ビジネスに欠かせない思考と言われる「ロジカルシンキング」。しかし、そこには「罠がある」と 話すのは、Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍されているメルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』の著者・尾原和啓さんです。今回は、変化の時代に対応するための術を解説しています。
変化の時代のロジカルシンキングの罠
4月に入って、みなさんいろいろなことを学び始めていると思います。特に4月は、「ロジカルシンキング」などをするのが多いのではないでしょうか?
今日は、「ロジカルシンキングは間違えると犬の道になっちゃうよ」という話をしたいと思います。
“犬の道”って何かと言うと、ワンコって「どこに餌があるかなー」ってウロウロして、最終的に実は自分の近くにあった餌場に気づく。こういう、元気で体力があるがゆえに、いろんなところをウロウロしてしまって疲れてしまうことを“犬の道”って呼ぶんですね。
ロジカルシンキングの2つの罠
「尾原さん、一見すると『ロジカルシンキング』は論理的に物事を分けることによって、効率的に物事を分析する手法なんじゃないですか?」ってみなさん思うかもしれないんですけど、これには2つ罠があります。
1つ目の罠
「ロジカルシンキング」の基本的な概念を“MECE(ミッシー)”と言います。
物事を区分けしていくときに、「この部分、探すの忘れてたよ」みたいな漏れがあったり、AとBのやり方をしていて結果的にAとBで重なりがあったら、「同じこと2回やってるよ」みたいなことが起こる。こういうのを「漏れやダブり」がないように、
・物事を量と質に分ける
・物事を分析するときに、3C(Consumer=ユーザー、Company=自社、Competitor=競合)のかたちで見る
というのがMECEの考え方ですが、本当に漏れなくダブりなく、全部を見なければならないのでしょうか?
変化の時代は、今のお客さまじゃないお客さまや、今の自分の強みじゃないところにいかなければなりません。今、西野(亮廣)さんが言っているような「意味変」の話です。
例えば、アロマキャンドルは、もともと光を提供するところで電気より圧倒的にボロ負けしてしまう。でも、「ロウソクの光の揺らぎはロマンティックな気持ちにさせる」という意味を抽出することで、
・ロウソクは小さくて揺らいだほうが、よりロマンティックさが求められる
・アロマという匂いを付けたことで、ロマンティックさを増幅させる
という話に変わりました。もし、「灯りとしてのロウソクの3C」を“犬の道”でウロウロしていたら、こんな正解には至らなかったでしょう。
つまり、昨日までの正解が今日正解じゃなくなる時代において新しい意味を見つける時には、自分の内側にあるものを大事にしたり(インサイド・アウト)、「クリティカルシンキング」として前提を疑って新しく作り直すことが大事です。
2つ目の罠
新しい意味が見つかったあと、それをどうやって一番効率よく実施していくかという時に「ロジカルシンキング」を持ってくる。
この順番を間違えると、今の前提条件の中でウロウロしてへとへとになってしまうんですよね。
4月になって、「ロジカルシンキング」や「ピラミッドストラクチャー」を身につけるのは武器としては大事です。
でも、それを過信しすぎて今すでに正解ではなくなっているエリアの中で「ロジカルシンキング」を展開したら、疲れるだけの“犬の道”になってしまいます。
そうではなくて、新しい意味を見つける。みんなが「そっちになんて行かないでしょ?」って言っている雲の上の星を見つける。それをやってから、次に「ロジカルシンキング」という順番で考えていくことも大事です。
まとめ
新しい意味だったり、みんなが「そっちじゃないでしょ?」って言ってるバイアスを超える(雲の上の星を見つける)力は冒険を紡いでいくところで、いろんな人とつながっていくことでみえてくる。そこで、オンラインサロンが有効になってくると思うんですよね。
というわけで、今日は「ロジカルシンキングは使い方を間違えると、むしろヘトヘトの犬の道に至るよ。そうならないための2つのヒント」というお話をさせていただきました。
・ヒント1 新しい意味を見つけてから、ロジカルシンキングという順番で考えていく
・ヒント2 新しい意味を見つけるときには、自分の内側を大事にしたり、クリティカルシンキングで前提を疑って新しく作り直す
4月、新しい学びが広がるシーズンなので、みなさんも変化の時代を楽しんでいければと思います。じゃあね~。
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