ロシア「核使用」示唆も発言ぶれぶれ。米バイデンがもたらす地球全体の危機

10月8日のクリミア大橋爆破に対する報復攻撃で、凄まじい怒りを示したロシアのプーチン大統領。核の使用も脅しで済まないように思えてきますが、ロシアの動向を注視するアメリカはどう見ているのでしょうか。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では、国際政治経済学者の浜田和幸さんが、バイデン大統領の発言のぶれを指摘。ロシアが戦術核を使った場合の対応についても確たる言葉を口にせず、このままでは両国の核が乱れ飛び、人類と地球が危機に瀕することになりかねないと危惧しています。

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迫りくる核戦争の脅威:ぶれまくるバイデン大統領

ぶっちゃけ、バイデン大統領の発言はぶれまくっています。先週は近づく中間選挙の応援演説の中で「世界は核戦争に飲み込まれようとしている。1960年代のキューバ危機以来の一大事だ」と危機感を露にしました。

ところが、今週のCNNでのインタビュー番組においては「プーチン大統領が戦術核の発射ボタンを押すことはないだろう」と回答。「核戦争の脅威の源泉はロシア」と言っていたはずでしたが、「プーチン大統領はそうした決断をしないだろう」と言うのです。

この点をインタビューで問い詰められると、バイデン大統領は「本人にその気がなくても、間違ってボタンを押すこともあるだろう。計算間違いということもありうる」と、妙な説明に終始していました。

国家安全保障会議のカービー報道官も尻ぬぐいに大慌てのようです。曰く「モスクワが核使用に向けて何らかの決断を下したとは思えない」。

しかし、クリミア大橋が爆破され、プーチン大統領はメンツ丸つぶれです。70歳になった翌日のテロ攻撃でした。しかも、2014年のクリミア併合を大勝利と宣言し、ロシアとクリミアを結ぶ大動脈として大橋の完成式典には自ら出席していたプーチン大統領です。いわば「秘蔵っ子」のような19キロの長さを誇るクリミア大橋を爆破されたわけですから、その直後のウクライナ各地へのミサイル攻撃もかつてないほどの規模で展開されました。

プーチン大統領の怒りは収まる気配がありません。となると、バイデン大統領がしばしば口にしていた「アルマゲドン」もあり得る話でしょう。その点を更に問い詰められると、バイデン大統領は困った様子で、次のように言葉を濁らせました。

「ロシアがウクライナに核兵器を打ち込んだ場合に、アメリカがどう反応するかは明らかにするわけにはいかない。可能性はあるだろうが、我々がどうするか、あるいはどうもしないか、その詳細は言えない」。

こうしたバイデン大統領のぶれぶれ発言をプーチン大統領はどう受け止めているのでしょうか。ロシアが保有する核弾頭は5977発で、アメリカは5428発と言われています。万が一、米ロの核戦争となれば、その被害や影響はウクライナやヨーロッパに限定されません。

アメリカのラトガース大学の計算では地上の温度は16度ほど低下するため、地球規模での食糧危機が発生するとのこと。ぶっちゃけ、ウクライナ危機は人類全体を飲み込む地球危機をもたらすことになりかねません。

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アントニオ猪木氏の秘書「電事連から1億円」という“捨て身の告白”の闇

10月1日、元プロレスラーで参議院議員を2期務めたアントニオ猪木氏が79歳で亡くなりました。故人を偲び、数々の偉業や豪快なエピソードなど“礼賛”が溢れるなか、猪木氏の元秘書が暴露した金にまつわる話をツイッターで紹介し物議を醸したのは、辛口評論家として知られる佐高信さんです。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、ツイートの元になった告白本から別の金絡みの逸話をピックアップ。簡単に大金が動く政界の非常識な感覚を呆れたように伝えています。

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「電事連から1億円」猪木の秘書、捨て身の告白

3日にツイッターで

「アントニオ猪木が亡くなって、メディアには礼賛記事が溢れているが、彼について思い出すのは、青森県知事選挙で原発推進候補を応援したことだ。最初に原発一時凍結派の候補から150万円で来てほしいと頼まれた猪木は行くつもりだったが、推進派のバックの電事連から1億円を提示されてそちらに行った」( @satakamakoto 午後5:26 · 2022年10月3日

と発信したら反響があった。

ネタ元は猪木の秘書だった佐藤久美子の『議員秘書、捨身の告白』(講談社)。1993年に出たこれが訴えられなかったから、私も前に『原発文化人50人斬り』(光文社知恵の森文庫)で紹介した。

改めて読むと、いろいろアブナイ話が書かれている。猪木のスポーツ平和党は例の佐川急便の丸抱えだった。自民党の別働隊だったのか、1987年の選挙の時には自民党の森喜朗が「選挙資金として自由に使ってくれ」と言って、桐の箱に入れた100万円の札束を10個持ってきたという。

スポーツ平和党からは元プロ野球選手の江本孟紀も当選して猪木と2名になる。自民党は民社党とスポーツ平和党の江本に院内会派を組ませて操るつもりだった。それを猪木が悪用することを思いつく。

公設秘書となっていた佐藤は猪木からこう言われた。「マスコミから会派のことを聞かれたら、『猪木は、江本を民社党と会派を一緒にするとは限らないと言っている』と伝えておいてくれないか。民社党のやつら、ビビるぞ」

その3年前の参院選直後、参院民社民は9人で、院内交渉団体の資格を得るには1議席足りなかった。この後、猪木は森から「民社党を助けてやってくれないか」と口説かれ、統一会派を組むことになった。

そんな経験があっての江本問題である。猪木のあげた微妙なアドバルーンにあわてて、民社党委員長の大内啓伍の秘書から連絡があった。お膳立てしたのは森である。

2人そろって大内の部屋を訪ねると、民社党と会派を組むことを条件に、猪木には1,000万円、江本には300万円が手渡された。この時、戻って来た猪木は鼻歌を歌い、スキップするような足取りで大変なご機嫌だったという。

幹事長の新間寿が「どんな話だった?」と聞いても「いや、別に」ととぼける。党が借金を抱えているのに猪木はすべて自分のフトコロに入れるつもりだったのである。ところが、江本が新間に連絡をし、50万円を差し出した。新間が猪木にそれを伝えると、さすがに猪木もバツが悪くなったのか、「実は」と白状し、渋々、400万円を党に入れたとか。

それにしても「自民党と会派を組むかも」という記事が出ただけで、1,300万円ものカネがひょいと動くのである。そのタカリの手口にも呆れるが、政界の常識からすれば、1,300万円なんて少なすぎるような気もする、と佐藤は告白している。

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最悪な「教師ガチャ」を引いてしまった生徒たちが追い込まれる日本の悲劇

本来であれば生徒たちの味方であるべき教師が自ら「いじめを助長」する……、そんなひどい現実が実際に起きています。今回は、無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』を発行する、同ネット代表の井澤一明さんが複数のいじめ事件について言及。ありえない教師の言動や学校のひどい対応への対処法を紹介しています。 

教師ガチャ。一握りのトンデモ教師にあたってしまった子供たちの不幸

先日、中学生のお母さんから相談が入りました。娘が修学旅行に禁止されていたスマホを持っていったことで叱られて、クラス全員の前で謝罪させられることになったという連絡が、学校から入ったというのです。

その子は中1からいじめを受けて、2年になってからは不登校になっていましたが、高校には行きたいと3年に上がってから学校に通い始めたという経緯を持った子でした。それ故に、修学旅行中のいじめが心配で親がスマホを持たせたのです。「うちの子は、みんなの前で謝罪しないといけないのでしょうか」という相談でした。

いじめの危険性があるような状況であれば、親としては緊急連絡用にスマホをもたせるのも当然と言えます。

また、いじめの後遺症が残っている時に、クラス全員の前で謝罪をさせられ、つるし上げにあったら、不登校どころか、精神への大きな被害を受けるのは確実です。

「今から、学校に電話をして『いじめから守ってくれてなかったのに、この仕打ちひどすぎる』と訴えましょう。学校が対応を変えないようでしたら、すぐさま教育委員会に電話して相談すべきです」とお話いたしました。

いじめの対応はできないのに、枝葉末節的な形式的なルール違反には厳しい。そこからは、物事の見極めができない、マニュアル対応しかできない教師の姿が見えてきます。

教師の優先度は、いじめを解決し、安心して修学旅行に参加できる環境を提供してあげることです。残念な対応です。

また、9月半ばぐらいから嫌なニュースが何度も飛び込んできています。

9月13日、埼玉県のJR北戸田駅でさいたま市の中3の女子生徒。

9月21日には、広島県東広島市で、中学生の姉妹。

9月29日、埼玉県毛呂山町の踏切で、女子高校生。

10月8日、大阪府摂津市のJR千里丘駅で15歳の女子高校生と17歳の男子高校生が死亡しました。

いずれも自殺と見られています。新型コロナウィルスが蔓延する以前の例年ですと、夏休みの最後から新学期の始まる9月1日前後に、子供たちの自殺のニュースが多かったものですが、今年は変わっているようです。何が大きく変化したのでしょうか。悔しい事件です。

 

100回以上も交通費を不正受給した社員。会社は懲戒解雇できるのか?

会社から支給される交通費を不正受給した正社員。これが意外と多い不正だと言われていますが、そのことを理由に社員を懲戒解雇したいという会社は、裁判で勝つことができるのでしょうか? 今回の無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、著者で特定社会保険労務士の小林一石さんが、実際の判例を紹介して詳しく解説しています。

交通費を100回不正請求。懲戒解雇は認められるのか

私がご相談いただく内容で意外に多いのが「交通費の不正受給」についてです。これは本当に多いですね。普通に考えれば

「定期券を買う」→「定期券代を申請」→「その金額を会社から受給」

と何も問題が無いように思われるかも知れません。

ただ、もし通常の定期券代が「¥12,800」のところ、「¥14,800」で申請していたらどうでしょうか?毎月¥2,000の不正請求になります。

そこで、それを防ぐために、毎月、定期券のコピーを提出してもらっている会社があります。これで解決しそうなものですが、それほど簡単な話ではありません。

なぜなら、定期券は払戻ができてしまうからです。買ってコピーをとった後に払戻をしてしまえば、そのあとは自転車で通勤していようと徒歩で通勤していようと確認しようがありません。

また、現住所の確認として住民票を提出してもらっている会社もありますが、住民票の住所はあくまで登録上の住所であって必ずしも現住所を証明するものではありません。

これは実際に以前、私が勤めていた会社であったことですが、ある社員が

「住民票は実家のまま」→「実際は会社近くで1人暮らし」→「会社と実家の往復の定期代を受給」

という事件がありました(当時、人事責任者をしていた私にとっては大事件でした)。その他にも不正受給の方法はいろいろとあり、ここですべてをお話はしませんが、どれも結構、簡単にできてしまうため(もちろんみなさんには絶対におすすめはしませんが)トラブルにもなりやすいのです。

 

千利休に「切腹を命ず」。あの秀吉がまるで人が変わったように暴君となった原因は?

千家流茶道の開祖である千利休に激怒し、切腹を命じた豊臣秀吉。実は、この頃の秀吉は以前と比べて人が変わったようになっていたといいます。なぜ、そんなことになってしまったのか、それを紐解くヒントが詰まった一冊をメルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の中で紹介しています。   

秀吉の体調が悪くなったとたん「人が変わった」原因は?【一日一冊】謎と疑問にズバリ答える! 日本史の新視点

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謎と疑問にズバリ答える! 日本史の新視点

新 晴正 著/青春出版社

歴史小説「利休にたずねよ」を読んでいるとき、千利休についての記載があったので手にした一冊です。

秀吉が利休に切腹を命じた理由については、表向きには大徳寺の門の上に利休の木像を置いたことが不敬とされたというものです。

異説としては、利休が茶器を高額で売ったから、秀吉が利休の娘を側女に所望して断ったから、秀吉の朝鮮出兵に反対したから、堺の支配について秀吉と対立したからなどがあるという。

このように数多くの説が出ていますが、真相は秀吉にしかわからないのです。これが歴史小説「利休にたずねよ」が書かれた理由なのでしょう。

謹慎から切腹へ…千利…・七人の弟子のうち五人までがカトリックと深いかかわりを持っていた…さらに、利休の後妻と娘もまたキリシタンだったと言われている(p80)

秀吉は晩年、体調を崩すことが多く、利休や甥の秀次に切腹を命じたり、キリシタンを弾圧したり、朝鮮出兵を行うなど、人が変わったようになりました。

この本ではキリシタン弾圧については、スペイン人がキリスト教を布教し、神社仏閣を破壊し、融和しようという姿勢がないこと。日本人を買い、奴隷として国外へ多数連行していること。キリシタン大名が長崎や浦上の地をイエズス会に寄進してしまっていたことから日本の植民地化を防いだと評価しています。

キリシタン個人から見れば弾圧ですが、国家や組織のレベルと見れば、日本をキリスト教により支配することができなくなり、作戦失敗ということなのです。

橋の爆破で別次元に突入。激怒のプーチンが核ボタンに指を置く日

クリミア大橋破壊の報復として、ウクライナ本土にミサイルの雨を降らせるロシア軍。しかしその標的は、これまでとは大きく変化しているといいます。そこにはどのようなメッセージが隠されているのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、ロシアが民間施設からインフラに狙いを変えた意味を推測。さらにクレムリン関係者が明かした「ロシア政府が恐れていること」と、自身がウクライナ戦争終結のために依頼された重要なミッションを紹介しています。

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クリミア大橋の爆破で、ウクライナ戦争は別次元に入った

プーチン大統領にとってはレガシーとも言えるクリミア大橋が爆破されたことは、ロシアによるウクライナ侵攻を別次元に入れることになったかもしれません。

連日、ウクライナ全土に降り注ぐロシアのミサイル攻撃は、プーチン大統領も公言する通り、ウクライナ大橋の爆破への報復攻撃と言われています。

突如、発令された予備役の招集はロシア国民にとって、ウクライナでの戦争が自分事になり、プーチン大統領と政府が“隣の国”で行ってきた軍事作戦が急に一般国民の生命が賭される“戦争”に変わりました。

対象になりそうなロシア人が国際空港にあふれたり、車で隣国に脱出を試みたりする映像は、世界に【ロシア国内の分断の証】を示しました。

「ロシア国民のプーチン大統領離れ」
「政権内部からも批判が出だした」
「軍の総司令官の交替」
「政権・軍内の過激派からは、ショイグ国防相の逮捕の声が上がった」

いろいろな情報が錯綜しましたが、確実に言えることは、予備役の招集はロシア国民を動揺させ、初めてこの戦争を自分のこととして捉えるきっかけになったと言えます。

このまま、分断が進むのかと思われた矢先に行ったのが、クリミア大橋の爆破です。

ほぼ確実にウクライナによる仕業と言われていますし、大統領府顧問も攻撃を示唆するような発言を繰り返していますが、この事件はまたロシア国民の対ウクライナ戦争への感情と、プーチン大統領への支持を反転させることになったようです。

ロシアのミサイルによる報復攻撃は、老若男女問わず、広く支持を集めており、中にはウクライナへの攻撃レベルを引き上げることを支持するような意見も出だしました。

このレベルアップが、即時に核兵器による攻撃への支持と受け取るのは短絡的かと思いますが、これまでにも“世論の変化”を巧みに利用し、権力基盤を固めてきたのがプーチン大統領ですから、どのような判断をするかは彼にしかわからないと思われます。もしかしたら自身も分かっていないかもしれません。

ただ、自らのレガシーとも言えるクリミア大橋に手を出したウクライナに対し、今後、プーチン大統領とその仲間たちがどのような報復を仕掛けるかは非常に心配です。

ちなみに、皆さんもすでにお気づきかと思いますが、ここで報復という表現を使っているのは、完全にロシア側からの勝手な視点がベースになっています。

2014年のクリミアの一方的な編入と併合は、ロシア人比率が多かったことと、ロシアに対する負の影響があまり出ないうちに完遂したこともあり、ロシア国民の支持を集め、プーチン大統領と政権への支持拡大につながりましたが、実際には、ロシアによる一方的な蛮行ですが、ロシア国民にとってはすでに自国の一部という意識が広がり、今回の大橋の爆破は、ロシアへの挑戦と受け取られているようです。

情報操作の怖さが分かるでしょうか?

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生産性向上よりも“日常を過ごしやすくする”ため。常識をくつがえす「タスク管理法」をプロが伝授

高い生産性を求められる上に、ガチガチの完璧なタスク管理に「疲れてしまった」「管理が破綻してしまった」という人は意外に多いのではないでしょうか。そこで、生産性も気にせず、完璧ではなくてもいいという今までの常識をくつがえすタスク管理法を伝授するのが、Evernote活用術等の著書を多く持つ文筆家の倉下忠憲さん。倉下さんは自身のメルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』の中で、高い生産性よりも「日常を過ごしやすくするため」を目的とした画期的なタスク管理法を伝授しています。

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倉下のタスク管理手法(2022年モデル)

今回は、最近の倉下の「タスク管理手法」について書いてみます。

といっても、以下の点に注意してください。

  • 大げさな話はありません
  • 統一的な方法はありません
  • 高い生産性は気にしていません

まず、とびっきりの新しい方法でもなければ、人生をゼロから変えるような方法でもありません。日常的な方法と考え方で構成された「当たり前」の話ばかりです。

でもって、一つの方法で全体を統一することもしていません。ある部分は方法Xを、別の部分は方法Yも、といった形になっています。だから、説明すると非常に複雑になります。これはまあ、現実だからどうしようもありません。

最後に、こうしたことをする目的は「高い生産性を得るため」ではなく、「日常を過ごしやすくするため」です。

もちろん、その「日常を過ごしやすくする」の中には、「適切に仕事を行うこと」も含まれているので、生産性をまったく気にかけないわけではありませんが、主要な軸ではありません。英語圏では、この手の話題は productivity に分類されますが、私の関心はそこにはありません。

というわけで、ここから展開するお話は、巷で検討される「タスク管理」とはずいぶん違った趣になるでしょう。それを踏まえた上で、お楽しみください。

では、はじめましょう。第一回は、「やること」の管理についてです。

■日々の「やること」管理

私の「やること」管理のベースは、「デイリータスクリスト」です。『Re:vision』でも紹介しているので、ご存知の方も多いでしょう。

やっていることは、本当に単純です。

朝一番に「その日やること」を書き出します。もう少し言えば「その日やろうと思っていること」「その日できたらいいなと思うこと」を書きます。この辺のニュアンスは微妙なので、後ほど具体例を含めながら検討しましょう。

ともかく、朝一番に書き出すのですが、その先はタスク管理ツールでもなく、アウトライナーでもなく、テキストファイルです。その日の日付のファイル(たとえば20220831.md)の先頭あたりに、一行一「やること」で書き出します。

たとえば、このような感じになります。

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ここで書き出すのは、あくまで朝一番の時点で「これは今日のやることだ」と思ったことだけです。それ以上のことは書きません。

  • 「やること/やるべきこと」であっても、その日に着手するつもりがないものは書かない
  • 「やること/やるべきこと」であっても、朝一に思い出せなかったものは書かない(でよい)
  • 日課や日常的な活動は書かない

非常に限定的なリストです。その日の行動を細かいレベルで記述するタスクシュートとも違いますし、自分がなしうるアクションのコンテキスト別リストを作るGTDとも違います。あくまで、「朝一の、自分にとっての、その日の、ポイント」を書き出すだけなのです。

だからその数は多くて10程度になります。少ないときなら3~4個程度で収まります。それくらいにシンプルなリストから始めるのが、私のデイリータスクリストです。

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クリミア大橋爆破で勢いづくプーチン。米がウクライナに“テロ”を命じた訳

10月8日の早朝に発生した、クリミア大橋の爆発事故。ウクライナによるテロとの見方が広がっていますが、その裏には複雑にして怪奇な思惑が渦巻いているようです。今回の無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』では著者で国際情勢解説者の田中宇(たなか さかい)さんが、海峡大橋の爆破をウクライナに指示したのは米諜報界と断定。その上で、彼らがこのテロを必要としていた理由を解説しています。

米国がウクライナにテロやらせてプーチンを強化

10月8日、クリミア大橋で爆破テロが起きた。クリミア半島とロシア本土をつなぐこの橋は、2014年に米国が政権転覆によってウクライナを傀儡化してロシア敵視国に転換し、対抗策としてロシアが、重要なセバストポリ軍港を擁するクリミアを自国に併合した後、2015-18年に建設した。クリミア半島はウクライナと陸続きだが、ロシアとは海を隔てており、ロシア併合後の流通の円滑化に橋の建設が必要だった。クリミアはもともとロシア領で、ロシア系住民が多いが、1950年代に権力者だったフルシチョフが策略の一つとしてウクライナに編入した。ソ連時代はロシアもウクライナもソ連国内だったため、クリミアがどの共和国に属しているかは大した問題でなかった。ソ連崩壊後、ロシアは、外国となったウクライナがクリミアを領有することを認めたが、その条件は、ウクライナがロシア敵視の国に変質しないことだった。

Large Explosion Destroys Part Of Key Bridge Linking Russia To Crimea; Zelensky: This Is “The Beginning”

ウクライナは、冷戦後の当初、ロシアとの関係がわりと良好で、セバストポリ軍港をロシアに貸与していた。だが、2014年の政権転覆でロシア敵視の米傀儡国になった後、ロシアへの軍港貸与をやめると発表した。ロシアは、クリミアをウクライナ領のままにしておく条件が失われたと判断し、ロシアへの編入を問う住民投票を経てロシアに併合した。その後、クリミア大橋が建設された。米傀儡のウクライナ政府はクリミアが自国領であると主張し続け、クリミアを武力で奪還する、クリミア大橋を破壊する、と言い続けてきた。今回の爆破直後、ゼレンスキー大統領の側近(Mikhail Podoliak)が「これは始まりにすぎない」と英語でツイートし、ウクライナ当局が橋を爆破したこと、今後もロシアに対して似たような攻撃を続けることを示唆した。

Observers: Crimean Bridge Attack Takes Ukraine Crisis to New Phase Where Infrastructure is Fair Game
Putin Decries “Act Of Terrorism” On Crimean Bridge, Identifies Ukraine Secret Services As Culprits

これとは別に、米国の報道によると、匿名のウクライナ高官が、大橋の爆破がウクライナ当局によるものだと認めている。また、ウクライナ政府は爆破の数時間後、爆破を祝賀する記念切手の発行を発表している。発表のタイミングからみて、ウクライナ当局は大橋の爆破を計画・挙行し、記念切手の発行まで事前に決めていた可能性が高い。ロシア政府は10月10日、クリミア大橋の爆破はウクライナ(内務省)の秘密警察(諜報機関)によるテロ行為だと発表した。これらの状況からみて、大橋を爆破したのはウクライナ当局である。ロシア軍は10月10日、クリミア大橋へのテロ攻撃への報復として、ウクライナ国内20都市のインフラをミサイル攻撃して破壊した。

Senior Ukrainian Official Confirms Ukraine Orchestrated Truck Bomb Attack On Crimean Bridge; NYT Reports
Ukraine unveils stamps celebrating Kerch bridge explosion – hours after the attack

NHK受信料は「コーヒー1杯分」の大ウソ。年36時間の無賃労働を国民に強制するヤクザ顔負け公共放送に批判殺到、「値下げ案」評価されず

NHKは11日、受信料の値下げ案を発表。23年10月から地上波は月額125円~175円安く、衛星(BS)は月額220円~270円安くなるとした。しかしその2日後の13日には受信料の未払いに対して、2倍の割り増し金を請求することを検討しているとして大炎上。「やくざのみかじめ料か!」「早くスクランブル化しろ、絶対に契約しないぞ」などネット上では批判の声が殺到している。

「値下げ」でもNHK受信料の理不尽ぶりは変わらず

NHKの受信料は現在、地上波で月額1,275円、BS料金はプラス2,170円で、2023年10月からの「値下げ済み」料金は、それぞれ月額1,100円、1,950円となる。

持ち家でデジタルテレビを購入した人は、必ずといって良いほど「パラボラアンテナ」を取り付けるため、強制的に衛星(BS)にも加入させられてしまうことになる。自宅にテレビがある人は、たとえNHKをまったく見なくても、毎月3,050円もの金額をNHKに支払わなければならない。

アパートなどの賃貸は地上波契約だけの契約を選択できるが、それにしても月額1,100円は痛い出費だ。たとえ1日あたり「コーヒー1杯分の料金」と言われても、そもそも全く見ていないNHKに料金を支払うのは納得できない視聴者が大半だろう。

特に、Amazonプライムや Netflixなど、サブスクリプションに慣れている視聴者にとって、NHKの受信料はバカ高いと思われても仕方がない。

サブスクは散々見倒しても月額500円から1000円なのに比べ、まったく見ていないNHKに定額を支払わされる意味不明ぶりは何も変わらない。電気や水道は使った分だけの支払いなのに、なぜ NHKだけは強制加入なのか? しかも、未払いに対して「割増料金」をとるとは、「あこぎ」を通り越して「詐欺行為」と言いたくなる。

なぜNHKの受信料はここまで高くなったのか?

NHKの受信料は1953年当時、月額200円からスタート。70年中頃には465円に、バブル期の1990年代には一気に値上がりし1300円代になって、長らく金額はそのままだった。

ここまで受信料が高くなったのには、様々な要因がある。

ひとつは「国際放送」だ。NHKは、テレビとラジオで外国人と外国在住の日本人に向けて、無料放送を実施している。世界に向けて放送することは「放送法」で義務付けられているが、そのための費用まで、日本在住の視聴者が払わなければならないのはあまりに理不尽だ。

もうひとつは、「無駄にチャンネル数が多い」こと。特に高画質にこだわって開発した4Kや8K専門チャンネルは、大いなる無駄と言わざるをえない。

高画質はハイビジョン放送で十分であり、日本人の家はこれ以上大きくならないのに、テレビ画面の大きさは広げる必要はなく、しかも画質が良すぎると、女優の肌質やセットの粗が目立つだけと、デメリットも多い。

酷評された朝ドラ「ちむどんどん」のように、テレビの画面が良くても肝心のドラマの内容が悪ければ「受信料の無駄遣い」と指摘されても仕方がないだろう。

さらに問題なのは、「過度な民放化」だ。人気を回復しようと、民放の真似をしてバラエティ番組を強化したがために、ギャラの高い人気タレントを多数起用して出演料も高騰した。

しかし、いくら頑張ってもバラエティ番組で民放に勝てるわけがなく、ニュースを中心に「公共性のある番組だけに絞った方がいい」という視聴者の声が圧倒的多数のようだ。

NHKは、理由も告げず国会審議を放送しないケースが多々あることでも批判されている。国会中継にはNHKの判断だけでなく、国会側の要請・許可がないと放送できないという制限があるとはいえ、公共放送としての役割を果たしているとは言いがたい。大相撲や高校野球の中継はノーカットで放送しているのに……と納得がいかない人が多いのは仕方ない。

そんな不満を持つ視聴者の多くが望むのは「 NHKのスクランブル放送化」だ。見たくない人は、はじめから見なければいいし、見たい人だけが契約をすればいい。NHKが無くても情報を取得できる手段など、今はいくらでもある。ネットにも「緊急時にだけ対応してくれればそれで十分」という声が多い。

実質、年36時間の強制労働。NHKの受信料は高かった

一方で根強いのが「NHKの受信料は安いので文句言わずに払え」という人たち。「1日に缶コーヒー1本にも満たない金額で見られるのだから安いもの」という考え方だ。

しかし、何でも日割りで計算するのは、たちの悪いセールスが月額支払いに加入させるためのお粗末な論法だ。

しかも、NHKは生活に困窮している人たちに対しても、一方的に受信料を求めている。

地上波の1年分の受信料を払うためには、全国平均の最低賃金961円換算で、年12時間以上も余分に働かなければならない。

BS料金を含めれば月3050円。日割りにすれば安く見えるかもしれないがそれは錯覚で、私たちはNHKのために年36時間以上も無賃労働しているようなものなのだ。

NHKは「親元を離れた学生たちは受信料の支払い不要」と発表したが、本当に受信料を支払わなくて良いようにすべきは生活困窮者であり、契約を望まないすべての国民であるはずだ。

あらゆるサービスが、より便利に、より安くなっているにもかかわらず、時代に逆行したようにNHKは未払いを厳しく取り締まろうとしている。さらに、スマホを持っている人全員から受信料を取ろうという計画も水面下で進行中だという。

サービスの向上をなおざりにして、受信料の徴収だけに躍起になっているNHK に未来があるとは思えない。

中国の背中すら見えず。日中国交正常化50年で低下した日本の国力

去る9月29日、国交正常化から50年という節目を迎えた日本と中国。しかしながら今や両国の力の差は歴然で、日本にとって中国は到底手の届かない存在となっています。何が中国をここまで成長させたのでしょうか。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』では著者でジャーナリストの伊東森さんが、日中国交正常化前夜から現在に至るまでを振り返りつつ、その要因を考察。「もはや中国と日本を同列に語ること自体が先方に対して失礼」との見解を記しています。

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

 

日中国交正常化50年 前進する中国 逆行する日本 「独自外交」なき自民党

日本と中国は9月29日、1972年の国交正常化から50年を迎えた。岸田文雄首相と習近平国家主席はメッセージを交換し、岸田首相は、

「国交正常化を成し遂げた原点を思い直し、ともに日中関係の新たな未来を切り開くことが重要だ」(*1)

とし、一方、習氏は、

「私は中日関係の発展を非常に重視している」(*2)

と強調。

日中共同声明は、日本と中国が国交正常化のために1972年9月29日に北京で調印された、両国関係の基礎となる文書。日中は、

「一衣帯水の隣国で長い伝統的友好の歴史を有する」

と明記。戦争状態の終結を確認した。

文書では、日本が過去の戦争で中国国民に重大な損害を与えたとし、

「責任を痛感し、深く反省する」

と表明。中国は、日本への戦争賠償請求の放棄を宣言した。

国交正常化当時、中国は1,000万人ともいわれる死者を出す「文化大革命」の最中にあった。そして、貧しく弱かった。しかし半世紀を経て、日本をはるかに追い抜き、アメリカと覇権を競う強大な国へと変貌。

他方、岸田首相は経団連などが主催した都内で開かれた行事さえ出席せず(*3)、保守派の対中強硬路線を常に意識するなど、“独自”のアイデンティティさえ持てないでいる。

目次

  • 独自外交なき50年
  • 前進する中国
  • 逆行する日本 円の実力 50年前と同レベル

独自外交なき50年

日中国交正常化への取り組みは、アメリカと中国との国交正常化への道を開いた1971年のキッシンジャー大統領補佐官(国家安全保障担当、当時)の極秘訪中に端を発す。

それ以降、アメリカは中国に対しては「関与政策」を取り続けた結果、中国は軍事・経済の両面で日中の脅威となる。

他方、この関与政策は、高度経済成長を果たし、アメリカにとっても“脅威”となった日本の国力の抑え込みという側面もあった。事実、キッシンジャー氏の訪中は、同盟国の日本にさえ知らせないという極秘中の極秘。

一方、常に“独自外交”を続けた田中角栄は、ロッキード事件により、結局、葬り去られる。以降の日本の政治家の頭には、常に独自外交の言葉は存在せず、結局、日本は、アメリカの“下請け国家”になり果てた。

「ドイツのように補助協定を結んで駐留米軍人の行動を抑制すべきなのにそれをしない。それどころか、有事駐留を口にした鳩山由紀夫は米国から袋叩きに遭った。同盟国とはいえ、吉田茂以来、初めて米国にノーと言った角栄が政治的に葬られたのと同じ文脈です。」(*4)

2020年代以降、米中対立は先鋭化する。ロシアの脅威も相まって、世界のブロック化が進む一方、米中の対話のチャンネルまでは閉じてはいない。

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