京大教授と“宿敵”竹中平蔵との対談で判った新自由主義のヤバさ

先日掲載の「京大教授が暴露。元旦『朝生』CM中に立憲・小川淳也議員が口走った激しい言葉」では、期せずして竹中平蔵氏と「共闘関係」となった次第を明かした京都大学大学院教授の藤井聡さん。しかし自身の番組にゲストとして迎えた竹中氏との対談では、その思想に戦慄を覚えるに至ったといいます。竹中氏の主張の何が藤井さんにそこまでの感情を抱かせたのでしょうか。今回のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』に藤井さんがその一部始終を余すところなく記しています。

【関連】京大教授が暴露。元旦「朝生」CM中に立憲・小川淳也議員が口走った激しい言葉

(この記事はメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2022年3月26日配信分の一部抜粋です)

 

竹中平蔵氏とのTV対談が示す新自由主義の「ヤバさ」の本質~政府がPBや新自由主義に拘る謎を解く~

この度、MXテレビの東京ホンマもん教室に、「新自由主義者」の象徴としばしば言われる経済学者・竹中平蔵氏をゲストにお迎えしました。

テーマは「(1)成長は必要か?」「(2)財政拡大は必要か?」「(3)新自由主義は必要か?」の3つ。この内(1)の成長必要論は両者完全合意、(2)については総論合意だが各論(とりわけPB規律についてのみ激しく)対立、そして(3)の新自由主義の必要論については、激しく対立する討論となりました。

こうした展開は事前に想定していた通りでしたが、今回のハイライトはやはり、(3)の新自由主義です。

※ 子細は下記をご視聴下さい。ちょうど対談箇所からの再生となります。
→ 【東京ホンマもん教室】3月26日 放送見逃し動画 ウクライナ侵攻と尖閣~“他人事”を決め込む日本人の危ない現状認識~ ゲスト:竹中平蔵

当方、改めてこの討論動画を拝見し、竹中氏の発言を精査し、分析いたしたのですが、ここではその分析結果をご報告差し上げたいと思います。

この分析は、竹中氏のみならず、経済政策を巡る「新自由主義」的な一般的議論にどういう種類の「詭弁」が含まれているのか、さらにはどういう恐るべき「反社会的」思想が混入しているのかを改めて浮き彫りにするものでもありますので、是非ともご一読いただきたいと思います。

まず(1)の成長必要論は、今回の対談のきっかけとなった今年の朝生元旦スペシャルでの論争をなぞるもので、(立憲民主の小川政調会長が主張する様な)反成長論こそが国民を不幸にし、かえって環境を逆に「破壊」し得るという点について概ね合意となりました。この点は特に追加で申し上げる事もありません。

【関連】京大教授が暴露。元旦「朝生」CM中に立憲・小川淳也議員が口走った激しい言葉

そして、(2)についても成長のために財政政策が必要であり、それを阻止する財務省は極めて危険である、という点までは合意できました。しかし竹中氏は、PB目標だけは撤廃してはならないという論調に終始されました。

当方は、

「今やもう、PB規律が一番キツイ規律になっているのであり、これをやめ、より柔軟な規律(債務体GDP非やインフレ率、成長率による財政規律)に規律を改変しなければ、国民を救う財政が展開できない」

と主張したのですが、竹中氏はこの主張に徹底的に反対し、PB規律堅持を主張し続けたのです。

なぜ、竹中氏がそこまでPBにこだわるのか、是非、皆様もじっくりと下記動画の前半部分の竹中氏の発言をお聞き頂ければと思いますが……。

【東京ホンマもん教室】3月26日 放送見逃し動画 ウクライナ侵攻と尖閣~“他人事”を決め込む日本人の危ない現状認識~ ゲスト:竹中平蔵

要約すると以下の3点を竹中氏は主張しておられました。

  • PB規律を導入したのは私である
  • 多様な規律があっても良いが、その内の一つとして財政の総量規制を導入することが必要であり、そのためにもPBは必須だ
  • PBよりもキツイ規律があり(キャップ規制)、それを私が緩和させてPB規律を導入したのだ。

この3点は、上述の当方の主張の反論になっているかといえば、一切なっていないことは一目瞭然です。

 

落語家が明かす、イソップ童話「うさぎとかめ」でウサギが亀に負けた本当の理由

イソップ童話として名高い「うさぎとかめ」ですが、この話は何を伝えたいのかと聞かれたら、誰でも「うさぎにはいつでも勝てると油断があり、人生は油断をしてはいけないという戒め」と答えるのではないでしょうか。しかし、今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、 落語家の四代目 三遊亭圓歌さんが、ある企業の社長から聞いたという「うさぎとかめ」が本当に伝えたいことについて紹介しています。

うさぎは、なぜ亀に負けたのか? 四代目 三遊亭圓歌(落語家)

私が、笑いを交えながら人生や経営、子育てなどについて、私なりの考えを盛り込んだ、いまの落語や講演のスタイルを確立したきっかけを与えてもらったのは、遠縁に当たるジュポン化粧品本舗の故・養田実社長です。

養田社長は若いころ、柳亭痴楽師匠に弟子入りし、落語家を目指した経歴の持ち主だけに、私の気持ちをよく理解してもらい、「これからの時代、落語だけで食べていくのは難しいから、半分は落語、半分は講演にして企業を回ってみたらどうか」と、いろいろな異業種交流会などに連れていってくださったのです。

私はここで学んだ多くの経営者の言葉や、本で読んだ中村天風、森信三、石川洋といった先哲の言葉にヒントを得ながら、それをどう落語家の自分なりに消化し、人々を笑わせ、元気づけていけるかということに知恵を絞りました。

古典落語を基礎にこれらを取り入れた私の芸風の確立は、すなわち私の人生観の確立でもありました。

養田社長から教わった忘れられない話があります。

私が真打ちになったのは昭和62年5月。

林家こぶ平さんと一緒の昇進でした。

真打ちが発表されると、二人がいる部屋に一斉にマスコミが押し寄せたのです。

ところが、フラッシュを浴びたのはこぶ平さんだけ。数メートル横に私がいたのですが、どこの社も見向いてもくれませんでした。

考えてみれば、こぶ平さんは正蔵、三平と続いたサラブレッド、一方の私は、いわば落語界には何の縁もない田舎生まれ、田舎育ちの駄馬でした。

私はくやしくて涙を抑えられなくなって走って外に飛び出し、電車に乗りました。そこに偶然にも養田社長がいたのです。

「歌さん(※当時は三遊亭歌之介)、浮かぬ顔してどうしたんだ」

と聞かれ、私は理由を話しました。すると養田社長はこう切り出したのです。

「うさぎとかめの童話があるだろう。うさぎは、どうしてのろまなかめに負けたのか。言ってごらん」

私は答えました。

「うさぎにはいつでも勝てると油断があったのです。人生は油断をしてはいけないという戒めです」と。

養田社長は

「本当にそう思っていたのか。零点の答えだ」

と語気を強めて、静かにこのように話したのです。

かめにとって相手はうさぎでもライオンでも何でもよかったはずだ。なぜなら、かめは一遍も相手を見ていないんだよ。かめは旗の立っている頂上、つまり人生の目標だけを見つめて歩き続けた。一方のうさぎはどうだ、絶えずかめのことばかり気にして、大切な人生の目標をたった一度も考えることをしなかったんだよ。君の人生目標は、こぶ平君ではないはずだ。賢いかめになって歩き続けなさい」

さらに養田社長は言葉を続けました。

「どんな急な坂道があっても止まってはだめだよ。苦しいときには、ああ何と有り難い急な坂道なんだ、この坂道は俺を鍛えてくれているではないか、と感謝しなさい。有り難いというのは難が有るから有り難いんだよ」と。

私は社長のこの一言で迷いが吹っ切れたのです。そして、自分の人生の目標に向かって黙々と歩き続けよう、と思ったのです。

image by: Shutterstock.com

ダメな営業マンがたった1カ月で全国トップに躍り出た「雑談力」とは

コミュニケーション力はどんな仕事にも必要不可欠な要素ですが、特に営業担当の方には必須ともいえる能力。なかでも、何気ないトークを普通にできる「雑談力」が大切なようです。そこで今回は、メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の中で、25万人の人生を変えた“雑談のカリスマ”による最強の雑談術をご紹介していきます。

【一日一冊】すごい雑談力 25万人が自信をつけた話し方・聞き方のルール

41InQ6s1WzL._SX338_BO1,204,203,200_

すごい雑談力 25万人が自信をつけた話し方・聞き方のルール

松橋良紀 著/秀和システム

まったく売れないダメ営業マンが心理学と雑談術を学んだところ、いきなり全国トップ営業マンになったという著者が教える雑談術です。

信頼関係を築くための雑談術はすでに体系化されていますので、これを学べばよいのです。

例えば、自己開示する、笑顔を磨く、相手の名前を会話に入れる、質問で話し終える、オーバーリアクションで驚きを伝える、自己紹介用のキャッチフレーズをつくる、などのテクニックがありますが、みなさん、どのくらいできているでしょうか。

「グットアンドニュー」:「よかったこと(Good)」と、「新しい発見(New)」を1人ずつ発表して、全員で共有すればOKです(p49)

特に営業では、相手にしゃべらせて話を盛り上げるのが王道です。そのためには、相手が話題を切り出したら、自分を出さずに、その話題を深く聞いていくことが大事になります。

例えば、相手が「〇〇に行ってきた」と話題を提供したら「へえ、○○に?」 一言で返すのです。相手が「悩んでいるんです」と言ったら、「すごく悩まれているんですね…」と沈黙するわけです。

つまり、自分を出さずに相手に合わせる、ペーシングで相手の波長に合わせることで印象が良くなるのです。言葉だけでなく、動作や表情も合わせましょう。

一言で返そう…「雷門に行ってきたんだよ」「へえ、雷門に?」(p101)

まずはポテンヒットを狙え。会社や上司の期待値を高める賢い出世術とは

「給料を上げたい」「出世したい」と思うのは働いていれば多くの人が考えること。でも、何もやらずにそんな願いが叶うことはありません。会社や上司の期待に応えることが大切でしょう。そこで今回は、メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』の著者・佐藤しょ~おんさんが期待値を高める方法を伝授。とんとん拍子に出世する人には当然の理由があるようです。

期待値を高めろ

出世する人のパターンは、周りの人の期待値が高いことです。大きな問題が起こったり、新しいプロジェクトが立ち上がったりした時に、

 ● あの人ならなんとかしてくれるだろう

って考える人が多いということです。つまりみんなが期待をしているということですね。ツーアウト満塁でバッターボックスに入るようなもんですよ。

ここで期待に応える働きをするから、

 ● もうあいつを昇格させる以外にないだろう

って雰囲気が作られるんですね。

そうなるためには、あなたに対する期待値を高めることを考えなきゃダメですよ。

業務スキルや、仕事力を身に付けたら、次に考えるべきはどうやって他の人から期待される存在になるかなんです。つまりあなたが注目される存在になる必要があるんです。

もちろん誰しも最初は、期待値なんてゼロなんですよ。そもそもあなた誰?ってところにいるわけですから。

しかしその状態でもヒットを打ったり(つまりそれは成果を出すということです)するわけでしょ。それが業務スキルがあるとか、仕事力があるということですから。

ちょこちょこと色々な場面でヒットを打てるようになったら、意識して大勢が見ている場面、ステージに立つことを考えるのです。ここで日和って、

 ■ イヤイヤ、私なんてまだまだでして…

みたいなつまらない謙遜をしてはいけません。日本人はこれをやっちゃうんですよ。何本かクリーンヒットを打ったのなら、

 ● 我こそが将来のクリーンアップ候補なり

って気構えを持たないと。つまり、この組織を将来は私が背負って立つのだという意識を持つのです。

これだけで、あなたの態度が変化するのです。

露プーチン政権への“クーデター”を恐れる習近平。絵空事ではない中国大崩壊

3月30日に行われた外相会談で協力関係の強化を確認した中ロですが、習近平政権サイドが抱えるジレンマは相当に深刻なもののようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、ロシアの政変が中国崩壊に直結しかねない理由を解説。それ故に習近平国家主席は、ロシアとプーチン大統領を支援せざるを得ない苦しい立場に追い込まれていると指摘しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年3月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

 

【中国】ロシアでクーデターが起これば習近平政権も中国も大崩壊

中国資産巡る警戒感、強まるばかり-中ロ首脳の結束で政治リスク

ロシアのウクライナ侵略以降、中国に対する投資家の警戒感が高まりつつあります。ブルームバーグによれば、外国投資家が中国投資の際に参照するMSCI中国指数が、他国の株価指数に対して、過去20年余りで最大に近い定位で推移しているということで、外国投資家が中国株から逃避していることがわかります。

習近平もプーチン同様に全体主義国家の独裁者であり、何をしでかすかわからないという不気味さがあるからです。ロシアへの軍事協力により西側諸国の制裁対象になる可能性もあり、また、台湾侵略を強行するかもしれないという懸念があるため、外国人投資家は手を出しにくくなっているのです。

中国政府は株式市場の安定や経済成長を支える政策を打ち出し、また、これまで行ってきた巨大IT企業などへの締め付けを早期に終わらせるとアナウンスすることで、外国人投資家の懸念を払拭しようとしています。

中国は株式市場を安定維持へ、国外上場も支持-本土・香港株急騰

これにより一時的に株価は上昇に向かったようですが、冒頭の記事によれば、外国人投資家は利益を確定するための準備に入っており、持ち直しは長くは続かないと予測しています。

いずれにせよ、習近平政権のリスクについて、投資面でも世界は気づき始めたということなのです。つい数年前まで、外国企業も外国政府も中国にどっぷり浸かっていたことから考えると、隔世の感があります。

 

「安倍やめろ」とヤジを飛ばした男性に“警官が殺到”した忖度ウラ事情

安倍晋三氏への忖度は、日本中ありとあらゆる場所で徹底されていたようです。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、札幌での安倍氏の街頭演説時に声を上げた男女二人が、すぐさま北海道警察に排除されたウラ事情をリーク。何がこのような道警の過剰警備を生んだかを明らかにするとともに、岸田首相に対してはアベ・スガ時代の政治姿勢との決別を提言しています。

 

ヤジ排除は表現の自由の侵害。安倍演説時の過剰警備で道警側が敗訴

安倍晋三元首相は国会の総理席からヤジや不規則発言を飛ばすほど「表現の自由」を謳歌してきた。総理らしからぬふるまいが批判を浴びても、本人は意に介さない。

その割に、他人からヤジを飛びるのは我慢できないタチらしく、かつて東京都議選の応援演説中に湧き起った「安倍やめろ」コールに対し、「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と反撃したのは、今も語り草になっている。

それから2年後の2019年7月、参院選の応援で札幌を訪れていた安倍首相は、候補者とともに街頭演説にのぞんでいた。

「G20は本当に最後の最後までもめたが、会議の現場で私は議長の席を麻生(財務相)さんに譲ってトランプ大統領のところにいって直談判をした。そこでトランプさんに『これだったらのめる』という案を出してもらい、メルケル首相やマクロン大統領と交渉して最終的にG20の首脳宣言を発出することができた」

例に違わず、“自慢話”満載のスピーチ。その最中に、事件は起きた。20メートルほど離れた場所で「安倍やめろ」と男性が叫びはじめると、警備に当たっていた北海道警の警察官5、6人が男性を取り囲み、服や体をつかんで、引きずるようにその場から排除した。

その直後、「増税反対」と叫んだ女子大学生にも、大勢の警官が詰め寄り、女性警官二人が両側から腕をつかんで連れ出した。女性警官たちは「ジュース買ってあげるから」「きょうはもうあきらめて」などと、その後1時間半にわたって、つきまとった。

排除された男女二人はそれぞれ、「表現の自由の侵害で精神的苦痛を受けた」などとして、損害賠償を求めて提訴していたが、札幌地裁は3月25日、訴えを認め、北海道に計88万円の支払いを命じた。

二人を排除する様子がつぶさに記録された複数の動画が存在し、それらが決め手になった。二人は「安倍やめろ」「増税反対」などと叫んだだけで、あっという間に大勢の警官に取り押さえられた。動画はYouTubeで確認できるが、誰が見ても警官たちの介入ぶりに違和感を覚えるはずだ。

この光景について、戦前の特高警察のようだと言う人がいる。ウクライナ侵攻に反対するロシアの市民を弾圧するプーチン政権のようだと非難する人もいる。

どうして、道警はこのような挙に出たのだろうか。当初、排除の根拠を問われても答えなかった道警が裁判で主張したのは、警職法4条1項の「生命もしくは身体に危険を及ぼす恐れのある危険な状態にあった」とか、同法5条の「犯罪がまさに行われようとしていた」という状況認識だった。

具体的には、原告らが「安倍やめろ」などと叫んだのに対し他の聴衆から「お前が帰れ」「うるさい」などと怒号が上がり、両者がトラブルになって危険な状態にいたる恐れがあったということらしい。

しかし、判決はその主張を概ね、以下のような分析によって退けた。

「当時の動画を見ると、原告の男性が声を上げてから、警官がその肩や腕をつかむまでの間、「お前が帰れ」「うるさい」などの発言は全く録音されていない。怒号というからには相当程度の声量があったはずなのに、動画に全く録音されていないのは不自然だ。また原告男性と聴衆の間で小競り合いが生じたようにはうかがえない」

 

世界の本気に焦る習近平。ウクライナ侵略が台湾有事を遠ざける訳

長期政権を確実のものとするため、台湾併合を企図していると言われる中国の習近平国家主席。ロシアによるウクライナ侵略を受け、世界各国から「力による現状変更」に対する猛批判が沸き起こっている状況下にあっても、その意思に変化はないのでしょうか。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では国際政治経済学者の浜田和幸さんが、ロシアによる軍事行動と、それに伴う各国の動きが習近平政権に与えた影響を分析・紹介。その上で、中国による台湾侵攻の可能性についての見立てを記しています。

 

ウクライナ危機を見て防衛意識を高める台湾

中国の新駐米大使である秦剛(Qin Gang)氏は「戦う狼外交官」とも呼ばれていますが、現在進行形のウクライナ危機に関して、「もしロシアの動きを事前に把握していれば、危機を回避するために、できる限りのことをした」と発言しています。

とはいえ、この“後出し”発言には疑問を呈せざるを得ません。

なぜなら、中国はアメリカからの情報を事前に得ていたはずで、しかも、アメリカの諜報機関によれば、中国はそうした情報をロシアに提供していたとされるからです。

アメリカに言わせれば、「中国はアメリカ発の極秘情報をロシアに横流ししていた」となります。

真相はやぶの中ですが、ウクライナ危機によって「台湾有事の可能性が高まった」という観測が専らですが、実際はその逆ではないかと思われます。

というのも、今回のウクライナ危機に際し、7割以上の台湾人は「中国との戦争になれば、台湾を守るために立ち上がる」と回答しているからです。

昨年12月の時点では40%でしたが、倍近く伸びています。

要は、台湾はウクライナのロシアへの抵抗に勇気付けられているのでしょう。

蔡英文総統は兵役義務の強化策を打ち出しましたが、賛成する声が圧倒的です。

ウクライナによるゲリラ的抵抗、それを可能にしているNATOからの武器供与(スティンガー、ジャベリン対戦車ミサイル、TB2ドローン)の有効性も明らかになってきました。

アメリカはじめヨーロッパ各国や日本からのウクライナへの資金援助も急増しています。

その意味で、台湾ではアメリカへの期待が高まる一方です。

ポンペオ元国務長官を始め米政府の要職経験者や議員も相次いで台湾を訪問しています。

ゼレンスキー大統領は日本の国会に向けてオンライン演説を行い、岸田政権からの追加支援を確実にしました。

実は、ウクライナは中国と台湾の双方と緊密な関係を保っています。

そのため、蔡英文総統も閣僚も1か月分の給与をウクライナへの支援に供出しました。

また、台湾はロシアへの経済制裁も強化しています。

そうした動きを見据え、中国はロシアに対し、距離を置き始めました。

具体的には、アジアインフラ投資銀行(AIIB)はロシアへのローンを中止し、中国はロシアが求める航空機の部品提供を断ったほどです。

ロシアの通貨ルーブルは30%も下落しました。

ロシアがウクライナを短期決戦で押さえていればまだしも、現状では中国としては国際社会を敵に回しかねないロシアとの関係強化は難しくなっています。

そうした環境下では中国による台湾への軍事侵攻の可能性は大きく低下したと言えるでしょう。

 

image by: JENG BO YUAN / Shutterstock.com

スシローやモスバーガーに学ぶ、新常態時代に勝ちを掴むマーケティング戦略とは

新型コロナ感染症により、大きく変化することを余儀なくされた私たちの生活。当然ながらその影響は企業経営にも及び、これまでのマーケティング手法が通用しない事態となっています。我々は今後、いかにして市場戦略を立ててゆくべきなのでしょうか。そんな疑問に明快な答えを提示するのは、神戸大学大学院教授で日本マーケティング学会理事の栗木契さん。栗木さんは今回、コロナ禍にあっても倒れることがなかった外食企業の成功例を挙げつつ、ニュー・ノーマル時代におけるマーケティングの具体的なアプローチ法をレクチャーしています。

プロフィール栗木契くりきけい
神戸大学大学院経営学研究科教授。1966年、米・フィラデルフィア生まれ。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(商学)。2012年より神戸大学大学院経営学研究科教授。専門はマーケティング戦略。著書に『明日は、ビジョンで拓かれる』『マーケティング・リフレーミング』(ともに共編著)、『マーケティング・コンセプトを問い直す』などがある。

ニュー・ノーマルに必要な「脱・戦略計画型発想」~ワタミ、スシロー、ドトール、モス・バーガーから何を学ぶか

はじめに

コロナ禍は市場環境に大きな変化をもたらした。たしかに産業によって、変化の方向やインパクトの違いはある。しかし、あらゆる企業や組織において、各種の業務のハンドルやギアを切り換える必要が生じたことに変わりはない。ニュー・ノーマルのなかで必要となってるマーケティングの本質的な変化を考える。

絶えざる変化のなかで次の機会をうかがう

あれから2年がたつ。2020年の春、コロナ禍の拡大を受けて緊急事態宣言が出された。

その直後の数ヶ月は居酒屋やファミリーレストランなど、飲食店の退店が各所で相次いだ。これは飲食店の規模の大小を問わない。人の流れや生活様式が急転し、食への需要のあり方が変化する大津波に、都市部を中心とした各種の飲食店は突如として襲われたのである。

振り返ると私の神戸市内の住まいの近隣でも、この2020年の春から夏にかけての時期には、商店街やショッピングモールなどを歩くと、シャッターが下ろされたままとなり、張り紙などで閉店を知らせる店舗がそこかしこで目についた。寂しい思いで街の急激な変化を眺めていた。

しかしこれは、一時の出来事だった。続く時期に目にすることになったのは、そこで生じた街の空きスペースへの新規出店である。個人店やローカルチェーンだけではない。全国的に事業を行う大手飲食チェーンのあいだにも同様に動きが見られたことは、各種報道などからも確認できる。