世界的エンジニアが提言、日本の製造業を再び世界一にする方法

かつてはあらゆる面で「世界一」と言われた日本の製造業ですが、平成を経て令和の今、以前の面影もないほど悲惨な状況となっています。もう一度輝きを取り戻すことはできないのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では著者で世界的エンジニアでもある中島聡さんが、「我が国の製造業を挽回させる唯一の道」を記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2019年9月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじまさとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

米中の貿易戦争は日本にとってチャンスなのか

トランプ政権による中国からの輸入品に対する制裁関税が9月1日に発動されました。12月にはさらに品目が追加され、中国からの輸入品ほとんど全てに10%の関税を上乗される事になります。

これには色々な意味がありますが、大雑把に言えば、

  1. 選挙のための人気取り
  2. 中国に対する制裁
  3. 中国に製造を委託している米国企業に対するメッセージ

の3つ意味があります。

マスコミは、1と2ばかり強調しますが、もっとも本質的なものは3番目です。

米国で暮らしていると日々感じる事ですが、米国で入手できるほとんど全てが外国産で、そのうちもっとも多いのが中国産です。

米国の市場は、競争原理が健全に働いているため、企業に対する進化圧が厳しく、経営者はビジネスの効率化を常に行います

設備投資が必要で、かつ、固定的な人件費が必要となる製造ラインを外部委託するのは当然の流れでした。

スティーブ・ジョブズが復帰してからのAppleが典型的な例で、自社工場を全て閉鎖し、製造を全て外部委託する事により、固定資産と固定費を減らし自分たちが得意な事(ハードウェアの設計、ソフトウェアの開発、ユーザー体験の提供)だけを集中して行う企業体へと生まれ変わったのです。

日本ではあまり意識されていないかも知れませんが、この時に米国の企業が参考にしたのが、トヨタのカンバン方式カイゼン」です。80年代に米国の家電・自動車産業が日本企業に壊滅的な打撃を受けた時に、「なぜ日本企業は米国よりも品質が高くて良いものが作れるのか」に関する研究が盛んに行われ、その中で象徴的な事例として注目されたのが、トヨタの「カンバン方式」と「カイゼン」だったのです。

私は、2000年代に米国でMBAを取得しましたが、Business Operationの授業で徹底的に教えられたのが、この二つです。「カンバン方式在庫リスクを下請けに負わせる事により自分たちが持つ在庫を究極にまで減らす手法、「カイゼンはわずかな改良の積み重ねによって製造工程を効率化し続ける手法の代表として、“Kanban”、“Kaizen”という言葉を使って、学生に徹底的に教えるのです。

米国企業は、この日本から(正確にはトヨタから)学んだ手法をさらに極め、実際の製造を人件費の安い中国にアウトソースする事により、「日本よりも品質の良いものを、日本よりも安く」製造する事に成功したのです。

その結果、誕生したのが、

  • $1T(約100兆円)の企業価値を持つApple
  • 中国で生産されながら高い品質を誇るiPhone/MacBook
  • Foxconnに代表される「世界の工場」としての中国

だったのです。

一方の日本企業は、日本特有の雇用規制により簡単に人が解雇できないため、製造ラインのアウトソース化が進まず、(中国と比べて)高い人件費のために高い製造ラインを抱えたまま、次第に競争力を失って行ったのです。

さらに悪い事に、本来アウトソースすべきでないソフトウェアの開発を下請けに丸投げするというITゼネコン方式でソフトウェアを作る文化が出来てしまったため、もっとも重要なソフトウェアで勝負が出来ない企業になってしまったのです。

恩着せがましい「軽減税率」を「天下の大悪法」と断言できる理由

消費税が10%に引き上げられる10月が迫ってきました。日本の現状から多少の増税は「やむなし」と諦めていても、新消費税については「天下の大悪法である」と断言するのは、メルマガ『8人ばなし』を発行する山崎勝義さんです。山崎さんは、「軽減税率」が採用されたことにより、分かり易さが失われる弊害を訴え、何よりその対応という「手間賃」を支払わされる小規模の小売業者への大きな影響を憂慮しています。

軽減税率のこと

いよいよ来月より「新消費税」が始まる。今更言葉を選んでいても仕方がないのではっきりと言う。これぞ天下の大悪法である。

無論税金は安いに越したことはない。しかし国のことを思えば我儘勝手ばかりも言えない。現状の人口動態を見れば多少の増税はどうあってもやむなしといったところである。これに関しては、どうだろう、国民のコンセンサスは得られていると概ね言ってもいいのではないだろうか。少なくとも「やむなし」と飲み込める程度には納得できているのではないだろうか。

そういった国民の覚悟(と言うより諦め)を全く無視するような形でこの制度にみっともなくぶら下がっている条項が所謂「軽減税率」である。

連立政権の場合、それぞれの与党がその存在感を示すべく一本の法案に対して党独自のアイデアを条項として付け加えていくことが多い。あるいはそうしてそれなりに良くなることもあるのかもしれないが、大概は悪くなる。連立政権というものの最大の弊害であると言えるだろう。

そもそも消費税は、一年に一度きりの個人の確定申告や法人の決算申告とは異なり、毎日財布を開く度に支払うものである。となれば一番求められるべきは分かり易さである。何もわざわざ面倒くさくする必要などないのである。面倒くさければ、いつまでも引っ掛かるし、いつまでも気になるから、一旦は「やむなし」と飲み込んだ筈のものがいつまでたってもストンと腑に落ちない。何事においてもそうだが慣れないというのは結構なストレス要因である。

大体さも恩着せがましく「軽減税率」などと言ってはいるが、よくよく考えると「増税後軽減税率」なのであって現時点から言うとただの現状維持である。

先の参院選でも、これもまた恩着せがましく頻りに「庶民の味方」などと言ってはいたが、どうだろう、例えば月に10万円の食費がかかる世帯に軽減税率分(=2%)に当たる2千円を支給して「これであなた方の生活も楽になるだろう」と言えるほどの蛮勇の持ち主などいないのではないか。ただでさえ暑いのに、こう「がましく」恩を着せられたのではとんだ厚着になってしまう。

人を育てる側の人間が、部下の「震える瞬間」を知るべき理由

同じ業務を任されている販売員でも、日々の仕事のどの部分、どの瞬間に最もやりがいを感じるのかは個人個人で異なってくるものです。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、販売員のやる気スイッチを入れるには、まず各々の得意分野を把握する視点が重要だと指摘しています。

震える瞬間

真剣に販売をやっている方には、わかってもらえると思うのですが、販売をやっていて震える瞬間ってありませんか?

例えば、自分が思った通りに接客が進んで思っている通りに販売ができた時。例えば、お客様から本当に嬉しい言葉をいただけた時。例えば、過去最高の売上を叩き出した時。

結果が出たかどうかに関わらず、そんな時は、思わず身体が震えてしまったり思わず鳥肌が立ってしまうような思いをしてしまうことがあります。私だけなのかなとも思っていたのですが、仲の良いトップ販売員の方々に聞いてみると、やっぱり皆さん、同じような体験をされている方ばかりでした。

さて、なぜこんな話をしているのか。

もちろん、そういう体験を大事にして、意識を高く持って、接客に向かいましょうという話もあります。

ただ、こういう体験は実は上司や先輩など人を育てる側の人にとって大事なことでもあるのです。なぜなら、そんな瞬間がどんなものなのかを知ることで、その人のモチベーションが上がる瞬間が見えるからですね。

先ほど、いくつかの事例を挙げました。売上を上げた時や、お客様から言われた一言など、震える瞬間というのはいくつもあります。しかし、その瞬間は人によって違います。お客様が対象になっている人もいれば、売上や、何か別の結果が対象になっている人もいるわけです。つまり、自分の部下や後輩たちがどんな瞬間にモチベーションを感じるかがわかれば、そこに対して目標を持たせたり、興味を持たせることが可能になってくるのです。

売上を上げた時に震えるような瞬間を感じる人なら、売上に対して目標を持たせることで、モチベーションを上げさせることができるし、お客様に嬉しい一言がもらえた時にそう感じる人なら、そんな言葉をもらえるような仕事の仕方を目標にさせることもできます。そうすることで、当の本人の興味の対象に則した目標設定ができるため、高い意識のまま、仕事に向かってもらえる可能性が高まっていきます。

どんな人も自分の興味や関心がある部分には高い意識やモチベーションを持って動きたくなるものです。そこをいかに知るか。人を育てる側の人は、そういう部分にしっかり目を向けて、関わっていく必要があるのではないでしょうか。

今日の質問です。

  • 自分の部下や後輩たちの、震える瞬間を知っていますか?
  • それを知るためには、どんな関わり方が必要でしょうか?

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魚を与えるか、獲り方を教えるか。自分で考え動ける部下の育て方

仕事をしていく中で何らかのリーダーになると、自分でも仕事を回しながら同時にメンバーへの指導もすることになり、どこまでをメンバーに任せどこからフォローに回るのかなど、戸惑うことも多いと思われます。今回の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを!』では著者の石丸智信さんが、自立・自律心のある人材を育成するために、リーダーが肝に銘じておくべき大切な考え方を紹介しています。

リーダーは、お米、お魚を与えるだけでいいのだろうか

以前、聴講した職場のリーダーが集った研修の中で、「リーダーは自ら考え、動くだけではなく、メンバーも自ら考え、動くことができるように、リーダーは促していかなければいけない」という趣旨の講義がありました。

その講義の中で、リーダーは、「お米を与えるだけではなく田植えの方法を教えることが大切」というお話しもありました。まさに、メンバーが永続的に成長していけるように、リーダーは促し、サポートしていくことが重要ということが言えるのではないでしょうか。

お米と田植えの関係と同じような例え話に、このようなものがあります。

お腹を空かした人に、1匹の魚を与えたらその人に1食分の食料を与えたことになる魚の捕り方を教えたらその人に生涯食料を与えたことになる

お米・魚を与えることによって、お腹を空かして倒れそうになっている人を救うことができます。その場の空腹を満たすことは、あくまでも、緊急避難的であり永続的に空腹を満たすことは難しいでしょう。そして、お米・魚を与えたことで、与えられた側が、与えてもらうことに慣れてしまって、依存するようになってしまう可能性もあります。

田植えの方法、魚の捕り方・釣り方などを教えて、あとは見守ることによって、その人は状況に応じて、教えてもらった田植えの方法、魚の捕り方、釣り方を自分なりに工夫、応用して、お米をつくり、魚を捕るようになります。そこではじめて、その人自身が持っている力が発揮されて、自立自律心も芽生えるのではないでしょうか。

リーダー(教える側)は、メンバー(教えられる側)に答えや知識などを直接伝える(お米・魚を与える)ことも必要ですね。それに加えてその学び方やり方(田植えの方法、魚の捕り方・釣り方)などを教えることが大切になってくるように思います。

ある問題に対して、リーダーが、そのままその答えや知識などを教えたり、リーダー自らが動いて解決してしまうことは簡単なことかもしれません。そして、教えられる側も、その問題の答えや知識などを教えてもらった方が、その時は有難いし、嬉しく感じますね。

しかし、また違う問題が出てきた時には、メンバーは、その答えを導く術を知らないので、自らで解決することは難しくなります。メンバーに対して、その問題自体の答えを教えることに加えて、問題解決の方法やプロセスを教えることにより、違った問題が出てきても、メンバーは自らの力で解決することができるようになるのではないでしょうか。

リーダー(教える側)が、メンバー(教えてもらう側)のためにできる最も価値のあることは、答えそのものを与えるのではなく、その答えへと導く方法などを伝える、教えることなのかもしれませんね。こういったことをリーダーが、伝え、教えることによって、メンバーは、自分自身で成長することができ、将来どんな問題にもひるむことなく対応できる人財となるのではないでしょうか。

あくまでも、知識などをインプットするということは、自分自身が、持っている力を発揮するためのきっかけをつくる素のようなものだと思います。これからは、自分自身で学び考え行動し成長していけるような自立自律心のある人財へと育成していくことが、ますます重要になってくるのではないでしょうか。

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元料理人が伝授する「焼き厚揚げ」をもっとも旨く食べる方法

お酒のアテに最高な一品といえば、焼き厚揚げ。ところが自宅で居酒屋の味を再現しようとしても、なかなかうまく行かないのが現実です。今回の今回の無料メルマガ『おひとりさんが健幸的に食べるシンプル調理の和風レシピ!』では、著者で元プロの料理人・佐藤 周生さんがそんな悩みを解消すべく、「目からウロコ」の焼き厚揚げ調理法を紹介しています。

焼き厚揚げは、“この調理法”がベスト!

佐藤です。今回は、居酒屋料理の定番「焼き厚揚げ!」を伝授します。

炉端焼きで食べる「焼き厚揚げ」、美味しいですよね。あれ、何で美味しいかというと一番のポイントは、適度な焦げ目”。厚揚げは、揚げてあるので油が表面に含まれていて、直火に当たるほど焦げやすいのですが…。その焦げがある方が香ばしくて、美味しく感じるのですね。なので、厚揚げは、焼いたり炙ったりして食べるのがおすすめなんです。ですが、厚揚げは“厚み”があります。例えば、フライパンで焼くと中まで熱が通るまでそこそこ時間がかかる。じっくり長く焼く必要があるので、焦げすぎないように弱火が鉄則。強火で焼けば、中まで熱が入る前に表面が真っ黒になりますからね。だから、弱火…。

でも、この焼き方だと今度は、香ばしさを出すための焦げ目がなかなか付かないですし弱火ですから時間もかかる。網焼きの場合でも、同じだと思います。そこで、焼き厚揚げを作る際のおすすめの方法は…「お湯で茹でて直火で炙る」。茹でる方法なら、強火で加熱しても焦げることはありません。お湯で茹でて、中まで熱を通しておいて後は、網などにのせて、コンロの直火で炙って適度に“焦げ目”を付けるだけ。このやり方のほうが、フライパンで焼くより若干早い。茹でて中まで加熱しておけば、表面に焦げ目を付けるだけなので強火で一気に炙れます。茹でるが3分くらい、炙る作業は、1分もかからないと思います。調理時間たった4分程度で最高に美味しい焼き厚揚げが作れます。で、茹でる作業には、“油抜き”の効果もあります。市販の厚揚げや油揚げというのは、多くの場合、安い油を使って揚げているので、油の質がよろしくない…。私が居酒屋で働いていた時も、原価をできるだけ下げる必要があったので、そのような安い油を使ってました。一回使うだけで、けっこう酸化してクサイ…。一斗缶で1,500円くらいだったと思います。料理の修行をした天ぷら専門店で使っていた油は、一斗缶で6,000円。この値段の差ですから、油の質の差もかなりあるのではないかと…。私の地元に手作りの豆腐屋さんがあって油揚げも手作りしていますが、外に並べられていた空の一斗缶をみると、当時、私が居酒屋で使っていた油と同じでした…。なので、健康を考えるなら市販の厚揚げや油揚げは、「油抜きした方がいいと思います。その点、今回の焼き厚揚げの調理法なら、“茹でる作業”で加熱しながら「油抜き」もできます。

で、1つだけこの調理法のデメリットがあります。それは、表面がカリッとならない。茹でるので、水分を含んでしまいちょっとベタっと仕上がるのですね。もし表面をサクっとした食感にしたいなら、弱火で長めに炙って下さい。時間をかけるほど、サクサクっとした食感になります(水分がなくなるので)。時間との相談ですが…。べちゃべちゃで食べにくい、ということは無いので、サクサクにこだわらなければ、美味しく食べて頂くことができます。

私、先日久しぶりに焼き厚揚げを作って食べました。やっぱり出来たて、熱々は最高に美味しいです。熱々だからこそ、炙った焦げの香りが引き立って美味しさが増します。それでは、詳しいレシピを見て下さい。

レシピ 

【材料】(1人前)

  • 厚揚げ……1丁
  • おろし生姜、刻みネギ、花カツオ……各少々

 

1.湯を沸かし沸騰したところに厚揚げを入れて、強火の弱で2分半~3分茹でます。

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2.このように油が出てくるので、玉じゃくしですくい取って下さい。

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3.ザルに空けて水気を切ります。

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4.コンロに網をのせ、中火~強火で炙ります。

網が無い場合は割りばしで挟んで炙って下さい。

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5.少し焦げ目が付くくらいまで炙ります。

全体に焦げ目が付いたらOK!焦げないように弱火で何度も返しながら、長めに炙れば表面がカリッと仕上がります。

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6.まな板にのせ、4等分に切ります。

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7.器に盛ります。

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8.おろし生姜、刻みネギ、花カツオをのせて完成です!

醤油をかけて食べて下さい。

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お好きな酒類を準備しておいて、熱々で食べるのが最高に美味しい食べ方です。厚揚げを買って、作ってみて下さい!

購入まで1ヶ月待ちの人気ポテトチップスが、それでも売れる理由

 「ここでしか手に入らない」となれば購買意欲がそそられてしまうのは人の常。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、「希少性」を売りにして話題となっている高級ポテトチップスを取り上げ、その戦略を紹介しています。

通販限定の「ポテトチップス」は、なぜ売れているのか?

ネット通販でしか手に入らない「ポテトチップス」をご存知でしょうか。菊水堂というメーカーの『できたてポテトチップ』。自社工場から直接お客さまに発送しています。一部店舗で販売はしているものの、基本的には通販のみとなっています。できたてのポテトチップスが、早ければ次の日には届くので、できたての美味しさが評判となり、少し前まで、1ヶ月待ちの状態が続いていました。

チップスは、スライスして揚げただけという素朴な見ため。決して、上品さはありません。パッケージもデザイン性はなく、簡素なもの。それでも売れるのですから、「よほど美味しいのか」と誰もが思うでしょうが、売れている理由はそれだけではありません。通販でしか手に入らないという希少性にあります。消費者は、珍しいものを欲しがります。近くで売っていないとなると、なおさら欲しくなります。ぜひ試してみたい、となるものです。

価格としては、145g×3袋×2箱がセットになって、1,800円(税込み)+送料(関東近県550円)。一般的なポテトチップスが1袋60g程度なので、このセットに換算すると、14.5袋分となります。1,800円と送料550円を足した金額を、市販品の量で換算すると、1袋約162円となりやや高級品だと言えます。しかし、通販限定という付加価値が、それほど高いものだとは感じさせず、1ヶ月待ちでも売れ続けていたのです。

いまは通販以外には一部の店舗で売っているだけですが、もし流通に乗せて、どこででも買えるようになると、人気は一気に下降するかもしれません。いつでもどこでも買えるものに、人びとはあまり興味を示さないものです。手に入らないものだから欲しくなり、手に入れた時に感動も大きくなるのです。美味しさも倍増します。希少性があるから高くても売れるのです。

このまま手を広げずに、地味に製造していく方が、長く生き続けることができます。道を見失わないで欲しいと思います。

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【書評】ネットが浸透している今、新聞は「現実」だけを報道せよ

部数減に苦しみ、その存続すら危ぶまれる新聞各社。ネットの普及等が原因と言われますが、彼ら自身に「責任」は無かったのでしょうか。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では編集長の柴田忠男さんが、気鋭の評論家が新聞社に鋭く斬り込んだ一冊を取り上げています。

偏屈BOOK案内:門田隆将『新聞という病』

81hMIZYjGHL新聞という病
門田隆将 著/産経新聞出版

裕福な頃は朝日と読売の2紙を購読していたが、貧乏になったから1紙にした。妻は迷わず読売ジャイアンツ新聞を選んだ。正解である。というより仰せの通りでございます。朝日と毎日の偏向がますます病的になってきた。2紙は新元号が漢籍からではなく和書から採用になったことが気に入らず、イチャモンをつけた。まだそんなことをやっているのか。日本を貶めたい日本の新聞……。

新聞記者様はエラくお成りになった。自分を特権階級であると思い込み、記者会見を自分の「意見表明」の場であると勘違いしている三流紙の女記者もいる。新聞の紙面の劣化はもはやどうしようもないレベルに達している。「ネットの浸透とともに、部数が猛然と減り続ける新聞業界の中で生き残るのは『現実』を見据えたものだけになるだろう」という元記者(著者)の指摘は正しい。

著者はジャーナリストとして唯一、福島第一原発の所長・吉田昌郎氏に生前、長時間のインタビューを行った。吉田氏だけでなく「あの事故の際、福島第一原発で何があったのか」「現場の人間はどう闘ったのか」をテーマに、100人近い人々にすべて実名で証言してもらった。吉田氏本人には、あらゆるルートを使い1年3か月にわたって説得を続け、2012年7月にやっと取材に成功した。

2014年5月20日から朝日が始めた「吉田調書」記事は、大規模なものだった。その記事で2011年3月15日朝、福島第一(1F)の東電職員の9割が「所長命令に違反」して、「原発から撤退」していたと報じた。それは朝日が入手した政府事故調による「吉田調書」によって明らかになった、という大スクープだ。しかし、その記事には「命令違反して所員が撤退という吉田氏の証言はない

3月15日朝、免震重要棟に残っていた1Fの職員、協力企業の人々は約700名、吉田が退避命令を発したのは午前6時半頃。著者は100名近い関係者から所長命令の証言を得ているので、当然この時は多くの職員が所長命令に従って撤退したことを知っていた。しかし、朝日は真逆の「命令に違反して撤退したとウソを書いた。放射線量の単位を使い分けるという、入念な悪意まで駆使して。

この巧みな印象操作による記事に、世界中のメディアは大きく反応した。朝日は日本人を貶めることに大成功した。「1Fに残れ」という所長命令、という朝日の報道に、職員はどんな感想を持ったか。一番安全な免震重要棟から離れて、1Fのどこに避難するのか、防護マスクはどうする、そんな命令を所長が出したら、所長が「正気を失った」ということだ。と、同じ反応が返ってきた。

政府事故調は吉田氏を含む当事者772名に1,479時間に及ぶ聴取を行い、事実と認定された448ページに及ぶ「最終報告書本文編」にすべてを書いたが、「命令違反による撤退なかった。朝日は現場の当事者たちに裏取りをしたのだろうか。著者は当事者を多く取材しているが、「所長命令に違反して」撤退した人間など一人もいなかった。一糸乱れず「命令に従って2Fに移動した。

朝日は日本を救うために奮闘したそんな人々を、世界中から嘲笑されるような存在に貶めた。著者はこの問題を雑誌などに書いて、朝日から「法的処置を検討する」という抗議を受けている。後に、朝日は自らの誤報を認め著者に謝罪した。「朝日新聞が日本人を貶める目的は一体、何だろうか。私には、それがどうしても分らないのである」とお上品に結ぶが、知らない筈がない

編集長 柴田忠男

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タランティーノ最新作を観た軍事アナリストが監督に聞きたいこと

日本では8月30日から公開されているクエンティン・タランティーノ監督の最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を鑑賞し、「この作品はタランティーノ監督による『復讐劇』としてみると、面白い」と、感想を語るのは、メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さんです。小川さんはネタバレにならない程度に自身の見解と疑問を綴っています。ですが、鑑賞予定があってネタバレが気になる方は、鑑賞後にお読みになることをオススメいたします。

タランティーノの「復讐劇」

クエンティン・タランティーノ監督の最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を観てきました。ストーリーは、私がくだくだ書くより、以下の読売新聞(9月5日)を引用させていただきます。

「主人公は落ち目の俳優リック(レオナルド・ディカプリオ)と彼のスタントマン・クリフ(ブラッド・ピット)。思うような仕事がなく悩むリックに対し、クリフはどこか超然としている。対照的な2人の友情物語が描かれる。(中略)

物語の背景にあるのは、69年8月に、女優のシャロン・テートが狂信的な集団に殺された事件。本作では、シャロンと夫のロマン・ポランスキー監督がリックの家の隣に引っ越してきて、虚実入り交じった物語を展開。悪夢のような現実と、古き良きハリウッドの夢が拮抗(きっこう)して、思いがけない結末に至る」(9月5日付 読売新聞)

そこで私の出番ですが、この作品はタランティーノ監督による「復讐劇」としてみると、面白いと思います。

監督とシャロン・テート、ロマン・ポランスキーとの関係はわかりません。手に入る情報は、少女淫行事件で有罪になったポランスキー監督を擁護して世論から袋だたきになった過去があったことくらいでしょうか。事件当時6歳だったタランティーノ監督が、両者と接点があったとも思えません。

しかし、監督は明らかに事件を起こしたマンソン・ファミリーを憎悪していたと思われます。それは作品の中で、そこだけが異質と感じられるほどリアルかつ残忍な方法で、犯人たちが殺されていくシーンを見ればわかります。ネタバレになるので、以下のようにしか書けませんが、とにかくリアルなのです。

拳銃であっさり殺されたチャールズ・マンソンはともかく、妊娠8ヵ月だったシャロン・テートのお腹を切り裂いたとされるスーザン・アトキンスについては、これでもかと言わんばかりに顔面を家具の角などに打ち付け、おそらく原形をとどめない状態にして殺します

もう一人の女は、傷だらけになってプールに落ちたところを、火炎放射器で焼き殺されます。むろん、マンソン・ファミリーが惨殺される場面は完全にフィクションです。

実際には、主犯のアトキンスとマンソンには1971年に死刑判決が下されたものの、カリフォルニア州での死刑一時撤廃を受けて終身刑となり、アトキンスは38年間服役したあとの2009年、カリフォルニア州の刑務所で脳腫瘍のため死亡、マンソンも服役46年後の2017年に死亡しています。

タランティーノ監督は、この生き延びた2人、あるいは3人の主犯に対して、「殺してやりたい」という気持ちの赴くままに、作品の中で殺して見せたのです。死刑にならなかった犯人たちを、天に代わって成敗する──。

これは、事件を憶えている米国民の多くの気持ちを代弁したものでもあったでしょう。それとも、そんなことに関係なく、監督自身の「私怨」によるものだったのか。単に映画を面白くするための殺害シーンだったのか。インタビューする機会のある人は、質問をぶつけてみてはいかがでしょうか。(小川和久)

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混沌の現代を生き抜くため知っておくべき安岡正篤と森信三の教え

三菱系・住友系など多くの財界人を指導した、陽明学者であり思想家の安岡正篤師。一方で「人生二度なし」の基本原理を提唱してきた教育者・森信三師は、「立腰論」など実践で培ってきた人生訓で著名な人物です。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、二人の哲人の遺訓を通し、わたしたち現代人がいかに生きるべきかについて論じられています。

人間形成の三大原則

各界リーダーの指南役と謳われた安岡正篤師、国民教育の師父と仰がれた森信三師。両師が遺した生き方、人生論はいまなお多くの人々の生きる指針となっています。

二人の哲人に私淑してきた荒井桂さんと寺田一清さんに、その教えの神髄を語り合っていただきました。


寺田 「森先生は人間形成の三大原則というのをお説きになり、1つは素質2番目は師の教え3番目に逆境を挙げていらっしゃいます。

素質はともかく、やはりよき師の教えを奉ずることが大事です。しかしそれだけでは不十分で、逆境を通してこそ師の教えは真に身につくと説かれました。

人間形成には先ほど申し上げた立腰も大事で、森先生はそれによって丹田常充実臍の下の丹田を常に充実させた状態に保つことの大切さを説かれました。森先生ご自身も15歳の時から亡くなるまでこれを心掛けられました。

さらに報恩奉仕の念です。私は森先生の説かれる人物を創る要諦としてはこの逆境享受臍下丹田報恩奉仕の念を挙げたいし、また教えられたように思います」

荒井 「安岡先生も人物を修める秘訣を様々に説いておられます。『経世瑣言』の中では、人物学を修める2つの秘訣として、第1は人物に学ぶことだと説いておられます。よき人に師事して親炙して感化薫陶を受けることだと。

先生はよく道元禅師の、『霧の中を行けば覚えざるに衣しめるよき人に近づけば覚えざるによき人となるなりという言葉を紹介されています。

つまり自覚しないうちによい感化薫陶を受けるものだと。もし同時代に師事して親炙できる人がなければ、その書物なり、その人の教えを人づてに聞くなりして私淑することだと説かれています。

さらに安岡先生は、人物学に伴う実践、人物修練の根本的条件としてこう書いておられます。

『怯めず臆せず、勇敢に、而して己を空しうして、あらゆる人生の経験を嘗め尽くすことであります。人生の辛苦艱難、喜怒哀楽、利害得失、栄枯盛衰、そういう人生の事実生活を勇敢に体験することです。その体験の中にその信念を生かして行って、初めて吾々に知行合一的に自己人物を練ることが出来るのであります』

また安岡先生は『書経』の「自靖自献」、自ら靖んじ自らを献ずるという言葉を非常に重視されていました。内面的には良心の靖らかな満足を求め、外に発しては世のため人のために自己を献ずるという意味ですが、まず己を尽くすということ。

自分が求めている人間としての道を究め今度は外への奉仕として働きかけていく。森先生の人づくりの要諦と深く結びついていることを感じたところです」

※本記事は月刊誌『致知』2012年1月号「生涯修業」から一部抜粋・編集したものです

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