絶望のプーチン。ロシアの望む形でウクライナ戦争終結などあり得ぬワケ

開戦から1年となる2月24日を前に、東部を中心とした地域で激戦が続くウクライナ戦争。両国とも軍の消耗は激しいものがありますが、今後この紛争はどのような推移を見せるのでしょうか。今回のメルマガ『uttiiジャーナル』ではジャーナリストの内田誠さんが、予想されていたロシア軍の「春の大攻勢」が既に1月末に始まっていたという専門家の見方を紹介。さらに戦争収束に関しては、「プーチン政権が望む形で終わる可能性は非常に小さい」との予測を記しています。

絶望に等しいプーチン政権下で戦争収束の可能性は低い

今、ロシアの侵攻によって大変な戦争が起こっていますけれども、これが仮に終結した後の世界はどうなるのだろうかということについて、それをビジョンとして出しているところは勿論ないでしょうね。解らないから、です。何よりも「解らないから」ですけれども、色々なことが起こりうるので。まあ、正直に言ってしまえば、この戦闘というか戦争が終わったあとで何がどうなっていくのかに関心があるので、軍事的な情報も、それにまつわる政治的な状況についても細かく詳しく見ていかなければいけないのではないかと考えているわけなのですね。で、今日もウクライナの話です。

私は例によって専門家ではないですから、色々言われていることの中から自分なりにくみ取ったことをここで再構成してお話ししているのに過ぎません。専門家の方、色々な専門家がおられますが、自衛隊の出身の高級軍人というか高級将校というか、将軍の「将」という字が就くところまで行っている人たちの話していることは、なかなか興味深いなと思っていつも聞いているのですが、いわゆるロシア軍による大規模攻勢というね、春の大攻勢があるのではないかと言われていたことについては、「いつ始まるのだろう、いつ…」と言われていましたが、既に1月25日あたりに始まっていた、というのがもっぱらの見方のようです。現象として見えているのは、ウクライナの東部での最前線のところ。バフムトというところが有名になりましたけれど、そこから北に向かって大きな町が今大変な最前線になっていて、ウクライナ側から見てもこれまでのロシア軍の攻勢と比べられないくらい激しい攻撃が行われていると、いうことのようです。

プーチンの無茶振りにゲラシモフが仕掛ける異次元の戦争行為

まあ、もう少しお話ししますけれど。全体としてプーチンさんの絶望というか、そういう地合でことが進んでいるのではないかなという気がします。彼にはある種の希望があるのでしょうが、それは客観的に見れば絶望に等しい。少なくともロシア、プーチン政権が望む形でウクライナ侵攻の一連の出来事が収束していく可能性は、非常に小さいのではないかなというように思います。

今現在、非常に激しい攻撃が行われているのは、プーチンさんが先日「3月末までにドネツクとルガンスク、この2つの州を完全に制圧せよ」という命令をロシア軍に対して下した。そのロシア軍は参謀総長であるゲラシモフさんの元にあるわけですし、未だに特別軍事作戦といっているウクライナ侵攻の総司令官という意味でも、ゲラシモフさんなんですね。このゲラシモフという方が全体の指揮をとって、明らかにこれまでとは違う次元の戦争行為をやっているというのが現実なのだと思います。

この記事の著者・内田誠さんのメルマガ

中国・王毅氏ヨーロッパ訪問の話題を吹き飛ばした、成果なき米中会談

中国の王毅氏と米国のブリンケン国務長官、気球問題で揺れた米中の外交を統括する2人がヨーロッパで会談。米国は気球撃墜の正当性を主張したうえで、対話の継続も訴えたと伝えられています。メルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』著者で多くの中国関連書を執筆している拓殖大学教授の富坂聰さんは、対話といっても米下院議長が春にも台湾訪問を明言している状況では、ぶち壊しになるのが明らかで、中国の対米不信は変わっていないと指摘。米中会談で吹き飛んでしまった欧州と中国の懸案事項についてのポイントや、気球問題での米中の立場の微妙な変化についても解説しています。

ミュンヘンでブリンケン・王毅会談が実現しても、容易には変わらないアメリカの対中攻勢と中国の対米不信

予測された外交日程からすれば、今週は王毅(前外相、中国共産党中央政治局委員)のヨーロッパ訪問が最大の注目点となるはずだった。

なかでもターゲットはイタリア。同国は昨年9月、上下院の総選挙の結果、右翼政党「イタリアの同胞(FDI)」が第1党となり、ジョルジャ・メローニ党首が右派連合による政権を打ち立てた。メローニ新首相は、中国の進める「一帯一路」イニシアチブに関する覚書にイタリアが署名したことを「大きな誤りだった」と発言していて、見直しも指示したとされている。中国にしてみれば、早めの消火を目指したのだろう。

また北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長が、新たな国防計画に「中国を念頭に置いている」(2月16日)と挑発したことも嫌な流れだった。2つの問題は目下、中国がヨーロッパと向き合う上での懸念を見事に象徴している。

1つ目はイタリアが先陣を切ったと考えられる右派政権の誕生、或いは右派躍進によるヨーロッパの外交環境の変化のドミノだ。右派勢力急進は、シリア難民の大量流入によって加速された。生活苦も1つの要因だ。

現在、ウクライナからの難民流入が急増し、ロシアによるウクライナ侵攻前から深刻だったインフレが加速した。これが危険信号であることは言を俟たない。今後ヨーロッパで次々と右派政権が誕生、或いは勢力を拡大すれば、どんな変化が起きるかわからない。もっとも右派政権の誕生は必ずしも親米・反中の拡大にはならない──とくに反ロシアではない──のだが、中国にとっては変化そのものがストレスなのだ。

さて、難題を抱えた王毅の訪欧だったが、その話題を吹き飛ばしたのは、やはり米中関係だ。王が参加予定のミュンヘン安全保障会議で、アントニー・ブリンケン米国務長官との会談があるのか否かにメディアの関心が寄せられたからだ。結局、両者は1時間にわたって会談したが大きな成果があったとは言い難い。

会談の有無が探られてきたこの間、テーマとなったのは、バイデン政権が中国の気球を撃墜したことでこじれた米中関係が修復へと向かうのか否かであった。

日本ではジョー・バイデン大統領が習近平国家主席との会談を求めたとして、「中国とは競争はするが、衝突は望んでいない」と、いつものフレーズを繰り返した。しかしバイデン政権に対し「言行不一致」との批判を続けてきた中国が、これを額面通りに受け取るはずもない。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

楽天グループ3728億円の大赤字。それでも「楽天シンフォニー」は三木谷会長の“救世主”となるか?

楽天グループは2月14日に2022年12月期第4四半期決算を発表。モバイル事業の赤字が4593億円に拡大したことが主な要因となり、グループ全体で過去最大の3728億円の赤字となりました。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、楽天グループの今後を展望。モバイル事業での設備投資は今後も続き、赤字がすぐ減る環境にはないとしたうえで、想定より早く結果を出している、日本、米国、シンガポール、インド、欧州、中東・アフリカで通信事業者向けにソリューション事業を展開する事業組織「楽天シンフォニー」に期待。ただし、完全仮想化ネットワークサービスにも注意すべき点はあると伝えています。

楽天グループがモバイルの設備投資で4593億円の赤字の衝撃

楽天グループの赤字が話題だ。2月14日に発表した2022年12月期第4四半期決算では、3728億円という過去最大の赤字となった。ECや金融などは相変わらず順調に成長しているものの、楽天モバイルが4593億円の赤字ということで、グループ全体の足を引っ張っている。

新規ユーザーの獲得に苦戦する中、テレビCMからウェブ中心のリファラルマーケティングに切り替えるなど、コスト削減が重要となってくる。現在、KDDIへのローミングはデータ使用量の4%程度というが、基地局を増やさないことにはデータ使用量は減っていかない。99%以上の人口カバー率の達成、さらにはプラチナバンドを確保すれば、それなりに設備投資がかさんでくるだけに、コスト削減には時間がかかりそうだ。

そんななか、光明が見えつつあるのが、楽天シンフォニーだ。設立以来、6四半期で5億ドル以上の収益計上を達成したと明らかになった。楽天シンフォニーによれば、2027年に向けて、Open RANやクラウド、OSS/BSS市場は拡大すると見ており、楽天シンフォニーの需要が拡大するという。

成長目標としては2022年には4億9300ドルだった売上収益を2023年には前年比40%増を目指す。2月27日より開催されるMWCの出展案内などを見ても、昨年からOpen RANなどの展示が盛り上がっており、話題の中心になっている感がある。楽天シンフォニーやNEC、富士通にとっては間違いなく追い風である。

ただ、世界的な景気低迷で、各キャリアの設備投資が控えられているという話もある。また、完全仮想化でネットワークを動かそうとすれば、当然のことながら、消費する電力はバカにならない訳で、SDGsが叫ばれている中、逆行する動きともとられかねない。

ただ、三木谷浩史会長としてはアマゾンのように「ネット通販ではなくAWSで儲ける構図」を楽天モバイルと楽天シンフォニーにも重ね合わそうとしている。

楽天シンフォニーが世界で儲けることができれば、楽天モバイルの通信事業は赤字が出続けてもなんとかなるのかも知れない。「楽天モバイルの赤字が減るか、それとも楽天シンフォニーが大化けして大もうけするのが先か」いずれにしても、2027年ぐらいまでには、楽天モバイルと楽天シンフォニー、さらには楽天グループの命運がわかることになりそうだ。

image by:Tada Images/Shutterstock.com

交渉が決裂すれば日本の責任。世界は徴用工問題をどう報じているか

韓国の尹錫悦政権が早期の解決を望んでいるという徴用工問題。そもそも1965年の「日韓請求権協定」で既に解決済みとなっているはずのこの問題を、世界はどのように報じているのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、香港の有力英字紙に掲載された記事を紹介。その内容が「韓国寄り」となっている理由を解説するとともに、日本が諸外国との宣伝戦に勝つためなすべきことを、具体的に提示しています。

大詰めを迎えている日韓の徴用工問題。世界はどのように報道しているのか?

日韓の徴用工問題の交渉が大詰めを迎えています。

世界はそれをどのように報道しているのでしょうか?

ご紹介するのは香港のサウスチャイナモーニングポストの2月17日記事です。

ソウル-東京戦時補償協議、被害者基金計画の欠陥で難航

 

韓国政府は先月「最も実現可能性の高い」案として、ソウルに拠点を置く基金が韓国企業から寄付を受け、被害者に補償を行うという計画を発表している。

 

この基金は、韓国外務省が提案したもので、巨大鉄鋼メーカーのポスコなどが資金を提供する。ポスコは、1965年の条約により韓国が日本から経済援助と融資を受けた企業のうちの一つであった。

 

被害者の中には、この提案を「検討する価値もない」と拒否し、日本が賠償金を支払い、明確に謝罪するよう求めている人もいる。

 

「死ぬ前の最後の願いは、日本から心からの謝罪を受けることです」と94歳の被害者ヤン・クムドク氏は木曜日に記者団に語った。

 

ヤンさんは、日本で強制労働させられた数万人の朝鮮人の一人で、1944年に学校の学部長から「日本で財産を築くことができる」と言われたそうだ。

 

その結果、彼女は名古屋にある日本の三菱航空機の工場で奴隷労働を強いられることになった。

 

韓国の最高裁は2018年、日本企業に対し元強制労働者に1人1億ウォン(約1,000万円)相当の賠償金を支払うよう命じ、裁判所の命令に従わない場合は国内の資産を清算すると脅した。

 

このような裁判で15人の韓国人が勝訴しているが、他に約200の裁判手続きが進行中で、補償を受けた人はいない。

解説

韓国よりの報道です。

この記事を書いた人はパク・チャンギョンという韓国系の方なので、当然そうなるのでしょう。残念ながら、世界の著名な新聞社で働いているのは、韓国人が日本人よりも圧倒的に多い印象です。

記事は続きます。

ソウルの国民大学校のイ・ウォンドク教授(政治学)によると、ソウルは現在、東京に基金への出資と被害者への謝罪を要求しているが、日本はこの提案に「激しく反対」しているという。

 

日本はこの問題を原則的な問題として捉えており、1910年から1945年の韓国植民地支配に起因する賠償問題はすべて1965年の条約によってきっぱりと解決されたと主張しているため、「日本は一歩も譲らない」と彼は言った。

 

「日本側との何回もの協議を経て、いらだったソウルは最後のオファーを東京に提示するだろう」と彼は言う。

 

この動きは、今週末のミュンヘン安全保障会議(MSC)の傍らで予定されているパク・チン外相と林芳正外相の会談で行われる可能性がある。

 

この会談が期待通りに行われた場合、日本が被害者への謝罪とともに、基金への「少なくともわずかな自国負担」を拒否すれば、韓国は交渉の「決裂」を宣言できるだろうと、この会談をよく知るイ教授は言う。

 

「ソウル側はやるべきことの90%はやったと考えており、あとは日本が解決してくれることを望んでいる」と述べた。

 

日本企業や軍用売春宿で働かされた韓国人への賠償など、1910年から45年にかけての日本の植民地支配の未解決の遺産は、長い間両国の争いの種となってきた。

この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ

金正恩「愛娘」の名前も新たに追加。北朝鮮で禁じられている“名前”

昨年11月に写真が初公開されて以来、公共の場に姿を見せたことが頻繁に伝えられる金正恩国務委員長の愛娘。現在北朝鮮は、彼女の「偶像化」に余念がないようです。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では北朝鮮研究の第一人者である宮塚利雄さんが、金一族の動静を伝える報道から読み取れる「彼らの意図」を解説。さらに正恩氏の娘と同名の人民に対して改名が命じられたというニュースを紹介しています。

※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2023年2月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

キム・ジュエの偶像化に奔走する金正恩政権、「ジュエ」の名前はやんごとなきお方の娘1人だけで、あとの同名の子は改名せよ

北朝鮮の朝鮮切手社は2月14日、新たに発行する記念切手のデザイン8種類を公開した。

金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)が昨年11月に大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射実験を視察した際の写真を使ったもので、この8種類のうちの5種類の切手に娘のキム・ジュエさんの姿がある。キム・ジュエが金正恩の次女と言われているが、漢字表記は「金主愛」「金朱愛」と識者によって異なる。

キム・ジュエが切手に登場するのは初めてで、ジュエの偶像化の一環とみられている。切手には、ジュエが金正恩とミサイルをバックに手をつないでいる場面や2人が腕を組んでポーズをとっている場面、兵士らと記念写真を撮影している場面などがあしらわれている。

父と娘の姿を中心に移動式発射台に載せられたミサイルの姿や、「不敗の核強国の威容を満天下に誇示」とか「朝鮮の戦略的な力、絶対的な力を万邦に誇示」といた宣伝文句が切手を飾っている。

北朝鮮メディアは、火星17発射実験翌日の昨年11月19日、金正恩が「愛するお子様」と李主雪夫人を連れて発射を指導したと伝え、金正恩とジュエがミサイルの発射に立ち会う様子を公開していた。

さらに、2月8日夜に平壌の金日成広場で朝鮮人民軍創建75年を記念する軍事パレードに、金正恩は娘の金主愛と手をつないで赤絨毯(じゅうたん)を歩いて会場入りし、ひな壇の上でも娘と顔を寄せ合い観覧する様子をメディアが報じた。このパレードには金主愛のものと推定される白馬が登場したとのこと。

さらに、北朝鮮のメディアは2月18日、金正恩が17日に娘とともに、16日の故金正日(キム・ジョンイル)総書記の誕生日を記念したスポーツ競技を観戦したと伝えた。

名前がキム・ジュエされる娘が公式の場に登場するのは6回目で「愛するお子様」と言う呼称で紹介された。娘のこれまでの同行は軍事関係の行事が主だったが、今回初めて軍事分野以外の活動で付き添った。幹部や住民が忠誠を誓うべき金体制の次世代の象徴として娘が登場する場面が増えそうだ。金正恩の妹の金与正(キム・ヨジョン)党副部長も一緒に観戦したが、娘が金正恩と並んで真ん中に座ったのに対し、金与正は後ろの席に控え、金一族の中でも娘を偶像化の対象とする意図が見られた。もっとも、金正恩は娘の前でもたばこを手に観戦していたというからとんでもない帝王学を見せたものである。

この記事の著者・宮塚利雄さんのメルマガ

これが中国政治だ。日米貿易摩擦の影に見え隠れする隣国の「裏工作」とは?

この10年で24倍に成長した中国経済。この裏には「政治」としての工作活動があったようです。その裏工作について語るのは、作家でユーチューバーの顔も持つ、ねずさんこと小名木善行さん。小名木さんは自身のメルマガ『ねずさんのひとりごとメールマガジン』の中で、中国の「政治」について、そして同じことを日本ができない理由について明かしています。

なぜ日米貿易摩擦は起きたのか

みなさんがもし、70年代の貧しい国の首相だったら、自国を豊かにするためにどうするでしょうか。実際にこれを行った人がいます。それが中国の「鄧小平」です。個人的には大嫌いな政治家ですが、政治家としての手腕は認めざるを得ない人物です。

鄧小平が首相を務めた時代は、政治的復権を願った毛沢東による文化大革命の傷跡の癒えない中国でした。文化大革命は、中学生たちを扇動して、あらゆる中国文化を徹底破壊することで(つまり破壊活動によって)毛沢東が政治的復権を射止めようとした、とんでもない事件です。

この文革によって、あらゆる文化を破壊された中国は、もはや経済的成長どころではない。ほとんど食うや食わずの状況にまで成り下がっていたわけです。

ところが、そんな中国のすぐ横には、日本という豊かな国がありました。その頃の日本は、ちょうど高度経済成長のまっただなかです。先の大戦によって、あらゆる文化が破壊されたはずの日本が、どういうわけか世界の超一流国の仲間入りをしている。日本人の所得は、年々成長し、1億の民みんなが豊かさを享受した生活を送っています。

すくなくとも、終戦の時点では、中国のほうがはるかに豊かであったはずなのに、あらゆるインフラを破壊されていた日本の方が、70年代にはすでに経済的復興どころか成長を果たしている。

そこで鄧小平が選んだ道が「改革開放路線」です。この伏線として、1978年には、日中平和友好条約が締結され、さらに1979年には米国との国交を正式に樹立させました。

そしてここから政治活動が行われました。すでに米国に大きなシェアを築いていた日本企業の製品に対し、ボイコット運動が仕掛けられるのです。火種は1970年代からありました。けれど、日本製品の米国への輸出は、米国民の就労を奪うものではなく、むしろ米国民の楽しさや幸せを築くものであったし、また販売網の確立と修理場の設置のために、米国民にも新たな就労機会、所得機会を与えるものでした。つまり、日米関係は、winwinの関係にあったのです。

ところが1980年代に入ると、米国内である特定の勢力が、米国の経常収支の赤字の拡大と日本の黒字拡大を、問題にし始めました。同じ状況は、西ドイツと米国との間にもあったし、ヨーロッパ諸国との間にもあったことなのに、なぜか日本との貿易だけが政治的に問題視されるようになったのです。

これはつまり裏工作があった、ということです。

この記事の著者・小名木善行さんのメルマガ

スシロー“ペロペロ事件”を誘発しているのは「接客のシステム化」か?

年始からテレビやSNSを大きく騒がせたスシロー「ペロペロ事件」。今回のメルマガ『j-fashion journal』では、ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、 この犯人が悪いのは確かだとしたうえで、現代の接客のシステム化について問題提起しています。この事件を引き起こしたのは、このシステム化かもしれないのです。

人とシステムは協業できないのか?

1.スシロー事件に見える「省人化」の課題

大手回転寿司チェーン「スシロー」の事件がテレビやネットで盛り上がっています。若い男性客が唾液をつけた指でレーンを流れるすしを触ったり、醤油ボトルの注ぎ口を舐めたりした動画が拡散しました。その結果、「スシロー」の株価の時価総額が約170億円ほど下がったといいます。こうなると、最早、テロ行為、犯罪行為です。

どんな言い訳をしたにせよ、この犯人が悪いのは確かであり、高額の賠償請求されたとしても仕方ありません。その前提の上で、自動化、省人化について考えてみたいと思います。

まず、現在のスシローは、予約から会計まで、誰とも話をする必要がありません。というより人間と接することもありません。

スマホから予約し、店に到着したら、受け付けタッチパネルでチェックインし、QRコードを受けとります。順番待ちの画面を見ながら、自分の番号が呼ばれたら、座席案内の端末にQRコードを読み込ませると、座席が指定されます。座席ではタブレットで注文し、寿司が流れてきます。食べ終わって寿司の皿を数えるのも、画像認識で自動化しているので、会計もタブレットで確認し、キャッシュレスでも現金でもセルフレジで支払えます。

システムとしては完璧です。接客業務がないのです。

でも、私はせわしなくて落ち着きません。自動で餌が出てくる養鶏場の鶏になった気分です。何も話さず黙々と注文し、届いた寿司を黙々と食べる。そのまま黙々と会計を済ませて店を出る。寿司はまずくはないけど、食事の時間としては味気ないんです。でも、息子の世代は特に気にならないようです。

さて、昔の寿司屋はどうだったでしょう。カウンターに座って、品書きを見て、大将に「今日のお勧めは」「白身は何がいいかな」「つまみに少し切ってよ」などと会話しながら、注文し、食べていたものです。目の前に握ってくれた職人がいるので、自然とリアクションもしますよね。「おいしいね」と言ったり、無言でうなずいたりします。一人で食事をしても、寂しくないんですね。

初期の回転寿司には、レーンの向こうにはやはり職人さんがいたので、注文することもできました。「はい、お待ちどう」と言いながら皿を渡されたりします会計時には、「御勘定」といって、店員を呼んで皿を数えてもらう。最後は、伝票を持って会計しますが、そこでも、「おいしかったよ」とか「ありがとうございます。またお待ちしています」という会話もありました。

人と接する場面があれば、今回のスシローのような事件は起きなかったと思います。

学校や会社の食堂のように、セルフサービスの食堂になると、ほとんど人と接することはなくなります。しかし、そこにいるのは学生や社員だけなので身分が保証されています。ですから、イタズラは起きません。

ある意味で、今回のスシロー事件は、行き過ぎた省人化によって誘発された事件といえるかもしれません。

この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ

コロナ禍で加速か。岡田斗司夫氏が予測する「ホワイト化社会」はあと10年でやってくる

昭和の時代では受け入れられていたものが、今ではすぐにクレームとなってしまう─。メルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』著者の吉田さんは、自身の娘との会話の中から現代が傾きはじめている「ホワイト化社会」について思いを綴っています。

岡田斗司夫氏が予測した「ホワイト化社会」が、あと10年もすれば成立してしまうことについて

皮ジャンを着て、ヘッドフォンを付け、水中眼鏡を付けた男が眠りから目を覚まし、冷蔵庫の扉を開き、新聞紙を首から下げ、トマト、コンビーフ、リッツ、魚肉ソーセージに次々とかぶりつき、口で栓を開けた牛乳で喉に流し込む。

知っている人にはすぐにピン!と来るだろう。

そう、「傷だらけの天使」

このオープニングが好きでYouTubeで観ていた。

「傷だらけの天使」は、1974年10月から1975年3月にかけて、1話完結の全26話が日本テレビ系で放送されたTVドラマだ。

音楽が好きだった。元ザ・スパイダースの井上堯之と大野克夫が担当。軽快なタッチのオープニングテーマ曲は、いまだにテレビCMなどで流用されたりもしている。聴くだけでなつかしさがこみ上げてくる。

ドラマの内容は、探偵事務所で働く男二人が、暴力団抗争から捨て子の親探しまで様々な案件に関っていく、そんな中での二人の怒りと挫折を多彩なストーリーと個性的な演技によって描く。そんな内容だ。

また、衣装協力としては、懐かしい「BIGI」 がクレジットされており、ファッションデザイナーの菊池武夫が担当していたから覚えていた。萩原健一演じる木暮修の服やスタイルは、当時の若者に多大な影響を与えた。

別にこのドラマについて書くわけではない。このドラマを観ていた時に今年大学二年生になる娘がこう言ってきた。「キショ」。

“キショ”とは、わかりますかね?簡単に言えば、「気持ち悪い」こんな意味です。決して親に反抗的でもなんでもない娘が開口一番こう言ったので、俄然、興味が出てきた。

「え!?コレ、良くない?お父さんの昭和時代の人気のドラマのオープニング」

「は?全然」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

理由を聞くと、口の中にいろいろ突っ込んで汚らしい。髪の毛がボサボサで不潔・・・・等々。

この強引で乱暴な口に放り込むのが「男らしく・カッコいい」と思っている昭和の男たちがいた。

この変なカッコつけていない自然なヘアースタイルが女々しくなくていい。と思っている昭和の男たちがいた。

確かにそんな基準があって、変に優しくて女々しい男より、香水つけて気障な男より、大事なのは中身であって、外見ではない!!などという基準が確かにあった。

この記事の著者・吉田正幸さんのメルマガ

プーチンは崖っぷちのネズミ状態。戦争が長引くほど有利になる大国の名前

2月24日に開戦1年となってしまうウクライナ戦争。なりふり構わぬ歩兵の突撃を繰り返すロシア軍ですが、「もはや限界も近い」という見方もあるようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、この戦争の最新の戦況を解説するとともに、ロシア国内の政争の影響で境地に追い込まれつつある露軍の現状を紹介。さらに各国の対応や思惑を分析しつつ、世界が現在置かれている状況を考察しています。

この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ

人海戦術も限界に。開戦1年で打つ手をなくしたロシア軍

ロ軍が人海戦術でバフムト包囲作戦を行うも、ウ軍も増援部隊を送り高速M03号線を死守している。ロ軍の攻撃限界が近い。今後の戦況を検討しよう。

ロ軍の大規模攻勢の成果が出ていない。クピャンスク方面、スバトボ・クレミンナの反撃、バフムト包囲、ボハレダラであるが、ウ軍も春の大攻勢要員をウ軍守備隊の増援として、激戦地に投入したことで、ロ軍の進撃スピードが遅いか、ほとんど前進できないでいる。

このロ軍大規模攻勢に、前線に近い場所に航空部隊を集めているので、今後航空機による攻勢が始まる可能性があるが、地上軍の消耗が激しく、効果があるのか疑問である。

兵士の敵前逃亡阻止のため前線後方に地雷を敷くロシア軍

ロ軍・ワグナー軍はザリジネスクを占領し、直角に曲がり、M03高速道路に向けて攻撃しているが、ウ軍は、第30機械化歩兵旅団を投入して、ロ軍の前進を止めた。

一方、ロ軍とワグナー軍も、パラスコビイウカの一部を占領して、M03補給路の切断を試みている。この切断を試みたのが、ロ軍特殊部隊であるが、その攻撃を待ち伏せしていたのが、ウ軍特殊部隊であり、ロ軍特殊部隊を壊滅させた。これにより、高速道M03補給路は今の所、ウ軍の支配下にあり、無事である。

そして、パラスコビイウカにもウ軍は増援部隊を送り、ロ軍の前進を止めていたが、ワグナー軍に市中心部を占領されたようだ。今は市の南側で戦闘が続いている。このまま進まれるとM03号線になり、補給路が危ないので、ウ軍も全力で防衛している。

それでも、ゼレンスキー大統領は、バフムトからの撤退はあり得ないという。このため、ウ軍は全力でバフムト周辺に部隊を集めて、ロ軍の人海戦術の突撃を止めいるが、ワグナー軍の技量はすごい。

それと、ロ軍の人員損耗が激しく、攻撃要員が不足になり、攻撃力が弱まっている。ロ軍も他の戦線から人員を集めているが、損耗の方が早くて、どうしても、前進できなくなってきた。このバフムトにロ軍は、おそらく5万の兵力を集中しているが、それでも足りなくなったようである。どこまで、ここで消耗するのであろうか?

それと、ロ軍は地雷を前線の後方に敷設している。それには二つ理由があって、一つには、反撃された時の勢いを止める為であり、二つにはロ軍兵の敵前逃亡を阻止するためだという。

ウ軍は、バフムトを要塞都市にしているので、ロ軍の正面攻撃では落ちないことで、包囲作戦を行っているが、その包囲作戦もウ軍機甲部隊の守備陣を崩せないようである。

バフムト市東側の工場地帯、住宅地などにもロ軍が侵入して接近戦になって、ロ軍の一部がバフムト市街に侵入したようであるが、そこから前進できない。南側のオプトネから市内に攻めるロ軍も前進できていない。

バフムトの南側のイワニフカにロ軍が攻めてきたが、ここもウ軍機甲部隊が防衛している。T0504主要道の交差点にもロ軍は攻撃してきたが、ここでも、ロ軍の攻撃をウ軍は撃退している。ここもウ軍機甲部隊が守り、ロ軍歩兵部隊が攻撃しているが、突破できないでいる。

しかし、ロ軍も歩兵突撃方法が進化して、中隊20名程度のグループで突撃していたが、現在は5名程度の部隊で分散して、夜間に忍び寄ってくるという。ドローンに見つけられにくくしているようである。

ロ軍も戦術の工夫をしているようであるが、ウ軍もキルレシオを上げるために工夫している。

この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ

強烈な皮肉。石破茂が10年ぶりの国会質問で岸田首相に放った言葉

2月15日、2013年10月以来およそ10年ぶりに国会質問に立った自民党の石破茂氏ですが、その「演説」ばりのスタイルが各メディアで話題となっています。そんな質問を高く評価するのは、ジャーナリストの高野孟さん。高野さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で今回、石破氏の質問内容を詳細に検証しその的確さを称賛するとともに、アメリカにいいように手玉に取られ兵器を爆買いする岸田首相を強く批判しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年2月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

石破茂の「独演会」。10年ぶりの与党質問で語った防衛論のブレない内容

石破茂は、小泉内閣で防衛庁長官、福田康夫内閣で防衛大臣を務めた自民党きっての防衛政策通で、もちろん防衛力増強大賛成の立場ではあるけれども、岸田内閣のように、中身のある議論の積み重ねもなしにいきなり防衛費倍増を決めてしまうような粗暴なやり方には批判的。その立場から2月15日の衆院予算委員会では10年ぶりに質問に立ち、30分の持ち時間のうち最初の24分間を一方的な持論の独演に充てる形でなかなかツボを押さえた問題提起をおこなった。

やや冗長な部分もあるけれども、あえて石破質問の全文を衆院事務局発表の速報(未定稿)を用いて収録するので、今自民党内や国会でどういうレベルの議論が求められているかをご自分で感取して頂きたいと思う。私なりの受け止め方は以下に記す。その便宜上、番号付きの小見出しは私が勝手に挿入した。

それに対する岸田の答弁は資料としては記載しない。ほとんど意味のあることを言っていないからである。以下の私のコメントの中で引用されることはあるかもしれない。

石破氏が首相に放った「強烈な皮肉」

石破が防衛族でありながらゴリゴリのタカ派でないのは、彼が元々田中派の出身だからである。その田中がハト派とまでは言えないかもしれないが、非タカ派の相対的リベラル派であり、従ってまた一定程度の対米自立派である精神的な基礎は、【1】で石破が言うように、「あの戦争に行ったやつがこの世の中の中心にいる間は日本は大丈夫だ、あの戦争に行ったやつがこの世の中の中心からいなくなったときが怖いんだ」という、身体に染みついた世代感覚である。それは、竹下登はどうだったか分からないが、その後の小沢一郎、橋本龍太郎、小渕恵三、羽田孜、梶山静六らの「七奉行」や細川護煕などに割ときちんと引き継がれ、たぶん石破が最後の方で、茂木敏充となると全然違う。

大平正芳、宮沢喜一、河野洋平、加藤紘一、古賀誠などの宏池会の主流も同じ世代感覚を共有し、それゆえに田中と大平は盟友関係を結び、共に日中復交を成し遂げた。異質だったのは麻生太郎で、2006年に宏池会を出て為公会を立ち上げて以来、安倍晋三に寄り添った。古賀から宏池会の看板を引き継いだ岸田文雄は、当然にもリベラル側とみなされてきたが、意外にも麻生的で、安倍路線の後継者だった。だからここで石破が、私の師は田中角栄だが、貴方の師は大平正芳ではなかったのかというような言い方をしているのは、実は強烈な皮肉だったのかもしれない。

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ