問題は自民の体質。杉田水脈議員の「差別発言」が止まらない理由

自民党の杉田水脈議員による「女性はいくらでもウソをつける」発言の問題は、本人が26日付けの自身のブログで発言そのものを強く否定。しかし、1日付けのブログでは一転して発言を認め、「嘘」の記述だったことへの謝罪と、言い訳色の滲む真意の説明及び不快な思いをした人へのお詫びを掲載し、事実確認がなされました。メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんは、そんなお騒がせ議員の杉田氏の数ある「暴言」記事を朝日新聞から抽出。杉田氏の差別発言が止まない理由をあぶり出しています。

「差別発言」を連発する自民・杉田水脈議員は今までどう報じられてきたか?

きょうは《朝日》から。何と言っても、「杉田水脈」氏ですね。彼女についてどんなことが報じられてきたのか、検索の力を使って振り返ってみたいと思います。《朝日》3面掲載の記事。見出しと【セブンNEWS】第4項目の再掲から。

(3面)
杉田氏発言の有無明かさず
自民・下村氏が事情聴く

 

自民党の杉田水脈議員が「女性はいくらでもウソをつける」と発言したとされる問題で、同党の下村博文政調会長は杉田氏から事情を聴取。「真意が伝わるよう、より丁寧な説明が必要だ」と求め、口頭で注意したが、発言の有無など、聴取内容については公表せず。

 

9月25日の自民党内の非公開の会合(政調会の部会?)で、杉田氏が「女性はいくらでもウソをつける」と発言したとされる問題で政調会長の下村博文氏が杉田氏から話を聞いた。下村氏によれば、杉田氏は「女性蔑視を意図した発言はしていない」と釈明し、「改めて丁寧な説明をする」と話したという。

 

下村氏は、部会は「基本的に非公開とし、各人の発言は公にしないルールでやっている」として、言われるような発言があったかどうかも明らかにしなかった。

 

野党だけでなく、与党からも批判が相次ぎ、森山裕国対委員長は発言があったとすれば極めて遺憾と延べ、石破茂元幹事長も「女性の真摯な思いを傷付ける」と批判。

●uttiiの眼

杉田氏自身は、何も反省しておられないようで、「今後はブログでしっかり書いていきたい」と言っているようだ(その後、ブログで発言を認めて謝罪)。今回、石破氏はともかく、国対委員長や自民党の女性議員の間からも批判が出ており、何か、党としての処分に発展するのかしないのか。

それにしても、「女性はいくらでもウソがつける」などということを、当の女性が口にするのは、まるで、あの有名なパラドックス、「すべてのクレタ人は嘘つきだ…」のようだ。彼女は自覚しているだろうか。

関連記事など

《朝日》の「サイト内検索」で「杉田水脈」を検索すると、最も古いのは17年10月9日付で、自民党が発表した衆院選の公認候補のなかに「杉田水脈」の名前が含まれている。同11日付では、やはり選挙関連情報の中で、「元次世代の党衆院議員の杉田水脈氏」を、自民党が比例中国ブロックの単独最上位の17位に擁立、とある。そこから、杉田氏の暴言に関する記事が出てくるのは、2018年7月を待つ。

菅首相の暴挙に批判殺到。学術会議6人任命拒否に芸能人や保守派まで猛抗議

日本の科学者の内外に対する代表機関であり、学術の立場から政策を提言する政府機関「日本学術会議」が推薦した新会員候補のうち、歴史・法律学者ら6人の任命を菅首相が拒否した問題で、ネット上には怒りの声が多数あがっている。一部の保守派の識者からも、今回の対応について疑問の声が出ているようだ。

芸能人ら怒りのツイート、「#日本学術会議への人事介入に抗議する」も登場

短文投稿SNSのTwitterには、この決定に抗議する「#日本学術会議への人事介入に抗議する」というハッシュタグが登場し、作家のいとうせいこうさんやタレントのラサ-ル石井さん、松尾貴史さんら著名人や芸能人を中心に抗議の声が多く投稿されている。

保守派の論客からも批判。橋下徹氏「手のひら返し」も話題に

また、普段は保守派の論客として知られる、国際政治学者の三浦瑠麗さんも今回の「任命拒否」に懸念を示し、ツイッターで「業績の中身を知りもしない人間が新聞記事程度の情報をもとに、こういうつまらない口出しをやり出したとき、社会は劣化する。」と厳しく批判した。

さらに、与党寄りの発言で知られ、菅首相とは「昵懇の仲」として知られる元大阪市長の橋下徹氏は、1日に自身のツイッターで、任命拒否について「学術会議のメンバーに入らなくても学問はできるのだから学問の自由の侵害になるわけがない」と投稿。さらに「むしろ学術会議は軍事研究の禁止と全国の学者に圧力をかけているがこちらの方が学問の自由侵害」だとして、「目を覚ませ!」と学術会議を批判していた。

ところが、橋下氏は2日になって、「学術会議メンバーの任命権は、霞ヶ関の行政組織に対する人事権の行使とは異なるので任命拒否の理由を説明せざるを得ない。」として、拒否理由を説明しない政権を批判。正反対の「手のひら返し」ツイートを投稿し話題となっている。

なぜ?菅首相の「拒否理由」は明らかにされず

今回の菅首相による任命拒否は1日、加藤勝信官房長官が記者会見で初めて明らかにしたもので、拒否された6人のうち1人は「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法に反対していたことも判明している。拒否された「日本学術会議」推薦の新会員候補6人は以下の通り。

  • 松宮孝明 立命館大教授(刑事法学)
  • 小沢隆一 東京慈恵医大教授(憲法学)
  • 岡田正則 早稲田大教授(行政法学)
  • 宇野重規 東京大教授(政治学)
  • 加藤陽子 東京大教授(歴史学)
  • 芦名定道 京都大教授(キリスト教学)

加藤官房長官は同日、拒否の理由を明らかにせず、翌2日の会見でも「見送りは見直さない」との見解を示した。

この拒否問題について、実際に任命を見送られた松宮孝明 立命館大教授(刑事法学)が京都新聞の取材に応じ、「この政権、とんでもないところに手を出してきた」と率直な感想を述べていた。

また、東京大学の佐倉統教授はツイッターで、「これは政治信条が右翼か左翼かとか、学者かそうでないかとか関係なく、とても危険な問題だ。首相の意に沿うかどうかという基準だけで選抜されるのだから、権力者におもねる者だけが生き残るという恐怖政治への第一歩だ。」と投稿し、今回の菅首相の決定を危険視している。

リベラル、保守の政治的思想を超えて問題となっている、日本学術会議の「任命拒否」。発足したばかりの菅新政権の運営に、早くも暗雲が立ち込めているようだ。

image by: 首相官邸

マンション住人は要注意。最新「インターネット接続詐欺」の手口

テレワークがすっかり一般的となった今、自宅のネット回線の遅さに苛立ちを覚えているという声が多く聞かれるようになりました。そんな「不満」を狙った詐欺が横行しているようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』ではマンション管理士の廣田信子さんが、マンション住人をターゲットとしたインターネット接続詐欺の手口を紹介し、注意を喚起しています。

マンション住民がインターネット接続詐欺のターゲットに!

こんにちは!廣田信子です。

消費者庁は、9月25日、ソフトバンクの正規代理店をかたってマンションの管理会社の依頼を受けたように装い「マンション全体のインターネット接続サービスを「ソフトバンクに切り替える」と虚偽の説明をして住民と契約を結んだとして、消費者安全法に基づき、(株)レイスペック社(静岡市)、Sail Group(株)(大阪市)2社の事業者名を公表し注意喚起しました。

マンション管理会社の関係者を装い、マンション全体のインターネット接続サービスが切り替わるかのように告げて、インターネット接続サービスの契約をさせる事業者に関する注意喚起

住民に対する詐欺的口上は…

  • マンションのWi-Fiの回線速度が遅いので、マンションの管理会社から別の無線ルータを無償でお渡ししているんです
  • 各部屋のWi-Fi機器を交換しなければいけません
  • マンションのWi-Fiが遅いから、管理会社から許可をもらってソフトバンクに切り替えるので、その手続に回っています

などです。また、

  • マンション管理会社の関係者を装いマンション全体のインターネット接続サービスが切り替わるかのように告げてインターネット接続サービスの契約をさせる

といったものもあります。こういった相談が、各地の消費生活センター等に数多く寄せられおり、消費者庁が、消費者被害の発生と拡大の防止のために情報を公表し消費者に注意を呼びかけているのです。

もちろん、管理会社から、この2社に勧誘を依頼した事実も、マンション全体のインターネット接続サービスがこのサービスに切り替わることになった事実も、ありません。

こういった詐欺手法は、この2社以外にも広がっている可能性があります。マンション全体でインターネット接続サービスを契約しているところはぜひ、注意を呼びかけてください。

それにしても、詐欺商法を考える人は、ほんとうに、人々の潜在的ニーズを嗅ぎ取るのがうまい…と思いました。コロナ禍で、インターネット利用者が増えたことで、マンション全体でインターネット接続サービスを契約しているマンションで、速度が遅い、リモート会議中にフリーズしてしまう、等の不満の声を聞くからです。そんな不満を持っているところに、こんな話をされたら、コロッと騙されるかもしれません。

管理組合運営がしっかりしているマンションでは、総会の決議もなく、こんなことが行われるはずはない…と気づくはずですが、何でも、管理会社に任せきりと、管理会社の名前を出されると、信用してしまうかもしれません。

騙されないように呼びかけるのと同時に、各家庭でのWi-Fi利用はますます増えるでしょうから、インターネット接続に対する不満があれば、それに耳を傾け対策を考えることも必要になってくるでしょう。

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トランプ大統領がコロナ陽性。自身のツイッターで報告、夫人や側近も陽性

アメリカのドナルド・トランプ大統領(74)は2日未明(日本時間2日午後2時前)、自身のツイッターで自身と妻のメラニア夫人が「新型コロナ検査で陽性になった」と公表した。トランプ大統領は、ツイッター上で「今晩、@FLOTUS(メラニア夫人のツイッターアカウント名)そして私はCOVID-19の検査で陽性でした。隔離と回復のプロセスをすぐに開始します。私たちはこれを一緒に乗り越えます!」と投稿した。

NHKなどが伝えたところによると、11月におこなわれる予定の米大統領選集会などにたびたび同行していた最側近のホープ・ヒックス氏が、新型コロナウイルスの検査で陽性の結果が出たと明らかにしていた。米ブルームバーグは、ヒックス氏がミネソタ州で体調を崩し、ワシントンに戻る大統領専用機の中で隔離され、その後の検査で陽性の結果が出たと伝えていた。

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菅政権“デジタル化”の笑止。モリカケ桜の解明なくして日本は効率化できぬ

看板政策の1つにデジタル改革を掲げ、かつ安倍政権の継承を明言し船出を果たした菅内閣。デジタル化の機運はかつてないほどの高まりを見せているようにも感じられますが、総理の思惑通りすんなりと進むのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、前政権から続く隠蔽体質を改めぬ限り、デジタル化に欠かせない国民からの政府への信頼を得ることは不可能とし、菅内閣がまず正面から向き合うべきこと、国民に示すべきことを記しています。

菅首相の隠ぺい体質はデジタル化の最大の障壁

平井卓也デジタル担当大臣は、この国のデジタル化に5年はかかると言う。ただでさえ遅れているのに、そんなにかかるのか。

いや、それさえも眉唾ものかもしれない。なぜなら、情報公開に後ろ向きの政権だからである。

安倍前政権を継承するといって憚らない菅政権。官房長官時代の菅氏ときたら、モリ・カケ・サクラといった安倍首相がらみの疑惑について徹底して国民への説明を拒んできたのだ。

森友疑惑の公文書改ざんについて、自ら命を絶った近畿財務局職員の妻が再調査を求めても、菅首相は調査は終わっていると素知らぬ顔だ。隠ぺい体質が菅首相にはしみ込んでいる。

デジタル政府には、マイナンバーカードの普及が不可欠だ。それは政府への信頼があってこそ可能なのだ。国に個人情報が筒抜けになることへの不安を払拭できないかぎり、マイナンバーカードを安心して使う気にはなれない。それでは、デジタル庁をつくっても、これまで通り、何も進まないだろう。

北欧の小さな国エストニアは電子立国といわれるデジタル先進国だが、それが可能になったのは、情報を包み隠さず国民に知らせる政府に信頼が寄せられているからだ。日本のマイナンバーにあたる国民ID番号とIDカードから個人情報が政府に悪用されたり、データが漏れ出したりする心配をする必要のないシステムになっているのだ。

未来型国家エストニアの挑戦 電子政府がひらく世界』(ラウル・アリキヴィ、前田陽二共著)という本が出版され、デジタル化社会では世界の最先端を走るエストニアの取り組みが紹介されている。

その冒頭に、エストニア政府CIO、ターヴィ・コトカ氏が「発刊に寄せて」という文を寄稿しているが、それを読むと、なぜエストニアにデジタル化が進んだのか、その歩みがよくわかる。

エストニアでは130万人の国民がスイスやオランダよりも広い国土に点在して暮らしている。1991年にソ連の占領が終わって独立すると、独自の立法システムの開発をスタートした。ちょうどインターネットが発展する時期と重なっていた。「インターネットは国が小さな経済力で広い国土で効果的に機能するための唯一の方法でした」とコトカ氏はいう。

インターネットを活用して国づくりをするうえで避けて通れないのは、「認証」の問題だ。

コンピュータを操作している本人の身元を認証するために、政府は市民のための安全なデジタル・アイデンティティを開発する必要があった。…北欧の国々には数十年間前から、国民のためのユニークな識別子(国民ID番号)が存在し…国民ID番号の問題で混乱することはありませんでした。…最大の課題は、人々が電子サービスを利用し、安全なeIDカードを利用する方法を見つけ出すことでした。

eIDカード、日本でいえばマイナンバーカードにあたる。これを安心して保有、使用し、デジタル化のメリットを享受するためには、個人情報の漏洩、不正使用などが起こりえないシステムの構築とともに、政府の信用が欠かせない。

エストニアではeIDカードを義務化したが、広く市民に理解され、利用されるまでに5年かかったという。それでも実現できたのは、行政の情報公開が進んでいるからだ。

たとえば、政府が作成した文書はWEB上で公開するよう法律で定められている。機密文書については、その理由を政府が開示しなければならない。権力者が国民を監視する仕組みをつくったり、情報を隠ぺいすることは非常に難しい。そのうえ、報道の自由を重視し、誰であろうとメディアに圧力をかけることができない社会風土が醸成されている。

攻撃されるのは日本。中国が唱え始めた「国連中心主義」の危険

さまざまな国際法違反や国際公約を破り続けてきた中国が、ここに来て突如「国連中心主義」を持ち出し、これまでもルールを遵守してきたと強調し始めています。その真意はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、考えうる2つの理由を挙げそれぞれについて解説。やはり中国の国連称揚には、日本が大いに警戒すべき「裏の動機」がありました。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年9月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】対米戦略に国連中心主義を持ち出した中国の欺瞞

本日9月30日、アメリカ大統領選挙を前に、初めての大統領候補者によるディベートが行われました。

今回の大統領選挙では中国問題をどのように扱うかも一つの争点にもなっていますが、9月29日の人民日報はこのディベートを前に「中国問題をディベート・ショーのために悪用するな」と、くぎを刺すような解説を掲載しています。

美大選辯論在即 中官媒:不應濫用中國問題「做戲」

この論説では「アメリカ大統領選挙はアメリカの内政問題であり、中国には関心がない。同様に中国は独立国家として、独自の主権や安全保障、発展の利益を守る権利がある」ため、「アメリカの政治家はアメリカの内政に中国問題を持ち込むのはやめるべきだ」と要求しています。

中国の貿易問題のみならず、人権問題や台湾問題について、アメリカは口を出すなとけん制した形ですが、その一方で中国が力を入れているのが「国連称揚」です。

人民日報のネット版「人民網」では、わざわざ「国連創設75周年」というページを立ち上げて、国連主義を強調しています。これは日本語版でも見ることができます。

ここでは習近平国家主席が国連のグテーレス事務総長と行ったテレビ会談で表明した、次のような言葉が紹介されています。

現在もなお新型コロナウイルス感染症が世界中で拡大しており、世界の新型コロナ対策の手を緩めるわけにはいかない。中国は経験や手法を余すところなく各国と分かち合い、必要とする国々を引き続き支援していきたい。中国は国連機関、特に世界保健機関(WHO)が肝要なリーダーシップを発揮することを断固として支持し、国際協力と共同対策を強化し、人類衛生健康共同体を共に構築していく。

世界には一つの体制しかない。つまり国連を中心とする国際体制だ。世界には一つのルールしかない。つまり国連憲章を基礎とする国際関係の基本準則だ。中国はこれまでイデオロギーによる対立をしたことも、デカップリングを主張したことも、覇権を唱えようとしたこともない。

(出典:人民網ホームページ「国連創設75周年」)

WHOが中国の意向に沿って、台湾を新型コロナウイルスへの国際協調の輪から外したことは、もはや言うまでもありません。アメリカはWHOからの脱退を決定しましたし、台湾も新たな国際機関が作られるなら、そこへ参加したいという意向を表明しています。

中国は「国連憲章が世界のたった一つのルールだ」と言い、中国はルールを遵守してきたと強調しますが、国際ルールを守らないというのが中国であり、WTO違反や国際法違反を繰り返しています。アメリカが中国に要求しているのも、西側の資本主義経済の仲間入りをする際に約束した、経済の自由化という国際公約を守れということです。

また、香港にしても、イギリスとの「一国二制度の50年遵守」という国際公約を、いとも簡単に破ったわけで、都合の悪いことに頬かむりをするのも、中国のいつもの手です。

散々な米大統領選第1回テレビ討論会。アメリカ国民が敗者になった日

日本時間の9月30日午前、アメリカ大統領選挙の候補者2人による第1回の討論会が実施されました。過去には情勢逆転が起こったこともある重要な討論の場ですが、今回は異例の事態となったようです。元国連紛争調停官で国際交渉人の島田久仁彦さんが、メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』の号外を配信し、この討論会の様子を伝えてくれました。マスメディアが伝える非難の応酬の場面だけでなく、両候補の主張にもスポットを当てた上で、それでも尚且「何一つ得るものがなかった」と断じています。

アメリカ大統領選挙第1回討論会を斬る

2020年9月29日午後8時から(日本時間は30日午前10時から)トランプ大統領とバイデン元副大統領との第1回討論会が実施された。コロナの影響もあり、2人の間には十分すぎるほどの距離が置かれていたが、ディベートそのものの話も、2人の物理的な距離以上に隔たりがあったように思う。

まず、今回の討論を評するならば【何一つ得るものがなかった】といえるだろう。互いの発言も、支離滅裂で、何一つ具体的な要素がなく、非難の応酬と、発言を頻繁に遮るルール違反ゆえ、時には発言内容が聞き取れないこともあった。モデレーターのクリス氏も完全にコントロール不能な状況に陥った様子で、残念ながら秩序あるモデレーションとは評価できなかった。

トランプ大統領については、良くも悪くも相変わらずの存在感で、皮肉っぽく言えば、バイデン氏に言いたいことを言わせないテクニックを駆使していた。ただ、ちょっとやり過ぎ感も否めない。これまで何度か“第1回討論”を観ることがあったが、初めからオバーヒート気味なテンションでまくし立てるような討論は見たことがない。

通常は、お互い自らの主張・考えを“静かに”述べて場をセッティングし、討論を通じて少しずつヒートアップしていくのだが、今回は、モデレーターが掲げた質問に答えているようで答えず、代わりに批判の応酬と、自らの主張のディフェンドに徹していた気がする。

また、よく使用される数字やデータもfact checkにかけてみたら、誇張の連発。Tremendous(膨大な)という表現を多用して、非常に効果があったように表現していたが、具体的な数値の提示がなく、あったかと思えばmillionsというような曖昧なものか、すでに述べた偽りの、誇張された数値が目立った。

ヘルスケア、COVID-19、地球温暖化、経済対策といった今回のネタに対しても、あまり具体的な話はできなかったとの印象で、何一つ具体的な内容が記憶に残らない感じがした。

ただ、ショッキングだったのは、Law and Orderの話題の際、モデレーターから『白人至上主義を止めさせるような発言はできるか?』と尋ねられた際に、Yesというのではなく、Stay Back and Stay Tunedと発言し、白人至上主義を助長するような回答で終わったことだろう。

発言の意味するところはいろいろな解釈も可能かもしれないが、実際にその発言後に、白人至上主義を信奉するグループからは称賛の声が上がったところを見ると、あながち解釈も間違っていない気がした。今回、トランプ大統領の支持率に対して大きな失点になりかねない内容は、目立ってはこのネタだろう(国民はどう反応するだろうか)。

【書評】なぜ三島由紀夫はノーベル文学賞を受賞できなかったのか

今年も巡ってきた、ノーベル賞の季節。10月8日には文学賞が発表されますが、川端康成が日本人として初めて同賞を受賞した年、三島由紀夫も有力候補として名が挙がっていたことをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが紹介しているのは、日本文学研究者のドナルド・キーン氏が、1968年のノーベル文学賞の裏事情等を綴った一冊。スウェーデン・アカデミーが選んだのな、なぜ三島ではなかったのでしょうか。

偏屈BOOK案内:ドナルド・キーン『私と20世紀のクロニクル』

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私と20世紀のクロニクル
ドナルド・キーン 著/中央公論社

ノーベル文学賞の順番が日本に回ってきたのは1968年だった。ドナルド・キーンは、受賞は三島由紀夫以外にありえないと確信していた。しかし受賞者は川端康成で、三島ではなかった。「この最も権威ある賞を川端が受賞したことは、確かに喜ぶべきことであったに違いない。しかし、このことが二人の死の一因となったかもしれない」と、欧州で権威ある賞の審査を経験している彼は書く。

次の10年間に起きた最初の重要な出来事、とくに著者にとってのそれは1970年11月25日の三島の死だった。佐藤栄作首相は、三島の自決を「狂人」の行為だと断定する心ないコメントを出した。著者と三島は16年の親交があったが、秘密を共有しなかったし、互いに助言を求めることもしなかった。二人の付き合いは、いつも折り目正しいものだった。三島は筋の通った礼儀正しさがあった。

三島は鮨屋ではいつも中トロばかりを注文した。彼にはつまらない魚に時間を潰している暇などなかったのだ。『豊饒の海』四部作に、作家として身につけたすべてを注ぎ込んだと言う彼は、笑いを浮かべながら付け加えた。あと残っているのは死ぬことだけだ、と。著者は誓いを破って「何か悩んでいることがあるんだったら、話してくれませんか」と聞くと、目をそらして無言だった。

しかし三島は3か月後に自分が死ぬことを知っていたのだ。9月、著者はニューヨークへ向かうため羽田にいた。姿を現した三島は無精髭で目が充血していた。いつもと違う彼の行動が、何かを予兆しているとは思いもしなかった。これが、彼が三島に会った最後だった。三島は同行した友人たちに「つまらない死に方はしたくない」と言った。ニューヨークと東京で、数通の手紙交換があった。

なぜ『豊饒の海』というタイトルをつけたのかを尋ねると「『豊饒の海』は月のカラカラな嘘の海を暗示した題で、強ひていへば、宇宙的虚無感と豊かな海のイメージをダブらせたやうなものであり、禅語の『時は海なり』を思ひ出していただいてもかまひません」という返事だった。著者はその意味が分からなかった。三島は世界が全く意味がないものだという結論に達したのだろうか。

事件の起きた日の24時ごろ、ニューヨークの著者の部屋の電話が鳴った。読売新聞ワシントン支局からで、数時間前に起きたことを手短に述べ感想を求めた。呆然として理論的に返答できなかったが、同じ問いの電話は一晩中鳴り続けて、次第に理路整然と語れるようになった。東京に戻ったのは、三島の葬式の直前で、弔辞を述べることを引き受けたが、親しい友人三人は葬式に出るなという。

忘れるな。たったひとつの「命」がどれほど大切なのかという事を

みなさんは日々、「命の重み」を感じていますか? 生きているのが「当たり前」になってしまっている日常のなかで、自分自身の命について考える時間なんて“0秒”だという人も少なくないと思います。無料メルマガ『人間をとことん考える(人間論)』の著者で薬剤師・経営者でもある小原一将さんは、この「命の重み」について自身の考えを述べています。これを機に、命について考える時間を作ってみてはいかがでしょうか。

命の重み

命はお金よりも大切だとか、命より大事なものはないといった言葉はよく聞く。確かにその通りのようにも思う。そういった文脈の中で命の重みとは何かを考えてみたい。

私の「命」とは一つであり、私が所有しているものである。それは私の両親から授かったものであり、その両親が大切に扱ってきたものでもある。そう考えると私のものではありながら、両親のものであるとも言える。

所有者はもちろん私であるが、一定の口出しをする権利はあるように感じた。両親がいなければ私の命というものは誕生せず、そしてその命を今の今まで紡いでいくことができなかったからだ。

それは今の私の立場でよく理解できるようになった。命は自分だけのものではない。自分の上の世代に支えられ、そして自分の下の世代を支えなければならない。

昔はそういったことをほとんど考えたことがなかった。表現の仕方が正しいかは分からないが、命を雑に扱えた。自分が世界の中心にいて、好きなことをして、自分の思うように生活をして、今この瞬間だけを考えていればよかった。

命の重みを全く理解していなかったのだ。

命が大切だというのは分かっていたが、一人称でしか命というものを捉えておらず、自分の命が他人にとってどのような存在であるかを本当に理解はできていなかった。

「なぜあの人はあんなに仕事を覚えるのが早いのか」その答えが出た

同時に同じように仕事を教えても、仕事を覚えるのが早い人とそうでない人がいます。「物覚えが悪いから」という一言で片づけてしまいがちですが、実は違うといいます。では、その違いはいったいどこにあるのでしょうか? 無料メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』著者の佐藤しょーおんさんは、「抽象的に業務を見られる人」が仕事ができる人であると語り、その意味とできる人を見分けられる質問を紹介しています。

パターンを認識する

ビジネスに於いて、仕事を覚えるのが早い人って、モノゴトを手順レベルではなく抽象的なパターンとして認識しているんです。AをやったらB、その後はCをやって、みたいな手順を暗記することはせずに、それって最終的なCとAの違いは何なの?どこがどう変化してAがCになっているの?というところに着目するわけです。

こういう見方をすると、業務のパターンが見えて来るんです。作業手順というのは極めて具体的で、リジット(厳格で変化させられないという意味です)なモノですから、これを全部暗記しようとすると、膨大なエネルギーが必要になるんです。そんなことをするのは大変なので、手を抜きたいわけですよ。

そんな手抜きのやり方が、業務を抽象的に考えるということです。それはつまり、

 ▼ その手順のエッセンスは何か? を理解することであり
 ▼ 概念として何が行われたのか? を理解することであり
 ▼ 一言で「要するに○○をする仕事なのね」

でまとめるとしたら、何と表現できるのかを考えることなんです。

このやり方の優れているところは、応用範囲が広くなるところなんです。作業が順調に、エラー無く、いつものやり方で進んでいる時にはこんな思考は必要ないんです。決められた手順に従っていたら仕事が進むわけですから。ところが何か問題が発生したという時に、その問題点を取り除いたり、修正したりする時に必要になるんです。

その際には、その業務、手順のエッセンス、概念、要するにこういう仕事、という次元で仕事を理解していれば、やるべきことの方向性を間違えることはなくなるんです。だってパターンとしてはこういうことをしたかったんだよねとか、こういうレベルの成果物が必要なんでしょ?とか、この手順のキモってこの部分なんだよねを理解していることで、

 ● 細かいことは分からないけど、あっちの方向を目指すべきなんでしょ

が見えて来るわけです。そしてそれが正しいのであれば、そこから先の細かい手順は、いくらでも変化、調整可能なんですよ、問題が起こっている時には。

そして問題というのは、いつでも何らかのユニークな独自の側面が存在するモノで、それを全部列記したり、網羅する準備なんて決してできないんです(やっても良いですけど、ものスゴく生産性は落ちると思いますよ)。

つまり問題はいつもの、単一のやり方では解決しないのです。

問題はパターン化して捉えることで、何をすべきなのかが見えて来るのです。仕事ができる人は、いつでもその業務に内蔵されているパターンが何かを見つけようとしているんです。それをいち早く見つけられる人が、優秀な人なんです。