分数の計算ができない大学生多数。ヤバいじゃ済まない教育の崩壊

社会に出ると、「学校教育の現場」の崩壊がどれほどの状況となっているのか実感しにくいものです。しかし、大卒の新人に基本的な教養やPCのスキルが不足している現状などは厳然として存在し、未来ある若者たちへ確実にしわ寄せが及んでいるようです。今回の無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では現役科学者で高校・大学で教鞭も執られているくられさんが、現在の教育現場の惨状を記しています。

教育現場のゲンバ

自分は常々「学校の教育が崩壊しているということを逆手に取った「簡単に成績を上げる方法」を紹介してきました。

しかし、その「崩壊」世代の人からすれば、年上の世代の人から「昔はみんな頭良かった」みたいに頭ごなしに言われるのは甚だ不快だろうし、「そんなこと言われてもどうすれば」みたいな話ですよね。

すべては受験教育が学びを破壊していると、自分は拙著『アリエナイ理科』シリーズで15年前から文句を言ってきたわけですが、何の因果か、高校や大学で教鞭を振るうことになっております(笑)。

悲しいかなここ10年くらいに関してはリアルタイムで生徒世代の情勢をみることができるわけです。

その10年くらいで気がついたことは、まず小学校から教育崩壊が始まっているということです。小学校で教えられる内容、ひらがな、カタカナ、最低限の国語力や算数…この段階からすでについて行けない人が一定数出ています。

昔だってそういう人はいました。いましたが、せいぜいクラスに一人二人だったのが、今や3分の1を占める学校もあるという話を聞きました。あくまで伝聞であって、自分で見たわけではないですが、これは驚くべきことです。

そうした、小学校レベルの問題ができない人が、そのままスライドして中学に入るとどうなるか。分数計算ができない人が中学の数学を理解することはまず不可能で理数系が完全に終わった人が出てきます。

一方で、社会や国語などはその場しのぎで覚えれば、なんとかその場の点数は取れるので、崩壊は見えにくいです。しかし、知識として定着している人は少なく、覚えたことは抜けています。結局はその場しのぎなのでそんなもんです。

この状態で高校に入ると、基本的に大半の授業についていけない子がむしろ大多数になりつつあり、教科書をしっかり全部、1年以内に終わらせてそれを理解している子はおそらく1割にも満たない状態です。

そんな状態で大学へという話になるわけですが、前述の通り、壊滅状態である理系教科よりは文系教科の方がその場しのぎでも成績としてマシなので、文系コースになったりします。理系科目が苦手なので文系です…と名乗るのは変な話なのですが、それだけにヤバくて、しかもそのレベルでさえ大学を選ばなければ入れてしまう現実があります。

結果爆誕するのが分数の計算ができない大学生」。まったく笑えない。

また、今年度から教科書の内容がガラっと変わり非常に詳しく分厚くなったのですが、各社中身がてんでバラバラで検定教科書というのが規格化されていない状態です。

これはこれで自分は好ましいと思うのですが、おそらく大学受験テストを作る側が一番困るのではないかと。しかも国の投げっぱなしな適当な受験方策でグダグダに拍車がかかって、これどえらいことになるんじゃないの…?と地味にびっくりしています。

なにより若い先生は今回の教科書の内容を説明できるのか甚だ疑問なレベルです。数研出版の化学とか、第一学習社の生物とか自分でも全部ちゃんと質問をさばける自信がないくらいに細かいです。

さて大学を選ばなければ誰でも入れるということ。大学も大学でウルトラ少子化ですから名前を書けば通るような大学が珍しくなく、また全体の学力が下がったことで普通にちょっとだけやっただけでかなり良い大学に入れたりします。

当然大学で苦労するのですが、理系でなければ卒業だけならなんとかなることも多くて、その結果、大学という場でさえ学ぶことなくそのまま素通りそして就職という流れになります。

勉強という勉強からすべて逃げてきた人は、教養?そんなモノ知りません。パソコン?もちろん使えません。スマホでしかテキスト打ちしたことないです!という人が少なくないです。

この状態で社会に放り出されて「役に立つ人材!」というのを求められるわけですから、優秀な子の取り合いになってこれまた求人はあるのに応募してくる子が大半取れない…という話にもつながっていく次第。

メルマガのざっくりした雑感記事にするレベルではないくらいヤバい話なのですが、また改めてその辺は掘り下げてみたいと思います。

● アリエナイ理科ポータルのこの記事をお読みになりたい場合は、こちら

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世界がニッポンに熱視線。スマート農業という、新たな成長産業

本来、国の根幹をなす産業である農業ですが、我が国では従事者の高齢化に加え後継者不足も重なり、存亡の危機に立たされていると言っても過言ではありません。そんな中、ITやAIを駆使した「スマート農業」が注目を浴びています。ライターの本郷香奈さんは今回、ドローンの農業分野への活用を中心に、日本のスマート農業市場の将来性に着目し活発な動きを見せる国内外の企業の取り組みを紹介しています。

日本でも広がるドローンを活用したスマート農業

近年、農業生産の現場で「スマート農業」が世界的に広がりを見せている。スマート農業とは「精密農業」とも呼ばれ、ハイテク技術を活用して効率よく作物生産を行う農業を意味する。日本でも農業従事者の高齢化や担い手不足などで近年注目され、中でも技術開発の進むドローンの農業分野への活用を、国内外の企業が競って展開している。特に海外企業は、農産品の品質が世界で高く評価され高付加価値を生み出す日本の農業にビジネスチャンスを見いだしているようだ。

国内勢では当初、三菱商事と日立製作所が出資した合弁企業としてスタートし、その後経営陣による株式買収(MBO)を行ったスカイマティクスが、ドローンを使った農業支援サービスを展開している。住友化学住友商事などの企業やファンドが出資するナイルワークスも、センチメートルの精度で完全自動飛行する農業用ドローンの開発や、専用カメラによる作物の生育状況のリアルタイム診断などを行っている。

日本のスマート農業市場の将来性に着目してこのところ活動を活発化させているのは海外勢だ。種子・製薬分野のグローバル企業として世界に展開するバイエルと、中国・広州のドローン開発メーカーXAGは、昨年から共同で日本での事業に乗り出し、市場開拓を進めている。バイエル子会社で、日本で農業関連事業を展開するバイエルクロップサイエンスがXAGと一体となり、農薬とドローンの最適融合を図るべく協業しているのが特徴で、ドローンによる農薬散布をより効果的に行うための仕様や薬剤の研究などに取り組んでいる。

中山間地の多い日本の農業は、諸外国とは異なる環境も多く、両者の協業で農薬の散布方法や最適な薬剤、日本独特の環境や作物に対する知識が蓄積されたという。バイエルクロップサイエンスのハーラルト・プリンツ社長は「高精度な散布技術を今後研究していけると感じた」と話す。

農業向けドローンを日本を含め世界38か国で展開しているXAG共同創業者のジャスティン・ゴン氏は「日本は精密農業や環境対策に高い基準を有しており我々もレベルの高い研究をしようと思っている」と話す。

10月初旬に行われた日本市場のレビューではXAGが今秋から導入予定のドローンの新機種も紹介された。持ち運びや組み立ての利便性に優れ、完全自動散布で、作業後に薬液を水で洗い流せる防水仕様により、農家の手入れの負担を減らしたのが特徴だ。

国内外の他のドローン・メーカーも圃場管理や効果的な肥料散布を支援するリモートセンシング(遠隔測定)技術を競うなど、農業生産の現場では着実に変化が起きている

このほか農業機械大手のクボタや井関農機は、トラクターや田植え機などを高度化し、自動運転や圃場での作業の自動化を実現する開発を続けて新製品を生み出している。中でも自動田植え機は、熟練者並みの直進精度を得られるなど、農業者の負担を減らし、作業能率を大幅に高める技術が進展を続けている。

倒れた電柱2000本。疲弊した日本のインフラが「次の危機」を招く

立て続けに上陸した台風により停電や断水などに見舞われ、ここに来て社会的インフラの脆弱性を露呈することとなってしまった日本列島。世界に名だたる先進国として歩んできた我が国で、なぜこのような事態が起きてしまったのでしょうか。自身も千葉県で台風の被害に遭われたジャーナリスト・高野孟さんは今回、メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』でその原因を分析するとともに、安倍政権が掲げる国土強靱化政策に対して、「戦略の体をなしていない」と厳しく批判しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2019年10月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

戦後日本は来年「後期高齢者」入りだという自覚の欠如──社会の基盤となるインフラの全般的危機

台風15号で私自身が体験し見聞した暴風災害については、すでに9月の本誌で2度書いているが、さらに10月に入って台風19号の豪雨災害、さらにそれを遙かに上回る10月25日の超豪雨も折り重なり、「房総は災害が少ない」のを自慢にしていた村の長老たちも面子丸つぶれの異常事態。これらを通じて次第に明らかになってきたのは、単に房総が大変で私が苦労したとかいう局所的なことではなく、日本社会の基盤を支えるインフラが全般的に劣化しているというのにその修復・補強・置換についての総合的な戦略が不在で、国民生活の安全性が内側から脅かされつつあるという深刻な現実である。本号転載の日刊ゲンダイでもそのことを書いていて、いささかしつこいかもしれないが同コラムはスペースが狭いので本文で補足的なデータを盛り込んでいくことにした。

天災もさることながら人災の面が主

こういうことが起きる度に「天災か人災か」ということが言われるけれども、余り意味のあることではない

地球温暖化で近海の海面温度が上昇して日本列島の生理が変わってしまい、天候の亜熱帯化が進行していることそれ自体は自然現象だけれども、19~20世紀を通じて人類が何の考えもなしに石炭や石油を好き放題に燃やしてそれが豊かさの徴だと妄想してきたことがその根本原因であるとすれば、それもまた人災ということになる。

結局、人間は自分勝手と言うか、目先の幸せや利益しか考えないもので、自分の日常の行いが後々までどういう影響を残し、孫の世代には何を押しつけることになってしまうのかという「想像力」は、なかなか働かない。

それでもまあ地球温暖化、あるいはこれから起こりうる首都圏直下型や東海・南海トラフの大地震、浅間山や富士山の噴火などは、一応天災に分類するとして、さてそれにいよいよ耐えられなくなっている社会的なインフラの劣化、それを薄々知っていながら正面切ってそれを立て直そうとしない政治・行政の怠慢とは、疑いもなく人災」そのものである。

北朝鮮のミサイル実験がどうしたとか言っている場合ではない。それは、将来は来るかもしれない潜在的脅威の1つではあるけれども、すでに顕在化している日本の最大の安全保障上の現実的な危機は、戦後75年、高度成長期から数えても50年を超えつつあるすべての社会的インフラが、ことごとく、劣化プロセスに突入していてこの気候変動に到底耐えられないということである。

悪気がないからタチが悪い。SNSでデマを拡散させる歪んだ正義

今年8月に常磐自動車道で起きたあおり運転暴行事件の「同乗者」に仕立て上げられた女性が、SNS上でデマを拡散させた一人として、愛知県の豊田市議に対し訴訟を起こしたことが明らかになりました。なぜネット上でたびたびこうした「偽情報」が広がってしまうのでしょうか。。健康社会学者の河合薫さんが自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、その裏にある人間の心理を分析しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年10月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

匿名社会の歪んだ正義

今年8月、常磐自動車道で会社員男性があおり運転を受け殴られた事件で、加害者の男の車に同乗していた「ガラケー女とのデマをネット上で流され名誉を傷つけられたとして会社経営の女性が愛知県豊田市の原田隆司市議に慰謝料100万円を求める訴訟を起こしました。

事件のきっかけはモザイクをかけたテレビの映像です。

高速道路上で暴行の様子を携帯電話で撮影する女(=ガラケー女)にモザイクがかけられ報じられたことで、ネット上では「ガラケー女」探しが過熱。匿名のSNSにより、全く無関係にも関わらず会社経営の女性が「こいつだ!」と複数の人たちに間違って特定されてしまいました。その中の一人が原田市議です。

『拡散希望!』と書かれたSNSは瞬く間に拡散し、ツイッターのトレンドになるほどでした。女性は「交際相手の女」として実名を公開され女性の元には1日で280件もの迷惑電話が入りインスタグラムには1,000件を超える誹謗中傷のメッセージが届いたといいます。

いったいなぜ、全く無関係の女性が「ガラケー女」に間違われてしまったのか?

理由は2つです。なぜか面識のない容疑者の男が女性のSNSをフォローしていたこと、さらには、容疑者の女の服や帽子、サングラスが、SNSで女性が公開していた自身の写真に写っているものと似ていたことです。

今回は書き込みが特定された原田市議に対する提訴ですが、同じようなデマを流した人が特定され次第提訴に踏み切る方針だそうです。

なんとも…恐ろしい“事件”ですが、提訴された原田市議が「犯人が早く捕まってほしいと思いシェアしてしまった。おとしめるつもりはなかった」と釈明したように、「歪んだ正義」が全く無関係の女性を犯人にしたてあげてしまったのです。

SNSでは「扇情的」な言葉であればあるほど、拡散するスピードが早まり、より遠くまで伝わります。これまで行われた調査研究では、直接攻撃する人の割合は全体のわずか0.1%以下で中には0.001%とする研究者もいるほど少ないのです。しかも、炎上に加担する人たちは大抵決まっていて、ネット利用者の0.5%程度と試算されています。

実際、数々の炎上の舞台となった2ちゃんねるの管理人を長く務めていた西村博之さんは「2ちゃんねる上でのほとんどの炎上事件の実行犯は5人以内で、たったひとりしかいない場合も珍しくない」とコメントしていました。

また、炎上の参加者は男性の方が多く、若い世代ほど高く、年収の多い人、ニュースに関心の高い人、SNSで誹謗された経験がある人ほど、加担する傾向が強いこともわかっています(参考文献:『ネット炎上の研究』)。

とはいえこれらはあくまで統計的に「傾向がある」とされているだけで、事実無根の罪で長年誹謗中傷されたスマイリーキクチさんの事件では、最終的に18人が検挙され17歳~47歳と幅がひろく、男性だけでなく女性もいました。彼らはいちように「ネットに騙された」「自分だけじゃない」と責任を転嫁し、ひとりとしてスマイリーキクチさんに謝罪する人はいませんでした

もし、自分が何かに巻き込まれるようなことがあったら…と不安になってしまいますが、今回の場合は「あおり運転」「犯人」「ガラケー女」という激しい言葉が拡散を加速させ、あおり運転の加害者とその隣にいた「女」への憤りが、歪んだ正義にすり替わり自らが発信者になる人リツイートする人を増殖させたのです。

危機意識のなさこそ問題。関電金品受領事件が原発にもたらす災い

役員たちが「恐くて返せなかった」とまるで幼稚園児レベルの言い訳に終始していた、関西電力幹部らの金品受領事件。あまりの危機意識のなさに非難が集中しましたが、ジャーナリストはこの件をどう見ているのでしょうか。数々のメディアで活躍中の嶌信彦さんは今回、自身の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』で、事件に対する関西電力の報告書や会見内容を読み解き、その「企業体質」を厳しく批判しています。

信用を無残に砕いた関西電力

関西電力の会長らトップ経営陣20人が、福井県高浜町の元助役(故人)から3億2,000万円相当の金品を受け取っていた事実には、唖然として声も出ない。電力会社の企業モラルは一体どうして変貌してしまったのだろうか。賛否の激しい原子力発電を扱う電力会社は、常に身を正し公開性や透明性を求められていたし、原発地域の人々も半ばその体質を信じた上で原発建設を認めてきたように思う。

しかし今回明るみに出た関西電力の報告書を読むと、そんな消費者の思いや信頼を無残に打ち砕いてしまったといえる。今回の報告書は、国税当局の調査に基づいて提出したもので2011年から18年までの7年間にわたる金品の授受が記されている。元助役は77年から87年まで助役職を務めており、退職後は原発工事を請け負っていた地元業者や関電の顧問などにも天下っており、関電と地元業者の間に入って手数料を受け取りながら資金の仲介を行なっていたとみられ、仲介役は7年以上に及んでいたようだ。

報告書の内容は驚くべき事実が並んでいる。

元助役は町、県、県議会、国会議員に広い人脈を持ち、機嫌を損ねると発電所運営に支障を及ぼす行動に出るリスクがあった。

長時間にわたって叱責、激高することが多々あった。このため出来るだけ手厚く丁重に対応し、地元企業への発注工事等の情報は具体的規模を示しながら説明した。

役員20人が7年間で3億2,000万円受領

元助役に対しては、当社幹部が多数出席し年始会、お花見会、誕生会等を開催。少しでも助役の意に沿わないと急に激高、発電所を出来なくしてやると言われた」「発電所立地当時の書類は今も自宅に残っており、世間に明らかにしたら大変なことになる」「調査対象者26人のうち20人の役員に現金、商品券、米ドル、金貨、小判等が渡されていた。菓子等の土産物の袋や箱の底に金品を入れて見えないように渡すケースが多かった。

多くの者は金品の返上を申し出たが助役から“無礼者、ワシを軽く見るな”と激高されるので返品を諦めざるを得なかった。

スーツ仕立券付き生地、商品券等はお礼の範囲として一部消費された。

助役に対応する仕組みはなかった。

恐くて返却できず?

一連の関電トップらの発言で目立つのは、恐喝的発言が恐くて誰も面と向かって助役に対応しなかった。にも拘わらず会社役員が一体となって対策を論じ合った形跡がなく警察などに相談することもしていなかった。ひたすら20人の役員が個々に戦々恐々としながら誰にもいわず嵐が通り過ぎるのを待っていたかのようだ。しかもその間に役員の中には一部の金品を使ったり、“いつか返そうと思って預かっていたつもりだった”と弁明するのだから話にならならない。

また、助役の機嫌を損ねると原発の再稼動が出来なくなる──ことなどを考え、強く拒めなかったとも弁明している。住民の安全、消費者の利益などを第一に考えるべき原発企業が、ヤクザでもない町の助役に巨大企業のトップ達が恐れた理由がもう一つ判然としない。まだ他にも隠されている理由があるのだろうか

企業の責任者としての凜とした姿勢がまるで見られず、20人もの幹部が誰一人としてモノを申せない企業体質、コンプライアンスは一体どうなっていたのか考え込まざるを得ない。実は元助役の資金は関電から過去に約20億円超の工事を受注していた関連企業から出ていたようで、いわば工事受注の見返りに元助役を通じて資金を配っていた構図だ。

スーパーのレジ待ちで、無意識に赤の他人と競争してしまうワケ

レジで待っている時、なぜイライラするのか。誰もが一度は覚えのある、現代人共通の謎の習性「レジ待ちイライラ」を、ビジネスに役立つ「テツガク」を語るメルマガ『中野明のストリートで哲学を語ってみた』の著者でノンフィクション作家の中野明さんが、ズバリ納得の理由で説明されています。

レジでイラつくのは、「基準」と比較してしまうから

私は待つのが大の苦手です。渋滞では車線をよく変更し、少しでも早く目的地に着こうとします。行列ができる店舗も苦手で、並んでまで食事をしようとは思いません。もちろんレジ待ちも大の苦手で、すぐにイライラします。同様の方も多数いらっしゃるのではないでしょうか。

参照点と関わり深いレジ待ちのイライラ

このメルマガの第9号で、「参照点」の話をしました。参照点とは、物事の見方を決める基準となる立ち位置のことでした。そして、人が感じる損得は参照点が重要な決め手の一つになりました。

思うに私たちが大嫌いなレジ待ちのイライラも、この参照点との関係が非常に深いように思います。
例えば、私があるレジの行列に並び、精算が済むまでの時間を5分と見積もったとします。この5分が私にとっての参照点になります。

仮にレジ待ちが3分で済んだとしましょう。この場合、基準の5分よりも2分早いことになります。そのため私はそれほど不愉快を感じずにレジをあとにできるでしょう。

ところが、レジ待ちが7分だったとしたら、参照点の5分を2分オーバーしています。そのため私はかなり不愉快な思いをしてレジをあとにするでしょう。場合によってはレジのおばさんに、不快感をあらわにしているかもしれません(あぁ、何と人間ができていないのだろう、私って…)。

ここからわかるのは、できるだけ時間的余裕をもった参照点を持つ方がレジ待ちのイライラを抑えられることがわかります。

ところが、私たちが持つ参照点は、心の中で決めた待ち時間だけとは限りません。場合によっては、周囲にいる人が参照点になることがあります。というか、レジ待ちの場合、こちらのケースの方が多いかもしれません。

私がレジ待ちである行列を選んだとします。隣のレジ待ちを見るとすでに並んでいる人がいます。さらに、しばらくして、別の人が私の隣のレジ待ちに並びました。私より前に隣のレジ待ちに並んでいた人や、いま列に並んだこれら見知らぬ人が私のレジ待ちの参照点になることが往々にしてあります。どういうことか説明しましょう。

レジ待ちに見る店舗運営の不公平感

仮に私よりも早くから並んでいた隣のレジ待ちの人よりも、私の方が先に精算を済ませたとしましょう。私は参照点にしたその人よりも短時間で行列から解放されたことになりますから、それほどイライラを感じずにレジをあとにできるでしょう。

ところが逆に、私よりもあとから隣のレジ待ちに並んだ人が、私よりも先に精算を済ませたとします。この場合、私は参照点にしたその人よりも長くレジを待たされたことになりますから、イライラ感は高まるに違いありません。皆さんも同様の経験をされたことがきっとあるはずです。

このように私たちは、心の中の時間だけではなく、レジ待ちの周囲の人も参照点にすることができます。そして、その参照点いかんによって、私の気分は良くもなり、悪くもなるわけです。

ただここでふと気づくことがあります。そもそも、何故、あとからレジ待ちに並んだ人が、私よりも先に精算を済ませるのでしょうか。先に並んでいる人が、先に精算を済ませるのは、公正であり当たり前のことです。

しかし、この当たり前が当たり前でなくなったとき私たちのイライラが嵩じるのだと思います。つまりこのイライラの背景には、待つことに対する不満よりもむしろ、店舗の運営に対する不満、要するに並んだ人から順に精算しないという、公正さに欠けた店舗運営に対する不満や怒りが存在することがわかります。この不公正さに私たちは無性にイライラするわけです。

最近では、レジ待ちの不公平感をなくすために、フォーク型のレジ待ちを採用する店舗も多くなってきています。しかしそれよりも、アマゾンが手掛けるレジ無し店舗アマゾン・ゴーが、レジ待ちに公正さを取り戻す強力な一手になると思うのですが、皆さんはどのようにお考えでしょうか。
レジ待ちのイライラ、その背景には公正さに欠けた店舗運営がある。

2019年10月配信分
  • 「囚人のジレンマ」は社会に役立つのか(10/28)
  • レジ待ちでイライラする本当の理由は何か(10/21)
  • アマゾンの強さの秘密はどこにあるのか(10/14)
  • 人はなぜ得することよりも損することを嫌うのか(10/7)

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それ、労働基準法違反。内定者に必ず明示しなければいけないこと

売り手市場が続く就職戦線にあって、新戦力を確保できた企業にとってはひとまずホッと一息といったこの時期ですが、内定者によるSNSへの不適切な内容の書き込み等、この先問題が起こらないとも限りません。今回の無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では著者で現役社労士の飯田弘和さんが、「内定」に関して企業が注意すべき点や課せられている義務についてわかりやすく解説しています。

御社では、内定者に労働条件の明示を行っていますか?

そろそろ、新卒内定者が決まってきたことと思います。内定通知書の交付や、内定式を行った会社も多いのではないでしょうか。

ところで、一般的には、内定とは「始期付解約権留保付労働契約」が結ばれたことになります。学校を卒業できなかった等の内定取消し事由がない限り、4月1日から労働契約に基づいて働くという契約が結ばれたという事になります。

内定取消し事由としては、学校を卒業できなかった他にも、「SNSに不適切な内容の投稿を行った」場合や「健康上の理由により勤務が困難となった」場合、「重要な経歴詐称が発覚した」場合などが挙げられます。ただし、内定通知書や入社誓約書等に内定取消し事由として記載されている必要があります。

また、内定者といっても、会社によってその実態は様々です。ザックリ分ければ、「採用予定者採用決定者」に分かれます。採用決定者とは、始期付解約権留保付労働契約が結ばれている者をいいます。その判断は、内定通知の内容や形式、内定期間中の内定者の取り扱い、辞令の交付、誓約書の提出やその会社の慣行等によって、その内定が始期付解約権留保付労働契約とみるかそれともまだ労働契約の結ばれていない採用予定者とみるか分かれます。

始期付解約権留保付労働契約が結ばれたという事であれば、内定取消しは「労働契約の解除すなわち解雇」という事になります。解雇であれば、労基法20条により、解雇の30日前までに予告する必要があります。

また、たとえ30日前までに内定取消しを伝えたとしても、他の会社に就職する機会を失ったことへの損害賠償請求をされる可能性があります。安易な内定取消しはすべきではありません。

ところで、内定によって始期付解約権留保付労働契約が成立している場合には、内定者に対し労働条件の明示が必要となります。これは、労基法15条で「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と定められているからです。明示方法としては、原則は書面の交付ですが、労働者が希望した場合には、FAXや電子メール、SNS等でも明示できます。

内定者に労働条件の明示を行う場合、まだ具体的な就業場所や従事すべき業務が決まっていない場合もあるでしょう。そのような時には、就業場所や業務について想定される内容を包括的に示しても構いません。始期付解約権留保付労働契約が結ばれているにもかかわらず、労働条件の明示を行わない場合労基法15条違反となりますのでご注意ください。

最後に…人手不足が深刻な中、できるだけ早く内定者を囲いたいと考えるかもしれませんが、内定の安易な取消しはとてもリスクの高い行為です。実際に雇入れた後では、更に問題が複雑になります。内定を行う場合には、その者がこの先ずっと御社で働き続ける、御社の一員となることについて、本当に彼でいいのか、彼で大丈夫か、慎重に判断すべきでしょう。

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1位は星野源。「意外な作品に出ていて驚いた有名人」ランキング

数日前、ある懐かしいドラマのタイトルがTwitterのトレンドに入り、「懐かしすぎ!」「名作だよね」と話題となっていたのをご存知でしょうか。実はこの日の深夜、関西地方で伝説のシンクロナイズド青春ドラマ『WATER BOYS(ウォーターボーイズ)』(フジテレビ系)の再放送が行われていたのでした。

このドラマは、山田孝之、森山未來、瑛太、田中圭など、男性有名人を多数輩出した名作品として未だに語り継がれています。ピッチピチの若手新人として出演している俳優さんたちの、あまりのフレッシュさに「ギャップ萌え」してしまいます。

意外な作品に出ていて驚いた有名人ランキング

そこで、若かりし頃からさまざまな作品に出演していた30代の男性有名人をテーマに、「この作品にも出演していたのか!と最も驚いたのは誰なのか?」を調査・ランキング化したgooランキングを見てさらにギャップ萌えしてみましょう。

1位・星野源

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シンガーソングライターであり、劇団「大人計画」に所属する俳優でもある星野源。これまでにも数々のドラマや映画に出演してきましたが、2016年に放送された『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)で大ブレイクしたのはご存じの通り。そんな星野源が、2003年に放送されてヒットした青春ドラマ『WATER BOYS(ウォーターボーイズ)』(フジテレビ系)に出演していたのは、意外に知られていません。
主演の山田孝之をはじめ森山未來、瑛太らそうそうたる顔ぶれが並ぶ中、星野源はセリフが少ないシンクロ同好会の一員として脇役で出演。眼鏡に坊主頭という当時の姿に、「ドラマを見ていたけど気付かなかった…」という人が多いようです。
また、星野源さんは、宮藤官九郎脚本のドラマ『タイガー&ドラゴン』にも新人落語家『林屋亭どんつく』として出演しています。これも同じく坊主頭で、あまり目立たない役でしたが、ドラマの中で二つ目に昇進。リアルの星野源さんのその後の大出世を予感させる展開でした。

2位・松山ケンイチ

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コミカルな役からシリアスな役まで変幻自在にこなす演技派俳優・松山ケンイチ。世間の注目を集めるきっかけとなったのは、2006年に公開された映画『デスノート』の探偵・L(エル)役ですが、実は2002年に放送された学園ドラマ『ごくせん』(日本テレビ系)の第1シリーズに生徒役で出演していました。
仲間由紀恵が熱血教師の主人公を演じたこのドラマ。生徒役として松本潤(嵐)や小栗旬、上地雄輔などが注目を集める中、松山ケンイチは生徒の一人である毛利研一役を演じていました。ちなみに、彼はこの作品が俳優デビュー作だったそうですね。
松山さんといえば忘れてはいけないのが、デスメタルラブコメ映画『デトロイト・メタル・シティ』の根岸崇一(= ヨハネ・クラウザー2世) 役を演じていた事実。彼がさらにキャリアを重ねていけば、この怪演も、まさかのレジェンドとして語り継がれていくことでしょう。

3位・斎藤工

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大人の色気を備えた俳優として人気の斎藤工。33歳の時に出演した2014年のドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』(フジテレビ系)でブレイクしたため遅咲きのイメージがありますが、デビュー作は2001年公開の映画『時の香り~リメンバー・ミー~』。以降もさまざまなドラマ・映画に出演しています。
そんな彼の出演作の一つが、2004年のスペシャルドラマ『ビー・バップ・ハイスクール』(TBS系)。1980年代にヒットした同名ヤンキー漫画を実写化した作品です。不良役というのはちょっと意外な印象もありますが、映画『不良少年 3,000人の総番(アタマ)』やドラマ『クロヒョウ 龍が如く新章』(TBS系)などでも不良役を演じています。放送当時はどんな不良っぷりを見せてくれていたのか、ファンには気になるところ。
映画監督としての活動でも知られる斎藤工さん、実は2011年には、CDシングル「燦々」でメジャーデビューも果たしています。多彩な活動に注目したいですね。

もっとギャップを楽しみたい方は、4位~47位のランキング結果もどうぞ。

image by: タレントデータバンク(星野源松山ケンイチ斎藤工), Shutterstock.com
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現役アナが教える。ネガティブワードを使わず伝える言い換え術

人前で話すあらゆるシーンに役立つプロの技を伝えてくれるメルマガ『話し方を磨く刺激的なひと言』の著者で、アナウンサー歴30年の熊谷章洋さんによる「話し方の表現力を上げる5つのアプローチ」シリーズ。言い換えることで「話す時の語彙」を豊かにする方法を具体的に教えてくれます。今回は、聞き手の価値観を否定しかねない「嫌い」という気持ちを穏便に伝える方法と、相手の「好きの押し売り」を上手に断る方法を伝授します。

ネガティブワードを使わないための言い換え

話す時の語彙力を高める方法について、シリーズでお伝えしています。前回の記事の中で、ネガティブな言葉をできるだけ使わないことについて、ちょっとだけ触れました。今回は、どうすればネガティブワードを使わずに、他の表現に言い換えられるか?というテーマに特化して考えてみましょう。

前回の記事の中で挙げたのは…嫌い、いやだ、気持ち悪い、反対、苦労した、大変だ、疲れた、合わない、不幸だ、不運だ、ついてない…日常で使いがちですよね。

このようなネガティブな言葉を別の言葉で言い換えようとする時の、イメージのスイッチの切り替えが、脳に良い働きを与えるのだとお伝えしましたが、もっと現実的な効果としては、それを聞いた人に与える印象の違いですよね。

「ものは言いよう」と言われる通り、その言葉でなくてはいけない状況、使う言葉の正解が一つしかない時なんて、滅多にないんです。他の表現があり得るのに、その表現をしてしまうのも、すべて、自分自身が決めていること。

いや、その都度、言葉を選んでいるならまだしも、習慣、惰性によって、使う言葉のバリエーションがネガティブに偏っているとしたら、かなり良くない傾向だと思います。

そもそも話す時の語彙というのは、自分が使いやすいシンプルな表現に、収斂しやすい傾向にあります。これまでもお伝えしてきたように、例えば、使い慣れた「すごい」に「超」を付けるだけのほうが、楽なんですよね。

それと同様に、否定的な言動も、表現の工夫をせずに、嫌いだ、いやだ、気持ち悪い…で済ませてしまっていると、それを聞く側からしても露骨に感じますし、自分自身の脳や思考回路、思考習慣にも、なんらかの影響を与えてしまう、もしくはそういうネガティブな思考習慣があるからこそ、その言葉を選んでしまう…のかもしれませんよね。

同じ「脳に定着させる」なら、人にも自分にも優しい表現を、選びませんか?ほんのちょっとだけ、知恵は絞りますが、「そんな言い方もできるのか!」という気づきがあると、自分の話し言葉として定着しやすくなりますから、なーんだ、そんなことか。と頭ごなしに否定しないで、まずは飲み込んでみてくださいね。

何でもビジネスに関連付けるのは悪い癖。「巧遅拙速」の真の意味

日常生活において不思議に思ったり、ちょっと気になったあれこれについて考察するメルマガ『8人ばなし』。著者の山崎勝義さんは今回、ビジネスで金言的に用いられる「巧遅拙速」について、その類語とともに紐解きます。そして、「遅くなければいいだろう」と「拙速」な仕事をするのは、出典の前提から乖離していると指摘。さらには、何でもビジネスに関連付けず、古典として純粋に読むことも必要と説いています。

巧遅拙速のこと

「故兵聞拙速。未睹巧之久也。」『孫子』「作戦」よりの引用である。訓読すれば「故に兵は拙速を聞く。未だ巧の久しき睹(み)ざるなり。」となる。

似たものに、「兵貴神速」(兵は神速を貴ぶ)『魏志』「郭嘉伝」、「巧遅者不如拙速」(巧遅は拙速に如かず)『文章軌範』「有字集小序」などがある。

中でも3つ目の「巧遅は拙速に如かず」=「巧遅拙速」は、戦時における用兵という特殊例ではなく一般化されているということもあって現代サラリーマンの間でも半ば金言的に広く知られるところとなっている。

これを現代語訳すれば「巧くて遅いことは拙くて速いことには及ばない」となり、要は「下手でも速い方がまし」ということである。一応の念押しだが「下手で十分」とは決して言ってはいない。

そもそも序列的には、

  1. 巧速(巧い速い)
  2. 拙速(拙い速い)
  3. 巧遅(巧い遅い)
  4. 拙遅(拙い遅い)

となる筈で3より2がましだと言っているに過ぎない。言うまでもなく1は良い方に、4は悪い方に論外としている。

では拙速と巧遅の比較において拙速を上位としたのは如何なる理由からであろう。これは出典元である『文章軌範』のことを少し調べれば分かって来る。『文章軌範』は実は科挙(現代日本で言うところのキャリア官僚採用試験)のための受験参考書として編まれたものなのである。

エリート官僚なら皆そこそこ優秀なのは当たり前である。しかし大天才や大秀才は滅多に出るものではないから完璧な仕事も滅多にできるものではない。故に「巧遅」は望まない。それよりもそこそこ優秀な仕事なら普通にできるという前提がある訳だから「拙速」重視とした方が遙かに効率が良いのである。

こういった事情を無視して、拙いものを拙いと自分で分かっていながら拙速即ち善とばかりに提出するから、そこここで上司のお怒りを受けることになるのである。