部下を悪者にしたい、性根の腐った上司にフィードバックを貰うワザ

上司がフィードバックをくれず会議発表の際にけちをつけてくる。そんなお悩みがメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』の著者で、世界的なコンサルティング会社マッキンゼーで14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんに届きました。赤羽さんの回答とは?

上司がろくにフィードバックをくれません。締め切り直前に一言ふたことはありますが、修正できず、会議で発表時にけちをつけてきます。事業部長のいる前でです。気分が悪いですし、どう対応すべきでしょうか

Question

shitumon

一部上場企業の営業企画チームです。頻繁に企画資料を作成し、営業部に提案しなければいけないのですが、上司がろくにフィードバックをくれません。締め切り直前に一言ふたことはありますが、具体的な内容ではなく、また直前なので、修正できないことも多いにもかかわらず、会議で発表時にけちをつけてきます。私を守るというような発想は皆無で、こけおろすことが普通です。しかも事業部長のいる前でです。事業部長の心証は明らかによくなく、私一人が悪者になっている感じです。非常に気分が悪く何とかしたいのですが、何かできることはないでしょうか。

赤羽さんからの回答

ご相談どうもありがとうございます。いますよね。そういう根本から腐ったような上司。適切にフィードバックをしてよりよい企画案にし、会議での発表時にはその背中を押し、実行時には関連各所のキーパーソンを巻き込んでくれる頼もしい上司の、真逆の上司。

ただ、上司に不満を持ってもいいことは何もないので、こういう不利な状況でどう体制を立て直すのかを考えましょう。

まずは、上司のインプットおよびフィードバックをいかにもらうかです。

タスクに取り組み始める前に、上司から何かの指示があるはずです。それが不十分でしょうから、そのタスクをパワーポイントで1ページに整理して書き、上司の合意を得ておきます。

要は証拠を残しておく、という当たり前のことです。ほとんどの人はやらないので、これだけでも立派です。

上司は確認を面倒くさがるかもしれませんが、指示を受けたその日中、遅くても翌日にはこういう企画書だという骨子を説明しておきます。

この記事の著者・赤羽雄二さんのメルマガ

麻薬や砂糖と同じ。人類にとって人工知能「最大の危険性」を世界的エンジニアが警告

産業革命に匹敵する大きな変化を人類にもたらすとされる、人工知能の登場。しかしそれらは我々にとって、「敵」になりうる可能性も大きいようです。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』ではWindows95を設計した日本人として知られる中島聡さんが、自身の中ではっきりと見えてきたという「人類にとっての人工知能の最大の危険性」について解説。その上で特定の状況下における人工知能の利用については、サブリミナル広告と同様の規制をかけるべきとの見解を記しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

「砂糖」と「麻薬」の間のような存在に。AIの最大の危険性

先日、Lex FridmanによるYuval Noah Harari氏のインタビュー(「Yuval Noah Harari: Human Nature, Intelligence, Power, and Conspiracies」)を聞いていて、今まで私の頭の中で漠然と感じていた「人工知能の人類にとって最大の危険性」がどこにあるかがハッキリと見えて来ました。

分かりやすく言えば、その危険性は「砂糖」や「麻薬」と良く似ています。

人間(人間だけでなく、霊長類を含むさまざまな動物)は長い年月をかけて味覚を発達させ、自分が必要とする栄養分を摂取するようになりました。その中で、「甘み」を感じる味覚は、エネルギー源である「糖分」を含む食べ物を積極的に摂取するために重要な役割を果たして来ました。

しかし、サトウキビから簡単に砂糖を作れるようになった現代では、その「味覚」をハックする甘い飲み物(例:コカコーラ)や食べ物(例:チョコレート、羊羹、…)が巷に溢れ、それが肥満や糖尿病(2型)の主たる原因になっています。肥満や糖尿病が原因で亡くなる人が毎年何百万人もいることを考えれば、砂糖は人類の敵だとも言えます。

同じことは「麻薬」にも言えます。麻薬は、砂糖と違って、人間の脳や神経の働きに直接的な影響を与え、幻覚や高揚感を与えます。しかし、中毒症状を起こし、通常の生活を送れなくなったり、過剰摂取により命を落とす人が後と立ちません。砂糖と違って、麻薬は明らかに「人類の敵」です。

人工知能は、近いうちに、人類にとって、「砂糖」と「麻薬」の間のような存在になって行くと私は見ています。

InstagramやTiktokなどのSNSは、アルゴリズムにより、ユーザーをそのサービスに「長時間釘付けにする」ことにより成功したビジネスです。次のフェーズでは、そこに人工知能が応用されるようになります。それは、人工知能を活用した、ペット、セラピスト、恋人、相談相手、教祖などのさまざまな形をとって具現化されますが、その全てに共通するのは、それが「ユーザーを虜にし、それなしでは生きていけないぐらい重要な存在」になることを目指して設計させる点です。

【関連】【中島聡×辻野晃一郎】日本の技術者を殺す「ノリと雰囲気」とは? AI革命と2025年のゲームチェンジ

私が、今、Metaでエンジニアとして働いているとしたら、もしくは、シリコンバレーでSNSのベンチャー企業を立ち上げるとしたら、必ずそこを目指します。人工知能の技術を活用し、ユーザーにとって「それなしでは生きて行けない」ぐらい重要な「バーチャル・ペット」なり、「バーチャル恋人」を作ることに成功すれば、それが莫大な価値を生み出すことは確実だからです。

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世界中が大迷惑。ウクライナ戦争の原因まで作った“戦争屋”アメリカの害悪

批判されて然るべきプーチン大統領によるウクライナ侵攻。しかしその遠因とも言われるマイダン革命にオバマ政権が深く関与していたことなどから、アメリカ側の責任を問う声も上がっています。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、未だ世界を動かすことができるが如く振る舞うアメリカがいかに迷惑かを解説。さらに第2次大戦後の戦争や紛争のほとんどが、米国により引き起こされてきたという調査結果を紹介しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年7月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

アメリカが世界にかける迷惑。誰がウクライナ戦争を仕掛けたか?

「多極化」という言葉を誤用もしくは曖昧な使い方をしているために、人々の世界理解を妨げ混乱させていると思われる事例を、ほぼ毎日のようにメディアのあちこちで見かけることができる。

直近の一例は、7月20日付毎日新聞「発言」欄の岩下明裕=北海道大学教授の「プーチン氏流の『多極化』とは」と題した一文。6月にハンガリーでの「ブダペスト平和フォーラム」に参加したところ、プーチンに甘いオルバン政権の意向を反映して「反米・反NATO」一色の基調で、とりわけ米コロンビア大学地球研究所長として知られるジェフリー・サックス教授が「米国が手を引けば世界は平和になる」と主張し、またシンガポールのキショール・マブダニ元国連大使が「世界の多極化」を支持しG7による露批判を歴史の遺物であるかに嘲笑したことを、「困ったもんだ」という口調を滲ませながら批判している。

岩下に言わせると、マブダニも支持する「プーチン流の『多極化』論」は、「19世紀的な大国」すなわち「ロシア」が「国家主権平等ルールの破壊」を辞さずに「小国」すなわち〔この場合〕ウクライナを「支配」しようとする理屈で、「かつてソ連が東欧諸国へ軍事介入した際の『制限主権』論」と同じ類のものに他ならない。しかし、例えばモンゴル、中央アジアや中東のいくつかの小国は、中露に囲まれた中で「生存をかけて米国を自らの地域に巻き込もうとする」のであって、その国々に向かって「米国が手を引けば」と言うのは、「彼ら『知識人』の底の浅さ」を露呈したものである……と。

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「命を守る行動を」の説得力ゼロ。日本の“気象災害”報道が響かぬワケ

近年、国内でも激甚化の一途をたどる自然災害。今年も6月から7月にかけて各地で豪雨被害が相次ぐ事態となっています。そんな中にあって、日本の気象災害報道の姿勢に苦言を呈しているのは、米国在住作家の冷泉彰彦さん。冷泉さんはメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で今回、現在のような放送を繰り返していては命は守れないと断言するとともに、具体的な改善策を提案しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年7月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

気象災害の報道のあり方を問う

近年の日本の地上波各局における、気象災害報道の姿勢は、極めて消極的の一言に尽きると思います。

「台風接近時の中継では、こわごわ、安全なところからお伝えしています、などと断りを入れて放送するし、実際に何のインパクトもない画面を平気で流す」

「河川増水の様子は国交省の無人カメラの映像などで済ませる」

「甚大な被害が出た場合も、視聴者提供のスマホ動画などで済ませる」

「深刻な状態でも、地方局(NHK、民放とも)の土地勘のある記者等がマトモな映像を届けることはほとんどなく、東京のスタジオから『今頃、堤防が決壊しているかもしれません』などといったいい加減で呑気なアナウンスが流れる」

「依然として、『命を守る行動を』といった「日本語にはない表現」でごま
かす」

といった具合です。そこに真剣味はなく、厳しさもありません。臨場感もありません。こんな放送を繰り返していては、それこそ「命は守れない」と思うのです。

中継ができない理由はハッキリしています。まず、カスハラ体質の視聴者が「マスゴミが危険な場所で報道すると、地元に迷惑をかける」というクレームを入れてくるからです。これは「救急隊員がコンビニ行くな」的なカスハラと同質だという共通理解を作って押し返すことが必要です。

同時に、このカスハラに負けてズルズル「生中継のノウハウを喪失した」状況をしっかり押し返して、「報道のプロとして、迷惑をかけずに、インパクトのある映像をしっかり危機意識の喚起メッセージとして届ける」ための21世紀版のハイテクも駆使したノウハウを築き上げることが必要です。

いやいや、予算がないので無理というのなら、NHKはこうした災害報道に関して地方にしっかり予算を回すべきですし、民放の地方局の場合は局ごとにエリアを割り振って分担するとか、工夫して乗り切るべきと思います。

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卵を多量摂取しても「血中コレステロールへの影響は小」は本当か?

糖質制限食を実践し、卵を始めとする高コレステロール食材を多く摂取するようになった人が、血中コレステロール値の変化を気にするのは当然のこと。1日4個の卵摂取を半年以上続けLDLコレステロール値が上昇したとの質問に答えるのは、メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』著者で、糖質制限食の提唱者として知られる江部康二医師です。江部さんは、食事が血中コレステロール値へ与える影響はないというのは確かなエビデンスがあると説明。ただし、短期的には肝臓による調整が追いつかず、質問者以上の数値になる人もいると伝えたうえで、評価を示しています。

卵の摂取と血中コレステロールについて

Question

shitumon

卵の摂取と血中コレステロールについて質問があります。半年以上、1日あたり4個の卵を食べた結果、LDLコレステロールが約150→198まで上がりました。

そして卵の多量摂取をやめ、タンパク源を豚ロース100gに変更したところ、2ヶ月足らずで155まで下がり、中性脂肪も97→60となっています。

最近の医学、栄養学では、食物由来のコレステロールは血中コレステロールへの影響は少ないと言われていますが、この結果を見ると、やはり食物由来のコレステロールは血中コレステロールに影響があるように思えます。体質的なものなのでしょうか?

ドクター江部からの回答

普通の大きさの卵1個の重さは約65g、中身は約55gで、その中のコレステロール量は約250mgです。日本人の平均的なコレステロール摂取量は1日に300mgですので、卵1個のコレステロール量は、それなりに多いと言えます。

[100g中のコレステロール量] ・豚もも:46mg
・豚ロース:51mg
・豚ヒレ:47mg
・鶏卵:428mg
・鶏もも:114mg
・鶏ささみ:54mg
・バター:227mg
・チーズ(ゴーダ):67mg

データ的には、鶏卵のコレステロール含有量はダントツに多いですね。しかし、ご指摘のように、2015年に米国でも日本でも、食事中のコレステロールの摂取基準を撤廃しています。

これは、食事中に含まれるコレステロールの量が、血中コレステロール濃度に影響を与えないという研究結果を踏まえてのことと思われます。

例えば、米国医師会雑誌、2006年2月8日号に掲載された論文において、

「は乳癌、大腸癌、心血管疾患リスクを下げない。総コレステロール値も不変」(JAMA ,295(6):629-642. 643-654. 655-666.)

と報告されています。

5万人で対象群をおいて8年間追跡した信頼度の高い論文です。でも、この研究、8年間の観察ですね。

この記事の著者・江部康二さんのメルマガ

「ガスト」が起こしたイノベーション。お得感のない“ハーフサイズメニュー”はなぜ受け入れられたのか?

ファミリーレストラン「ガスト」が提供するハーフサイズメニューが好評です。通常のボリュームが半分になるため割高感を感じる人もいるはずですが、消費者に受け入れられるのは一体なぜなのでしょう?メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』の著者でMBAホルダーの理央 周さんは、このガストの戦略に身近なイノベーションがあると話します。決しても“画期的”ではないものの、顧客にとっての“新しい価値創出”が大切なのです。

なぜ、すかいらーくホールディングスは、ハーフ料理を出したのか?身近にあるイノベーション~顧客体験価値を見逃さず売り伸ばすには

すかいらーくホールディングスの運営する、ファミリーレストラン「ガスト」で、通常の半分のサイズのメニューが好評とのことです。

なぜ、ガストはこの、“小さい”サイズのメニューを出したのか?そして、なぜ、“小さいにもかかわらず”、好評なのか?を考えていきたいと思います。

以下は、この件についての、日本経済新聞2023年7月9日からの、引用です。

すかいらーくホールディングスでは、主力ファミリーレストランチェーンの「ガスト」で、4月から通常の半分のサイズで、提供するメニューを増やした。複数の料理を選びたい、少量でいいといった需要をとらえただけでなく、物価高の中、値ごろ感があると支持され、小皿料理全体の売れ行きは、皿数ベースで計画を2割上回って推移している。

飲食店での新メニューでよくあるのは、大盛り、メガ盛り、というように、“大きくする”ことで、お値打ち感を出すことです。

一見、小さくしてしまうと、お得感も出ないし、割高だ、と、「顧客が感じる」と思ってしまいそうです。

なぜ、ガストでは半分のサイズのメニューが、受け入れられているのでしょうか?

日本経済新聞のこの記事によると、ガストの設定したターゲット層と、その広がりについて書かれています。

追加したメニューは当初、来店頻度が高い主要顧客層の、30代以上の女性に、より充足感をもってもらうために開発した。少しずつ様々な料理を食べたい、通常の量では多すぎる、との需要に応えることが狙いだ。肉料理とパスタのハーフサイズを注文した、30代の女性会社員は、「外食では色々な料理を食べたい。組み合わせによっては、ダイエット中でも罪悪感なく食べられそう。また注文したい」と満足げだ。販売を始めると、こうした需要だけでなく、少量を食べたい60代以上のシニアや、20代の女性などにも人気が広がった。

とあります。

記事によると、ガストのオリジナルメニューとか、ここにしかない画期的なメニュー、というわけでもなく、ミートソースパスタなどの、定番メニューが大半のようです。

新製品でもなければ、大きくもない、半分の小さくしても、好評なのはなぜでしょうか?

それは、このメニューも、広い意味でのイノベーションだからです。

イノベーションと聞くと、iPhoneなどの画期的な新製品や、対話型AIを身近にした、ChatGPTのような、技術革新を思い浮かべる人も多いでしょう。

この辺りの説明も踏まえて、今号では、“身近にあるイノベーション”について考えてみたいと思います。

イノベーションとは

その前に、「イノベーション」とは何か、の定義から始めましょう。

イノベーションとは、新しいアイデアや手法を具体化して、それを事業や製品、サービスに取り入れることで、顧客にとっての“新しい価値”を生み出すことです。

なので、先程挙げた画期的な新製品の開発も、もちろんイノベーションですが、必ずしも“画期的”でなくても、顧客の視点からみて、“新しい価値”になるのであれば、それはイノベーションとして、顧客に受け入れられるのです。

このガストのように、小さくすることで「他のものも食べられる」ということに顧客にとっての新しい価値、すなわちイノベーションなのです。

したがって、製品開発に限らず、組織の業務改革や、マーケティング戦略の革新などでも、新しい顧客価値を生み出すことができますよね。

この記事の著者・理央 周さんのメルマガ

桐島聡「逃亡49年」の裏で獄中死。大道寺将司 東アジア反日武装戦線元リーダーは最近の日本をどう見ていたか

1970年代の連続企業爆破事件で指名手配されていた「東アジア反日武装戦線」のメンバー、桐島聡容疑者(70)を名乗る人物が警視庁に身柄確保された。仮に容疑者本人なら他の主要メンバーの多くが逮捕される中、実に49年間にわたって逃亡を続けたことになる。その間、グループのリーダー格だった大道寺将司元死刑囚は東京拘置所内で病死(2017年)。この記事では句集と著書から大道寺将司最晩年の胸中を辿る。(メルマガ『佐高信の筆刀両断』2023年7月21日号より/2024年1月27日記事タイトル更新)

詩人の心とどっちつかず

豆腐屋から転じて作家となった松下竜一は本当に口数の少ない人だった。三菱重工爆破事件を起こした大道寺将司らを『狼煙を見よ』に描いたが、大道寺の母親に会いに行っても黙ったままなので、たまりかねて母親が、「松下さん、トランプでもしましょうか」と言ったという逸話がある。

私も親しくしてもらったが、しかし、その無口に存在感があった。

ところで大道寺が俳句を始めたのは、鶴彬の川柳を読んだからだと聞いて、彼の句集『棺一基』(太田出版)と『最終獄中通信』(河出書房新社)を読み返した。1948年に釧路に生まれた大道寺は2017年に獄中で亡くなっている。享年68。死刑確定囚だった。

大道寺は1984年夏に東京拘置所から松下に手紙を書いた。そこには、大道寺が獄中の政治犯に松下の『豆腐屋の四季』(講談社文芸文庫)を読むことをすすめ、東京拘置所に突然、この本のブームが訪れたと書いてあった。

松下は、自分の本の中で、大杉栄の遺児のことを書いた『ルイズ―父の貰いし名は』などではなく、暗く孤独な青春の日々を短歌と短文で綴った『豆腐屋の四季』が政治犯たちに愛読されているということが、とても意外だった、と述懐している。

しかし、革命を夢見て一途な行動に走る人間たちは底に詩人の心を潜ませているのだろう。大道寺の母親が回想しているように、高校時代、大道寺は中原中也とアルチュール・ランボーが好きで、部屋の壁に中也の次の詩を書いて貼っていたという。

汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる

以下は略すが、大道寺の句を3首挙げよう。

生きてまた迎へてをりし今朝の春

死は罪の償ひなるや金亀子(こがねむし)

狼や見果てぬ夢を追ひ続け

『最終獄中通信』では2015年の時点で大道寺が創価学会(公明党)べったりの佐藤優を痛烈に批判し、「メディアは使い勝手がいいから多用しているのだけれど、しっかりしてくれよと言いたい」と注文をつけていることを知った。

また、東大教授の藤原帰一が「集団的自衛権は必要だ」という趣旨のことを『朝日』に書いたことに触れ、「ただ安倍政権の主張を全面的に認めるわけではなく、政府の主張にも野党のそれにも問題がある」と言う。では、どうすればいいのかは何も書いていない。

「米国へのシンパシーを強く感じる論調ではあります。いつも中途半端で自分の主張をしない人です。黒白を断定できないことは多いし、安倍たちのように間違った断定をされても困るけれど、どっちつかずというのも始末に負えない」と大道寺は指摘しているが、私には藤原と池上彰が重なって見える。皮肉を言えば、どっちつかずだから『朝日』は書かせているのだろう。

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ビッグモーター緊急会見はコント状態。息子の副社長は欠席、兼重社長「不正は板金塗装部の単独」「ゴルフ愛する人への冒涜」「不正は知らなかった」でネット大炎上

ビッグモーターの兼重宏行社長(71)が25日午前、都内にて一連の不正請求問題について記者会見をおこない、7月26日付で社長を辞任すると発表した。後任の社長には専務取締役の和泉伸二氏が就く。新社長となる和泉氏は会見で「あまりにも強過ぎるリーダーシップに頼りすぎていた面も否めない」とし、「絶対にあってはいけないことが起きてしまった」と涙を見せる場面もあった。しかし、この会見で兼重社長は「ゴルフボールを使った不正行為は、ゴルフを愛する人への冒涜」「不正は知らなかった」「不正は板金塗装部の単独」などと、理解し難いおかしな発言を連発。これには会見を視聴していたネットユーザーたちから批判の声が相次ぎ、大炎上状態となっている。

副社長は欠席、不正は「知らなかった」

問題発覚後初めて公の場に姿を見せた兼重氏はやや緊張した面持ちで、息子で副社長の宏一氏が、不合理な目標設定、降格人事で信頼を裏切ったと説明。自身は7月26日付で社長を辞任し、「今後、息子も含めて経営には一切関与しない」と明言した。しかし会見に、当の宏一氏は欠席。違和感の漂う「弁明の場」となった。

さらに兼重氏は「特別調査委員会の報告書が出た6月26日まで、一連の不正についてまったく知らなかった」とし、その内容を知るに至り「耳を疑った」との心情を吐露。その上で、「不正は板金塗装部の単独」と、あくまで自身を含む経営陣の関与を否定した。

ゴルフボールでの車体叩きには「ゴルフを愛する人に対する冒涜」の謎理論

不正請求の手口として報告された、ゴルフボールを靴下に入れて車体を叩くという行為については、「ありえない。ゴルフを愛する人に対する冒涜」と強い口調で批判。あくまでゴルフ愛好家への「冒涜」とし、顧客や利用者への謝罪の言葉ではなかった。また、この不正に関わった当該社員を刑事告訴すると発言し、「逆ギレ」感もにおわせた。

そして、不正が発覚してから社長による記者会見が遅れた理由として「私の認識の甘さ」「速やかに会見を開けばよかった」とし、「世の中を騒がせてしまった」との認識を口にした。

単独で不正問題を起こしたとする板金部門については、「内部統制が全くない状態」であり、「不正は個々の工場長の指示によるもの」と断言。まるで社員の「忖度」が原因であるかのような発言が目立った。

経営陣の責任については、「不合理に設定された目標がノルマになってしまった、そのことが原因で起きたと思われても仕方がない。ただし経営側からの(ノルマ強要の)関与はまったくない」と、重ねて組織ぐるみの関与を否定した。

26日にはビッグモーターに対し、道路運送車両法に基づく国土交通省の聞き取りが行われる予定。場合によっては行政処分も有り得るだけに、その結果に注目が集まっている。

【関連】不正疑惑のビッグモーターに「倒産」の可能性はあるか?事業再生コンサルの見解は…

「暗示」は、人間を簡単に変える。現役精神科医がその理由を解説

「三つ子の魂百まで」といった言葉があるように、人間は簡単に変わることができません。しかし、心理学的の観点から「暗示」で人は変わるという研究結果もあるそうです。今回のメルマガ『セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術』では、 著者で現役精神科医のゆうきゆう先生が、人間を簡単に変える「暗示」の力を紹介しています。

人間を瞬時に【変える】魔法の言葉!

こんにちは。ゆうきゆうです。

皆さん元気でおすごしでしょうか。

さて、「他人を変える」にはどうしたら良いでしょうか。

自分の好きな人・家族・友人・職場の人など、周囲の人を変えていきたいと思う場面もあるでしょう。

今回は具体的な行動について、お話していきます。

恐怖症克服の実験

実はカンザス大学のキース・ハルベリーは、「ヘビ恐怖症を克服する実験」を行いました。

実験では、まずA・B・Cという3つのグループに分け、次のように異なる対応を行いました。

・A:何もしない

・B:「体の緊張をほどいてください」「リラックスしてください」「深呼吸してください」というようにリラックスするようトレーニングを行う。

・C:Bのようにリラックスさせるトレーニング以外にも、被験者に心理テストを受けさせ「あなたは苦手なものを上手く克服しやすいタイプですね」というウソの結果を伝える

そして3グループの恐怖症に対する反応は、次の結果となりました。

まずAグループは、恐怖症の改善は見られませんでした。

次にBグループは、ほんの少し恐怖症が改善しました。

そしてCグループは、一番顕著に恐怖症の改善が確認されました。

つまり心理テストの結果は事実ではないにもかかわらず、ウソを伝えたCグループが一番改善したのです。

暗示で人は変われる!

この実験からもわかるように、人間は「あなたは○○のタイプです」と言われると、その言葉通りに振舞ってしまうという心理があります。

たとえ今回のような恐怖症であったとしても、人の言葉にある意味暗示をかけられ、克服できるように振舞ってしまうのです。

他人の暗示的な言葉というのは、非常に強い意味があります。

例えば子供に「お前はできないやつだ」「お前はバカだ」「何をやらせてもダメだ」というように言っていると、本当にその子どもはできなくなってしまいます。

それよりも「毎日頑張っているね」「君は天才だ!」「○○できてすごい!」といった形でほめ続けていくと、どんどんやる気を出して、本当にできるようになるのです。

これは子どもに限らず、大人が相手でも一緒です。

ほめていると、相手というのはどんどん育っていきます。

そしてこれは、自分自身に対しても同じ。

自分を育てるような気持ちで、連続でプラスな言葉をかけていきましょう。

それだけで、実際の自分の振る舞いも大きく変わっていきます。

ぜひ大安売りの気持ちで、「ほめ言葉」はどんな人にも全力で伝えてくださいね。

というわけで、何か少しでも参考になることがあれば幸いです。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

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プーチンを強く批判する、ロシアとウクライナの「重要な秘密」を知る男が拘束された理由

プーチンを強く批判する極右であるイーゴリ・ストレルコフが拘束されました。なぜ、このようなことになったのか、メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、詳しく彼の拘束について語っています。

ロシアとウクライナの重要な秘密を知る男、ストレルコフが拘束されました

「反プーチン勢力」は、時代と共に変化しています。2022年2月24日にウクライナ戦争がはじまるまで、「反プーチン勢力」といえば、ナワリヌイを中心とする「リベラル派」でした。

ナワリヌイは、ロシア政府高官の汚職を次々と暴露することで、「プーチンは、国民に寄り添って質素に暮らしている神話」をぶち壊していきました。彼は2021年1月に逮捕され、今も刑務所にいます。

ロシアの「リベラル反プーチン勢力」は、壊滅状態にあります。刑務所にいるか、外国にいるか。それで、ロシア国内における影響力は、ほとんどなくなっています。

代わって台頭してきたのが、「極右反プーチン勢力」です。これは、何でしょうか?

彼らは、ウクライナ侵攻を大歓迎しました。彼らは、「ロシア軍は3日でキーウを占領し、戦争は終わる」と思っていた。

ところが、半年経っても終わらない、1年経っても終わらない。極右勢力の一部は考え始めました。「これは、プーチンが無能だからだ!」と。

どんな人物が、「極右反プーチン勢力」に含まれるのでしょうか?たとえば、「プーチンのメンター」と呼ばれた地政学者ドゥーギン。この方は、娘のダリアが2022年8月、自動車で爆殺されたことで世界的に知られるようになりました。

たとえば、プリゴジン。プリゴジンは、最前線で戦い健闘していた。それで、極右勢力の中でもっとも人気が高かったのです。

もう一人、今回の主人公イーゴリ・ストレルコフがいます。この方は、どちらかというと、テレグラムとかYouTubeの「ロシア極右系インフルエンサー」といえるでしょう。プーチンのことをもっとも強く批判している極右です。