いま企業が備えるべき「情報漏えい」や「情報持ち出し」への保険

備えあれば憂いなし。つい最近もNTTドコモが最大500万件以上の顧客情報が流出した可能性があることを公表したように、多くの企業が「情報漏えい」の危機にさらされています。会社側でのセキュリティ強化はもちろん重要ですが、今後は起きてしまった事態を如何にカバーするかが大切になるかもしれません。今回のメルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』では、人気コンサルの永江さんが、情報漏洩に備えた2つの法人向け保険を紹介しています。

法人向け損害保険のニーズは何がありますか?

Question

shitumon

現在様々な法人向け損害保険がありますが、今後高まるであろう保険ニーズ(潜在、顕在問わず)についてご意見を伺わせてください。よろしくお願い致します。

永江さんからの回答

結論から言いますと、これから高まる保険ニーズはセキュリティ関係だと思います。

具体的には大きく分けて2つあると思うのですが、1つは情報漏えいリスクに備える保険です。先日もPCソフト・ハードウェア販売会社のソースネクストが、不正アクセスにより12万件もの利用者個人情報が漏洩したと発表しました。
ソースネクスト、クレカ情報漏洩11万件 セキュリティコードも – Impress Watch

こういった情報漏えいが一度起こると会社が飛ぶこともあるので、万が一顧客情報が流出したら1人あたり●円保証してくれるような保険があればニーズは高いでしょう。

もう1つは退職した社員が情報を持ち出した時のリスクに備える保険です。先日ニュースで話題になっていたのですが、元朝日新聞支局長の伊藤喜之氏が書いた『悪党 潜入300日 ドバイ・ガーシー一味』という本が「在職中に得た情報を無断で利用した」と朝日新聞から抗議を受けているそうです。
なぜ「ガーシー本の出版」が問題視されるのか…朝日新聞の抗議が示す「新聞記者」という仕事の本当の価値 報道人は社会のために働く存在でなければいけない | PRESIDENT Online

「在職中に取材したことは辞めても書くな」という言い分ですが、同様に、退職した社員が重要な機密情報を公開したことで損害を被った場合の保険があれば、ニーズは必ずあると思います。

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新右翼と言われた鈴木邦男氏を評論家・佐高信が「ホンモノ」と思うワケ

新右翼系の民族派団体「一水会」を創設した政治活動家で思想家の鈴木邦男氏が今年1月に亡くなり、去る3月23日にお別れの会が執り行われました。この会で弔辞を読んだ評論家の佐高信さんが、メルマガ『佐高信の筆刀両断』で、鈴木邦男氏を“ホンモノ”だと思う理由をまず披露。「新右翼」と呼ばれ、若い頃には櫻井よしこ氏に「テリブル」と評された鈴木氏が、インターナショナルを歌って涙し、櫻井氏に対して「貴女の方がテリブルだよ」と笑うなど、左傾化していったエピソードを紹介しています。

統一教会を批判した鈴木邦男

一水会が主催した「鈴木邦男お別れ会」は3月23日に開かれた。現代表の木村三浩の弔辞に続いて、鳩山由紀夫、田原総一朗、鈴木宗男、私、福島みずほの5人が順にスピーチした。

新右翼といわれた鈴木を私がホンモノだと思うのは、早くから統一教会を批判していたことである。愛国心の押しつけを嫌った鈴木は統一教会の全体主義に反発したのだろう。

2012年4月24日、仙台で開催した「佐高信政治塾」第7期第1回の講座で鈴木と対談した。題して「右翼と左翼の交差点」。その後の慰労会には仙台在住の鈴木の兄も加わっていたが、彼の前で鈴木は“借りてきた猫”だった。

鈴木を弟に持った兄のところには、しばしば警察が招かざる客として来たらしい。それで、兄だけでなく兄の妻にも鈴木は頭が上がらないという。統制の道具として家族を使うのはまさに統一教会に通ずる。

鈴木を知って私は「警察に取り締まられる右翼」と「取り締まられない右翼」がいることを知った。鈴木が代表をしていた一水会はもちろん前者である。木村に鈴木のことを尋ねると――

「何やってんだと怒られつづけて、30余年ですからね。お前ら、ちゃんと運動やれと。酒ばかり飲んでのアルコール共同体はダメだぞ、と厳しいことを言われます。鈴木さんは大言壮語する人間は嫌いで、学者肌のところがありましたね」

鈴木と『こんな日本 大嫌い!』(青谷舎)という対論を出している辛淑玉は鈴木について「牧師のイメージがある」と言う。それはミッションスクールで学んで聖書や讃美歌に親しんだからだけではないだろう。

鈴木は何度か北朝鮮に行って、「よど号」で彼の地に行った人たちと会い、ある時には世界の交流大会でヨーロッパの人が「アメリカと戦っている唯一の国」として北朝鮮を称え、最後にインターナショナルを歌うのを聞いて、自分も歌い、感動のあまり、涙を流したらしい。

鈴木の「左傾化」はここまで進んでいた。だから、鈴木は親米右翼に、右翼の風上におけないと非難され、殴りかかられたりもした。

エリート意識や前衛意識から来る「左翼の冷たさ」を鈴木は批判していた。「右翼はだいたい落ちこぼれ」だと言っていたが、左翼がその臭さから脱しなければ、運動は広がらないだろう。

一水会の機関紙『レコンキスタ』の鈴木追悼号に私は「どちらがテリブルだったのか?」という一文を寄せ、こんな逸話を紹介した。

鈴木がバリバリの右翼青年だったとき、記者をしていた櫻井よしこが取材に来て、「右翼青年!おう、テリブル」と言ったという。「いまは貴女の方がテリブルだよ」と鈴木は笑っていた。鈴木と私では、どちらがテリブルなのか?いずれにせよ「誰にとって」を付け加えなければならない。

この記事の著者・佐高信さんのメルマガ

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TikTokで新入社員を踊らせる企業に賛否の声。「あり得ない」「むしろ楽しんでる」

4月に入り、電車や街中でフレッシュな新入社員を見ることが増えた。まだ研修期間中ということもあってか“疲れ切っていない”イキイキとした顔つきが印象的だが、そんな彼らが早速「社会人の洗礼を受けた」と話題の出来事がある。

「TikTokで踊らされる新入社員」に同情の声

今、ネットで注目を集めているのが「TikTokで踊らされる新入社員」だ。これは、企業が「今年の新入社員たち」の紹介を兼ねて、彼らにダンスをさせたりした動画をTikTok上で公開するもので、毎年の風物詩といってもいい。しかし、この動画に“大人たち”から様々な反応があるのも事実だ。

ネットでは、「新入社員に躍らせる会社きつい」「新入社員マジでかわいそう」「これは一種の洗脳行為」「これは、アリなの?」「会社の評価を落とす無能人事部」といった、ネガティブな意見が散見される。中には、1980年代に発生した組織的詐欺事件で注目された「豊田商事のブラック朝礼」と比較する声まである。

この件に否定的な40代の会社員男性に話を聞くことができた。

「そもそも、社外に、ましてや取引先と何も関係のない人々に新入社員を紹介する必要性を感じません。しかも『デジタルタトゥー』が問題になっている時代にこういうことをやらせる企業はどうかしています」

その他「知り合いに見られたくない」との意見もあった。

「経験がないのでわかりませんけど、大学時代の同級生とか彼氏/彼女に見られたら恥ずかしいとは思わないんですかね? 僕だったら嫌です。一番最悪なのは、親に見られること。入社していきなり集団で踊っている映像を発見されて、心配をかけたくない」(30代前半男性)

若者は社畜根性じゃない

一方で、「踊るのは分かっていたのでは」の声も上がる。

「今の時代、就活生は企業の口コミはもちろん、SNSだってチェックしますから、『ここ、入社したら踊らされるな』とかは分かると思います。だから、そんなに嫌がってないんじゃないかな」(20代前半男性)

「ニュースとかで無責任な大人が言うほどヤワじゃないというか、芯を持ってる人が多いと感じます。なので、研修だから仕方なく…みたいな社畜根性でやってるケースって少ない気がしますけど。あと、SNS世代だから、動画で表現することに抵抗がないんじゃないかな? 世代ギャップのある人たちが、『自分たちの時代はなかったから気の毒』と言うけど、そりゃ時代が違うんだから当然だろって感じです(笑)」(20代前半女性)

なるほど、つまり外野が勝手に「気の毒だ」「やめさせろこのブラック企業め!」「洗脳するなバカ!」と騒いでいるだけで、当人たちは案外へっちゃらで、むしろ楽しんでいる可能性もあるということか。

とはいえ、上記の声を聞いても「受け入れられない」大人はいる。

「踊るのを分かっていたと言ったって、そこが第一志望とは限らない。仕方なく入った会社ってこともある。つまり、仕事だから嫌々踊らされている。実際に動画を観ましたが、目が死んでいる子もいましたよ。だから、こういう取り組みはやめた方がいいと思います」(50代前半男性)

「若い人みんながSNSに抵抗がないわけじゃないでしょ。動画のアップによって損をするのは間違いなく“やりたくない人”なので、やらないのが無難。企業側も、こんなことで退職されても良いのかな?」(40代後半男性)

あなたは「TikTokで踊らされる新入社員」に何を思いますか?

稲盛和夫の言葉を「ノート50冊」に書き留めた側近が伝えたかった事

日本でも指折りの伝説を作った経営者として有名な稲盛和夫氏ですが、現場での彼はどんなことを語っていたのでしょうか。今回、無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で土井英司さんが紹介するのは、稲盛和夫氏の側近が彼の言葉を毎日書き留めていたノートから集めた名言集です。

側近が書いた、稲盛和夫秘話⇒『稲盛和夫 明日からすぐ役立つ15の言葉』

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稲盛和夫 明日からすぐ役立つ15の言葉

大田嘉仁・著 三笠書房

こんにちは、土井英司です。

昔、『本田宗一郎に一番叱られた男の本田語録』という本があって、大変興味深く読ませていただいた記憶があります。

【参考】『本田宗一郎に一番叱られた男の本田語録』

側近の方や部下の方など、現場で直接薫陶を受けた方の本って、大体面白いんですよね。

本日ご紹介する一冊は、故・稲盛和夫氏の「側近中の側近」と言われた著者が書いた、稲盛語録。

もちろん、側近本のお約束として、現場でのマル秘エピソードも含まれています。

著者の大田嘉仁(おおた・よしひと)さんは、元京セラの常務秘書室長で、元日本航空会長補佐も務めた人物。

秘書になった時から稲盛氏の言葉をノートに書き留め、そのノートが50冊を超えたというから驚きです。

本書には、著者が京セラで稲盛氏から受けた薫陶、JAL再生の時の現場でのやり取りなど、興味深い言葉とエピソードが集められています。

稲盛氏は既に多くの書籍を残していますので、半分くらいは既出の内容ですが、それ以外は著者しか知らない言葉、エピソードが書かれていて、興味深く読ませていただきました。

七味唐辛子を渡さず怒られたエピソードや、JALの抵抗勢力を黙らせた話、稲盛氏が寂しそうに語ったエピソードなどは、本書以外ではなかなか読めないと思います。

構成としては、全部で15の言葉を、以下のような章立てて整理して伝えています。

・「人間性が磨かれる」4つの言葉
・「より良い仕事ができる」4つの言葉
・「正しく判断できる」2つの言葉
・「高い目標を成し遂げる」3つの言葉
・「創造性が高まる」2つの言葉

韓国の進学塾通りで起こった「麻薬飲料」試飲イベントの恐怖

韓国で、高校生が「試飲イベント」と称され麻薬が入った飲み物を渡されました。この恐ろしい事件について今回の無料メルマガ『キムチパワー』で、韓国在住歴30年を超える日本人著者が語っています。 今の韓国の「若い世代が簡単に麻薬に蝕まれる社会ムード」に危機感を持っています。

試飲会で麻薬飲料

韓国の進学塾街一等地の大峙洞(デチドン)でとんでもない事件が発生した。4月3日午後6時頃、大峙洞の塾街で「記憶力と集中力向上に良い飲み物だが試飲イベント中」とし、高校生たちに麻薬が入った飲み物を渡した一味2人が警察に逮捕された。

彼らは飲み物を学生たちに飲ませた後、学生の両親に「子供が麻薬をやった。金をくれなければ申告するぞ」と電話で脅迫していたことも分かった。犯人らは学生たちから購買意向確認を口実に両親の電話番号を受け取っていた。事件のあった塾街近くの防犯カメラには、一味が麻薬入り飲料瓶を持ってうろついている姿が映っていた。学生に近づいて話しかけたりもしていた。

犯人らが学生たちに提供した飲料水ボトルには「記憶力上昇集中力強化メガADHD」という文句が書かれている。有名製薬会社の商標も付いており、学生たちはさらにだまされやすくなったと思われる。路上でよく目にする試飲行事をエサに接近しただけに、塾街の前で会った高校生と保護者たちは恐怖感を隠せない様子だ。

片手に教材を持った高校1年生のキム某さん(17)は「記憶力に役立つと言えば高い薬も買って飲んでいる現実なのに、私だってそこにいたら騙されたと思う」とし「生徒たちの切実さを悪用したのがとても不愉快だ」と声を高めた。

塾街の前で会ったチェ・ガルさん(17)は、「学校でも塾でも他人からもらった飲み物を飲まないようにと両親には言われている」とし、「もう他人が与える好意を信じられなくなりそうでとても不愉快だ」と吐露した。

小学生の子供を持つ保護者のチョン・チャンウさん(43)も、「生徒たちを金儲けの手段として見ていることに特に腹が立つ」とし、「自分の子どもにも知らない人がくれたりするものは絶対に食べるなと話した」と語った。高校生の子供をもつ50代の保護者イ某氏も「ソウルの真ん中で子供たちに麻薬を渡す犯罪が行われたというのが衝撃的だ」とし、「私の子供が犯罪の対象になりうるという事実にまだ胸が震えている」と話した。

6日、警察によると、現在までに受け付けられた被害申告は計6人だ。ソウル江南警察署は飲み物を配った疑いが持たれている一味のうち、40代の女性Aを前日に逮捕している。捜査網が狭まると、40代の男性が警察に自首してきた。警察は犯行に加担した他の一味2人を追跡している。

容疑者Aは警察の調査で「麻薬成分が入った飲み物なのか知らなかった」とし、「インターネット求人案内を見てアルバイトで働いただけだ」と供述している。これに対し警察は背後があると見て捜査を拡大している。

警察はすでに検挙したAおよび40代男2人の供述を基に、迅速に主犯検挙まで完了する方針を立てたという。警察関係者は「CCTV確認、通信捜査を通じて迅速に麻薬犯一味を一網打尽できると見ている」と話した。

 

発射自体をなかったことに。なぜマスゴミは「ロケット落下」を隠蔽するのか

3月7日、種子島宇宙センターから発射されたH3ロケット1号機がフィリピン沖に落下しました。今回の発射は過去の失敗の再挑戦だったこともあり、「日本の宇宙開発政策」に厳しい課題があると言わざるを得ません。メルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』の著者でジャーナリストの伊東森さんは、なぜ日本のロケットは落下するのか? そして、落ちたことを隠蔽するマスコミに対して苦言を呈します。

なぜ日本の国産ロケットは堕ちるのか? “空”だけ見続け“足元”の現実、直視できず ロケット“敗戦” マスゴミも真実隠す

JAXA(宇宙航空研究開発機構)と三菱重工業は、3月7日午前10時37分ごろ、日本の新型主力機であるH3ロケット1号機を、種子島宇宙センター(鹿児島県)より発射した。

しかし離陸後、2段目のエンジンが点火せず、約14分後に信号を出し機体を破壊、結果、地球観測衛星だいち3号の打ち上げは失敗した。1号機は、衛星ごとフィリピンの東方沖に落下したとみられる。

JAXAは記者会見で、1号機の発射トラブルが連続したことについて、

「見直すべきことがあったと言わざるを得ない」(*1)

とした。

山川宏理事長は謝罪しうえで、

「原因を究明し、早期に信頼を回復していくことが最優先の課題。それに専念してきたい」(*2)

と語る。開発担当の岡田匡史プリジェクトマネージャーは、

「対策をどうするかも含めると時間は読めない」(*3)

とし、失敗の原因究明から対策までの期間の見通しは立たないとした。

今回の発射は、2月17日に機器の誤作動で中断した発射のやり直しだった。しかし、昨年の10月にも、小型固体燃料ロケットにイプシロン6号機が指令破壊され、失敗したばかり。日本の宇宙戦略の見直しは避けられない。

目次
・再挑戦急ぎ 最悪の結果 「迅速だ」との見方も
・“空”だけ見続け“足元”の現実、直視できず
・ロケット“敗戦” マスゴミも真実隠す

再挑戦急ぎ 最悪の結果 「迅速だ」との見方も

2月の発射中断から2週間あまりでの再挑戦となった日本初の新型主力機H3ロケット1号機は、しかし機体の指令破壊という最悪の結果に。

問題となったのは、最も懸念されていた主エンジンではなく、2段目エンジンのトラブル。

「まだ見当もつかない」(*4)

失敗を受け開かれた7日午後のオンライン記者会見で、2段目エンジンが点火しなかった原因を聞かれたJAXAの岡田匡史プロジェクトマネージャーは、こう答える。

本来、最も懸念されていたのは1段目の主エンジン。H3の開発で最も難航を極め、独自構造を採用した。シンプルな構造にすることで部品を少なくしコストの削減につながった一方、大きな推進力を生み出すのが難しく、計画が2年遅れる要因となった 。

しかし実際には、2段目のエンジンが点火せず、指令破壊となった。

一方、政府内には、

「迅速だったのでは」(政府関係者) (*5)

との見方もある。

海外では1号機は失敗のリスクがあるためダミーを載せることもあるが、今回は地球観測衛星「だいち3号」を搭載したからだ。

 

 

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

「動物と触れ合うことは命のご飯」ムツゴロウさんが語っていたこと

5日“ムツゴロウさん”の愛称で人々に親しまれた畑正憲さんが、心筋梗塞で亡くなりました。動物と触れ合い続けた畑さんは生前、自身の生き方について語っていました。今回の『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、畑さんにインタビューした際の記事を掲載しています。

【追悼】ムツゴロウさん

2023年4月5日、「ムツゴロウさん」の愛称でお馴染みの作家・畑正憲さんが亡くなられました。87歳でした。

世界の秘境へ挑み、インドの泥水さえ飲み込んで、さらに獰猛な巨大動物と触れ合う。畑正憲さんの人生は、常に死ぬか生きるかの厳しい戦いと共にあったと言えるでしょう。

生きとし生けるものすべてに惜しみない愛情を注ぎ、多くの人々に生きる力を与えてくださった畑さんを偲んで、その独特の生き方の秘訣を語られた『致知』1992年7月号のインタビューをご紹介します。

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畑 「私にとってはどうも、裸になって動物と触れ合って生きるということは、自分が生きていくための命の栄養、『命のご飯』の一つのような気がしてならない」

──「命のご飯」ですか。

畑 「そう、体にご飯が必要なように、命にもご飯が要る、という気がするのです。だから、命が老いないためにも、成り上がらないためにも、悲しんだり、悩んだり、惨めになったりすることは、とても大切だと思う。

とくに日本の都会生活はいま、どこへ行っても金ピカになってしまった。大理石で固めた無機質の空間が多くなって、俗っぽく息づいている人間の命というものが、だんだん姑息(こそく)になり、ものの考え方とか感じ方が衰弱してきている。

そうすると、ヤケにいろいろなものが気になって、批判的になって、小さなことまで人に押しつけるようになるんです。

例えば、魚を釣るのは非常にかわいそうだとか、実験動物はかわいそうだ、といっている人がいるが、命が細くなってそういうことをいい始めている。切ないことだと思います。

大自然の生命、命というのは哲学とか思想というものを欲していません。思想は人間がつくったもので、共産主義が崩壊したのでわかるように、ファッションであって、どう見たっていつかは滅びる。

しかし、生命というのは何億年も続いた舞台の中で生きているものなんです。その舞台がなければ、何も反応しない、本当に俗な世界です」

──そういう俗な世界に裸で飛び込んで初めて命の尊さを知るということですか。

畑 「命は太陽の光が必要だったり、風が必要だったり、風が皮膚にどのくらい当たるかで反応してしまうのです。そうした命を持つ生き物とのつながりみたいなものに、自分の命を置くことに、私はこの上ない興味がある」

──まさに生命に触れておられるんですね。動物に接している時の先生の表情を見ると、真心こめて、誠心誠意接しているな、という感じを受けるのですが、それを厳しく超えている。

畑 「デレッとしていたら、はねつけられてしまいますからね。あふれる愛情を持っていても突っかかられて、ろっ骨を折ったという話もあります。分析力を持って、相手からの情報とこちらからの情報と柔軟に受け渡ししながら対応していかなければならない。

片時も油断できないのです。ちょうど、赤ん坊を母親が育てるときのように、まだ、抽象能力のない丸裸の頼りないものの要求を素直に聞いて、そして、満足を与えていくというようなことだろうと思います。

──それにしても、アマゾンの秘境を平気で旅したり、インドの泥水を飲んだり、獰猛な動物と触れ合ったり、そういうことができるという基本的な秘訣は何ですか。

畑 「常に気持ちが前向きであるということです。それが非常に大切です。

ほかにもいろいろな表現があると思います。『神に感謝する』といってもいい。

私が好きなのは、『いま、自分がここに生きていることに対して感謝する』というか、『生きている』という事実に対して、自分が前向きに喜んでいるということですね。わざとでもいいから『喜んでいる』ということが秘訣です」

──ああ、「楽」ということがポイントだ、と。

畑 「はい。それでないとやっていけないですね。

アマゾンの奥地で暮らすときでも、私は日本の食べ物を一切、持っていかない。当然ながら現地のものしか食べられないわけで、それを『おいしい』と思って食べる。一度でも『まずい』と感じたらもう駄目ですね。下痢はするし、風邪はひく。命を落とす羽目にさえなります。

だから、うそでも、景気づけでもいいから、『アッ、おいしいではないか、もっと持ってこい!』と一番先にやる。

そうすると、不思議に病気にならない。

だから、常にあらゆる環境を楽しんでしまうというところに、私は、人生を生き抜く秘訣があるように思います」

 

 

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笑顔で日本を揺さぶる習近平。林外相に王毅政治局員がかけた「言葉」

米中対立の溝が深まる中、次々と中国を訪問する欧州主要国の首脳たち。その裏には、どのような思惑あるのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、各国が「中国詣で」を開始した理由を解説。さらに中国がウクライナ戦争を始め各地の紛争の調停や仲裁に乗り出している「本当の理由」を大胆予測しています。

欧州首脳の「中国詣で」で加速する日欧米の分断と習近平が見据える台湾併合

「マクロン大統領とフォンデアライデン欧州委員会委員長が北京にやってくることになった。それにショルツ首相も最近、北京にやってきたし、イタリアのメローニ首相もやってきたよ。これをどう考えるか?」

中国政府の外交の司令塔周辺から送られてきたコメントです。

全人代閉会後、一気に外交活動を活発化させた習近平国家主席ですが、そのタイミングを見計らったように、欧州各国が中国との関係修復に乗り出そうとしています。

中国も、米中対立や台湾問題、ロシアに対する対応などを理由に、欧州から厳しい批判を受けてきましたが、ロシア・ウクライナ問題に積極的に関与しようとしている姿勢、特に対話による解決を目指すことをプーチン大統領に合意させた姿勢を受け、風向きが変わってきたように思います。

中国政府としてはアメリカやカナダとの関係修復は容易には望めないと見込み、中国への経済的な依存度がまだ高い欧州各国との関係修復を狙っていると言われています。

欧米諸国とその仲間たちによる対ロ制裁を受けて、世界経済の流れが停滞する中、中国はいわゆるグローバル・サウスの国々での売り上げを伸ばしましたが、国内経済の停滞を再度成長路線に戻すには、欧州からの投資の拡大と、欧州における経済活動の活発化が欠かせないとの認識から、国際社会における対中非難のトーンを緩めるための努力を行っています。

経済的な関係の保持と拡大については、欧州側も同じようなことを望んでいるのか、“経済・貿易・資源”に的を絞って、中国との関係回復に努めようとしているように見えます。

外交ライン・そして経済閣僚間でのやり取りは行われてきたようですが、今回、マクロン大統領やフォンデアライデン委員長、そしてショルツ首相やメローニ首相という首脳級を訪中させることで、習近平国家主席や中国政府の面子を高め、協議の進展を図ろうとしているように思われます。

首脳の訪中のアジェンダを聞いたところ、一応、ウクライナ情勢についての意見交換や、中国による仲介への評価などが入ってはいるものの、協議のメインは経済、特にポスト・ウクライナの世界における世界経済の姿と思われます。

ちなみにウクライナ紛争へのコミットメントという意味では、【中国にロシアへの武器供与を思いとどまらせること】【中国が積極的に事態収拾に乗り出したことを高く評価し、欧州各国も協力の用意があること】が表明されている模様です。

特にフランスのマクロン大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻が起きた直後、自らのルートを用いて何度もプーチン大統領との直接会談を行ない、停戦協議の仲介に意欲を示していたこともあり、習近平国家主席による仲介を評価しつつ、自らもその一翼を担いたいとの思いが見え隠れしているように感じます。

とはいえ、マクロン大統領の訪中のメインアジェンダは、中国との経済・通商関係の回復と強化、レアメタルの確保といった経済問題で、それはまたフォンデアライデン委員長も、ドイツ・イタリアの首脳も同じと言えます。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

プーチンが絞めた自らの首。NATO拡大への逆ギレで日本が核攻撃の標的になる日

世界中から上がる非難の声にも聞く耳を持たずウクライナでの殺戮行為を続け、ますます孤立を深めるプーチン大統領。今月4日にはロシアと長く国境を接するフィンランドがNATO加盟を果たしましたが、世界にはこの先、どのような未来が待ち受けているのでしょうか。外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏は今回、ロシアによるベラルーシへの戦術核配備が国際社会に何をもたらすかについて考察。さらに日本のNATOへの接近が、却って戦争に巻き込まれるリスクを高める理由を解説しています。

フィンランドがNATOに正式加盟、ロシアはベラルーシへ「戦術核」配備。今後考えられる日本への影響は?

4月4日は北大西洋条約機構(NATO)にとって特別の日となった。ブリュッセルのNATO本部にフィンランドの新たな国旗が掲げられ、これでNATO加盟国が31か国になった。フィンランドのニーニスト大統領は我が国にとって歴史的な特別の日になったと表明し、今後NATO諸国と防衛や安全保障面での協力を緊密化させていくことになった。

ロシアと1,300キロに渡って国境を接するフィンランドは、これまでNATOの東方拡大を強く警戒するロシアの思惑を考慮し、NATOには加盟せず軍事的中立の立場を堅持してきた。ウクライナ侵攻以前、欧米とロシアの間にはNATOの東方拡大や戦略兵器配備など安全保障上の問題はあったものの、フィンランドはNATO加盟によってロシアを刺激し、自国の安全保障が返って脅かされることへの警戒感があった。しかし、ロシアがウクライナへ侵攻したことで状況は一変し、フィンランドは侵攻から3か月となる昨年5月、NATO加盟に向け正式に申請を行った。

申請してから1年足らずでの早期加盟となったが、これはNATOの歴史で最も早いとされる。フィンランドは今年2月、ロシアとの国境地帯にフェンスを建設する工事に着手した。今後3年から4年かけてフィンランド南東部を中心に全長200キロメートルに及ぶフェンス建設が完了するという。NATO諸国もフィンランドの正式加盟を強く歓迎し、異例のスピードでの加盟についてNATOは直面する脅威に一致団結して結束できることが証明されたと、今後ロシアに対して強い姿勢で対抗していく意気込みを示した。

自らの首を自らで絞める結果となったプーチンの皮肉

これについて、ロシアは当然のように強く反発している。ロシアのペスコフ大統領報道官は、ロシアの安全保障と国益を脅かすもので対抗措置を取ると反発し、ロシア外務省は、フィンランドは数十年にわたり国際情勢の中で堅持してきた軍事的中立を放棄したと強く非難した。

今後はもう1つのNATO加盟申請国、スウェーデンの動向が注目されるが、NATOの東方拡大に不満を抱くプーチン大統領にとっては、1,300キロも隣り合うフィンランドの加盟に強く神経を尖らせていることだろう。領土保全、領土の一体性という立場からみると、これまでロシアと隣接するNATO圏はカリーニングラードを除いて、バルト三国のラトビアとエストニア、ノルウェーのみだったが、隣接距離はフィンランドと比較すれば極めて短い。そのフィンランドがNATO圏に入ったという現実は、NATOの東方拡大を抑える強い意志を持ってきたプーチン大統領にとっては極めて皮肉なものだ。

プーチン大統領はウクライナ侵攻の目的を親ロシア派住民の保護と強調しているが、東方拡大を続けるNATO諸国を改めてけん制する思惑もあったとみられるが、フィンランドのNATO加盟によってプーチン大統領は自らの首を自らで絞める結果となった。ロシアは同盟国ベラルーシへ戦術核を配備することを既に発表しており、今後東欧地域を舞台にした睨み合いは一層激しくなるだろう。