コンビニドーナツも?心筋梗塞のリスク高めるトランス脂肪酸入り食品

昨年6月アメリカの食品医療薬品局は、加工油脂に含まれる「 トランス脂肪酸 」の食品への添加を2018年の6月以降は原則禁止にすると発表があり、我が国でも大きな話題となりました。

心臓病や心筋梗塞のリスクを高めるとされ、アメリカでは「安全とは認められない」と結論づけられたトランス脂肪酸。

いったいどんな食べ物に含まれているのでしょうか?また、健康にはどのような影響があるのでしょうか?

あらためて見ていきたいと思います。

トランス脂肪酸が含まれている食品って?

トランス脂肪酸は、天然の食品に含まれているものと油の加工や精製を通した過程で作られるものの2種類があります。

前者のトランス脂肪酸は、主に牛肉や羊肉、牛乳、乳製品に含まれているのが特徴的です。

一方で生成される後者のトランス脂肪酸は、「水素添加」という加工技術によって作られます。

これは、植物油や魚油から油脂をつくる方法のひとつです。

主にマーガリンやファットスプレッド、ショートニングが挙げられます。

また、これらを原材料に使ったクッキーやクラッカー、スナック菓子、ケーキ、ドーナツ、ピザや揚げ物に含まれるため、意識せずとも摂取していることが多いのが特徴です。

さらに、植物性のサラダ油も製造過程のなかで微量のトランス脂肪酸が生成されます。

トランス脂肪酸による身体への影響は?

日常的に摂取することも多いトランス脂肪酸。

長期に渡って過剰摂取することにより、血中の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減少されるとみられています。

これによって動脈硬化を起こし、心臓病や心筋梗塞などの危険性を高めると言われています。

トランス脂肪酸 が与える健康への被害を恐れ、アメリカやヨーロッパ、イギリス、フランス、カナダ、オーストラリアなどの多くの国では問題視されています。

日本では制限されていないのは何故?

海外では制限されることもあるトランス脂肪酸は、今の日本では制限されていません。

WHO(世界保健機関)では、トランス脂肪酸の摂取量を総エネルギー摂取量の1%未満にするように指示しています。

日本人が1日に消費するエネルギー平均は1,900kcal。

つまり、総エネルギー摂取量の1%は1日で2gになります。1人あたり1日に摂取すべきトランス脂肪酸の目標量は2g未満。

2008年に農林水産省が実施した調査研究によると、日本人が1日あたりに摂取しているトランス脂肪酸は0.92~0.96gが平均と推定されているため、総エネルギー摂取量の0.44~0.47%に相当します。

これは、WHOが勧告する摂取量の1%未満にとどまるため、問題にする必要はないと考えられているのです。

ちなみに、100gあたりの食品中に含まれる脂質やトランス脂肪酸の含有量で1gも超えるものは次の通りになります。

・クロワッサン:0.293.0g

・味つけポップコーン:13g

・和牛ロース・サーロイン:0.521.4g

・チーズ:0.481.5g

・生クリーム:1.01.2g

・バター:1.7g2.2g

・マーガリン:1.7g2.2g

・クッキー:0.213.8g

(食品安全委員会:2007年「食品に含まれるトランス脂肪酸の評価基礎資料調査」より)

とはいえ、日本人がこれらの食品を1日に100g以上摂取することはごく稀です。

日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量はWHOの基準値よりも少ないため、日本ではトランス脂肪酸に対する厳格な規制はありません。

とはいえ、いずれにしても過剰摂取は禁物です。

栄養バランスを考え、トランス脂肪酸をとりすぎないよう日頃から注意しましょう。

執筆:山本ともよ(管理栄養士)

参考:農林水産省
   食品安全委員

<執筆者プロフィール>
山本ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士、サプリメントアドバイザー、食生活アドバイザー
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中

 

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【熊本地震】避難所で体調を崩さないために大切な5つのこと

4月14日、16日に発生した「平成28年熊本地震」。被害に遭われた方、避難所で不自由な生活を強いられている方のために、無料メルマガ『Dr.ハセのクスリとサプリメントのお役立ち最新情報』では、ご自身も避難所生活の経験があるDr.ハセさんが、厚生労働省の出した被災地での健康を守るマニュアルの内容を紹介しています。

災害時でも健康だけは!

今回の熊本・大分での地震災害にあわれた方、頑張ってください。

以前私も土砂災害で家屋の全壊を経験したことがありますが、何年たっても思い出したくないことです。そのとき、避難生活も経験したのですが、今回の災害にあわれた方には、何とかこの時期を乗り切られますよう、心からお祈り申し上げます。

数年前に厚生労働省が「被災地での健康を守るために」とする情報を出しています。「あのとき知っていたら」と思うことがいろいろ書いてありますので、是非読んでいただきたいと思います。その内容を箇条書きにしましたので、ご覧下さい。

1.生活・身の回りのことについて

(1)暑さへの対策:今回の地震ではあまり気にしなくてもよいかもしれませんが、脱水や熱中症で体調を崩さないように注意することが必要です。できるだけ暑さを避け、こまめに水分・塩分補給を。

(2) 水について

  • 水分の確保:さまざまなストレスやトイレが整備されないことが原因で、水分をとる量が減りがちです。特に高齢者は脱水になりやすく、また尿路感染症心筋梗塞エコノミークラス症候群などの原因にもなるので、しっかりと水分をとるようになさってください。
  • 飲料水の衛生:給水車の水でも当日給水のものを使用しましょう。井戸水を使用するときは煮沸を。

(3)食事について

  • 栄養:できる限り食物をバランスよく食べるようにしましょう。国立健康・栄養研究所の「災害時の健康・栄養について」をご覧ください。
  • 食品の衛生:手洗いを励行し、提供された食事は早めに食べましょう。下痢、腹痛、嘔吐、発熱等の症状がある方や手に傷のある方は、食品を取り扱う作業をしないように。

(4)トイレの衛生:「避難所等のトイレの消毒方法、手洗いなどについて」の厚労省の注意事項です。

(5)生活環境

  • 室内:避難生活が長期に及ぶと布団にダニが繁殖しやすいので、定期的な清掃のほか、布団・毛布等の日干しを行うことが望ましいです。
  • 屋外:ゴミは定期的に収集し、避難所外の閉鎖された場所において管理を。
  • プライバシーを確保できる空間や仕切りなどを確保する。

社員が電車で痴漢したら、会社はどこまで「処罰」できるのか?

従業員が私生活で犯した罪を会社は罰することができるのでしょうか?飲酒運転や痴漢など、あってはならないことが万が一起こってしまった場合に会社としてどこまで介入することができるのか、無料メルマガ『採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』で、現役社労士に詳しく聞きました。

注意!従業員の私生活上の行為への処罰は慎重に

たとえば、御社の従業員が犯罪を犯したとします。それも、仕事とはまったく関係ないことで…。あるいは、社内で不倫をしていたとします。このような事実が発覚したとき、従業員を罰することができるでしょうか? 懲戒処分を科すことができるでしょうか?

基本的には、従業員が私生活上で何を行っても、会社がとやかく言うことはできません。ましてや、その行為に対して、処罰を行うなどできる訳がない。

従業員は、御社に対して労働力あるいは労働時間を売っているのであって、私生活を売っているわけではない。私生活に御社の支配権が及ぶなどという考えは、傲慢そのもの、到底許されるものではありません。これが、従業員の私生活上の行為に対する基本的な考え方です。

しかし、例外もあります。それは、従業員の私生活上の行為が、御社の事業活動に悪影響を与えたり、御社の社会的評価や評判を下げるような場合。

たとえば、痴漢行為。小田急電鉄の社員による電車内でのたび重なる痴漢行為に対する懲戒解雇が有効とされました(まあ、何度も痴漢で捕まっておきながら、懲戒解雇になって、その無効を争うなんて、とんでもないゲス野郎だけど…)。この事件では、痴漢撲滅に力を入れている電鉄会社社員による痴漢行為ということで、厳しい処分も有効とされました。しかし、同じような電車内の痴漢行為でも、初犯で、しかも執行猶予判決が出された者への懲戒処分を無効としたものもあります。バスやタクシーの運転手が行った飲酒運転に対する懲戒解雇などの厳しい処分は、認められやすい傾向があります。

要は、従業員の私生活上の犯罪行為であっても、それが、その従業員の職務と密接に関連するような場合には、厳しい処分もOKとなり易いということです。

創業者の反逆。セブン&アイの退任劇に見る、カリスマ時代の終焉

5期連続で過去最高益を上げ、コンビニ業界で一人勝ちの様相といった感じのセブン-イレブン。その「育ての親」であり、カリスマ経営者として名高い、セブン&アイの鈴木敏文会長が引退を表明したことは大きな衝撃を与えました。無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では、鈴木敏文会長の引退を20世紀型のカリスマ時代の終焉を意味していると解説。カリスマなきリーダーばかりの現代社会の先行きを不安視しています。

セブン&アイの混乱に見るカリスマ時代の終焉

コンビニ業界のカリスマ、育ての親ともいわれたセブン&アイ・ホールディングス(セブン&アイ)の鈴木敏文会長が、突然引退を表明した。セブン-イレブンの井阪隆一社長の交代を提案したところ否決されてしまったのだ。

役員15人のうち賛成が7、反対6、白票2で過半数に1票足りなかった。無記名投票だったようだが、創業家の伊藤雅俊名誉会長(イトーヨーカ堂創業者)、社外取締役4人などが反対にまわったといわれる。コンビニ業界で絶大な力を持っていた鈴木氏が反乱にあい、退任にまで至ったことは経済界に大きな衝撃を与えた。しかもたった1票の差で鈴木案が陽の目を見なかったことは印象的だ。いかに深刻な対立があったかを匂わせる。

実はセブン&アイの業績は、この不況期にあって5期連続過去最高益を記録(16年2月期の営業利益は3,523億円)しており、うちセブン‐イレブンの営業利益は2,350億円(前期比5.2%増)と多数を占めている。井阪氏の社長歴は7年と長いものの、業績面では文句のつけようがなかったにも関わらず、鈴木氏が社長退任を迫ったのは「残念ながら今後のセブン-イレブンへの改革案がほとんど出てこなかったからだ」としている。

また鈴木氏がショックだったのは創業家の伊藤家や社外だけでなく社内役員からも反対がでたことだったようだ。鈴木氏は退任を表明したが、セブンの人事の混乱はまだ続くとの見方も多く予断を許さない。自他ともにカリスマを任じていた鈴木氏がたった1票の差で退陣を余儀なくされた心境はいかばかりだっただろうか。

世界のアートが東京に大集結。『アートフェア東京2016』が5月に開催

日本最大級のアート作品の見本市。昨年は5万人以上が来場!

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“アート鑑賞”といえば、なんだかとても高尚な行為で、高い教養を持った人しか楽しめない趣味。それでいて作品は、一部の好事家によって高値で売買されていたりして、とにかく我々庶民にとっては縁遠い世界……そんなイメージ、あなたは持っていませんか?

そんな、ある意味“アート食わず嫌い”な方こそ、来る5月に開催される『アートフェア東京2016』に足を運ぶと、これまでアートの世界に対して抱いていた固定観念が打ち壊され、とても充足した有意義なひとときが過ごせること請け合いです。

この『アートフェア東京』は、毎年東京・有楽町の東京国際フォーラムで行われる日本最大級のアート見本市。名だたる名品・傑作に接することができるのはもちろんですが、見本市というだけあってそれらが売買される現場にも立ち会える……もちろんその気になれば、自分でも購入することもできるという催しです。

イベントには国内外にある有名なギャラリー、今年は過去最大となる157ギャラリーが参加する予定ですが、そのジャンルは古美術や工芸といった伝統的なものから、近代美術や現代アートといった最新鋭アートまで、とても幅広いところが特徴。一度にこれほど多種多彩なアートに触れることができる機会はなかなかないのではないでしょうか。

 

そんなアート好きにはたまらないイベントということで、昨年は約5万人という多くの入場者を集めた『アートフェア東京』。主催者によると、今年の開催はペインティング・彫刻・古美術・インスタレーション・写真・ビデオ・工芸・版画といったジャンルで高い水準の作品が展示されるそうで、昨年を大きく上回る6万人もの入場者が見込まれるとのこと。かなりの活況ぶりが期待できそうですね。

コンセプトは「Art is a lifestyle」

さて、今回で11回目を迎える『アートフェア東京』ですが、今年のコンセプトは「Art is a lifestyle」

プリント

メインビジュアルもこのように、一人ひとりで異なるライフスタイルの多様性を「彩」に、そこから放たれる「光」をラインで表現したデザインになっています。

また東京オリンピック・パラリンピックが、4年後の2020年に開催されることにもちなんで、『アートフェア東京』が東京という街が持つ“文化的個性”を国内外に発信する機会になれば、という願いも、このデザインには込められているとのこと。……なるほど、このようにデザインの意図を理解して観てみると、なかなか味わい深いものがありますね。

日本国内からはもちろん、国外からも注目ギャラリーが出展する、まさに世界的なアートの祭典である『アートフェア東京』。参加することに意義がある、ではありませんが、あなたも気軽に参加して、自分のライフスタイルにあったアートを新発見してみてはいかがでしょうか?

『アートフェア東京2016』

●開催日時(一般公開)
5月12日(木) 14:00~21:00
5月13日(金) 12:00~21:00
5月14日(土) 10:30~17:00

●会場
東京国際フォーラム ホールE & ロビーギャラリー
東京都千代田区丸の内3-5-1

2016年はエバンジェリストを募集!

今から開催が楽しみな『アートフェア東京2016』ですが、このイベントをもっと楽しみたいという方は、現在募集中の“エバンジェリスト”に応募してみるのも、ひとつの手かもしれません。今回、『アートフェア東京』と、100年以上の歴史を持ち美術の正しい認識と理解の普及を進めてきた『東京美術倶楽部』が連携。より多くの人々に『アートフェア東京』と『東京美術倶楽部』の活動を認知及び理解してもらうため、エバンジェリストを募集するということです。

このエバンジェリストとは、直訳すれば“伝道者”ということ。つまりは、今回の『アートフェア東京2016』をはじめとした、様々なアートイベント(なかには一般の観客は参加できないようなプレミアムなものも!)に、どんどん参加していただく代わりに、あなたのFacebook・Twitter・instagramなどのSNSでどんどん紹介ください、ということ。

また、今ご覧になっているMAG2 NEWSに、イベント参加の模様を画像プラス文章でレポートしていただくのも、重要な任務のひとつとなっています。

活動期間は5月11日から約半年間で、翌12日にはさっそく超レアな「アートフェア東京2016 VIPパーティ」に参加できるとのこと。なお費用のほうは、交通費・衣装代などは各自のご負担となりますが、イベント参加やメディア掲載に関する費用はもちろん無料です。

 

気になる募集期間は2016年5月2日(火)18:00までと、締め切りが迫っています。気になる方は、お気軽に問い合わせてみてはいかがでしょうか?

<エバンジェリスト募集概要>

●参加イベント
以下のイベントにエバンジェリストとして、参加いただくことができます。
「アートフェア東京2016」 5/11(木)~5/14(土)
「アートフェア東京2016 VIPパーティ」 5/12(木)
「アートツーリズム アフターパーティ」 7月開催予定
「東京美術倶楽部 正札会」 7/2(土)~7/3(日)
「東美特別展」 10/14(金)~10/16(日)

●掲載メディア
1.皆様のソーシャルメディアで掲載いただきます。Facebook・Twitter・instagramなどで、イベント様子を画像と文章で表現してください。
2.MAG2 NEWSの「アート」カテゴリに、イベント参加時の内容を画像と文章で寄稿いただきます。

●活動期間
2016年5月11日~2016年10月31日

●応募資格
本件の趣旨を理解し、美術作品や創作物など広くアートに触れ、認知活動にご協力いただける方。
上記イベントに全て参加及び告知のご協力をいただける方。
イベントに関するメディアへの露出にご協力いただける方(画像掲載やインタビュー等)。

●募集人数
30名

●募集期間
2016年5月2日(火)18:00まで

●費用について
エバンジェリストとして参加いただくイベント及びメディア掲載に関する部分の費用はかかりません。
※移動や服装に関しては、ご自身でのご負担となります。

●その他
応募後に、参加イベントや各種確認のため、メールやお電話にてご連絡させていただきます。
イベントについては、毎回事前に参加確認をさせていただきます。

●イベントについてのお問い合わせ先
一般社団法人 アート東京

 

PR:一般社団法人 アート東京

 

 

日本が核兵器を持たずして、核保有国と同レベルの抑止力を持つ方法

先日ご紹介した「もし日本が『核を持つ』と言ったら、世界は反対しないのか?」の記事で、「日本が核武装すれば世界から孤立する」とした無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で北野幸伯さん。やはり日本の核保有は非現実的なことなのでしょうか? 北野さんによると、「日本が世界の孤児とならず、事実上核保有を実現してしまう方法」があるといいます。

世界の孤児にならずに、事実上の核保有を実現する方法

トランプさんが、

「在日米軍を撤退させる可能性がある」
「朝鮮戦争にはかかわらない」
「日本の核保有を認める」

と発言した。それで、「日本も核保有を!」という話がこれからあちこちで聞かれるようになるでしょう。これは、「満州国問題」によく似ています。日本が満州に進出したのは、「ロシア(後にソ連)の南下政策を防ぐため」でした。ところが、満州に固執しすぎて、中国、アメリカ、イギリスも敵にまわしてしまった。それどころか1933年には、国際連盟を脱退し、「世界の孤児」になってしまった。

日本が核兵器を保有するとすれば、理由は、「中国と北朝鮮が持っているから」となるでしょう。核兵器保有を目指す際、口では「北朝鮮の脅威に備えるため」といいつつ、本音は中国の脅威に対抗するため」となるはずです。

ところが、問題があります。日本は、「対中国で核保有を目指したい。しかし、アメリカもロシアも欧州も、日本の核保有には反対するだろう(もちろん、トランプさんが大統領になり、「私は日本の核保有を断固支持する。安保理で制裁論議になったら、必ず拒否権を出して阻止する!」と公式に宣言してくれれば話は別ですが)。

核拡散防止条約NPTから脱退する必要があるので、190か国を敵にまわし、満州国の時同様、「世界の孤児」になる。もっとも本質を書けば、中国の脅威に対抗するために核保有を目指したら、アメリカと中国、両方敵になり、「反日米中同盟」が成立してしまう。こういう事態がもっとも恐ろしい。アメリカはそういうことを平気でやる国です。たとえば、第2次大戦時、ドイツと日本をぶちのめすために、仮想敵ナンバー1のソ連と組みました。大戦が終わると、今度は敵だったドイツ(西ドイツ)、日本と組みソ連と対峙した。

ニュークリア・シェアリングとは?

ところで、「アメリカを敵にまわさず世界の孤児にならず事実上核保有を実現してしまう方法」があります。『日本自立のためのプーチン最強講義(集英社インターナショナル)』から一部転載してみましょう。

「ニュークリアシェアリング」で、中国に対抗せよ

 

「一番危険な仮想敵国は、中国」という話を第1章でしました。

 

日本で「核武装を主張する人たち」も、結局、最大の脅威は中国。次に同国の属国・北朝鮮。その次にロシアであることを同意してくれるでしょう。

 

「だから、日本も核を持て!」という論理ですが、それをやると、「中国どころか、アメリカ、欧州、ロシアも敵にまわしてしまう」という話をしました。

 

では、「核を持てない」日本はいったいどうすればいいのか? 第一のステップは、既述のように、日米安保を「片務」から「双務」にすること。そのために、「集団的自衛権を認めよう」と。

 

次のステップですが、「ニュークリア・シェアリング」(核の共有)という仕組みがあります。これは核兵器を持たないベルギー、イタリア、ドイツ、オランダがアメリカと結んでいる条約です。過去には、カナダ、ギリシャ、トルコも参加していました。

 

「ニュークリア・シェアリング」とは何かというと、右の4国は、有事の際、アメリカの核を使って反撃できるのです。そのため、この四国は日常的にアメリカの核を使って訓練をしています。

 

「集団的自衛権」を自らに認めることで、アメリカと対等な同盟国になりうる日本。アメリカと数年間信頼関係を醸成したうえで、「ニュークリア・シェアリング」を要求したらいい、と私は考えます。

 

そのメンツを見てください。第2次世界大戦で、日本の同盟国としてアメリカと戦ったドイツ、イタリアが入っています。両国が「ニュークリア・シェアリング」に参加していることで、これまで「ドイツとイタリアでファシズムが復活している!」という批判はありませんし、これからも起こらないでしょう。ですから、日本が同じ決断をし、同じ行動を取ってもおかしくはありません。

 

次のメリットは、「ニュークリア・シェアリング」の場合、日本が単独で「核兵器保有」を目指すのと違い、「アメリカ」「欧州」を敵にまわすことがありません。よって、「国際的に孤立する」とか「国連で制裁を受ける」とか、「エネルギー供給を止められる」といった心配をする必要がないのです。

 

そして、最後のメリット。この「ニュークリア・シェアリング」によって、日本はアメリカの核兵器を利用することができるようになるので、中国の武力的圧力に対する強力な「抑止力」になります。これは、「自国は核兵器を保有しなくとも、核兵器保有国と同じ抑止力を持てる」というすばらしい仕組みなのです。

 

しかし、これはあくまでも現時点での話。既述のように、アメリカの衰退トレンドは止まりません。ですから、日本は、同国の衰えを補完するという名目で徐々に軍事的自立を成し遂げていくべきなのです。

朝鮮で「聖者」と呼ばれた日本人。退廃した農村を復興させたその半生

大正時代、貴族の家柄というプライドから働くことを拒否し続け、没落した朝鮮半島の集落がありました。無料メルマガ『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』では、この寒村を救うべく立ち上がった日本人のストーリーが紹介されています。金融組合の理事でありながら「養鶏」を自ら学び村の再生に奮闘した彼の思い、はたして実ったのでしょうか?

朝鮮農村の立て直しに賭けた日本人

2人の男が自転車で集落にやってきた。「倭奴が来た(ウエノムワッソ)」という声がした。洋服姿をしているだけで、侮蔑の眼差しを向ける。老人は逃げ、青年たちは嘲りの表情で2人を見た。女たちも戸を閉めて家の中に隠れた。

自転車を降りた2人のうちの1人は、杖をついて足を引きながら歩いている。丸眼鏡に頬髭を生やした特異な風貌である。その歩く様を、子供たちがそっくり真似しながら、はしゃいで、ついてくる。

大正14(1925)年11月、平壌から東に40キロも入った江東という寒村でのことである。平壌からは1日1回、6人乗りのバスが往復するだけで、電気もなく、夜はランプの暮らしだった。

足を引く男は重松髜修まさなお)。江東金融組合の理事である。金融組合とは、日本政府によって各地に作られた小規模の組合で、高利貸しに苦しむ農民を救うために小口低利の貸し出しを行っていた。

江東金融組合では理事の重松以下、4人の朝鮮人職員がいるだけだった。足を引いているのは、前任地で暴徒に襲われ脚を打ち抜かれるという重傷を負ったからだ。

重松が訪れたのは、江東の下里(かり)という50戸ほどの集落で、両班ヤンバン貴族)の家柄から働くことを軽蔑して、のんびりと長煙管(きせる)を吸いながら、その日その日を過ごすことを誇りとしていた。そんな生活を続けていたので、零落していたが、それでも生活態度を変えようとはしなかった。

重松は、因習を続けている下里を更正させることで、江東全体の変える模範集落にしようと考えたのである。

養鶏の副業で農民を豊かに

重松は、江東の地に赴任してから、区域内の農民の現状を観察して回った。小作農や小農は凶作だと食べるものもなくなって、高利貸しに金を借りる。借金の返済のために僅かな土地を売り、一家離散したり、都会の浮浪者になる、という有様だった。

金融組合が「節約して貯蓄を」と勧めても、そもそも貯蓄そのものが不可能な貧窮農家が多かった。そこで重松の考えたのが、養鶏を副業として農民を豊かにすることだった。

トウモロコシの実をとった残りの黍殻(きびがら)を臼で擂(す)って鶏の餌にする。鶏の糞で田畑を肥やす。その卵を売り、また一部は育てて親鶏を増やす、というアイデアだった。

こう思いついてから、重松は仕事の傍らで自力で鶏舎を建て、平壌に行って日本人の専門家から飼育の仕方を習い、10羽の白色レグホンと5羽の名古屋種を購入して育て始めた。朝晩は重松が世話をし、昼は妻が手伝う。

艶々とした真っ白の羽と赤い鶏冠を持った白色レグホンとバラ色をした名古屋種は、鶏舎の中を元気に歩き回り、手のひらで餌を差し出すと、駆け寄ってきて、ついばんだ。

やがて卵を生み始めると、毎晩、重松は卵が親鶏の羽の下からはみ出していないかチェックする。北朝鮮の冬では、冷えた卵は凍死してしまうからだ。

養鶏は順調に進み、白色レグホンから生まれ育った若鶏は136羽。これらの生む有精卵を下里の村人たちに無償配布しようというのである。

「うちは誇りある両班の家柄だ。卵で貯金などやれるもんかね」

重松は李青年の案内で、立派な門構えの家に入っていった。飼い犬が吠えると、髭をたくわえた老人が出てきた。この村の長老のようだ。李青年は朝鮮式の丁寧な挨拶をした。集落の人も10名近く集まってきた

重松は朝鮮語で挨拶し、ここに来た目的を語り始めた。各戸に白色レグホンの有精卵を15個ずつ無料で配布するので、それを育て、とれた卵を供出して貰って共同販売する。卵の代金は据え置き貯金にして、貯まったお金で、豚や牛を買い、土地も買える。

重光の熱意の籠もった言葉を、村人たちは黙って聞いていたが、やがて口を開いた。

白色の鶏は神様のものだ。そんなものを食えば罰があたる」
「鶏の卵を売って、牛や土地が買えるなんて、そんなことがあり得るはずがない」
「うちは誇りある両班の家柄だ。卵で貯金などやれるもんかね」

重光は底知れぬ頑迷さを感じた。しかし、村人たちの嘲りの裏には、充たされぬ思いが潜んでいるような気がした。

重松は何も反論せずに、「もっとよく静かにお考えになってください。そのうちまたお邪魔に上がります」と言って、引き揚げた。重松は自転車を押しながら、あの頑迷さを打ち破るには何度も何度も訪問し、誠意で彼らの心に触れ愛によって彼らの心の底の魂を揺り覚まさなければならない、と考えた。

熊本とエクアドルの地震、関連性なくはない? 海外専門家の見解は…

熊本県熊本地方を震源として、14日にマグニチュード(M)6.5、16日にM7.3の地震が発生した。余震が高い頻度で続いているほか、近隣の阿蘇や大分でも地震が相次いでいる。18日時点で、これらの地震による死者は44人となった。時を同じくして、日本時間17日には南米エクアドルでもM7.8の地震が発生した。この地震によってこれまでに少なくとも272人が死亡したと伝えられている。大きな被害をもたらす大地震が連続して発生したことで、海外では、日本とエクアドルの地震の関連性や、地震活動の全体的な活発化を心配する声もあったようだ。

日本とエクアドルの地震に関連性はあるか、という疑問への関心の高さ

日本とエクアドルで大地震が発生したのを受け、インターナショナル・ニューヨーク・タイムズ紙(INYT)や米ニュース専門放送局CNN、豪放送局SBSといったメディアがQ&A形式の解説記事を掲載したが、そのいずれも、最初の質問が、日本とエクアドルの地震に関連性はあるか、というものだった。それぞれの読者の関心の所在を反映したものと考えていいだろう。

INYTはシンプルに「いいえ」と答えている。日本とエクアドルはあまりにも離れており、両国での地震に何ら関連性はない、と説明する。CNNによると、両国間の距離は約9590マイル、1万5445キロとのことだ。両国の間には広大な太平洋が横たわっている。AP通信は、英オープン・ユニバーシティー(放送大学)の惑星地球科学のデービッド・ロザリー教授が、日本とエクアドルの地震の間には因果関係はない、と語ったと伝えている。(理由についての説明はない)

可能性もないわけではない

SBSに登場する豪メルボルン大学の地質学科長、マイク・サンディフォード教授は、その質問に対して、より慎重な答え方をしている。広く受け入れられている考え方では無関係だ、と同教授は語る。日本とエクアドルという太平洋の両サイドで起きた地震は、非常に遠い場所の別の構造プレート上で起きたもので、両者に関連があることを説明すると思われるいかなる物理的メカニズムも、私たちは把握していない、と説明している。

そうはいっても、今回と同じように複数の大地震が非常に近いタイミングで起こるということが、この10年で何回かあったため、今回の地震によって私たちはいくらか再考することになるだろう、と同教授は語っている。ただし自分の直感ではこれらの地震の発生は偶然の一致だとも語っている。

米内務省に属する地質調査所(USGS)の地球物理学者ポール・カルーソー氏は、CNNでの解説で、さらに慎重な姿勢を示した。質問を受けた同氏は、「エクアドル地震から1日、日本の地震から2日後で、これらに関連性があるかについて実際の調査がまだ何もなされていない」と語り、判断するのはあまりにも時期尚早だと語ったという。

「通常、私たちは、地震に大洋をまたいでの関係があるとは考えない」けれども、ある大地震が遠く離れた場所で他の地震を引き起こすことがあるという考え、「遠隔誘発」に関する進行中の研究がある、と同氏は語り、可能性が完全に否定されるものではないとの考えをうかがわせている。

世界の地震活動は活発化している?

地震活動が活発化しているのではないか、という見方についてはどうだろうか。韓国の中央日報は、日本の熊本県に続きエクアドルで強震が起き、環太平洋火山帯の地震活動が本格化したのではないかという指摘が出ている、と語る。環太平洋火山帯(地震帯)で世界の地震の90%が起こると語り、最近その火山帯上で地震が相次いでいることを伝えている。例えば、15日には南太平洋のバヌアツ共和国でM6.4、17日にはトンガでM5.9の地震が発生している。同紙社説は、熊本とエクアドルでの地震で「地震恐怖」が広がっている、と語っている。

INYTは、日本とエクアドルでマグニチュード7.0超の地震が非常に近いタイミングで起こったことについて、これは地震活動が活発化していることを意味するのではないか、との問いに対し、やはり「いいえ」と答えている。USGSによると、世界でのマグニチュード7.0~7.9の地震の年間平均発生回数は15回だと伝え、平均すると月に1回以上地震が起きているということになる、と語っている。あくまで偶然の一致だったとの見方だ。

時には、地震の発生頻度が高まっているように見えるが、これは、計器観測網が向上していることと、世界の多くの部分に人が住むようになっているため、より多くの地震がニュースになるからである、と説明している。

どうやら活発化している、ただし年単位の話

SBSに登場したサンディフォード教授は、地震活動が活発化していると述べているが、ただしこれは数週間単位ではなく、数年単位での話だ。

教授は、1950年代と60年代に巨大地震が多発したが、1964年ごろから2004年までの間は、M8.3より規模の大きい地震はなかった、と語っている。ただしINYTも伝えるとおり、1964年には観測史上2位のM 9.2のアラスカ地震が発生しており、それ以降では、という意味だろう。ちなみに観測史上最大はM 9.5の1960年のチリ地震である。

教授は、2004年スマトラ島沖地震以来、(再び)巨大地震が多発しており、地球が解放する地震エネルギーの量には移り変わりがあるように思われる、と語っている(同地震はM9.1で観測史上3位。4位は2011年東北地方太平洋沖地震のM9.0)。

ただし教授は、地震の記録(観測)にはたかだか100年の歴史しかなく、地震の発生周期を考えると極めて短く不十分、との旨を語っている。

ニュージーランドの研究所、GNSサイエンスの地震学者キャロライン・ホールデン氏も、この10年ほどは、地震活動が1980年代、90年代よりも活発化しているように思われる、とニュージーランドのニュースサイトStuffで語っている。

(田所秀徳)

 

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禁煙できない人は「精神状態に問題を抱える貧困層」に多い ー英研究

昔からタバコは「嗜好品」というイメージでしたが、健康志向の高まった現代社会では、喫煙者の多くはむしろ貧困層や社会的弱者だという事実に驚く方も多いかもしれません。拡がり続ける社会的・健康的格差に歯止めをかけようとする動きがある一方で、その行く手を阻むものは何なのでしょうか。イギリスの事例をみていきましょう。 

喫煙があなたの人生の幸せをも奪う?

イギリスではここ数十年で、一般社会人の喫煙率は大幅な減少を遂げました

とはいっても、喫煙人口は約1,000万人

これは国内の6分の1に当たります。

そして注目すべきなのが、メンタルヘルスの問題を抱える人々の喫煙で、いまだ極めて多くの人たちが喫煙をし続けているそうなのです。

英ガーディアンによると、実は精神科の病院から退院した患者の70%は喫煙者だということです。

その結果、彼らは自らの寿命を縮め、何年もの間、心臓病や肺の病気に苦しむことになります。

また、最近の研究によって、精神状態に問題を抱える貧困層の間で喫煙率が特に高いことが分かりました。

イギリスでは、なんと精神状態に問題を抱える人のうち100万人が貧困層であり、喫煙者だということです。

また、タバコの消費量を踏まえると、貧困層はさらに13万5千人いると推測されています。

現在イギリスでは精神状態に問題を抱えている人が、国内の3分の1のタバコを消費しているとのこと。

彼らの多くが「禁煙したい」と思いつつも、やはりタバコへの依存性はかなり高く、止めることが難しいようです。

ある病院では、入院患者のケアスタッフが禁煙の手助けを申し出た際、患者の半数以上が、「ノー」と答えたという事例もあるそうです。

スタッフのサポートを得て禁煙すべきだということが頭では分かっていても、もしそれでも禁煙できなかったとしたら、そんな自分をますます激しく責めてしまうのではないかという不安に駆られるようです。

メンタルヘルス患者に禁煙サポート体制を!

このような状況を踏まえ、イギリス国内ではサポート体制の見直し強化が進められています。

英国王立精神医学会はじめ、メンタルヘルスやパブリックヘルスに従事するさまざまな組織団体が運営する「喫煙反対活動組織 (Ash) 」による「失われた数十年」という報告書によると、彼らの禁煙を実現させるためには、より多くのサポート体制が必要だと主張しており、世間からの、「精神状態に問題を抱えている人たちの喫煙依存は避けられない問題で、もはや改善の余地などない」という後ろ向きの姿勢に異論を唱えています。

何十年ものあいだ慢性的に蔓延っていた悪習慣を一瞬で消滅させるような魔法の一手などは存在しませんが、ケアスタッフを指導し、喫煙者への正しい治療法やサポート体制を整えシステムを根本から見直す、まさに社会的な活動が求められているようです。

一方で、この報告書を読んだ人々の中には、過去に喫煙や薬物依存、自傷癖に苦しんでいた当時の担当医に「禁煙の優先度は低い」と言われた人もいるとのことです。

ある一定のニコチン摂取量によって、統合失調症やその他の重い精神疾患に対して処方された薬の血液内レベルを安全な数値に保つことができ、むしろ禁煙が原因で病気の進行を招く、という意見もありました。

喫煙者に対して厳しい欧米社会では、この問題の注目度も高く、ユーザーからは以下のように様々な反応があるようです。

「ストレスを感じると、人はタバコやお酒に頼りたくなる。だから私も喫煙をやめられない。辞めようと思っても、ストレスがあるとタバコに手をだしちゃうんだ」

「喫煙は不健康だけど、精神疾患を抱えた喫煙者にとっては、何もしないよりはいいかも。若いときに自傷癖があったんだけど、喫煙が本当に役に立った。ストレスがあるときに吸うと、落ち着いたんだ」

「精神状態に問題を抱える貧しい人は、メンタルサポートに行くには限界があるよね。喫煙は経済病の副作用だよね」

タバコを吸わない人にしてみれば、喫煙という自ら健康を侵しているように思えるその行為は、理解しがたいものだと思いますが、喫煙者はむしろ精神を安定させるために必要だと考えているのかもしれません。

2015年度の日本の喫煙人口は約2084万人

これは98年度の約3100万人と比較すると、かなり減少していますが、先進国の中でも喫煙者数の割合は高く、今後、日本でもこのような組織団体によるサポート体制が必要になってくるのかもしれません。

喫煙、貧困、精神疾患—。

なかなか難しい問題ではありますが、皆さんもこの機会に、「心身の健康」について考えてみてはいかがでしょうか。

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Source by: ガーディアン , Ash, 日本たばこ産業, 厚生労働省

文/貞賀 三奈美

子育て世代が知りたい「甘えさせる」と「甘やかし」のボーダーライン

「甘えさせる」と「甘やかす」、子育てにおいて大変難しいその線引きですが…。現役小学校教諭の松尾英明さんが配信する無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』に、両者を見分けるひとつの指標が記されています。

「甘えさせる」と「甘やかす」の見極め

ごく単純化して言うと、「甘えさせる」は子どもの成長を促し、「甘やかす」は子どもの成長を阻害する。

具体的にどういう行為がそれぞれに当てはまるのか。線引きが難しいとはよく言われるが、ひとつ指標になる見分け方がある。それは、「自力でできることか」という一点。

例えば小学1年生の子どもに「食事を作る」ということは負担が大きい。よって、一般に親が子どもに食事を作ってあげることは「甘やかす」ことにはならない。

しかし「箸を並べる」ぐらいは子どもだってできる。もっと「水やお茶を用意する」ぐらいもできるかもしれない。それら普通にできることをすべてやってあげ続けると「甘やかす」につながってくる可能性が出る。

無論、小学1年生の子どもに食事を作らせることも、できなくはない。時にやらせてもいいし、場合によっては毎朝準備することもあり得る。それは家庭の事情や教育方針によるものであり、一概にいえない点でもある。

全部やってあげるにしてもやらせるにしても、そこに意図があればよい。無意図にやってあげ続けているなら、見直すべき点があるということである。

ちなみにこの見分け方は万能ではなく、「できるけれども手伝ってあげたほうがよい」という場合もある。しかし、ひとつの指標にはなる。

以前「我が子を抱きしめる」ということは大事な「甘えさせる」行為であるということを書いた。

なぜ、頭のいい子に限って、家ではダラダラ・ユルユルか?

「抱きしめる」という行為は、どうがんばっても子どもが自分でできないのである。「話を聞いてあげる」「一緒に遊ぶ」も同様である。親ならではのことはもちろん、担任ならではのできることもある。

この考え方は、学級経営にも応用できる。それは、子どもにとって自力でできることかどうか。できることに無用な手出しをしていないか。逆に、自力ではできないことを、放置していないか。よりうまくできるように導けるチャンスと見たとき、手出しをすべきか控えるべきか(夏休みの自由研究・工作などは、ここが悩みどころである)。

選択の連続である子育てにおいて、ひとつ指標となる考え方になるのではないかと思い、提案してみた。

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