中国&イタリアとの差別化を図れ。日本製の靴は世界でまだまだ売れる

素材も技術も決して世界に引けを取らないと言われながら、海外でのシェアをなかなか伸ばせないでいる国内革靴業界。問題の根本はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『j-fashion journal』ではファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、アパレルとの比較でその要因を解説するとともに、現状を打破する方法を考察。世界展開のカギとして、「差別化」と「マニアックな展開」を挙げています。

 

日本の靴業界の課題について

1.ヴィーガニズムへの対応

靴や鞄に加工される皮革(レザー)は、食肉の副産物でもある。したがって、ほとんどの皮革は、家畜が原料である。牛肉、羊肉、馬肉、豚肉だけを食べて、その皮を捨てるのは勿体ないので、靴や鞄という生活に役立つ商品に加工しているのだ。そして、革なめしや革靴生産の技術は、歴史的な文化であり、人類の財産とも言えるだろう。

ところが、家畜を飼育すること自体に反対し、「人間は動物から搾取せずに生きるべきだ」というヴィーガニズムという考え方が出てきた。

ベジタリアンは肉は食べないが、卵や牛乳、チーズ等は食べるのに対し、ヴィーガンは、卵や乳製品を含む全ての動物性食品を拒否し、皮革やウールの使用も否定している。

ヴィーガンの中には、単に動物性食品を食べないという人もいれば、動物の商品化や動物製品を拒否する人、畜産業が環境を破壊し持続可能ではないと考える人もいる。

現段階では、ヴィーガンの人口は決して多くはないが、私は皮革関連の業者もヴィーガンに向き合う必要があるのではないか、と考えている。

なぜなら、我々は毛皮業界の事例を知っているからだ。ヨーロッパでは、室内でイブニングドレスを着ている場合、外出する時にはその上に毛皮のコートを着るのが常識だった。もちろん、ファッション業界もその常識通りに毛皮を扱っていた。

しかし、1980年に「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」が発足してから、ファッション業界の常識は徐々に否定されるようになった。

PETAは、反毛皮運動の一環としてアメリカ、ヨーロッパの何百ものファッションショーにメンバーを送り込み、ランウェイに赤い塗料を投げ込み、ランウェイで毛皮反対のメッセージが書かれたバナーを広げたのである。また、セレブやスーパーモデルは裸でポーズを取り「毛皮を着るぐらいなら裸になる」(I’d Rather Go Naked than Wear Fur)キャンペーンを展開した。

こうしたキャンペーンは着実に成果を上げた。ファッションデザイナーやブランド企業が次々と毛皮を使わないことを宣言し、それがトレンドにもなったのである。

同じことが皮革業界に起こらないという保証はない。その前に、自らヴィーガン対策を行うべきだと思うのだ。

2.海外展示会への出展は有効か

日本のメーカーが考えていること。自社の技術レベルは高いはずだ。自社のことが海外には知られていない。海外の展示会に出て、取引先に知ってもらえば仕事が来るのではないか。

そう考えて、海外の展示会に出展する。多くの場合、「素晴らしいですね」と褒められる。しかし、具体的な商談になると、「価格が合わない」と言われる。更には納期が合わない、生産能力が足りない等の理由で本格的な受注には至らない。試験的な発注があれば良い方だ。それでも、補助金で出展しているので困らない。海外の展示会に出展したことで、国内の商談に有利になればいいと思っていることが多い。

例えば、アパレルや靴の場合は、体型や足型が日本人と欧米人は大きく異なる。タオル等では、製品サイズの規格が日本とは異なる。

気候風土も異なれば、人種も宗教も異なる。売れるデザインもカラーも異なるのだ。

欧米のメーカーが日本市場に参入する場合、最低でも3年程度はリサーチを行う。そして、日本の商慣習、日本市場の規模や特性、業界の規模や競合他社の状況等を詳細に調べ上げるのである。

そして、可能性があれば、現地法人、つまり日本に法人を設立し、日本人をスカウトする。それで初めて、市場に参入できるのだ。

最初に見本市や展示会に出展し、それが契機となってビジネスで成功する例はほとんどない。なぜなら、輸入品を扱う日本の専門店等は世界中をリサーチしているし、売れそうだと思えば、広く知れ渡らないうちに、自分から先方のメーカーに交渉に行く。

見本市や展示会に出展するということは、広く情報を公開することに等しい。小売店のバイヤーにすれば、誰もがアクセスできる情報には価値がないと考えるのだ。

したがって、トランクに見本をつめて、直接、飛び込みで営業をかける方がはるかに効果的である。

 

会社からの「コロナ自粛」要請を拒否。社員を解雇することは可能か?

規定回数のワクチン接種を終えていても、感染自体は防げないとされる新型コロナウイルス。そのような状況の中、会社サイドからの要請を無視する形で感染リスクの高い行動を改めない社員に対しては、どのような対応を取ることができるのでしょうか。今回の無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では社会保険労務士の飯田弘和さんが、そんな社員に対する「企業が不利益を被らない対処法」をレクチャーしています。

プライベート上の行動への制限について

接客業を営む事業主さんから、こんな質問を受けました。

「プライベートでコロナ感染リスクの高い行動をとる従業員に対して、コロナが落ち着くまで控えるようお願いしたが、応じられないと拒否された。どうすればよいか」

事業主としては、とても悩ましい問題だと思います。特に、接客業という事であれば、自宅でのテレワークも難しいでしょう。かといって、その従業員がコロナに感染していた場合、他の従業員やお客様に感染が拡大しかねません。その従業員が、しばらくの間、感染リスクの高い行動を自ら控えてくれれば、それが一番良いのですが…

プライベート上の行動を事業主が制限することは難しいでしょう。事業主の名誉や評判を著しく貶める蓋然性が相当高い場合でなければ、従業員のプライベート上の行動に対して、指示や命令をすることはできません。そうなると、事業主の対応としては、かなり限られたものになります。

対応策の1つとして、その従業員を休業させることが考えられます。ただし、この場合には、労基法26条に定められた“休業手当”の支払いが必要になります。休業手当の金額は、労基法で「平均賃金の60%以上」とされています。ですから、事業主の都合で従業員を休ませた場合でも、平均賃金の60%を支払えば労基法違反とはなりません。しかし、民事的には、労働者には100%の賃金請求権があるので、必ずしも、休業手当を支払ったから問題がないとは言い切れません。

では、その労働者に辞めてもらうのはどうでしょう。辞めてもらうには、“解雇”の他に“退職勧奨”が考えられます。解雇を行うのであれば、労基法によって、その労働者に対して解雇の30日前に通知するか、あるいは、その不足の日数に対して“解雇予告手当”という金銭を支払わなければなりません。ただし、これとは別に、解雇の理由が事業主の“権利の濫用”に該当しないかどうかが問題とされ、それ相応の理由がない解雇は民事的に“無効”となりかねません。

ですから、できれば、退職勧奨を行って、合意退職を目指すのが良いでしょう。この場合には、退職のための条件交渉において、可能な範囲で、労働者の意向を汲んであげることが、退職をスムーズに進めるコツです。そして、退職の合意ができたのであれば、退職条件等の記された“退職合意書”を交わしておくことが、後々の紛争を防ぐ意味で重要です。

ちなみに、先ほどの休業について、もし、その従業員がコロナに感染した場合には、当然に保健所から外出禁止等の指示が出るでしょうし、その従業員を休ませても“事業主の都合による休業”とは扱われません。ですから、休業手当の支払いは不要であり、無給で構いません。ただ、もし、その従業員が健康保険の被保険者であるならば、“傷病手当金”を受給できる場合があります。傷病手当金の詳細は、協会けんぽや各健保組合にお問い合わせください。

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ワークマンのPB商品は高くても売れる。決め手はハイスペックとデザイン性にあり

作業服の専門店として産声を上げながら、ユニークな戦略で一般女性客からの支持も得て順調に成長を遂げるワークマンが、新たな勝負に打って出たようです。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』では著者でMBAホルダーの理央 周さんが、ワークマンがプライベートブランドに加えると発表した、3つの高価格帯ラインナップを紹介。さらに同社がこれらのラインを売り出す際に実践する「マーケティング・ミックス」という手法を、プロの目線で解説しています。

 

なぜ、ワークマンは高価格帯のプライベートブランドを出すのか?

ワークマンの業績が好調です。中でも、プライベートブランド(PB)が好評です。

株式会社ワークマンが5月に発表した、「2021年3月期の決算短信」では、ワークマンのPB商品の、チェーン全店売上高での構成比は59.7%で、昨年同期比で、8.3ポイント増えています。この勢いを受けて、さらにまた新しい、PBのラインナップを出すことが話題になっています。

2020年から作業者向けに展開している、「PRO CORE(プロコア)」シリーズという、作業員の方向けのPBがあります。ワークマンらしい、シンプルなデザインが特徴です。このプロコアシリーズに新しく、

「ブラストデニム」
「スーパーストレッチ」
「ブラックエディション」

という、3つのラインを発売する、と発表しました。ホームページを見てみると、これまでの作業着のイメージとは、まったく異なっていて、ZARAのようなデザインに特徴があるショップのアパレル製品のようです。

ブラストデニムは、文字通りジーンズ素材の上下で、コンセプトは「デニムファン向けの主流のStylish作業服」とあります。

また、スーパーストレッチは、文字通り「伸びる」のが特徴で、伸縮性が従来のものよりも、150%プラスになっているそうです。こちらもデザインがシンプルでかっこよく、GAPで売っていそうなイメージです。

この3つの中でも、「ブラックエディション」が特徴的です。もともと機能性や使いやすさにこだわったラインナップです。なかでも私が注目したのは、その価格帯です。ジャンパーが4,900円、カーゴパンツを3,900円に設定されていて、これまでのワークマンが展開してきた、PB商品の価格帯である、1,900から2,900円と比べると、かなり高めの価格設定にしています。

もちろん、単に価格を高くしたのみでなく、膝や肘に蛇腹構造が入っていて折り曲げやすくなっていたり、作業の時に使うハーネスという金属製のフックをかけるパーツをつけたりと、機能性を充実させた上での、価格設定です。

これまでのワークマン製品より高いとしても、同じカテゴリーの他社製品に比べると、相対的には価格を抑えた形になっています。

ただ、これまでのワークマンファンから見ると、「高くなったな」という認識をされるでしょう。そんな中で、付加価値をどう見せていくのか、というのが売れるかどうかの分かれ目になります。

 

総選挙後の“ブタ箱送り”を恐れる安倍晋三氏。「森友」焦点の総裁選で自己保身に奔走、岸田氏を恫喝し高市早苗を支援する前首相の末路は哀れ塀の中か?

自民党総裁選に立候補を表明している岸田文雄前政調会長は6日、インターネット番組に出演し、学校法人「森友学園」の国有地売却問題に言及。「再調査をするとか、そういうことを申し上げているものではない」と述べ、再調査は必要ないとの考えを強調した。いきなりの方針転換となった発言だが、その裏には総裁選で支援をチラつかせる安倍晋三前首相の存在があるようだ。

背景に安倍氏の“恫喝”、岸田氏が森友問題の再調査を否定

岸田氏は2日に出演したTBSのBS番組の中で、学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる公文書改ざん問題について、「調査が十分かどうかは国民が判断する話だ。国民が足りないと言っているので、さらなる説明をしなければならない課題だ」と述べていた。

また、菅義偉首相が否定している再調査については、「国民が納得するまで努力をすることは大事だ」とも語り、再調査の必要性を説いていた。しかし、今回の発言はそれをトーンダウンさせた形となり、そうせざるを得ない何らかの事情があったことが推察される。

というのも、岸田氏が森友学園に対して説明が必要だと発言した直後、安倍氏が立候補に意欲を見せる高市早苗前総務相の支援を決断。岸田氏にとって大きな痛手となった。

安倍氏にとってみれば、野党から引き続き森友学園問題を追及されることは明白で、とにかくダメージを少なくし、早く打ち消したい思惑がある。にもかかわらず、岸田氏が再調査に意欲を見せることで、問題を掘り起こされてしまっては困るのだ。

「安倍氏の悪事を暴いて牢屋に入れよう」高まる機運

なぜ、安倍氏はそこまで躍起になっているのか。そこには事の展開次第によっては、モリカケ問題をきっかけに安倍氏の逮捕に繋がる恐れがあるからだ。

「Windows95を設計した日本人」として知られる米シアトル在住の世界的エンジニアで、メルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者である中島聡さんは「自民の悪事を暴いて牢屋に入れよう」衆院選で政権交代が実現する唯一の公約の中で、モリカケ問題や政権とパソナの癒着など、安倍政権が行ってきた悪事を白日の元に晒すことで、悪徳政治家を政界から一掃できると指摘。

また、日本経済が弱くなった根本原因は自民党の「利権政治」にあると分析し、「安倍晋三の悪事を暴いて牢屋に入れる」ことが、日本経済が長期低迷から脱却するために必要不可欠であると説いている。

この記事は瞬く間に拡散され、SNSで約1万ものシェアを獲得。ネットでは「まさにその通り」「自民党の好き勝手は許されない」「野党が公約にすれば勝てる」など共感する声があがっている。

【関連】「自民の悪事を暴いて牢屋に入れよう」衆院選で政権交代が実現する唯一の公約

逮捕回避を狙い“炎上確実”の高市早苗氏を支援か

だが、安倍氏が支援するとした高市氏もさまざまな疑惑だらけ。もし、首相にでもなればサンドバッグ状態になることは目に見えている。

たとえば、高市氏は超タカ派として知られているが、過去にナチス礼賛本に推薦文を寄せた件や、ネオナチ団体代表とツーショット写真を撮っていたことなどが早速蒸し返されている。

総務相時代の2016年には衆院予算委員会で「政権批判メディアには停波の可能性がある」ととんでもない問題発言。こちらは、米・国務省の人権報告書で「報道の自由に関する懸念がある」として取り上げられるほどの大騒動となった。

また、2012年に行われた議員連盟の研修会では、当時クローズアップされていた生活保護不正受給に絡めて行ったとされる「さもしい顔して貰えるものは貰おう。弱者のフリをして少しでも得しよう。そんな国民ばかりでは日本国は滅びてしまいます」と発言。ネット上からは「こんな発言する人が総理候補ってありえない」「これが彼女の本性」「さすが安倍の後継らしい」など、批判の声があがっている。

しかし、安倍氏にとって高市氏は自分の立場を優位にするコマにしかすぎない。高市氏を使って自らが総裁選のキングメーカーとなって勝ち馬を作り、新総裁に影響力を持とうとしているのだ。

岸田氏を揺さぶることで「細田派をまとめてあなたを支援するよ」というメッセージを送り、岸田氏が思い通りに操れるとみれば、一気に岸田氏の支援に回るものとみられる。

【関連】五輪も市長選も大失敗。菅義偉首相「最悪の退陣劇」を招いた7つの誤算

総裁選の結果によっては自身の逮捕にまで直結しかねない安倍氏。それゆえ裏で繊細な駆け引きをし、存在感を示している。

さまざまな思惑がうごめく永田町。9月17日告示、29日投開票の間にまだまだ大きな動きがありそうだ。

中国の「日本街」わずか2週間で閉鎖の怪。海外紙はどう報じているか?

中国東北部の遼寧省大連市にある日本の京都の街並みを模したテーマパークが、8月25日の開業からわずか2週間足らずで閉鎖されました。「日本の文化侵略だ」との批判を受けたことが影響していると日本では報じられていましたが、海外では今回の閉鎖をどのように報じているのでしょうか? 今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、香港の英字紙による報道を翻訳して内容を伝えるとともに、同香港紙が伝えるロシアの北方領土「非課税ゾーン」設置に関するニュースも日本語に訳して分かりやすく紹介しています。

 

 

中国で日本テーマパークが閉鎖

中国の大連市にある日本をテーマにした超大規模な文化・住宅プロジェクト「唐小京都」が、開業後、わずか2週間で閉鎖されました。

その模様を香港サウスチャイナモーニングポストは以下のように伝えています。

京都の町並みを再現した大連市の「唐小京都」プロジェクトは、2週間前にオープンしコロナウイルスによる渡航制限が続いている国内の観光客に人気を博していた。

このプロジェクトのショッピングエリアは、京都の観光名所である清水寺の二年坂と三年坂を模している。家電量販店をはじめ、北海道や広島の物産店、日本料理店などが出店している。

2019年に60億元(9億2,800万米ドル)をかけて建設を開始し、2024年の完成を目指している60万平方メートルの複合施設の一部である。

主導する大連樹園集団は大連市から一時的に操業を停止するよう指示を受けたという。

中国のオンラインコミュニティからは、日本文化の「侵略」であるとの批判も寄せられていた。また大勢の人が集まることによるコロナウイルスへの懸念を指摘する政府関係者のコメントもあった。

日本側のパートナー企業である株式会社 JPMのホームページによると、

「本開発プロジェクトは最終的に50万平方メートルの敷地に1000戸の住宅別荘、100の商業店舗が混在する和風の街並みになります。」

「各住宅にも小商いができるスペースがあらかじめ組み込まれていて、家主は自分の販売戦略、趣味などを考慮して、商店、土産物店、茶房、喫茶店、居酒屋、各種趣味の店、工房等を開くことができるように設計されています。」

「路地に面する住宅兼小商いの商店は、小京都にさらなる活気と賑わいと与えつつ、凛とした雰囲気を醸し出し、まるで京都に来たような錯覚を覚えることでしょう。」

完成すれば今までにない日本のテーマパークになりそうです。

今回の閉鎖はあくまで一時的なものとの事ですが、「中国のオンラインコミュニティーが文化侵略であると騒いでいる」との報道は気になります。中国共産党も自らの存在基盤としての反日イデオロギーと経済利益のバランスをとりながら進めているという事でしょう。

 

 

五輪も市長選も大失敗。菅義偉首相「最悪の退陣劇」を招いた7つの誤算

先日掲載の「菅首相が辞任の意向。GoTo復活、酒提供容認でも批判殺到で万策尽きた?」でもお伝えしたとおり、9月3日、突如首相辞任の意向を発表した菅義偉氏。ギリギリまで自らの延命策を模索していた首相がまさに「電撃退陣」を決意するに至った背景には、どのような事情があるのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、その裏に「7つの誤算」があったとして、各々について詳しく解説。一連の菅氏の動きを「史上最悪の退陣劇」と強く批判しつつ、現役首相が総裁選不出馬という道を選ばざるを得なかった理由を推測しています。

【関連】「菅では無理」見切りをつけた二階幹事長が石破を担ぐ自民のカオス

 

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年9月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

オロオロ、ジタバタ、コロコロの挙句にプッツン/7つの誤算が重なった末の菅義偉首相の頓死

先週の本誌は「菅義偉政権の終わりが『見えてきた』」と題し「菅プッツン」の可能性があることを指摘したが、まさにそのようになってしまった。

【関連】「菅では無理」見切りをつけた二階幹事長が石破を担ぐ自民のカオス

それにしても、政権末期の首相がこれほどまでにオロオロ、ジタバタ、コロコロを繰り返した挙句にプッツンしてすべてを投げ出してしまうという醜態を演じた例はなく、まさに史上最悪の退陣劇となった。もちろん菅自身の素質が何より問題であるけれども、こういう人物を1年前にほぼ満場一致の無競争でリーダーに選んでおきながらそれを支えられなかった自民党の劣化、それを含めてこの国の衰弱ぶりは目を覆いたくなるほどである。

横浜市長選での惨敗で弱気に

本誌が繰り返し指摘してきたように、菅の希望的観測に頼った総裁再選戦略は、五輪さえ始まってしまえば人々はコロナ禍も忘れて金メダルに夢中になり、内閣支持率も上向きに転じるので、それを背景に無投票再選、その勢いで衆院選も自民党が単独過半数を割らない程度の敗北で乗り越えられれば長期政権への道も開かれるだろう……というものだった。

ところがこの「GoTo五輪」作戦は大失敗で、直前に改めて緊急事態宣言・蔓延防止措置を発布・延長してもなおコロナ感染は燃え盛り、医療逼迫が各所で始まるという最悪事態となり、人々は五輪を楽しむどころではなかった《誤算その1》。

そこを何とか挽回しながら月末に向けていい流れを作りたいと思ったのだろう、菅は8月8日告示・22日投開票の横浜市長選に着目した。周知のように、菅政権になってからの重要選挙で自民党は負け続けており、とりわけ今年4月の衆参3補選での全敗と7月都議選での敗北は大きな打撃となった。それに対して横浜はそもそも自分の地元で、市議時代から「陰の市長」と呼ばれたほどの地盤を築き、現市議の中に自分の元秘書が5人もいるし、経済界との繋がりも深い。しかも立候補するのは兄弟のような関係にある小此木八郎=前国家公安委員長で、小此木自身も父=彦三郎の時代から横浜に強固な地盤を持つ。そこへ総理大臣である自分が全面支援に入れば勝つに決まっていて、そこで「選挙に弱い菅」という悪評は断ち切れるだろうと踏んだ。

1つの懸念は、どういう訳か小此木が「IR反対」を掲げて立候補したことで、「IR誘致」の張本人である菅が応援するのは辻褄が合わない。しかしそこは彼のいつもの「争点隠し」の手法で、聞かれて困るようなことには触れない、仮に聞かれても答えないということで押し通そうということだったのだろう。しかしこれは完全に裏目に出て、小此木の「IR反対」は嘘でもし当選すればコロリと賛成に変わるに決まっているという相手陣営からの攻撃をかわすことができず、それが大惨敗の一因となった《誤算その2》。

【関連】仁義を欠いた菅首相の自業自得。横浜市長選で最側近が落選の大誤算

衝撃的なことに、小此木票の出方を見ると、菅の衆議院選挙区である同市の西、南、港南の3区合計で自分が落選しかねないほどの劣勢で、自民党神奈川県連内でも「菅では総選挙は闘えない」という空気が広がった。菅周辺によると、そこから彼は急に弱気になり、「俺って、人気がないんだ」と呟くなど、オロオロし始めたという。

 

ミュー株の脅威で終わらないコロナ禍。いま日本が検討すべき6つの対策

先進国でのワクチン接種率は上昇してはいるものの次々と変異株が現れるなど、一向に収束が見通せないコロナ禍。このような現状にあって、我が国はこれから先、いかなる考え方を持ちどの方向へ進んでゆくべきなのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者で日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、「構築すべきはウィズコロナ社会」とした上で、そのために検討すべき6つの対策を提示。さらに自民党総裁選の行方についても解説しています。

 

ウィズコロナ社会の構築

何人かの総裁候補の政策が出てくるが、一番の争点はウィズコロナ対策である。

ウィズコロナ対策には、有事法の体系を作るしかない。ロックダウンができることやCDCを作ること、医療機関に命令できる権限を知事に付与するなど、国民の生命を守る法体系にするべきである。

もう1つが、有事法で、ロックダウンなどの有事の給付はチェックなしで行い、後で返還を迫る法体系にする。勿論デジタル化で、チェックできるようにした方が良いが、それができなくともすぐに給付することである。法体系を有事法体系と平時法体系とに分けるべきである。自衛隊法も有事と平時を分けるべきである。

2番目の争点は、経済政策や成長戦略である。ウィズコロナでの経済体系を前提にした施策が必要であり、コロナ禍でコト消費からモノ消費に消費が世界的に転換している。

中国はサービス業に大きな制約をかけて、モノ消費に戻し始めている。米国もコロナ禍が長引き、サービス業の雇用が減少している。

そのため、IT産業(特にEC、ゲームなど)や製造業(特に半導体、自動車)は活況であり、コト消費からモノ消費にシフトしてきている。この傾向は、当分続くと思う。このため、アベノミクスのような金融緩和だけでは、経済規模は大きくならない。

製造業では、日本企業は海外に工場を展開したが、そこでコロナ禍になると、ワクチンなどの対応ができずに、長期間のロックダウンになるので、ワクチン対応などがスムーズな国内回帰や先進国展開を必要としている。

製造業の復活で、素材や海運なども活況になり、一時的に昔に戻ったような経済になっている。日本企業の復活のチャンスでもあるので、政府は産業政策を作り、その上で研究開発費支援を行うべきである。

それと、中国の有能な技術人材引き抜きをどう止めるかである。有能ではない技術人材の引き抜きは止めないことも必要である。有能な人材をどう判定し、優遇措置を取るかが重要な視点になる。その他には、ハッカー対策、スパイ対策も必要になる。要するに、経済安保法制の整備が必要である。

ミュー株でベルギーでは、2回ワクチン接種した人も多数死んでいるようであり、変異種の影響で今後とも数年の間、コロナ禍を抜け出せない。WHO(世界保健機関)もミュー株を「注目すべき変異株」に分類し、警戒を強めているが、ワクチンの「死亡予防効果」を減退させる恐れが出てきている。ということで、コロナ禍は当分続くとみて、経済政策を構築するべきなのである。

3番目は、高齢化少子化対策である。製造業を日本に回帰させると、その労働力が不足することになる。今までは移民を入れずに、工場を発展途上国に持っていき、労働力不足を回避してきたが、今後は、逆に日本に移民してもらい、労働力不足をカバーするしかない。

このためには、難民もある程度入れるしかない。特にアジア圏の難民を受け入れていくことが必要になる。欧州は中東やアフリカの難民を入れている。米国は中南米からの難民を入れている。日本はアジアからの難民を受け入れるしかないはずで、国際会議で日本の責任が問われかねない。

 

なぜ不動産業界にはデジタル化に踏み切れない企業が多いのか?

どの業界でもデジタル化が急速に進む昨今、不動産業界にもデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業が増えてきています。しかし、根強いアナログ文化を持つこの業界では、なかなか導入に踏み切れない側面もあるようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者の廣田信子さんが、不動産業界におけるDX化について企業がどのように感じているかについて詳しく紹介しています。

不動産業界のDX化がマンション管理に大きな影響を

こんにちは!廣田信子です。

コロナ禍の影響が大きく、不動産業界のDX化が大きな話題となっています。DXにつては、過去に書いています。

【関連】なぜ「デジタルトランスフォーメーション」の略は「DX」なの? 

不動産業界にいる知人が、業界が面している今の状況と対応の不手際を深刻な面持ちで話していました。不動産業界は、大きく変わらざるを得ない現実を感じつつ、しかし、どう変わっていいのか手探り状態なのだと思います。

「不動産業界におけるDX推進状況」(2021年7月16日まとめ・対象237社)によると、DXを推進している企業は90%以上となり、前年2020年の1.5倍となっています。

DX導入の目的(複数回答可)は、

  1. 業務効率化  85.2%
  2. 集客率アップ 40.1%
  3. 成約率アップ 32.5%

となっています。

そして、導入で苦労している点を聞くと、

  1. DX導入人材が確保できない            45.7%
  2. 費用が高いもしくは予算がない          42.5%
  3. 何から取り組むべきか又は導入ツールが分からない 29.2%
  4. 社内の体制整備含めて導入プロセスが分からない  24.7%
  5. 経営者の理解が得られない            14.2%

となっています。人材にも費用にも苦労し、何から始めていいかわからない状況が見えます。

DX化の費やす予算は、

  1. 50万円以下      33%
  2. 100万円超300万円以下 19%
  3. 50万円超100万円以下  16%
  4. 1,000万円以上     18%

となっていて、50万円以下が1/3なのに、1,000万円以上が2割という状況です。

本格的にDX化を図っている企業と、まだ、何をしていいかわからないでいる企業に2極化していく姿が見えます。

そして、不動産販売におけるDX化の推進状況が、間違いなくマンション管理業界にも大きな影響を与えるはずです。「売る」時代から「しっかり機能を高めながら住環境を守る」時代になっていくはずです。管理の付き合いは長いのです。

企業によってばらばらな、マンション管理業界のDX化に対する状況が、いずれDX化の2極化につながるのか気になるところです。DX化の問題もマンション管理業界にとって、今後重要な課題となっていくと思われます。

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秋に増える咳やくしゃみ。鍼灸師が教える「呼吸器症状」の予防法

猛暑日が続いたかと思うと雨が連続して肌寒くなるなど、気温差が激しかった今年の夏。どこが季節の変わり目かわかりにくさもありますが、秋は着実に近づいているようです。メルマガ『鍼灸師・のぶ先生の「カラダ暦♪」』著者で鍼灸師ののぶ先生がこの季節に注意を促すのは、咳やくしゃみなどの「呼吸器症状」を発しやすくなること。微熱まで出てしまうとコロナを疑うことにもなるので、保湿と運動での予防法を教えてくれました。

秋の「呼吸器症状」にご用心

【立春から210日目】

暦では立春から数えて210日目を迎えると、ぼちぼちと台風シーズンといわれています。ことしはそんな「二百十日」が8月31日。今年は台風がちょっと早めから日本列島を襲ってきています。台風は秋の兆し。ぼちぼち人のカラダも秋モードに切り替わるかな。

【秋の走りは呼吸器症状】

昨今、流行りの感染症が煩わしいです。というのも、秋口を迎えると人のカラダは夏の息抜きをして、涼しい秋に備えて体を引き締め始める。体内の換気と体幹部の引き締め運動のために、咳やくしゃみなどの呼吸器症状を発しやすくなるわけです。

加えて、秋の涼しい風を感じるカラダは、数日間の微熱程度の発熱などを呈しやすい。こんなわけで、今年の秋は流行りの感染症を疑いたくなるような、ちょっとややこしい秋口を迎えることになりそうです。

【涼しくなる前から保湿と運動】

秋の涼しい風が吹き始め、台風が頻繁に到来すると、呼吸器症状が気になります。そんな呼吸器症状を予防するためにも、肌の保湿と適度な運動は必要。

目の乾燥や鼻づまり、口の中が乾く人は、顔の化粧水保湿と適度な水分補給が必要です。とくにおなかを温めるような白湯などの温かいものでの水分補給をすることで、体温と血流を高めて肌や呼吸器粘膜を潤すことがかないます。

また、夏の間だらけて緩んでいた体幹部を適度な運動でキュキュッと引き締めておけると、咳症状を予防することができます。外気が涼しくなり始めたら、そんな時間帯に腕をブンブン振りながらの大股ウォーキングができるといいですね。

肩や股関節を意識的に動かすことで、体幹部の運動がかないます。秋の陽気を感じ始めるころ。ぼちぼち体調の調整が必要な頃ですね。

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失敗や怒られるのが怖い人へ。公認心理師が勧める「無理への挑戦」とは

誰もが失敗は怖いもの。ただ、さまざまな失敗をすることで対処法やリカバーする方法を習得し成長していくものです。それが、絶対に失敗しない道ばかりを選んで生きてきたとしたら、新たな環境に身を置いたときに「失敗が怖くて辛すぎる」という悩みが生じるようです。そんな読者の相談に答えるのは、メルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』著者で公認心理師の永藤かおるさん。永藤さん自身が失敗を忌避していた時期があり、そんな考え方を「衝撃的に変えられた」体験を伝え、大人になったからこそできる「挑戦」をお勧めしています。

ちょっと御相談がありまして:「失敗が怖すぎてつらい」

皆様からお寄せいただいたご相談や質問にお答えしたり、一緒に考えたりしていきます。

Question

shitumon

子どもの頃から、ネガティブ思考ばかりしてしまいます。常に「失敗したらどうしよう」「間違えたらどうしよう」「怒られるんじゃないか」「嫌われるんじゃないか」ばかり考えてしまい、とても疲れます。

両親ともにとても慎重な性格で、自分はひとりっ子ということもあり、とても大切に育ててもらったと思います。転びそうなときや勉強についていけなくなりそうなとき、いつも助けてもらった記憶があります。

多分、私は大きな失敗や挫折をしたことがないんだと思います。高校受験も合格圏内の私大の付属校を選んだし、大学は内部試験で入学しました。就職でもさほど苦労もせず、伯父が役員をしている会社に入りました。

今考えれば、本当は行ってみたい高校や大学もあったのに、身の丈に合わない挑戦をして失敗するのが恐怖だったからだと思います。部活も、本当はマンガを読んで憧れたバスケ部に入りたかったのですが、下手だと言われたり、コーチや先輩に怒られたりするのが怖くて、体験入部すらしませんでした。

今いる会社で、役員だった伯父は退職し、特に後ろ盾はありません。そして、人事異動で、ちょっと怖い上司の下につくことになりました。ほかの人はその上司のことはそんなに嫌がっていなさそうですが、私は怖いのです。このままの気持ちでいることがとてもつらいです。

【永藤より愛をこめて】

そうですかそうですか。おつらいですね。とても客観的にご自身を捉えた、冷静な文章をお書きになる方だとお見受けしました。「多分、私は大きな失敗や挫折をしたことがないんだと思います」というのが、一番端的にご本人のことを表していらっしゃる、そしてその経験がないまま大人になり、そして今、それが恐怖の対象になってしまっているのでしょう。

普通、なにかのトレーニングや練習や修行であれば、「スモールステップから始めましょう」ということで、そのチャレンジの第一歩を踏み出すのですが、あなたの場合、その上司に「ちょっと嫌われてみる」とか、「ちょっと怒られてみる」とか、「ちょっと仕事を間違えてみる」とかって、まったく意味がないことだと思うのです。それにそんなことわざわざしたくないですよね。