ICBMも発射か。北朝鮮「狂気のミサイル連射」が招く世界の混乱と緊張

9月末からの短期間に、あたかも何かに取り憑かれたようにミサイルを連射する北朝鮮。11月2日に至っては1日20発以上を発射しましたが、何が金正恩総書記にこのような常軌を逸した行動を取らせているのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、その思惑を「米国のレッドラインを見極めるためのぎりぎりの賭け」と推測。さらに北朝鮮のみならず各国が見せている「レッドラインを試す動き」を列挙するとともに、日本にとってもそれは決して他人事ではないとの警告を発しています。

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レッドラインを試しあう緊迫の世界

「中国共産党大会が閉幕し、習近平国家主席の3期目の陣容が明らかになるにつれ、アジア全域に漂っていた霧が晴れ、一気に緊迫感が漂ってきた」

それを実感させたのは、習近平体制が3期目に入るにあたり、台湾併合への意欲を示したことでも、日本への威嚇のために中国艦船が鹿児島沖海域に侵入したからでもなく、今週に入って堰を切ったかのように連発した北朝鮮による弾道ミサイル発射です。

日本列島を横切り太平洋にまで到達するようなものはなかったようですが、11月2日には朝と夜に2回、11月3日朝には3発から4発の弾道ミサイル発射が実行されました(そしてまた夜に発射されたようです)。3日のミサイル発射については、うち一発がICBM級であったという情報があり、恐らく失敗したものと思われますが、火星17型(ICBM)であった可能性が指摘されています。

今回の弾道ミサイルの連射ですが、主因は米韓合同軍事演習への抗議と言われていますが、実際には【国際社会、特に米国のレッドラインを見極めるためのぎりぎりの賭け】というように特徴づけられると考えます。

これまでは、日本列島を横切ったものを含め、弾道ミサイル発射は中距離弾道ミサイル止まりで、以前の国連安保理対北朝鮮制裁決議違反か否かが微妙なラインに止めてきましたが、もし11月3日に発射され、約2,000メートルの高度で750キロメートル飛行したと思われるミサイルがICBMだったとしたら、それは明らかな安保理決議違反という判断が下されることになります。

まだICBMと確定診断されたわけではないようですが、ICBMが発射された可能性が“極めて高い”という多方面からの情報は、これから起こる混乱と緊張を予感させます。

安保理決議違反である場合、レッドラインを試す相手は安保理、特に米英仏中ロの常任理事国になるわけですが、現在、ロシアによるウクライナ侵攻に対する対応をめぐり完全に分裂しており、国連安保理が実質的にマヒし、中ロが新たな制裁に反対することが明らかですから、レッドラインを試す相手は安保理ではありません。

実際にはアメリカへの挑戦状と理解できます。

軍事的には北朝鮮を恐らく一瞬にして消し去るだけの核戦力を保有するアメリカですが、多様なミサイルを保有し、かつその精度が次第に高まっており、さらには弾道ミサイルに搭載可能なレベルまで核弾頭を小型化出来ていると言われている北朝鮮が自爆覚悟で周辺のアメリカの同盟国を攻撃するのみならず、米国本土を目指して核ミサイルが飛んでくる可能性も否定できないというのが、最新の分析です。

そのような中、反撃される危険性を承知の上で、アメリカが北朝鮮に対する攻撃に踏み切る可能性が高まるぎりぎりのラインを探っているのが現状と思われます。

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近づく破滅。ウクライナ危機を教訓に台湾有事に備え始めた日本企業

10月に行われた中国共産党第20回全国代表大会で、台湾統一のためには武力を行使することも厭わない姿勢をはっきりと口にした習近平総書記。もはや台湾有事は避けられない状況になりつつあると言っても過言ではありませんが、企業の間でも緊張が高まっているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、台湾で事業を展開中の日本企業が「その時」に向けて進める対策を、新聞記事を引く形で紹介。さらに日台両政府に対しては、有事への備えを迅速に開始すべきと強く訴えています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年11月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。 

日本企業も台湾有事に備え始めた

台湾有事に進出企業の半数が対応策 50社調査、備え拡大

中国共産党大会が終わり、習近平の続投が決定し、習近平の独裁化の色がより濃くなってきてから、「台湾有事」の声がより高くなってきています。

日経新聞電子版の記事は、台湾に進出している日本企業が、台湾有事に備えて様々な準備をしていると報じています。例えば、

駐在員とその家族全員が、日本にいつでも帰国できるように150人分の予約リストを作成した。(金融幹部)

有事下では、事業継続に当たり、通信の遮断も懸念材料だ。本国や取引先などとの連絡手段において、ウクライナ危機でも需要が高まった衛星電話が、台湾でも有効となる可能性がある。ある半導体関連メーカーの幹部は「既に衛星電話を導入した」と話した。

台湾で邦銀最大規模のみずほ銀行の村田温・台北支店長は「現段階から台湾人幹部と十分に話し合い、有事の際の日本人駐在員の帰国や、帰国後の事業運営方法についてあらかじめ十分なコンセンサスをとっておくことが重要だ」と指摘した。

台湾有事に進出企業の半数が対応策 50社調査、備え拡大

また、台湾は半導体生産では世界トップクラスの量を誇っています。有事となると、産業への影響は避けられません。

半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が先端半導体の世界生産の9割を台湾で担う。「TSMCの工場が止まれば、多くの進出企業の事業継続は不可能だ。世界的に甚大な影響を及ぼすのは間違いない」(半導体幹部)

● 台湾有事に進出企業の半数が対応策 50社調査、備え拡大

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日本は教育制度もガラパゴス化。障害者を「弱者」扱いする時代遅れ

今年4月、文部科学省が特別支援学級に在籍する児童・生徒に、週の半分以上支援学級で授業を受けるよう求めた通知に対し、「人権侵害」を訴える親子がいます。また、「特別支援学級」については、今年9月に国連から問題ありと勧告を受けるなど、日本の障害者教育のあり方が問われています。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、健康社会学者の河合薫さんが、「特別支援学級制度」の良い面を認めながらも、世界的な流れである「バラバラだけど一緒に過ごす教育」の意義を訴え、学ぶべき各国の例をあげるとともに、日本の教員の長時間労働の問題についても言及しています。

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世界と逆行?「人」を忘れた国の末路

今年4月、文科省が全国に出した「特別支援学級」に関する通知を巡り、枚方市と東大阪市の親子5組13人が、大阪弁護士会に人権救済の申し立てを行ったことがわかりました。

大阪府では、長年「支援学級在籍の子」が多くの時間を「通常学級」で学ぶ形が取られてきました。大阪では人権・同和教育に力を入れてきた歴史などを踏まえ、障害の有無でクラスを分けるのではなく、一緒に学び、育つ、「インクルーシブ教育」を取り入れていたのです。

ところが、文科省がこれに待った!をかけた。「特別支援学級に在籍する生徒は、原則週の半分以上を支援学級で授業を受けなければならない」と通知。これに対し、保護者らが「障害がある生徒を『分離』あるいは『隔離』することは差別であり、人権侵害だ」と主張したのです。

特別支援教育については、9月に国連の障害者権利委員会が「障害者を分離する教育はやめるように」と日本政府に勧告していたので、件の通知が今回の申し立てにより、どう変わるのか?対応が気になるところです。

日本の特別支援学級は「その子にあった教育を受けられる」という面では、とてもいい制度です。障害のプラス面を引き出す授業を展開している自治体もあるし、通常学級ではうまくコミュニケーションが取れなかった子どもが支援学級の先生のサポートにより授業の内容を理解できたり、「伝える・伝わる」関係を構築できたり、子どもの生活世界の豊かさにもつながります。

しかし一方で、世界的に拡大している「インクルーシブ教育」とは、通常学級ですべての子どもを育てることを意味しているため、「日本はインクルーシブ教育に逆行している」との指摘もされてきました。

特に近年、日本では特別支援学級に通う児童・生徒が急増しているため、このままだとますますインクルーシブ教育から遠ざかってしまう可能性がある。子どもが急増した背景には、対象に学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)が加わったことに加え、一人ひとりの子どもに応じたきめ細かい教育を求めて、特別支援学校や学級を選択する保護者が増えたこともあるとされているのです。

欧米では「合理的配慮」が徹底されているため、通常学級でもきちんとしたサポートが受けられます。しかし、日本は分離した上での配慮を今までも優先してきましたし、「合理的配慮」という言葉だけが先行し、実態はあくまでも「弱者」扱いです。

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藤田ニコルの「乳首ガード理論」に誤算? 過去の疑惑動画を再拡散で乳首警察一歩も引かず勝敗は判定へ

「乳首警察」をディスったせいだろうか、藤田ニコルが思わぬ反撃に遭っているようだ。かまいたちが進行するABCテレビ「これ余談なんですけど・・・」(水曜午後11時17分)で2日、にこるんはSNS上の被害として女性タレントのグラビアの肌見せオフショットを添付しては「これは乳首ですか?」と、わざわざ質問するメンションが送られてくることを告白。その発言にネット上の「乳首警察」が反発したのか、過去の藤田の乳首見え疑惑動画がSNSで出回っているという。一体、何が起きているのだろうか?

にこるん「乳首見え警察」を非難していた過去

今回の騒動のきっかけは何だったのだろうか? にこるんが「乳首警察」に言及した番組「これ余談なんですけど・・・」では、まず南海キャンディーズの山里亮太が「SNSには東野警察がいる」と激白したことから始まった。

「朝早かったので電車に間に合って良かった」と山里がツイッターでつぶやくと、先輩芸人の東野幸治はすかさずそのツイートに反応。そして「電車に乗ってることで、庶民の味方をアピールするのはやめてください」と引用リツイートし、その後「今、タクシーで目の前を通りました」と嘘の報告まで追加。山里のツイートを常にチェックし、仕事の充実ぶりや、芸能人らしくない慎ましい暮らしぶりをアピールしたツイートを見かけると、すかさず東野警察が飛んでくることをぼやいていた。

その後、にこるんがこれに関連して、SNS上の「警察話」へと繋げていったのだ。にこるんのSNSに現れる警察は、何と「乳首探し警察」。彼女が明かしたこの奇妙な「警察」は一体何を指摘してくるというのだろうか?

それは、女性タレントのグラビアの肌見せオフショット画像を添付して「これは乳首が見えてるか?見えてないか?」というメッセージをにこるん宛にメンションをつけて送りつけ、胸元の部分をスクリーンショットで拡大して「これは乳首ですか?」「これは絶対乳首だよ」などと、複数いる「乳首警察」同士で話し合っているという理解不能なものだという。

にこるん自身も「乳首が出た」と疑惑がある動画を送りつけられ、「これは乳首です」「乳首でちゃった」「ごちそうさまです」という言葉が飛び交っているというのだから穏やかではない。

しかし、にこるんは同番組で「絶対に乳首が見えることはない」と断言。撮影の際にどんなに露出してても、乳首が露出しないようにニップレスやヌーブラを装着しているというのだ。

ネット上では「いや、ここまで言うのだから見えているのでは?」「まったくないと断言できるのはおかしい」と、「見えている」可能性を指摘する声もあるようだが、真相は不明のまま。たしかにすべてのタレントやグラドルがそういったモノをつけているかは断言できないだろう。

実は、にこるんは過去にも「乳首警察」にツイッター上で言及している。にこるんは今年8月に自身のツイッターで、

「あんま触れないようにしてたけどオフショットの動画が乳首見えてるとか言われてるけど撮影でインナー着ないで撮影するわけないでしょ!スカートの中だってインナーパンツだし。トップスの時はヌーブラやらなんやらしてるから乳首なんかでるわけないでしょ!乳首探し変態野郎!現実みな!気持ち悪い!」

とつぶやいていたのだ。

にこるんファンの多くは女性であるせいか、「よくぞ言ってくれた」と女性側の代弁者としてこのツイートは称賛され、数万の「いいね」がついていた。

一方、「乳首警察」たちにとっては神経を逆撫でする言葉だったらしく、これが火に油を注ぐかたちとなり、にこるんの「乳首見え」疑惑動画がさらに大量に出回ることになってしまったようだ。

結局、にこるんは本当に見えていたのかどうか、それはネットユーザー各自が、拡散している疑惑動画で「判定」するしかなさそうである。

臓器提供の意思も叶わず。韓国ソウル梨泰院事故の遺族が二度涙を流した無念

日本人2人を含む156人が犠牲となったソウルの梨泰院群衆事故。現地警察の不手際が次々と明らかになり、警察が警察の強制捜査に入るなど異例の事態となっていますが、そもそもなぜこのような大事故が発生してしまったのでしょうか。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、現在までに報道されている情報を改めて整理。さらにこの事故で命を落とした女性看護師の遺族が、二度涙することとなった痛ましい悲話を紹介しています。

ソウル梨泰院事件と北ミサイルと

今回の事故は誰か一人二人が押したからといったことは成立しない。この人出が予想されていたのに、警察がなにも対策をやらず頓珍漢な場所に警察人力を配置していたことが第一原因だ。

警察の2日前の会議でも「圧死事故」という単語がでるような場があったのになんで当日(29日から)に何もやらずにボーっとしていたんだろうか。29日午後6時半ごろから一般市民からの「危険です」という情報が交番や警察署に届いていたのに、これすら、無視するような形で警察はなにもしなかったのだ。信じられない。

6時半と言えば、事故発生時刻の4時間前だ。梨泰院駅(1番出口)から降りてすぐ坂道を上ることになるのだが、すでにこの辺一帯がものすごい人込みとなっていたのだ。6時半の市民からの情報によると、すでにこのときこの市民は「圧死」という単語を使って警察に梨泰院一帯がどれほど危険の状態になっているかを説明している(電話録音が公開されているし、この通報者自身がテレビの取材に答えて当時の状況や本人が話した内容について録音をもとにしゃべっている)。

6時半から事故発生のちょっと前の10時10分ごろまで重要な通報だけで11件が警察に寄せられていたらしい(全部公開されている)。

梨泰院の1番出口を出て登り勾配を歩く方向をAとすると、この登り勾配を下ってくる方向(B)がある。この路地で事故が発生したのだが、その道幅は3.2mで長さは40メートルほど。このAとBをどちらかを通行規制して一方通行にするだけでもこのような大事故は防げたと思うと、本当に切ない。

事故はこの40メートルの路地の中間地点で起こった。上からの人波と下からの人波がぶつかり合って真ん中にいる人たちが圧迫されたことによる事故だが、この路地の中に推定で1,000人以上が歩いていたというから、1平方メートルあたりだいたい10人の人が存在したことになる。1平方メートルに4人くらいは立てるかもしれないけど、10人立て、といったらこれは不可能だ。

痛ましい消息が次々と出てきているが、筆者が接した消息のなかで次のが最大級に悲しいものだった。24歳ほどの看護師(女性)が事故の犠牲になった。家族は悲しみの中にも彼女が生前、臓器寄贈にサインしていたことを思い出し臓器の提供を病院側に話した。すると担当の医者の答えは、お気持ちはありがたいが残念ながらそれはできない。彼女の臓器が圧迫のせいで台無し(全部破壊状態)になっていたからというものだった。これには遺族は二度、大きな涙を流すことになった。

誰かの責任を追及して犠牲者が帰ってくるわけでもないけれど、今後の流れとしては行政安全部および警察幹部(そして梨泰院が属しているソウル龍山区の区長をはじめとした幹部ら)の進退問題となるだろう。

大手メーカーが“見放した技術”を再生。アラジン「高級トースター」人気の秘密

温かみのあるデザインもさることながら、他社製品を寄せ付けない圧倒的な性能で好調な売れ行きを記録するアラジン・グラファイト・トースター。しかしユーザーを虜にする焼き上がりを支えているのは、開発した大手企業から見放された技術でした。今回、そんな技術を買い取り人気の高級トースターとして「昇華」させた株式会社千石の成功への道のりを紹介しているのは、神戸大学大学院教授で日本マーケティング学会理事の栗木契さん。栗木さんは記事中、同社の取り組みを分析するとともに、その成功事例が問いかけているものを提示しています。

プロフィール栗木契くりきけい
神戸大学大学院経営学研究科教授。1966年、米・フィラデルフィア生まれ。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(商学)。2012年より神戸大学大学院経営学研究科教授。専門はマーケティング戦略。著書に『明日は、ビジョンで拓かれる』『マーケティング・リフレーミング』(ともに共編著)、『マーケティング・コンセプトを問い直す』などがある。

アラジン・トースターは、市場性が見いだせない技術をどのように再生したか

グラファイト管搭載の高級トースター

アラジン・グラファイト・トースターは、2015年に発売された高級調理家電である。兵庫県加西市に本社を置く株式会社千石が手がける。アラジン・トースターには、特許技術の遠赤外線グラファイト・ヒーター管が搭載されており、外はカリカリと、中はモチモチにトーストを焼くことができる。パン・ブームなどを追い風に、おいしいトーストを焼くことができるトースターとして人気を集めている。

アラジン・トースターは、丸みを帯びたレトロな外観で、トースターとしては珍しい、緑のカラーも用意している。これは暖房機のブランドとしての歴史をもつアラジンの特徴を踏まえた展開であり、本物感(オーセンティシティ)を醸成することにつながっている。

千石は、長らく大手メーカーなどから生産委託を受けるOEM企業として、各種家電の製造を行ってきた。現在の千石の売上高は180億円。アラジン・トースターの販売が順調に拡大したことで、自社ブランド事業がOEM事業と並ぶ千石の新しい柱に育っている。現在では自社ブランド事業が千石の売上高の4割ほどを占める。

そもそもは自社で開発した技術ではない

なぜ、一地方のOEM企業が、このような事業転換を果たすことができたのか。しかも、グラファイト管もアラジンも、従前は市場性が乏しいと思われていた技術であり、ブランドである。弱者の掛け合わせが、どのような化学反応を生みだしたのか。

グラファイト管は、そもそもは千石ではなく、他の国内の大手企業が開発した技術である。そしてこの技術を千石が購入することになったことから、アラジン・トースターが生まれる。

グラファイト管は、短時間で一気に高温となり、かつ発熱温度を最適にコントロールすることも容易である。熱源としての優れた特性をもつグラファイト管だが、問題もあった。グラファイト管は一般的なヒーター管よりも製造コストが高い。短時間で一気に高温となるグラファイト管は、加熱調理や暖をとるのに適しているとはいえ、市場では消費者に安価な類似品との比較のなかで選択される。いかに熱源として優れていても、価格が高ければ市場性は弱くなる。

こうした問題から、この大手企業は、開発したグラファイト技術を手放すことを決断し、それを千石が購入した。2012年のことである。とはいえ、千石もグラファイト管の用途が見えていたわけではない。その後は自社の暖房機などに採用して、細々とした販売を続けていた。

アフリカへバッタを取りに行った男の「海外トラブル」爆笑エピソード

日本とは違う、海外の常識。だからこそ起こる「トラブル」を楽しく伝えてくれる一冊について、メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』が紹介しています。アフリカへバッタを取りに行った男の爆笑トラブルエピソードとは?

海外ならではのトラブルの連続。【一日一冊】バッタを倒しにアフリカへ

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バッタを倒しにアフリカへ

前野ウルド浩太郎 著/光文社

小学生の頃、ファーブル昆虫記を読んで、昆虫学者になりたいと思った著者は、弘前大学でイナゴの研究で博士号を取りました。

しかし、日本では博士号を取っただけでは教授になれません。論文を書いて成果を出さなければ、職を得られないのです。そこで、著者はアフリカでバッタの研究をしようと考えたのです。

アフリカではバッタの大量発生で農作物が被害を受けて大問題になっており、現地でバッタ研究で成果を出せば、日本の研究機関に就職できるかもしれない!という邪(よこしま)な思いからです。

著者が向かったのはアフリカ西端のモーリタニアです。日本人は13人しかいませんが、日本で消費されているタコの約3割はモーリタニアから輸入されているという。著者は海外派遣支援制度を利用してモーリタニアのバッタ研究所に2年間の特別研究員として飛び込んだのです。

博士号を取得した研究者は、就職が決まるまでポスドクと呼ばれる…ポスドクは博士版の派遣社員のようなものだ(p106)

白いのは、やはり海外ならではのトラブルの連続ということでしょう。

通関で賄賂を渡さないので、10倍の手数料をふんだくられる。約束の時間に集まらない。研究所から給料をもらっているのを隠して、給料を要求される。サソリに刺されて、足が腫れる。30万円のバッタケージが錆びて壊れる。そもそも干ばつでバッタがいない。

意外な事実。なぜ「アレの大きさ」が人生の成功を左右するのか?

あなたは「成功するために最も重要なモノ」とはなんだと思いますか? 知識が多いこと、仕事を早くできること…いろいろ考えられるかと思いますが、今回のメルマガ『セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術』では、 著者で現役精神科医のゆうきゆう先生が紹介している論文で「意外な事実」が判明しています。

成功に最重要なのは知性ではなく●の大きさ!

こんにちは、ゆうきゆうです。今日も元気でお過ごしでしょうか。

さて、皆さんは成功したり、人に好かれるために一番重要なことは何かご存じですか?もちろん色々な要素はありますが、今回は一つ特徴的な話を紹介します。

印象の心理学調査

アメリカミシシッピ大学のジェフリー・ケリーという心理学者は、男女が話している様々な様子を撮影し、それらのビデオを被験者に見せました。

その結果、「声が大きい」方が「信頼がおけて正直」であったり「知的で教養がある」という印象を被験者に与えたということが分かりました。

そして逆に「声が小さい人」は、「自信がない」「教養がない」人という風に判断されることが多かったのです。

すなわち全体的に声が大きいとポジティブなイメージ、小さいとネガティブなイメージにつながったということが報告されました。

自分自身、オンライン英会話をよくやるのですが、確かに人気のある先生ほどはっきりと大きく自信満々で話し、逆に人気のない先生ほどブツブツ話していることに気づきました。

そしてブツブツ話している先生は、全体的にエネルギーがない印象を受けました。

この経験からも、やはり声を大きくはっきり話すというのは、とても重要だと考えられます。

食べ物の「好き嫌い」が多い人ほど、ビジネスも人間関係も失敗するワケ

食べ物の「好き嫌い」が多い人は、ビジネスでも人間関係でも成功できないと語るのは、メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』の著者・佐藤しょ~おんさん。 なぜ、食べ物とビジネスが関係あるのでしょうか? その理由について詳しく語っています。

食べ物の好き嫌いは無くすべし

セミナーの2次会では、3時間くらいみなさんと飲み食いをしながら、ざっくばらんな話をするのですが、そこでたまに、

 ■ これは放置しておいたらマズい話だな

と思うことがあります。そのひとつが、食べ物に関する好き嫌いの話です。もちろんこれはアレルギーとかの話じゃありませんよ。純粋に、好きか嫌いかの話で、もっと言えば、

 ■ 嫌いな食べ物がたくさんある人の話

なんです。

私の中では、嫌いな食べ物がひとつだけある、大負けに負けて、ふたつあるくらいが許容できる限界ですね。

あれは嫌い、これも嫌いというのが3つ以上あったら、しかもそれを直そうとしないのであれば、それは大いなる問題だと思います。こういう人は、平然と

 ■ それは食べられませんから

って言うんですけど、イヤイヤこれは食べ物ですよ。我が家では食べられない物は出していませんよ。ウンコ食えって言ってるんじゃないんですから。で、こういう人に限って、嫌いな食材が5個、10個もあったりするんです。

 ▼ ニンジンとピーマンは匂いがダメで…
 ▼ 牡蠣はブヨブヨしているところがダメで…
 ▼ ナメコとかオクラってヌルヌルしてるからダメです…
 ▼ ホルモンは食べ慣れていないのでダメです…
 ▼ 鰯って骨が一杯あるからダメですね…
 ▼ 肉はブタ、鳥、牛の赤身だけですね、大丈夫なのは…
 ▼ ゴーヤは苦いから絶対にダメですね
 ▼ くらかけ豆?聞いた事ないからダメですね
 ▼ ハーブは匂いが強くなければ…

もううるさいっての。全部食べ物なんだから、つべこべ言わずに食いやがれ。食わないならそのまま餓えて死ね!と言いたくなりますな。

これはそのままその人のこころの狭さとか、キャパの小ささ、自己肯定感の低さや、柔軟性の無さ、さらには頑なな思考を表しているんですよ。

その結果、そういう人ほど、人生で(特に人間関係について)トラブルが多いということが、この仕事を12年やって分かりました。

EV市場で周回遅れのトヨタ、ようやく気づいた「テスラの優位性」

トヨタが電気自動車の開発において、2021年末に発表したロードマップを大きく見直す検討をしているとロイターが報じました。EV市場におけるトヨタは「周回遅れ」「戦えない」と厳しい指摘をしてきたメルマガ『週刊 Life is beautiful』著者で「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんは、この報道をどう見るのでしょうか。中島さんは、製造過程でイノベーションを進めたテスラの優位性にようやく気づいたことで、“討ち死に”を免れることはできても「かなりヤバい状況」と悲観しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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私の目に止まった記事

トヨタ、EV戦略見直し検討 クラウンなど開発一時停止=関係者 | Reuters

トヨタ自動車が電気自動車(EV)事業を巡り、戦略の修正を検討していることが分かった。基本設計のプラットフォーム(車台)も見直しの対象に含めており、2030年までにEV30車種をそろえるとしていた従来の計画の一部は既にいったん止めた。想定以上の速度でEV市場が拡大し、専業の米テスラがすでに黒字化を達成する中、より競争力のある車両を開発する必要があると判断した。

とのことです。

トヨタ自動車は、長年、自動車のプラットフォーム化(=部品や製造過程の標準化)を進めて来ており(参照:トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー – Wikipedia)、EVに関してもこのプラットフォームを適用出来ると考えていたところ、いざ実際に製造をスタートしたところ、これではTeslaや中国メーカーとは戦えない、と認識したのだと私は解釈しています。

トヨタ自動車は、「ハイブリッド車から水素自動車へのスムーズなシフト」を前提として長年戦略を建ててきたため、「立ち上がるはずがなかったEV市場」がTesla一社の躍進で立ち上がってしまったことにより、戦略を根本から見直さなければならない事態に陥りました。

その危機的な状況は、私がXevoを通じてトヨタ自動車とビジネスをしていた2019年の時点でも私には明らかでしたが、トヨタの経営陣からはその危機感は全く伝わって来ませんでした。私が知る限りでは、トヨタ自動車が本気でEVの開発を始めたのは2020年ごろだと思います。

そのアプローチは「可能な限り既存のプラットフォームを活かしつつ、ハイブリッド車と両立しながら(=ハイブリッド車から市場を奪わない形で)」という保守的なもので、だからこそ「電気自動車(Electric Vehicle)」ではなく「電動車(Electrified Vehicle)」というハイブリッド車も含む形での穏やかなシフトを目指したのです。

それに対し、EV一本で攻めているTeslaは、既にEV市場で実績を上げているだけでなく、さらに、4680という新しいバッテリーやギガプレス(巨大なプレスマシン)で、(トヨタ自動車が得意なはずに)製造過程でイノベーションを進めており、トヨタ自動車に限らず、他のメーカーが「コスト的に対抗出来ない」ところにまで進化してしまっているのです。

製造コストの差は、そのまま「粗利の差」に直結するため、今のプラットフォームのままで戦っても、一台あたりから上がる粗利益に大きな差が生じてしまうため、全く勝負にならないのです。

別の言い方をすれば、iPhoneというブランド力を持つAppleが、ライバルよりも圧倒的に安くスマートフォンを製造できる技術を握ってしまったような状況なのです。

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