最大の古墳「仁徳天皇陵」と映画『インディー・ジョーンズ』との意外な関係

日本最大の前方後円墳として有名な仁徳天皇陵ですが、実際の仁徳天皇とはどのような人物だったのでしょうか? 今回のメルマガ『歴史時代作家 早見俊の「地震が変えた日本史」』では時代小説の名手として知られる作家の早見俊さんが、仁徳天皇についての逸話と、インディ・ジョーンズとの意外な関連について語っています。

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仁徳天皇陵とインデイ・ジョーンズ

日本史上で最初に記録が残っている地震は、允恭5(416)年7月(新暦8月)、現在の奈良県明日香村付近で発生した允恭地震です。日本書紀に記されていますが、地震の詳細については不明です。元号が制定される以前、日本史上の記録は天皇の在位年で記録されていました。

允恭天皇は第19代天皇です。父親はあの仁徳天皇です。あの、と記しましたのは、仁徳天皇が善政を行った徳のある天皇として知られているからです。

ここで話は飛びますがコロナが流行し始めた頃、様々な支援制度ができました。また、支援策と共に消費税減税を提案する経済アナリスト、有識者がいました。消費税撤廃という極論もありましたね。コロナが終息するまでという期限付きの減税措置を行うべき、という声が多かったと記憶しています。

そうした消費税減税を提案する人々に仁徳天皇を引き合いに出す声が少なからずありました。

仁徳天皇は民の竈から煙が上がっていないのを御覧になり、生活が困窮していると察して租税を三年免除したのです。民の暮らしに配慮した仁徳天皇の政治を善政と捉え、消費税減税、あるいは期限付きで免除を唱える声が上がったのでした。

しかし、それは実現しそうにもありません。

仁徳天皇といえば巨大古墳ですね。墳丘長528メートル、高さ39.8メートルの巨大な前方後円墳です。大阪府堺市にあります……と筆者が中学、高校の日本史では学んだのですが、現在では仁徳天皇陵ではなく、大山古墳(だいせんこふん)と呼ばれることが多いですね。厳密に仁徳天皇の陵とは断定できない、という学説が出てきたからです。ただ、平安時代の法令集、「延喜式」には仁徳天皇陵とする記述があり、堺の史書も仁徳天皇陵として認識されています。

ところで、仁徳天皇陵について面白いエピソードがあります。

ステイーブン・スピルバーグ監督、ハリソン・フォード主演の大人気シリーズ、『インデイー・ジョーンズ』はご存じのように考古学者が主人公で、世界中の遺跡が舞台になります。仁徳天皇陵を舞台とした作品も企画されたそうですが、天皇陵を管理する宮内庁の許可が下りず、実現しなかったとか。

仁徳天皇陵を巡るインデイ・ジョーンズの冒険、見てみたかったですね。また、豊臣秀吉は仁徳天皇陵で鷹狩りをした、と伝わってもいます。

(メルマガ『歴史時代作家 早見俊の「地震が変えた日本史」』2022年9月9日号より一部抜粋。この続きはご登録の上、お楽しみください)

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いま世界中が「独裁化」へ。我が民主主義国ニッポンは生き残れるのか?

ウクライナに侵攻したロシアや、国民に規制を強いる中国など、世界中の国で「独裁化」が進んでいます。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、 そんな独裁主義国と、民主主義の我が国について「2つの観点」から語っています。

黒化する世界~民主主義は生き残れるのか?

2022年9月9日、北野の新刊『黒化する世界~民主主義は生き残れるのか?』が発売になりました。今日はこの本を書いた目的について、お話しします。

黒化とは?

まず、用語の解説が必要ですね。「黒化」(こくか)とは、なんでしょうか?

昔、「赤化」(せきか)という言葉がありました。赤=共産主義のこと。赤化といったら、どこかの国が共産化することをいいました。幸い赤化現象は、1991年12月のソ連崩壊で終わっています。

では「黒化」とは、なんでしょうか?黒=独裁国家のことです。黒化とは、独裁化のことです。そして、ここ数年、世界で「黒化現象」が進んでいます。たとえば2020年2021年だけでも、

  • 香港
  • ロシア(元から黒かったが、真っ黒になった)
  • ベラルーシ(上に同じ)
  • ミャンマー
  • アフガニスタン

など。そして、ちょっと世界地図を見てほしいのです。ユーラシア大陸を見ると、世界最大の面積を誇るロシアと人口世界一の中国が、【黒】です。ロシアと中国の隣には、これも真っ黒の北朝鮮がある。ロシアの西隣には、欧州最後の独裁者ルカシェンコのベラルーシ。中国の西には、最近黒化したアフガニスタン、ミャンマーがある。いわゆる旧ソ連諸国も、ほとんどは黒に近い灰色です。こう見ると、ユーラシアは、中国、ロシアを中心に【黒化されている】ことがわかるでしょう。

下の記事中の地図をみてください。いわゆる独裁国家は「赤色」と「オレンジ」で示されています。

世界人口の71%が「独裁に分類される国に住む」という衝撃

こう見ると、「白化勢力」(民主主義勢力)は、完全に劣勢です。

iPhone 14に「衛星通信機能」。日本で使えるのはいつになるのか?

9月9日から予約が始まり、16日から販売されるiPhone 14には、事故検知機能と衛星通信を利用したSOS発信機能が搭載されて、注目を集めています。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、新たな安心機能は広い国土のアメリカならではニーズを反映していると論評。それでも通信障害や災害時に有用な機能であることは間違いなく、日本でも衛星通信が使えるようになることに期待を示しています。

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iPhone 14が衛星通信に対応し、SOSを送信可能に──日本で衛星通信が使える日はいつになるのか

アップルはiPhone 14シリーズにおいて、衛星通信に対応し、SOSメッセージが送れるようにすると発表した。サービスは今年11月からアメリカ、カナダでスタートする。

サービス提供に際し、アップルは衛星ビジネスを手がけるグローバルスターに出資。リソースの85%を優先的に使えるようにした。iPhone 14シリーズではB53、n53の周波数帯に対応することで、衛星との通信が可能となる。ちなみに日本で発売されるiPhone 14シリーズもB53、n53に対応しており、アメリカに来て、山に登り、万が一、遭難してもSOSメッセージを飛ばすことが可能だという。

先週、スペシャルイベントの招待状について触れたが、宇宙を想像させるイラスト、「Far Out.」というメッセージはまさに衛星通信を暗示していたことになる。

アップルは衛星通信だけでなく、iPhone 14やApple Watch Series 8において、交通事故の衝突検知機能も搭載してきた。万が一、事故に遭った際、意識を失っても自動的に緊急通報を行ってくれるというものだ。

これらの機能を見ていると、やはりアメリカならではのニーズを反映しているように思える。日本で交通事故を起こしたとしても、周辺には他の車が走っているわけで、自ら通報しないと助からないという場面はあまりないと思われる。

しかし、アメリカのような国土が広い国となると、砂漠や山間部の道路で単独事故を起こすことが多いのだろう。衛星通信に関しても、国土が広いため、圏外の場所が圧倒的に多い。ならば、衛星通信で解決してしまおうという発想につながるわけだ。

ただ、衛星通信が日本でも使えるようになると、緊急通報がかけやすくなるということでもある。KDDIの通信障害時、「今後、通信障害が起きても緊急通報は何とか確保しないと。だから、ローミングを実現しよう」という話になりつつあるが、普通のiPhoneで衛星通信ができるのであれば「通信障害時は衛星通信を使えばいい」ということにもなりはしないだろうか。

地震や津波などの自然災害時も衛星通信で緊急通報だけでも確保できると安心だ。まず、アップルがサービスを開始するが、スペースXとTモバイルUSも衛星を打ち上げ、日本でもサービス提供してもらえると、複数の衛星通信を確保できることになるので、さらに安心だ。

アメリカ企業が、普通のスマートフォンで衛星通信ができるように取り組む中、ファーウェイも中国の衛星との通信を可能にしつつある。日本企業のなかで楽天モバイルだけが、衛星通信で存在感を出しているのが何とも面白い。

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あなたが「職場でバカにされている」と感じたらまずやるべきこと

会社で人間関係がうまくいかない人は、いったい何が問題なのでしょうか?メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』の著者・佐藤しょ~おんさんは、その原因をズバリ回答。さらに、その原因を取り除く「方法」を明かしています。

仕事でバカにされないために

会社での人間関係が悪いという相談を稀に受けるのですが、色々と突っ込んだ話をしてみると、仕事のクオリティーが低くてバカにされていることが原因だったりするんです。

会社というのは仕事をやる場所ですから、まず一義的に

 ● 与えられた仕事を一流のレベルでやり切る必要がある

のですよ。

会社に於いて、仕事ができる人は、ヒーロー、ヒロインとしてリスペクトされます。ここにその人の性格とか容姿は関係ありません。

 ▼ 仕事はできるけど性格悪いよね とか
 ▼ 仕事はできるけどブサメンだよね

という陰口は、

 ■ あの人、全然仕事できないよね

という陰口に比べたら遥かにマシなんですよ。だって会社は性格の良さをアピールする場でも、容姿の良さを自慢する場所でもないんですから。

ですから会社に於いては、何が何でも、

 ● あの人は、仕事ができる!

と他者に思わせなければならないのです。サラリーマンにとってこれ以上重要なミッションはありません。サラリーマンとして幸せに生きるための、必要条件なんですからね。

そのあたりの極意を、「リアルビジネスセミナー」ではまとめて解説しています。仕事で人後に落ちているという自覚がある方はどうぞ。

閑話休題。私にこのような質問や相談をしてくる人の多くは、役職的にかなり下位にいることが多くて、つまりそんな彼らがやっている仕事のほぼ全ては、手順書としてまとめることができる定型業務なんです。

そりゃそうです。非定型業務なんてのは、定型業務を完璧にこなせる人間にしかやらせませんから。つまり厳しい言い方をすれば、マックジョブとか、派遣社員やアルバイトがやるのと質的に同レベルの業務を担当しているわけで、この手の仕事で他者に負けているようだと、そりゃ会社でバカにもされるでしょうし、いじめられたりもするでしょう。

しかしこれは、仕事の棚卸しをしっかりやることで、いくらでも挽回が可能なんです。こういう境遇にある人に、

 ● あなたの担当する業務の手順書を今ここで書いてみて

というと、これが書けないんです。つまり自分の仕事について、業務フローを暗記していないということです。つまり仕事をちゃんと理解していないということですね。そりゃエラーもしますよ。

国民を分断して勢力拡大した安倍元首相は「国葬」で送るに相応しい人物か?

国会議員や各界著名人に届き始めた安倍元首相国葬の案内状。しかしその実施を巡っては多くの国民から反対の声が上がっており、各地で反対デモも行われています。そもそも安倍氏は国葬で送るにふさわしい人物なのでしょうか。今回のメルマガ『uttiiジャーナル』では著者でジャーナリストの内田誠さんが、安倍元首相に相応しいのはせいぜい内閣葬か自民党葬であるとして、そう判断せざるを得ない理由を解説。さらに五輪汚職や統一教会問題を取り上げるとともに、岸田首相にはそれらの解決に必要なリーダーシップが感じられないとの率直な意見を記しています。

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国を分断して勢力を伸ばした安倍晋三氏を「国葬」するマズさ:「デモくらジオ」(9月9日)から

冒頭でお話申し上げたいと思うのは、明日の新聞とか…新聞に必ず定番コラムがあるじゃないですか。朝日でいうと天声人語、読売でいうと編集手帳みたいなね。ベテランの論説委員レベルの記者さんが書いていたりするわけですが、おそらく、国葬についてのテーマが4紙5紙あるなかで、2紙3紙くらいあるのではないですかね。森喜朗さんがオリンピックの問題で追及されそうになって、今日はたまたまどこかの地方議会の視察かなにかで傍聴されていたようですが、記者の質問に一切答えずに行ってしまったということをテーマにする人もいるかもしれませんが、どちらかというと国葬…でしょうね。

各紙にはおそらくエリザベス女王について取材歴がある記者もいるでしょうし、そういう意味では96歳、本当の大往生ですけど、70年間女王の座にあった人ということで、なんというのでしょうね、ずっとにこやかに、基本的にはにこやかにイギリスを代表し続けたという。

政治家がやるような努力のようなことをしたわけではないですから、「君臨すれども統治せず」の国ですし、そういう意味で、例えばタフな交渉をした人というわけでもないのですが、生身の人間が数千万人の国民、イギリスの場合は英連邦という存在もありますから、ものすごい数の人を代表する立場で存在し続けるというのは、一言で言えば、滅茶苦茶疲れるのではないかと思うのですが、そのようなところで正気を保ちながら生き続けた、存在し続けた希有な人物であったことは間違いないと思います。

それと、どうしても国葬ということになると…エリザベス女王の国葬は19日だそうですけれど、今月の27日には安倍元総理の日本での国葬が行われるんでしょう。どうしてもその2つを比較するような話が出てくるだろうと思います。

これは致し方ないですね。8日の閉会中審査での岸田さんの説明は最低で、その問題も当然ありますが、エリザベス2世と比較する意味はあまりないのですが、少なくとも、演説しながら「こんな人たちに負けるわけにはいかない」などということを口にした元総理大臣、国会で100回以上も事実に反することを発言した人、ということからいうと、国葬?という感じがしてきますね。とくに最初に言った方でいうと、分断をした人なわけですよ。分断をあえて行って、国内に敵を作ることによって勢力を伸ばした人ですよね。その人を、国葬にしちゃうのはまずいだろうと私などは思います。

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すべてが完璧。エリザベス女王という君主が成し遂げた3つの功績

9月8日、スコットランドのバルモラル城で96歳の天寿を全うしたエリザベス女王。1952年の即位以来70年に渡り英国君主を努めた女王は、自国や世界に何を遺したのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では著者で米国在住作家の冷泉彰彦さんが、エリザベス女王の功績を3つ挙げそれぞれについて詳しく解説。さらに英国王室と関係深い我が国の皇室が直面している、皇位継承を巡る「恐怖を覚える状況」を取り上げその改善を訴えています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年9月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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エリザベス2世女王崩御と立憲君主制の将来

英国のエリザベス2世女王が崩御されました。グリニッジ標準時で9月8日午後6時半、米国東部時間では午後1時半であり、その訃報は15分ほどで世界を駆け巡ったことになります。1926年生まれの享年96、在位期間は1952年2月の即位から70年という長い年月を走り切っての永眠でありました。

女王の功績は大きく3つ指摘できると思います。

1つは、英国がマグナカルタ以来時間をかけて作り上げ、また女王の祖父ジョージ5世がほぼ形にしていた立憲君主制度を、文字通りその人生を捧げる形で、一つの政治制度として完成したことです。

立憲君主制とは「君臨すれども統治せず」という大原則ですが、この原則を作り上げていくプロセスでは「いかに統治しないか」という君主大権の自制と抑制だけが強く意識されていたわけです。ですが、女王はそこに、「いかに君臨するか」という現代における君主の人格表現のあり方を積極的に付加していったと言えます。

英国の君主(ソブリン)は、多数党の党首を首相に任命します。そこに君主の恣意が入る余地はありません。首相人事ということでは、まさに「統治」は不可能です。では、君主による首相の任命というのは全くのセレモニーなのかというと、それでは「君臨」したことにはなりません。

首相との関連で言えば、まず庶民院(ハウス・オブ・コモンズ=下院)が選出した首相候補を招いて、君主として「任命(キッシング・ハンズ)」を行うということがあります。その際には、簡単な挨拶が交わされるわけですが、その挨拶、そして以降の毎週の謁見により、君主は首相から重要事項の報告を受けて、場合によってはこれに対するコメントを行います。

その謁見の内容は、絶対に口外してはならないものとされ、事実ほとんどその内容は歴史家にとっても不明です。ただ、多くの間接的な証言によれば、エリザベス2世という人は、その治世の70年間に15名の首相を任命し、いずれの首相とも良好な関係を得ていたとされます。

少なくとも、女王は聞き役であり、時には「耳の痛いこと」を鋭く質問する役であり、時には叱咤激励をする役であったようです。そこから想像されるのは、女王(君主)という機関は具体的に2つあったということです。それは「首相という孤独な統治者に対する理解と激励ということ」「悠久の時間の中で国家として形成してきた国のかたち(=国体、コンスティトゥーション)を体現するということ」という2つです。

君主制に関する賛否両論は英国でも根強くあり、女王崩御により勢いが増すことが想像されます。また、米国やフランス、ドイツのように君主制を廃止した国家も数多くあります。ドイツの大統領はやや例外ですが、少なくともアメリカやフランスの大統領は、切羽詰まった局面では実に孤独ですし、同時に平々凡々な人間であるにもかかわらず、国のかたちを理解し体現するという超人的な能力を求められます。

少なくとも立憲君主制というのは、その意味で政府の仕事をやや容易にする仕組みであると言えます。そして、この立憲君主制というのは、このエリザベス2世の70年によって完成形に達したと言えます。

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安倍氏銃撃で状況一変。ついに外れた五輪汚職という不正隠しの蓋

東京地検特捜部の捜査により次々と明らかになる、東京オリンピックを巡る不正の実態。なぜ開催から1年というこのタイミングで、「五輪汚職」というパンドラの箱は開かれたのでしょうか。今回のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』では、ジャーナリストで『暴走検察』の著者でもある上杉さんが、これまで時の権力に左右され続けてきた東京地検が蘇った理由を考察しています。

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【五輪汚職】蘇った東京地検特捜部、続々逮捕の3つの理由(1)

  1. 安倍晋三元首相の銃殺
  2. 甲斐行夫検事総長の就任
  3. 市川宏東京地検特捜部長の存在

五輪汚職のパンドラの箱の蓋が開いた。連日、東京地検特捜部による捜査が続いている。期待してよいのだろうか。何度も裏切られた特捜部に、私たちは期待してもよいのだろうか。

「検察は、厳正公平・不偏不党を旨として、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正かつ迅速に適用・実現することを使命としています。安全な社会があってこそ、国民の皆さんは安心して、仕事をし、学校に行き、日常生活を送ることができるものだと思います。検察としては、警察等関係機関と連携しつつ、安全・安心な社会の実現に貢献するため、基本に忠実に、一つ一つの事件に取り組むことにより、国民の皆様の期待に応えられるよう、力を尽くしたいと思っております」(甲斐検事総長)

長年、検察では「安倍=黒川」ラインの暗黒時代が続いていた。とくに2012年の第二次安倍政権以降、時の権力に左右される検察の姿に世間の期待は低かった。

私たちの税金を何兆円も使ったスポーツイベントにおいて、私腹を肥やす輩をジャーナリズムが糾弾しても、黙殺されるのが関の山だった。いや、それどころか、検察幹部は、不正を追及するジャーナリストたちをマスメディア、とくに記者クラブと一緒になって排除する始末だった。これは『ニューズ・オプエド』で報じ批判し続けてきた通りだ。

【検証!東京2020贈賄疑惑事件第4弾 事件の本質を暴く!何故事件は起きたのか!?】ニューズ・オプエド

ところが、7月8日に状況は一変した。安倍晋三元首相という、本人も無自覚の大きな存在が暗殺によって消えたのだ。不正隠しの蓋が外れ、闇の中に光が差し込み始めた。

端緒は、広告代理店最大手の電通本社と五輪組織委員会理事の高橋治之容疑者への捜査だった。東京地検特捜部は、本丸である電通と高橋容疑者の自宅と会社への家宅捜索を行い、高橋容疑者を逮捕したのだ。

AOKIやKADOKAWAなどのスポンサー企業は捜査のための「階段」にすぎない。ターゲットのひとりが高橋治之氏だった。

筆者にとって、元電通で五輪理事の高橋治之容疑者の逮捕は何よりの驚きだった。

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先制攻撃権限も明記。北朝鮮「核保有国宣言」が中国を追い込む訳

9月7日に始まった最高人民会議で、北朝鮮が核兵器の使用条件などを定めた法令を採択。金正恩総書記は「核保有国としての地位は不可逆」と、非核化の意思がないことを内外に示しました。この事態を長年北朝鮮の後ろ盾の役割を果たしてきた中国はどう見ているのでしょうか。メルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、著者で多くの中国関連書籍を執筆している拓殖大学教授の富坂聰さんは、「複雑な気持ちで見守っている」と解説。北朝鮮とはもちろん、韓国との関係もこじらせることは避けたい中国の事情を記しています。

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北朝鮮の核保有国宣言で窮地に立たされる中国

中国外交にとっては、アメリカとの対峙とは別の意味で頭の痛い新たな問題が浮上したのではないだろうか。北朝鮮の非核化をめぐる新たな動きだ。今月7日から北朝鮮は第14期最高人民会議第7回大会(=国会に相当)を開催した。そして8日の朝鮮労働党総書記(国務委員長)の金正恩の施政方針演説では、予想通り重要メッセージが発せられた。「北朝鮮の核保有国としての地位は不可逆(=放棄しない)」という宣言だ。

北朝鮮はこの前日、最高人民会議で核兵器の使用条件などを定めた法令(以下、「法令」)を満場一致で採択している。最大の特徴は、「防衛目的での核兵器の先制攻撃の権限が明記された」(シンガポールCAN『アジア・ニュース』9日午後9時)ことだという。

8日の施政方針演説で金正恩は、核を放棄しない理由として、「地球上に核兵器と帝国主義が存在し続け、アメリカやその仲間によるわれわれを陥れる策略がなくならない限り、われわれの核戦略強化の取り組みは終わらない」(同CNA)と力説した。

もう少し詳しく言葉を並べれば、「核兵器はアメリカの脅威に対する自衛のための抑制手段」であり、「核開発に対する国際社会の制裁は朝鮮人民の不満を高めようとするもの」に過ぎず、よって「核は人民の運命であり自衛権を放棄することはない」(韓国KBSニュース 9月9日)という理屈だ。

以前から核保有の権利について強硬に主張してきた北朝鮮だが、今回は非核化だけではなく「そのためのいかなる交渉もあり得ない」と断じた点が目新しいと指摘される。先に引用したKBSの番組に登場する専門家は、「(韓国内には)北朝鮮の政策が変わったら交渉の余地が生まれる、との認識があったが、そのようなことはないと断言したに等しい」と解説していた。

今回の「法令」は、核兵器に関するすべての決定権が金総書記にあると定め明記した。同時に、もし金総書記を中心とした指揮統制システムが敵の攻撃により危機に瀕すれば、自動的かつ即時に敵への核攻撃が断行されることも盛り込まれた。さらに核兵器や大量殺りく兵器による攻撃や危機が差し迫ったと判断された場合。作戦上の必要性が高まったと金正恩総書記が判断した場合には、核兵器の先制攻撃もできると明記したのだ。

前出・CNAは「金正恩総書記が殺害された場合、別の高官が核攻撃を命じられることを示唆している」と報じた。いずれにせよ北朝鮮が核の報復に向けた態勢を整えてきたことは間違いないようだ。韓国政府は「引き続き北朝鮮の完全非核化を推進する立場」とKBSは報じたが、一方で「北朝鮮の7回目の核実験が迫っている」との見立ても伝えている。

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なぜ山形の観光農園のコロナ禍対応は一時凌ぎでは終わらなかったのか

驚異的なスピードで全世界に拡がり、あらゆる業界に大打撃を与えた新型コロナ。そんな中にあって、コロナ禍対策を自社の成長につなげた観光農園が山形県にありました。なぜ彼らの対策は、よくありがちな「一時しのぎ」で終わることがなかったのでしょうか。そのカギを、神戸大学大学院教授で日本マーケティング学会理事の栗木契さんが探ります。

プロフィール栗木契くりきけい
神戸大学大学院経営学研究科教授。1966年、米・フィラデルフィア生まれ。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(商学)。2012年より神戸大学大学院経営学研究科教授。専門はマーケティング戦略。著書に『明日は、ビジョンで拓かれる』『マーケティング・リフレーミング』(ともに共編著)、『マーケティング・コンセプトを問い直す』などがある。

山形の観光農園は、どのようにしてコロナ禍から新たな事業機会をつかんだか

はじめに

マーケティングにとって合理的なのは、どのような行動だろうか。戦略計画の発想にもとづく行動は、広くマーケティングに採用されている。戦略計画とは、企業などの組織の経営において、事前の調査や分析を徹底することで予測や見通しの正確さを高め、そのもとで検討を重ねて計画を練り上げ、統合された活動を整然と展開するというアプローチである。マーケティングにおいても、戦略計画が活躍する局面は少なくないが、これを万能視してしまってよいか。コロナ禍のなかで山形の観光農園がどのようして新たな事業の可能性をつかんだかを振り返ることで、この問題を考えて行く。

想定外の事態への対処が、新しい展開をもたらす

コロナ禍は2020年にはじまり、多くの産業や企業の事業環境は一変した。このような状況のもとでは、どのように行動をとることが、マーケティングにとって合理的か。

この2020年からの大きな変化を事前に予測し、マーケティングの計画に織り込むことができていたという企業を、寡聞にして私は知らない。あるいは、コロナ禍に直面しても、それ以前に立案したマーケティングの計画を変えることがなかったという話も聞かない。

企業のマーケティングでは、予測や計画は万能ではない。コロナ禍にかぎらない。マーケティングの各種の活動を進めるなかでは、次々と思わぬ事態に直面することが避けがたい。そうなれば、頭を切り替えて、その場そのときに利用可能なリソースを活用して、予定外の新しい行動をはじめるしかない。

そこではじまる新しい行動にいかに取り組むかは、マーケティングにとっての重要問題である。なぜなら、この想定外の事態への対処が、事業に新しい展開や成長の機会をもたらすことがあるからである。

しかし、新しい行動に取り組むだけでは、一時しのぎのパッチワークに終わってしまうこともある。市場の変化のなかで新たな機会をとらえるためは、行動を絶やさないことに加えて、何が必要か。

6つの職を兼業する男が断言。マルチタスクは「効率が悪い」理由

現在は6足のわらじを履いて活躍中のメルマガ『石川和男の『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになるためのメルマガ』』の著者、石川和男さん。多くの職業を一人で担うためマルチタスクが上手だとよく言われるそうですが、実は自身では全くそう思っていないのだとか。石川さんはその理由とマルチタスクの効率について語っています。 

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マルチタスクの効率が悪い本当の理由

私は現在、建設会社、税理士、セミナー講師、大学講師、時間管理コンサルタント、著者という6つの仕事を行っています。

そのせいか、よく人から「マルチ人間ですよね」とか、「マルチタスクが上手い人ですよね」と言われますが、自分自身では、全くそうは思っていません。

なぜなら、決して2つ以上の仕事を同時に行うことはないからです。

大学講師の仕事は、19時からです。

大学がある日は、建設会社の仕事を17時までに終わらせて、電車に乗り込み大学に向かいます。

そのため、大学で講義がある日は、どんなに重要な仕事も緊急な仕事も全力で17時までに終わらせます。

他の仕事は一切考えず、建設会社の業務だけに集中し、もっと言えば選択した重要な仕事だけに集中して、シングルタスクとして取り組むのです。

・午前中の集中できる時間帯に企画書の仕事を30分でやり切る
・資金繰りのチェックを45分でやり切る
・集中力の切れてきた13時、15時にはメールの返信を15分でまとめて行う

決して、部下の話を聞きながら企画書を書いたり、電話をしながら資料を読んだりマルチタスクで仕事を行うことはありません。

そんなことをしても、ミスしてやり直しが増え、聞き間違いがあったりして、結局は仕事を遅らせてしまうからです。

他の仕事のことは考えずに、その仕事のみに集中して片づける。

そのときに役に立つのがノートです。

私は、タスク(やること)を全て1冊のノートに書いています。

浮かんだアイディアや会議の予定、帰りに牛乳を買って帰るなど、全てのタスクをノートに書き出すことで、頭の中はクリアになり、気にすることもなくなって目の前の仕事に集中できます。

頭の片隅に、会議のことを覚えておきながらだと、目の前の仕事に集中できません。完全に目の前の仕事にシングルタスクとして集中して取り込めるように、メモをしておくのです。

ちなみに、午前中、仕事に集中するときは、メールやSNSの着信音もオフにします。

6つの仕事をきっちりとこなすために、ひとつひとつの仕事や作業をシングルタスクとして集中して終わらせているのです。

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