菅首相に任せるな。コロナ対策は自治体が“迷惑防止条例”で規制せよ

3回目の緊急事態宣言が発出された4都府県では、休業や時短要請などで人流の抑制を図っていますが、思うようにはできていないようです。前回記事で、菅首相にロックダウンを強く求めた軍事アナリストで危機管理の専門家でもある小川和久さん。今回のメルマガ『NEWSを疑え!』では、政府が動かないなら迷惑防止条例を活用して対策をと、地方自治体に対し提言します。小川さんは新型コロナ防疫に成功した台湾を例に、条例でも可能な懲役刑や100万円以下の罰金を課してでも感染拡大につながる行動を制限すべきと訴えています。

コロナ対策に迷惑防止条例を使う

25日から5月11日まで、東京、大阪、京都、兵庫に緊急事態宣言が出されましたが、対象業種が休業要請に悲鳴を上げる一方、巷には「またか」という投げやりかつ事態を甘く見た声も多く、国民が一丸となってコロナを克服していこうという雰囲気は生まれていません。これはいっこうに戦略的な取り組みを打ち出すことができず、ワクチン接種率でも先進国中最低といった政権のリーダーシップの欠如に対する国民の失望感の表れでもあります。

本当に残念なことですが、エッセンシャルワーカー以外の人の流れを遮断し、感染拡大の根を断つような措置を断行する気概は、現在の政権には存在しないようです。しかし、そうも言っていられません。問題は国民の生命の問題であり、経済国家の存立の問題でもあるからです。ここはひとつ、政府が重い腰を上げるまでの間でもよいから、地方自治体の側でも対策を講じてはどうかと思います。

例えばマスク着用や許可証なしの外出、屋外での飲食などは、地方自治体の迷惑防止条例で規制できるのではないでしょうか。東京都の迷惑防止条例(公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等を防止し、もつて都民生活の平穏を保持することを目的とする」と謳っています。そして、世の中の変化に対応して盗撮やストーカー行為などの規制について条例を改正しています。

危険行為についても、神奈川県、佐賀県などは海水浴場に関して「人の身体に危険を及ぼすおそれがある遊具を使用すること」を禁止しています。こうした考え方をもとにすると、マスクの不着用や許可証なしの外出、屋外での飲食などは、感染拡大につながる点で、公衆に生命の危険を及ぼす行為とみなすことができます。

感染拡大の抑止に成功している台湾を例に挙げておきましょう。意外なことに、台湾ではワクチン接種が3月下旬に始まったばかりです。そんなにワクチン接種が遅くても、感染拡大抑止がうまく行っているのは、感染防止対策への違反に対する罰則(罰金)が厳しいからでもあります。台湾の罰金については360万円、110万円のケースが報道されています。

都道府県の迷惑防止条例でも1年以下の懲役(常習者)や100万円以下の罰金が定められています。この角度から感染拡大抑止を図ることは、ワクチン接種が遅れている日本としては、是非とも取り組むべきではないかと思います。申し上げるまでもなく、感染拡大につながることがわかっていながら行われる行為は、故意犯でもあるのです。その点を見過ごしてはなりません。

楽天モバイルはiPhone取り扱い開始で他社ユーザーを奪い取れるか?

楽天モバイルが4月30日からアップル製品を取り扱うと発表。これまでもSIMフリーでiPhoneは使えましたが、正式に取り扱うことで、乗り換えを加速させることができるのでしょうか?メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、ようやく競合3社と戦う舞台に立てると評価。ユーザーはどう立ち回ればメリットがあるかを伝えるとともに、楽天の「最後の難関」として残る課題を指摘しています。

楽天モバイル、iPhone取り扱いで他社ユーザーを奪えるか

楽天モバイルは、4月30日よりiPhone 12シリーズ、iPhone SE、Airtagなどアップル製品を取り扱うことを発表した。国内キャリアによるiPhone取り扱いは2008年・ソフトバンク、2011年・KDDI、2013年・NTTドコモに続く4社目となる。

楽天モバイルは2020年4月に本格的な商用サービスを開始。当時、2980円で使い放題のプランを提供。さらに1年間、無料のキャンペーンを仕掛けるなど料金の安さで勝負してきた。しかし、一般的なユーザーからすると「Androidスマホしか選べない」という点が、乗り換えの障壁となっていた。

楽天モバイルとしては、Rakuten miniやRakuten BIGなどオリジナルのAndroidスマホを手がけていたが、iPhoneユーザーからすれば、どんなに料金プランが安くても、iPhoneが選べないとなると二の足を踏む。これまでの楽天モバイルもSIMフリーのiPhoneであれば、SIMカードだけを契約して使うことはできた。しかし、APNを自分で設定し、さらに一部に制約があるなど、使い勝手は必ずしも完璧では無かった。

今回、iPhoneを正式に取り扱うことができるようになり、顧客獲得に拍車がかかることだろう。楽天モバイルはiPhoneを手にしたことで、ようやく3キャリアと戦う舞台に立てたのではないか。

とりあえず「iPhone 12に買い換えよう」という人であれば、楽天モバイルを新規にeSIMで契約しつつ、3キャリアの契約を従量制プランで維持しておけば、データ通信料金は3ヶ月無料で、既存の契約も安価に維持しておくことが可能だ。一般のユーザーには敷居が高いが、とりあえずはiPhoneのeSIMを活用した2回線持ちというのがオススメと言えそうだ。

楽天モバイルとしては、あとはネットワーク品質をいかに高めるかが課題だろう。都内ではauローミングが終わりつつあり、多摩地域では「圏外になった」という悲痛な声がSNSであふれている。まさに阿鼻叫喚といったところだ。

さらにユーザーの声を注視してみると「レジで楽天Payを使おうと思ったら圏外で使えなかった」というクレームが結構多い。昔に比べて「音声通話が使えない」というよりも、決済の場面で使えずに困ることがあるようだ。となってくると、やはり屋内に浸透しやすいプラチナバンドの確保が急務と言えそうだ。

楽天モバイルは4キャリアでiPhoneの本体価格が最安値だとアピールする。最安値に飛びついて楽天モバイルを契約し購入。しかし、ネットワーク品質に嫌気がさして、ahamoなどに移行するユーザーが増えてしまっては意味が無い。楽天モバイルとしてはiPhoneを獲得し、勢いづけるチャンスが到来しているだけに、最後の難関である「ネットワーク品質の向上」をいかに急ピッチでやり遂げるかが、勝負と言えそうだ。

image by:Karolis Kavolelis / Shutterstock.com

「媚中」なら再び敗戦国に。何があっても菅総理が米に付くべき理由

先日掲載の「『尖閣侵略』を堂々と狙う中国。その本気度を決定づけた4つの事実」でもお伝えしたとおり、もはや我が国固有の領土の侵略意図を隠そうともしない習近平政権ですが、未だ菅首相は中国に忖度するかのような対応を取り続けています。そんな政権に対して厳しい意見を述べているのは、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。北野さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で今回、菅首相は今すぐ親米反中の立場を鮮明にするべきと強く提言。もしも中国を選んだ場合には、第二次世界大戦後同様、再び敗戦国として辛酸を嘗めることになると警告しています。

【関連】「尖閣侵略」を堂々と狙う中国。その本気度を決定づけた4つの事実

菅総理に教えてあげたい【世界の大局】

2015年、世界の首脳たちに、「あなたの国は、アメリカと中国、どちらにつきますか?」と質問したら、どう答えたでしょうか?実際に聞いたわけではないので、正確にはわかりません。ですが、当時の首脳たちの態度で想像することはできます。

2015年3月、いわゆる「AIIB事件」が起こりました。アメリカは、中国主導の国際金融機関「AIIB」に「入るなよ!」と要求していました。ところが、アメリカと「特別な関係」にあるはずのイギリスがまず裏切った。その後、ドイツ、フランス、イタリア、スイス、イスラエル、オーストラリア、韓国などなど、いわゆる「親米諸国群」が、ほとんど全部「AIIB」に入ってしまった。

2015年3月、世界のリーダーたちは、アメリカから、「AIIBに入るなよ!」といわれた。中国から、「AIIBに入れ!」といわれた。両国を天秤にかけて、中国のいうことを聞いたのです。

しかし、「親米諸国群」で一国だけ、アメリカのいうことを聞いた国があります。そう、我が国日本です。この決定については、賛否両論ありますが。私は、「大成功だった」と思っています。

翌2015年4月、安倍総理(当時)は訪米し、いわゆる「希望の同盟演説」を行いました。これで日米関係は劇的に改善された。オバマさんは、「歴史的な訪問に感謝している。アメリカと日本の関係がこれほど強固だったことはない」とツイートしました。

日本でオバマさんというと、「親中反日大統領」と思われがち。確かに2015年3月までは、そうだったでしょう。しかし、2015年4月以降は、「反中親日大統領」になった。実際、2015~2016年、安倍総理とオバマさんは、まさに親友だったのです。

このことが、なぜ重要なのか?中国は、2012年11月から、強力な「日米分断工作」をしていた。具体的には「アメリカを反日統一共同戦線に引き入れる」工作をしていた。全国民必読証拠はこちら。

反日統一共同戦線を呼びかける中国

安倍総理は、世界が中国に走っている中、一国だけアメリカに走った。つまり、「逆張り」したわけです。結果は、大成功でした。アメリカにとって日本は、「裏切らなかった唯一の国」となり、中国の「反日統一共同戦線戦略」を「無力化」することに成功したからです。まさに、「逆張りで大きな利益をえた」です。

マンション購入で大損も。管理問題でトラブル続出、プロが教える回避術とは

初めてマンションを購入するとなった時、立地や住環境、災害リスクや資産価値などを気にかけるのは当然ですが、「マンション管理」についての情報を事細かに調べる方はあまり多くないようです。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』でマンション管理士の廣田信子さんが取り上げているのは、公益財団法人 マンション管理センターが作成した「買う前に知っておくマンション管理の基礎知識」というパンフレット。廣田さんは記事中、区分所有者になるなら必読のパンフレットの内容を紹介しています。

「買う前に知っておくマンション管理の基礎知識」ができました

こんにちは!廣田信子です。

(公財)マンション管理センターが、新たにマンション購入を予定している方向けのパンフレットを作成しました。

マンションを購入する前に、マンション管理について基礎的な知識を持っていただこうという趣旨です。

「買う前に知っておくマンション管理の基礎知識」は、下記にあります。

mo20210427

パンフレット「買う前に知っておくマンション管理の基礎知識」(PDFファイル)

せっかくいいものができましたが、果たして、新築、既存に関わらず、マンション購入を検討中の方が、マンション管理センターのHPを見て、このパンフレットにたどり着いてくれるかな…というのが悩みです。

下記のような区分所有者になる方には知っておいてもらいたいことが分かりやすく書かれています(以下項目は、廣田セレクトです)。

  • 専有部分と共用部分の区分
  • 総会に出席できるのは区分所有者の権利であること
  • 総会の多数決で決まったことは納得いかなくても従わなければならないこと
  • 規約や細則で決められていることと遵守義務
  • 理事、監事、組合員、それぞれの役割
  • 管理会社との好ましい関係
  • 近隣トラブル対応は基本管理委託契約外であること
  • 購入時に修繕積立金が安ければいいというものではないこと
  • 専用使用権がある部分とその管理方法
  • マンションのライフサイクル
  • 適切に管理することは所有者の責任であること
  • 高経年マンションでは、建替えや敷地売却も選択肢となること
  • 新築マンション購入時の注意事項
  • 既存マンション購入時の注意事項
  • マンション管理に関して知っておきたいことのチェックリスト

私としては、購入予定者だけでなく、

  • 購入して入居してきた新区分所有者
  • 一般の組合員

にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。無料でダウンロードできるようになっていますので、ぜひ、いろいろなシーンで活用してください。郵送料自己負担のみで、原則4部までなら郵送も可能です。

私としては、管理組合としての活用方法もあると思います。

  • 高経年マンションが将来の方向性を検討し始める時、ベースを共有するために組合員全員に配る
  • マンション売却予定者又はその不動産仲介会社に、新購入予定者に事前に渡してもらうようにする
  • 新入居の挨拶にこられた新組合員に手渡す

役員等一部の人だけでなく、すべての組合員の意識が少し上がることは、とても重要なことなので、いろいろな活用方法を工夫していただければと思います。

もちろん、本来の目的のため…も重要なので、知り合いにマンション購入予定者の方がいたら、読むことを勧めてくださいね。

image by: Shutterstock.com

【書評】日本人は変人だらけ。「イグノーベル賞」14年連続受賞中で世界も嘲笑

ノーベル賞のパロディとして、今やすっかり定着した感のあるイグノーベル賞。1991年に創設されて以来、「人を笑わせ、考えさせた業績」を讃え、毎年授賞式が行われています。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが紹介しているのは、そのイグノーベル賞を送られた研究の中でも最近のものに焦点をあてて40講をまとめた一冊です。

偏屈BOOK案内:五十嵐杏南『ヘンな科学“イグノーベル賞”研究40講』

8160aeytkHL

ヘンな科学“イグノーベル賞”研究40講

五十嵐杏南 著/総合法令出版

イグノーベル賞は「まずは人を笑わせ、その後考えさせる」をモットーに、1991年に創設され、以来30年にわたって世界に笑いを提供してきた。

毎年1万点近くの候補の中から10点が選ばれる。なぜか、日本人は毎年受賞の常連だ。犬とのコミュニケーションツール「バウリンガル」も「カラオケ」も、発明者は日本人だ。

「イグノーベル」という言葉は造語で、ノーベル賞のパロディである。「崇高さに欠ける」という意味の「ignoble」に由来する。受賞者は、イグノーベル賞を創設したマーク・エイブラハムズ氏が率いる、イグノーベル賞委員会が選定する。

世界中の誰でも推薦することができ、自己推薦も可(ほぼ選ばれない)。2020年には、トランプを始めとする世界の首脳の一部に医学教育賞が贈られた。授賞理由は「新型コロナウイルスの大流行を使って、医師や科学者よりも政治家のほうが、人々の生死に影響を与えることを世界に知らしめたため」キツイな~。

授賞式はハーバード大学サンダーズシアターで行われ、受賞者が式に参加したい場合は、自分で旅費を調達しなければならない。授賞者は本家ノーベル賞受賞者。賞品は謎のオブジェひとつと、10兆ジンバブエドル(日本円換算で1円未満)。

受賞者にはスピーチの時間を与えられるが、制限時間の60秒を過ぎると、8歳の女の子がやってきて「もうやめて、飽きた!」と叫び、スピーチを遮る。名物少女の「ミス・スウィー・プー」である(毎年更新、必ず8歳)。

いじめ探偵が「こども庁」で懸念する、旭川中2凍死事件と同様の地方格差

菅首相が意欲を示し、突然その名が報道されるようになった「こども庁」の創設ですが、その理念や志とは別に、具体的なイメージが見えず、国民はピンときていないのが現状です。今回のメルマガ『伝説の探偵』では著者で現役探偵の阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、「こども庁」の創設がいじめ問題の解決につながることを期待しつつも、文科省や国と、地方自治体の教育委員会や学校との間に意識や予算の「格差」があると指摘。文春で報じられた「旭川市中2凍死事件」などのいじめ問題を例にあげながら、「理想」としてのこども庁創設と、現場の「現実」とが乖離している現状を告発しています。

【緊急告知・LIVE配信のお知らせ】
テレビや雑誌でも活躍する、いじめ探偵・阿部泰尚さんが、いじめ問題をテーマにライブ配信を行います。メルマガでは、いじめなどの社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータの公開、実際に行った解決法などを配信中。いじめ問題についてより深く一緒に考えていきましょう。

テーマ:いじめ問題の現状と記事では書けないより深い内情、Q&A
日時:2021/4/28(水)19:00~

この配信はメルマガ読者限定配信です。事前にメルマガの読者登録をお済ませください(初月無料のお試し購読期間でも視聴できます)。
視聴忘れのないように、まぐまぐ!Liveアプリでフォローをお願いします。配信開始時に通知が届きます。
視聴方法はこちらから。
※配信内容・時間は変更になる場合があります

 

突然浮上の「こども庁」創設話。出来てみないと分からぬビックリ箱

3月の中旬、降ってわいたのかように「こども庁」創設案が飛び出してきた。

実は、いじめ問題の専門家の間ではそれ以前から、こうした動きがあることは話が出ていたが「わいせつ教師排除の流れ」もまだできていないのに、より複雑な権利関係や法律、省庁間の駆け引きがあろう「こども庁」については、 多くの専門家が懐疑的に見ていた ところがあった。

こども庁とは何か

Children Firstの子ども行政のあり方勉強会事務局」が作成した資料によれば、5つの柱があるという。

こども庁の5つの柱

・子どもの命を守る体制強化
・妊娠前・妊娠期からの継続支援の充実
・教育と保育に関わる子どもを安心して育てられる社会環境の整備
・妊娠期から成人まで、子ども目線での切れ目のない教育と健康の実現
・子どもの成長を社会で守る一貫した環境整備

多分、できたら素晴らしいと思うが、 正直なところ、これだけではフワッとしていて、具体的に何をするのかよくわからない。簡単にわかる具体策といえば、縦割り行政の改善だろう。

例えば、 幼稚園は文科省、保育園は厚労省、認定こども園は内閣府というように子どもに関係する行政はバラバラになっている。こうしたところを一か所にまとめるというメリットはあるだろう。

また、予算規模を欧州並みのGDPの3%にするという。 金額でみれば8兆円規模になり、予算を大きく増やすことになる。

さらに児童虐待、いじめや自殺、不登校の問題にも切り込み、「子どもの権利条約」に規定される子どもの権利を守るために行政機構自体の見直しも図るというのだ。

もちろん、具体的な他の策もあるし、勉強会やアンケートなどから受け取った意見から考えた策もある。

つまり、「こども庁」についての緊急提言や立法をしようとしている議員のインタビューから出る施策は、どれも今起きている問題にメスを入れようとしていると言える。

もしも、これが実現するのであれば、その意義は大いにあると言えるだろう。

「子ども庁」創設に浮上した、いくつもの懸念材料

現状、新聞報道をみれば、文科省案と内閣府案などがあり、子ども庁をどのように作るかの議論が進んでいるという。

ただ、ハッキリ言えるのは、日本の行政は「スクラップアンドビルド」を取っているということだ。

スクラップアンドビルドとは、何かの課が新たにできれば、その分どこかの課がなくなったり、人員が整理されるということであり、これは新設される部署や予算が肥大化しないために行われていた。しかし、この考え方が採用されてから特に業務が多くなった厚生労働省などは、ブラック企業よりもブラックな労働環境にさらされている状態になっているという。つまり、よくある無謬性として、一度決まってしまえば、それが社会情勢や環境と合わない状態に陥っても見直されることはないという問題がある。

私が省庁関係者から聞いた話では、各省庁の職員を中心に子ども庁ができた場合は子ども庁へ移動が始まる。当たり前の話でもあるのだが、人員としての強化策はあっても限定的であり、ほとんどないとみてよいところがある。

結局、「子ども庁」もスクラップアンドビルドという概念の中にあると言えるだろう。

もちろん、もともと各省庁で対応していた職員が移動となり、専門職さながらに対策対応を行うという意味もあるから、これは心強いところであろうが、結局は文科省案も内閣府案も一部移管ということに留まることから、単に分散されることが懸念され、余計に事務管理が複雑になるのではなかろうかという心配が生じるのだ。

とにかくできてみないとわからないという「びっくり箱」では、コロナ禍で不安定になっている教育行政に、より不安を与える結果になりはしないだろうか。

これは私見だが、もっと実現可能で具体的な施策をしてから「子ども庁」創設を発表した方がよかったのではないかと思うのだ。

 

韓国「慰安婦が敗訴」の歴史的判決。日韓は時計の針を2015年にまで戻せ

先日掲載の「韓国が混乱。日本政府に損害賠償請求した慰安婦の訴え却下の衝撃」でもお伝えしたとおり、ソウル中央地裁が下した歴史的とも言える判断が話題となっています。「この判決を両国が関係修復のきっかけとして活かせるか否かが注目される」とするのは、ジャーナリストの高野孟さん。高野さんはメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で今回、日韓それぞれで慰安婦問題解決に向け努力を続ける個人や団体の取り組みを紹介しつつ、日本政府に対して具体行動に出ることを提言。さらに当問題解決や理解に有用な、和田春樹東大名誉教授らの共同論文を全文掲載しています。

【関連】韓国が混乱。日本政府に損害賠償請求した慰安婦の訴え却下の衝撃

 

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2021年4月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

日韓関係修復のきっかけとなるかソウル地裁の新判決――2015年合意まで立ち戻らないと

ソウル中央地裁は4月21日、韓国の元慰安婦らが日本政府に賠償を求めていた裁判で、原告側の主張を退ける判決を下した。同地裁での別の裁判では今年1月8日に元慰安婦への賠償を日本政府が支払うよう命じる判決が出て、日本外務省が強く反発する見解を発表するなど両国関係が一層険悪化していたが、今回は正反対の結論。両国がこれを関係修復のきっかけとして活かせるかどうかが注目される。

2015年合意は有効

慰安婦問題は、2015年末に当時の安倍晋三首相と朴槿恵大統領との間で「最終的かつ不可逆的に解決」することで合意、それに基づいて韓国側が「和解・癒やし財団」を設立し、そこへ日本政府が送付した10億円を元に元慰安婦とその遺族に賠償を支払う事業を開始した。しかし17年に大統領になった文在寅は、選挙中から「合意は誤りだった」と主張し、18年9月にはその事業を停止、財団を解散してしまった。

そのため日本政府が態度を硬化させ、両国の首脳が言葉を交わすこともないような関係に陥った。それをますます悪化させるような1月の地裁判決には文大統領もさすがに危機感を抱いたようで、10日後の1月18日の新年会見で、「判決に正直、困惑している」「15年合意は両国間の公式合意だ」と述べ、関係改善策を探る姿勢を見せた。

新判決は、そのような文の意を汲んだような内容で、

  1. 日韓合意は日本の謝罪と反省を含む内容のものであること
  2. 日本政府が拠出した10億円に基づいて、韓国政府認定の元慰安婦240人のち41.3%にあたる99人に支援金が届けられ、救済されたこと
  3. 合意は今も有効であり、残された問題の解決は〔裁判ではなく〕日本との外交交渉を含め韓国の対内対外努力により達成されなければならないこと

――などを指摘した。

文在寅は、この判決に助けられつつ関係改善に取り組みたいのだろうが、具体的にどこから手を着けるかとなるとなかなか難しく、また何をやっても過激な支援運動団体からはボロクソに言われるに決まっている。

五輪どころか国家の危機。変異種に打つ手ない菅政権で沈没の日本

4都府県に発出された緊急事態宣言ですが、感染拡大を止めることは不可能なようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、コロナ禍という戦時対応が必要な状況にあって、何のリーダーシップも発揮することができずにいる菅首相を痛烈に批判。今のままでは国民の外出自粛の徹底など期待できるはずもなく感染は広がるばかりで、結果日本は衰退の道を歩むことになるとしています。

コロナ第4波で、日本衰退か?

大阪、兵庫、宮城で、4月5日に「まん延防止等重点措置」が発令され、4月12日から東京、沖縄、京都にも発令され、そして4月20日からは神奈川、千葉、埼玉と愛知にも発令された。

その上に4月25日から5月11日まで東京、大阪、兵庫、京都には緊急事態宣言が発令された。尾身会長はステージ3になるまで、緊急事態宣言は延長される可能性があるとしたが、菅首相は延長を考えないとした。

5月17日に、IOCバッハ会長が東京に来るので、それまでには、緊急事態宣言を解除したいようである。五輪ありきの見栄を気にするが、当初から五輪開催という目標に向けて、積極的なコロナ防御をしなかった政策には失望感しかない。

その上、今回のコロナ変異種は、今までのコロナとは大きく違い、軽い接触でも感染し、10歳未満の子供も掛かり、40歳代で重症化する。このため、今までより強い感染防止策が必要になっている。

このため、大阪府の吉村知事は、個人行動を抑止する法令が必要だと述べている。欧州などの都市封鎖に近い事が必要になっている。

このように、感染力が強いコロナ変異種に対抗するには、早く、モデルナとアストラゼネカ、J&Jのワクチンを特例承認して、国民のワクチン接種率を上げて、この危機に対応するべきであるし、数か月前から忠告しているが、それをしなかった報いが来ている。

感染者が、1日1万人以上になるのは時間の問題で、五輪に合わせて、感染者はうなぎ上りに上昇していく。東京でも1ヶ月もしない内に、1日感染者が2,000人になるので、第4波が一番大きいことになる。死者数もそれに合わせて、上昇してくる。これからがコロナ禍の本番を迎えるということだ。

よって、日本は、感染者が少なく世界とは違うとも言えなくなる。日本も世界並みに感染者が急増する。本当の都市封鎖も必要になる。コロナ感染が軽いうちに、本格的な防御対応しなかったことによる。

本当に五輪やる気か?世界が疑い始めた菅首相のリーダシップ欠如」で述べたように、英ジョンソン首相が五輪開催を強力に支援するとして、優先的にアストラゼネカのワクチンを日本に供給するとしたが、それを断った。

五輪開始にはワクチン接種が必要であるから、戦時対応するべきだが、今だに戦時対応をしない。看護師にも注射を認めて、英国のようにボランティアを募り、研修後注射を行う体制も考える必要になっている。注射をする人を多くしないと短期に接種が終わらない。英国の接種状態から判断できる。

下村自民党政務調査会長は、このままであると、65歳以上の高齢者への接種が終わるのは、2022年春になるという。菅首相は7月末には高齢者の接種が終わるとしたが、そのための有効な対応策を打たない。

自衛隊の医師・看護師を動員するというが、高々全国で1万人程度である。その程度では7月終了は無理だ。言葉とその政策が一致していない。すべて、その場限りの言葉だけだ。

池田教授が憂う、大川小学校の惨事と重なるワクチンなき五輪強行の今

東日本大震災から10年となった今年3月、『クライシスマネジメントの本質 本質行動学による3・11大川小学校事故の研究』(西條剛央著、山川出版社)が刊行されました。全校児童108名のうち74名が犠牲となった惨事が起きた理由に迫ったこの著作を、CX系「ホンマでっか!?TV」でおなじみ、メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』著者の池田教授が読み解きます。池田教授は西條氏の分析の中でも「埋没コスト」の影響に注目。コロナ禍においても五輪を強行しようとしている状況に通じるものがあると教訓を感じ取っています。

西條剛央著『クライシスマネジメントの本質』を読む

西條剛央『クライシスマネジメントの本質 本質行動学による3・11大川小学校事故の研究』を読んだ。東日本大震災の津波に飲み込まれ、多数の死者を出した石巻市立大川小学校の惨事はなぜ起きたか、という謎に迫った渾身のレポートである。津波来襲時に、学校の管理下にあったのは90名。学校にいた児童78名(全校生徒108名のうち残りは欠席、早退、保護者が引き取りに来た等の理由により学校を離れていた)、教職員11名、スクールバスの運転手1名であった。

その中で生き延びたのは児童4名と教員1名の5名だけ。生存率僅かに5.6%という未曽有の惨事となった。地震が起きてから津波到来まで50分の時間があり、学校のすぐ傍には校庭から走って1分で登れる裏山があったにもかかわらず、なぜここに避難しないで、50分もの間、校庭に待機していたのか。いざ津波が来た時も標高がある裏山に避難しないで、北上川からほんのわずかに高いだけの三角地帯と呼ばれる場所を目指したのか。

西條は何度も事故現場に足を運び、関係者の聞き取りから、事故当時大川小の校庭で、児童や教員がどんな会話をしていたかを、できる限り忠実に再現して、事故は、多かれ少なかれ組織が陥りやすい、事なかれ主義、責任回避志向、前例主義、危機管理システムのずさんさ等の多くの原因が積み重なって起こったことを明らかにしている。分析は緻密で、断片的なエビデンスを有機的につなげた力業で、並の努力でなし得るところではなく、大川小の事故のレポートとして、これ以上のものは望めないだろう。

このレポートに比べると、事故後の石巻市教育委員会の対応や、さらにその後、文部科学省主導のもと5700万円の費用をかけて行った「大川小学校事故検証委員会」の報告書は、事故原因を明らかにするというよりも、石巻市教育委員会の希望に忖度したもののようで、大金をかけて、単なるアリバイつくりのために行ったとしか思われない。その辺りの事情は本書に詳しく述べられているので、是非紐解いてほしい。ここではさわりだけを紹介したい。

トヨタが開発中の「水素エンジン」車、新聞が報じた製品化への懸念点

トヨタ自動車は、5月21日から23日にかけて富士スピードウェイで行われる「24時間耐久レース」に、「水素エンジン」を搭載した車両で参戦すると発表。電気自動車や燃料電池車同様、走行時に二酸化炭素を排出しない「水素エンジン」自動車について、メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんが過去の新聞記事をチェック。以前マツダが実用化し、自治体などにリース販売をするも、現在は研究も中止していることから、明らかになっていない課題を探っています。

「水素エンジン」について新聞はどう報じてきたか?

きょうは《朝日》から。水素エンジン搭載の車をトヨタがレースに出して、長期的に開発していくといいます。菅首相の「46%発言」とリンクしていそうで、随分手回しの良いことだなあという感じもしますが、ちょっと唐突感のある「水素エンジン」について、検索を掛けてみましょう。

《朝日》のデータベース上、サイト内には10件の記事がありました。1年間の紙面掲載記事の中には、きょうのものしかありませんでした。よって、サイト内10件を見てみましょう。その前に、まずは今日の記事から。《朝日》7面の記事、まずは見出しから。

水素エンジン レース参戦
トヨタ、既存技術生かし「CO2ゼロ」

トヨタは、水素が燃料で二酸化炭素を出さない「水素エンジン車」で24時間耐久レースに参戦すると発表。水素エンジンは、「既存技術が活用でき、低コストで「CO2ゼロ」が期待される」として、レース参戦によって長期的な開発に取り組むという。

●uttiiの眼

要はガソリンの代わりに水素を燃やしてエネルギーを得て走るクルマということ。内燃機関としての仕組みは基本的に同じで、燃料がガソリンから水素に変わるだけ。ところが、記事も指摘しているように、排ガス中に窒素酸化物を含むという大問題がある。さらに、記事は指摘していないが、CO2を出さないのは「走行時」の話であって、製造時、廃車時はもちろん、新たに用意しなければならない「水素供給インフラ」の建設や稼働に伴うCO2排出はどのくらいになるか分からない。

記事からは全く分からないが、水素を充填するタンクの製造あるいは水素エンジンにしか必要でない特殊な部品などの製造に、CO2排出はもちろん、特別な金属などが必要だったりしないのかどうかなど、疑問も多い。

正直、「水素エンジン」はノーマークだったので、やけにシンプルな「正解」があったのだなあという不思議な気分だ。技術的なハードルは一つ一つ乗り越えていくのだろうが、その際に、その問題がどのような類いの問題なのかについては、是非知っておきたいと思った。

【サーチ&リサーチ】

2016年11月5日付
朝日小学生新聞の予告記事の中で、「水素は最近、「水素エンジン自動車」や「水素社会」といった言葉が話題になるなど、改めて注目されています。水素をエネルギーとして使うだけでなく、作ったりためたりする技術向上の必要性も指摘されています」と。この年は水素発見から250年という。

*この「水素エンジン自動車」は、今日のニュースに出ているのと同じものなのか疑問。燃料電池車のことではないかと思うが、それ以上の説明がないので分からない。