福生病院「透析中止報道」に違和感。現役医師が抱いた10の疑問

日本中に大きな衝撃を与えた、東京・福生市の公立福生病院「人工透析中止」による40代女性死亡の報道。ネット上でも賛否両論を巻き起こしていますが、この一連の報道について多くの疑問を抱いたと語るのは、メルマガ『長尾和宏の「痛くない死に方」』発行者で、これまで2000人以上の最期を看取った現役医師にして日本尊厳死協会副理事でもある長尾和宏先生。病院側を責める報道が多いなか、長尾先生は「10の疑問」を挙げる形で、福生病院の対応について、そして「医療業界のタブー」についても持論を展開しています。

福生病院「透析中止報道」への10の疑問――「痛い透析医」

3月7日に第一報の出た公立福生病院(東京都福生市)の、人工透析治療中止に関する一連の報道を読みながら、私の中でいくつか疑問が膨らんできた。 

  • 医者から「中止」を勧めたのか? 患者の意向を受けて同意したのか?
  • 亡くなるまでに、本人・家族と医師の間でどんな話し合いがあったのか?
  • そもそも福生病院の医者は悪くない……

この原稿を書いているのは3月14日である。この1週間、毎日のように各紙、テレビ各局のワイドショーでもこの問題を取り上げている。

それを受けて、Twitterでも、多くの人が反応を示しているが、特に市民が大きな反応を示していたのはこの記事だったように思う。

「透析中止の女性、死の前日に『撤回したいな』 SOSか、夫にスマホでメールも」

この見出しが躍った記事を、死の前日に透析を再開しなかったから医師が患者を死なせた悪い医者だ、恐ろしい病院だ……と受け止めた人も少なくはないだろう。

また、3月10日の毎日新聞の記事によれば、毎日新聞の取材に対して福生病院の松山健院長(当時・副院長)はこのようにコメントをしている。

(松山院長)「いろいろな選択肢を(女性に)与え、本人が(透析治療の中止を)選んだうえで意思を複数回確認しており、適正な医療だ」

このコメントを受けて、透析中止という選択肢を(無論、それは死に直結するという説明とともに)患者に提示することは、「医師の仕事ではない」「酷である」と論じている人も何人かいるようだが、果たして本当にそうだろうか?

「本人に選択肢を与えない」医療を未だ支持している識者がいることに、むしろ驚く。

各新聞をはじめ多くのメディアは、この何十年も医療パターナリズム(患者の最善の利益の決定の権利と責任は医師側にあって、 医師は専門的判断を行なうべきで患者側には決定権がない、という旧態依然とした考え方。医療父権主義ともいう)を多くの事例を取り上げて批判してきたはずであり、なぜ平成が終わろうとしている今、「患者に選択肢を与えるな」という考え方が復活しようとしているのか、不思議にさえ感じた。

しかし、この院長の考えが倫理的に正しいのか、間違っているのかは置いておいて、患者さんのご家族(今回は死亡した女性の夫)に大きな後悔が残っているのは、記事を読む限り事実であり、ここを無視するわけにはいかない。

私は、2年ほど前に『痛い在宅医』という本を出した。

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長尾和宏・著『痛い在宅医』(ブックマン社)

私の本を読んだある女性が、末期がんの父親の在宅看取りを選択したのだが、まったくうまくいかなくて、最期に父親を苦しませてしまった。長尾の本さえ読まなかったら、在宅看取りという選択肢さえ知らずに、こんなことにならずに済んだのに、どうしてくれるのだ! という手紙を頂いたのがきっかけで、この女性と対話をまとめたものである。

医療者が絶対的に悪いわけではない。家族もしっかりと患者本人を支え見守った。しかし大切な人を見送った経緯に対し、家族は強く後悔し、医療者に怒りをぶつけることは、ままある――「なぜこんなことになったの?」と。

日本語の「痛い」、には実にいろいろなニュアンスがある。

一生懸命やっているはずなのに、空回りをしてしまう人のことも「痛い」と表現することもある。

この福生病院の透析医は、悪くはないけれども、「痛い透析医」だったのかもしれない。なぜ痛いのか? というわけで、この1週間の報道を鑑みながら私の中に沸き上がった疑問を10個書きだしてみる。

1 医師が透析中止を「勧めた」のか?

「患者意思の尊重」は医療の大原則である。そして選択肢の提示は医師の義務である。透析医側から透析の中止を勧めることはないと思う。患者さんから「もうやめたい」と訴えられた時に話し合いの結果、「同意」に至ることはある。

しかし、選択肢の提示=勧めるではない

選択肢を提示するのはあくまでインフォームドコンセントの一環であろう。「勧めた」のと「同意した、患者の希望を尊重した」は意味が違う。

また「同意書」や「確認書」に患者さんが一旦サインをしても、決してそれがすべてではない。いつでも撤回できることが大原則だ。

人間の気持ちは揺れ動くものなので常に寄り添い続けることが医療の使命である。文書に署名しても気持ちが変わったら、その都度、対話を繰り返すものだ。松山院長は先のコメントで「複数回確認し」たと述べているが、その実情はどうだったのか。事務的ではなかったか? 誘導的ではなかったか? おざなりではなかったか? 松山院長は、その現場に立ち会ったうえで、このコメントを出しておられるのだろか? 

2 40代女性は、果たして本当に終末期(人生の最終段階)だったか?

報道によれば、この女性は、「シャントが使えなくなったら透析はやめようと思っていた」と、透析中止の意思確認書に署名している。(毎日新聞3月7日記事)シャントとは、透析治療のために腕に作る血管の分路のことだ。シャントが潰れたため、普段通っているクリニックの紹介状をもって、福生病院を女性が訪れたのは2018年8月9日のこと。そして亡くなったのは、8月16日である。

 福生病院は、このとき女性に二つの選択肢を提示している。

  1. 首周辺にカテーテルを入れて透析治療を続ける。
  2. 透析治療を中止する。

そして女性は、2.を選択したのだ。

同じく毎日新聞の3月7日の記事では、福生病院の外科医(名前は不明)の以下のようなコメントを掲載している。

(女性)本人の意思確認はできていて、(医療は)適正に行われた。(女性を含めて)透析をしている人は終末期」だ。治る可能性があるのに努力しないのは問題だが、治らないのが前提。本人が利害をきちんと理解しているなら(透析治療の中止は)医療の一環だ

まず基本的なこととして、「シャントが詰まった=終末期ではないし、この外科医が言っている「透析している人は終末期だ」という発言は、終末期医療に日々かかわっている私からすると、甚だ違和感がある。そんなわけがない。

透析患者さんの終末期とは、全身状態が極めて悪く死期が近い、医学的には多臓器不全と呼ばれる病態であろう。

だからこの40代女性の場合、シャントの閉塞とは関係なく本当に終末期であったかどうかを知りたい。

もし終末期と判断されたなら、患者さんの意思を尊重して家族と何度か話し合いの場を持ち、透析を中止することは何ら問題はない。

また、高度の認知症などでもはや意思疎通ができない高齢者においても家族や知人などの代理人の意思を尊重して非導入や中止となる場合はある。

患者さんは40代と若かったが、余病や全身状態はどうだったのか

もしまだ終末期ではなかったと検証されたなら、そこで初めて議論の対象となるのかもしれない。しかしそもそも「終末期」や「人生の最終段階」という言葉はあまりにも漠然としすぎている。

明確な基準が無い(作れない)ので最終的な判断は現場の医師と患者・家族との話し合いに任されている。倫理委員会で話し合う病院もあるが、患者抜きで第三者が決めていいものか。そもそも忙しい医療現場で非導入や中止の度に開く必要があるのか疑問だ。

在宅で看取るケースもあるが在宅現場には倫理委員会などない。在宅では非導入や中止の希望が出ればケアマネがケア会議に多職種を招集する。ご自宅で本人と家族の意向に耳を傾け医師を含む多職種で複数回、話し合ってから決めている。うつ病などによる自殺願望(希死念慮)ではないことを何度も確認する。

直接関わっている多職種との対話で決めるほうが倫理委員会よりよいと思う。非導入ないし中止による最期は、自然死平穏死尊厳死と呼ばれる。

その多くは穏やかな最期である。

病院においても同様にみんなで話し合うことが大切で、倫理委員会は必須ではない。もしそんな時間とエネルギーがあるならば患者さんとの対話に費やすべきだ。

またそもそも「透析しなければ死に至る状態」であること自体が終末期だ、と考える人もいるようだ。またそもそも人工透析は延命治療である。そして年齢に関わらずいくつもの病気が重なりあうと、たとえ40代であっても、あるいは10代であっても終末期と判断される場合がある。

「Xperia1」でソニーのスマホは復権?人気コンサルに聞いてみた

読者からのさまざまな質問に回答してくれる、メルマガ『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の著者で人気コンサルの永江一石さん。今回の質問は、「Xperia1で販売台数はV字回復するか?」。携帯電話関連の世界最大の展示会「MWC19 バルセロナ」で発表されたXperia1で、ソニーのスマホの復権はあるのでしょうか?

Xperia1の登場で販売台数はV字回復するか

Q.
先日、Xperia1の詳細が発表されました。Xperiaは初代XZが出て以降、新作といっても「他社と比べると周回遅れ」のイメージが付き纏っていましたが、今回は一味違うという印象を抱き、一目ぼれしてExpansysで予約注文しちゃいました。

さて、ここからが質問内容です。永江さんは今回発表されたXperia1やXperia10で、Xperia販売台数がV字回復すると思われますか?
Xperia販売不調の参照記事

私個人としては久々に所有欲を刺激する端末がきた!と感じているのですが、お値段も10万円オーバーは確実なので、国際市場でどう評価されるのか、気になるところです。

永江さんからの回答

結論から言いますとV字回復はしないと思いますね。何度か書いていますがスマホ市場は既に成熟しているので、生活が変わるような革新的な技術が出ない限り、今使っているスマホをわざわざ買い替えるニーズがないんです。

これは別にXperiaに限ったことじゃなくて、iPhoneもGalaxyも同様です。昔iPhoneがコロコロ買い替えられていたのは、バージョンが上がる度に通信処理速度が飛躍的に向上したり、便利な機能が入るなど性能がぐっと上がっていたからですよね。

一方で今メーカーが出してきている顔認証機能や折り畳み機能なんて、あってもなくてもどっちでも良いものばかりなので、買うのはごく一部の新しいもの好きのお金持ちだけですよね。みんな今のスマホで十分なんです。

iPhoneが初めて発売された時は外で仕事のメールが出来るようになったり、インターネットやアプリを使って様々なことができるようになって生活が大きく変化しました。そういった暮らしを変える画期的な機能が出ない限り、今後スマホが爆発的に売れることはないと思います。

image by: Bodnar Taras, shutterstock.com

「できません」とバッサリ言う店が、来客数を減らす当然の理由

お客様の要望にどうしても応えられず断らざるを得ない状況になった時、みなさんならどのような対応をするでしょうか。「対応次第でそのお店の今後が決まってしまうことがある」とするのは、無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん。今回は、坂本さんご自身がとあるお菓子屋さんで見た接客に苦言を呈し、「断る訓練をすべし」と記しています。

断り方はどうか

先日、近所のスーパーで、少し気になることがありました。スーパーといっても、パン屋さんやファストフード店なども入っているような複合型のお店なのですが、そこにあるお菓子屋さんでの話です。

そんな量がいる場合は事前に予約してもらわないと困るんですよね

販売員の方がこんなことを言っていました。どうやら、ご年配のお客様らしき方が、販売されているお菓子を多めに買いたかったようなのです。まぁ雰囲気的に、用意されているお菓子が足りず、今回は購入してもらうことはできず、次回からの事前予約を促そうという感じでした。

ただ、残念だったのは、その伝え方が、ものすごくトゲトゲしかったということです。実際、近くにいた私の耳にも聞こえてきたのですが、「そんな言い方をしなくても…」と感じてしまうような雰囲気で言われていました。

と言っても、実はこういうことは、結構多くのお店で起こっています。もしかすると読者の皆様もご経験があるかもしれませんが、何か頼んでみたりすると、「できませんね」「ありません」みたいに、バッサリ切り捨てられるかのような断り方をされるなんてことがあります。私もこれまで幾度となく経験してきました。

もちろん、断らざるを得ない状況というのは、よくわかります。店の中に無いものは無いですし、サービスとして、できないものはできません。ただ、断り方には細心の注意を払うこともまた店としては大事なことではないでしょうか。

現役アナウンサーが解説。質問されたほうが話しやすくなる理由

人前で話すあらゆるシーンに役立つプロの技を伝えてくれるメルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言』の著者で、現役アナウンサーの熊谷章洋さん。前回の「端的に表現、説明し尽くせる人の話し方」で紹介した「横着ファイリング話法」についてさらに踏み込んで解説。「話す内容は、まとめるのではなく絞り込んで膨らませる」と、極意を披露します。

話は、まとめようとするな

どんなに話すのが苦手な人でも、「質問されれば話せるのに…」と思うことはないでしょうか。

例えば職場で、上司が新入社員を連れてきて、「〇〇の件について、この子に説明してあげて」とあなたに依頼した、とします。話すのが苦手な人なら、説明しなくてはいけない〇〇のことについて、なにをどこからどんなふうに説明しようか?あれも大事だし、あの知識も必要だし、それを理解するには、前提としてあれを知っておかなくてはいけないし…と、まず頭を悩ませるかもしれませんね。

ところが、その新入社員さんが、「〇〇の件の過程で起こる、××というトラブルの対処法を教えてください」と、あなたに質問してくれたら、どうでしょう?その方法を知っているあなたは、「ああ、それはこうやるんだよ」と、意気揚々と説明し始めることができるのではないでしょうか。

こんなふうに、質問されたほうが話しやすくなるのは、なぜでしょうか?理由は簡単です。聞き手にとって必要な情報は何か、が絞られているからです。「今からどういう話をすべきか」「今から話すことに求められること、必要な情報は何か?」を、話し始める前に認識できているから、です。

…と、ここまで聞いて、前回までの記事を読んでいただいている方なら、ピンときましたよね。これ、今、このメールマガジンの流れの中でご紹介している、「横着ファイリング話法」(著者命名)の原理そのものだからです。ある一点を除いては…。

その、ある一点とは、「話す本人が自分で」話す範囲を限定すること、です。上記の新入社員に対する説明の例では、新入社員さんが質問してくれたら説明しやすくなりましたが、これは、その質問によって話す範囲が限定されたから。

鍵になるのは、それを自分でできるか。「横着ファイリング話法」でいうところの、「空フォルダー」を自分で用意、整備できるか、なんですね。

ランナーを惑わす「糖質=悪」のイメージ。プロ推奨の糖質摂取法

運動する人にとって、エネルギー摂取は永遠の難問。メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』を主宰する桑原塾長のもとには、糖質ダイエットなどでついてしまった負のイメージを心配するランニング愛好家から相談が寄せられました。「三大栄養素のひとつ、糖質は悪じゃない」。桑原塾長の回答は、まずここからスタートします。

糖質を摂らずにグリコーゲンを増やす方法はありますか?

Q.ランニングをしています。糖質を摂ると体重が増えすぎたり、健康的にもマイナスが多いような印象をもちますので極力控えるようにしています。しかしグリコーゲンは大切であるという話も聞きますので、糖質を摂らずにグリコーゲンを増やす方法があれば教えて欲しいです。(45歳、男性)

桑原塾長からの回答 ~糖質は決して悪じゃない~

糖質制限ダイエットがダイエットのひとつの主流となってからは、糖質=悪という構図がずいぶんと定着してしまった感があります。ひとつ大前提として理解しなくてはいけないのは、糖質は決して悪ではないということです。

むしろ、より優先順位の高い栄養素であり、なによりも三大栄養素のひとつです。しかも、PFCバランス(エネルギー産生栄養素バランス)においては、全体の60%を糖質で摂取することが推奨されています。

当然、ランを始めとする多くのスポーツや競技でパフォーマンスに影響を及ぼします。脳の主要なエネルギー源はブドウ糖であることは間違いありませんし、様々な運動における主役となるエネルギー源(グリコーゲン)も糖質です。

糖質がNGとされる理由のひとつは、それが過剰となっていくからに他なりません。まず、ご質問の回答を先にしますと、グリコーゲンを糖質以外で増やすという方法はありません。クエン酸にはグリコーゲンリカバリーの効果がありますが、これも糖質という材料がなくてはグリコーゲン自体は増えません。

グリコーゲンはお金に例えるとATMのような存在です。ほぼ好きな時に好きなだけの金額のお金をおろすことが出来ます。しかし、その貯金は限度額がある程度限られているうえに、一度におろせる金額にも制限がありますから、例えばマンションや車を買うといったような時には適していません。

日常生活の大半のエネルギー源としては使い勝手もよく効率的ですが、大きな買い物をする際には不十分ということになります。もし、どんなに大きな買い物もATMでこなせるならば、それは便利かもしれません。普通預金の口座に数千万円が預けられていて、一度に好きなだけATMでお金をおろす事ができるのであれば便利極まりないでしょう。

スターバックスが高級旗艦店の出店で示すブランド活性化の重要性

中目黒と池尻大橋の間の目黒川沿いに、世界で5店舗目となる「スターバックスリザーブロースタリー」がオープンし話題となっています。ドリンクの主な価格帯で900円以上という高級旗艦店を出店したスターバックスの狙いはどこにあるのでしょうか?メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』発行人の理央周さんが、歩みを止めることなく自社ブランドを新しいステージ上げる姿勢について解説します。

「スターバックスリザーブロースタリー」がオープン

2月28日に東京の中目黒にオープンした、スターバックスリザーブロースタリーが大きな話題になっていた。スターバックスリザーブロースタリーとは、コーヒーの焙煎機があるスターバックスの旗艦店で、本社があるシアトル、上海、ミラノ、ニューヨークに続いて、東京が5店舗目になるとのこと。

開店の当日は、入店応募を事前にネットで募集したそうだが、希望者が多く、入場規制がかけられ、募集人員1200人のところに、数万人が応募したとも報道されていた。

実際、この日東京オフィスに遊びにきた私の友人が、午前中に整理券をもらったそうで、その番号がなんと3800番台。彼が入店できたのは、午後2時過ぎだったとのことだ。

各種報道によると、これまでのスタバとの違いが目立つ。店舗に入ってまず目を引くのは、4階まで17メートルの吹き抜けで、キャスクと呼ばれる巨大なコーヒー豆の貯蔵庫があり、それを中心として、豆を運ぶためのチューブが、店中に張り巡らされているため、「ゴーッ」という音が響くらしい。

もう一つの大きな特徴として、スターバックスの通常メニュー以外での、上質なコーヒーが多く揃えられている点。ドリンクの主な価格帯が900円以上ということで、通常のスターバックスよりかなり高く設定されている。

コーヒーも、通常のスターバックスにある、ドリップやカフェラテに加えて、コロンビアなど豆の産地ごとの、いわゆるストレートコーヒーなどが中心とのこと。

ロースタリーというくらいで焙煎からするため、ひきたてのコーヒーが楽しめる、という点を強調していると言える。

コーヒー以外も充実しているのも大きな特徴だ。2階には、ティバーナという、中国茶や紅茶を使ったドリンクが中心のフロアがあり、3階はバーカウンターになっていて、コーヒーを使ったカクテルなど、アルコール飲料が飲めるそうだ。

セブンイレブン転落の危機。24h紛争と改悪おにぎりセールで窮地

セブン-イレブン・ジャパンが、加盟店オーナーとの「時短紛争」やバイト炎上動画、さらには「おにぎり100円セール改悪」騒動などでブランドイメージ低下のピンチに見舞われています。今回の無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、「企業力の衰え」にその原因があるとしています。

セブン、「炎上動画」「24時間紛争」「おにぎりセール改悪騒動」から見えた業界首位転落の兆し

セブン-イレブン・ジャパンと大阪府東大阪市の加盟店オーナーが店舗の営業時間を巡って対立している問題が世間で注目を集めている。同オーナーは深夜に人手が確保できないとして、店舗の24時間営業をやめ、午前6時から翌午前1時までの19時間営業に変更したところ、それにセブン本部が契約違反にあたると指摘した。

世間からの批判もあり、セブンは直営店とフランチャイズチェーン(FC)加盟店で時短営業の実験を開始する方針を表明し、事態の沈静化を図った。午前7時から午後11時までの営業に切り替え、売上高や客数への影響をみる考えだ。

ただ、セブンは24時間営業の看板を下ろす気はないだろう。店を閉じる夜の時間帯の売り上げがなくなってしまうことに加えブランド力の低下などで店が開いている昼間の売り上げも下がってしまうためだ。しかも全店レベルで。

また、セブンは店舗への商品配送を深夜帯にも行なっているが、深夜帯の配送ができなくなってしまうと配送効率や作業効率が低下してしまい、それにより収益性も低下してしまうだろう。こうしたことから、24時間営業の看板を下ろすことのハードルは決して低くはない。

米国の無人コンビニ「アマゾン・ゴー」で使われているテクノロジーを活用するなどで省力化を図ったり外国人労働者を増加するなどで、将来的には深夜の人手不足が解消する可能性もある。そのため、セブンは40年以上掲げてきた24時間営業の看板を下ろすことはないと考える。

コンビニエンスストアにおける24時間営業を巡っては、ローソンが柔軟な姿勢を示している。3月7日に開いたメディア懇親会において、同社はFC店の要望に応じて営業時間の短縮を個別に認めるという従来の方針を維持することを表明したと複数のメディアが報じている。セブンが批判の矢面に立っている中で柔軟な姿勢を見せることで、ローソンのブランドイメージを高めたいとの思惑が透けて見える。

もっとも、ローソンは全国に約1万4,000店を展開しそのうちの40店で加盟店オーナーの意向で時短営業を認めているが、これはあくまで例外扱いで終日営業が原則という点は変わらない。

ファミリーマートは2017年から国内の一部店舗で営業時間を短縮する実験を進めている。ただ、本格導入には至っていない。

24時間営業の看板を下ろすとなると様々な問題が生じる。そのため、筆者はセブンが24時間営業の看板を下ろさないのはやむを得ないと考えている。ただ、「オーナーがかわいそう。セブンは時短営業を認めるべき」といったセブンに対して批判的な意見が世間では大勢だ。こうした声を無視はできないだろう。時短営業を認めるかどうかの判断が出るのは実験後となり少し先の話となるため、それまでに何かしらの対策を別に講じる必要はあるだろう。

堕ちた法の番人。横畠長官の大失言で判る政権の「俺たち偉い病」

横畠内閣法制局長官による小西洋之議員を揶揄するような発言で紛糾した、3月6日の参議院予算委員会。結果的に長官は謝罪したのですが、なぜ彼はそんな「余計な言葉」を口にしたのでしょうか。元全国紙社会部記者の新 恭さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』に横畠長官と小西議員の因縁を記すとともに、「法の番人」のはずが「安倍総理の顧問弁護士」に成り下がった法制局長官を厳しく批判しています。

天敵議員への憎悪か、横畠長官の大失言

「聞いたことに答えず、時間稼ぎする総理は戦後一人もいなかった。国民と国会に対する冒涜だ。聞かれたことだけに答えなさい」

3月6日の参議院予算委員会。小西洋之議員が安倍首相に向かって命令口調で言った。

「しきしまの 大和心のをゝしさは ことある時ぞ あらはれにける」。日露戦争にのぞむ明治天皇が詠んだ「御製」だ。

1月28日の施政方針演説で、安部首相がこの歌を引用したことについて、小西議員が「平和憲法の理念に反するのでは」と追及した。

だが、安倍首相がまともに答えず、演説の内容をくどくど説明したのに小西議員は業を煮やしたのだ。

発言を問題視した与党議員が委員長席に歩み寄り、場内が騒然となって審議は中断した。

小西議員が「これは監督行為だ」と主張、内閣法制局に確認することで与野党理事間の話がついたのだろう。小西議員は大声で質問を再開した。

「横畠内閣法制局長官にうかがいます。議院内閣制のもと国会議員が行なう質問は、内閣に対する監督機能の表れであるという質問趣意書への閣議決定があることを確認してください」

横畠裕介長官は平静を装って答えた。「ご指摘の質問趣意書は手元にございませんが、国会が一定の監督的な機能、国権の最高機関、立法機関としての作用というのは、勿論ございます」。

ここまでにしておけば何の問題もない。小西議員は納得しただろう。ところが、最後にこう付け加えてしまった。

「ただ、このような場で、声を荒げて発言するようなことまで含むとは考えておりません

こんどは野党側が騒ぎ出した。「越権行為だ」「謝罪しろ」。当然だろう、横畠長官に、国会議員の質疑について注意したり規制する権限はない

法制局が担う役割は内閣法制局設置法で次のように定められている。「法律問題に関し内閣並びに内閣総理大臣及び各省大臣に対し意見を述べること」。

具体的には、内閣が国会に提出する法案について、現行法の見地で審査するのが主な仕事であり、「法の番人」と呼ばれることもある。

医学的エビデンスが示す、言葉の罰も含めた体罰は子供の脳の発達を妨げる

アメリカ最大の小児科医の団体が、子供が親の言うことを聞かないときに、きちんと論理的に説明して聞かせるべきだという発表を行ったそうです。メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で現役医師の徳田先生は、体罰や言葉の罰を受けた子供の脳の発達についての研究からも、逆効果だということが裏付けられていると解説。親だけでなく周囲の大人も放置せず論理的に言い聞かすことの大切さを訴えています。

体罰の医学的結末とは?

子供は程度の差はあれ、みな未熟です。いたずらをする子もいます。親の言うことを聞かない子もいます。ときには悪い事をする子もいます。そんなとき、みなさんはどうしたらよいでしょうか。体罰を与えた方がよいでしょうか。あるいは、きちんと説明をして二度とやらないように話して聞かせる方がよいでしょうか。

アメリカ最大の小児科医の団体は、子供がそのようなことをやったときには、体罰ではなく、きちんと説明をして聞かせるべきとする推奨を最近発表しました。これはこれまでの研究結果から出た推奨です。体罰には長期的な効果が乏しく、神経心理的にも有害性もあることが判明したからです。

体罰だけでなく、言葉による罰も含めて、そのようなネガティブな結果となることが明らかになりました。言葉による罰には「おまえには生きている価値はない」「おまえは人間のクズだ」などがあります。人格を否定し、人間として修正不可能な言葉の暴力です。これらの罰には、子供にとって、いたずらや不良、反社会的行為を減らす効果には乏しいことがわかったのです。

体罰の医学的効果

体罰や言葉による罰を受けた子供の脳の発達を調べた研究があります。罰を受けた子供達の大脳皮質は薄くなっていました。罰を受けるとき、過剰なストレス反応によって副腎皮質ホルモンが血液中に大量に放出されることがその原因と考えられています。

大脳皮質は学習や記憶にとってとても大切ですので、体罰は学校の成績にも負の影響を与える可能性があります。成績が伸びない子供に対して、体罰や言葉での罰を与えると、成績にはむしろ逆効果になる可能性もあります。それよりも、子供のやる気を促すためには、コーチングなどによる動機付け法がよいと思います。

コーチングはスポーツから派生した実践的スキルです。プロのテニスプレーヤーやゴルフプレーヤーでも必ずコーチを雇っています。その理由はコーチングによってパフォーマンスが上がるからです。プロのスポーツ選手に対してプロのコーチは体罰や叱責を与えることはしません。日々の練習の中で、少しでも改善した点があればそこを褒めます。改善していない点に関しては、コーチは選手と一緒に考えて、どのように改善すべきかを模索していくのです。