あなたの“サボり”はバレている。企業が探偵に依頼、解雇に追い込まれた理由

探偵といえば浮気調査や捜索などのイメージが強いですが、実はビジネスにおいても活躍してくれるのだそう。それはどんな調査なのでしょうか?現役探偵である後藤啓佑さんが自身のメルマガ『探偵の視点』で公開。「企業が解雇させたい人間を自主退社に持ち込む」という依頼をこなした際のお話をしています。

 

最近の相談(調査記録):いき過ぎたサボタージュ

今回は営業マンのサボり調査。クライアントは会社経営者で、ある従業員を解雇したいという。その従業員は、会社に勤めて10年になる営業マン。果たしてどんな営業をしているのか。

調査をしてみると、なんといきなりコンビニでお昼寝。。。1日目はそれで終わりだ。2日目は、1日中自宅に引きこもる。そして3日目は、パチンコからのマンガ喫茶だった。

3日連続で完全なるサボりを見せてくれた対象者。サボりの証拠としては、これで充分だ。

契約は5日間だったので残り2日の様子も見てみると、少しだけ企業(ルート営業)を回り、パチンコへ行ったり自宅に帰ったりという動きだった。

5日間で訪問した企業は4件。明らかに少なく、新規営業に関しては0だった。証拠はこれでいいので、あとはこの証拠をどう使うかだ。

依頼者としては、このような結果を見ると怒りが爆発して対象者に証拠をぶつけ、お前なんてクビだ!と言いたくなる。しかし、実はそれはよくないやり方だ。

一番良いやり方は、探偵という言葉を使わずに証拠の一部を使って自主退職を勧めるやり方。

「この前、取引先の方からお前を見たって連絡があった。この日とかこの日とかパチンコやっとっただろ? 他の日も、先月とかからマンガ喫茶で見たとかの情報もたくさん入ってる。営業日報とも完全に違う動きしてるだろ。クビにすることもできるが、今のご時世クビになると次の就職先を見つけるのも難しいだろう。こういう職務懈怠行為で会社に損害を与えてたわけだけど、少なくとも初めは貢献してくれてたわけだし、その部分のよしみでクビだけは避けてやる。自主退社という扱いにするから、引き継ぎだけはやっていってくれ」

このようなセリフで、自主退社の提案をする。

対象者としては長年のサボりがバレていて、クビを覚悟したところに自主退社という提案がくるので、納得してそちらを選択するのだ。

今回の件も、例に漏れずこの形で解決した。

もし、クビにしていたとしたら、労働基準監督署に「不当解雇」という名目で駆け込まれたら、色々と面倒になる。

まぁそれでもサボりの証拠があれば会社は守られるわけだが。意外と、探偵は企業の味方になれるのだ。

 

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検査キットがなぜ不足?日本人が抱えるロジスティクス視点の欠如

オミクロン株の急拡大により、新型コロナウイルスの検査キットの不足問題が浮上。政府は検査なしでの陽性判定に言及するなど、混乱の様相を呈しています。2年も続くコロナとの戦いのさなかに、なぜこうした事態が生じてしまうのでしょうか。メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さんは、日本人に戦略的ロジスティクスが欠けているためと解説。コロナ対策だけでなく、ウクライナ情勢や台湾有事論においても、現実的な分析のためにはロジスティクスの面から見る必要があると鋭く指摘しています。

 

ロジスティクスからコロナ、ウクライナ、台湾を眺めると

1月29日朝、ジャーナリストの柴山哲也さんのツイートを読んで、コロナ対策からウクライナ情勢や台湾有事論まで、様々な思いが頭の中を駆けめぐりました。まずは柴山さんのツイートから。

「抗原検査やPCR検査キットはワクチンと違い国産のはずだから政府の指導で量産は可能のはず。非常事態宣言出せば指令は可能だろう。自由の国アメリカには国防生産法があり国の非常事態には大統領令でワクチン等の戦略物資の緊急増産ができる。日本はなぜ検査キット増産を業界に指示できないのか」

まったく同感です。それに、実を言えばわが家の食卓でもカミさんから同じ感想が漏れており、国民の多くも同じ思いなのではないかと感じました。

今回の有り様を戦場に置き換えると、コロナの奇襲から反撃に転じるのに大幅な後れをとった日本が、戦闘が始まってからも必要な武器・弾薬の調達・確保を怠り、再び劣勢に追い込まれているのに等しい無様さと言えます。

こんなことになるのは、厚生労働省の官僚の視野の範囲でしか問題を眺めていないからです。広い視野の官僚が担当すればともかく、普通は自分のデスクの上でしか物事をとらえられないので、国家としての戦略的思考にならないのです。同じ問題はワクチンの生産にも通じることですが、これは日本人が苦手な戦略的ロジスティクスの問題なのです。そんな官僚機構に丸投げでは戦略など描くことなど無理といわざるを得ません。

ウクライナ情勢も然りです。

「米国のオースティン国防長官は28日、ウクライナ国境周辺に集結した10万人規模のロシア軍は『複数の都市や大規模な領土を奪取可能だ』と述べ、プーチン大統領の決断で侵攻が可能な状態だとの認識を示した」(28日付共同通信)

ウクライナ情勢について、マスコミでは3方向からのロシア軍の侵攻ルートが図示され、脅威を掻き立てていますが、私の同僚の西恭之さん(静岡県立大学特任准教授)は「トラックを数えればロシア陸軍の外征能力がわかる」(1月17日号)で、集結したロシア軍部隊のロジスティクス能力を見ると、侵攻できるのは国境から100キロ圏と分析しています。

 

単身人口は2.4億人。中国に新たな危機、深刻化する“おひとりさま”問題

日本では数年前から「おひとりさま」という言葉が流行りましたが、中国でも一人の生活を満喫する人たちが若い人たちを中心に増えています。しかし、単身者が急激に増加していることで、ある問題に直面しているといいます。そこで今回は、中国出身の作家・黄文葦さんが自身のメルマガ『黄文葦の日中楽話』でその現状を紹介。中国の今後について分析しています。

 

中国でも一人様の生活様式が流行っている

日本では、「一人様」のライフスタイルが普遍であると考えられる。しかし、現在の中国でも、一人暮らし、一人食事、一人旅など、「一人様」の生活様式が増えている。「中国統計年鑑2021」によると、2020年の家族世帯数は4億9416万世帯で、そのうち「一人世帯」は1億2500万世帯以上となり、25%以上を占めるとされている。その規模は非常に大きいとみられる。

構造的に見ると、現在の中国の一人世帯は、高齢者が一人で暮らす「高齢者一人世帯」と、若い一人世帯の2つに大別される。

第7回全国人口調査によると、中国の高齢者数は2億6400万人で、2015年に行われた調査では、すでに高齢者人口に占める高齢夫婦世帯と独居老人の割合は50%を超えている。 近年、一人暮らしの高齢者がさらに増加し、若者の一人世帯化現象もさらに進んでいる。

平均寿命の伸び、世代間価値観の分化、独身主義の台頭などの変化とともに、中国では単身世帯の規模や割合が大きくなっている。しかし、社会全体としては、その割合や上昇のスピードに注意を払う必要があるだろう。

この40年ほどの間に、中国では住宅事情の改善、エゴイズムの蔓延、晩婚化、さらには未婚化が進み、急激な社会変化が起きている。このような背景から、一人暮らしの若者の数と割合はさらに増加してきた。

しかし、社会学者の中には、「一人世帯」の増加が経済や社会に新たなチャンスをもたらすと考える人もいる。単身世帯の増加に伴い、新たなニーズが生まれ、新たな商品・サービス・産業・ビジネスモデルが創出されるなど、近年、単身者向け経済が急速に発展している。

例えば、一人用の製品が人気を集めており、小型化が進んでいる。衣食住や交通など、おひとりさまのニーズに対応した商品、例えばお米100g、ウイスキー50ml、おひとりさま鍋、ミニ家電、ミニKTV…おひとりさま商品の市場機会も増えるだろう。

 

なぜ、スイカの種は散らばっているのか?思わず話したくなる植物の雑学

人間や動物とは異なり、一箇所にしかとどまることができない植物。しかし、子孫繁栄はしっかりとできています。それは一体なぜなのでしょうか?そんな雑学をメルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の中でご紹介。 思わず人に話したくなるお話が満載です。

『スイカのタネはなぜ散らばっているのか』

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、ひさびさに唸らされた教養本。

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スイカのタネはなぜ散らばっているのか
稲垣栄洋・著
西本眞理子・絵 草思社

植物が子孫繁栄のために行っている戦略を、静岡大学大学院農学研究科教授の稲垣栄洋(いながき・ひでひろ)さんが、雑学てんこ盛りでまとめた、知的好奇心くすぐる一冊です。

「まえがき」で書いているように、動くことのできない植物が勢力を広げるチャンスは、わずか2つ。

それが「花粉」と「種子」です。

ご存知の通り、植物は「花粉」を飛ばしたり、虫に花粉を運ばせたりして、受粉します。こうして遠くに子孫を残して繁栄するのです。

「種子」はさらにすごくて、鳥などに実を食べさせ、遠くに移動します。しかも種子は乾燥に耐えられ、時機を待てる「タイムカプセル」なので、時間・空間を飛び越えて繁栄することができるのです。(2000年前の種子が芽を出した例もあるそうです)

本書には、こうした植物たちの驚きの生存戦略や敵に食べさせ、かつ滅亡しないための工夫が書かれている他、われわれが普段口にする野菜や穀物、果実の雑学が書かれています。

商品開発のヒントにするのも良し、ビジネス戦略として役立てるのも良し、はたまた会食やセミナーのネタとして活用するのも良し。老若男女にウケるネタがまとめられており、これは重宝する一冊です。

アベノマスク配布希望“2億8千万枚”の大嘘。また虚言で自分を擁護?安倍政権が調達した枚数と同じ謎

厚生労働省は31日、政府が大量に保管している「アベノマスク」を含む布マスクについて、約8千万枚の在庫に対し、無料配布を希望する人から約37万件、推計で計2億8千万枚以上の申し込みがあったと発表した。しかし、ネット上では「本当にそんなに希望者がいるの?」と懐疑的な声が殺到。その裏にはどうやらある“からくり”があったようだ。

誰が信じる?アベノマスク配布希望2.8億枚の謎

岸田首相がアベノマスクについて「ご希望の方に配布し、有効活用を図った上で年度内を目途に廃棄を行うよう指示をした」と述べたのは昨年12月21日。“無用の長物”とまで揶揄されたアベノマスクを保管するだけで6億円もの税金が投入されていることがわかり、大きな批判を受けての対応だった。

そして、希望者の申し込み受け付けが開始されたのは12月24日。今月6日時点で約8万5千件の申し込みがあり、当初の予想よりも多かったことから、予定を2週間延長して今月28日まで受け付けたと朝日新聞が報じている。

この結果を知ってか言い出しっぺの安倍晋三元首相は1月27日の安倍派会合で「2億8000万枚の希望があった」と明かしたうえで「もっと早くやっておいた方がよかった」とご満悦。自身のコロナ対策を“自画自賛”するように語った。

これらの数字をベースに単純計算すると、今月6日までを前半と捉えた場合、1日あたりの申込件数は約6,071件。それ以降の28日までの後半では1日あたりの申込件数が約12,954件と倍増していることがわかる。もちろん年末年始を挟むため単純比較はできないが、いずれにせよ後半に殺到したようだ。

そして、合計37万件の申し込みで2億8000万枚の希望があったということから、1件あたりの希望枚数は平均で約756枚ということになる。

自治体や介護施設など大量にアベノマスクを必要とする人もいるとは思うが、平均値としてはいささか枚数が多い気もする。どうやらそこにはある“からくり”があったようだ。

【関連】1億5千万で狂った人生。河井案里氏を自殺未遂に追い込んだ安倍晋三氏に良心はあるか?

「10枚→100枚」に自動変換されるからくり

西日本新聞によると、配布を申し込む時に、実際に必要とする枚数よりも多い枚数が自動的に申請されるケースもあったといい、“配布希望を押し上げる”方向に作用した可能性があると指摘している。

申請ページには「必要枚数」と「送付枚数」という2つの記入欄が存在。例えば必要枚数欄に「10枚」「110枚」「210枚」と打ち込むと、送付枚数欄はそれぞれ「100枚」「200枚」「300枚」と100枚単位で繰り上がって自動変換され、表示される仕組みになっていたという。

その後、希望者が相次いだとして申請ページは一新され、記入欄も「必要枚数」に一本化された経緯があると記事は報じている。

単純に10枚が100枚と申請されれば、申し込み枚数は10倍に跳ね上がる。希望数を多く見せるため、在庫を1枚でも減らすためにそのような“せこい”方法を採ったのだろうか。

ちなみに、このどこから出てきたかわからない、希望数“2億8千万枚”以上という数字、実は当時の安倍政権が調達したアベノマスク“2億8700万枚”という数と酷似している。「アベノマスクの対策は決して間違いではなかった」という、辻褄合わせの数字としか思えない。

【関連】結局アベスガ路線。「新しい資本主義」の言葉は踊れど見えぬ岸田色

厚生労働省は正確な集計と配布方法の検討を進め、3月上旬をめどに配送を始めるとしたが、そのための配送料はもちろん税金である。一連のアベノマスク騒動で巨額の税金が投入されたことだけは間違いない。

プーチンの真意は?ロシアがウクライナに「武力侵攻はしない」と断言できる訳

米ロの外相による会談の結果もはかばかしくなく、緊張感がより一層増したとされるウクライナ危機。連日報じられているように、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は現実のものとなってしまうのでしょうか。そして周辺国への派兵準備に入ったと言われるアメリカは、ロシアと砲火を交えることになるのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、さまざまなルートから得た情報を元に、緊迫のウクライナ危機の今後を読むとともに、米ロやEU各国、そして中国それぞれの首脳の思惑を推測。さらに日本がどのように関わるべきかについても考察しています。

【関連】西側と交渉決裂。ロシア「核」使用もあるウクライナ侵攻シナリオ

 

ウクライナ情勢が語るもの

1月21日にアメリカのブリンケン国務長官とロシアのラブロフ外相が、スイス・ジュネーブで会談し、ウクライナ情勢を話し合いで解決できないか協議しました。

先週号でも少し触れたように、あまり進展は期待していなかったのですが、実際に協議は、互いの主張の応酬に終始し、これといった進展はなく、物別れに終わったようです。

その結果、アメリカのバイデン政権は8,500名超の部隊を【ウクライナへの軍事援助】という名目で派遣し、並行して外交ルートでNATO部隊の派遣の要請をメンバー国に行っているようです。実際に要請に応じて派兵してくれそうなのは英国ぐらいかもしれません。

欧州各国、特にドイツはロシアにエネルギー安全保障の首根っこを掴まれており、ブリンケン国務長官からの要請を受けても、あまりロシアを刺激したくないとの観点から、派兵には慎重だと聞きます。ノードストリームII(ロシアからドイツまでを結ぶ天然ガスパイプライン)の稼働開始の時期という要素も絡み、ショルツ新政権はすでに難しい選択を迫られています。

アメリカ政府は、「仮にウクライナ問題に絡み、ロシアが欧州への天然ガスパイプラインを停止させたとしても、欧州の需要を賄うだけの天然ガス(実際には液化天然ガス)の供給を確保した」と発表して、欧州各国にウクライナをめぐる対ロ戦線に加わるようにプッシュしていますが、どの程度、アメリカと共同歩調をとるかは分かりません。

外交面ではロシアがウクライナにかける侵攻のプレッシャーに対して非難を繰り返していますが、中国との対立を激化させ、ロシアとも真っ向から対立し、そしてアフガニスタンやイラクなどで“責任逃れ”をしたという事実は、欧州各国にアメリカとの距離を広げる結果になっています。

そのような微妙な状況ではありますが、欧米メディアが挙って報じるように、本当にロシアはウクライナに武力侵攻を強行するのでしょうか?そして、欧米諸国はウクライナをめぐってロシアと一戦交えることになるのでしょうか?

個人的には【ない】と答えておきたいと思います。

100%プーチン大統領がウクライナへの攻撃を行わないか?と尋ねられたら、「わからない」と答えるべきかと思いますが、いろいろなルートからの情報を総合的に見てみると、ロシア政府は「ウクライナへの軍事侵攻に対して大きな関心はない」と思われます。

どちらかというと、ロシア国内政治上の問題が主な理由と思われます。それは、生涯統治者を目指しているのではないかと言われるプーチン大統領の権力基盤が、経済的なスランプや欧米との確執に加え、コロナの感染拡大が追い打ちをかけて、このところ弱化していると言われています。

それが欧州における天候不順と、急激な脱炭素化によって欧州各国でエネルギー安全保障が侵され、生存のために天然ガスに頼らざるを得ない状況が生まれたことで、欧州の天然ガスパイプラインの元栓を握るロシアが、再度、地政学超大国としての地位を取り戻すことになり、ロシアに強力な外交カードを与えたと言えます。

つまり【強いロシア】を国民にイメージづけるきっかけを得たのですが、それだけでは荒れ狂うロシア政治における反プーチン感情を抑えきれず、プーチン大統領が見出したのが【2014年のウクライナ危機の繰り返し】です。

 

米の“オオカミ少年”国務長官「ロシアが来る」「中国も危険」にかき回される世界

かつてないほどの軍事的緊張の高まりを見せていると報じられる、ウクライナを巡る情勢。いつロシアがウクライナに侵攻してもおかしくないと伝えるメディアも多数ありますが、もはや軍事衝突は避けられないのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、現時点でのロシアによる全面軍事侵攻などありえないとし、その判断理由を解説。さらに2014年に自らが「ウクライナ騒乱」を詳細に分析した記事を再掲し、同国および周辺地域でアメリカが何をしてきたかを明らかにしています。

 

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年1月31日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

ブリンケンは「ロシアが来るぞ」「中国も危ない」と騒ぐだけのオオカミ少年/米国は落ち着いた外交を取り戻さないと

ブリンケン米国務長官は国際政治のイロハも知らない単なるガキで、ロシアが明日にでもウクライナに侵攻を始めるかもしれないとか、ベラルーシ経由だと侵入しやすいだろうとか、何の根拠も示さずにペラペラと口先介入して、ご本人としてはそれがロシアに対する牽制になっていると思っているのかもしれないが、いざ本当にロシア軍が侵攻したら米国が本格的に軍隊を投入してウクライナを防衛するつもりなどないことは分かりきっているので、これは馬鹿げた一人芝居である。

このブリンケンに言動に誰よりも迷惑しているのは、当のウクライナで、同国のゼレンスキー大統領は28日、キエフで記者会見し、

▼報道機関そのものがパニックを作り出しており、尊敬される複数の国家指導者でさえ、明日にも戦争になると言ってくる。これはパニックだ。そのせいで我々の国家にどれほどの犠牲を払えというのか。

▼ロシアはウクライナを攻撃する計画はないと主張している。28日には、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相が同国は戦争を望んでいないと発言した。ロシアはウクライナ国境付近に約10万人規模の部隊を動員しているが、昨春に同様の部隊が集結した時以上の脅威ではない様子だ。国内情勢の不安定化こそがウクライナにとって最大の脅威だ。

▼米国や英国などが一部の大使館職員を退避させているが、外交官は船長のようなもので、沈んでいく船から最後に離れるべきだ。ウクライナはタイタニック号ではないが。

と語った(1月29日付BBCニュース)。その通りで、私もゼレンスキー大統領やラブロフ露外相と同様、ロシアが全面軍事侵攻してウクライナ全土が戦場と化す現実的な危険など、現時点で存在しないと判断する。なのになぜロシアがウクライナとの国境に軍隊を集結させているかと言えば、それはロシアが公言している通り、

  1. ウクライナをNATOに加盟させないこと
  2. NATOは東欧での軍事活動を終了し、ポーランドとバルト3国のエストニア、ラトヴィア、リトアニアから部隊を撤退させること
  3. NATOはロシアに近い国やロシアと国境を接する国にミサイルを配備しないこと

について外交交渉を求めるためである。

 

北京五輪“外交ボイコット”で恥をかかされた習近平が描く「復讐劇」の中身

繰り返される台湾への領空侵犯に加え、10月には艦隊を堂々と津軽海峡を通過させるなど、昨年もエスカレートを重ねた中国による威嚇行為。一方、カネの力で支持国増加を画策するなど、その老獪さにも磨きをかけています。そんな中国は今年、どのような動きを見せてくるのでしょうか。今回、外務省や国連機関とも繋がりを持ち国際政治を熟知するアッズーリ氏は、「習近平氏にとって今年は大きな1年となる」とし、習政権が欧米や途上国、香港や台湾に対して取りうる行動を予測。さらに現在の日本をどう見ているのかについても私見を述べています。

【関連】中露海軍が「津軽海峡」航行の衝撃。日本は“鬼門”の防衛力を強化せよ

今年中国はどう動いてくるのか

チャイナエンペラーを目指す習近平氏にとって、今年は大きな1年となる。まずは2月に迫った北京五輪を上手く成功させることが試金石となる。しかし、メディアでも報道されている通り、既に米国や英国、オーストラリアやカナダなどが結束する形で外交的ボイコットを宣言しており、同五輪を大々的に成功させ、中国の影響力を内外に強く示したい習近平氏にとっては泥を塗られた形だ。もうそれは織り込み済みかも知れないが、中国はそれに対抗するようあらゆる策を練っていると思われる。では、今年、中国は具体的にどう動いてくるのだろうか。いくつか提示してみたい。

まず、来月に迫った五輪を巡る外交的ボイコットだが、米国に続いて英国やオーストラリアが続いたが、同じ欧米ではフランスやイタリアがそれに乗らない方針を明らかにしている。メディアでは次々にボイコットを宣言する国々が出ているかのような報道が目立つが、12月にオーストラリアやリトアニアが宣言して以降、ボイコットに乗る国は増えていないのである。バイデン政権としてはもっと多くの国がボイコットすることを望んでいただろうが、米国が思い描くようにはいっていないとも言えるのが現状だ。習近平氏としては、そこを突きたいとこだろう。すなわち、バイデン政権になって欧米諸国による対中結束が深まる中、習政権はその結束を打破するべく、ボイコットに乗らないフランスやイタリアに対して経済分野などで接近し、両国と独自の関係を維持・発展させたいところだ。

もっと拡大して言えば、今日世界では米中対立にそれほど関心を持っていない国々もアフリカを中心に多く、経済的援助やワクチン提供などを積極的に進める中国と良好関係を維持しようとする国家指導者も多いことから、習近平氏としては平和の祭典であるオリンピックにも関わらず米国などは政治を持ち込んだと伝えることで、自らのネットワークを強化したい狙いがあろう。そして、実際そのような行動を今年も引き続き積極的に取ってくることが予想される。近年、習近平氏が進める巨大経済圏構想「一帯一路」を巡っては、パキスタンで中国人や中国権益が地元の武装勢力によるテロの標的となり、中央アジアやアフリカなどでは中国に抗議する市民の行動も顕著になっているが、そのリスクを把握しながらも中国は対外的影響力の拡大を目指して経済援助やワクチン外交を推し進めるだろう。

韓国の元法相も収監コースか。妻が実刑判決で窮地に立つ“玉ねぎ男”

次から次へと浮上する疑惑に韓国の国民たちから「玉ねぎ男」と揶揄され、法相の座を実質的に追われた形となったチョ・グク氏が、さらなる窮地に立たされているようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、チョ元法相の妻に実刑判決が下されたニュースを伝えるとともに、チョ法相自身も息子の入試不正裁判で不利な立場に置かれる可能性が高くなった事実を紹介。さらに妻への判決について、SNSにあたかも司法が誤っているかのようなコメントを投稿したチョ法相について、批判的に記しています。

【関連】チョ・グク氏辞任で日韓問題がさらにこじれる歴史的理由

チョ・グクの妻鄭慶心、懲役4年確定

チョ・グク元法務部長官の夫人、鄭慶心(ジョン・ギョンシム)元東洋(トンヤン)大学教授(60)が懲役4年の実刑判決となった。2019年8月、チョ前長官子女の入試不正疑惑などが浮上してから約2年5か月ぶりに裁判所の最終判断が下された格好。

大法院(日本の最高裁判所に相当。主審=チョン・デヨプ大法院判事)は、鄭元教授の入試不正やプライベートエクィティファンド(PEF)への不法投資、証拠隠滅など12件の容疑を有罪と認め、懲役4年を宣告した原審の判決に対し「法理上の誤解はない」と、27日明らかにした。これにより鄭慶心は、懲役4年と合わせて罰金5,000万ウォン(500万円)、追徴金1,061万ウォン(100万円)が確定した。現在ソウル拘置所に収監されている鄭慶心は、2024年5月ごろ満期出所することになる模様。(ちなみにプライベート・エクイティ・ファンド <Private Equity Fund> とは、複数の機関投資家や個人投資家から集めた資金を基に事業会社や金融機関の未公開株を取得し、同時にその企業の経営に深く関与して「企業価値を高めた後に売却」することで高いIRR(内部収益率)を獲得することを目的とした投資ファンドである。)

特に大法院は、虚偽のインターン経歴などを立証するファイルを収録した「東洋大講師休憩室パソコン」の証拠能力を認めたことは大きい。検察が東洋大学のパソコンのファイルを分析した当時、「鄭慶心(当事者)が参加しなかったため違法な証拠収集」だったという弁護人側の主張が受け入れられないこととなったわけだ。これを受け、チョ・グクと鄭被告が一緒に起訴されたほかの裁判でも、東洋大学のパソコンの証拠能力が認められる可能性が高まった。

大法院は、1審と2審と同様に、鄭被告の娘(チョ・ミン)の「入試用の7項目のスペック」についてすべて虚偽の判断を下した。娘が2013年、7件の虚偽経歴をソウル大学医学専門大学院に提出して1次合格し、翌年、釜山大学医学専門大学院(医専院)に4件の虚偽経歴を提出して最終合格したのが入試業務妨害に当たるということになる。特に、7件の虚偽経歴のうち、ソウル大学のインターンシップ確認書を含む2件の文書は、チョ・グクが直接偽造して虚偽で発給したことを認定した。

大法院が東洋大学のパソコン証拠能力を認めたことで、チョ・グクと鄭被告の息子(娘ではなく息子。なんという家族だ)の入試不正裁判にも拍車がかかる見通しだ。ソウル中央地裁刑事21-1部(マ・ソンヨン部長判事)は最近、昨年11月、大法院全員合議体の判例を根拠に東洋大学のパソコンの証拠能力を否定し、これを受け検察が今月14日、裁判部忌避申請を行ったため裁判は空転中だった。東洋大学のパソコンの証拠能力が今回の裁判で証明されたことにより、空転中の息子の裁判も徐々に動いていく。

大法院が、娘のチョ・ミンが高麗大学の入試に虚偽のインターンシップ確認書を提出したという事実を確定しただけに、チョ・ミンの入学取り消し手続きにも拍車がかかる見通しだ。この日、高麗大は「入学取消処理審議委員会で規定と手続きに基づいて議論を進めている」と明らかにした。釜山(プサン)大学も昨年8月、チョ氏の医学専門大学院への入学を取り消すことを決めた後、今月から、予備行政処分聴聞の手続きを進めている。

予算案資料にミス続出。日本の官僚が当たり前の仕事もできなくなった理由

先日掲載の「総務省の予算案資料に13カ所もミス発覚。『ネトフリで映画化されるぞ』『官僚に緊張感ない』と厳しい声」でもお伝えしたとおり、絶対的な正確さが求められる予算案資料に多数の誤りが指摘される事態が発生し、大きな話題となっています。かつては「優秀さの象徴」のように思われてきた日本の官僚たちに、何が起きているのでしょうか。今回のメルマガ『室伏謙一の「霞が関リークス」増刊号』では、著者で国会議員や地方議員の政策アドバイザーを務める室伏謙一さんが、近年の国家公務員の採用事情等を紹介しつつ、彼らの一部が「これまでなら当たり前の作業」すらできなくなってしまった原因と、そのような状況を招いた元凶を推測しています。

【関連】総務省の予算案資料に13カ所もミス発覚。「ネトフリで映画化されるぞ」「官僚に緊張感ない」と厳しい声

 

令和4年度予算案関係資料の誤りの意味するもの

令和4年度予算の審議が始まっています。いわゆるスキャンダル追求のような質疑はなりを潜め、具体的な政策論、予算委員会ですから詳細な議論というより大きな方向性についての議論が中心ですが、そうしたものが展開されるようになってきています。

これまで、まあここ十数年だと思いますが、予算委員会と言えば野党の見せ場、世論にウケそうなネタで政権を追求している姿を見せる機会、そんなイメージが強かったと思います。予算委員会はテレビ入りで開催されるものと、テレビなしで開催されるものがありますが、スキャンダル追求、それも過剰な演出でのその手の質疑が行われてきたのは特に前者の方でした。

一方で、真に政策的議論をしたいと考えて予算委員会の審議に臨もうとしていた議員たちは、スキャンダルが世間を賑わしていようと、予算委員会という機会に質問すべき政策関連、政策の方向性に関する質問を準備していました。ところが、「世論ウケ」、「メディアウケ」を狙う、それを第一に考える議員が国会対策委員長だった時代には、冒頭に必ずスキャンダル追求質問を入れろと要求されて、やむなく政策関連の質問を減らしたり、場合によっては政策関連の質問を大幅に削られて、大半の時間をスキャンダル追求に充てさせられたりしていたのでした。

不本意な質疑を渋々やらされているのでは、審議の時間を空回ししているのと同じであり、貴重な審議時間、機会をドブに捨てていたようなものです。

それが、立憲民主が衆院選で議席を減らし、代表が枝野氏から泉氏に交替してから大きく変わりました。国対委員長もスキャンダル追求大好きな安住氏から、減税・積極財政派の馬渕氏に替わり、テレビ入りの審議でも政策議論ができるようになりました(そもそもそれが当たり前なのですが)。

さて、そうした中で発覚し、予算委員会で追求が行われたのが予算関連資料における誤り問題です。具体的には、総務省、法務省、文部科学省及び国土交通省の予算関連資料の中で、明細書において記載誤り、要は数字の誤りがあったというもので、多いものでは総務省の13箇所も誤りがあったとのこと。これまで全くこの手の誤りがなかったかと言えば、あったことはあったようですが、数件程度で、今回のように4つの省で、しかも多いところでは13箇所などということは前代未聞のようです。

明細に誤りがあっても、予算全体に影響しなければいいのではないか、との声もあるようですが、明細を間違えたまま執行することになれば、当然帳尻が合わなくなるわけであり、適正な執行ができなくなります。のみならず、このようなことを「今回は軽微だから」と有耶無耶にすれば、今後そうした有耶無耶が拡大していくことにもなりかねません。したがって、しっかりとケジメをつけておく必要があるわけであり、予算委員会で指摘の上、総理以下関係大臣が説明の上、陳謝したというプロセスは重要なのです。