些細な理由。大炎上した「スープストックトーキョー」の火が難なく“鎮火”した訳

今年4月、離乳食無料提供サービスのアナウンスが大炎上を呼んだスープストックトーキョー。しかし程なくして、ごくあっさりと鎮火に至ります。なぜこの炎上騒動は長引くことなく収まったのでしょうか。その理由を探るのは、マーケティング&ブランディングコンサルタントとして活躍する橋本之克さん。橋本さんは今回、行動経済学の観点から「炎上鎮火の原因」を考察しています。

プロフィール:橋本之克(はしもと・ゆきかつ)
マーケティング&ブランディング ディレクター 兼 昭和女子大学 現代ビジネス研究所研究員。東京工業大学工学部社会工学科卒業後、大手広告代理店勤務などを経て2019年に独立。現在は行動経済学を活用したマーケティングやブランディング戦略のコンサルタント、企業研修や講演の講師、著述家として活動中。

大炎上スープストックトーキョーがうまく消火できた理由

スープストックトーキョーの炎上騒ぎ

「スープストックトーキョー」が、日経クロストレンド「マーケター・オブ・ザ・イヤー」大賞を受賞しました。2023年4月に起きた炎上騒動への対応が評価されてのものです。同社は当時、一部店舗で実施していた「離乳食無料提供サービス」の全店拡大を告知しました。すると子連れを快く思わない人からの意見がSNSにあふれたのです。スープストックトーキョーは1週間の沈黙後、「『世の中の体温をあげる』という企業理念に基づいてサービスを拡大する」という声明を発しました。その結果、この騒動は速やかに収束したのです。

炎上が鎮まった理由は、企業の対応や姿勢であったとされています。しかし対処療法的な対応が功を奏したと単純に考えて良いのでしょうか?鎮火の理由は顧客の深層心理を分析することで見えてくると思われます。

炎上と火消しのプロセス

通常、炎上は「ノイジー・マイノリティ」が発端です。少数の人々が不満を抱いた対象に対して、情報発信や発言を積極的に行います。それを見た多くの人々が「いいね」をする、知人に共有する、などにより拡散し炎上に至るのです。今回の件では、スープストックトーキョーに子供連れ客が増えることを嫌う既存顧客が不満を抱きました。便利な場所にあって一人でのんびりできるオアシスを失いたくないと思ったのでしょう。

しかし、スープストックトーキョーの新サービスは「子供を抱えて落ちつける場所を探す、行き場の無い若いママたちの救済」と考えることもできます。だから「ノイジー・マイノリティ」以外は、正面切って反対意見を述べなかったのではないでしょうか。子連れママの来店も理解できるのです。その一方で自分のオアシスを守りたいという気持ちもあります。そんな葛藤の中で行った「いいね」や「共有」などのささやかな行為が、結果的に炎上を後押しする結果になったのでしょう。

鎮火の原因は何か?

しかしある時から「離乳食無料提供サービス」に反対するSNS上の広がりが減少し、炎上は収まりました。それはなぜでしょう?

ひとつには、スープストックトーキョーの「世の中の体温を上げる」という企業理念に消費者が賛同したとする見方があります。この他に、過去にベジタリアン対応やハラル商品開発など、マイノリティのサポートで社会に貢献してきた経緯が影響したのだ、という主張もありました。

しかしこれらが、店内が騒がしくなり、居心地が悪くなるかもしれないと考える顧客を納得させる、十分な理由にはならないでしょう。せいぜい「この企業は自社利益のみを考えているのではないらしい」と考え、「あきらめて、様子を見よう」「とりあえず離乳食反対の書き込みに『いいね』するのはやめよう」と思う程度のことだったのではないでしょうか。しかしながら、「この程度」の「微妙な判断」が、炎上を鎮火したのではないかと私は考えます。

三木谷会長「544億円でお釣りが来る」楽天プラチナバンド開設計画は現実的か?

10月23日、「既定路線」「茶番劇」と言われたそのままに、楽天モバイルへの700MHz帯プラチナバンドの割り当てが確定。三木谷会長は、11月9日の会見で設備投資予算の意外な少なさの根拠を示して「お釣りが来る」と胸を張りました。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、既存3社から聞こえる不安の声を一蹴した楽天モバイルの計画が、本当に実現可能なものなのかを分析しています。

既存3社が不安視する楽天モバイルのプラチナバンド開設計画──三木谷会長「544億円で1万局。十分、お釣りが来る」

念願のプラチナバンドが割り当てられることになった楽天モバイル。しかし、競合他社の幹部からは同社が提出していた開設計画に対して懸念の声があがっていた。KDDIの高橋誠社長からは「計画がすごい遅いペース」として指摘され、ソフトバンクの宮川潤一社長は「ちょっと寂しい計画だった」と語る。

楽天モバイルでは、10年間で1万局、設備投資費は544億円という計画を立てている。つまり、1局あたり544万円の工事費しかかけないということだ。この金額に対して三木谷浩史会長は「544億円で十分、お釣りが来る」としているのだ。

競合他社と楽天モバイルの間で「プラチナバンドの基地局」に対して、大きな隔たりがあるのは間違いない。既存3社が展開するプラチナバンドの基地局は、アンテナ位置を高くするため、鉄塔もそれなりに大きいものだったりする。それだけ、設置面積も必要だ。

しかし、11月9日に開催された楽天グループの決算会見で明らかになったプラチナバンドの基地局は従来の1.7GHz帯と同じアンテナを使い、裏側に700MHzの無線機を新たに貼り付けるという構造であった。

KDDIの高橋社長が「楽天の鉄塔はギリギリで作ってこられている。同じ鉄塔にプラチナバンドの設備を積むのは苦しいだろう。新たに鉄塔が必要なのではないか」と心配していたが、楽天モバイルは、そのギリギリのところにプラチナバンドの設備を積んできてしまったのだ。

ただ、プラチナバンドの特性、メリットを生かすとなると、本来であれば、1.7GHzのアンテナよりも高い場所に設置して、遠くに飛ばすといった設置方法のほうが望ましいようにも感じる。しかし、三木谷会長は「我々のアンテナパワーは業界内でも1、2を争う位だと思っている。小さいが高性能、大きければいいというものではない」と一蹴した。

基本的には700MHzに対応したアンテナと無線機器を既存の基地局に設置するという考えであるため、1万局を544億円で作っても十分にお釣りがくるという計算なのだろう。

実際、KDDIとの新たなローミング契約も走っており、そちらのほうが効率よく、エリアをカバーできるのであれば、無理してプラチナバンドを自社で展開する必要もないだろう。KDDIとしても、ローミング契約をさらに延長することは歓迎すべきことであるため、ルーラルエリアなどはKDDIに任せつつ、KDDIがウンと言わない場所だけ、楽天モバイルが自社でプラチナバンドを吹くと言うのであれば納得できる考え方でもある。

おそらく、都心部などトラフィックが集中しつつ、ビル内など電波が入りにくい、KDDIが対応してくれない場所に楽天モバイルのプラチナバンドがあればいい。となれば、1.7GHzと同じアンテナ、指向性で問題ないのかも知れない。

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

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なぜ、社労士は「入社祝い金は後払いで」とお勧めするのか?

中途採用者に対する「入社祝い金」を支給する会社が増えていますが、中にはトラブルもあるようです。無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者で社会保険労務士の飯田弘和さんは、入社祝い金のトラブルの事例とその解決法を紹介しています。

“入社祝い金”の規定を定めていないことで生じるトラブル

人手不足が深刻です。

そんな中、中途採用者に対して“入社祝い金”を支給する会社も増えているようです。

ところが、“入社祝い金”についてきちんと規定を定めていないために、労使トラブルになることがあります。

まず、“入社祝い金”の支給要件をきちんと定めましょう。

たとえば、支給要件を以下のように定めます。

(規定例)「入社から〇か月間継続勤務し、その間の出勤率が〇割以上の場合、“入社祝い金”として〇〇円を支給する。」

また、入社祝い金の支給日についても、支給要件をクリアした後に支払日が到来するように定めましょう。

どういうことかと言うと…

よく、入社後すぐに入社祝い金を支払い、一定期間勤務しなかった場合には返金させるような定めをしている会社がありますが、これは避けるべきです。

人は、一度手に入れたものを手放す(返還する)ことには、もの凄く抵抗を示します。

ですから、後から“返金しろ!”というのは、労使トラブルになります。

一定期間経過後に支払う“後払い”にするべきです。

なぜ米バイデンは今、中国の習近平と会ったのか?日本も「他人事」ではいられない理由

アメリカのバイデン大統領は現地時間15日、中国の習近平国家主席と会談しました。以前より対立関係にある米中ですが、なぜ今、大国の首脳は会談したのでしょうか?メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、この会談に大きな意義があるとして、その理由を解説。その裏には、日本も他人事ではいられない大きな「問題」が潜んでいるようです。

なぜ、バイデンと習近平の米中会談がおこなわれているのか?

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。

アメリカでは、バイデン、習近平会談が行われています。

まだ結果はわかりませんが、この会談の意義と重要性について触れたいと思います。

2021年1月にバイデンが大統領になった時、日本では二つのことが言われていました。

  • バイデンは親中である。だから米中関係はよくなる。
  • バイデンは反日である。だから日米関係は最悪になる。

皆さん、覚えておられるでしょう。

これに対して、私は全然正反対の意見でした。

  • バイデンは親中である。しかし、米中覇権戦争は続いていく。
  • バイデンは反日である。だが日米関係は、トランプ時代よりよくなる。

当時私がどんなことを言っていたのか、以下の動画からご確認いただけます。

そして、実際私が予測したどおりになりました。

まず、米中関係。

予想通りバイデンは、米中覇権戦争を続けています。

具体的にどんなことがあったのでしょうか?

  • クアッド(日米豪印戦略対話)の強化
  • AUKUS(米英豪による対中軍事同盟)立ち上げ(2021年9月)
  • IPEF(インド太平洋経済枠組み=14か国からなる【中国抜きの経済枠組み】)立ち上げ(2021年10月)
  • 民主主義サミット立ち上げ(2021年12月)

これらはすべて、「対中包囲網」です。

バイデン政権は、中国が強くなりすぎたアジアのバランス・オブ・パワーを回復させようとしていました。

そして、予想通り、日米関係も良好です。

トランプさん時代も、日米関係は良好でした。

しかし、貿易問題で、トランプさんサイドからの圧力があった。

今、日米関係は、本当に良好です。

では、なぜバイデンは、習近平と会うのでしょうか?

なぜ、アメリカは、中国との関係改善を急いでいるように見えるのでしょうか?

“人魚セクハラ疑惑”否定で三宅防衛政務官が徹底抗戦、トラブル人材だらけ内閣の岸田文雄「実はハメられた説」

省名の通り日本の防衛を司る防衛省において、大臣を支える存在である防衛政務官。その一人である三宅伸吾参院議員(61)が、過去に女性に対して性加害を行っていたと「週刊文春」が報じた。個室カラオケで「ここに来ると、女の子はみんな人魚になるんだよ」と発言し、キスをせがんだとされている。自衛隊といえばセクハラや性加害事件が相次いでおり、元陸上自衛官の五ノ井里奈さんが複数の隊員から受けた性暴力を告白し、大きな問題となったばかり。そんな中での新たな性加害スキャンダルの発覚とあって、またも岸田政権に「人選ミス」のトラブルが発覚した形だ。

大きな水槽が室内に置かれた個室で出たあの名言

週刊文春によると、“事件”が起きたのは、被害女性が参議院議員会館の三宅事務所にアルバイトの事務員として勤務していた2013年10月。女性が三宅氏に仕事上の相談を持ちかけたところ食事に誘われ、ディナー後の2軒目に連れて行かれたのがシャワー、トイレ、そして大きな水槽が室内に置かれた件の個室カラオケ店だったという。

そんな「30名は収容可能」かと思えるほどのラグジュアリーな個室で女性と2人きりとなった三宅氏が囁いたのが上述の「ここに来ると、女の子はみんな人魚になるんだよ」の名言で、ドアを閉めるや急にキスをせがみ、さらに女性の体をまさぐり服を脱がそうとまでしたというから驚かされる。週刊文春のインタビューに女性は、この事件で退職を決意したと答えている。

この報道に対して三宅氏は、「身に覚えがない」と全否定。すでに弁護士を通じて抗議文を文春側に提出済みで、法的措置も視野に入れ対応する構えだという。

そんな三宅氏だが、永田町では悪い噂が絶えないようだ。東スポWEBは「三宅事務所は秘書がコロコロ代わることで有名」との関係者の証言を紹介。さらに三宅氏については「こと細かく面倒くさい性格」とした上で、「(秘書に対して)相当ひどいハラスメントがあるのではないかと噂されていた」との指摘を掲載している。

「適材適所」を真逆にゆく人事で辞任ドミノに

岸田政権ではこれまでも、数々の人材トラブルが発生している。「辞任ドミノ」の口火を切ったのは、山田太郎文部科学政務官。当サイトでも既報の通り、有村架純似の色白美女との「ラブホ不倫」と買春疑惑をスクープされ、辞表を提出した。

【関連】自民党の山田太郎政務官「ラブホ買春」で辞任。腐女子&レイヤー娘とコミケ妻を裏切った大きすぎる代償、維新・馬場代表は「擁護」で大炎上

山田太郎氏に続いたのは、柿沢未途法務副大臣。今年4月の東京都江東区長選挙で当選した木村弥生区長に、公職選挙法に抵触する可能性のある有料インターネット広告を出すようアドバイスしたことが発覚し、こちらも10月31日に辞表を提出。

【関連】タチの悪い茶番劇。柿沢法務副大臣「予算委員会を出席拒否」のクサすぎる三文芝居

さらに今月13日には、税金の滞納を繰り返していたとして神田憲次財務副大臣が事実上の更迭に追い込まれるなど、首相が好んで口にする「適材適所」の真逆をゆく状況となっている。

あえて問題のある人材のみを要職候補として推薦?

岸田政権にここまで人材トラブルが多発する理由はどこにあるのか。その一つとして、「政権の身体検査」の緩さを上げるメディアも多いが、“意図的”に甘いバックグラウンドチェックが行われ、あえて問題のある人材のみが要職候補として挙げられている可能性は考えられないだろうか。文科政務官が買春疑惑、法務副大臣が公職選挙法違反疑惑、財務副大臣が税金滞納、さらに防衛政務官が性加害疑惑となれば、そんな“陰謀”も全面的に否定できなくなる。

いずれにせよ、このような状況を呼び込んでいるのも、すべて岸田首相の人望の無さに起因すると言っても差し支えないだろう。支持率も下落の一途をたどり、退陣も時間の問題との見方も少なくない。女の子ではなく、三宅氏ともども人魚となって、お二人の選挙区から見渡せる瀬戸内の海にお帰りいただくというのはどうか。

ジャニー喜多川は“単独犯”なのか?いま大手メディアが暴くべき「悪の構造」

ジャニー喜多川氏からの性被害を訴えていた大阪在住の男性が、山中で首を吊った状態で発見されたという痛ましいニュース。なぜ男性は、自ら死を選ばなければならなかったのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、遺族のコメントを紹介するとともに、性加害を含む児童虐待の深刻さを解説。さらに旧ジャニーズ事務所の「悪の構造」に切り込まず放置し続けるマスコミを強く批判しています。

【関連】旧ジャニーズ「当事者の会」男性が自殺。SNS誹謗中傷で追い込んだ卑怯者は必死にツイ消しか?死してなお犠牲者を出すジャニー喜多川の大罪

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

今も旧ジャニーズ「悪の構造」を放置するメディアの罪

旧ジャニーズ事務所の「性加害問題当事者の会」に所属する40代男性が、大阪府箕面市の山中で死亡しているのが見つかりました。報道によると、男性は性被害によって精神的な不調が続いていると訴えていたほか、被害を告発したことをきっかけに、インターネット上でひぼう中傷を受けていたそうです。

男性の遺族が代理人の弁護士を通じて発表したコメントの内容は、旧ジャニーズは本気で「被害者に寄り添っている」とは思えないものでした(以下、抜粋・要約)

彼は本年5月、旧ジャニーズ事務所に電話で、在籍時の1995年にジャニー喜多川から性加害を受けたことを訴えました。事務所は「担当者が必ず折り返す」旨を約束。しかし5か月以上、ジャニーズ事務所から連絡は一切ありませんでした。

 

再度の告発にも、事務所からはなんの応答もなく放置され、彼の焦燥感、悩みは深まっていました。また、事務所に誹謗中傷への対策も求めましたが、記者会見で「誹謗中傷をやめてください」と呼びかけるのみで、具体的な措置を講じていません。

 

彼の心労は、もともと抱えてきた性被害のトラウマの再燃とも相まって、一層深刻なものになっていました。そして、家族を残したまま、志半ばで自死するに至りました。

いったい何人の被害者を出せばこの“事件”は終焉をむかえるのでしょうか。いったい何人が告訴されれば、外野から凶器を投げる人が減るのでしょうか。

本メルマガや他媒体でも書いたとおり、ジャニー喜多川氏が犯したことは犯罪であり、23年前に国会でも追求されています。今の法律の枠組みの中でも処罰することが可能です。当人が亡くなっていても、経営幹部たちの責任はいまだって十分に問えます。

ご遺族がコメントしたとおり、被害を受けた“子ども”は、心に深い傷を負ったまま生きることを余儀なくされます。子供の将来に大きな心理的影響を及ぼすのが、性加害も含む「児童虐待」です。

なのにメディアは「元ジャニタレント」がどーした、こーした、紅白どうだ、という報道にあけくれ、被害者への補償問題や、性加害、犯罪、処罰についてはほとんど報じません。

この記事の著者・河合薫さんのメルマガ

大阪万博と同じオワコン具合。米軍も渋り始めた「辺野古移設」にかかるカネと“早くて14年”という長い時間

地元住民の強い反対を押し切り、米軍の基地建設が進む名護市辺野古地区。2019年には建設予算が3倍近く引き上げられましたが、その他にも問題は山積しているようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、東京新聞の報道で明らかになった、辺野古の軟弱地盤を巡る「前代未聞のデタラメ」を紹介し自民党政権を厳しく批判。さらに自身が考える、普天間基地移設問題の現実的な解決法を提示しています。

辺野古の軟弱地盤改良工事めぐり露呈した前代未聞のデタラメ

沖縄県名護市辺野古の米軍基地建設は、沖縄県の玉城デニー知事が新たな区域の埋め立て工事に必要な防衛省の設計変更申請を承認しなかったため、国が県に代わって承認するための「代執行訴訟」へと発展してしまいました。しかし、そもそもの話、この区域の海底は通称「マヨネーズ地盤」と呼ばれる軟弱地盤であり、この区域を埋め立てて滑走路を建設することは、現在の技術では不可能なのです。

机上の空論レベルの計画では、軟弱地盤の区域全体に、90メートル以上の長さの杭を7万7,000本ほど打ち込んでから埋め立てをすれば「建設可能」とのことです。しかし、日本はもとより世界でもこれほどの深度での地盤改良工事の前例はなく、国内には工事に対応できる地盤改良船もないため、まずは専用の地盤改良船を開発するところから始めなくてはならないのです。

ちなみに、大阪湾の泉州沖5キロに浮かぶ関西空港は、辺野古の海底より何倍もマシな粘土層の地盤を改良して建設されましたが、建設開始の1986年から2022年までの38年間に、13.5メートルも地盤沈下しています。その結果、現在の関西空港は、海抜が最も高い場所でも10メートル以下、最も低い場所では海面まで1メートルほどになってしまったのです。

こうした前例から推測しても、関西空港より遥かに難易度の高い埋め立て工事は、事実上、不可能なのです。地盤改良船を何隻も開発するだけでも莫大な予算と数年の時間が必要ですし、仮に地盤改良船が完成しても、7万7,000本の杭打ちには5~10年が掛かると見られています。杭打ちが完了したとしても、今度は少なくとも東京ドーム5杯分の埋め立て用の砂を調達しなくてはならず、調達できても埋め立て工事に数年は掛かります。そして、これらがすべて終わってから、ようやく滑走路の建設なのです。

そんな「マヨネーズ地盤」ですが、防衛省は2015年からその存在を把握していました。しかし、工事に不適格な軟弱地盤だということが公になると、これを理由に反対の声が高まるため、防衛省は2019年まで隠蔽していたのです。そして、軟弱地盤が公になった2019年、当時の河野太郎防衛相は、当初の総予算3,500億円を「軟弱地盤対策費」として3倍近い9,300億円に引き上げ、工期もそれまでの5年から9年3カ月へと引き延ばしたのです。

しかし、それから4年が経過した今、建設予定地の埋め立て率は約14%だけで、それも埋め立てしやすい浅瀬だけしか手をつけていません。当然、軟弱地盤の地区は1ミリも埋め立てされていませんが、河野太郎防衛相によって「軟弱地盤対策費」として引き上げられた9,300億円の予算のうち、すでに半分の4,312億円が使われてしまったのです。この進捗率から見れば、日本維新の会による日本維新の会のための大阪万博と同様に、何度も何度も予算が増額されて行き、最終的には3兆~5兆円に達してしまうでしょう。

この記事の著者・きっこさんのメルマガ

44年ぶり“ジャニーズ無し”NHK紅白。芸能記者が「今年はアミューズ音楽祭だ」と断言する本当の理由

今年の大晦日は目が離せなくなりそうです。約44年ぶりになるという「ジャニタレ無し」のNHK紅白歌合戦、そのニュースはネット上でも大きな話題になりました。芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんは、今年の紅白を「芸能事務所アミューズの音楽祭になる」と表現。その理由は、大泉洋、エレカシ、パフューム、福山雅治、星野源が出演するだけでは無いようです。

旧ジャニ祭りから『アミューズ音楽祭』へ…目玉はもちろんあのSAS!

『第74回NHK紅白歌合戦』、出場アーティストの発表がありました。

皆さんも“ジャニーズ無し!”という見出しを散々ご覧になったかと思います。

私なんかは逆に、ジャニーズが出ていない紅白もあったんだ…なんて思ってしまいましたが、実に44年ぶりにジャニーズ事務所…『SMILE-UP.』のアーティストがひとりも出ない紅白になりましたね。

関係者に話を聞くと「SMILE-UP.が出ないことが、昨年の視聴率より大幅に低くなったりしなければ、NHKとSMILE-UP.の関係は悪いままでしょう」と言っていました。

“SMILE-UP.所属アーティストが出なくても、紅白は十分にやっていける”のか“いけない”のか…その実証に答えが出るわけです。

私が芸能記者として初めて紅白を取材したのは今から37年前、第37回の紅白でした。

白組司会者は加山雄三で、トップバッターの少年隊を紹介します。

「張り切っていこうぜ! 初出場、少年隊の『仮面ライダー』です!」…若大将のこの言葉に、芸能記者たちがいたステージ袖の“溜まり”は呆然とする者、失笑する者、慌てふためく者…様々だったのを思い出します。

今でもあの現場にいたということは、少々の自慢にもなっているのです。

紅組の司会者は壮絶な私生活が話題の斉藤由貴で、彼女の独特な口をポカンと開けた表情で若大将を見ていた顔は今だに私の脳裏から消えません。

この年は本番2日前に、北島三郎と山本譲二が暴力団の新年会に招かれていたことが公になり出場を降板するというドタバタもあったりしました。

私が今でも鮮明に記憶しているのは、本番3日前、出場アーティストたちと司会者が顔合わせをする直前に、編集部デスクからNHK広報部長への挨拶を強く命じられたことでした。

初めての紅白で、右も左もわからない私は“取材のルール”がわからず困惑したことを憶えています。

この広報部長、芸能マスコミの間では“名物部長”として知られ、紅白の取材をする記者は事前の挨拶が各芸能媒体の間で義務付けられていたのです。

今もこんな慣習が続いているのかはわかりませんけれど…。

有名高級菓子を手土産に部長を訪ねると、真冬にもかかわらず扇子で顔に風を送っている部長がいました。

「おう、困ったことがあったら何でも言ってくれや…」と、内ポケットから名刺を渡されました。

そんな“ご挨拶”のおかげで、私は“仮面ライダー”の現場も舞台袖で見られたというわけです。

発表直後、後輩の芸能記者たちから今年の紅白のキャスティングについて聞かれました。

私の正直な感想は旧ジャニーズが排除され、今年は“アミューズ音楽祭”だと答えました。

宝塚歌劇団の苦しい言い訳にネット騒然。会見で「いじめもパワハラもない」「ヘアアイロンで火傷は日常茶飯事」と断言の異常

旧ジャニーズ、歌舞伎と並んで日本のエンタメ界「3大タブー」の一つとも言われる宝塚歌劇団。14日、9月に宙組所属の劇団員(25)が転落死した事件についての記者会見が行われたが、そこには想像を絶するレベルの闇が存在しているようだ。会見で公表された外部の弁護士等による調査報告書で、「亡くなった女性に対するいじめやパワハラは確認できなかった」とされていたからだ。中でもネットを中心に波紋を呼んでいるのが、同報告書に記載された「ヘアアイロンに関する習慣」。100年超えの歴史を誇る「女の園」で、一体何が起きているのだろうか。

月に250時間を超える時間外労働、先輩劇団員からの暴言やパワハラ

宙組所属の劇団員が、兵庫県宝塚市の自宅マンション敷地内で倒れて亡くなっているところを発見されたのは、今年9月30日。兵庫県警の調べによれば、マンション最上階に女性のものとみられる荷物が見つかっており、自殺の可能性が高いという。

女性が自死に至ったきっかけについては、文春オンライン等がいじめやパワハラであった可能性を指摘していたが、11月10日に都内で会見を開いた遺族の代理人弁護士は、月に250時間を超える時間外労働、先輩劇団員からの暴言やパワハラが自殺の原因と断言。女性は9月29日に開幕した宙組の新人公演のまとめ役を担っていたこともあり、過重労働状態が続いていた。

「いじめやパワハラは一切なかった」という認識

そして14日。宝塚大劇場内のエスプリホールで16時から開かれた歌劇団の会見で、外部の弁護士等による調査報告書の内容が発表された。出席した木場健之理事長らはさまざまな言葉を尽くしたが、その内容はX(旧Twitter)に投稿された以下のポストに集約される。書き出してみると、異常性が際立つ。

  • いじめやパワハラは一切なかった
  • 死因は故人の精神疾患だから宝塚側は悪くない
  • ヘアアイロンで火傷させるのは日常茶飯事だから問題なし
  • 長時間労働は認める
  • 理事長は辞任して逃げる予定
  • 宙組東京公演は実施する予定
  • 遺族の訴えは全面否定
  • 宙組を全面擁護
  • 芹香斗亜や天彩峰里などの当事者が説明する場を設ける予定は一切なし
  • 今までの体制を変えるという具体的な説明は殆どなし
  • 遺族に宝塚側は一度も面会せず直接謝罪もしていない
  • 遺族側と意見が全く異なるが、その理由や見解は一切話さず、いつか話し合うと言って逃げる


「ヘアアイロンで火傷させるのは日常茶飯事だから問題なし」

速報で報じられた会見中にもっともネット上が騒然となったのが、劇団理事で制作部長の井塲睦之氏が「ヘアアイロンで火傷させられるのは日常茶飯事」という旨の言葉を放った際で、これには「そんなことある!?!?言わない方が良かったんじゃないか」「ヘアアイロンで火傷するのが日常茶飯事ってどんな日常だよ」「宝塚はヘアアイロンで火傷するのが日常な恐ろしい所」「宝塚の人を見るたびに『この人たち日常的にヘアアイロンで火傷してるんだ』ってなっちゃう」等の声が上がっていた。

遺族側の主張とあまりに食い違う、宝塚歌劇団が発表した調査報告書の内容。なぜかくも納得できない事態が起こるのか。元タカラジェンヌとの仕事経験もあるという業界関係者はこう語る。

「20年ほど前に宝塚歌劇団出身の方とお仕事をご一緒した際に、興味があったもので劇団内の内情を尋ねてみたのですが、はぐらかされてしまいましたね。そのときに、やっぱり言えないことも多いんだな、と悟りました(笑)。

宝塚に限らず芸能界というところは、すべてにおいて一般社会と乖離していますので、今回のように誰が聞いてもおかしなことが起きているのに、『いじめもパワハラもなかった』と言えてしまうという面もあると思います」

とは言え多くの国民がこの会見には違和感以上のものを抱いた事は間違いないようで、ネット上には疑問や怒りの声、そして闇の深さを指摘するコメントなどが多く投稿されている。

宝塚歌劇団を運営する阪急電鉄は、旧ジャニーズ事務所のように、事が大きくならない限りは本腰を入れて動かないという姿勢を取るのだろうか。ジャニー喜多川氏への忖度を批判された大マスコミは、今回こそは歌劇団の闇を糾弾し、真実を白日の下に晒すべきではないのか。何度でもいうが、ヘアアイロンで顔に火傷を負わされることは、決して日常茶飯事ではない。

人種差別は、精神科治療の「身体拘束」選択に影響を与えているか?海外の研究論文の結論は

精神科の治療において、治療が困難だと判断された場合に「身体拘束」という手段を取ることがあります。拘束をするか否かの判断に「人種差別」が影響を与えている可能性はあるのでしょうか。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、本来あってはならない「影響」について研究した海外の論文を紹介しています。

人種差別が「身体拘束」に影響を与えているという研究

精神科医療において著しい不穏や体動があり、そのために治療が困難で、患者の生命に危険が及ぶおそれが切迫している場合等に、身体拘束という手段が選択されることがあります。

その要件として、「切迫性」「非代替性」「一時性」の3つの要件を満たすことが必要とされており、日本でも身体拘束ゼロに取り組んでいる精神科病院があります。

今回は、人種差別が身体拘束のあり方に影響を与えているのではないかという内容の研究をご紹介します。

Race-Based Disparities in the Frequency and Duration of Restraint Use in a Psychiatric Inpatient Setting

身体拘束の使用頻度・期間に関する人種差別

12歳以上の入院患者(29,739人)が対象となり、人種と身体拘束の頻度・期間との関連を調べました。

結果として、以下のことが分かりました。

  • 人種と身体拘束の有無との間に関連を認めました。(白人との比較でオッズ比で示すと、黒人:1.85倍、混血1.36倍)
  • 身体拘束の期間についても、黒人で拘束期間が長くなっていました

要約:『身体拘束の頻度や期間に、人種の影響を認める可能性がある』

身体拘束の必要性の判断に、原則に基づく適応以外の要素が、影響している可能性が考えられました。

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