「プーチンを守る」と決めた習近平。隣国が“戦争の仲介役”で得る大きな果実

内向き志向を強めるアメリカとは正反対に、積極的に世界の難題解決にコミットし始めた中国。一体そこにはどのような「裏事情」があるのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、中国政府の思惑と彼らが描いている壮大な計画を深掘り。さらに習近平政権がロシア支援を継続し、ウクライナ戦争を長引かせることにより得られる「とてつもなく大きな果実」について解説しています。

崩さぬロシア寄りの姿勢。それでも中国がウクライナ戦争の仲介役を買って出た訳

「中国はロシアとウクライナの停戦を仲介すると表明したが、どこまで本気に取り組むつもりなのだろうか?」

習近平体制が第3期目に入り、外交活動を再開する中、次々と国際社会の難題に取り組む姿勢を見せる中国の変容に、正直戸惑うことが多々あります。

サウジアラビア王国とイランの歴史的な和解の仲介の実現。国際社会が見放したミャンマーを支え続け、国軍と民主派の停戦に向けた話し合いを促す姿勢。一帯一路政策によって、債務地獄に陥れた各国に“寛大な”姿勢を見せようとする方向性。重い腰を上げてロシアとウクライナの停戦の仲介に乗り出すことを表明した変容。そして、解決の糸口が見えないスーダン情勢へのコミットメント。

コロナ前までにもすでに経済力と軍事力を合わせて周辺国に、時には強引に勢力圏を拡げてきた中国ですが、それは主に中国の経済的な影響力と中国製品の販路の開拓、そして国際社会における外交的なサポートの拡大などを目的としてきたと思われます。

ところがコロナが一段落し、習近平国家主席が異例の3期目の任期に入った途端、これまでにないほど積極的な外交を展開し、これまであえて距離を置いてきた国際紛争に対しても、まるで火の中の栗を拾うかのように、積極的にコミットする姿勢を示しだしました。

中東地域、アジア地域、そして東アフリカ地域に対する外交攻勢については、これまで経済面での戦略的パートナーシップを通じて強化してきた関係をベースに、欧米諸国、特にアメリカが去った後の力の空白に入り込んで、一気に勢力圏を拡大するという戦略が見られますが、スーダンへの介入はまだしも、ロシア・ウクライナ紛争への介入は少し趣向が異なるような気がします。

スーダンとロシア・ウクライナ紛争への介入を見てみた際、一つ明確に言えることは、他のケースと異なり、中国はどちらか一方のサイドをサポートしているということでしょう。

スーダンでの内戦では、経済的な理由から明らかに国軍側の味方ですが、それでもRSFに対しても一定の影響力を持っています。

先の内乱(2021年)にはアメリカ政府が調停に乗り出し、今でも国務省においてスーダン問題特別代表が任命されるなど、スーダン情勢の安定に努めていますが、今回の内戦に対しては、強い懸念は表明するものの、これまでのように軍事的な支援は行わず、距離を置いているように思われます。

その一因にはongoingのウクライナ情勢へのコミットメントを優先していることがありますが、事態の鎮静化に向けた働きかけを行ってはいません。

そこに他のケース同様、アメリカのコミットメントの空白が出来、そこに中国が入り込むという図式が成り立つのですが、スーダンのケースでは、ロシアと共に恩恵にあずかっているスーダンの金鉱の権益保持のために、一刻も早く紛争を終結させなくてはならないという思惑が働いています。

そのために、これまで明らかに国軍・政府支持であった姿勢を少し曖昧にし、政府とRSF双方に働きかけ、迅速な停戦と事態の沈静化、そしてどちらが今後、政権の座についても中国とロシアが持つ金鉱の保全と保護を確約させるべく、“仲介者”というお面を被って介入し、紛争終結後の決定的な影響力の確保に乗り出しています。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

保守層を取り込む戦略は誤り。躍進の「維新」が図るべき自民との区別化

先ごろ行われた統一地方選挙において、伸び悩む野党を尻目に大躍進を果たした維新。とは言え未だ全国規模で政権与党を脅かす存在とは言い難く、何より自民との差別化が図れていないのも現状です。この先維新は、どこに向かい進んでゆくべきなのでしょうか。政治学者で立命館大学政策科学部教授の上久保誠人さんは今回、現在の「保守層取り込み」という戦略が誤りであることを解説するとともに、狙うべき層を具体的に提示。さらに彼らが党として目指すべき方向と訴えるべき改革案等を提案しています。

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)
立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

統一地方選で大躍進。維新は今後「自民党との区別化」を打ち出せるのか?

統一地方選挙で、日本維新の会・大阪維新の会(以下、維新)が躍進を果たした。大阪府知事・市長・府市議会を完全制圧し、悲願の全国政党への脱皮に着実な一歩を進めた。

4月9日に投開票された前半戦では、大阪府知事・大阪市長のダブル選で維新の吉村洋文知事が再選、維新新人の横山英幸氏が初当選した。また、奈良県知事選挙では、維新公認の山下真氏が当選し、大阪以外で初めて維新公認の知事が誕生した。

大阪府議選では、前回に続き過半数となる55議席を獲得し、大阪市議選では46議席で初めて過半数を達成した。41の道府県議会議員選挙では、兵庫県で選挙前の4議席から21議席に大きく伸ばすなど、合計で124議席を獲得し、選挙前の59議席から倍以上に議席を増やした。

さらに、4月23日に投開票された統一地方選挙後半戦で、維新所属の全国の首長・地方議員の合計は774人となった。馬場信幸代表が自らの進退をかけて掲げた「600議席」の目標を大きく上回った。

維新は、大阪府知事・市長・府市議会を完全制圧した。774人中505人が近畿圏ではあるが、悲願の全国政党への脱皮に着実な一歩を進めた。今回は、統一地方選で維新が躍進した意味を、日本政治・社会の構造変化に争点を当てて考えてみたい。

まず、維新以外の政党の選挙結果の検証から始めたい。自民党は、道府県議会議員選挙で大阪府議会を除く40の議会で第一党を維持した。しかし、合計1,153議席は選挙前から86議席減となった。一方、市議選では710議席獲得し、前回より12増えた。

統一地方選後半戦と同時に行われた衆院補選で4勝1敗。だが、和歌山一区では維新新人・林佑美氏に敗れた。前述の奈良県知事選の敗北を含め、自民党内には選挙に勝利したという実感は少なく、微妙な空気が流れている。

立憲民主党(以下、立民)は、統一地方選全般で存在感を示すことができなかった。道府県議会議員選挙では、合計185議席を獲得し、選挙前から7議席増、市議選では合計269議席で72議席増となった。だが、それは労組など従来からの支持基盤の「過去の遺産」によるものにすぎないだろう。

北海道知事選は、唯一の与野党全面対決となったが、立民が推薦した前衆院議員は大差で敗れた。福井、島根などの県知事選は与党との「相乗り」となり、自民党が3つに分裂した徳島県知事選では、候補者を擁立すらできなかった。

衆院補選では、3補選しか公認候補を擁立できなかった上に、全敗を喫した。特に、「野党統一候補」を擁立した大分選挙区でも勝利できなかったことは、今後の「野党共闘」推進に暗雲をもたらした。

共産党は、41道府県議会で99議席から75議席に激減した。新潟、福井、静岡、福岡、熊本の5県からは1人も当選することができず、空白県に転落した。市議選では55議席減の560議席にとどまった。共産党の「牙城」であった京都でさえ、府議選で3議席、市議選で4議席減らし、まさに「歴史的な敗北」となったと言わざるを得ない。

立花党首の変化に「良心」がついて行けず。なぜ上杉隆はNHK党を離れたのか?

1994年から5年間、故鳩山邦夫衆院議員の秘書として政治の世界に関わって以来、政界の表裏をウォッチし続けてきたジャーナリストの上杉隆さん。そんな上杉さんが、1年半の間要職を務めていた「NHKから国民を守る党(現「政治家女子48党」)」を離れてから、早2年以上が経ちました。なぜ彼は同党を後にすることとなったのでしょうか。その顛末の「序章」を今回、メルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』で上杉さん自身が綴っています。

【関連】人を“不幸”にさせる「異常な能力」を持った鳩山邦夫と上杉隆の苦悩

政治家の正義とは~鳩山邦夫氏と立花孝志氏の違い

「いいか上杉、政治は勝ち負けではない。キミはなぁ、正義感を出しすぎる傾向がある。でもな、みんなが正義の中に生きているわけではない。追い込みすぎるな。逃げ道を作って許してやることも必要だぞ」

いま、私は、故・鳩山邦夫元文部大臣から教えられたことを反芻している。

幼稚園のときから自民党の創設者である祖父・鳩山一郎元首相の姿を追い、大蔵事務次官で外務大臣を歴任した秀才・鳩山威一郎を父を持ち、大学卒業後はすぐに田中角栄元首相の秘書となった鳩山邦夫代議士は、自他ともに認めるエリート保守政治家だった。

しかし、鳩山さんはそんな自らのエリート風情を嫌っていた。あえてともいうべきずぼらな格好で、スーパーで10円引きの品物を見つけると「ほら上杉、こっちの方が安いぞ」と悦び、フランス料理店での会合を早々に抜けたらと思ったら赤ちょうちんの軒下に顔を出す。文部官僚には厳しいが、小学生には溶けるほど優しい。常に大衆の中に飛び込んでいき、弱き者の言葉に耳を傾け続けた。

「負け組という言葉があるが、それはたまたまついていないだけということなんだ。いつかは自分にその番がやってくるかもしれない。おれとかキミとかは、いまはそれは恵まれている。だが、つねにそういう人生だけではないと肝に銘じなくてはならないぞ」

秘書時代の自分は、わかっているようでわかっていなかった。鳩山さんの言っている意味を理解できているようで、理解できていなかった。しかし、あれから25年。当時の鳩山さんの年齢になって、ようやく見えてきた…。

相対的な強者は、その力の使用にあたって、丁寧すぎるほど丁寧に行わなくてはならないということなのだろう。

3月末(編集部注:2021年)でNHK党を辞めた。2019年夏、久しぶりに永田町に戻った私にとって、激動の1年半だった。改革マインドに溢れた素晴らしいNHK党の仲間たちと過ごした1年半は、私の人生の誇らしい一ページであった。

この記事の著者・上杉隆さんのメルマガ

ワード検索では見つけにくい。エンジニアが市場ニーズを知る方法を人気コンサルが伝授

どんなにいいものでも、それを欲しいと思う人がいなければ売れません。インフルエンサーのための分析ツールを作っているエンジニアの悩みは「ニーズの探し方」。アドバイスを求められたのは、メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』著者で人気コンサルの永江さんです。まずは直接ターゲットとなる人たちと話をするのが早いと語る永江さんは、プロトタイプ作成から製品化と販売マーケティングまで協力してもらう流れをアドバイス。永江さん自身がどんな分析ツールなら欲しいかも伝えています。

エンジニア目線の市場ニーズの探し方

Question

shitumon

いつも楽しく、かつ自分だったらどう答えるかと思いながら拝見しております。副業でプログラミングでツールを作り販売しております。本業もシステムエンジニアのためツールを作ること自体は難しくないのですが、ニーズ(シーズ)の探し方が下手で困ってます。

これまで、Instagramやtiktokなどの分析効率化などのツールを使って公開しています。ただ、それはその方面で活躍している人へヒアリングして要望を聞いたものをまとめただけで、自分から拾い上げて作ったものでないです。自分で需要があるツールを作るための種を探すには、どのようなことを意識したら良いでしょうか?

TwitterやInstagramで面倒や、困った、課題などのワードで検索などはしていますが、なかなかそういう情報に出くわさず…よろしくお願いします!

永江さんからの回答

ニーズを得るために有効なのは、やはりターゲットユーザーと話すことですね。

ワード検索しても課題やニーズは見つからないので、実際のユーザーに何に困っているかを聞くのが一番実効的で早いです。今回のツールなら、実際のターゲットユーザー(インフルエンサー)を集めて巻き込み、ブレストなりするのが有効でしょう。

フォロワー2~3万人のマイクロインフルエンサーで良いので、「私はインフルエンサー向けの分析ツールを作っています。あなたのSNSがとても面白いから役に立つ分析ツールを作りたい。開発したら無償で提供するから日頃の分析で困っていることや、知りたいけど分析できていないことなど教えてほしい」とアプローチすれば、数名は時間をくれる人も見つかると思います。

まぐれあたりした人や有名人ではなく、自分のビジネスにもつなげてコツコツPDCAをかけてフォロワーを増やしてきた人の方が分析のニーズはあるはずです。

そこで聞いた意見を深堀りして、具体的な機能を作って意見をもらったインフルエンサーに見せて使ってもらい、気に入ったらSNSでシェアしてもらう→その紹介経由で成約したら10%手数料を渡すなどすれば、プロトタイプ作成から製品開発、販売マーケティングまでが一気に進みます。

ちなみにわたしが欲しいと思うのは、自分の過去の投稿を分析して、バズる投稿の傾向を解析・示唆してくれるような分析ツールです。全体動向や競合の分析などしても結局自分ができる打ち手にはつながらないですが、自分の過去の投稿を全て分析して、自分がバズるときの傾向や強みの活かし方が分かれば再現性が期待できます。あったらぜひ使ってみたいので、開発を楽しみにしていますw

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「けつあな」坂本勇人も唖然…強制性行疑惑の山川穂高に「あの俳優が逮捕された時と状況が似ている」の声も

5月11日、プロ野球 西武ライオンズの山川穂高(31)による強制わいせつ致傷疑惑を『文春オンライン』が報じた。記事よると、昨年、山川が知人女性に対し無理やり性的な暴行を加え、既に被害届が出されているとのこと。また、警察は山川に対して事情聴取も行ったという。本人は文春の直撃取材に対し、被害届が出されていることを認めながらも、性行為に関しては「無理やりではない」と否定している。

あの元俳優のときと状況が似ている?

双方で意見が食い違っており、真実は明らかになっていない段階ではあるが、「事実ならアウトに決まっている」と語るのはスポーツ紙の記者だ。

「性犯罪に対する世間の目は年々厳しくなっていますし、事実なら一発アウトでしょう。『けつあな』問題で叩かれまくった巨人の坂本選手とは違って、これは本当の犯罪ですからね。今後どうなるか、記者の間では予想合戦が繰り広げられています」

記者は「表沙汰になった点が気になる」と続けながら自身の予想を語る。

「正直、野球選手は女好きが多く、異性とのこうしたトラブルを聞くことは珍しくありません。ですが、揉め事があっても裏で解決するのがほとんど。今回、こうして表沙汰にったということは、うまく示談ができずに今も話がこじれている可能性が高いんじゃないかなと思います。文春に『被害女性の処罰感情は強い』とありましたしね」

この記者は以前、芸能担当をしていたということ。そのため、2019年に強制性交で逮捕されたあの芸能人と状況が似ていると心配を口にする。

「マッサージ店の女性従業員に暴行して捕まった新井浩文さんです。彼も当初、相手側と示談をしようと裏で動いていたのですが、女性の処罰感情が強かったことでうまくいかず、結局逮捕となりました。今回の山川さんの件も警察の捜査が入っているとのことで、『無理やり行為をした』の証拠が揃えば最悪の事態になることもありますよ」

万一、逮捕・起訴となれば、世間に与える衝撃は計り知れない。

「性犯罪の捜査は証拠固めに相当時間がかかると聞いたことがありますし、すぐにどうこうなることはないと考えます。ただし、山川選手は昨日の試合に出場していたんです。なので、女性との間で前向きな交渉ができている可能性もあると思います。解決さえすれば、これまで通り選手としてやっていくことは可能でしょうね」

とはいえ、ネットでは「もう応援したくない」「見損なった」「そもそも不倫をしているのが論外」といったネガティブな意見が目立つ。話がまとまったとしても、山川本人には少なからずダメージが残りそうである。

「ダメージを受けたのは山川選手だけじゃない」と言うのは別の記者だ。

特例子会社の「パワハラ裁判」で原告の障がい者が訴えたかったこと

障がい者を雇用する環境を整えることで、親会社やグループの法定雇用率に算定できる特例子会社において、従業員である障がい者への配慮に欠けた言動は許されることではありません。ところが実態は「数」を合わせるだけで「質」を伴わないケースもあるようです。今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』では、生きづらさを抱えた人たちの支援に取り組む著者の引地達也さんが、名古屋高裁で原告の障がい者側が“勝利和解”したパワハラ裁判に言及。原告側が口外禁止条項のある和解案を拒否して裁判を続け、社会全体の問題として訴えたかったことが何かを伝えています。

障がい者雇用でのパワハラ裁判から考える「合理的配慮とは何か」

高次脳機能障がいと強迫性障がいがある岐阜県大垣市の女性が、障がい者雇用として働いていた特例子会社である名古屋市のウェブ制作会社からパワハラを受けたとして、会社側を「合理的配慮義務」違反として損害賠償を求めた裁判は3月、名古屋高裁において全面的に原告の主張を受け入れた和解内容で双方が合意し、成立した。

5月に行われた報告集会で、原告側の支援グループは、勇気を持って声を上げた原告女性の勇気を称え、和解内容を基本に全国の障がい者雇用の現場や社会全体に浸透していく必要性を強調した。

発言に立った原告女性は「なぜみんなと同じことができない!」「特別扱いはしない」との発言で自分を追い詰めた会社側が主張する指導は「暴力であった」と振り返り、和解内容をきっかけに同じように障がい者雇用で苦しんでいる人の助けになりたいと訴えた。

原告は13歳の時に交通事故に遭い、記憶など高次機能に障がいが残った。裁判記録などによると、被告の企業は障がい者雇用を専門とする特例子会社で2008年に入社。入社当初から自分の特性を示し、会社側も理解し対応していた。

しかし担当者が変わると理解はなくなり、原告が障がいの特性上、「出来ない」と言うと「出来ないならもっと申し訳なさそうに言え」との返答。さらに「見えない障がい」を説明すると「障がい者が障がいの説明をするな」と拒絶されたという。2015年に休職し、16年に退職となった。

女性は2019年に労働審判を申し立て、和解案も提示されたが、口外禁止の条項が盛り込まれたことなどから内容を拒否し、岐阜地裁で2020年3月に第1回口頭弁論が開始、第9回の口頭弁論終了後に裁判所からしめされた和解案にも口外禁止条項があったため、これを拒否し岐阜地裁は2022年8月、会社側に合理的配慮義務違反は認められないとする棄却の判決を出した。

この判決では、いわゆる「個人モデル」の考えに基づいており、会社側の主張に即した内容で、記憶障がいのある被告女性の意見の信用性は低い、と判断した。

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クルミを食べると集中力が上がる?バルセロナでの最新の研究結果

抗酸化作用のあるビタミンE、不飽和脂肪酸(オレイン酸)などの栄養素を豊富に含み体に良いとされるナッツ類。なかでもクルミは、アマニ油やエゴマ油で注目されたα-リノレン酸が多く、医学界でも関心の対象となっているようです。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、クルミ摂取が神経発達や注意機能にどう影響するのか調査したスペインバルセロナでの最新研究について紹介しています。

クルミを食べることで注意集中や遂行能力に良い影響があるかもしれない

α-リノレン酸:omega-3 alpha-linolenic acid(ALA)は神経発達において重要な栄養素であるとされており、特にクルミにはα-リノレン酸が多く含まれています。

今回は、クルミの消費が多い場合に神経発達や注意機能などにおいて、良い影響があるのか調べた研究をご紹介します。

Effect of walnut consumption on neuropsychological development in healthy adolescents: a multi-school randomised controlled trial

健常な思春期若年者を対象とした神経心理学的発達におけるクルミ摂取の影響

スペインのバルセロナにおける研究で、健常な11~16歳の771人を対象としています。

2つのグループに分けて、クルミを1日に30g摂取する場合の影響を6か月の経過で調べました。結果として、以下の内容が示されました。

  • 血中のリノレン酸濃度はクルミ摂取のグループで上昇していました。
  • 神経心理学的な様々な指標におけるグループ間での差異は明らかではありませんでした。
  • クルミ摂取の基準が良く守られていた場合(規定順守の程度が良かった場合)には注意機能、流動性知能(知能、問題解決など)、ADHD傾向において向上(改善)を認めていました。

要約:『クルミ摂取と注意機能等の神経心理学的な機能向上には関連性があるかもしれない』

あまりはっきりとした差異ではありませんが、日常生活においてリノレン酸を豊富に摂取することは神経発達を促進する可能性が考えられました。

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プーチン失脚は近い?自国の民間軍事会社トップに「じいさん」呼ばわりされる独裁者

ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者・プリゴジンが、プーチンに対してとんでもない発言をしたそうです。もともとプーチンと親交の深かった彼がなぜ?無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが解説します。

プリゴジンがプーチンを【完全な下衆野郎!】と呼んだ

ウクライナ侵攻がはじまる前、日本の一般人は、「ロシアの政治家」で知っている人は、「プーチンだけ」だったでしょう。その次がメドベージェフ前大統領でしょうか。

ところが、ウクライナ侵攻が長引くにつれ、ショイグ国防相、ゲラシモフ参謀総長などの知名度も上がってきました。

しかし、最近、日本のニュースにもっとも頻繁に登場するのは、民間軍事会社「ワグネル」の創立者プリゴジンでしょう。

プリゴジンとは何者か?

エフゲニー・プリゴジンは1961年、レニングラード(今のサンクト・ぺテルブルグ)で生まれました。生まれは、プーチンと同じ場所です。1980年代は、強盗、詐欺などの容疑で、ほとんどの期間刑務所にいたそうです。

1990年、ホットドック販売を開始し大成功。90年代初めには、こういう意外な商売で成功する人がたくさんいました。たとえば「クレムリンのゴッドファーザー」といわれたベレゾフスキーは、「ジーンズ販売からはじめて富を築いた」といわれています。

ちなみに、ソ連時代「ホットドック」というのは、存在しませんでした。ソ連崩壊後、めずらしさもあって大流行したということでしょう。

プリゴジン、その金を元手に、スーパーチェーン、カジノ、水上レストランなどを設立していきます。プーチンは1992年サンクト・ペテルブルグ市の副市長になっていました。プリゴジンは90年代に、プーチンと知り合ったのでしょう。

プリゴジンの水上レストラン「ニューアイランド」は評判がよく、プーチンが、フランスのシラク大統領や、アメリカのブッシュ大統領を連れてくるほどになりました。それで、今に至るまで、プリゴジンのあだ名は、「プーチンのシェフ」(ポーヴァル・プーティナ)です。

プリコジンは、プーチンとの個人的な関係をフル活用して富を蓄積していきます。プリコジンの会社は、学食やロシア軍に食事を提供する権利を獲得して、大儲けしました。

しかし、プリコジンを世界的に有名にしたのは、民間軍事会社「ワグネル」の創立者としてです。彼が「ワグネル」を設立したのは2014年。この年の3月、ロシアはウクライナからクリミアを奪いました。

4月になると、ルガンスク、ドネツクの親ロシア派が独立を宣言。ウクライナ政府は当然これを容認せず、内戦が勃発しました。プリゴジンはこの年、ワグネルを作り、ルガンスク、ドネツクに戦闘員を送り込んだのです。もちろん、プーチンの命令で作ったに違いありません。

ちなみにロシアで民間軍事会社は違法です。そのため、ウクライナ戦争がはじまるまで、大っぴらにその存在が語られることはありませんでした。しかし、ワグネルはその後、中南米やアフリカ諸国、シリアなどにも傭兵を送るようになった。それで、ロシア研究者や世界中の諜報機関は、その存在を知っていたのです。

2022年2月24日、ロシアがウクライナ侵攻を開始。ロシアの国営メディアは、「2~3日で首都キーウを陥落させて特別軍事作戦は終わる!」とはしゃいでいた。ところが、戦争はプーチンの予想を裏切って長期化し、世界中の人が、「ロシア軍は軍事力世界2位というが、案外弱い」ということを知ったのです。

ロシアの正規軍はだらしない。そんな中、ウクライナ軍を苦しめているのが、プリゴジン率いる「ワグネル」です。

プリゴジンは、正規軍のだらしなさに対する憤りと、自分が大活躍しているという驕りから、次第に増長するようになっていきました。

昨年の11月には、「ゼレンスキーは現在ロシアに敵対する国の大統領だが、ゼレンスキーは強く、自信があり、現実的で、いいヤツだ」と発言しています。これは、ロシアの「公式見解」とは全然違います。

ロシア政府や国営メディアは、ゼレンスキーについて、「ネオナチの麻薬中毒者」と定義している。ところが、プリゴジンは、「強く、自信があり、現実的で、いい奴」といっている。この発言から、プリゴジンが、プーチンへの恐怖心を失っていることがわかります。

戦場で活躍するプリゴジンとワグネル。その一方で、ロシア軍の弱さとだらしなさを批判するプリゴジン。ロシアの支配者層は、プリゴジンを恐れ、疎ましく思っているようです。そして、彼からバカにされているロシア軍との関係も、また悪いのです。

笑えばいいってもんじゃない。なぜ、あなたの笑顔は好印象を与えないのか?

笑顔で接客をするのは販売員に欠かせないスキルです。しかし、ただ笑っていればいいというわけでもないようです。メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、印象が良い笑顔/そうでない笑顔について解説します。

目が合ったら

笑顔で店頭に立っていることで印象良く見えるというのは周知の事実です。

なのですが、僕がいろんなお店を見ている中で、同じ笑顔なのにも関わらず、

・印象が良く見える
・なぜか印象が良く見えない

という2つのパターンがあることに気づくことがあります。

以前からこれについてはなぜだろうと不思議で仕方なかったのですが、ここ最近でようやく理解ができました。

それは目が合った時の違いです。

僕は仕事だけに限らず、プライベートでもジャンルを問わずいろんなお店へ足を運びます。

それこそ男性向けの店ばかりではなく、女性向けの店へ入ることもあるわけです。

例えばプレゼントを探している時など、結構な頻度で足を運びます。

そういう時に、「どの店にしようかなー」と商業施設や路面店の前などを歩いていると、たまに店員さんと目が合います。

その時に笑顔の店員さんでも、目が合った時に会釈をしてくれる人がいるんですね。

この「会釈」が重要だったのです。

同じく笑顔で立っていたとしても、目が合った時に特に何の反応もされないと、「自分の店の客ではない」と認識されたような感覚を覚えます。

多分これは僕が仕事上そういう見方をしてしまうのはあると思いますが、そこまで考えなくても、なんとなくお客様も肌で感じる部分はあるように思います。

一方で、笑顔で店頭に立ちながら道行く人に本当に軽く会釈(頭を軽く下げる程度)をしているお店の人は、なぜかすごく感じが良く見えます。

お客様目線で考えてみると、「入っても良さそう」という見え方をしやすいと思うんですね。

科学的根拠のある話でもなく、残念ながらデータが取れているわけでもない話です。

ただ「そう感じる」というのは、接客という仕事においてはすごく大事なポイントだと捉えています

少なくとも僕は、同じ笑顔でも目が合った時にどんな動きをしてくれるかは重要です

もし道行くお客様と目が合った時には、軽い会釈をしてみてください。

そこでどのように反応が変わるか、確かめてみるのも良いと思いますよ。

今日の質問です。

・道行くお客様(候補)と目が合ったら、どんなリアクションをしますか?

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年金のプロが解説。老齢年金と遺族年金を重複受給してしまった時はどうなるのか?

年金を受給している時に別の年金受給ができることになった場合、重複してもらえるのでしょうか?今回のメルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』では、著者で年金アドバイザーのhirokiさんが、 年金の重複について詳しく解説しています。

既に何らかの年金を受給中に別の年金が発生して重複した場合と、年金が過払いされた時

1.違う種類の年金受給の期間が重複してしまう事がある

年金は偶数月のその月の15日に前2ヶ月分が支払われる事は基本中の基本であります。

年金額を6回で割ったものが支払われるとすれば、おおよその振込額が予測できます。

しかし、支払われると思っていた額となんだか違う!という事は相談現場では実際はよくあって、そのたびにどうして金額がおかしいのかという相談がよくあります。

振込額が変化する理由は様々ではありますので、個別に記録を確認してみないと原因とその金額はどのように導き出されたのかはわかりません。

例えば在職老齢年金の停止がかかったとか、税金や社会保険料天引き額が変わったとか、失業手当を貰ったからとか、加給年金がはずれたとかいう事で変化する事はよくあります。

あと特殊なものの一つとしては、税金や社会保険料の滞納で突然年金から差し押さえがあったりというような事もあります。

細々としたものも存在するのでその都度確認が必要ではあります。

大体は機構のオンラインシステムを見れば原因は判明する事が多いですけどね(原因コードというのがあるので)。

さて、年金振込額がなんだかおかしくなる原因として、よくあるのが「内払調整」というのがあります。

え?なんか難しそうな言葉が出てきた…と思われたかもしれませんね^^;

聞きなれない用語ではありますが、年金の世界ではよくある事であります。

例えば年金を貰う時に、大原則としては1人1年金しかもらえないですよね。

どういう事かというと老齢の年金を貰える人が障害厚生年金を貰う権利を持っていたとしても、どっちか一つの種類しか貰っちゃだめですよという事ですね。

この記事の著者・hirokiさんのメルマガ