかなければならないわけであります」と、語っているからだ。

つまり、世界中で、新型コロナウイルスの流行が終わらなければ、東京オリンピックは開けないと言っているのだ。

この約束は、かなり危うい。「治療薬とワクチンの開発に全力をあげる」と、まだできてもいないものに期待するのはいいが、間に合う保証は全くない。すでに開発が始まっているワクチンが使えるようになるまでに、18か月近くもかかるというではないか。

諸般の事情はかまわず、より確実に東京オリンピックの開催にこぎつけたいなら、2年先でもよかったはずだが、そうはしなかった。そこに何ら勝算がなかったとしたら、かつての対米戦争や、原発乱造を思わせる暴挙であろう。

安倍政権のことだ、「中止」による政治的ダメージを避け、「延期」という担保を手に入れたかっただけかもしれないが、バッハ会長との電話会談の時点で、世界が新型コロナウイルスによって先の見えない事態に陥っている認識はあったはずである。

パンデミックへの国際的な対抗手段は、本当に「分離」で良いのか

新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大し、国際社会は壁を作り、相互の行き来を厳しく制限する事態となっています。対策として致し方なくとも、そこには強力なリーダー主導による「国際協力」の要素は感じられません。メルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』著者の引地達也さんは、イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ氏の論文を紹介。トランプ氏登場以降加速した自国第一主義による「分離」が、今回の危機を契機に「協力」へと変化することを期待しています。

新型コロナウイルスを克服するための信頼と協力のケアに向けて

新型コロナウイルスの不安は増大したまま収束が見えない。制限と自粛の要請の連続に閉塞感だけが漂う。光が見えないのは問題解決への希望を託す「国際社会」が機能していないからだと歴史学者・哲学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏が指摘する。

協力すべきなのに、分断しか方法はないとしている現状、国際協力を主導するリーダーの不在、を嘆いている。原文は3月15日付の英誌「タイム」の論考だが、ネット上には柴田裕之氏の邦訳が出ており、それに基づいて紹介したい。ハラリ氏は書き出しでこう示す。

「多くの人が新型コロナウイルスの大流行をグローバル化のせいにし、この種の感染爆発が再び起こるのを防ぐためには、脱グローバル化するしかないと言う。壁を築き、移動を制限し、貿易を減らせ、と。だが、感染症を封じ込めるのに短期の隔離は不可欠だとはいえ、長期の孤立主義政策は経済の崩壊につながるだけで、真の感染症対策にはならない。むしろ、その正反対だ。感染症の大流行への本当の対抗手段は、分離ではなく協力なのだ」

ここから「分離ではなく協力」と視点を変えてみる。協力の基本は信頼関係にあるのだが、社会の信頼関係が損なわれたところにウイルスがやってきた、ようにも思う。

「今日、人類が深刻な危機に直面しているのは、新型コロナウイルスのせいばかりではなく、人間どうしの信頼の欠如のせいでもある。感染症を打ち負かすためには、人々は科学の専門家を信頼し、国民は公的機関を信頼し、各国は互いを信頼する必要がある。この数年間、無責任な政治家たちが、科学や公的機関や国際協力に対する信頼を、故意に損なってきた。その結果、今や私たちは、協調的でグローバルな対応を奨励し、組織し、資金を出すグローバルな指導者が不在の状態で、今回の危機に直面している」

という。無責任な政治家とは誰だろう。さらに実例として2014年のエボラ出血熱の大流行した時の米国の役割と今とを比較する。

忖度なしの笑いを提供。志村けんさんの死を各紙はどう伝えたか

3月29日夜、昭和から令和まで、老若男女を笑わせ続けたコントの天才、志村けんさんが新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなりました。日本人が愛したコメディアンの死を読売、毎日、東京の3紙がそれぞれ看板コラムで取り上げています。メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』で、ジャーナリストの内田誠さんは、各紙が伝えた逸話を紹介。「忖度」などない子どもたちを虜にした偉大なコメディアンの死を惜しんでいます。

読売、毎日、東京の看板コラムが志村けんさんを追悼

ラインナップ

◆1面トップの見出しから……。

《朝日》…五輪、来年7月23日開幕決定
《読売》…東京五輪来年7月23日
《毎日》…五輪開幕 来年7月23日
《東京》…夜の酒場 入店自粛要請

◆解説面の見出しから……。

《朝日》…「若いから軽症」の先にある危機
《読売》…早期に資金集中投入
《毎日》…森守る理念いずこ
《東京》…現金給付で直接救済を

【プロフィール】

■「変なおじさん」の優しさ■《読売》
■ウイルスは人を区別せず■《毎日》
■名コメディアンの死■《東京》

「変なおじさん」の優しさ

【読売】は「編集手帳」。亡くなった志村けんさんの自著『変なおじさん 完全版』から。志村さんが100歳のお婆さんを突然訪問して誕生日を祝うという企画で、志村さんが「お誕生日おめでとう!」と声を掛けたが返事がない。一計を案じて、コントでやっているお婆さんの声で言い直すと「はいっ!」とカワイイ声が返ってきたのだという。

uttiiの眼

お婆さんは3年後に亡くなり、家族から志村さんの所に「いい思い出ができました」とお礼の手紙が届いたという。凄い話だ。想像だが、100歳のお婆さん、テレビで志村さんのお婆さんの演技を見て面白がっていたのだろう。100歳のお婆さんと志村さん演ずるお婆さんは、話が通じる関係、「仲良し」だったと想像できる。

手帳子はもう1つ、知的障害を持つ詩人くりすあきらさんと志村さんの文通についても触れている。くりすさんの「ありがとう」という言葉について書いた詩が一番好きだといって、口ずさんでいたらしい。最後に手帳子は「国民的コメディアンの「「変なおじさん」は底抜けに優しい人だった」とまとめている。

東京都で新たに97人の新型コロナ感染を確認。ネットに不安の声

東京都の関係者は2日、都内で97人の新型コロナウイルスの感染者を確認したことを明らかにしたと、NHKニュース時事通信などが速報で伝えた。うち15人は慶応大病院(新宿区)と関連があり、21人は院内感染の疑いがある永寿総合病院(台東区)に関係しているという。


都が、1日に発表する数としては、3月31日の78人を上回ってこれまでで最多となった。97人のうち、患者や医療従事者などすでに100人以上の院内感染が疑われている永寿総合病院の関係者が21人いるほか、慶応義塾大学病院の関係者も15人いるという。これで都内で感染が確認されたのは合わせて684人になる。

日本のネット上では、この感染者拡大に驚きと不安の声が多くあがっている。

Twitterの反応



※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

source: NHKニュース時事通信

image by: Kakidai / CC BY-SA(慶應大学病院)

これぞ「アベノマスク」首相の1世帯マスク2枚配布発表に批判殺到

新型コロナウイルスによる感染拡大を受けて、安倍首相はすべての世帯を対象に1つの住所につき2枚ずつ、布マスクを配布する方針を明らかにしたと、TBSニュースNHKなどが伝えた。経費は今年度の補正予算案に盛り込むという。すでに各地に感染が広がっており「マスクを2枚配布」するだけでは今さら感が否めない。今はほかに取り組むべき対策や補償があるのではないだろうか。これについて日本のネット上では、「アベノミクス」を揶揄した「アベノマスク」なるハッシュタグがトレンド1位となり、「エイプリルフールだと思った」「郵送代で他にできることある」「国民をバカにするのも大概にしてほしい」と批判の声が多くあがっている。

安倍首相「品薄状態解消に有効」

安倍首相は日本郵政のシステムを活用し、1つの住所につき2枚ずつ布マスクを配布すると明らかにした。再来週以降から感染者数の多い都道府県から順次届くという。安倍首相は「布マスクは洗剤で洗うことで、再利用が可能」とし、品薄状態が続く使い捨てマスクの需要に対応できるとの考えを示した。菅義偉官房長官も「洗濯などの不便はおかけするが、少しでも国民の皆さんの不安解消に取り組んでいきたい」と述べている。たった2枚のマスク配布で国民の不安は解消されるのだろうか。

元小説家・百田尚樹氏「アホの集まりか」

これについて、安倍首相と仲が良いと言われている元小説家の百田尚樹氏(64)は自身のSNSで「大臣が勢揃いして決めたのがそれかい!アホの集まりか」「エイプリルフールのつもりか」と安倍政権をぶった斬った。


百田氏はこれまでにも「末端の経済や庶民の経済を救わないと生命が危ない」として消費税撤廃を求め、卒業式などのイベントを自粛させ休校措置を取っているにも関わらず、感染の温床になりかねないパチンコ店の自粛を要請していないことについて「パチンコ利権で甘い汁を吸っているクズ議員がいるのはわかるが、何とかしやがれ!」と激怒していた。一方、先月31日に生活保護を受給している人々について「炎上覚悟」と前置きした上で、「生活保護の人に給付金を出すのは反対」ともツイートし、物議をかもした。


山中教授「今すぐ始めるべき」批判覚悟のコロナ対策、5つの提言

iPS細胞の発見でノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授は、自身の公式サイト「山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信」で新型コロナウイルスについての「5つの提言」を投稿した。「今すぐ強力な対策を開始する」ことや、「感染者の症状に応じた受け入れ態勢の整備」を前提とした「検査体制の充実」などを含めた5項目を国などに求めた。冷静かつ慎重な発言で知られる山中教授が、「今すぐ」という言葉を用いた提言を公表したことに、事態の緊急性がうかがえる。また、提言の中には賛否がわかれている「PCR検査」についての私見も含まれている。

山中教授が出した「5つの提言」の中身

山中教授が求めたのは、以下の「5つの提言」である。

1つ目の提言では、「今すぐ強力な対策を開始する」ことを要求。日本の検査数が世界の中でも特異的に少ないことについて触れ「感染者の急増はすでに始まっていると考えるべき」と述べた。そのうえで、都市封鎖などの強硬な対策をとった中国で第1波の収束に2ヶ月を要していることや、厳密な自宅待機、一斉休校、非必須の経済活動停止、厳格な旅行出張制限を続けても第1波の収束に3カ月かかるとしているアメリカの予想を例にあげ、「大都市では今すぐ始めるべき」とした。

2つ目の提言では、「感染者の症状に応じた受入れ体制の整備」を求めた。具体的には「無症状や軽症の感染者専用施設」と「重症者、重篤者に対する医療体制の充実」だ。無症状や軽症の感染者専用施設では、予約が激減しているホテルや企業の宿泊付き研修施設やジムを、ストレスの軽減や無症状者の自治的活動などに活用する。急激な重症化に備えて医師が常駐し、風評被害の対策は国などが行なうことを条件とした。重症者・重篤者には、感染病床の増床や人工呼吸器の増産のほか、医療従事者の過重労働の軽減などを求めている。

中国が死者数を虚偽報告と米報道。アジアで大規模感染の可能性も

世界全体の新型コロナウイルスの感染者が1日、90万人を超えた。死者は4万7千人を超えている。感染者は前日の3月31日に80万人を上回ったばかり。コロナが猛威をふるうなか、第一に集団感染が確認された中国が、死者数と感染者数について中国当局が虚偽の報告をしていたと結論づける報告書をアメリカの情報機関がまとめたという驚きのニュースを共同通信米ブルームバーグなどが報じた。同情報機関は先週、報告書をホワイトハウスに提出したという。


コロナ「収束」は程遠いのか?

米ブルームバーグによると、虚偽報告の報道は、3人の政府高官の話に基づくものだったという。中国政府の衛生当局は3月14日時点の記者会見で「感染状況は確実に好転している」と発表。中国全土で退院する人が増えていることなどをあげ、収束への自信を見せていた。

しかし中国では、これまで無症状の人を感染者数に含めておらず、2月末時点で無症状の感染者が約4万3千人いたことが香港紙の報道で明らかになっている。無症状の感染者がほかの人に感染を拡大してしまう確率は、有症状の人と大差がなかったといった事実も中国の研究チームの調査でわかっており、さらに感染は拡大していてもおかしくない。感染者を過小報告し、収束をアピールしていた可能性がある。

各国は感染拡大止まらず

フランスでは、国内の感染者が約5万7000人、死者が4000人に達したと発表した。死者は前日から500人以上も増えた。死者数が4000人を超えたのはイタリア、スペイン、アメリカに次いで4カ国目となる。イタリア、スペイン、アメリカの3カ国は感染者が10万人を超えている。とくにアメリカでは20万人を超えており、依然として深刻な状況だ。