「GoTo」強行という政府の愚行。コロナ禍に全国で響く弱者の悲鳴

新型コロナウイルスの感染者数が急増し、国内第2波到来とも言える様相を呈してきています。政府は賛否両論渦巻く中で「GoToキャンペーン」を強行しましたが、救いの手を差し伸べるべき先やそのタイミングは適切と言えるのでしょうか。今回のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』では著者でジャーナリストの内田誠さんが、各所で上がる窮状を訴える声をはじめ、新聞各紙が伝える新型コロナ感染拡大の影響を分析・解説しています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を各紙はどう報じているか?

ラインナップ

◆1面トップの見出しから……。

《朝日》…米欧が巨費 ワクチン争奪戦
《読売》…衛星群 地上を丸裸に
《毎日》…消費者庁、コスモ調査
《東京》…「GoTo全面延期」62%

◆解説面の見出しから……。

《朝日》…ワクチン 自国優先という病
《読売》…支持回復 トランプ流不発
《毎日》…コロナ休業 フリーランス「綱渡り」
《東京》…脱東京一極集中「チャンス」

プロフィール

■公立病院の窮状■《朝日》

■低所得国の窮状■《読売》

■フリーと名ばかり個人事業主の窮状■《毎日》

■息を吹き返した首都機能分散論■《東京》

公立病院の窮状

【朝日】は公立病院の現状についてのリポート。3面に掲載されている。見出しから。

  • 公立病院 コロナで経営難
  • 患者受け入れの中核 収益部門削り治療
  • 再編論議に一石

新型コロナウイルス感染者を受け入れた922病院中約7割が、公立病院と日本赤十字のような公的病院で、それらが経営難に陥っているという。収益が見込める健康診断や救急外来を削って対応しているため。病床稼働率は下がり、外来患者も減っており、「現場では、地域の医療体制が崩壊しかねないとの懸念が広がる」という。

uttiiの眼

記事によれば、もともと「医師不足による人件費高騰など」で、公立病院の6割が赤字になっており、そこにコロナ禍が加わった形。

実例がいくつか挙げられている中で衝撃的だったのは、西日本唯一の特定感染症指定医療機関である、りんくう総合医療センターのケース。ここも4月以降の赤字が10億円を超える恐れがあり、救急の受け入れを一時、最も重い3次救急だけに絞ったことがあったという。医療崩壊はギリギリで起きていなかったとされるが、細かく検証していけばいくつもの綻びがあったのではないかと感じた。

最後段は、公立病院の再編論議に関すること。政府は「地域医療構想」を掲げて、約440の公立・公的病院を再編統合の対象にしているが、そこに「感染症」の観点はなかったという。コロナ禍はこの計画に大きな変更をもたらす可能性がありそうだという。厚労省も「再編・統合対象も含め、公立病院のあり方を整理し直す必要がある」(地域医療計画課課長)としていると。

人口減少を理由にしつつ、これ以上削減したらどうなってしまうのかという状況でもなお遂行されようとしていた医療削減計画が、コロナのために頓挫した形。だからといって、地域医療がこれ以上の削減を免れると即断するのは危険だろう。人口減少の“大義名分”はまだ消えていない。

低所得国の窮状

【読売】は2面と4面に、コロナ禍で大きな影響を受けつつある国際金融の世界についての記事。見出しから。

2面

  • G20 政策総動員で一致
  • 共同声明 コロナで経済悪化
  • 財務相TV会議

4面

  • 低所得国は危機的水準
  • G20財務省・中銀総裁 債務猶予延長「検討」

2面は本記。コロナ禍で悪化した世界経済の不確実性が今後も高いとして、財政出動や金融緩和を含む「すべての利用可能な政策手段を引き続き用いる」ことで一致したというもの。

さらに、「低所得国へのG20各国による貸付の債務返済を今年末まで猶予する措置について「今年下半期に延長の可能性を検討する」ことを明記した」とする。

4面は、低所得国への債務返済猶予に関して敷衍。低所得国の状況は危機的で、「G20による債務返済の猶予」については42カ国が要請し、総額は5,700億円に上るとも。

uttiiの眼

債務返済の猶予措置がなければ、低所得国ではただでさえ脆弱な医療体制が一層脆弱となり、感染状況の把握も難しくなり、そうなれば、今度は先進国にもリスクが及んでくるという判断のようだ。ところが、「返済期限の延長」は「検討」するだけ。これは最も融資額が多いとみられる中国に対する牽制の意味がありそうで、融資による勢力拡大を「透明化」し各国で相互に監視しあう必要があるとの考えを麻生財務相が述べたようだ。

先進国も足もとが揺らいでおり、さらに言えば、支援する側も一枚岩ではない。とりわけGAFAへの課税を巡っては米国とそれ以外の国の対立が露呈していて、米国は国際課税ルール作り交渉の一時中断を提案した。

国際金融の世界の話も、「支援」というような美しい言葉で飾られているが、自国の利益増大を目指す各国の衝突の場だと捉えておくことが必要なのではないだろうか。

黒澤明監督作品から血の通った温かさを感じるようになった理由

この春から続く外出がままならない状況下の娯楽として、映画を観て過ごしている人は、そろそろ観たい作品もなくなっていないでしょうか。今回、メルマガ『8人ばなし』から紹介するお話は、著者の山崎勝義さんが黒澤明監督とその作品に抱く思いを決定的にした『素晴らしき日曜日』という作品にまつわるエピソードです。世界の映画人に影響を与えた黒澤映画、改めて一つ、いかがですか?

黒澤明のこと

最近、DVDで黒澤映画をよく観る。つい「最近」と言ってしまったが、実は20年くらい前に黒澤の全作品がDVD化されてからというもの毎日のように観ている。勿論、彼の映画はそのほとんどが長尺なので常に全篇観られるという訳ではないが、それでも飽きずに繰り返し観ている。

今さら黒澤作品の魅力やそれにまつわる諸伝説をここで並べてみても先人たちの轍をただただなぞり行くだけになってしまうので止めにして、少し違った方面から映画人黒澤明に近づく試みをしたいと思う。

以前、黒澤明展か何かに行った時のことだが、ある展示物から目が離せなくなったことがある。それは『素晴らしき日曜日』の黒澤明監督の撮影用台本だった。『素晴らしき日曜日』(1947年)は戦後焼け野原になってしまった東京での若い男女(男:雄造、女:昌子)の日曜日のデートの様子を描いたものである。黒澤映画には珍しく全篇ロケで当時の東京の在り様がよく分かって面白い。

勿論、デートといっても金の無い若いカップルのことだから行く先々で惨めな思いをする羽目になるのだが、中でも上野のシーンが特に可哀相で、雨の中雄造がチンピラに殴り倒されて濡れ鼠のようになってしまうところなど目も当てられない。

今、改めてこの上野のシーンを観るとあることに気付く。雨なのに誰も傘をさしていないのである。前にも言ったようにこの映画は全篇ロケであるから、フィルムに映り込んでいるのは当時のリアルな上野の様子である。とすれば、戦争直後の一般庶民にとっては傘がないのは当たり前の状況だったということになる。

――その台本は表紙がめくられた状態で展示してあった。第一頁目に二人の主人公、雄造と昌子の名が書いてあり、それぞれに性格的な設定が三、四行に亘って書いてあった。そして、雄三と昌子の名前の上には大きな相合傘が書いてあったのである。この映画を観たものなら、あの上野のシーンを憶えているものなら、この相合傘を見てハッとした筈である。

雨の中、さす傘もなく惨めに濡れて歩く二人。そんな二人に黒澤明がそっとさし出す相合傘。何て素敵なんだろう。この映画人黒澤明の優しさに触れると、彼の全ての作品から何か血の通った温かさのようなものを感じずにはいられなくなる。

前にこのようなことを聞いたことがある。世界的な映画監督の名前を挙げてどの作品が一番好きか、というアンケートを映画人に実施したところ、ほとんどの監督の場合は作品の好き嫌いに極端な偏りが出たのに対し、黒澤明の作品には万遍なく票が入ったという。誰も皆、知らず知らずのうちに全ての黒澤作品に通底する人間的な温かさのようなものを感じていたのかもしれない。時折また、そんな発見があるから、ヘビーローテーションの日々が続くという訳である。

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今ある仕事の9割が消える未来に備えるべき子どもに必要な能力は

新型コロナウイルスの感染拡大により、さまざまなことがこれまで通りにはいかなくなりました。子育て中の親御さんのなかには、自分が信じてきた教育方針にも懐疑的な気持ちを抱く人もいるようです。メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』著者の柳川由紀さんが、そんな親御さんに向けてアドバイス。これからの子どもたちには「考える力」のほかに「飽くなき探究心」を身につけさせたいと、その理由を解説します。

これからは探究心が必須

Question

shitumon

コロナ感染が再び拡大しました。想定外のことや予測がつかないことが起き、これだけ右往左往することになり驚いています。今後は、これまでの考え方や常識などは通用しなくなると思います。親として子どもに「予知能力」を持たせることができれば一番ですが、そんな魔法使いのようなことはできません。子どもに「考える力」をつけさせるだけで良いのでしょうか?(小学5年男子のお父様より)

柳川さんからの回答

これまでの価値観がひっくり返ることが将来起きる可能性は十分あります。今後は、それに柔軟に対応できるだけの課題解決能力が求められますから、考える力のほかにも「飽くなき探究心」が必要です。その理由をお伝えします。

1.普段からの「?」がアイディアを作る

「一体なぜこうなっているんだろう?」「どうしたらうまくできるだろう?」と、疑問に思ったことをそのままにする子どもと、答えを探求する子どもでは、どちらが課題解決能力があるか歴然です。

今回のコロナウイルス問題に直面して、わからないことやできないことを乗り切るためには、自分で一つ一つ考えないと乗り越えられない、という場面が幾つもあったのではないでしょうか?

自宅にオンライン設備がない子どもが、自分で友達の親に交渉しに行きました。自分がレインコートを着て、めがね、マスクをつけるから一緒に受けさせてくれ、と。そんなことを知らない子どもの親は、友達の親からの連絡で慌てましたが、お互いの家族が理解した上で一緒に授業を受けられました。「?」を探求することで課題を解決に導くことができるのです。

2.将来を案じるより過去を生かす

目標を定め、なりたいものを目指して頑張ることは素敵です。けれども、その「なりたいもの」が将来もあるとは限りません。イギリスのオックスフォード大学は、近い将来に、今ある仕事の9割はAIに置き換えられると公表しました。また野村総合研究所は、この先15年で今ある仕事のおよそ5割がなくなるというレポートを発表しています。

つまり、目標を決めてその道に邁進しても、その道自体がなくなってしまうこともあるのです。それならば、自分が何にでもなれるように、何にでも対応できるよう、普段の「?」を解決すべく考えながら過ごすことです。やがて、過去に自分が考えたこと、試したこと、実践したことなどの小さな「探求の積み重ね」が自分に自信を持たせてくれます。

家庭教育アドバイス…「物事を繋げられる考えを持つ」

一つのことに夢中になって取り組むことは良いことです。その道のスペシャリストになれるかもしれませんから。しかし、それよりももっと良いのは、一つのことを、あらゆる事柄と結びつけて考えられることです。こうしたことが、これから求められるでしょう。

これまでの社会は情報社会といわれ、情報を短期間に理解、再生、反復できることが良しとされてきました。これからの社会は、知識基盤社会といわれ、知識や柔軟な思考力をベースに、新しい価値を創造する能力が求められます。

そのためには、一つのことに精通しているだけではなく、関連しないように見える他の分野についても、関連づくかもしれない、と探求する姿勢が必要なのです。子どもには「広い視野と、深い思考で探求する」という姿勢を持たせましょう。

「ユキの親トレ塾」YouTube動画で配信中です。

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人類こそ絶滅危惧種。他種他属の絶滅を防ぐことなどできないワケ

人間の活動により多くの生物が絶滅の危機に瀕していると言われ、「レッドデータブック」に記載されています。しかし、地球の歴史を見れば、ほとんどの生物が絶滅しており、人類こそ「絶滅寸前」とも言えると語るのは、CX系「ホンマでっか!?TV」でもお馴染み、メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』著者の池田教授です。池田先生は、人類の関与の有無に関わらず絶滅は起こることを2属3種となった象を例に解説。人類も同じレールに乗っていると指摘しています。

絶滅について

現在生きているすべての生物は38億年前に地球上に誕生したバクテリアの子孫である。たとえば、私は、人間の個体として生まれてからはまだ67年しか経っていないが(もう67年も経ってしまったというべきかな)、生物として生まれてからは38億年の寿命を永らえているわけである。学生たちに、「君たちの本当の歳は38億20歳、僕は38億67歳。誤差の範囲だね。38億年も生きたんだからいつ死んでもしょうがないよね」と言っても、死ぬことなど、露ほども考えたことがない学生たちは屈託なく笑っている。

38億年の間には、おびただしい数の種や高次分類群が出現したが、99%は既に絶滅して久しい。現在、地球上では人間の活動により多くの野生の動植物が絶滅に瀕している、と言われている。これらの種は「レッドデータブック」(1966年に国際自然保護連合によって初めて作成され、以後、各国政府や自治体によってこれに準ずる地方版レッドデータブックが沢山作成されている)に記載されており、人類が環境を好適に保ったり、捕獲を制限したりすれば、絶滅を回避できるかのような意見がまかり通っているが、過去の歴史を振り返れば、ほんの僅かな種が新しい種の母種になる以外はすべての種はいずれ絶滅を免れないのは明らかである。

古生代の約3億年もの間、次々に新しい種を生み出しながら生存していた三葉虫は古生代の終わり(2億5000万年前)までには、新しい種を生み出すことができずに、完全に絶滅してしまった。あるいは、中生代の三畳紀(2億5000万年~2億年前)に出現した恐竜は、現在、鳥類と呼ばれている系統だけを残し、白亜紀(1億4500万年~6550万年前)の終わりに絶滅した。

絶滅の原因として一番わかり易いのは、環境が激変して、種の適応力を超えてしまうことだろうが(それについては次回で述べる)、環境がそれほど変わらなくても絶滅してしまう種もあるわけで、個々の種や系統の本当の絶滅原因はよくわからない。ただ、新しく生み出された系統は暫くすると沢山の種を生み出して(たくさんの種に分岐して)、多様化するが、さらに時間がたつと、歯が欠けるように、徐々に一部の種が絶滅していき、最後にはすべて絶滅するというのが、系統の絶滅の一般的なパターンであることは確かである。

たとえば、長鼻目(ゾウの仲間)は、現在、ゾウ科の2属3種(アジアゾウ Elephas maximus、アフリカゾウ Loxodonta africana、マルミミゾウL. cyclotis)のみを擁する小目だが、かつては沢山の種を含む大目であった。この目が出現したのは新生代初期の暁新世(6550万年~5580万年前)で、古第三紀(6550万年~2303万年前)にかけて徐々に多様化して、中新世(2303万年~533万年前)に最盛期を迎えた。現在までに出現した科の数は15近く、属の数は50近くに及ぶ。それが今では1科、2属、3種にまで減少した。

巷では、人類が手厚くゾウを保護すれば、絶滅を避けられるかのような言説が流行っているが、現生人類が出現する以前から長鼻目の衰退は始まっていたわけで、人類が関与しようとしまいと、いずれ絶滅は免れないだろう。

これは人類にも言えるわけで、現生人類(Homo sapiens)が属するヒト科の動物は700万年前に現れて、何種もの人類を生み出したが、現生人類を残して、すべて絶滅してしまった。ゾウの事例に鑑みれば、現生人類は個体数こそ多いが、もはや、絶滅寸前と考えたほうがいいのかもしれない。

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ペットへの感染例も増加中。獣医師が教える新型コロナの予防法

新型コロナウイルスの感染拡大初期には、人からペットへの感染例はごくわずかでしたが、事態が長引くにつれて、ペットへの感染事例も増加し、特に猫は呼吸器症状などが確認されています。メルマガ『佐藤貴紀のわんにゃんアドバイス』の著者で獣医師の佐藤先生が、改めて、飼い主が注意すべき予防法を紹介。人間の予防法同様、キーワードは「清潔」のようです。

感染急増!新型コロナから自分の愛犬、愛猫を守ろう!!

緊急事態宣言解除の後、急激に感染者が増えています。人間からペットへの感染は世界で見つかっているため、飼い主さんは心配だと思います。今日は予防についてお話ししたいと思います。

愛犬、愛猫の予防について

1:お散歩。犬の場合にはお散歩の時に気つけてほしいことがあります。それは臭いを嗅ぐ時です。街には菌が溢れています。犬は臭いを確かめながら歩きます。習性を否定はできませんが、せめて綺麗な場所で臭いを嗅がせてあげる。または、お散歩から帰宅したら、ノンアルコールの除菌シートでお鼻を拭いてあげてください。

2:身体に付着してから数日菌が生きているという報告もあります。シャンプーを週1回してあげるか、暖かいタオルで全身を拭いてあげてからドライタオルで拭いてあげてください。身体を清潔にすることは大切です。

3:ケージも清潔にしましょう。一番、菌が増殖しやすいのがケージです。できる限り毎日お掃除しましょう。

●まとめ
新型コロナウイルスに愛犬、愛猫が感染しないためには、飼い主さんがまず感染しないこと。そして、とにかく清潔にしておくことです。もし、ご自分が感染の疑いがある場合には部屋を隔離してください。

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「似たような商品ならあの店で買おう」と客に思われる店の特徴

オリジナルの商品を扱っているお店は別ですが、一般的な小売店となると、どうしても同業のお店で似たような商品を販売することになります。そこでキーワードとなってくるのが「差別化」。同じような商品を扱う店が数多くある中、自分のお店を選んでもらうためにはどうしたらよいのでしょうか。そんな悩みを抱える販売員さんは少なくないようです。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、「販売員が独自性を身につけるべし」とし、そのヒントを記しています。

独自性はどこから

最近は、どこの店でも似たような商品が増えたように感じます。A店で売っている商品が、B店では商品名こそ違えど似たデザインであったり、似た機能を持っていたりするわけです。普遍的なものが好まれるようになった時代背景もあるのか、こう感じることは少なくないように思います。

別にそのことを否定する気などはさらさらなく、良い商品が増えてくれることはありがたいのですが、販売員側とすれば、じゃあ似たような商品を扱う店がたくさんある中で、どうすれば自店を選んでもらえるかは、かなり頭を悩ますことになります。実際に、「周辺の店でも同じような商品を扱っている店がたくさんあるので、顧客をどう増やせばいいかがわからない」という声は、研修中にもよく耳にします。

そこで求められるのが独自性です。

その店ならでは、その販売員ならではの独自の魅力を持つことができれば、お客様が同じような商品を探す時にでも、「やっぱりあそこへ行こう」と思ってくれやすくなりますよね。だからいかに独自性を作るか、そしてそれをいかに打ち出すかを考えなければいけません。

こうした独自性に関する話は、マーケティング系の記事や本などにも数え切れないほどに書かれている話ではあります。ただ、ここでは販売現場に立つ販売員について考えてみたいと思います。

販売員が独自の魅力を打ち出すとしたら、どんなことが考えられるでしょうか。見た目もあるでしょう。コミュニケーション能力も欠かせません。お客様への気遣いが優れているとか、知識をたくさん持っているということも必要かもしれませんよね。

ですが、個人的に最も欠かせないと思うのは、普通のこと、当たり前のことをどれだけ高いレベルでできるかなのではないでしょうか。

店や商品が(悪い言い方をすれば)画一的になってきている。仮定ですが、この前提があると考えると、販売員も同じように画一的になりつつあると言えます。それは商品が似てきている中で、店の作りや雰囲気なども似てきている中では教育や育成のやり方も近しいものが増えるからです。

例えばオペレーションが同じなのであれば、マニュアルだって同じものが理想的になってくることは当然ですよね(理念とかの話は抜きにしています)。だから、基本とされることも似てきます。

ここで現実的に考えてみると、その基本を高いレベルでやれている人がどれだけいるのかという話になります。

あくまでも個人的な意見ですが、この部分については、正直今現在のレベルはそこまで高いものではないと感じます。業界全体が人材不足にあえいでいる中で、人の確保が優先され、その中身は後から教育するというやり方になっていますが、結果、教育も育成も時間がかけられずに人が育っていない店がたくさんあります。つまるところ、商品についても接客についても、素人同然の人が増えつつあるわけです。

ですから、当たり前だとされているような基本の部分もよく分からないままであったり、低いレベルのままやっているつもりの人が多くなっているように思います。ということは、それらの基本を他の店や他の販売員以上に、高いレベルでやるだけで独自性が現れるということになるのです(前置きが長い)。

何が言いたいかと言いますと、独自のサービスを打ち出していこうとか、こういう新しいことをやればお客様に選んでもらえるんじゃないだろうかとか、そんな話の前に、本当に基本的なサービスや接客の基礎がちゃんとできているかどうかを考えなければいけないということ。それが高いレベルでできているだけで、「この店はすごい」と思ってもらえる可能性が高まっている時代とも言えるのです。

これをやらずに、特殊なことをやってお客様を集めようとしても、結局のところは、お客様に選んでもらえることは少なくなります。販売員としては、ここをしっかり考えて独自性が出るくらいの基礎レベルを持つ意識を持っておきたいものです。

今日の質問です。

  • 独自性を作り上げる要素とは、どんなものだと考えますか?
  • 自分自身の接客やサービスから独自の魅力を出すとしたら、どんなことが必要ですか?

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「1人で爆笑した」この言葉、どこが間違っているでしょうか?

1人で爆笑した」「東大合格者を1人輩出した」これらの言葉はごく普通に使っている言葉ですよね。でも、実は使い方が間違っているんです。何がNGかおわかりですか? このように、普段当たり前のように使っている言葉だけれど、実は本来の意味を間違えて覚えていた…というような経験、お持ちではないでしょうか。今回の無料メルマガ『仕事のメール心得帖(無料版)』では著者の神垣あゆみさんが、そんな間違いがちな言葉をピックアップし紹介しています。

憮然とした顔、どんな顔?

間違って使いやすい言葉をピックアップして、ご紹介しています。

「憮然とした表情」というのは、広島弁で言う「はぶてた表情」、つまり「腹を立てた表情」のことかと思っていました。

しかし、「憮然」の本来の意味は、失望・落胆してどうすることもできないでいる様子、もしくは意外なことに驚き、あきれている様を指します。

ですから、「憮然とした表情」というのは口をへの字に曲げたぶすっとした表情ではなく、失望のあまり、あっけにとられた顔のことです。

もう一つ、「檄を飛ばす」というのは「がんばれ!」と励ましたり、活気づけたりすることだと思っていましたが、実は、自分の主張や考えを広く人々に知らせ、同意を求めることが本来の意味です。

「檄(げき)」とは檄文、自分の主張を述べて同意を求め、行動を促す文書のこと。

「檄を飛ばす」は、檄文を方々に飛ばすように自分はこうなのだ、こうしたいと多くの人々に知らしめ、決起を促すような行為ということになります。

こうして言葉の意味をたどっていくと、漢字や言葉の印象から受けるイメージで意味を勝手に取り違えていることが多いことが分かります。

1人ではなく大勢で

「爆笑」「乱入」「輩出」この3語に共通していることは何でしょう?

いずれも「大勢の人」によってなされる行為であること、です。

「爆笑」は、大勢の人が一度にどっと笑うことで、大声で笑うことではありません。ですから、「1人で爆笑した」ではなく「1人で大笑いした」とするのが適切な表現と言えます。

「乱入」は、大勢の人が無理やりどっと押し入ること。1人が勢いよく押し入ってきたとしても「乱入」とは言いません。「興奮した観衆がフェンスを越えて乱入してきた」のように使います。

「輩出」は、優れた人物が続々と世に出ることを意味し、たとえ優秀な人材でも1人や2人くらいでは「輩出」とは言いません。「人気女優を輩出してきた大手プロダクション」のように使います。

現在では1人の場合でも「爆笑」「乱入」「輩出」という言葉が使われていますが、本来の意味は「大勢の行為」を指すことを覚えておきましょう。

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自分の人生を豊かにするためにシュワルツネッガーが断っている事

自分の時間を他者との付き合いのために使うことを、無駄だと感じるか有益だと捉えるかは人それぞれですが、意に反して時間を奪われるのを防ぐには、どうすればいいのでしょうか。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では著者で現役弁護士の谷原誠さんが、アーノルド・シュワルツネッガー氏の言葉を引用しつつ、「時間を有効活用するためのポイント」を紹介しています。

自分の時間を死守する

こんにちは。弁護士の谷原誠です。

私は、時間を大切にしています。できる限り、自分の時間を、「自分が使いたい作業」に使いたいと思っています。しかし、現実には、そううまくはいきません。それは、頼まれ事であったり、付き合いであったり、色々なことに時間を使います。

他人との関係を断絶し、他人との付き合いを一切廃除する、ということであれば、自分の時間を全て自分のためにつぎ込むことができるでしょう。無人島にでも行って自給自足の生活をすれば、そうなるでしょうか。しかし、そうでなければ、他人のためにも時間を使うことになります。

時間を有効活用するには、このバランスをどう取るか、が重要になってきます。私たちは、環境に影響を受けますので、環境や身の回りにいる人次第では、このバランスが大きく影響を受けることになります。場合によっては、自分の意に反して、自分の時間を大いに奪われてしまう、ということもあり得ます。

そんな時は、どうしたらよいでしょうか。

アーノルド・シュワルツネッガー氏の言葉を参考にしてみましょう。彼は、様々な職業を経験しましたが、もともとはボディビルダーでした。彼は、ボディビル大会の最高峰であるミスター・オリンピアで7回優勝するという偉業を達成した、ボディビル界のレジェンドです。彼は、次のように言っています。

自分と関わりのある人や職場環境などが、自分にマイナスの影響を与えていると感じたら、私はすぐさまその関係を断つ。それが仕事だろうが、友達だろうが、私にマイナスの影響をもたらし、目標に向かうための障害になるのなら、躊躇せずにその関係を断ち、職を変え、トレーニング環境を変え、自分の目標にまっしぐらに向かうだろう。

徹底していますね。

「我慢できなくなったら、仕事を辞めよう」ではありません。「耐えられなくなったら、友達やめよう」ではありません。ただ、「マイナスの影響を与えていると感じた」だけで、躊躇せずに、即座に関係を断つ、と言い切っているのです。そのくらい徹底して自分の環境を整えないと、満足なトレーニングはできない、ということなのでしょう。

多くの人は、ここまで徹底した思考はできないでしょう。しかし、自分の時間は、自分の人生そのものです。他人の感情を害したとしても、場合によってはその人との関係が断たれることになったとしても、自分の時間を守る、ということを考えてもよいのではないでしょうか。

「普通の人間が持って生まれる財産と言えば、時間だけだ」

(アンドリュー・カーネギー、アメリカの鉄鋼王)

今日は、ここまで。

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販売のプロも感心した女性パティシエ「ワクワク」の伝え方とは?

巷を見渡せば、さまざまなおもてなしテクニックや商品販売スキルが氾濫していますが、とどのつまり、接客でいちばん大切なこととは何なのでしょうか。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、「販売員のワクワクがお客様に伝わることが大事」とした上で、そのためにできることを紹介しています。

ワクワクが伝わる

人の感情というものは、口に出さなくても何となく伝わるものですよね。良くも悪くもなのですが、販売員の接客でもこれは当然起こり得る話です。

つい先日も、そんな接客がありました。ある洋菓子店へ買い物へ行ったところ、若い女性店員さんが接客してくれました。妻の妹が我が家へ来ていたのですが、誕生日が近いということで、私が仕事の帰りにケーキを買ってくることになったのです。

いくつかケーキを選ぼうとしていると、「お手土産ですか?」と聞かれたので、「いえ、誕生日用にちょっと」と返します。誰の誕生日なのかなどを伝えていると、「楽しそうですね!お兄さんはどのケーキを食べる予定なんですか?」などと聞かれます。

「これとか美味しそうですよねー」

「これは一番人気なんですよ!これも美味しいんすけど、私はこっちのケーキもおすすめです。実は私が作ったケーキなので(笑)」

その女性店員さんは実はパティシエだったらしく、自分が作ったケーキを勧めたりもしてくれました。

この接客の間、特に接客的なテクニックがどうということでもなかったのですが、話をしていてとにかくワクワクしてくるのです。「これも美味しそうだな」とか、「また次に寄った時には、こっちのやつも買ってみようかな」という気持ちがどんどん膨らんできます。

これは何より、その店員さんのワクワクが伝わったからではないかと思います。

買わせるためのテクニックなどではなく、終始楽しそうに、自分たちの商品に興味を持ってくれたことに喜びながら接客をする。それにより、出てくる言葉もポジティブな言葉ばかりでしたし、どんな場面で誰と食べるのか、想像を膨らませながら会話が進んでいきます。結果的に、私は大満足で店を出て、自宅でも美味しくケーキを食べました。

接客で一番大事なことは、販売員のワクワクがお客様にも伝わることです。

「この商品、本当に良いんですよ」
「そんな場面で使ってもらえたら嬉しい」

そうしたことが、言葉には出さずとも接客中の雰囲気や表情や、いろんなことからお客様に伝わっていく。それができる人こそが、最もファンがつく理想的な販売員ではないでしょうか。そのために販売員ができることというのは、シンプルです。

興味を持つこと。

商品にしてもそうですし、お客様にしてもそうです。この商品がどんなものなのか、どうやって生まれて、今店頭に並んでいるのか。このお客様はどんな人なのか、どうして自分たちの店や商品を選ぼうとしてくれているのか。

そうしたことに興味を持つことで、ワクワクする気持ちも生まれてきて、お客様にも伝わるようになります。私もこういう接客が常にできるような販売をしたいと改めて感じました。

今日の質問です。

  • 人にワクワクが伝わるような時というのは、どんな時だと思いますか?
  • 自分がワクワクするためには、どんなことに興味を持つことが大事ですか?

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恐るべきオタフクソース。生涯ファンを作る「刷り込み戦略」とは

広島県が生んだお好み焼きソースの定番、オタフクソース。今やアジアや米国にまでその勢力圏を広げていますが、同社がファンを獲得するために打ち続けている、地道とも言える戦略がありました。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、広告やメディアに頼らない、オタフクソースの「刷り込み戦略」を紹介しています。

“刷り込み戦略”で、生涯ファンを創り出すオタフクソース

子どもの心を掴めば、親がついて来る。つまり、子どもにアピールして気に入られたら、子どもは親にねだって買ってもらおうとする、ということです。

この手法で成功しているのが、「オタフクソース」です。年間100カ所もの幼稚園をまわり、お好み焼きイベントを行っているのです。子どもたちに手伝ってもらい、お好み焼きを作り、みんなで食べるのです。子どもたちが楽しいのはもちろん、幼稚園にとっても無料でイベントができるので、非常に助かります。

このイベントで子どもたちの心に残るのは、楽しい想い出と「オタフクソース」のイメージです。楽しいことは家でもやりたくなり、親に「やりたい、やりたい!」とせがみます。そこで、家庭で作ろうとすると、当然、お好み焼きソースは「オタフク」でないと、子どもたちが納得しません。

これが、狙いです。

さらに、味の好みは子どもの頃に決まるので、幼稚園で経験した「オタフク」の味が好きなまま、大人になっていくのです。いわゆる、“刷り込み”です。生涯を通じた「オタフク」ファンの誕生です。

他にも、小中高校生を対象とした「工場見学」や親子・グループ向けの「お好み焼き体験教室」なども積極的に行っています。さらに、お好み焼き体験と一緒に、他の料理も楽しんでもらう、「パーティプラン」も提供しています。

このように、さまざまな角度から、オタフクソースとの接点を創り出すことで、お好み焼きと言えば「オタフク」、というイメージを刷り込んでいるのです。

オタフクファンが多いのは、広告やメディアに頼らない、こうした地道な努力の賜物だと言えます。

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