パワハラ防止策の落とし穴。ハラスメント担当者が訴えられる?

2019年5月にハラスメント規制法が成立し、企業にパワハラ防止策の実施が義務化されました。パワハラやセクハラ、妊娠出産をめぐるマタニティーハラスメントに関し「行ってはならない」と明記し、法律で義務付けました。その中のひとつに、ハラスメント相談窓口の設置があります。窓口を設置するということは、そこに担当者を置かなければなりませんが、どんな人が適任といえるのでしょうか。そこで今回は無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』をご紹介。著者で特定社会保険労務士の小林一石さんが、ハラスメント窓口の担当者が対応不足として訴えられた裁判事例を取り上げ、担当者の人選や教育について話しています。

ハラスメント相談窓口担当者の対応不足。損害賠償は認められるのか

ハラスメント相談窓口の担当者をどう決めるか。みなさんの会社はいかがでしょうか?通常ですと人事部長、もしくは、総務部長などがやられている会社が多いのではないでしょうか。また、あまり大きくない会社では社長がやられていることも多いかも知れません(社長がパワハラしたらどこに相談すれば良いのか、という問題はありますが…)。

担当者を誰にするかは、法律的な決まりはありませんのでどう決めるかは会社の自由です。ただ、いざというときにその担当者のハラスメント対応の仕方が問題になることもありますので、注意が必要です。

それについて裁判があります。

ある市の職員が上司からセクハラを受けたとして裁判を起こしました。その上司はバーベキューパーティーのときにその職員を膝にのせ、「不倫をしよう」と言ったり、別の歓迎会では「結婚しろ」「子供を産め」などの発言をしたというのです。

それと同時にもう1人、訴えられた人がいました。それは、ハラスメント相談窓口の担当課長です。その職員は担当課長の行為が「対応不足だった」と、主張したのです。

では、この裁判はどうなったか。

言うまでもないと思いますが上司の行為は当然ながらセクハラと認められました。これは特に深く考えるまでもありませんよね。では、相談窓口の担当課長の行為はどうか。裁判所は次のような点で担当課長の行為は「違法」と判断しました。

・担当課長は、セクハラがあったことを認識していたにも関わらず、その職員から事情を聞くこともせず、客観的な証拠の収集も行わなかった
・その職員が(セクハラ後に)職場で疎外感を感じていることを伝えているにもかかわらず、それをその職員の責任であるかのような発言をし、上司をかばうような発言を繰り返した
・結局、その職員へ何の対処をすることなく、また、上司に対しても懲戒等の検討をすることもなかった

結論として、これらの行為について慰謝料80万円の支払いを命じました。

いかがでしょうか。ここで、実務的には注意すべき点があります。それは「相談窓口担当者への教育」です。

みなさんの会社の担当者は万が一、ハラスメントの相談を受けた場合に、その対応は大丈夫でしょうか。人事や総務をある程度長く担当されている人であれば大丈夫だと思いますが、キャリアが浅かったり、別の部署からの異動であったりするともしかすると対応方法等の知識が不十分である可能性もあります。

もちろんその不十分を否定するわけでは決してありませんが、もしそうであれば学んでもらう必要はあります。その知識が不足していると、本人は一生懸命に対応しているつもりでも思わぬところで大きな問題になりかねません。

例えば、別の裁判例では、ハラスメント被害者から事情を聞く前に、先に加害者から話を聞いたことについて「対応が不備であった」と判断がされています。どちらから先に聞くべきかは法律で決まっているわけではありませんが、報復や証拠隠滅の恐れから通常は被害者から先に話を聞くべきでしょう。これも、この知識が無ければできないという人もいるかも知れません。

会社全体でハラスメントを行わせない仕組みづくり、雰囲気づくりをすることが大切なのはもちろんです。ただ、それと同時に担当者にはより専門的な知識が求められることを意識する必要があるのです。

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【書評】日本史好き必見。歴史は暗記するな、7つのツボを抑えろ

「歴女」という言葉が生まれてからだいぶ年数が経ちました。誕生のきっかけは「戦国無双」や「戦国BASARA」の人気からという説もあれば、大河ドラマに人気俳優やアイドルが出演するようになってからなど、様々な説があります。しかし、歴史に興味を持つことは良いこと。学生時代は暗記ばかりで好きになれなかったとしても、きちんとストーリー仕立てで覚えていくと、きっと歴史の楽しさもわかるかもしれませんね。そんな歴史に少しでも興味がある人のために、著者で編集長の柴田忠男さんが自らの無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の中で一冊の本をご紹介。実は7つのツボを押さえると、暗記しなくても日本史の流れがつかめるようになるという話をしてくれています。

偏屈BOOK案内:本郷和人『日本史のツボ』

61hgDmt3KGL日本史のツボ
本郷和人 著/文藝春秋

「○○を知れば日本史がわかる」と銘打った本。その○○とは、天皇、宗教、土地、軍事、地域、女性、経済の七つである。著者の本職は「大日本史料」の第五編という史料集を編纂することで、建長年間のことであれば日本一詳しい“たこつぼ”学者さん。日本史の流れを掴むとは、「ツボ」を押さえることだと考え、日本通史を七大テーマでまとめた。謙虚で丁寧な語り口が好感。

軍事がわからないと日本史はわからない。著者が「大東亜戦争」を「太平洋戦争」という、連合国側から見た呼称を用いるのは違和感があるが。戦後、軍事史の研究がなおざりにされた原因のひとつは、敗戦ショックで戦争=悪、軍事=悪という認識が日本国民のなかに刷り込まれたこと、もうひとつはイデオロギー的なもので、皇国史観の反動でマルクス主義的な唯物史観が勢いを持った。

軍隊=悪、自衛隊=悪という図式から、トータルな歴史科学としての軍事研究史はほとんど進まなかった。軍事とはその時代の政治、外交、経済、科学技術などと密接に結びついている。軍事を戦術、戦略、兵站の三つに分けると、それぞれは工学(技術)、政治学、経済学だといえる。戦略はまさに政治、外交に近接している。兵站(ロジスティック)は経済と密接に関係している。

その意味で常備軍は、財政上非常に重い負担となる。世界中で平時にはいかに常備軍を少なくするかに腐心している。しかし日本は、この兵站問題を歴史上ずっと軽視してきた。兵隊をいかに食わせて戦わせるかというテーマを真剣に考えたのは織田信長以降で、兵站の天才は秀吉である。だから、大量の軍勢を動員できたのだ。兵站を整えるには、それを支える経済力が必要になってくる。

つまり、軍事史とは戦闘の勝ち負けだけではなく、その背後にある政治、経済のあり方を学ぶことだ。「戦争に勝つためには何が必要か」といえば、敵を上回る(通説では3倍)戦力優れた装備、そして大義名分である。現実にどれくらい動員できたのか、応仁の乱はもちろん、関ヶ原の合戦、富士川の合戦、川中島などもおおいに水増しされている。史料を鵜呑みにしてはいけない。

戦争に勝つための第一条件は、敵を上回る兵力、第二に経済力+情報力、そして大義名分だ。何のために戦うのか、勝てば何が手に入り何を守れるか、これを兵にきちんと説明できないと、兵の士気が高まらない。そこで思想や文化といった要素が必要になる。戊辰戦争は薩長が仕掛けた「官軍VS.賊軍」というイデオロギー戦争だ。こう見ていくと、先の大戦で日本が負けたのは当然だ。

第一の兵力、第二の装備を調える国力で、アメリカのほうが圧倒的に強いのを分かっていながら、ゼロ戦や戦艦大和などの一点豪華主義で突破し、あとは奇襲などの戦術と、国民へのプロパガンダ=思想戦で乗り切ろうと考えたことにある。その思想戦に、皇国史観というかたちで歴史学も利用されてしまった。そもそも戦争に勝った、とはどういうことか。各論あるが著者はこう考えた。

「戦争を仕掛けた側が目的を達成できれば仕掛けた側の勝ち、達成できなかったら負け」。被害の多寡は問題でなく、最大の目的が達成されたかどうかで見るべきだという。よって、関ヶ原は東軍の勝ち、家康は論功行賞を行った。つまり戦後処理の段階で、既に徳川政権は確立していた。だから「1603年、家康が征夷大将軍に任命されたから、徳川幕府ができた」というのは間違いである。家康はとっくに天下人になっていたのだ。うわー、ナイスな考察!

編集長 柴田忠男

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あなたの接客の質を劇的に変える「これだけは聞け」という質問

お客さまのニーズを知るために必要なスキルと言えば「ヒアリング」ですが、何をどう聞けばいいのか曖昧なまま現場に立っている販売員の方も少なくないようです。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、「どんな商品を売っている人でも、絶対にこれだけは聞いておくべき」とするヒアリングポイントをレクチャーしてくださっています。

これだけは聞いておく

販売において、ヒアリングは重要だと常々言われ続けています。お客様のニーズを確認するため、そして、お客様に最適な商品を提案するためにも、ヒアリングは欠かせません。本気で売上を上げたい、お客様に満足してもらいたいと思うのならば、絶対に避けては通れないことです。

と、これだけいっても、実際に接客を受けると、ヒアリングをきちんとしてくれる販売員の方に出会うことは多くありません。「これを探しています」とこちらから伝えても、「あ、それならこれですね」と教えてくれた後延々と商品説明をされることがほとんどです。商品の使い方や機能説明といった商品説明も大事なのもわかりますが、もう少し聞いてくれないと、本当にその商品でいいのかどうか判断をつけることは難しくなります

でも、どんなことを聞けばいいのか迷ってしまい聞けないという販売員の方もいますよね。どんな質問をすればいいのか、何を聞けば良いのかがわからないという人です。そうした方は、もっとヒアリングについての勉強をする必要がありますが、とはいえ、それもキリがありません。

ですが、どんな商品を売っている人でも、絶対にこれだけは聞いておいた方が良いということがあります。「どんな状況で使うのか?」というヒアリングです。これは、ほとんどどんな商品にも共通して重要なヒアリングポイントだと思います。

例えば、洋服の場合。洋服を販売していて、「どんな状況で使うのか?」というヒアリングをする場合は、「どういう場面でお召しになるご予定ですか?」「何かお使いになるご予定はありましたか?」みたいな聞き方になるでしょう。

これにより、お客様がどんな場面で、どんな状況で商品を使いたいのかがわかると、色や柄や、コーディネートの仕方など、提案できる部分が一気に絞られてきて、提案がスムーズになります

例えば、雑貨などでもそうです。雑貨といってもいろんな種類がありますが、「こちらは、どんな場面でお使いになるご予定ですか?」と聞くことはできるでしょう。このヒアリングができれば、お客様が使う場面の想定ができ、そこに合わせた提案ができます。

ちゃんとした飲食店などで、お酒を頼むと、「お料理はどんなものをご希望ですか?」と聞いてくれますよね。料理に合わせて飲むお酒の種類や銘柄も、オススメのものが変わるからなのですが、まさにあの感覚と同じで、小売でも、お客様が使う状況に応じて、オススメは変化します。それを聞けるのが、この質問なわけです。

とにかくヒアリングが苦手という方は、まずは、この「どんな状況で使うのか?」という質問だけでもやっておくと良いでしょう。接客の質がグンと上がりますよ。

今日の質問です。

  • 「どんな状況で使うのか?」を聞くために、自身の接客ではどんな聞き方をしますか?

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子どもは飽きやすいものだから。毎日継続させるための二つの方法

習い事や宿題など、「すべきこと」がなかなか継続できないお子さんに頭を悩ませている方も多いようです。そんな親御さんのために、今回の無料メルマガ『子どもが育つ“父親術”』では、子どもの「継続」のために親ができる2種類のサポート方法が紹介されています。

継続は力なり

先日のイベントには、熱心なパパさんたち&のびのび元気な子どもたちが参加してくれました(^o^) この日にお受けした相談の1つが、「子どもは毎日ピアノの練習とひらがなドリルをやることにしているのだけど、なかなか継続できない」というもの。今日は、この“継続”をテーマにお届けしますね。

この相談事例のように“継続”がうまくできなていない時、多くの場合で2つの問題が同時に起きています。1つは、「やるべきことの存在を忘れる」です。子どもはもともと、忘れっぽい生き物。でもそれは、「いろんなことに興味を持てる」「目の前のことにすぐに集中できる」という子どもらしい長所の裏返し。忘れっぽいことを嘆いたり、直そうとする必要はありません

これについては、「忘れないようにする」ではなく、「忘れても、思い出せるようにしておく」との方向で対処しましょう。具体的には、冷蔵庫に日課表を貼っておけばOK。いちばん上には「タロウのやること」と書いて、子どもの顔写真を。次に、「ピアノ」と書いて、ピアノのイラストを添える。それから「ドリル」と、ドリル表紙の写真(同じ日課表に、宿題、時間割、歯みがき、お風呂などを一緒に盛り込んでも良いでしょう)。

その日の分が終わったら、終わった項目のチェック欄にお気に入りのマグネットを付ける。子どもが忘れている様子だったら、「今日の日課、あと何が残ってるかな?」と尋ねるだけ。全項目が済んだら、「おぉ~、もう全部終わってるのか!タロウは自分のやることをしっかりできているなぁ」と、大きな声で感心してあげることも忘れずに。

口で「…して」と言うのは、子どもが忘れてしまって親のストレスの元になりがち。また、親から「…しなさい」と言われたことは、子どもにとっては素直に従いにくく感じることもあります。貼り紙方式ならいつでも見える状態ですし、自分で見て自分で思い出せるため、子どもも動きやすいので、お勧めです!

それから、2つめの問題が「飽きて意欲が低下する」です。子どもがやりたくて始めたこと、好きで始めたことでも、時間とともに飽きてくることは、自然なこと。特に「継続することが力になる」タイプの取り組みは、逆に言えば「長い間継続しないと、力が付いたことが実感しにくい」ものでもあります。努力したことに対する手応えが得られにくいので、そのままでは「明日もやろう」「次もがんばろう」という意欲が引き出されないのです。

この傾向は大人でも同じですが、子どもは長い時間軸で物事を考えることが苦手なため、特に顕著です。「ずっと続けていれば、必ず上手になって、『やっててよかった』と思う日が来る」という話は、子どもには実感しにくいものだと知っておきましょう。

この問題に対しては、「長期的な意義を理解させる」が難しいので、「短期的な目標で意欲を引き出す」方法がお勧めです。専用のスタンプカードのようなものを作成して、1日練習する度にスタンプ(もしくはシール)を。10個たまったらこのご褒美、20個たまったらあのプレゼント…と設定して、子どもの感覚でもつかめる範囲にゴールを置いてあげます。この“ご褒美”“プレゼント”ですが、わざわざ高価なものを買う必要はありません

  • 夕食に希望のおかずを出してもらえる
  • 夕食にお刺身を追加してもらえる

などの食事系の優待でもいいですし、

  • パパが跳び箱になってあげて、10回跳ばせてもらえる
  • 公園までの行き帰りを肩車で連れて行ってもらえる

などの遊び系の特典でもいいでしょう。もちろん、

  • 好きなアイス1個買ってもらえる
  • みんなでパンケーキを食べに行く

などのご褒美があってもOKです。

令和元年最後の闇。かんぽ不正事件はどこまで腐っているのか?

連日報道され、令和元年最後の大スキャンダルといっても過言ではない「かんぽ生命不正事件」。背景を探れば探るほど、土下座の強要や勝手に会見を切り上げる社長の無礼な対応など、組織内部者の闇が芋づる式に出てくるばかり。18日に行われた記者会見では、ノルマ未達者には「お前は寄生虫だ!」などというどう喝指導が繰り返されていたことが明らかになりました。この出口が見えないかんぽ生命保険不適切販売問題について、ジャーナリストの内田誠さんが自身のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』の中で、今回の事件をめぐる社内調査と各紙の動向を独自の視点から詳しく分析しています。

かんぽ生命不正事件「社内調査」を各紙はどう報じたか?

ラインナップ

◆1面トップの見出しから……。

《朝日》…「意に沿わない契約 20万人」
《読売》…「かんぽ不適切契約1.3万件」
《毎日》…「かんぽ不正疑い1万2836件」
《東京》…「かんぽ不正黙認体質」

◆解説面の見出しから……。

《朝日》…「かんぽ 矮小化の風土」
《読売》…「郵政G 苦情を軽視」
《毎日》…「かんぽ統治不全 幕引きほど遠く」
《東京》…「営業現場 パワハラ横行」

「矮小化」

【朝日】は1面トップに2面の解説記事「時時刻刻」、14面社説。見出しから。

(1面)

  • 意に沿わない契約 20万人
  • かんぽ顧客 不満続出

(2面)

  • かんぽ 矮小化の風土
  • ノルマ偏重 不正調査は申告頼み
  • 違反認定670件
  • 経営責任 迫られる明確化
  • 「顧客本位なし」「問題たらい回し」
  • 統治の不全あらわ

(14面・社説)

  • 郵政不正報告
  • 経営体制の刷新が急務

uttiiの眼

2面。【朝日】は特別調査委員会の調査報告の中にある「矮小化」というキーワードに注目しつつ、調査が不十分だと批判している。

かんぽの社内調査は勿論、弁護士で構成する特別調査委員会による今回の調査も不十分であり、その報告書も「経営責任には切り込まず、全容解明にはほど遠い」というのが《朝日》の基本的な認識。

不正販売に走った局員たちは、あるいは手当欲しさから、あるいは上司の叱責、パワハラに脅えつつ不法な契約取りに手を染めたことが分かっているが、問題が一部で把握されながら是正に至らなかった理由について、報告書はかんぽに対し「問題が矮小化され、原因分析や再発防止策を検討しなかった」と指摘しているという。しかし、肝心の経営陣の問題認識や責任にはほとんど踏み込まなかったと批判している。

「矮小化」というのは分かりにくい

報告書は、かんぽの幹部も一部は認識していた不正契約の問題が上層部に伝わらなかったのは問題の「矮小化」があったからだというのだが、それだけでは、要するに「大した問題ではないとして、伝えられなかった」ということに過ぎない。上層部には問題を把握する責任がある。その問題把握の形式が定まっていなかったり、ゴマカシが利くようになっていたりしたはずで、もっと言えば、そもそも不正契約を防止する仕組みが、契約の様式の中に組み込まれていたのかどうかということも問題になるだろうし、その状態を放置した経営陣の責任は非常に重いということになるだろう。ビルトインされた段取りを正確に追う作業を、通常の注意力で行えば自然に問題が把握されるようになっているというのが「ガバナンスが利いている状態」だと私は思うが、そのような観点からの調査が必要なのではないだろうか。

情報の目詰まり

【読売】は1面トップと3面の解説記事「スキャナー」と社説、9 面に関連の連載記事。見出しから。

(1面)

  • かんぽ不適切契約1.3万件
  • 調査結果 中間報告から倍増
  • 郵政3社長 進退問題に

(3面)

  • かんぽ調査結果
  • 統治欠如 情報「目詰まり」
  • 「不適切」対象広めに 金融庁疑問視で
  • 「顧客本位」へ一から出直せ(社説)

(9面)

  • 郵政経営陣 危機感薄く
  • 再発防止より保身図る

uttiiの眼

3面解説記事。リードに「過度な目標(ノルマ)を強いた営業現場にはコンプライアンス(法令順守)意識が欠け、経営陣は顧客の苦情を軽視する企業体質を放置した。2万4000局の郵便局で築かれてきた信頼が地に落ちている」とある。

顧客の苦情を軽視する体質」が報告書の「矮小化」に繋がる言葉だが、実はもう一つある。【読売】の見出しに見えている「情報の目詰まり」がそれだ。だが、記事中に出てくるのは「上意下達の組織風土の中で現場の声が本社の経営層に届かない組織体制となっていた」という報告書の文章のみ。ということは、「情報の目詰まり」は【読売】の“創作”ということになろうか。キーワードは自作しても構わないとは思うが。

【読売】の解説記事最大の特徴は、この問題を通じて見えてくる政府内の対立についての記述だ。

記事の最後段。日本郵政グループの経営体制刷新を狙っているとされる金融庁と、早期に営業再開させたい総務省の対立があり、月内に金融庁が下す行政処分の軽重を巡っても、両者のさや当てが激しくなっていると【読売】は書いている。

中国に勝る古典は、我が国にあり。日本が誇る「3冊の古典」とは

深刻な問題となっている「日本の子供たちの読解力低下」ですが、その一因として読書不足が上げられています。大人たちに目を転じてみても、毎日の激務に追われ本を読む時間が取れない、という方も多いのではないでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、そんな日本人が読むべき、わが国が誇る3冊の古典を紹介しています。

日本が誇るべき3冊の古典

『致知』最新号では、内外の諸事情に詳しい加瀬英明氏と、『致知』本誌でもお馴染みの憂国の士數土文夫氏に、日本の憂うべき実情を克服し、新しい年を輝かしい未来への第一歩とするために成すべきことを語り合っていただきました。

その中で、數土氏が「日本が誇るべき古典として、ぜひいまの日本人に読んでほしい」と言われた3冊の本があります。


 

加瀬 「いまは学歴の高い人より、むしろ学歴の低い人のほうが起業家として成功していますね」

數土 「それはやっぱり挑戦しているからでしょうね。失敗を認めない受験勉強で勝ち上がった高学歴の人よりも挑戦する気概に溢れているからだと思います。

昔の財界にはそういう人物がたくさんいました。土光敏夫さん、松下幸之助さん、石坂泰三さん、本田宗一郎さん。

こうした方々の自律心、そしてそれに基づく国家観、歴史観、倫理観というのは、やはり若い時から厳しい環境の中で挑戦を続けてきたことを通じて養われたものでしょうね。

先ほど、ゼネラル・エレクトリックで上級副社長を務めていた友人と会ったんですが、現職時代は会長のジャック・ウェルチさんから『君も本を読め』と盛んに言われていたそうなんです。ウェルチさん自身は『大国の興亡』といった本を愛読していたそうで、やはり優れたリーダーというのは、歴史や古典を学ぶことを通じて国家観、歴史観、倫理観を養っていることを改めて実感しました」

加瀬 「おっしゃる通りです」

數土 「本といえば、明治天皇が素晴らしいと思うのは、二宮尊徳の生き方を高く評価され、これを広めようとなさったことです。

内村鑑三は『代表的日本人』に、この二宮尊徳と共に上杉鷹山、中江藤樹、日蓮、西郷隆盛を挙げていますが、いずれも自律自助の人生を生きた人でした。高い志を持ち、自分を律し、努力することで人生を切り開いた人たちであって、他人に頼っていなかった」

加瀬 「クラーク博士が『ボーイズ・ビー・アンビシャス』と言いましたけれども、別にクラークさんから言われなくても、あの時代の日本の男子は皆大志を抱いていましたね」

數土 「私は、日本には中国に勝る古典があると思っています。それはこの内村鑑三の代表的日本人と、新渡戸稲造の武士道と、福澤諭吉の学問のすゝめ』です。いずれも僅か百年余り前に発刊された本ですが、この3冊は日本が誇るべき古典として、ぜひいまの日本人に読んでほしいですね」

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無関心がマンションを崩壊させる。住民を総会に集める「秘策」

修繕積立金が不足して老朽化する一方なのに、マンション総会の出席は理事のみ…。こうした、住民達の物件管理や維持の意欲が薄れている「マンションの魅力を取り戻す手立て」はあるのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、約1年かけ住民の意識改革に成功した管理会社の取り組み事例を紹介しています。

総会出席率を劇的に上げた1年間の工夫に脱帽

こんにちは!廣田信子です。

マンション・バリューアップ・アワード2019」の部門賞を受賞した事例の中で、ぜひ、みなさんにシェアしたいものがありました。管理会社のフロント担当の方が、築13年のマンションを担当することになり、住民の関心の低さをなんとかしようと、1年かけて、住民間のつながりづくりをし、その中で、建物の維持管理への関心を高め、重要な合意形成を円滑に進めた事例です。

そのマンションでは、第1回の大規模修繕工事は、資金不足もあり1年遅れではありますが、何とか実施することが総会で決議できましたが、そこで資金を使い果たすことになり、今後、長期修繕計画に基づくと、修繕積立金を2.8倍に上げなくてはなりません。たぶん、当初の修繕積立金設定のまま、一度も見直されることがなかったのだと思います(私の推測です)。しかし、総会の出席者は理事のみで、住民の方々にその必要性を説明することもできません。そこで、フロント担当の方は、理事以外の住民の方に説明の場に参加してもらうために、様々な工夫をするのです。

住民は、比較的若いファミリーと定年退職後のご夫婦に二分されていたことから、まず、若いファミリーに関心を持ってもらおうと、大規模修繕工事の中間検査の時に、子供たちが「工事体験できるイベントを企画し、その後で「長期修繕計画の説明会」開催することとしました。

体験会では、べニアで壁をつくっておいて、シーリングガンでシーリング体験をし、また、ペンキで思い思いの絵を描くというものです。絶対に子供ならやってみたいと思いますよね。

案内にも工夫をしました。「必ずお子様もご参加ください」と記載し、配布した説明資料の裏面には塗り絵ができるようイラストを入れ、最後のページは切り取って折り紙ができるようにしました。なんて、きめ細かい気配りなんだろうと思いました。

その説明資料を見ただけで、お子様ウェルカムの思いが伝わり、小さい子供を連れて行ってもいいんだな、じゃあ、子供も喜ぶから参加してみよう…と思いますよね。結果は上々、若いファミリーはほとんどが参加し、全体では40世帯中20世帯の参加となりました。その場で、長期修繕計画と積立金の値上げの必要性についても、話を聞いてもらうことができました。

さて、今度は高齢世帯に関心を持ってもらうにはどうしたらいいか…です。で、高齢世帯と若いファミリーを繋ぐ企画を考え、駐車場を利用しての花火大会を開催することにしました。管理組合が花火と飲み物などを用意し、子供たちと高齢の方をグループにして、いっしょに楽しめるように工夫しました。

子供たちは、みんなで集まってする花火が大好きですから、それはたのしい時間になったでしょう。若いお父さん、お母さんは、車の整理や警備に当たりました。子供たちが喜ぶことのためには親は労をいといませんから。みんなが顔見知りになり、一体感を感じる機会として、最高の企画だと思いました。花火大会終了後には、また同じように、長期修繕計画と積立金の値上げの必要性について参加した30世帯に話を聞いてもらいました。

1年かけて、人のつながりづくりをしながら、長期修繕計画と積立金の値上げの必要性についての理解を深め、いよいよ総会となりました。そこで、最後の一工夫です。

軍事アナリストが警戒。シュライバー米国防次官補の退任の意味

米国防総省インド太平洋安全保障担当のシュライバー氏が年内にも退任の意向との報道がありました。メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さんが、トランプ政権で相次ぐ政府高官の退任、とりわけ対中強硬派のシュライバー氏の退任の意味を解説し、注意が必要だと呼びかけています。

シュライバー退任の意味

トランプ政権の安全保障政策、とりわけインド太平洋方面への関与を占うキーパーソンが表舞台から姿を消そうとしています。

アジア担当の国防トップ退任へ 米政権、選挙前に進む空洞化
  「米国防総省のシュライバー国防次官補(インド太平洋安全保障担当)が近く退任することが11日、複数の関係者への取材で分かった。北朝鮮情勢が緊迫する中、インド太平洋地域を統括する高官の退任が米国の安全保障政策に影響を与える可能性もある。トランプ政権では政府高官の辞任が相次いでおり、来年秋の大統領選を前に空洞化が一層進むとみられる。
  関係者によると、シュライバー氏は年内にも退任する意向を伝えた。国防総省は時事通信の取材に回答していない。同氏は2017年10月にトランプ大統領に指名され、18年1月に就任した」(12月12日付 時事通信)

13日付の産経新聞は、退任の理由を「家族と一緒に過ごす時間を確保するため、多忙な職務から退く判断をした」と伝えています。

読者諸賢はご記憶のことと思いますが、このメルマガでは過去に2回、シュライバー氏を取り上げています。2017年11月2日号の編集後記と2017年2月9日号のストラテジック・アイ「トランプの対中政策を握る男」です。

その中で、対中強硬派というだけでなく、台湾側と非常に近い関係にあること、シュライバー氏が主宰するシンクタンク・プロジェクト2049は中国の軍事問題について高い知見を有しており、台湾側には民進党か国民党かを問わず、強力な財政面のスポンサーが存在すること、再選が有力視されている蔡英文総統が就任時の訪米でシュライバー氏と秘密裏に会食したことなどをお伝えしました。以上については、バックナンバーをご参照いただければ幸いです。

このシュライバー氏は、おりに触れて日本政府が意見を求めるリチャード・アーミテージ氏のアーミテージ・アソシエイツのパートナーであり、私も2回、会ったことがあります。

トランプ大統領は、アーミテージ氏が批判的な発言をしていることに不快感を示しており、当然、シュライバー氏についてもアーミテージ人脈とみなしていると思われたのですが、それを抜擢したのは手腕を高く評価してのことと思われます。

シュライバー氏は国防次官補に就任したあと、期待に応えるかのように対中強硬姿勢を鮮明にしていきます。日本に関係するだけでも、「尖閣諸島は日本の施政権下にあり、日米安保条約の適用対象」(2018年11月21日)、「中国民兵の漁船と中国海軍と区別しない」(2018年11月22日)といった発言は記憶に新しいところですし、韓国との日韓GSOMIA(包括的軍事情報保護協定)についてもアメリカ側に事前通告がなかったことを公表、韓国側に協定破棄の再考を促しています。

このようにながめると、シュライバー氏の退任は、トランプ大統領が中国との経済問題を関税の一部引き下げなどの形で決着させ、それを成果のひとつとして来年11月の大統領選挙に臨む姿勢を示しており、中国側とのディールの中で対中強硬派のシュライバー氏の退任が条件になったとも囁かれています。

同様に、北朝鮮に対しても強硬派のボルトン大統領補佐官を更迭してシグナルを送ってきたトランプ氏です。日本としては、中国だけでなく、北朝鮮を「着地」させるうえで示唆に富んだシュライバー氏の退任だと受け止め、注意を怠らないことが肝要です。(小川和久)

image by: United States Department of Defense [Public domain], ウィキメディア・コモンズ経由で

【佐渡島庸平×MB】明日のビッグヒットに繋がる「コンプレックスの活かし方」

メルマガ『【最も早くおしゃれになる方法】現役メンズバイヤーが伝える洋服の着こなし&コーディネート診断』の著者で、人気ファッションアドバイザーとして様々なメディアから引っ張りだこのMBさんと、『ドラゴン桜』『宇宙兄…

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習近平がアメリカに忖度?中国859品目の輸入関税引き下げへ

中国政府は来年1月1日から冷凍豚肉やオレンジジュース、医薬品、紙製品、一部のハイテク部品など859品目に及ぶ輸入関税の引き下げを発表したと日本経済新聞ブルームバーグが伝えている。米中の貿易協議が第1段階の合意に達したことを受け、中国が積極的に市場を開放する姿勢をアピールする狙いがある。国内の製造業の支援もにらみ、関連の部品などの関税も引き下げるという。

859品目にも及ぶ関税が下がる

より開かれた貿易を行うための措置だとし、859品目の輸入関税引き下げを決定した中国。そのきっかけとなるのは、アメリカトランプ政権にあるのは明らかだ。中国国内ではアフリカ豚コレラ(ASF)がまん延し、豚肉価格が急騰。輸入の拡大で価格上昇を抑える狙いがある。また、オレンジジュースの生産大国はアメリカであり、対米をにらんでの措置だと思われる。

他に関税が引き下げられる主なものは、中国の先進技術を進歩させるための措置として、半導体検査装置や高圧タービン、自動変速機などを引き下げる。また、ぜんそくや新型の糖尿病の治療薬の原料などの関税も下げ、新薬の生産を促進していく。
他に引き下げが予定されている品目には、スマートフォンのカメラセンサーや液晶ディスプレー用ガラス、高級テレビやスマホに使われる有機ELスクリーン、半導体検査やソーティング装置なども含まれているという。中国政府は「この措置により、ウィンウィンの新たな国際貿易情勢を切り開く」とし、市場開放の姿勢をアピールした。

関税引き下げで日中韓サミットに与える影響は?

中国の動きが活発だ。日本に対しても、BSE(牛海綿状脳症)問題を受けて禁止していた日本産牛肉の輸入を18年ぶりに解禁していたことが明らかになったばかり。一部輸入が解禁されたのは、生後30カ月以下の牛の骨なし肉だという。
また、22日には約3年ぶりに日中韓貿易担当相による会合が行われ、自由貿易協定(FTA)の交渉促進や、東アジア地域包括的経済連携(RECP)の早期締結に向けた協力確認などを盛り込んだ共同声明が発表された。

24日中国で行われる、日中韓3カ国首脳による日中韓サミットでも、貿易や関税に関する話が行われると見られ、その話し合いの中身に注目が集まっている。その経済成長に陰りが見えるとも言われている中国。今回の一連の流れにどのような思惑があるのだろうか?