日本に遅れをとれば未来は暗鬱。韓国で進まない「外国人労働者」の確保

日本以上のスピードで少子化が進み、労働者不足に頭を痛める韓国。そんな隣国から見て、我が国の人材確保政策はどのように映っているのでしょうか。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、日本の海外人材への門戸拡大政策を好意的に伝える現地メディア掲載記事を紹介。その上で、自身の母国に対する偽らざる心情を吐露しています。

「選ばれる国」を目指す日本

東京で外国人労働者に最も簡単に出会うことができるところはコンビニだ。外国人らしさが感じられる東南アジア人が最も多い。中国人や韓国人の場合は、名札を見るまでわからないことが多いけれど。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の大流行前には、24時間3交代勤務するすべての店員が外国人であるコンビニもあった。

大都市のコンビニで毎日外国人に接する日本に比べ、主に工業団地や農村に多く(外国人労働者が)分布する韓国は、外国人労働者の体感水準が違う。総人口対比外国人労働者の割合は韓国1.6%(84万人)、日本1.4%(182万人)と似ているが、現実の世界で肌で感じる体感には差がある。

外国人労働者が身近だからだろうか。日本の海外人材の門戸拡大政策の足取りは日増しに速くなっている。日本最大の経済団体である経団連は、日本が「外国人に選ばれる国」にならなければならないとし、政府に制度改善を求めている。経団連は「5年以上働けるようにしてこそ企業が役員登用まで考え中長期人材育成ができる」と主張する。雑用ばかり任せないということだ。

小さな制度一つを改善することにも慎重な日本だが、外国人人材の拡大においてだけは「日本らしくない」ほど早い。この30年間、外国人人材確保政策の中心だった「技能実習制度」は廃止が既成事実化された。この制度は「発展途上国に技術を伝授する国際貢献」という見てくれはいいが虚勢だけ立派で外国人人権を侵害し労働力を搾取したという指摘を受けたりもした。

その代わり、日本政府は今年に入って「特定技能2号」の拡大を推進中だ。建設業、造船業のように人手不足が深刻な業種を指定し、外国人労働者を受け入れる制度だ。

滞在期間の制限がなく、家族を連れてくることもでき、永住権も取れる。自民党保守派は「事実上移民許容」と反発しているが、大勢はその方向に傾いている。本格的に議論が始まってから1年も経っていないのに、今月に入って老人の世話、タクシー・バス業界などで「私たちも許容してほしい」と要請する状況だ。

高度人材ビザもある。情報技術(IT)従事者や上位大学出身、修士・博士学位者に加算点を与えながらビザ取得を促す。日本企業がこのビザを活用して韓国で人気のIT開発者を「招いた」事例はもうニュースでもない。昨年まで約3万8000人の韓国人が恩恵を受けた。

高度人材ビザ取得者は、日本で普通の日本人より待遇が良い。通帳一つ作るのに2週間前から予約して待たなければならない国で、高度ビザを取得した外国人には低い金利で住宅担保融資をすると銀行営業社員が査定する。

コロナ感染で気づいた活動の力、“情報共有”というテクノロジーの福音

コロナ化により、直接コミュニケーションが必須と思われてきた福祉や支援の現場に否応なしに持ち込まれた“オンライン”でのコミュニケーション。副産物的につながり辛かった関係者間で多くの情報が共有され、次の一歩を踏み出す力になっているようです。今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』で著者の引地達也さんは、コロナに感染して改めて感じた「障がい者の学び」を支援する活動への思いを綴ります。引地さんは、新たな道を切り開くには「やってみる」を原点とする“成長のマインドセット”が必要と伝え、「学び」による「当事者の成長」を社会と共有していきたいと考えています。

コロナになって気付くこと、「成長」を信じて創発する力

健康が取り柄だった私もとうとう新型コロナウイルスに罹患した。次の日からの講演等の出張が連続していたある日、体のだるさを感じながらも、夏の疲れがたまっているのだろう、ぐらいに思い、その日も日課のランニングコースを走り切った。いつもならこれで体がすっきりと万全なはすだが仕事中もそのだるさは抜けきらなかった。

出張先に安心してもらうためコロナ陰性の証明だけはとっておこうと、診断を受けたら、医師から当たりくじのように陽性の検査結果を示された。あっけなく「僕は大丈夫」神話は崩れ去った。

人体は儚く脆いからいつもケアが必要で、大丈夫ではないことを念頭にすることから、今従事する福祉領域の仕事は始まるのだが、自分だけは大丈夫、などと考えていたのは、やはり驕りだった。そんな反省をしながら、罹患中にもいくつかのオンラインでの会合に参加できたのは、便利という福音なのか、呪縛なのか、罹患中だからこそ抱く思いはもう少し冷静に考えたいと思う。

罹患中に参加したのが名古屋で開催された「全国専攻科(特別ニーズ教育)研究会」(全専研)の実践研修講座である。全国で障がい者への学びを実践している団体がコロナ禍によって失ったものや得たものを議論する内容で、私も講義や討議コメントなどが予定されていたから、結局オンラインで参加することになった。

この数年、障がい者の学びを実践しながら常に考えてきたことは、学びの可能性を信じる力で動く支援者の思いと行動、そして学びで成長をみせる当事者の実態をどのように社会と共有できるかである。共有に向けた「伝道師」としても、今回集った方々と時間を共にし、考えていくのは重要だ。

それぞれが現場で働きながら感じること、発見することをまた教えてもらうのもありがたい。そんな気持ちでの参加だから、罹患しつつもアドレナリンが出ていたのか、会の最中は何とか集中して乗り切ることが出来た。

この記事の著者・引地達也さんのメルマガ

金正恩が“電車でゆく”ロシア10日間の外遊。プーチンとの「繋がり」は?

金正恩総書記が10日間のロシア訪問旅程を終えました。いったいどんなことが話し合われ、どのようなルートを使って移動したのでしょうか? 今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では宮塚コリア研究所副代表の宮塚寿美子さんが、その内容を詳しく解説しています。

ロシア、中朝と合同海上訓練を提案 北朝鮮の金正恩総書記、電撃10日間のロシア訪問の旅程を終える

先号で金正恩総書記とロシアのプーチン大統領の首脳会談の可能性を指摘し、今回見事に的中した。果たして、どのような旅程だったのであろうか。

【関連】プーチンが金正恩と「首脳会談」か?後がない2カ国の“不気味な急接近” 

まず、金総書記は、9月10日に専用列車で北朝鮮を出発した。そして、9月13日にロシア極東アムール州のボストーチヌイ宇宙基地で同国のプーチン大統領と首脳会談を行った。ロシアの軍事技術と引き換えに北朝鮮の通常兵器を供与する方向で話し合いをしたとみられている。

9月15日にはハバロフスク地方コムソモリスクナアムーレで戦闘機を生産する工場を視察し、最新鋭戦闘機「スホイ57」が飛行する様子を見守った。

9月16日にはウラジオストク近郊の空軍基地でロシアが誇る極超音速ミサイル「キンジャル」と核搭載可能な長距離戦略爆撃機を視察。海軍施設も訪れ、ロシア海軍太平洋艦隊のフリゲート艦や長距離巡航ミサイル「カリブル」などの説明を受けた。

そして、金総書記は9月17日にウラジオストクのルースキー島にある極東連邦大を訪問した。そこで北朝鮮留学生らと会い、近くの食品産業施設などを視察した後、帰国の途に就いたのである。平壌出発から到着まで9泊10日の訪問日程だった。18日早朝にロ朝国境を通過してから平壌に到着するまでは2日近くを要した。

北朝鮮の朝鮮中央通信は、2023年9月20日、金総書記が19日夜に専用列車で平壌に到着したと報じた。今回のロシア訪問について、党と政府、軍の幹部が「朝口(口朝)親善の強化発展しにおいて永遠に輝く不滅の対外革命活動を行った金正恩同志を出迎えた」と伝えたのである。

平壌駅には金徳訓(キム・ドクフン)首相や趙甬元(チョ・ヨンウォン)党書記、崔竜海(チェ・リョンヘ)最高人民会議常任委員長らが顔をそろえ、朝鮮人民軍の名誉衛兵隊(儀仗隊)による行事も行われた。金正恩氏の帰りを待ちわびた群衆の歓迎で駅はわき立ったという。

この記事の著者・宮塚利雄さんのメルマガ

急増中の「モラハラ離婚」。別れを考え始めたら「しておくべきこと」は?

最近、モラハラが原因の離婚が増えているそうです。メルマガ『探偵の視点』の著者で現役探偵の後藤啓佑さんも、そのような相談が多くなってきたと明かし、自分でできる家庭内モラハラ対策を紹介しています。

自分でできる家庭内モラハラ対策

ここ最近、モラハラが原因で離婚したい、という相談が多いです。モラハラの意味としては、言葉や態度、身振りなどによって人を不安に陥らせたり、巧妙に支配したり、人格や尊厳を傷つけるなどの「精神的な暴力や虐待の総称」のことで、大声での叱責や殴る蹴るなどの暴力行為がないものです。

となると、モラハラを離婚事由にするには「証拠」が取得しづらいので、結構難しいのです。すぐに思いつくのは「録音」ですが、なかなかピンポイントで録音していくのも素人だと非常に難しい。

それで、どうすればいい?と悩むわけです。

結論から言うと、これをやっておけばモラハラを証明できて確実に離婚できる!といったものはありません。僕も様々なケースで色々と考えましたが、これでいける!というのは中々難しい。しかし、そのなかでも「やっておくといいこと」はあります。本日はそれをシンプルにお伝えします。

これが証拠になる!とは言えないが、持っておくと「武器にはなる」というイメージです。なので、やっておいたほうがいいとは思います。

1.録音

スマートフォンの録音で問題ありません。変に専用の機材を使うと、バレやすくなるのでスマートフォンにしましょう。

ポイントは、絶対に録ろう!という気持ちは捨てること。録れたらラッキーぐらいでいいです。録るよりも、バレないことを優先しましょう。

2.メモ 

ラインで、自分1人の専用グループを作れます。そこに

9/19 晴れのちくもり

○○と言われた。朝から怒号が止まない。○○の部分に傷つき、疲弊する。30分間、自分のダメなところを列挙された。

というような形で、実際に言われたことを日記のように投稿しましょう。そして、それをスクショしておきます。

3.クラウドに溜めていく

ドロップボックスでもグーグルドライブでもなんでもいいので、専用のクラウドを作り、そこに「9/19」「9/24「10/1」などというように、日にちごとにフォルダを作ります。

ここに、9/19に録った録音と、ラインのスクショを入れておきます。これを繰り返し、溜めていけば、ある程度のモラハラの外観が出来上がります。

離婚の際に、これを武器に戦うのです。もちろん、そこの段取りは専門家に相談しながらがよいでしょう。

個人的には、上記の3つはやっておくと、武器になるのでおすすめです。もし、周囲にそういう方がいたら、伝えてみてください!

この記事の著者・後藤啓佑さんのメルマガ

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なぜ、遺族年金は男女で貰えるケースにここまで差が生まれたのか?

配偶者が亡くなってしまった場合に支給さえる遺族年金。しかし、受給する側が女性か男性かによって制約が異なってくるようです。人気メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』の著者で年金アドバイザーのhirokiさんが、遺族年金について詳しく解説しています。

妻が受給する場合とは違う夫の遺族年金の性質と役割

1.男性が受給する場合の遺族年金は制約が厳しい

世間では遺族年金を受給するのは女性というイメージが強いものですが、確かに男性が遺族年金を受給してるケースというのはあまり見かけるものではありません。

要因の一つとして、男性が遺族厚生年金を受給する場合は少なくとも60歳以上の人でなければ受給できないからです(女性は年齢制限は無し)。

さらに平成26年3月31日までの年金法では、国民年金から支給される遺族基礎年金は男性は受給する資格はありませんでした。

なので男性が受給する年金とすれば遺族厚生年金のみでした。

60歳から受給できるとはいえ、その頃には男性自身の老齢厚生年金が受給できるようになる年齢でありますが、読者の皆様も大抵はもうご存知かと思いますけども、60歳から65歳までの年金というのは複数の種類の年金受給権があっても一番有利な方を選択するしかありませんでした。

そうすると遺族厚生年金が受給できても、男性自身の老齢厚生年金が多いのなら老齢を選択するケースが多く、結局は遺族厚生年金は受給しないという事になっていました。

男性が遺族厚生年金を受給するというのはほとんどが妻が死亡した場合ですが、どうしても過去の給与はまだまだ女性の方が男性より低い事が多いから、遺族厚生年金が発生しても金額的に低額となってしまい、結局は男性自身の老齢厚生年金を貰った方がいいよねっていう事になっていました。

よって、男性が遺族年金を受給するケースというのはほぼ見かける事はありませんでした。

受給する権利はあるけども、自分自身の老齢厚生年金を選択してるがために停止されてるという形をよく見かけたものです。

この記事の著者・hirokiさんのメルマガ

中国では密輸で死刑。なぜ今ドイツは「大麻合法化」に舵を切ったのか?

我が国では栽培も所持も禁じられている大麻。そんな大麻が欧州の大国ドイツで、条件付きながら合法化される方向にあることをご存知でしょうか。今回、作家でドイツ在住の川口マーン惠美さんは、大麻合法化へと舵を切った同国政府の「言い分」を紹介。それについて持論を展開するとともに、麻薬全般に対する自身の考え方を綴っています。

プロフィール:川口 マーン 惠美
作家。日本大学芸術学部音楽学科卒業。ドイツのシュトゥットガルト国立音楽大学大学院ピアノ科修了。ドイツ在住。1990年、『フセイン独裁下のイラクで暮らして』(草思社)を上梓、その鋭い批判精神が高く評価される。ベストセラーになった『住んでみたドイツ 8勝2敗で日本の勝ち』、『住んでみたヨーロッパ9勝1敗で日本の勝ち』(ともに講談社+α新書)をはじめ主な著書に『ドイツの脱原発がよくわかる本』(草思社)、『復興の日本人論』(グッドブックス)、『そして、ドイツは理想を見失った』(角川新書)、『メルケル 仮面の裏側』(PHP新書)など著書多数。新著に『無邪気な日本人よ、白昼夢から目覚めよ』 (ワック)がある。

ドイツで大麻(カナビス)が一定の条件の下で合法化するための法案が閣議決定

大麻の大産地は、ミャンマー、ラオス、タイの3か国がメコン川で接する「ゴールデン・トライアングル」と呼ばれる山岳地帯だ。そのミャンマー、ラオスと国境を接する中国では、麻薬の密輸は死罪。これまですでに複数の日本人が、密輸の罪で極刑に処されている。

日本でも、時々、有名人が大麻所持で捕まった話がニュースになる。最近では、日大のアメフト部員。とはいえ、日本ではまだ覚醒剤は大きな社会問題にはなっていない。

一方、ドイツでは、「エクスタシー」のような安価で軽い合成の向精神薬が、本来は違法なのに、いろいろな抜け道で簡単に手に入る。錠剤になっているそれは、多くの若者がディスコに行く前などに服用するから、別名パーティー・ドラッグ。摂取は増加傾向にあるだけでなく、年齢層が下がっている。あまりにも多いので、取り締まりはあまりされていないし、見つかっても少量なら大事にはならない。

ただ、何も起こらないわけではなく、今年6月には、13歳と15歳の女の子が「エクスタシー」の過剰摂取で死亡した。彼女らが入手した錠剤にはハイになるための有効成分が異常に多く含まれていたことが判明している。元々が違法なので、もちろん品質管理などあるはずもない。

また、本物の麻薬である大麻やら、さらに危険なコカインなどの闇取引も盛んだ。こちらは皆がやっているわけではないし、取り締まりもなされているが、週末の夜など、場所によってはかなり物騒だ。ちなみに、ドイツで麻薬の消費がダントツに多いのが首都ベルリン。

大麻(カナビス)を通常マリファナと呼ぶが、オランダではマリファナはソフトドラッグで、合法に吸える。私が最後にアムステルダムに行ったのは20年近く前だが、市の中心の多くの“コーヒーショップ”では、詰めかけた観光客がコーヒーを飲みながら、マリファナを吸っていた。店の前を通るとちょっと異様な匂いがするので、すぐにわかるが、公園などあちこちからも、その匂いは漂ってきた。オランダはチューリップだけではない。

不審死事件の説明なし。官邸脱出に成功した木原誠二は、まだ“影の総理”を続けるつもりか?

内閣官房副長官の要職にありながら妻の元夫の不審死事件に対する説明責任を果たすことなく、あくまでだんまりを決め込み続けた木原誠二衆院議員。その去就に注目が集まっていましたが、岸田首相は9月13日の内閣改造・党役員人事で、木原氏を党幹事長代理と政調会長特別補佐に任命しました。この人事の裏にはどのような力学が働いたのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、内閣官房副長官の退任劇を「木原氏による自作自演」として、そう判断するに足る理由を解説。さらに木原氏の「官邸脱出」を許した岸田首相を強く批判しています。

岸田の“頼みの綱”。妻の元夫怪死隠蔽の木原誠二が影の総理ぶる亡国

妻の元夫が不審死した事件の捜査をめぐる疑惑で去就が注目された内閣官房副長官、木原誠二氏は、今月13日の内閣改造・党役員人事で副長官を退任し、自民党幹事長代理と政調会長特別補佐を兼務することになった。

この奇妙な人事は何を意味するのだろうか。幹事長の部下でもあり、政調会長の部下でもあるという立場。裏を返せば、木原氏にはどちらつかずの自由が与えられる。首相と党本部をつなぐという名目で、慣れ親しんだ官邸に出入りすることに文句を言われることもない。人知れず、岸田首相の“参謀”を続けられるかもしれないのだ。

茂木幹事長、萩生田政調会長、ともに首相の座を狙っている。つまり来年秋の総裁選で岸田首相のライバルになりうる存在だ。そのもとで木原氏は情報収集ができるのである。この人事、岸田首相にとっては、ウルトラC級のアイデアではなかっただろうか。

読売新聞オンラインによると、官房副長官をやめたいと切り出したのは木原氏だった。8月18日の日米韓首脳会談のために訪米する途上、政府専用機内で岸田首相に申し出た。

むろん、妻の元夫の不審死事件に関する週刊文春のキャンペーン報道が原因だ。官房副長官の仕事の一つであるメディア対応を避ける日々が続き、いずれは国会で野党から追及されるかもしれない。官邸にとどまれば、岸田首相に迷惑がかかるし、自分としても苦しい。そんな思いが強かったのだろう。

岸田首相は困惑した。なにしろ、木原氏は岸田首相が頼りとする「軍師」である。安倍元首相における今井尚哉秘書官のように、「影の総理」とさえ呼ばれる存在だ。次から次へと押し寄せる難題にオールラウンドに対応してくれる木原氏が周辺からいなくなることは、政権を運営するエンジンを失うようなものである。

米国との関係構築にも、木原氏の存在は欠かせない。木原氏は英語が堪能で、ラーム・エマニュエル駐日大使と頻繁に会い、昵懇の間柄になっているといわれる。エマニュエル氏は、ビル・クリントン政権で大統領上級顧問、オバマ政権で大統領首席補佐官をつとめ、米政界で「タフネゴシエーター」として知られる。バイデン大統領とは、電話一本で話をつけられる仲だという。

エマニュエル氏のことを「日本という地にあって、アメリカのリーダーシップを示している」と木原氏が評しているが、裏を返せば、エマニュエル氏と木原氏の密なコミュニケーションによって、日本の米国追従姿勢がより強まったともいえよう。米国やG7の対ロシア制裁にスピード感をもって同調し、大幅な防衛費増強に踏み切ったのは、その表れだ。

 

今年1月、岸田首相の切望する日米首脳会談が実現し、ホワイトハウスでバイデン大統領から手厚い歓迎を受けたのは記憶に新しい。その華々しい舞台をセットできたのも、木原氏とエマニュエル氏の連携がうまくいったからだ。

この記事の著者・新恭さんのメルマガ

人気も人望もなし。それでも“ドリル優子”が初の女性総理を目指すべき理由

9月13日、支持率上昇を期待し内閣改造・党役員人事を行った岸田首相。その効果は得られなかったと言っても過言ではありませんが、見るべきポイントは多々あったようです。政治学者で立命館大学政策科学部教授の上久保誠人さんは今回、「岸田人事」の複数の注目点を挙げ各々について詳しく解説。さらに選対委員長に抜擢された小渕優子氏が日本初の女性首相を目指すべき理由を詳説しています。

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)
立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

支持率ダダ下がりの岸田政権「付け焼き刃の内閣改造」を斬る

岸田文雄首相は、内閣改造・党役員人事を断行した。党役員には、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長、萩生田光一政調会長が留任。総務会長に森山裕選挙対策委員長が、選対委員長に小渕優子組織運動本部長が起用された。内閣人事では、松野博一官房長官、鈴木俊一財務相、西村康稔・経済産業相、河野太郎デジタル相、高市早苗経済安全保障担当相が留任した。また、経験豊富なベテランの新藤義孝・元総務相が経済再生相に起用された。連立を組む公明党からは、斉藤鉄夫国交相が続投となった。

岸田首相は、重要閣僚、党幹部を派閥の会長や幹部で固めた。政権の基盤を安定させることを重視している。異次元の少子化対策、物価高対策など経済政策、そして防衛費の大幅増など歯止めのない歳出拡大の中での難しい財政運営、東京電力福島第一原発の処理水放出の対応、マイナンバー制度のトラブルを受けての「総点検」、経済安全保障体制の確立など、難しい舵取りを求められる懸案に、継続性や経験値を重視した人事を行ったのだ。

だが、各種世論調査で内閣支持率は横ばいか下落。不支持率は60%を超えている。人事の「刷新」による政権の浮揚効果は限定的だ。今回は、岸田人事が示す日本政治の現状と、今後の展望を考察したい。

私の考えだが、人事を安定させるための鉄則の1つは「敵は内側に、味方は外側に」配置することだと思う。自民党に当てはめれば、「敵は閣内に、味方は党に」ということになる。

例えば、小泉純一郎内閣時、ポスト小泉を狙い、郵政民営化に反対の麻生太郎氏を、その担当の総務相に起用し、「イエスマン」と呼ばれて首相に絶対の忠誠を誓った武部勤氏を幹事長に起用した。その武部氏も、小泉内閣発足時は構造改革に反対だった。首相が農相に一本釣りして重用して「イエスマン」に変えたのだ。

一方、第一次安倍晋三内閣は、官房長官に塩崎恭久氏、首相補佐官に世耕弘成氏、小池百合子氏、根本匠氏ら首相側近を起用し「お友達内閣」と呼ばれた。だが、族議員の大物などを閣外に置いた布陣は混乱を生み、内閣はわずか365日で瓦解した。

この反省から、第二次安倍政権では、潜在的に首相の座を争う最も強力な政敵だった麻生太郎元首相を副総理・財務相に起用し、最側近として重用した。それは、安倍政権が憲政史上最長の長期政権を築けた要因の1つとなった。

健康社会学者は大反対。教育現場から「人」を意識する思考を奪いかねない“実験”とは

技術の発達により、運動状況や健康状態など、多くのことをデータで把握できるようになり、ついには感情までも「見える化」して活用しようとする動きがあるようです。研究としてはあり得ても、教育現場に持ち込むのは「大反対」と声をあげるのは、健康社会学者の河合薫さんです。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で河合さんは、“フェイスtoフェイス”で相手の心情を感じ取ることの大切さを強調。教師たちの事務作業の効率化は大いに進めても、子供と向き合う時間だけはアナログで、ときには「無駄」をも大切にしてほしいと訴えています。

「見える化」に依存する社会

突然ですが、人はフェイスtoフェイスでコミュニケーションを取ることで生き残ってきました。五感をフル稼働して相手の心情を汲み取り、理解し、自分が協力したら悪い状況がよくなると見込めたら、援助をいとわない。それは人だけが獲得した「力」です。

極論をいえば、フェイスtoフェイスのコミュニケーションは「人の起源」なのです。ところが、その「人の力」を、自ら手放そうとする動きが教育現場で始まってることがわかりました。大手新聞社の報道によれば、次のような実証研究が進められているそうです。

埼玉県東部にある小学校では、生徒が手首につけたリストバンド型端末で脈拍を計測し「集中度」を測定する。

滋賀県のある小学校では、生徒が一人ずつ持つ端末のカメラを使って額の血液の勢いや体の動きを測定し、「わくわく」「たいくつ」「そわそわ」「ゆっくり」の4種類の感情に分類する実証実験を行っている。

「見える化」の目的は、授業の改善です。教師がデータを活用することで「より効果的な教育」につなげるそうです。また、集中度は生徒自身の「振り返り」に使うことも目的とし、感情は「困難を抱える生徒の早期発見」につなげる目的もあるとか。

あくまでもデータを活用するか否かは、教師の判断で決めるとのことですが、私はこの記事を読んでいて、とてもとても残念な気持ちになりました。これまでもさまざまなものが「見える化」され、「人」という存在が思考の中心から消えていくことに違和感を覚えていましたが、今回の取り組みはあまりに残念すぎます。

「いい授業をしたい!子供のために先生も努力したい!」という気持ちはわかります。しかし、フェイスtoフェイスのコミュニケーションの場が失われつつある今だからこそ、教育現場は「フェイスtoフェイスのコミュニケーション」を最優先で大切にしてほしいし、そこで培われる感性を教師にも子供にも信じてほしい。面と向かって「相手」の目を見て話すことの大切さを、それが人間の思考力と想像力の源であることを忘れないでほしいのです。

この記事の著者・河合薫さんのメルマガ

プーチン「戦術脳」の敗北。ウクライナ侵攻で失った旧ソ連勢力圏

9月19日、アルメニアとの係争地ナゴルノカラバフで軍事作戦を開始し、翌20日に勝利宣言を行ったアゼルバイジャン。アルメニアと軍事同盟を結ぶロシアは同国を結果的に見捨てた形となりましたが、なぜプーチン大統領はアルメニアに救いの手を差し伸べなかったのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、ロシアが同盟国を助ける余力のない現状と、旧ソ連圏内で現在進行しつつある「ロシア離れ」について詳しく解説しています。

アゼルバイジャン―アルメニア戦争勃発!

昨日は、

  • イランがIAEAの査察を拒否した
  • イランはウラン濃縮度を高めていて、年来に核兵器を保有する可能性がある
  • イスラエルは、「イランの核兵器保有を阻止するために先制攻撃する」と公言している
  • それで、イスラエル―イラン戦争が勃発する可能性がある
  • 「二正面作戦」を嫌うアメリカは、ゼレンスキーに停戦を要求するかもしれない

という内容でした。

【関連】“やぶ蛇”のトランプ。核兵器の開発意図なきイランを激怒させた代償

今回は、コーカサスの旧ソ連国アゼルバイジャンとアルメニアが戦争を始めたというお話です。「テレ朝ニュース」9月20日。

旧ソビエトのアゼルバイジャンが、アルメニアとの係争地ナゴルノカラバフへの攻撃を開始しました。

 

アゼルバイジャン国防省は19日、アルメニアとの係争地となっているナゴルノカラバフからのアルメニア軍の撤退やアゼルバイジャン人の安全の確保を目的として、「局地的な対テロ作戦」を開始したと発表しました。

 

地元メディアによりますと、ナゴルノカラバフ地域の首都とされるステパナケルトなどがアゼルバイジャンからの砲撃を受けていて、住民は地下に避難しているということです。

「ナゴルノカラバフ」とは何でしょうか?

国際的な位置づけは、「アゼルバイジャンの自治州」です。しかし、アルメニア系住民が多く、アゼルバイジャンからの独立、アルメニアへの編入を主張しています。

ナゴルノカラバフは、ソ連時代から、アゼルバイジャンとアルメニアの対立の火種でした。地図はこちら

1985年、リベラルなゴルバチョフがソ連書記長になりました。規律が緩んだせいか、ナゴルナカラバフでアルメニアへの編入運動が激しくなっていきます。

1988年、アルメニアとアゼルバイジャンが、ナゴルノカラバフをめぐって衝突しはじめます。1991年9月、ナゴルノカラバフは独立を宣言しました(=アルツァフ共和国)。

※ ちなみに、ソ連が崩壊したのは1991年12月です

この「独立宣言」がきっかけで、アルメニアとアゼルバイジャンの対立は激化。1994年に停戦が成立するまで、約3万人が亡くなったそうです。

1994年後、ナゴルノカラバフは、事実上の独立状態にあります。しかし、その後も紛争はつづきました。2014年、2016年、2020年、2022年にも軍事衝突が起こっています。

対立の構図は基本的に、「ロシアはアルメニアを支援し、トルコがアゼルバイジャンを支援する」でした。

ちなみに、ロシアの主な宗教はロシア正教、アルメニアはアルメニア正教でキリスト教。トルコ、アゼルバイジャンは、イスラム教です。

日本のテレビでも時々引用される「SVR将軍」によると、トルコのエルドアン大統領は9月4日の首脳会談時、プーチンに、今回の戦争について伝えていたそうです。SVR将軍は、アゼルバイジャンがナゴルノカラバフを攻撃する前に、その話をしていました。

アゼルバイジャンは、何を目指すのでしょうか?アルメニアの同盟国ロシアはウクライナ戦争で忙しい。この機に乗じて、事実上の独立を保っているナゴルノカラバフ(=アルツァフ共和国)を壊滅させたいのでしょう。