韓国のシステムの脆弱さ露呈。拿捕した2名を異例の性急強制送還

韓国が拿捕した北朝鮮船舶の乗組員を異例の早さで強制送還するという事件が起こりました。この件の概要と、事の次第が明るみに出た驚きの理由を伝えるのは、メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』の著者で、北朝鮮研究の第一人者、宮塚利雄さんです。この顛末は、韓国の政府システムと軍隊の指揮系統の崩壊を物語ると宮塚さんは指摘します。

北朝鮮・木造船上で16人殺害?異例の性急送還から見えた韓国のセキュリティの脆弱さ

毎度「海」に関する話で恐縮です。11月7日、韓国政府は東海上(日本海)で北朝鮮限界線を越えた船舶の乗組員2人を板門店から北朝鮮に送還した、と発表した。統一部によると、「2日、イカ釣り船が東海北韓限界線(NNL)を越えた。船内で仲間の乗組員(漁夫など)16人を殺害した」とのこと。政府の発表によると、殺人犯は、当初3人であったが、うち1人は船が北朝鮮の金策港に戻った際に下船したとのこと。

17トンほどの小さな木造船上で、16人もの大量殺人が起きたというのであるが、極めてミステリーな事件である。北朝鮮の小型木造漁船は、船内に仕切りはあるが、長さ15メートル、幅3メートルにも満たないこの船上で果たしてこのような大量殺戮が可能なのか。事件そのものが謎に包まれているが、拿捕された2人(漁師か軍人かそれとも民間人かは不明)は、「関係当局による合同尋問中に亡命を求めた」のにも関わらず、「犯罪者追放」ということで北朝鮮に強制送還してしまった。

韓国では脱北者の増加に伴い「犯罪者の脱北・亡命」をどう処理すべきかを巡って議論がなされており、今回はろくに真相調査もせずにすぐに送り返してしまったのである。北朝鮮からの脱北者は、これまですべて「犯罪者」として北朝鮮政府は発表してきたので、北朝鮮に送還されると「死刑」に処されることが確実であるが、今回は、なぜか「性急な送還」をしてしまった。

韓国の憲法上では、北朝鮮住民であっても亡命の意思を示せば韓国国民として対処する、というのがこれまでの慣例であったが、今回は、これを無視した形だ。しかも、この強制送還の事実が明るみになったのは、「偶然の産物」だった。と言うのは、7日に国会に出席した青瓦台国家安保室の金有根1次次長の携帯電話メッセージを、取材の報道カメラマンが望遠レンズでキャッチしたのがきっかけであった。

メッセージには、板門店の共同警備区域(JSA)大隊長(中領・中佐)からで、2人の送還計画が書かれていた。内容は、「北の乗組員らが送還に反発して自害する危険があるために、赤十字社の関係者ではなく警察がエスコートする予定。今回の送還について、国家情報院と統一部間の見解はまだ整理できていない。午前中に追加で検討する予定」とのこと。

板門店という最前線の一部隊長が、軍・国防省ルートではなく、大統領官邸の青瓦台安保室に直接報告したということは、政府のシステムおよび軍隊の指揮系統が崩壊していることを示している。言い換えるならば、「北朝鮮がらみの出来事はすべて、大統領官邸(青瓦台)が直接判断して処理することを意味している」ということになる。文在寅政権の北朝鮮に対する“特別配慮”を改めて物語るものと、韓国では受け止められているようだ。

それにしても事件がメディアのカメラが捉えて明らかになったのであるが、セキュリティが脆弱な携帯電話のメッセージで保安事項を報告するという、韓国の危機管理の一端が垣間見えた。今回の「強制送還」については、「政府が憲法違反及び司法主権を放棄した」との批判が起きている。

今月末にソウルに行くので、次号で「脱北者人権について」を書く資料を集めてきます。(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)

image by: Shutterstock.com (写真はイメージ資料です。今回の漁船とは異なります)

現役アナが教える。ネガティブな感情を言葉で逆転させる3つのコツ

人前で話すあらゆるシーンに役立つプロの技を伝えてくれるメルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言』の著者で、アナウンサー歴30年の熊谷章洋さんによる「話し方の表現力を上げる5つのアプローチ」シリーズ。その中で、ネガティブワードを言い換える方法を伝えていますが、今回は、自分の中の悪感情を言い換えるコツを伝えてくれます。マスターすれば、出かけるのが面倒な雨降りの朝も、ポジティブな気持ちで外へと向うことができるようです。

自分を向上させる言葉選び

話す時の語彙力を高める方法の一環として、ネガティブワードを使わずに、他の表現に言い換える方法について考えています。

前回記事までは、「嫌い」「気持ち悪い」など、自分の嗜好性を表明するとき、そして、それと同類ではあるものの、相手や聴衆を巻き込んで「反対」を表明するときのコツについて、お伝えしてきました。

改めて確認なのですが、話す時の語彙とは、新しい単語を覚えることではなく、「新しい言い方を見つけること」

言い換えたいという気持ちと、言い換えるべき方向性さえあれば、あとは、自分の知っている言葉を駆使するだけなのです。

話す時の語彙が少なくなってしまう原因は、言い換えようとする熱意が足りなかったり、惰性でなんとなく一番使いやすい言葉を使ってしまったり、あるいは、どういう方向に言い換えたらいいのかわからないから、だけの問題なのですね。

その点で、ネガティブワードを使わないというのは、あまり使いたくない言葉を、良い言葉に置き換えようとする発想の転換であり、どういう方向に言い換えるべきかは、もう答えがでていますから、語彙を増やす訓練、「ものはいいよう頭」を育てるための入口としては、とても取り組みやすいテーマであろうと思います。

【書評】5人に1人が認知症になる時代に押さえておきたい相続術

「高齢者の5人に1人が認知症になる」とされる我が国においては、相続に関しても「認知症を見据えた対策」を取ることが重要のようです。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんがレビューしているのは、「相続・終活バイブル」を自称する認知症時代の相続術が記された書籍。「相続の鉄則」等、知っておくべき知識が満載の一冊です。

偏屈BOOK案内:岡信太郎『済ませておきたい死後の手続き 認知症時代の安心相続術』

71rdXNZ5glL済ませておきたい死後の手続き 認知症時代の安心相続術
岡信太郎 著/KADOKAWA

この頃、忘れようとしても思いだせなかったり(赤塚不二夫かい)、コレは忘れてはいかんな、紙に書いておくかとボールペンを手にしたとたん、既にそのコレが忘却の彼方へとか、重要事項だからとメモした文字列の意味が不明だったり、今日は何日かすぐ分からなかったり、パソコンのモニタ前ではけっこうまずい事態が度々。一方で、自転車でいまどこを走っているかなどは、しっかり分かっている。

前期高齢者夫婦としては、そろそろ相続とか認知症への備えをしなければいけないんじゃないの、そう主張するのは妻である。テレビのクイズ番組狂の妻は、ものすごい物知りで、その方面では圧倒的に強いが、面倒くさいテーマはすべてわたしに丸投げである。文書できちんと書いておけと命令するが、わたしだってよく分からない。相続したときは、全部プロにお任せだったからなあ。

気ままに浪費を続け、もはや正真正銘の貧乏人になった。今後のことは自力でナントカしなければならない。たいていの書店では、いまこの分野の雑誌や書籍がコーナーを形成している。憂鬱な雰囲気が漂うと思うのは、わたしだけではあるまい。ただし、どこの書店に行ってもそのコーナーには客がいない。

日本の人口構造や価値観が変化する中、2018年7月に民法相続法が約40年ぶりに改正された。ちょっとやそっとの改正ではない。従来の「相続の常識」が通用しなくなった。いや、従来のそれもわたしは殆ど知らないから、ショックもなにもない。配偶者居住権とか、預貯金の仮払い制度とか、へえそうなんすか。著者は従来の知識をリセット、アップデートせよというんですけどね。

相続と関連して押さえておかなくてはならないのが「認知症に対する備え」だというのは、よーく分かる。日本は今後、高齢者の5人に1人が認知症になる。昔は、ジーサンがボケちゃって~、で済んでいたのに(済んでいないか)「寿命が延びた今こそ、認知症を見据えた対策をとれ」と著者は強調する。この本では、相続法改正、相続の基本知識・手続き、認知症対策が三本柱になる。

「相続・終活バイブル」を自称するこの新書版の、ターゲットはわたしだ。金持ちじゃないから心配無用と言ってきたが、やるべき相続手続きがあることはもちろん承知していた。認知症については、正直気がつかないふりをしてきた。この本では老後から相続発生後までの長期的視点で、自分や家族に起こり得ることを事例にしている。よくあるのだろうが、面倒なケーススタディばかり。

ストーリーとしては興味深いが、わが家は非常にシンプルで(&貧乏で)、揉める恐れはないと断言できる。遺産相続の鉄則その1は、相続人を正確に押さえることである。相続では思いもよらぬ人が相続人として現れることがあるという。鉄則その2は相続財産を正確に押さえること。相続で必ず起きる揉め事とその対策、具体的対処なども示されて、ドラマチック。しょせん他人事だが。

わたしにとっておおいに役に立ったのは、認知症になったときのことを想定しできるだけ元気なうちに対策をとっておくという提案で、じっくり読み込んでみたい。相続関係では類書多数、それこそ山のようにあるが、著者を選んだのは、合気道家で坂本龍馬研究科家だというから。わたしは司馬竜馬の影響が長く続いたが、最近の龍馬研究ではそれはトンデモだとかで、そっちに傾いている。

編集長 柴田忠男

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「筋肥大には高重量が必須?」ボディメイクのプロに聞いてみた

筋肉を大きくしたい。トレーニングに励む人には筋肥大を目標にしている人も多いでしょう。メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』の桑原弘樹塾長が、「筋肥大には高重量を追求すべきなのか?」という質問に答えます。桑原さんは、筋肥大のメカニズムから、可能性は高まるものの重ければいいものではないと、効果的なトレーニング方法と栄養摂取の面から効果を上げる方法をアドバイスします。

高重量は必須か?

Question

shitumon

ウエイトトレーニングは高重量を扱わなくては大きくなれないのでしょうか。確かにバルキーな人は高重量を扱っている事が多いように感じますが、中には軽めの重量でも十分に大きい人もいるように思います。肩が痛いのであまり無理をしたくないのですが、やはり高重量を追求すべきなのか悩んでいます。(33歳、男性)

桑原塾長からの回答

結論的には軽い重量よりは重い重量の方が大きくなる可能性は高いと言えます。しかし、ここで言う重いというのは、速筋にどれだけ刺激を与えているかという意味における重さなので、ひたすら重ければいいという意味ではありません。

筋肥大に関してはまだまだ未解明な要素も多いので、一概に結論を言えない面があるのですが、分かり易い表現でいうならば「効く」という状態がとても大切です。効くというのは、速筋に対して効くという意味です。どんなに重量を重くしても速筋に効かなければ筋肥大にとっては効果的ではありません。

そこで大切なのがフォームなのです。正しいフォームとは2つあって、1つはより重い重量を挙げられるフォームです。これは主にパワーリフティングなどの競技者が追求するフォームです。

もう1つはより効くフォームです。こちらがまさに筋肥大を目的とした際のフォームと言えます。この効くフォームの状態で徐々に扱う重量を増やしていくと、やがてフォームが崩れてきます。これは効くフォームから挙げるフォームへと変わって(崩れて)いくことを意味しています。

また、筋肥大には大きく2つのメカニズムがかかわっています。1つは筋線維を壊して、そこから更に強くなろうと筋線維が修復していくという、いわゆる超回復のメカニズムです。

この場合にも更に2つのパターンがあり、1つは筋線維そのものが太くなるというパターンで、もう1つは筋線維が増えるというパターンです。

いずれにしても筋線維をしっかりと破壊(正確には微少な損傷)をする必要があるため、この場合にはより高重量という発想が当てはまりやすくなります。

もう1つのメカニズムとは、筋肉内のタンパク質の合成と分解のバランスをいかに合成に傾けるかというメカニズムです。

こちらに関しては単に高重量を扱うという発想では必ずしも十分ではなく、いかに合成を促進させるか、またいかに分解を抑制するかという別の発想も必要となってきます。

例えばエムトールという筋肉の合成のスイッチのようなタンパク質があります。これがリン酸化されることが筋肉を合成に傾けて、ひいては筋肥大へと繋がっていくのですが、この場合は単に高重量でリン酸化されることにはなりません

鍼灸師が教える。冬場のふらつき招く「背筋のこわばり」の解消法

初冬の寒暖差ストレスは、抵抗力やバランスを取る力をカラダから奪うと注意を呼びかけるのは、メルマガ『鍼灸師・のぶ先生の「カラダ暦♪」』の著者、のぶ先生です。のぶ先生は、冬場にふらつきを感じるのは、寒暖差への対処としてカラダがこわばっているせいだと解説。こわばりを解消する簡単な方法を教えてくれます。

冬場のふらつき

【寒暖差ストレス】

日中、いまだポカポカと温かい日もあります。打って変わって朝夕の冷え込みによる気温差は、意外とカラダに負荷をかけています。寒くなると体温を高めようと、今まで以上に体力を消耗し始める初冬。寒暖差ストレスが加わることで、抵抗力やカラダのバランスを取る力が低下しやすいこの頃です。

【ふらつきの原因は背筋のこわばり】

寒暖差を感じるカラダは、体温調整をしようと背中全体をこわばらせます。背筋がこわばることで姿勢を柔軟に維持することができず、軸の固まったカラダはフラフラとふらつきを感じるようになるわけです。

寒さから身を守ろうとするこのこわばりは、体内に熱をこもらせて血流を悪くしてしまいます。背筋のこわばりがおこらないように、日中の温かい時間でもカーディガン一枚羽織って過ごすだけでも、こわばり予防がかないます。

【ふらつきを感じたら背筋の蒸しタオル】

ふらつきを感じたら、固くこわばっている背骨を首のつけ根から骨盤のあたりまで上から順番に蒸しタオルを当てて温めていきます(電子レンジで温めるホットパックの方が、服の上から温められるので重宝です)。

日中、寒暖差による背筋のこわばりでふらつきを感じるときは、後頭部や首のつけ根にカイロを押しあてて局部的に保温してみると、症状は楽になるので試してみてください。

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私的問題がありながらも安倍首相を最長在任期間に押し上げたもの

「桜を見る会」にまつわる問題が政局を揺るがす事態となっているさなか、首相としての通算在職日数が歴代1位となった安倍晋三首相。以前にも「モリカケ問題」などがあり、長期政権の弊害を訴える声もありますが、反対になぜそのような政治家でありながらこれほどの長期政権を維持できているのでしょうか?軍事アナリストの小川和久さんが、主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』で、政治家・野中広務さんの行動を紹介しながら、自身の考えを伝えています。

政治家の「志」ということ

安倍晋三首相の在任期間が憲政史上最長になりました。

「安倍晋三首相は20日、第1次政権からの通算在職日数が2887日となり、歴代1位の桂太郎を追い抜いた。再登板から7年近くたっても政権基盤は安定しており、自民党総裁の任期が終わる2021年9月に向けて記録更新を続ける可能性がある。党内には続投論もくすぶるが、首相は総裁4選を否定。残り任期で憲法改正などの課題に道筋を付けたい考えだ」(11月20日付時事通信)

そのニュースを眺めながら、「政治家の志」について思いを馳せることになりました。私が一緒に仕事をしたり、付き合ったりしてきた政治家で「志」を感じた人がいないわけではありません。

例えば、当の安倍さん。第1次政権で着手した国家の司令塔・日本版NSC(国家安全保障会議)を第2次政権の最初の段階で実現しました。これが、外交・安全保障面での安定飛行の原動力となっています。

さらに、憲法改正。賛否の分かれるテーマですが、明確な志をもって、できるだけ多くの国民に支持される形で実現しようとしています。

これまた賛否の分かれる郵政民営化を実現した小泉純一郎首相も、明確な「志」を持っていたわけです。

首相ではありませんが、小渕恵三政権で官房長官を務めた野中広務さんも忘れることができない人です。野中さんの業績は、私が知っているだけでも1冊の新書版が書けるほどありますが、ドクターヘリの実現はその最たるものでしょう。

1998年の秋、野中さんは知り合って2カ月ほどしか経っていない私に尋ねました。「間もなく阪神・淡路大震災から4年になりますが、国民の安全のためになすべきことに、どういったものがあるでしょうか」

野中さんは阪神・淡路大震災の時の自治大臣です。日本の危機管理の後れを痛感させられた立場から、ずっと問題意識を持っていたことがわかりました。

私は、先進国の中で日本だけが実現していないドクターヘリについて説明しました。野中さんは小料理屋の割り箸の袋を開いて、その裏に小さな文字でメモをしていましたが、3日後、翌年4月からのテスト事業の予算を確保したと、ご本人が伝えてきました。

今でこそ57機が救急救命にフライトし、映画・テレビドラマの『コードブルー』として知らない人がいないドクターヘリですが、当時の日本には1機もなかったのです。

安倍さん、小泉さん、野中さんのように、自分は政治家として何をやりたいのか目標を明確に持ち、また、いま何をなすべきかを常に考えていて、それを実現するのが「志」というものではないでしょうか。

桜をみる会、森友学園、加計学園問題など、かなり私的な問題でイメージのよくない安倍さんですが、政治家の「志」という面からの評価もきちんとしておきたいものです。

与野党の政治家の皆さんは、いくら口先で「日本のため、国民のため」と言っても、国民に見抜かれていることを心に刻んで欲しいと思います。(小川和久)

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「で、これ買ったらどうなる?」から「売り言葉」を逆算する方法

モノやサービスが溢れ、老舗企業であってものんびり構えていると倒産の憂き目にあう競争激化の現代、実店舗もネット店舗もただ商品を並べるだけでは簡単に買い手がつかなくなってきました。そんな時代に、企業やビジネスマンには何が求められているのでしょうか。今回の無料メルマガ『ビジネス真実践』では著者で人気コンサルタントの中久保浩平さんが、重要なのは、モノやサービス「ならでは」の「売り」を明確に伝えることだとし、その手法を解説しています。

製品やサービスの先にあるものは?

「弊社の売りは、なんといってもこの商品です。仕様はこうこうこうで、このようなときにお使いいただけると便利ですよ」というような営業トークの営業マンや販売員は多いですが、それは本来の「売り」伝えているのではなく、単なる商品説明に過ぎません

売りを伝えるということは、会社や事業、商品やサービスを通じて、「ならではの何を伝えることができるか?」に尽きます。

たとえば、雑貨を扱っているお店のwebサイトなどで、商品の写真と価格を掲載したショッピングカートしかない。というのは、売りを伝えてられていないということになります。ただネット上に商品が並べて置かれている、だけのこと。

商品を並べていれば売れる。店を空けていればお客さんはやって来る。懇切丁寧に対応すれば売れる。商品力だけで売れる。というのは、とっくに昔の話か…、よほどのブランド力が備わっているものだけです。

弊社はAという商品を通じて○○というものを提供しているのですと強く言える会社やお店だけが残って行くのです。

たとえば、「当店は雑貨を通じ、手作りにこだわる職人の技と伝統を売っているのです」というような雑貨店があるとします。こうしたお店は何を情報発信すればいいのかが明確です。

それまでは、確かに商品写真や価格、仕様、用途などの必要最低限の情報を発信していればよかったのですが、そうした情報だけでは足りないな、ということがわかります。

職人の技や伝統を売りとするななら職人の履歴やプロフィール1つの商品にかける思い(こんなお客様にこのように使って欲しいなぜなら…など)を伝えることができます。

「当店は雑貨屋として、古き良き時代の伝統を売っているのです」という雑貨店であれば、扱っている商品にまつわる歴史やうんちくなんてことから伝統にこだわる理由を伝えることも出来ます。

同じ雑貨店であったとしても、「うちの店は雑貨を通じて○○を提供しているのです」という“売り”というものがあれば、発信すべく情報も自ずと違ってくるのです。そして、そういう“売り”があると自然とライバルなんてものが気にならなくなり、自社、自店、お客様と今まで以上に向き合えるようにるのです。そうした結果、市場やお客様からの支持を得られ信頼も益々深まっていくのです。

自分の会社、お店で扱っている商品やサービスは、

それらを通じ一体何を提供しているのか?」
ほんとの売りはなんなのか?」

これを一歩、深く考えてみるだけでも、今後、市場やお客様に発信していく情報やもっと突き詰めて勉強しなければならないことが明確になっていきます。それこそがお客様にとって有益なものとなるのです。

■今日のまとめ

“売りを明確化する

  • 自社、自店の取扱商品やサービスを列挙する
  • それぞれの商品やサービスを通じてお客様に何を提供しているか?また、どんな満足を得てもらえているのか?みんなで話し合い、真の売りを明確にする
  • 話し合ったことについて今後、情報提供しなければならないことを考えノートに書きだす

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悲鳴をあげた杉並区。ふるさと納税の税流出が約25億の異常事態

人々の物欲を煽るかのように展開される「ふるさと納税」の宣伝。その影響で、特に都市部から地方自治体への税流出が止まらないようです。マンション管理士の廣田信子さんは今回、自身の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』で、ふるさと納税の手続きにかかる事務経費や地方交付金との関係などを解説した上で、当制度に対して疑問を呈しています。

「ふるさと納税」で、結局使える税金は減っていく

こんにちは!廣田信子です。

「ふるさと納税で住民税が流出しています」この杉並区のポスターがニュースになりました。杉並区のホームページでは…

過熱した返礼品競争により、一部の地方自治体に巨額の「寄附」が集まる一方で、都市部の自治体を中心に税の流出が続いています。

 

杉並区では、令和元年度における住民税の流出額が24億7,000万円に上りました。生まれ育った故郷などへ「想い(おもい)」を持ってふるさと納税をしている方がいらっしゃる一方で、多数の方がカタログショッピングで商品を購入するかのように、縁もゆかりもない自治体から返礼品を取り寄せ、結果的に本来住んでいる地域の公共サービスに充てられるべき税金を大きく減少させている現状があります。

 

ふるさと納税制度は、名称こそ「納税」ですが、実態は自治体へ「寄附」することにより住民税等の税額控除が受けられる制度です。法改正により、返礼品の上限は寄附額の3割までとなりましたが、当然のように見返りを求める寄附が真に寄附と呼べるものなのか、疑問の念を禁じ得ません。

として、区民に問い掛けています。これは、多くの都市部の自治体に共通している思いだと思います。特に、地方交付金の非交付自治体ではもろにその影響を受けます

地方交付金の交付を受けていれば、住民税の税収が減った分を交付金である程度カバーされますが、自立して自主財源だけで運営している自治体は、その分が、そのまま税収減になるからです。私が暮らす浦安市も、非交付自治体ですから、「ふるさと納税」による住民税の控除による税収減はそのまま住民サービスにも影響するのです。

浦安市も、さすがに、流出額の大きさに危機感を持って、令和元年10月1日から、「ふるさと納税」の返戻品の贈呈を開始しました。今年度の6月時点での税金控除額は、7億7,000万円にのぼっています。この時点で、前年を大きく超えています。今年後半は、大災害があって、被災自治体への「ふるさと納税」が大幅に増えたと思いますからものすごい流出額になっていると思います。

かく言う私も、被災地への寄付に、ふるさと納税のサイト経由で、「ふるさと納税」を使った一人なので、ちょっと複雑です。ただし、被災地への「ふるさと納税」は返戻品なしで、サイトも自治体から手数料をとらないということなので、そのまま税金として生きるとは思いますが…。

一般の「ふるさと納税」には、返戻品の代金3割と事務経費2割)がかかりますので、1億円の流出をカバーするには2億円のふるさと納税を集めなければならないのです。こうやって「税金」が自治体間を動く間に、半分が消えていくのです。

今回被災地寄付のために、初めての「ふるさと納税」のサイトを見ましたが、まるでショッピングサイト!おいしそうな海産物やお肉の写真に思わず心が動きます。

自分の自治体に納税したら、何もお返しがないけど、同じ金額を他の自治内に納税(寄付)したら、こんな素敵なプレゼントがあってお得!何をもらおうかな~と選んでいるだけで、その自治体に寄付する理由なんて飛んでしまっても、当たり前のような気がします。

できるだけお得な制度を利用して支出を減らそうというのは、健全な家計運営から考えたら当たり前のことですから、そのことで、自分の自治体の税収が減って、住民サービスに影響するんだと訴えても、そんなに効果がないと思います。

これでは、自治体の本来の努力が吹き飛んでしまいます。返戻金を何にすれば「ふるさと納税」が集まるか…に頭を使い、貴重な人手を費やすのが、自治体の仕事じゃないのに…。

ちなみに、浦安市への寄付は、返礼品がない去年まで100万円台です。返礼品が始まって、寄付額がどのくらい増えるか注目しています。返礼品は、地場産品、市内の宿泊施設・飲食施設で使用できる「電子感謝券」です。

地方からディズニーランドに来る方が、これを利用して、浦安市民がその地方の特産品をもらうために「ふるさと納税」すると、「行って来い」でとんとんのようですが、税金として使える額は返礼品や事務経費で半分になっているのです。

個人が賢く生活しようと思うと、税金が本来の目的外に使われ目減りしていく…。やっぱり、この制度、おかしいと思いませんか?

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「教える」と「伝える」の区別つかぬ上司は愚痴る資格などない訳

「部下やアルバイトに対して何度も同じことを教えているのに、一向にできるようにならない」というような嘆き節がよく聞かれますが、果たしてそれは、すべてが「教わる側」の責任なのでしょうか。今回の無料メルマガ『飲食店経営塾』では飲食店コンサルタントの中西敏弘さんが、「教える」と「伝える」の根本的な違いを挙げるとともに、多くの「教える側」の人がただ「伝えるだけ」の状態で終わってしまっているという事実を記しています。

「教える」とは、相手をできるようにさせること!

「何度も言ってるんですが……」
「言ったんですけど、やらないんです」

なんて言葉をよく店長さんから聞きます。時には、社長さんからも聞くこともあります。でも、これって、教えることの本質を理解してないって現れなんですよね!

「教える」というのは、相手をできるようにさせることであって、相手ができるようになってないのであれば、それは、「伝えたに過ぎないということです!

この、伝えた状態に過ぎないことが、飲食店の現場ではたくさん起こっています。

  • 出迎えのときは、必ず、お客様の近くまで迎えに行こうって決めているのにできない
  • この商品を提供した時には、この商品の特徴や食べ方を説明しようって決めたのにできない
  • 皆の前で、理念、クレドを説明できるようにしようって言っていたのにできない
  • この商品は高さを出そうって言っているのにらできない

などなど、こんな感じで「できないんです」と店長が言うことがすごく多い。でも、これらのことって、繰り返し何度も何度も練習させたり何度も何度も注意すれば誰でもできること。

つまり、「教える」、相手をできるようにさせるには、反復練習がすごく大事で、それと併せて、常にできているかどうかをチェックしてできるまで常に見るということが大切なのです。

でも、教える側は、これが面倒!だから、多くの人が、伝えた状態で終わってしまうのです。

さて、みなさんは、きちんと「教える」ことができていますか?

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見るのは利益だけじゃない。社員に溜まったウミを出す簡単な方法

企業や店舗の売上が立たない理由の一つに挙げられる、現場のモチベーション不足。問題解決のプロは、スタッフの意識をどのようにして変えてゆくのでしょうか。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では経営コンサルタントとして活躍中の梅本泰則さんが、自身が行い職場の雰囲気や売上が大きく改善した3つのコンサルティング事例を紹介しています。

従業員のモチベーションを上げる

お店にとっての問題は、売上や利益に関することだけではありません。従業員に関する問題も多いです。今回は、その従業員のモチベーションを上げるために行ったコンサルティング事例を3つ紹介します。最初は「サンキューカード」です。

そのお店から相談があったとき、業績は赤字でした。当然、「どうしたら業績が回復するか?」という相談です。私は決算書を見ながら、赤字になった原因を探っていきます。比較的容易に対策は見つかりました。商品戦略と販売戦略の見直しをしよう、ということになります。

ところが、店主と話を進めていくうちに、もっと違った問題が見えてきました。どうも、社員のモチベーションが低いようです。戦略を実行する人たちのやる気がなければ、うまく進んでいきません。

よくみると、社員間のコミュニケーションがうまく取れていないようでした。そこで、戦略の実行の前に、皆さんに「サンキューカード」に挑戦していただくことにしました。社員同士が名刺大のカードにありがとうと書いて渡し合います。「○○さん、商品整理を手伝ってくれてありがとう。△△より」といったように。

カードを貰った人は、事務所内の「サンキューカードボックス」に投函します。そして、1ヶ月後にカードを一番多く貰った人と一番多く書いた人を皆の前で表彰する、という仕掛けです。目的は、社員同士が感謝をし合う習慣を作り活気のある職場にすることです。

ところが、最初のうちは、誰もカードを書こうとしません。当たり前です。そこで、店主が積極的に「サンキューカード」を書くようにしました。すると、徐々に書き始める人が現れます。

「ボックス」にカードが増えていきました。ボックスのカードは誰でも見られますので、皆さんカードのことが気になって仕方がありません。1ヶ月後、何とボックスにはカードがあふれるほどになりました。

その後もサンキューカードを続けます。それによって、どんどん社員の皆さんが明るくなって行くのが分かります。社員同士、お互いのことを気遣うようにもなりました。あきらかに元気な売場になったのです。

その結果、1年後、お店の業績は回復しました。もちろん、サンキューカードだけで回復したわけではありません。売上や利益を上げるための手もうちました。しかし、サンキューカードでモチベーションが上がったことが、その後の実行につながったのではないでしょうか。

不満社員をなくす

次は、不満社員をなくすことができた事例です。

お店に不満を持った社員のいるお店がありました。よくあることです。社員一人の不満はほっておくと他の社員に伝染します。悪貨は良貨を駆逐する、というやつですね。そうなると、お店の中が不満の渦です。これはなんとかしなくてはなりません。

その社員は、経営者や上司とコミュニケーションが悪いわけではありません。仕事はきちんとしますし、反抗的な態度を取ることもありません。ただ、悪口が多いのです。社員同士で会話をする時、お店の悪いところや取引先の悪いところ、はてはお客様の悪いところを指摘するのです。

何とかならないでしょうか。実は、何とかなるのです。なぜなら、この社員の悪口は、いわば「クセ」だからです。いつも、どんなことに対しても悪いところばかりが目についてしまうというクセなのです。往々にして、自分は頭が良いと思っている人が陥りがちなクセです。ですから、このクセから解放してあげることが、この場合の解決策になります。

そこで、私は社員全員の方に「お店の良いとこリスト50」というものを書いていただくことにしました。一人ひとり最低50個の「お店のいいところ」を書き出してもらいます。

こんなことはしたことがありませんから、皆さん戸惑っています。最初の10個くらいは出ても、50個ともなると苦心惨澹です。何とか時間をかけて、皆さんに提出してもらいました。

全部でお店の良いところが数百にも上ります。そうしたら、お店の中の雰囲気が徐々に良くなっていきます。例の社員の影響を受けていた社員も、悪口を言わなくなりました

どうしてでしょうか。「いいとこリスト」を書く作業を通じて、「いいところを見る感覚に目覚めたからです。そして、悪いところばかりを見るクセが無くなっていったからです。

もちろん、皆で考えたお店の良いところをお互いが分かりあえましたので、お店の中は「いいところ」でいっぱいです。肝心の、例の社員も悪口が減ってきました。恐るべし「いいとこリスト」です。

ちょっと考え方を変えるだけで、人というのは良くも悪くもなります。こんなこともコンサルタントの仕事です。