焦り隠せぬ安倍晋三元首相。掴みどころのない岸田首相に抱く不安の中身

総理の座を退いてもなお影響力を行使し続けたい安倍晋三氏にとって、岸田首相の「したたかさ」は想定外だったようです。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、「安倍離れ」を進めているかのような岸田首相の動きと、そうした出方に焦りを隠せない安倍氏の言動を紹介。さらに二人の微妙な関係性と、安倍氏が岸田政権を支えていく姿勢を変えられない理由を解説しています。

 

岸田首相の意外なしたたかさに焦る安倍晋三氏

久しぶりの衆議院予算委員会。国会がようやく動き出した。岸田首相にとっては、初陣だ。

野党の論客が手ぐすねひいて待ち構えるなか、岸田首相は質問のトップバッター、高市早苗政調会長とはかり、懸案の10万円給付について、クーポン抜きの現金一括給付も認めると言明した。

ブレまくった挙句、本格論戦を前にした方針転換。良く言えば柔軟、悪く言えば頼りない。いずれにせよ、前途多難を感じさせた。

が、この10年近く見続けてきた強行一辺倒の政権よりはマシかもしれない。

5万円を現金、あとの5万円はクーポンということになれば、1,000億円近い事務経費が余計にかかることが、野党議員の指摘で判明。各自治体からも現金一括給付を望む声が続出した。その状況を無視できなかったということ。そしてなにより、岸田首相自身、この政策に納得していなかったのではないだろうか。

誤りを正すことなく、反対意見をむりやり押さえつけ、屁理屈とウソとごまかしで国会を切り抜けてきたのが、アベ・スガ政権だった。そんなやり方と決別したと考えれば少々のことは我慢しよう。

たとえ、野党の追及をかわすため先手を打ったに過ぎないとしても、自治体の混乱は避けられないとしても、愚策を通すよりはいいに決まっている。

安倍元首相の傀儡ではない。岸田首相が世間にアピールしたいのはそこだろう。その意味で、安倍氏の意に沿わぬのを承知で林芳正氏を外務大臣にしたのは効果的だった。

新型コロナ対策でも違いを鮮明にした。11月29日。オミクロン株をめぐる首相官邸でのこの発言。

「外国人の入国について、11月30日午前0時より全世界を対象に禁止する」「状況がわからないのに、岸田は慎重すぎるという批判については、私が全て負う覚悟でやっていく」。

アベ・スガ政権を反面教師とした水際対策の徹底である。しかも、批判に対しては「責任を負う」とはっきり言った。これには「おっ」と驚いた人も多いのではないか。

むろん、国際航空便の新規予約の停止をめぐって混乱を招いたのはお粗末だったが、新型コロナ感染が沈静している幸運も手伝って、さしたる失点はついていない。

現に、内閣支持率は上昇傾向だ。最初の期待が大きくなかったがゆえの有利性がある。

“キングメーカー”というより、実質的なキングとして君臨したい安倍氏は内心、面白くないだろう。岸田政権が崩れるのも困るが、あまり自信をつけられると、もっと困る。とにかく、自分が一番でないと満足できないのだ。

安倍氏の想像とは異なり、首相としての岸田氏は思い通りにならない人だった。首相に就任すると、安倍政権の看板政策だった「一億総活躍」「働き方改革」「人生100年時代構想」など引き継ぐ価値がないとばかりに、それらの推進室を廃止した。

辞任した甘利明前幹事長の後任には、「平成研究会」(旧竹下派)の茂木敏充氏を充てた。そこに、平成研と麻生派を味方にしたい岸田氏の思惑がのぞく。

 

安倍政権の残滓か。新潟のドン裏金騒動の背景に見えた河井夫妻事件の影

先日掲載の「新潟のドン『裏金2~3千万撒け』で露呈した自民党“金権選挙”のウラ実態」等の記事でもお伝えしたとおり、泉田裕彦衆院議員と星野伊佐夫新潟県議の当人同士のみならず、支援者を巻き込んだ応酬合戦が続く新潟の裏金騒動。両者の言い分は未だ平行線を辿ったままですが、識者はこの「事件」をどう見ているのでしょうか。今回のメルマガ『権力と戦う弁護士・郷原信郎の“長いものには巻かれない生き方”』では元検事で弁護士の郷原信郎さんが、専門家の目線で泉田氏が公開した録音記録の内容を検証。さらに郷原さんは、そこに見えた河井夫妻選挙違反事件の思わぬ影響についても指摘しています。

【関連】新潟のドン「裏金2~3千万撒け」で露呈した自民党“金権選挙”のウラ実態
【関連】泉田裕彦議員が地元県議との面会でレコーダーを用意していたワケ

 

プロフィール:郷原信郎(ごうはら・のぶお)1955年島根県松江市生まれ。1977年東京大学理学部卒業。鉱山会社に地質技術者として就職後、1年半で退職、独学で司法試験受験、25歳で合格。1983年検事任官。2005年桐蔭横浜大学に派遣され法科大学院教授、この頃から、組織のコンプライアンス論、企業不祥事の研究に取り組む。2006年検事退官。2008年郷原総合法律事務所開設。2009年総務省顧問・コンプライアンス室長。2012年 関西大学特任教授。2017年横浜市コンプライアンス顧問。コンプライアンス関係、検察関係の著書多数。

泉田・星野両氏の「裏金」バトル、背景に「河井夫妻事件」の影響か

今年10月31日に投開票が行われた衆議院議員選挙をめぐって、小選挙区(新潟5区)に立候補して落選し、比例復活した自民党の泉田裕彦衆院議員が、同党の星野伊佐夫・新潟県議から2,000万~3,000万円の裏金を要求されたと告発した。

それに対して、星野県議が反論会見を開いて疑惑を否定し、泉田議員は星野県議の自宅で録音したという音声のやり取りを公開した。

しかし、これについても、事実関係をめぐって両氏の主張は真っ向から対立している。

そして、自民党長岡支部が、新潟5区支部長を泉田氏から差し替えるよう県連に申し入れを行うなど対立が深まり、バトルの様相を呈している。

この問題については、泉田氏が「裏金要求があったこと」を公にした時点で、YouTube《郷原信郎の「日本の権力を斬る」》で「【自民党泉田裕彦議員が暴露した「新潟県議の裏金要求」は、今なお続く“自民党選挙の実態”なのか?】」と題して取り上げ、自民党的な不透明な選挙資金の流れの問題が背景にある可能性を指摘した。

その後、泉田氏と星野氏の会談の記録が記者会見で公表され、具体的なやり取りが明らかになったが、一般公開されているのは泉田氏が文字起こしして「解説」を加えたものであり、そこには、星野氏の「手振り身振り」なども含まれている。

生の記録を確認しなければ、両氏の論争について法的判断を加えることはできない。

しかし、両氏の間でこのような争いが行ったことの背景に、元法務大臣の多額現金買収事件として社会に衝撃を与えた河井夫妻事件が影響していることは、泉田氏が「広島の事件」に言及したことからも明らかだ。

私は、検察捜査が本格化した頃から、ヤフーニュース記事「河井前法相“本格捜査”で、安倍政権『倒壊』か」「検察は“ルビコン川”を渡った~河井夫妻と自民党本部は一蓮托生」等で、選挙に向けての支持拡大のために相応の資金が必要であり、政治的影響力の大きい有力者に対して使途を限定しない形で「不透明な資金のやり取り」が行われるということが事実上野放しになってきたが、河井夫妻が行った地方政治家に対する金銭の供与が買収罪に問われるとすると、日本の公職選挙の情景を大きく変えることになると指摘した。

概ね明らかと考えられる両氏の発言と両氏の主張の対立点との関係を整理し、河井夫妻事件が、今回の問題にどのような影響を与えているのかを考えてみることにしたい。

 

ゼットスケーラー日本・アジア代表が伝授する「多角化経営の基本戦略」とは?

今や企業の成長や存続に欠かせないとされる多角化経営ですが、何の知識や準備なしで立ち向かっても到底「勝ち」は見込めません。ではいったいどのような戦略が必要となってくるのでしょうか。そんな疑問に答えてくださるのは、クラウドセキュリティ業界を牽引する「ゼットスケーラー株式会社」の代表取締役を務める金田博之さん。金田さんは今回、MBA(経営学修士)の経営フレームワークを身につける機会がないビジネスマンに、低コストで実践的に学習する環境を「動画」と「テキスト」で提供する、まぐまぐ大賞2021受賞メルマガ金田博之のMBA実践メルマガ~ゼットスケーラー日本・アジア代表が動画と教材で教える経営フレームワークのすべて』で、リクルートホールディングスの公開資料を読み込みつつ、会社経営における多角化戦略の考え方をレクチャーしています。

【関連】ゼットスケーラー日本・アジア代表の金田博之氏が伝授。ビジネス戦略は「たった1枚の図」で説明できる

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ゼットスケーラー日本・アジア事業責任者、金田博之さんがオンラインで無料勉強会を開催します。 これまで有料で開催してきた勉強会をメルマガ読者を対象に無料公開。この機会にぜひ初月無料のメルマガお試し購読をどうぞ。

 

テーマ:ケーススタディーで学ぶ経営
日時:2022/1/15(土)10:00開講予定

 

この配信は誰でも視聴可能な配信です。

 

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アンゾフの成長ベクトル:リクルートから学ぶ「多角化経営の4つの戦略」

まえがき

これまで経営戦略→マーケティング→組織・人事→会計と1ヶ月のサイクルで解説してきまして、このたびまた経営戦略編からもう一度学んでいただくという流れになっています。

1週目の内容を復習しながら、より深い内容にしていきますのでぜひこれからもお付き合いください(バックナンバーはこちらでご確認ください)。

ではまず、経営戦略についての振り返りからやっていきます。

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こちらは、戦略を一枚の図で表したもの。

戦略を一言で表すと、向かうべき目的にどうやったらたどり着けるのか、その手段のことです。

現在の自分の姿から、目指す姿の間のギャップを埋めたいのですが、そこにはなにかしらの壁が存在します。その壁を超えるための手立てを考えていくのが戦略です。

つまり、戦略とは目的に向かっての道筋のようなものであり、戦略がなければ組織はどこに向かっていけばいいかわからず、あらぬところへたどり着いてしまうでしょう。

そして、戦略を考える上でまず真っ先に考えていただきたいのが、図の右側にも書いてある4つの質問。

  • 競争相手は誰か
  • どんな独自価値を持つか
  • どんなリソースの強みがあるか
  • 価値提供を維持し続けるにはどうするか

これは総括すると、自分の会社(組織)はなんのために存在するのか、何をすべきなのかという自己分析、現在の姿を捉えるための質問です。そこを踏まえた上で、戦略を策定していきます。

戦略についての詳しい解説は、メルマガ181号でお話しました。

【関連】ゼットスケーラー日本・アジア代表の金田博之氏が伝授。ビジネス戦略は「たった1枚の図」で説明できる

そして今月配信のメルマガでは、戦略のさらに応用編としてもう一段階上の話をしていきます。今回のテーマは、“多角化”。

今世の中は急スピードで変化しています。その中で企業が生き残るには、多角化がキーワードになっていくことでしょう。

日本で長く続いている企業、その中で今もなお勢いのある企業といえば、リクルート、ソニーなど。

割と新しいですが、楽天、ソフトバンクなども今かなりの勢いを持っています。

これらの企業はいずれも、時代の変化に適合し、そして進化して今の姿になりました。

創業からずっと、ひとつの事業だけを貫き通し、それで永続的に生き延びられる会社はいません。

なぜなら環境には変化がつきものですし、市場に競合が参入し、常に競争が起こります。

その中で生き残ったものが勝つのが、ビジネスの世界。そして、実は会社は長く続けることが難しいのです。

日本の場合、起業してから10年以内に9割の会社が倒産すると言われています。しかし日本はまだ生存率が高い方で、欧米ではもっと多くの企業が倒産しています。

つまり、会社は生き残るだけでも難しく、会社の成長戦略を考えていく上では変化する環境に対応し、生き残ることをまず念頭に置いて置かなければいけません。

そのためのキーワードとなるのが、“多角化”だと考えています。

 

完璧な論旨展開はむしろNG。「明らかな間違い」で上司を味方にするワザ

たとえば社内のプレゼンなど、真面目な人ほど自分が発信する内容に関して完璧を目指すものですが、実はそんな心がけが「逆効果」を生んでいる可能性もあるようです。今回のメルマガ『ねずさんのひとりごとメールマガジン』では作家でユーチューバーの顔も持つ小名木善行さんが、「完璧な答案を求めるのは学生のテストだけ」として、自身の動画に明らかな間違いを故意に入れ込む理由を解説。その上で、「不完全であることの重要性」を綴っています。

 

間違い探し

もしかすると、いつかむすび大で話すかもしれませんが、いまはまだ話していないことをひとつお話したいと思います。

実は、むすび大の動画(「むすび大学チャンネル」)で、私の担当している動画に関しては、必ずどこか一箇所、誰の目にも明らかな間違いを入れるようにしています。

たとえば「学校では教えない忠臣蔵の真実 赤穂浪士が討ち入りをした本当の理由」という動画では、浅野内匠頭の辞世の句について、本当は「風さそう花よりもなお~」であるものを、意図的に板書を「花さそう、花よりもなお~」と書いています。

するとコメント欄に、「間違ってますよ」とか、「こんな間違いをするような奴の話だから信頼できない」とかといったコメントが必ず付きます。

「しめしめ(笑)」と思っています。

とかく自分の知性に自身のある人は、新しい説を聞いても、まず絶対にそれを認めようとしません。とりわけ、完全武装したような完璧な論を展開されると、それだけで反感が先に立ってしまって、耳を両手で塞いでしまいます。

ところが、明らかな間違いがあると、「そらみたことか。オレの思っていることの方が正しい」と、そこで満足を得ます。それで、他にも間違いがあるのではないかと、話を熱心に聞くのです。

これは、会社などにおいて、プロポーザルを行うときも同じです。並み居る上司の前で、完璧な論旨を展開すると、大抵の人は「面白くない」と感じてしまうのです。

ところが、明らかな間違いがあると、言われた側は、「すみません」としか言いようがなくなります。それで満足し、その他の大枠については、「君だけでは心もとないから、オレが付いていてやる」といって、協力的になるのです。

私の活動は、思想上に偏向がないと思っている中間層の人たちに、日本のすごさや、日本のたいせつさを広げる活動です。そのために、完璧な人になることを目標に頑張るという方法もあろうかと思います。けれど、そうした人には、多くの場合、少数の熱心なファンが付いて、いわばそれがひとつの教団化することはあっても、世間の多くの人に影響を与えることが困難になるのです。

江戸の芝居がそうです。歴史ものの様々な演目がありますが、全部は語らない。あるいはどこかに、明らかな間違いを挿入する。早い話、歌舞伎などにおける剣劇は、まるっきりただのお芝居でしかありません。だから、「あんなことでは、敵を倒すことなんてできねえんだよ」と、帰りの蕎麦屋で、話題にしてくれます。そうすることで、「ほう、その芝居、面白そうだから、オレもいっちょう、見に行ってやるか」となるのです。

世の中で、およそ完璧な答案を求めるのは、学生のテストだけです。実社会は、不完全であることが、影響力を高めます。

ですからむすび大学の動画の講義でも、内容は完璧を期するけれど、どこかに必ず「ツッコミどころ」を入れています。そうすることで、あれこれとツッコミを入れて話題にしてもらえれば良いのです。そうして、知らず識らずのうちに、「やっぱり日本てかっこいいよな」と思ってもらえれば正解です。

そのとき、「むすび大でも、そんな話してたよね」「わはは。ありゃあダメだよ。明らかな間違いがある。オレの言っていることの方が正解だ」となってくれれば、今度はその人が主役となって、周囲に影響の環を広げてくれます。

 

昔“読モ”で今40代。職場の新人女子の若さに焦る気持ちの抑え方

鏡に向かうと重力を実感する顔や体つきが目に入ってくる。気づけば、かつてチヤホヤされていた役回りは、職場の新人女子に変わっている。歳をとることの一面ですが、現実を受け入れられず苦しむ人が特に女性に多いようです。今回のメルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』では、著者で公認心理師の永藤かおるさんが、読者の相談に答え、若い人を参考にし張り合っても心穏やかにはなれないとバッサリ。チヤホヤされた過去への執着を捨て、少し前を行く「目上の素敵な人」を手本にすべきとアドバイスしています。

 

ちょっと御相談がありまして:歳をとることが怖い

皆様からお寄せいただいたご相談や質問にお答えしたり、一緒に考えたりしていきます。

Q.
40代前半女性、Mと申します。歳を取ることが怖くてたまりません。10代から20代にかけて、読者モデルをしていました。30代前半で結婚し、子どもを2人産み育て、産休・育休を経て会社に復帰したときに、同じ課に配属された新人女子のキラキラした若さを目の当たりにして、ものすごくショックを受けました。

「私、いつの間にオバサンになっちゃったんだろう……」

肌のハリも、髪のツヤも、何もかもが違います。メイクも服も、彼女やその年代の女子に比べて自分は何もかも野暮ったい気がします。同僚や上司も若い彼女たちをチヤホヤします。

それ以来、若い子たちにいろいろ聞いて、同じ化粧品を使ってみたり、同じブランドの服を着てみたりしましたが、なんだか似合わないのです。

幸い、夫婦共働きで、金銭的な余裕はあるので、ある程度美容などにお金はかけられます。顔の皺を見るたびに、ヒアルロン酸注入やボトックス注射などもやらなきゃと焦る自分がいます。でも同時に、そんなところにお金をかけるくらいなら、子どもの教育費に充てたほうがいいんじゃないかということも頭をよぎります。

でも、若い後輩女子たちを目にするたびに、ものすごい焦りの気持ちがマグマのように湧いてきてしまうのです。どうしたらいいのでしょうか?

【永藤より愛をこめて】

小学生にも、中学生にも、高校生にも、大学生にも、「入学式」があって、「卒業式」があります。だから私たちは明確に、「今自分は中学生なんだ」「今自分は大学生なんだ」ということを自覚することができます。でも、大半の人は10代後半から20代前半でその儀式を終えます。そしてそのあとは、ぬるっと年齢を重ねていくのです。

オバサンにもオジサンにも、ババアにもジジイにも、入学式はありません。私たちは皆、ぬるっとオバサンになり、オジサンになり、そこから長い道のりを歩むのです。時間が逆行することは決してないのです。

お分かりですよね、Mさん。今のあなたや私がセーラー服を着たり、ランドセルを背負ったりしたら、それはもうホラーかコントです。まあもちろん何を着ようと、公序良俗に反するものでなければ、誰からも文句を言われる筋合いはありません。

着たいものを着ればよろしいし、したい化粧をすればよろしい。ヒアルロン酸でもボトックスでもバッキバキに入れたらよろしい。ご自身が幸せになるのであれば。

 

コロナ禍で身近に。自らの辛い状況を言葉にする難しさとためらいと

内面であれ、周囲の環境であれ、人が抱えている困難な状況を他者に正確に伝えるのは本当に難しいもの。「普通の世界」にいる他者は、例えば「引きこもり」のような言葉で、レッテルを貼り分類してしまうため、当事者の「言葉へのためらい」はますます深くなるようです。メルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』著者で要支援者の学びの場「みんなの大学校」を運営する引地達也さんは、そうした状況への理解を広げる際の言葉の難しさを常に感じながらも、コロナ禍で多くの人が不幸の中にいたことで、この「ためらい」の問題を身近に考えることができるのではと、期待しています。

 

言葉にためらい、言葉を探す道はゆっくりと

大学を卒業している計算だった甥っ子に久しぶりに会ったら、未だに大学に通っているとのことで、卒業論文のテーマを急に変えたくなり、休学したとのことだった。出席も成績も問題なく順調だったが、文学部の彼は村上春樹をテーマの卒業論文から少々マイナーな私小説家をテーマにしたくなったという。

同時に今後の学びの方向性を考える中で、文学から数学に行きたいという話にもなった。現在は哲学者であるラカンや柄谷行人を読んでいるようで、その思考傾向を見ると、彼は確実に「彼の世界」を作り上げていく道しるべを探しているようで、「休学」という世間から見れば少々遠回りに見える道が、彼にとっては最適な学びの道。そんな道の途上にいることを知り、私も年齢は違えど同じ道の上にいる同志がいるようで心底嬉しくなった。

この嬉しさは同時に、この世を生きていく上において、「言葉」というものがどのようなものかを考えることにもつながるから、私にとって仲間を得た思いもある。

この記事などを書いている私は日々、言葉にすること、に向き合いながら、文字にしたり口にしたりすることで、社会と接し、その言葉の一つひとつが他者にとっては私のアイデンティティや人格と認識されて、それは積み重ねられ、想像のかけらとなって、知らない偶像まで作り上げられていくことになる。

自分が出している言葉自体もまだ不完全なのに、他者に渡った時点で、もう自分から離れ、自分ではなくなってしまう。それでも私たちの社会はその言葉たちに人格を与えて関係性を結んでいく。この言葉への「ためらい」は社会ではなかなか議論にはならない。「ためらい」を感じてしまうと孤独を伴うから、危険でもある。

それでも勇気を持って、この言葉へのためらいを口にし、考えることが必要であることは、私は支援の中で実感してきた。それは「定型」という言葉で持って語られる「普通の世界」の一方的な言葉への戸惑いとして提示されることが多い。言葉によって圧せられて、それは生きにくさとなり、時には「二次障害」という形で社会となじめないまま時が過ぎることもある。

そんな彼・彼女らを社会は「引きこもり」というが、言葉が交差しない状況の中では、彼・彼女らは普通の世界から排除されたともいえるので、それは彼・彼女らの責任ではない。

この引きこもりの認識をめぐっても、言葉へのためらいが根本の原理として働いているようで、真剣に向き合う必要がある、とここ数年考え続けている。ただそれを口にすると「難しい人だ」という評価とともに排除される可能性もあるからやっかいだ。どんな言葉で、その現象を語っていけばよいのだろうか。

 

「学生だから」では済まされない。年金未納が及ぼす恐ろしい危険とは

日本では20歳になると国民年金に加入することになりますが、意外と多いのが年金保険料を未納にしている学生の人たち。「自分も大学生の頃は未加入だった」と心当たりがある方もいると思いますが、しかし、それはかなり“危険”なこと。年金アドバイザーのhirokiさんが自身のメルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』の中でその重要性について語っています。

若いから年金は関係無い?大学生の時の年金保険料未納は特に危険!

年金保険料は未納にしちゃいかん!せめて免除制度を使いましょう!…という事を今までよく言ってきましたが、なぜそんなに未納にしないように気を付けたほうがいいのでしょうか。

あまり未納にすると、老齢になった時に年金が貰えなくなる恐れがあるからでしょ?というのも、もちろん間違いではないです。

年金には20歳になると強制的に加入して、少なくとも60歳前月までの480ヶ月間は保険料納付義務があります。

少なくとも480ヶ月は加入する中で、最低でも120ヶ月間は保険料納付するか、保険料免除の期間があれば老齢の年金を受給する資格が得られます。

なので、良くない言い方ですが480ヶ月の内360ヶ月は未納にしても大丈夫という事になります。

ただ、老齢の年金は保険料納めた期間に比例して増額していくので、納めた期間が少なければその分貰える年金額は少なくなりますし、納めた期間が多かった人はその分多く年金を受給する事が出来ます。

例えば国民年金を120ヶ月しか納めてない人は、月額約16,000円程度の年金になり、480ヶ月間完璧に納めた人は月額約65,000円になります。

国民年金(老齢基礎年金)→780,900円(令和3年度満額)÷480ヶ月(加入可能月数)×120ヶ月=195,225円(月額16,268円)

年金は加入月数に比例しますが、そんなに未納にしても年金が貰えるんだから、未納は危険!免除にしなさい!というのはなんとなく大げさな気はしますよね。

しかし、老齢の年金が少なくなるからとか、貰うための期間(最低120ヶ月)を満たさないから未納は危険!と言ってるのではありません(もちろんそれも大事ですが^^;)。

老齢の年金はよっぽど未納にしない限りはイヤでも受給できるでしょう。

しかしながら、年金には老齢だけでなく障害になった時の保険としての役割も持っています。

重い病気や怪我を負うというのは、老齢になった時だけでなく若い人にも十分起こりえる事ですよね。

重い病気や怪我で働くのが困難になると、所得を得られにくくなります。

そんな時に保障してくれる強い味方となるのが、障害年金です。

この障害年金が、未納にしてると1円も貰えない事態となる危険性があるから未納にしないようにしましょう!と言ってるわけです。

今のところ健康でバリバリ働けてる人も、いつ何時大けがや病気で長期療養になるかわからないからですね。

そんな時に所得保障してくれるのが年金なんです。

年金というとお年寄りが貰うものというイメージですが、若い人も年金を貰うという事は普通にあります。それが障害年金ですし、他に遺族年金があります(遺族年金は今回は割愛)。

この障害年金が過去の未納のせいで、全く貰えずに悔しい思いをする人が割と多いんです。

なぜ、悔しい思いをする人が多いのか。

なぜあの人は“トーク”でビジネスを成功させられるのか?武器になる話し方の秘訣

営業マンにとって必須ともいえるトークスキル。話し方ひとつで大きな商談の成立を左右するほど、重要なスキルです。今回の無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で紹介されているのは、日常でもビジネスでも使える、話し方についての本。メルマガの著者、土井さんは「これは儲かる本」だとして、特に起業家の方には必読だとしています。

これは使える⇒『武器になる話し方』

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武器になる話し方

安田正・著 ダイヤモンド社

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、『超一流の雑談力』で90万部を達成した、安田正さんによるバリュー本。

※参考:『超一流の雑談力

著者は、これまでにもいくつか話し方本を出していますが、おそらくこれが一番「儲かる」本だと思います。

儲かる本だと断言できる理由は、本書が「決裁権者」を口説く技術について書かれているから。

要するに、自分が決裁権(パワー)を持っていることを自覚していて、ちょっとプライドが高くて、意地悪なことも言う人間を、どうしたら味方に付けられるか、ネガティブな態度の相手を、どうしたら良い方向に持っていけるかを書いた、実践の書なのです。

著者の安田正さんの本業は、法人向け研修会社の社長。要するに、BtoB営業の達人です。

本書には、そんなBtoB営業を通して培われてきた著者の話し方テクニックが書かれているのです。

先日ご紹介した、佐々木紀彦さんの『起業のすすめ』にも書かれていたように、<日本では大企業と組まないと、事業をマス化するのが困難>なわけですから、このBtoBの会話術をマスターするのは、起業家にとっても、重要と言えます。

※ 参考:『起業のすすめ さよなら、サラリーマン

もちろん、日常でも使える会話術が書かれているのですが、個人的には、起業家にこそ読んで欲しい一冊だと思いました。

空を見上げれば、絶望。体験者が語るトルネードが街を襲う直前の恐怖

2021年12月10日の深夜から11日にかけて、アメリカの4州を中心に甚大な被害をもたらしたトルネード。日本でも多くのメディアがその様子を報道しました。メルマガデキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』の著者にして米国育ちの元ANA国際線CA、元お天気キャスターという健康社会学者の河合薫さんは、自身がアメリカで過ごしていた際に教わったトルネードに関する知識を語っています。

 

「トルネード警報」で死を覚悟した、あの日

クアッド・ステート・トルネードーーー。

アーカンソー、ミズーリ、テネシー、ケンタッキーの4州を中心に、数十の竜巻が発生し、甚大な被害をもたらしました。

日本のテレビでも現地の様子が報じられ、その破壊的な被害に、驚いた方も多いのではないでしょうか。

金曜(10日)の深夜から土曜日(11日)の早朝に襲来した、今回のトルネードは、1925年に3つの州で発生した「Tri-State Tornado」に並ぶ過去最悪の被害を出しているとして、米国メディアは「Quad-State Tornado」と呼んでいます。

また、米国メディアは「夜間のトルネードは、昼間に比べて死者が出る確率が2倍以上」になると指摘。今回発生した30の竜巻のうち、最も被害の大きかったメイフィールドの町を襲ったトルネードは、30,000フィート超(約9000メートル)の高さまで、瓦礫を持ち上げていたそうです。

雲は地上から、約10キロ前後の対流圏で発生します。30,000フィート以上って事は、対流圏界面と呼ばれる「雲の天井」まで雲=積乱雲が発達。その内部では、瓦礫を持ち上げるほどの猛烈な上昇気流が、発生していたのです。

竜巻(トルネード)の強さを表す「藤田スケール」の、最大のEF5級に相当する可能性も指摘されており、これは時速322km以上の風速を出すほどの威力です。

私が子供の頃住んでいたアラバマ州も、トルネードの通り道でした。6月から10月までは、トルネードシーズンで、3日に1回くらいは、トルネード警報が出されていました。発生するのは大抵、最高気温が記録される午後でした。

トルネード警報が出された時の空は、不気味なほどおどろおどろしいのです。

今にも空が落ちてきそうなほどの鉛色。日本では見たこともない空でしたから、初めて見た時は「もう死んじゃうのかも」と、慌てて日本の祖父母に「遺書」を書いたりして。空を見上げるだけで、命の危険を感じって、すごいですよね。

 

「ゆかり」でお馴染み三島食品の社長が自称する“変な会社”の生き残り戦術

発売から50年以上を経た今も愛され続ける「ゆかり」などのロングセラー商品を擁し、次々とヒット作を生み出し続けることでも知られる三島食品。老舗の座に胡座をかくことなく常に進化し続ける同社ですが、何がそのモチベーションとなっているのでしょうか。今回の「テレビ東京『カンブリア宮殿』(mine)」では、先代から三島食品を引き継いだ会長の三島豊氏を始め、あらゆる立場で同社を支える人々へのインタビューを通し、その秘密を探っています。

イノベーションを生み出す!~「変な会社」の驚きサバイバル術~/三島食品

「ご飯のお供」の代表格といえば、お家時間の増加で需要が高まっているふりかけ。この5年で家庭での購入額が10%近く上がっている。味のバリエーションも増えており、カレー味や焼肉味、さらにご当地ふりかけ、なんてものもある。

そんな激しい競争の中で、地味ながらファンをつかんでいるのが「ゆかり」だ。年間売り上げは41億円。ふりかけとしては「のりたま」に次ぐ売れ筋商品だ。赤じその香りと梅の酸味が食欲を掻き立てる、発売から50年以上愛され続けるロングセラーである。

その「ゆかり」を作っている三島食品は広島市にある。「ゆかり」は魚を原料に使う他のふりかけとはちょっと違った方法で作られている。メインの原料は赤じそ。それを塩と梅酢に3ヵ月漬け込み、いったん漬物にする。「余計なアクが抜けて、苦味などが残らないようになる」(生産本部・蒲川健吾)と言う。つまり、「ゆかり」は漬物のふりかけなのだ。

広島工場には「最後の砦」と呼ばれる女性たちがいる。検査を終えて流れてくる「ゆかり」をじっと見つめ、機械を止めた。何か見つけたようだ。「赤じその茎です。包装した時に穴が開くかもしれないので、取り除いている」と言う。秒速50センチの流れの中でも、色や大きさが異なるものを一瞬で見極める。

「ゆかり」作りへのこだわりは工場の中だけではない。三島食品の赤じその自社農園。ふりかけメーカーが自ら原料を栽培するのは珍しかった14年も前から始めている。

その畑で、会長の三島豊(67)がドローンを飛ばしていた。

「上空から撮ったたくさんの写真を3Dデータにして計算し、農場の成長分布を出すことができないかと」(三島)

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成長が遅い場所を見つけ出し、そこの土壌を改良しようというのだ。

赤じそは「上と下の葉では香りが違う」という。下の葉は硬くて香りが弱い。だから「ゆかり」には、柔らかくて香り高い上5センチの新芽だけを使う。使用する赤じそは年間3,000トン。使用量としては日本一だ。しかも、「ゆかり」に最適な品種まで自社で開発している。

「『ゆかり』を作るなら、赤じそについては絶対にナンバー1になろうと」(三島)

三島食品は家庭用ふりかけで、「丸美屋」に次ぐ業界2位。ふりかけだけで53アイテムを揃えている。

一番の売れ筋が長女の「ゆかり」、青じその「かおり」、タラコの「あかり」。「ふりかけ三姉妹」と呼ばれる大ヒット商品だ。また6年前、弁当ブームに目をつけ発売したのが「のり弁の秘密」。カツオ節をふんだんに使ったノリとご飯の間に敷く専用のふりかけだ。

「のり弁当はスーパーでも当たり前になっていますし、日本人はのり弁が好き。それ専用の商品ができないかと」(三島)

新しいことに挑戦する一方で、先代から引き継いだ教えも頑なに守り続けている。

「創業者は、『とにかく良いものを使え、宣伝に金を使うくらいなら良い原料を買え』と。それをずっと受け継いでいます」(三島)

その言葉を象徴する商品が「瀬戸風味」。発売から55年。「地方の小さなふりかけ屋」だった三島食品を広く知らしめるきっかけになった商品だ。使われているのは厳選して仕入れた食材ばかり。しかも「3たて」と呼ばれる製法でおいしさを極めている。

「瀬戸風味」に使う鰹節は本場・鹿児島の枕崎から仕入れた「荒本節」。「香りと味が全然違う」という。しかも常に「削りたて」しか使わない。削るのはその日使う分だけ。ゴマは生ゴマから仕入れ、使う分だけをその都度、焙煎する「煎りたて」。パリパリ感が売りのノリもブレンドする直前に焼く「焼きたて」。

この「3たて製法」が素材の旨味と香りを引き出しているのだ。

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