誰も得しない。ドコモと販売代理店への行政指導はなぜ起きた?

総務省は5月29日、今年3月のKDDIと販売代理店に対する指導に続き、NTTドコモと販売代理店70社に対しても、不適切な端末代金の値引きの適正化に関する指導を行ないました。法令遵守が当たり前の日本を代表する大企業が、立て続けにこのような指導を受けるのはなぜなのでしょうか。ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、「改正された法律がわかりにくい」と指摘。消費者が安価に端末を手に入れられる割引を規制し、かえって流動化を阻害していると、改正法の検証を求めています。

総務省がNTTドコモと販売代理店70社に行政指導――そもそも「わかりにくい改正法」に問題があるのではないか

5月29日、総務省はNTTドコモと販売代理店に対して電気通信事業法に基づく行政指導を行なった。販売代理店の数は何と70社にも及ぶという。2019年10月に改正された電気通信事業法では、端末割引などユーザーに対する「利益」の提供に対して制限を行っている。今回の行政指導はその利益提供に対してのものだ。

改正電気通信事業法では、利益提供はキャリアと販売代理店、それぞれのものを合算した金額を対象としている。しかし、キャリアが提供する利益(端末購入サポートやおかえしプログラムなど)とは別に販売代理店が割引きを行ない、上限を超えてしまったことが行政指導の対象となったようだ。

また、改正法では旧通信方式から新通信方式への移行については端末代金を上限とする利益提供が可能だ。これは停波に向かっている3G端末から4Gや5G端末へのマイグレーションを狙ったものであるが、販売代理店によっては、旧通信方式ではなく、すでに新通信方式に対応した端末を持つユーザーに対して、制限を超える利益を提供していたというのだ。他にも、端末代金を超える利益を提供していたケースもあったようだ。

そもそも、「割引をし過ぎて行政指導が入る」という点が理解に苦しむ。本来であればユーザーが安価に端末を入手できるにも関わらず、それを禁じられること自体、おかしなことではないか。また、販売代理店の数社に行政指導が入るというわけではなく、NTTドコモをはじめとして販売代理店70社に行政指導が入るということは、改正電気通信事業法そのものが「誰もが正しく理解できない難解なルール」なのではないか。総務省は、業界の人ですら正しく読み解けないルールを無理やり押し付けていることに気がつかないのか。

実際、総務省が公表した「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン改正案に関する意見募集の結果及び改正したガイドラインの公表」において、UQコミュニケーションズから「本ガイドライン改正案については、曖昧な箇所が多々存在するため、実際に行いたい施策が事業法違反にあたるか否かを即時に解釈することが非常に困難です。具体例等も記載いただいておりますが、その背景となる考え方や、それぞれの関係性が記載されていないことが、解釈を困難にする要因の一つであると考えます」との意見が出ている。

端末販売に対して、ルールを設けるのであれば、わかりやすく誰も納得するルールブックを作るべきだ。ルールブックとして抜け穴だらけで稚拙だからこそ、これだけ多くの販売代理店が行政指導の対象になるのではないか。もはや総務省による端末割引の規制は、つぎはぎだらけで誰のためにもならない無意味なルールになってしまっている。

総務省が端末割引に対して口を出してからというもの、3キャリアの解約率は大幅に低減し、もはや市場の流動性はなくなり、硬直化している。これでは第4のキャリアとして参入した楽天モバイルにとっても不利に働くことだろう。

本来であればユーザーの流動性が起き、競争が加速することで料金値下げにつながるはずだが、今の改正法は、むしろ市場を逆行させているに過ぎない。「端末割引規制は本当に効果があったのか」を早急に検証する必要があるだろう。

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ダメ出ししたいことが多すぎる日本の政府・自治体のコロナ対策

5月25日、緊急事態宣言が全都道府県で解除され、感染の第1波による医療崩壊の危機は免れた日本。時間が稼げるこのタイミングで、ここまでのわが国の感染症対策を振り返り、疑問点修正点要望等をメルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんが伝えます。山崎さんは、「with Corona」などと横文字で煙に巻く指導者を一喝。会見で為政者が胸を張った「日本モデル」には、海外メディアも指摘する全体主義的傾向に警鐘を鳴らし、その為政者が「適材適所」という言葉を知っていると思えない内閣の構成を嘆きます。

コロナ禍に思うこと

今は新型コロナの一時的な寛解期にある。そこで今回はこれまでのことについて思うことを書けるだけ書こうと思う。個々の件に関しては必要があればまた後日改めて詳しく書くつもりである。

「with Corona」(「コロナと一緒に」)
一体どういうことだ。感染症であるなら天然痘同様、一部の研究施設において標本として保管し、あとは悉く根絶やしにするのが常道であろう。横文字を以て国民を煙に巻くのも大概にしてもらいたい。そのうち「コロナは友達」とでも言い出しそうな甘さである。はっきり言っておく。コロナは全人類の敵である。共存の道などない。今すぐ勝てないから時間稼ぎをしているに過ぎない。
「Anti-Corona」(「防コロナ」)
「Counter-Corona」(「対コロナ」)
せめてこれぐらいの言い回しにしてもらいたいものである。

政府のコロナ対策の現場指揮官は、どう見ても西村経済再生担当大臣である。経済再生?どういうことだ。因みに西村氏の今現在の閣僚としての肩書を並べると、内閣府特命担当大臣(経済財政政策)、経済再生担当大臣、全世代型社会保障改革担当大臣そして新型コロナ対策担当大臣である。もう訳が分からない。

そもそも戦後最大の国難とも言える今のコロナの禍を兼任大臣に任せるのはいかがなものか。さらに言えば、経済再生担当大臣の職は現内閣発足時からのものである。つまりコロナによる経済的ダメージコントロールとは無関係なのである。ついでだから言うが、この国にはたしか厚生労働大臣がいた筈だがどこへ行った。

思えば、スマホの操作すらまともにできないような人間がIT政策担当大臣に就いたり、この国の行政府の中枢は一体どうなっているのか。この一事をもってしても台湾とは大違いである。殊、難局においてはこういった差が決定的になる。どうも任命権者は適材適所という言葉を知らないようである。ついでに今の内閣を見てみる。復興大臣に東京オリンピック・パラリンピック競技大会担当大臣に新型コロナ対策担当大臣。何なんだこれは!

国の借金はコロナ前に既に1100兆円を超えている。この非常事態に、今更100兆200兆の借金がどうだと言うのだ。いずれは国民が返さなければならない借金である。その国民自体が危急存亡の時にあるのにこれを救わずして何とするか。政権も晩期にかかると歴史に汚点が残ることを恐れてか、やることなすこと全てが後手後手である。ここは先手を打って、まず国民を安心させることが肝要である。長期戦に必要なのは何より兵糧である。

ネットは大激怒。コロナ「持続化給付金」769億円の不可解な入札

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、売り上げが減少した中小企業を救済するための「持続化給付金」をめぐり、衝撃的な事実が次々と明らかになっている。持続化給付金の委託費の流れが問題になる中、入札の時点で不自然なことが発生していたようだ。3日に行われた、衆議院経済産業委員会において、A評価だった別の会社ではなく、C評価だったサービスデザイン推進協議会が落札したことが判明した。

明らかにされない不可解な入札の真相

何がどうなったら、C評価がA評価に勝てるのか? もし大逆転があるならば、そこには何か理由が必ずあるはずだ。持続化給付金の給付業務の入札に応募したのは2社。769億円で受注した一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」が高い評価を受けたのかと思いきや、実態は違った。何とA評価を受けていたのはもう1社である「デロイトトーマツ」で、サービスデザイン推進協議会はC評価だったのである。

デロイトトーマツといえば、世界最大規模を誇る会計事務所。実績も社会的信用も全て揃っている。一方のサービスデザイン推進協議会は、電通やパソナによって設立された団体で、法人としての実態は乏しいとされている。経産省が法人の設立に関与したとの見方もあり、今回も再委託ありきで入札していたのは明らかだ。

A評価のデロイトトーマツを押しのけて、C評価のサービスデザイン推進協議会が受注に至るには、何か決めてがあったはず。入札金額が安いということはあるかもしれないが、毎日新聞によると、公開された入札調書の金額欄はデロイトトーマツのみ黒塗りになっていたという。

これに対し、衆議院経済産業委員会で国民民主党の斉木武志議員が「A評価デロイトトーマツの方が実は応札が安かったという事実は絶対ないでしょうか」と質問。梶山弘志経産相は「デロイトから了承を得てないので、公表はできないということであります」と答えた。

不透明な事実ばかりが出てくる持続化給付金問題に対し、立憲民主党など野党は、安倍首相が出席する予算委員会の集中審議を改めて求めることで一致した。

学ばない韓国「これで何度目?」教会でまたコロナ集団感染が発生

韓国の教会でまたクラスターが発生した。韓国のソウル近郊の仁川(インチョン)にある教会で、新型コロナウイルスの集団感染が発生し、これまでに信者など45人の感染が確認されたとNHKが伝えている。

なぜ何度も韓国の教会で集団感染するのか

集団感染が発生したのは、ソウル近郊、仁川にある教会。先週開かれた会合がきっかけだとされ、牧師や信者など合わせて45人が新型コロナウイルスに感染したという。韓国政府は「首都圏での大流行も懸念される」として警戒を強めている。

韓国の教会で集団感染が発生したのは初めてではない。

ことし2月には大邱(テグ)市にある、新興宗教団体「新天地イエス教会」でクラスターが発生。新型コロナウイルスの感染を拡大させたとして、教祖が土下座して謝罪。ソウル市が教祖であるイ氏や教団幹部らを刑事告訴する事態になった。
●韓国の新型コロナ集団感染、新興宗教の教祖を殺人罪で刑事告訴

3月中旬には京畿道城南市(キョンギ・ソンナム)にある、「恩恵の川教会」でも集団感染が起きた。韓国政府と京畿道が宗教集会の自制を求めていたものの、教会は日曜日に礼拝を行ったことがきっかけで、感染が拡大。58人が陰性判定を受けていた。
●韓国の別の教会でまたコロナウイルス集団感染。自粛要請を無視

これだけではなく、富川(プチョン)市の「富川生命水教会」で15人、水原(スウォン)市の「水原生命泉教会」で10人など、明らかになっているだけで、これほど多くの集団感染が教会で起きているのだ。

なぜ韓国で新興宗教団体の教会における集団感染がなくならないのか。韓国では全面的に礼拝を禁止すると強い反発が起きるといい、宗教行事を禁止することは国民の権利を侵害するものと捉える見方もあるようだ。

巨人・坂本選手と大城選手のコロナ陽性発表。19日の開幕に影響か

デイリースポーツによると、プロ野球巨人は3日、坂本勇人内野手(31)と大城卓三捕手(27)が新型コロナウイルスのPCR検査を受け、陽性を示したことを発表したという。

球団によると、坂本と大城の感染は全選手に行った抗体検査で判明。回復からすでに時間がたっているとみられ、2人に自覚症状はない。前日に行われた西武との練習試合にも出場していた。

プロ野球の選手では3月下旬に阪神の藤浪晋太郎投手ら3選手がPCR検査で陽性となって以来となり、また巨人ではほかに2人のスタッフの陽性も確認されたという。

この日14時から東京ドームで開始予定だった西武との練習試合は急遽中止。セ、パ両リーグは約3カ月遅れでの19日の開幕を目指しているが、今回の陽性判明がどう影響するか懸念される。

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source: デイリースポーツ共同通信スポーツ報知 巨人取材班Twitter

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大谷翔平、ダルビッシュら黒人殺害事件にSNSで「黒い画面」抗議

米ミネソタ州のミネアポリスで起きた、白人警官による黒人男性暴行死事件を巡り、アメリカを舞台に活躍している日本人選手たちがSNSを通じ、相次いで抗議の意思を示している。

米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手は、人種差別や警察の残虐行為に抗議する「Blackout Tuesday(真っ暗な火曜日)」の活動に応じて、自身のインスタグラムに何も描かれていない、黒い無地の画面を投稿。 


 
 
 
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#blackouttuesday

Shohei Ohtani | 大谷翔平(@shoheiohtani)がシェアした投稿 –

女子テニスの大坂なおみ、プロバスケットボールNBAウィザーズの八村塁、グリズリーズの渡辺雄太の3選手も、大谷と同様にインスタグラムで黒い画面を表示させた。

また、米大リーグ、カブスのダルビッシュ有投手もまた、自身のTwitterで黒い画面を投稿。ミネアポリスで起きた白人警官による黒人男性暴行死事件に抗議を示している。

※本記事内のTwitter及びInstagramにつきましては、埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

source: 大谷翔平Instagramダルビッシュ有Twitter

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全国の保健所で「過労死ライン超え」頻発。コロナ残業266hの例も

新型コロナウイルス感染症への対応に追われている全国の保健所で、時間外労働(残業)が月100時間を超える職員が相次いでいることがわかった。毎日新聞によると、都内の保健所では月198時間、大阪では月124時間など、1カ月あたり80時間とされる「過労死ライン」を超える職員が複数いたことが判明したという。

最大266時間を超える残業も発生

残業時間が増えているのは、新型コロナウイルスへの対応が急激に増えた3月と4月。東京23区の保健所では問い合わせや電話相談、PCR検査や入院の調整など、多様な業務が発生。応援の職員が駆け付けたものの、それでも月100時間を超えるほどの業務に追われた。

大阪市の保健所でコロナ対応に専従していたのは、感染症対策課の職員22人。このうち7人が100時間超の残業時間となり、最大は124時間だった。全体の平均残業時間も73時間に達し、過労死ラインとされる1カ月あたり80時間に切迫していた。

この現象は東京や大阪といった大都市だけではない。

上毛新聞によると、新型コロナウイルスの対応に当たった群馬県の健康福祉部で、時間外勤務が80時間を超えた職員は、3月が16人、4月は30人。また、100時間を超えた職員が3月は11人、4月が21人で、最大は192時間だったという。

那覇市の保健所では、対応を担った感染症グループ約10人のうち、4月の残業時間が100時間を超えたのは5人。最大は約140時間で、土日の出勤も相次いだことが要因だと沖縄タイムスは伝えている。

また、中国新聞によると、新型コロナ対応に携わった山口県所管の保健所や厚政課、健康増進課の職員で、残業が100時間を超えたのは3月が8人、感染者が増えた4月は31人に増えたという。対策費の予算を急きょ編成するため、連日残業となった職員の残業時間は266時間に及んだとしている。

なぜ、日本政府が作るソフトウェアは使えないモノばかりなのか?

5月20日にスタートしたものの、その日のうちにトラブルが発生し、即座に受付中止となった雇用調整助成金のオンライン申請。今回に限らず、「政府系のソフトウェア」ではバグが頻発しますが、その原因はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、「Windows 95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんがその原因を分析・解説するとともに、このような状況を打破するための画期的アイディアを披露しています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2020年6月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

世界的エンジニアが提言、政府系ソフトウェアのミスをなくす方法

先週、「雇用助成金のオンライン申請を停止 開始初日にトラブル」という報道がありました。

厚生労働省は20日から運用を始めた「雇用調整助成金」のオンライン申請でシステムトラブルが発生し、受け付けを停止したと発表した。再開のめどは立っていない。(中略)

 

厚労省が調べたところ、同じタイミングで申請した人に同じIDが割り振られ、先に登録した人の氏名、携帯電話番号、メールアドレスなどが見られるようになっていた。パスワードや給与情報も見られるようになっていた可能性があるという。

「同じタイミングで申請した人に同じIDが割り振られ」という部分がとても重要で、まともな人がソフトウェアの開発に関わっていたら、決して生じないようなミスです。この手のシステムにとって、IDの発行は要であり、ID発行がだらしないサービスは、麺が茹で過ぎなラーメンのようなものです。

この手のバグは、単に「担当者のミス」で生じるものではありません。大学でコンピュータ・サイエンスを勉強した人であれば、こんな初歩的なミスは決してしないし、この手のバグが紛れ込まないための様々な仕組み(コード・レビュー、アーキテクチャ・レビューなど)が存在するはずです。

つまり、よほどの「構造的な問題」がない限りは、こんなバグが見逃されるはずがないのです。

ラーメン屋で言えば、「麺の茹で方がラーメンの命であることを知らないバイト君が麺を茹でている」ようなイメージです。これはバイト君が悪いのではなく、バイト君にそんな重要な仕事を任せてしまった店長が悪いのですが、さらに遡れば、そんな店長を雇ってしまう人事システムが悪いのです。

こんなバグが生じる背景には、

  • 政府から受注したITゼネコンには自らソフトウェアを書く人・書ける人がおらず、仕様書を書いて下請けに丸投げするだけ
  • その下請けは、大学でちゃんとソフトウェアの勉強をしていない文系の派遣社員を低賃金で雇い、劣悪な労働環境でコードを書かせている
  • 書かれたコードをレビューをする習慣やシステムが存在しない
  • クライアントの打ち合わせ、仕様書の作成、見積書の作成などには膨大な時間を書けるわりに、コードのクオリティを上げることには時間をかけない
  • ITゼネコンには役所からの天下りが、下請けのソフトウェア会社にはITゼネコンの天下りが役員・顧問・相談役として働いており、ほとんど仕事をせずに「口利き」だけをして高給をもらっている。

などの、日本特有の事情があると考えて間違い無いと思います。

政府→ITゼネコン→下請け企業→派遣会社→派遣社員という多層構造ゆえに、実際にソフトウェアを作る人は薄給で働かされる上に、当事者意識には乏しく、学校を卒業してから短期間の研修で覚えた上っ面のプログラミング・スキルだけでソフトウェアを作らざるを得ないから、こんな質のものが世の中に出てしまうのです。

日本のソフトウェア作りの構造的な問題に関しては、私は随分と昔から指摘し続けていますが(参照:「ソフトウェアの仕様書は料理のレシピに似ている」2006年3月)、全く改善される様子はありません。

その背景には、「正社員を簡単に解雇してはいけない」という雇用規制があり、それ故に出来た人事制度が、(上流の企業が)せっかく雇った理系の大学卒の人たちをソフトウェア・エンジニアのような専門職の人として養成することを許さなくなっているのです。

先日も、政府が新型コロナウィルス感染対策として「接触確認アプリ」なるものを開発すると発表しましたが(参照:「『接触確認アプリ』を6割が導入すればロックダウンも回避可能?首相が6月のアプリ投入を明言」)、どんなものになるか心配です。

トランプの悪辣。「黒人殺害抗議デモ」で威嚇し暴力も勧める愚行

ミネアポリスで発生した白人警官による黒人男性殺害事件への抗議デモが全米に拡大し、収束が見通せない状況となっています。そもそもなぜアメリカでは、黒人男性が公権力から不当な暴力を受け殺害されるという悲劇が繰り返されるのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住歴の長い作家の冷泉彰彦さんが、「3つの問題点」を挙げその原因を解説するとともに、トランプ大統領が見せた抗議デモに対する姿勢に対し「悪質」と批判的に記しています。

ミネソタ州での黒人男性暴行死事件、その歴史的意味

ミネソタ州のミネアポリス市で、46歳の黒人男性、ジョージ・フロイド氏が警察の拘束下で首を膝で7分間に渡って圧迫された死亡した事件は、アメリカの社会と政治を一変させました。この事件ですが、とりあえず実行犯のデレク・ショービンという男は警官を解雇されて、「第3級殺人」で逮捕されています。

現場にいて、ショービンの行動を幇助していた別の3名の警官も解雇されていますが、現時点ではまだ起訴されていません。尚、ショービンは白人、残り3名のうち2名も白人ですが1名はアジア系です。

事件が起きたのは25日(月)ですが、26日からミネアポリスでは抗議行動が拡大して、警察署が放火されるなど深刻な事態となっています。また、28日ごろからは、抗議行動が全米に拡大する中で、29日(金)の晩あたりからはニューヨーク、ロサンゼルス、アトランタ、ミルウォーキー、デトロイトなどで激しい実力行動が発生しました。

この問題の深刻さを考えるには、BLM(Black Lives Matter =黒人の生命を尊重し、生命が脅かされる事態を厳しく批判)運動の流れを確認しておく必要があると思います。

BLM的な運動に結びつくような事件、つまり黒人が一方的に生命を脅かされるということでは、それこそ19世紀末における南北戦争後の「黒人への陰湿なリンチ」があり、20世紀初頭にはそれがKKK(ク・クルックス党)の悪質な暴力となり、また1960年代には公民権運動への弾圧という形で顕在化していました。

そして警官による差別的な暴力事件というのは、70年代も80年代も起きていました。そして、1つの歴史的な転換点となったのが1991年3月にLAで発生した「ロドニー・キング事件」です。キング氏はスピード違反を摘発された際に白人警官4名から激しい暴行を受けたのですが、4名は不起訴となりました。この不起訴となったのが92年の4月29日でこれを契機にLA南部では激しい暴動が発生したのでした。

その際には、黒人と韓国系社会の対立も浮き彫りになりましたが、とにかく6日間にわたって続いた暴動では、60名以上が死亡、1万人以上が逮捕、火災は3,000件以上というアメリカ史に残る深刻な事件になったのです。

その後も、散発的にいろいろな事件があったのですが、改めて黒人に対する暴力が問題になったのは、2012年のトレイボン・マーティン殺害事件でした。この事件の犯人は警官ではなく自警団の男性でしたが、17歳の高校生である黒人男性を一方的に犯罪者と思い込んでトラブルになり、射殺したという事件です。

この事件では、ジマーマンという実行犯の正当防衛が認められて、無罪となったことから「BLM」運動の発端になったと言われています。

続いて2014年にも多くの事件が起きました。まず、ミズーリ州ファーガソンでは2014年の8月白人警官による黒人青年のマイケル・ブラウン氏が射殺されて、その白人警官が11月に不起訴となったことから暴動が発生しています。

またその事件の前月、つまり2014年の7月にニューヨークのスタッテン島で起きた白人警官による黒人男性エリック・ガーナー氏の殺害事件が発生しています。このガーナー氏の事件に関しても、同じように同年12月に不起訴処分が決定し、抗議行動が拡大するという事態になっています。

このガーナー氏の事件は、ニューヨーク市にとって一種のトラウマになっていると言っていいでしょう。そして、今回のミネソタ州で起きたジョージ・フロイド氏の殺害事件は、このガーナー氏の事件と重なる部分があり、NYではとりわけ激しい抗議行動が起きているというのも、そのためだと思います。

感情をぶつけよう。営業再開でお客様が「来て下さった」時の反応

5月25日の緊急事態宣言の解除から1週間以上が経過した今、通常営業モードを取り戻そうと懸命な小売店の皆さんも多いのではないでしょうか。そんな中にあって、久しぶりに常連のお客様と再会できた喜びは何物にも代えがたいものですが、その嬉しい気持ち、きちんと伝えられているでしょうか。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、そんな「嬉しい気持を伝える方法」を伝授してくださっています。

喜びを表現するためには

先日ブログで、営業再開後に顧客が戻ってきてくれた時のポイントについて
書きました。ご興味があれば、ぜひご覧ください。

再会1回目がとにかく大事!営業再開して顧客が来てくれたら、「ココ」を意識しておこう!

こういう記事を書いているのにも、それなりに理由があります。期間の空いたお客様と接する時というのは、実はかなり重要なタイミングだからです。ですから、今のタイミングで失敗をしないためにも、意識してもらいたいと思って書きました。ただ、この記事では、「どうやるか(how)」の部分については書いていなかったので、今回のメールマガジンでお伝えしておこうと思います。

記事の中でも、テクニックとかではなく、心から喜ぶことが大事だとは書きました。しかし、そうはいっても、それがお客様に伝わらなければ意味がありません。コミュニケーションは相手に伝わることとはよく言ったもので、たとえ自分が伝えた気でいても、相手に伝わっていなければ、それはやっていないのと同じなわけです。だから、howも大事なんですね。

前置きが長くなりましたけど、じゃあどうやってお客様に喜びを伝えるのか。実はその方法はめちゃくちゃシンプルです。

嬉しいという感情を、そのまま言葉にして伝えるということですね。「嬉しい」なら「嬉しい」と言う。「喜んでいる」なら「喜んでいる」と言う。それだけです。たったそれだけのことか、と思われる人も少なくないとは思いますが、正直言えば、これができる人って本当に少ないのです。

自分の感情を直接的に言葉にすることに慣れている人はあまり多くはありません。恋人や配偶者に「好き」とか「愛してる」を何の抵抗もなく言えるという人がどれだけいるでしょうか?いや、もしかしたら多いのかもしれませんが、それがお互いに分かり合えている家族などではなく、対お客様になれば、変わってくることもあるでしょう。つまり、感情をストレートに言葉にすることに言う側も慣れていないし、言われる側もあまり慣れていないわけです。

「〇〇さん!会えて本当に嬉しいです!」と言うだけの話なんですけど、じゃあそのお客様に言えますか?と聞くと、案外難しいことだというのは、よくわかるはずです。だからこそ、その言葉が効きます。お客様との久しぶりの再会で、「〇〇さん!会えて本当に嬉しいです!」と直接言葉で感情を伝える。たったそれだけのことですが、たったそれだけのことこそが、お客様の心に響きます。

久しぶりにお客様と再会した時には、嬉しい感情をストレートにぶつけてください。お客様もきっと喜んでくれるはずです。

今日の質問です。

  • 久々に顧客と再会した時には、どんな感情が生まれてきますか?
  • その感情をストレートに言葉にして、お客様に伝えることができますか?

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