【書評】手紙の文字を書き分ける仕掛けに感動。代書屋物語が面白い

代書屋というお仕事をご存知でしょうか? 依頼人になり代わり手紙をしたためるというこの職業、今ではほぼ見かけることはありませんが…、そんな代書屋を通して人の縁を見事に描いた1冊の物語を、無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが紹介しています。

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ツバキ文具店』小川糸・著 幻冬舎

小川糸『ツバキ文具店』を読んだ。主人公・雨宮鳩子(ポッポちゃん)は鎌倉のツバキ文房具の店主で代書屋である。お隣さんは見かけは100%日本人なのに、なぜかバーバラ婦人と呼ばれている明るく元気な高齢者だ。婦人? キュリー夫人、ボヴァリー夫人、赤毛のアンのリンド夫人、オバマ夫人……普通は「夫人」だろう。違和感あるがまあいい。持ち込まれるさまざまな代書依頼に、ポッポちゃんがどう対応しどうやって仕上げていくのか、そのプロセスは非常に興味深い。代書にかかわるあらゆること、ものにいちいち蘊蓄が語られるが、こういうのは嫌いでない。文字に関わるものは面白い。

最初の仕事はお悔やみ状である。細かなルールが語られるが納得できる。亡くなったのは家族同様の猿だったが。香料にお悔やみ状を添えて書留郵便で送る。依頼主はお悔やみ状の文面も体裁も知らない。この代書屋は依頼されたテーマを全力で書き上げ発送まで担当する。依頼主は原則としてその成果物を見ることがないという不思議なシステムだ(いくつか例外もある)。自分で自分の気持ちをすらすら表現できる人は問題ないが、そうでない人のために代書をする。そのほうが気持ちが伝わることもある。かつて恋仲だったが離ればなれになった幼馴染みに、ひとこと、僕も元気だと伝えたいという手紙もいい味だ。

トヨタも屈した。トランプの「ヘイト政治」で世界秩序はどうなる?

いよいよ今月20日、米大統領に就任するトランプ氏ですが、1月6日にはトヨタによるメキシコ工場新設を批判すると共に「米国に輸入するなら高関税をかける」と警告するなど、SNSによる「お騒がせ発言」が止む気配はありません。これらを受け、メルマガ『国際戦略コラム有料版』の著者・津田慶治さんは、「トランプ氏は本気で保護貿易を行うつもりであり、世界は確実に大恐慌へと向かう」と分析、さらにこの機に乗じて世界覇権を取りに来る中国の動きと日本の取るべき対策についても記しています。

世界秩序が変わる時に戦争が起きる

よもや、米国の指導者が法治を破棄して、中国と同じような人治主義者になるとは見通していなかったが、2017年の混乱の原因の多くが、米国発になることが確実である。その検討。

トヨタなど海外企業にも介入

1月6日、トランプ次期大統領はツイッターで、トヨタがメキシコに新設するカローラの工場を批判して、米国輸入には関税35%が必要であると投稿。

このため、1月6日の株式市場では、自動車株が軒並み下落した。この介入により、トランプ大統領は、NAFTAの再交渉を行うことを示唆したことになる。

また、メキシコの国境に壁を作る予算を取る手続きをして、それを批判する記事に対して、米国が壁の費用を出すが、その費用はメキシコに請求すると述べている。選挙期間中に公約したことを実行するようである。

ということで、トランプ次期大統領は、公約実現に本気である。よって、保護貿易も行うことになる。中国からの輸入には関税45%であり、メキシコからの輸入には関税35%になる。

これは貿易戦争になり、世界経済を大幅に縮小させることは、1930年のストーム・ホーリー法で実験済であるので、確実に世界は大恐慌に向かう。もし実施したら、株価は1万円割れも起こり得る。

しかし多くの人達が、それでは米国も返り血を浴びる事になるので実行しないと言ってきたが、つい最近のツイッターの投稿を見ると、その期待はしない方が良いことがわかるはずである。

米国の製造業労働者は、工場が海外に移転せず、米国内に新設されて大きな利得を得るので、世界が大きな損をしても、特にメキシコや中国が大損をしても関心がない。というより、労働を取り戻しただけで、悪いことをしたとは思わないはずである。

しかし、まだ市場関係者、特にテクニカル分析に基づく評論家は、4ケ月後には2万4,000円まで行くと述べているし、まだ多くの評論家も米国経済は良くなっているので、経済的な観点からもしないと見ているようである。7月まではトランプ上昇相場が続くなどと述べている。

政治が経済に対して非常に大きいダメージを与えることを知らないのか?

この違いは、見ている目線が違うことから来る。あくまでもトランプ氏は、米国経済や米企業経営者ではなく、米製造業労働者だけの観点から見て、その人たちにとって良いことを行う政治をするのである。

早く、トランプ氏の異常な政治観点を見て、市場から回避しないと大損をすることになる。あらぬ期待をせずに日本企業の経営者も、真のトランプ氏の異常性を見るべきなのである。

見方によっては、北朝鮮の金正恩委員長と同じような視点の持ち主であると理解することである。

中国が日本の「港」を爆買い。豪華クルーズ船は「宝船」になるか?

買い物を楽しむためにクルーズ船で日本を訪れる外国人観光客が激増しています。その勢いはとどまることを知らず、政府はこれまでの「2020年までに100万人のクルーズ旅客を呼び込む」という目標を、5倍の500万人に上方修正しました。これらの動きを受け、無料メルマガ『店舗経営者の繁盛店講座|小売業・飲食店・サービス業』では著者で店舗経営コンサルタントの佐藤昌司さんが、「外国人客の訪日クルーズ旅行」が我が国の経済を救う起爆剤となり得るのかについて、ご自身の見解を記しています。

大クルーズ時代の到来。クルーズ船は宝船となるのか

佐藤昌司です。クルーズ船発の爆買いが日本経済を救うかもしれません

今、訪日クルーズ旅行が脚光を浴びています。政府は訪日クルーズ旅客を2020年までに500万人にする目標を掲げました。当初の5倍にもなる数値に引き上げた形です。

政府は当初、「クルーズ100万人時代を2020年に達成する目標を掲げていました。訪日クルーズ旅客は、2013年は約17.4万人にすぎませんでしたが、2014年は約41.6万人に急増し、2015年には前年比2.7倍の約111.6万人にまで増加しました。5年前倒しで目標の100万人を達成しています。2016年も好調で、11月までのクルーズ船の寄港回数は前年比で38%増としています(国土交通省港湾局発表速報値)。

観光産業は世界的に成長しています。国連世界観光機関(UNWTO)によると、2015年の国際観光客は11億8,400万人で、前年比4.4%増となっています。また、世界のクルーズ人口は大きく増加しています。港湾局によると、2012年の世界のクルーズ人口は2,255万人としています。2010年は2,116万人で、2000年からの10年間での比較では、2倍以上に増えています。

クルーズ旅行は短時間で多様な経験ができることが魅力です。今の時代の特徴でもある、所得は増加したが余暇は減少している人が楽しむことができるレジャーとなっています。一方、クルーズ旅行というと「豪華で高額」というイメージが根強いと思われますが、近年では1人1泊1万円程度の低価格のものもあり、クルーズ旅行の格安化が進んでいます

クルーズ旅行による経済効果は非常に大きなものです。大型クルーズ船にもなれば、寄港地における経済効果は1人あたり3~4万円にもなるという試算があります。母港(発着地)であれば効果はさらに大きなものとなります。

トランプが仕掛ける米中冷戦で、日本が漁夫の利を得る可能性

前回掲載の記事「EU崩壊?キリスト教が危機に?日本は?ド~なる、2017年の世界」で、グローバリズムが生み出したさまざまな問題と今後の世界の展望について考察した無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で世界情勢に詳しい北野幸伯さん。今回は「アメリカと中国は対立する」と断言した上で、オバマ大統領からトランプ次期大統領へと引き継がれる米政権の行く末と、アメリカの動きに翻弄される日・中・ロそれぞれの関係について占っています。

2017年はどうなる?~米中覇権争奪戦のはじまり

今回も、「2017年はどうなる?」を考えます。前回は、二つの時流のうち一つ目、「グローバリズムからナショナリズムへ」を見ました。

EU崩壊?キリスト教が危機に?日本は?ド~なる、2017年の世界

今回は、もう一つの時流について考えます。それは、「アメリカと中国は対決する」という時流。

世界は、「米中二極時代」

第2次大戦終了から1991年までを、「冷戦時代」と呼びます。別の言葉で、「米ソ二極時代」。

1991年12月、ソ連は崩壊し、新しい時代が到来した。二極の一極(ソ連)が消え、一極(アメリカ)だけが残った。それで、1992年から世界は、「アメリカ一極時代」になった。

「アメリカ一極時代」は、08年に始まった「100年に1度の大不況で終焉しました。そして、また新たな時代に突入します。

09年から世界は、「米中二極時代」になりました。世界は、GDP、軍事費世界1位のアメリカ、GDP、軍事費世界2位の中国を中心にまわっている(中国のGDPは、2010年日本を抜いて世界2位になった)。しかも、米中の関係をみれば、明らかに、「沈んでいくアメリカ昇っていく中国」という関係だった。

オバマ外交の迷走

オバマ大統領の1期目(09~12年)、外交らしい外交はほとんどありませんでした。というのも、「100年に1度の大不況克服」で忙しかった。しかし、2期目になると、オバマさんは、かなり積極的な外交をするようになっていきます。

ところが、彼の外交は、アメリカの国益にまったく一致していないものでした。2013年8月、オバマは、シリア・アサド軍が「化学兵器を使った」ことを口実に、「シリアを攻撃する!」と宣言しました。しかし、2013年9月、「やっぱ、やめた」と戦争をドタキャン。世界を仰天させました。

2014年2月、ウクライナで革命が起こり、親ロシアのヤヌコビッチ政権が崩壊。2014年3月、ロシア、クリミアを併合。アメリカは、欧州、日本を巻き込んで、対ロシア制裁を発動。2014年8月、イスラム国への空爆開始。

このように、「アジア・ピボッド」「アジア・リバランス」などと言いながら、やってることは、シリア問題、ウクライナ、ロシア問題。この期間、中国は誰にも邪魔されることなく、南シナ海の埋め立てを行うことができたのです。オバマが迷走している間習近平は、「中国の夢にまい進していました。

お正月に見逃した? 月と火星と金星のランデブーを見上げよう

あっという間に暗くなってしまう冬の夕空。けれどもこの時期は、星が一番きれいに見える季節でもあります。今回の無料メルマガ『1日1粒!「幸せのタネ」』では、そんな冬の夜空にひときわ輝く金星と、31日に見られる「天体ショー」が紹介されています。

内と外とで大違い

冬の夕暮れは日の沈むのも早く、あっという間に暗くなりますね。例えば1月8日の大阪の日の入りの時刻は17時04分。日没の1時間前から暗くなりますから、暗くなるのが早いと思うのも当然ですね。

さて、その夕暮れ時。西の空にひときわ明るく輝く星があるのにお気づきでしょうか? 「宵の明星」、金星です。今月の金星の明るさは-4等級ですから、夕暮れ時から街の灯りのもとでも簡単に見つけることができます。

この金星は太陽から見て、地球よりも内側の軌道を回っています。太陽に近い惑星は水星と金星。この二つの惑星を「内惑星」と呼んでいます。地球より太陽に近いので、地球より外側を回っている火星、木星や土星とは違った見え方をします。

まず真夜中に見えることはありません。真夜中に見えるためには

  • 太陽 地球 惑星

という順番にならないといけませんが、水星や金星は地球より太陽に近いので、そんな順番にならないのです。その結果、見ることができるのは明け方か夕方かに限られるのです。

これから金星は、地球から見て太陽よりさらに離れていきます。一番離れるのが12日。これからしばらくは金星を眺めるのに良い時期が続きます。

今年はお正月に月と金星が近づいていたのを見た方もいらっしゃったでしょう。2日の夕方には月と金星が近づき、翌日の夕方は月と火星が近づいていました。細い月の傍に輝く金星を見て、綺麗だなぁと思われた方も多かったと思います。

見逃してしまった???

今月末31日にまたチャンスがあります。金星、火星に三日月が近づいていきます。今度はお見逃しなく!

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なぜ日本人には虫の「声」が聞こえ、外国人には聞こえないのか?

誰しも一度は耳を傾けたことがある、虫の声ですが…、この虫の鳴き声を「声」として認識できるのは、世界中で日本人とポリネシア人だけという事実をご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』では、そのメカニズムを紐解きながら、わたしたち日本人の「全世界に対する責務」についてが論じられています。

日本語が作る脳

東京医科歯科大学の角田忠信教授が、1987年1月にキューバのハバナで開かれた第一回国際学会「中枢神経系の病態生理学とその代償」に参加した時の事である。キューバではいまだ戦時体制が続いており、西側諸国からの参加者は角田教授一人だった。開会式の前夜に歓迎会が開かれ、東欧圏から大勢の科学者が参加していた。キューバ人の男性が力強いスペイン語で熱弁をふるう。

しかし、教授は会場を覆う激しい「虫の音」に気をとられていた。なるほど暑い国だな、と感心して、周囲の人に何という虫かと尋ねてみたが、だれも何も聞こえないという教授には蝉しぐれのように聞こえるのに!

午前2時頃、ようやくパーティが終わって、キューバ人の若い男女二人と帰途についたが、静かな夜道には、さきほどよりももっと激しく虫の音が聞こえる。教授が何度も虫の鳴く草むらを指して示しても、二人は立ち止まって真剣に聴き入るのだが、何も聞こえないようだ。不思議そうに顔を見合わせては、お疲れでしょうからゆっくりお休みください、というばかりであった。

教授は毎日、この二人と行動をともにしたが、3日目になってようやく男性は虫の音に気づくようになった。しかし、それ以上の感心は示さなかった。女性の方は、ついに一週間しても分からないままで終わった。どうも日本人の耳と外国人の耳は違いがあるようだ。

“真の勝者”がトランプ政権に対抗へ「間違いなら食い止める」

民主党の大統領候補指名でヒラリー・クリントン氏と争い、一大旋風を巻き起こしたバーニー・サンダース氏が、著書「Our Revolution(我々の革命)」のプロモーションで全米各地を訪れ、大統領選と米政治の今後を熱く語っている。同氏は民主党敗北の理由、次期トランプ政権との関わり方を説き、市民の団結による革命の継続を訴えている。

選挙に負けても思想は広がる。大統領選の真の勝者

フィラデルフィア・インクワイヤー紙(FI)は、サンダース氏こそが2016年大統領選の最大の勝者だと歴史に刻まれるかもしれない、と述べる。選挙には負けたが、思想の戦いには勝利したからだ。ぼさぼさ頭の75才の社会主義者が、世の中の不平等に立ち向かうとして大統領選への立候補を表明したのは1年半前。政治評論家から嘲笑されたが、企業献金や政治資金団体からの「汚い金」を拒絶し、支持者からの小口の献金だけを頼りに予想を覆す善戦をした、とFIはその活躍を振り返っている。

マイアミのブックフェアに現れたサンダース氏は、トランプ氏が勝利したのは「エスタブリッシュメント(支配階級)への戦いを挑んだ」ためと述べた。仕事は長時間労働なのに低賃金、子育てにも十分なお金を回せず、貯金もないので老後が不安というミドルクラスがアメリカにはたくさんおり、苦しむ彼らに、政治、経済、メディアのエスタブリッシュメントすべてに対抗すると約束したトランプ氏のメッセージが、ポジティブに受け止められたと持論を展開した(米公共ラジオネットワーク、PBS)。

ヒラリー氏を批判。対トランプ氏なら勝っていた?

大統領選、上下両院選に敗れた民主党に対しては、多様性について訴えかけることに重きを置いてアイデンティティ政治(特定のアイデンティティに基づくグループの利益を代弁して行う政治)に走ってしまい、労働者の声を聞くことを怠った、と苦言を呈した(Politico)。

ボストンのプロモーション会場では、同氏は至上二人目の女性上院議員になりたいというラティーノ女性に対し、「必要とされているのはウォール街、保険会社、製薬会社、化石燃料産業などに戦いを挑むガッツのある女性」、「女性だから私に投票してでは不十分」と厳しいダメ出しをした(ボストン・マガジン)。政治サイト「Politico」はこの発言が、クリントン氏に対する遠慮のない非難であったとしている。

「クリントン氏ではなく、あなただったらトランプ氏に勝てたのでは」という問いにサンダース氏は、「その質問は4800万回は受けた」と冗談まじりに返答したが、長い選挙戦ではなにが起こるか分からないし、チャンスがあったのなら、ぜひトランプ氏と戦ってみたかったと述べた(PBS)。また、接戦州でクリントン氏が苦戦したのは、熱狂的なサンダース支持者がクリントン氏に投票することを拒否したからではないかという問いに対して、もともとアメリカの有権者の半分、特に若者、労働者、低所得者層が投票に行かない傾向があることに問題があり、彼らが投票に行っていたならクリントン氏の地滑り的勝利だったと分析した(FI)。

団結でトランプ氏に対抗。革命は続く

サンダース氏は、トランプ政権誕生後の自身の役割についても言及している。同氏は各地で反トランプ抗議デモを行う人々の気持ちはわかるとしながらも、戦略が必要だとし、ゴールは何百万の人々を団結させ、数の力でトランプ政権に挑むことだと主張した。トランプ氏は選挙には勝ったが、最低賃金アップ、大学授業料無償化、気候変動といった問題においては、大多数のアメリカ人は自分の主張に賛同しているはずだと述べ、トランプ氏が間違った判断をするなら、人々の団結によってそれを食い止めようと訴えた。そしてトランプ氏が自分達の側に歩み寄って来るなら、政権とともに種々の問題を解決していけると説いた(PBS)。

サンダース氏は、これからもプログレッシブな原則に基づき、主義主張を曲げないことにフォーカスしていくと述べている(Politico)。トランプ氏勝利で米政治は大きな転換期を迎えているが、サンダース革命の炎は、まだまだ消えそうにない。

(山川真智子)

 

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記事提供ニュースフィア

【書評】ガリガリ君はなぜ水色?ヒット商品はこうして生まれる

「ガリガリ君」をはじめ、数々のヒット商品を生み出し続ける赤城乳業。しかしそこに至るまでには、オイルショックによる売り上げの低下をはじめとするさまざまな困難があったといいます。一時は倒産の危機にまで陥った同社は、なぜ業界を代表する企業になり得たのでしょうか。今回の無料メルマガ『ビジネス発想源』では、そんな秘密が記された一冊が紹介されています。

置き換えてみる発想

最近読んだ本の内容からの話。

1970年に東京農業大学を卒業した鈴木政次氏は、埼玉県深谷市にある赤城乳業に入社した。赤城乳業は6年前に井上社長が作った「赤城しぐれ」というかき氷のアイスがヒットし、その「赤城しぐれ」を商品の柱とする年商20数億円規模の中小企業だった。新卒入社で商品開発部に配属された鈴木氏は、「赤城乳業を年間売上500億円規模の会社にする」という夢を持って、新商品開発に勤しんだ。

1979年、オイルショックによって消費が冷え込んで赤城乳業は急激に売上が低下し、倒産の危機に陥ってしまった。鈴木氏がリーダーを務めていた商品開発部では、「赤城しぐれ」に匹敵するような会社の柱となる商品を作ることが緊急課題だった。そこで当時大人気だった「ルパン三世」や、漫画家の池田理代子の漫画をパッケージに採用したが、瞬間的にはバカ売れするものの、所詮借り物のキャラクターの企画なので長続きしない

鈴木氏は「ワンハンドのかき氷のアイスを作る」というコンセプトで商品を考えていた。当時のアイスは、「赤城しぐれ」のように、片手にカップを持ち、もう一方の手でスプーンを持って食べるのが主流だった。だから、コンピューターゲームや漫画本が人気の高まっている今、ワンハンドのかき氷のアイスがあれば、食べながら遊べて喜ばれると考えたのである。

赤城乳業は「赤城しぐれ」がヒットしていたから、そのフレーバー(味)である白、いちご、練乳あずきを使えば比較的すぐに新商品はできあがる。しかし、鈴木氏はそれらを絶対に使わない、ということを宣言していた。もし「赤城しぐれ」と同じものを使ってしまうと、「カップの『赤城しぐれ』をバーにしただけだから、カップがなくなった分安くしろ」と言われるに違いなかった。

なので、新たな価値を提案するために、あえてヒット商品を否定したのである。

どんなフレーバーにするか考えた時、鈴木氏は歴史を紐解こうと思い、日本の飲料の歴史について書かれた本を読み漁り、一番長く愛されているのは何か、調べてみた。答えは、ラムネだった。幕末にアメリカのペリー提督率いる黒船が来航した際に、艦に積まれていたのがレモネードで、それがなまったものがラムネである。

ラムネやサイダーであれば、子どもたちにウケる。ただ、炭酸を固めるとただの白になってしまい、美味しそうには見えないので、何か色をつけなければならない。子どもたちには外で食べてもらいたかったので、空や海をイメージした水色にした。

こうして、1981年、ラムネ味の「ガリガリ君」が発売され、赤城乳業を支える大ヒット商品となり、赤城乳業は年商400億円を超える企業となった。今でこそ、アイスの「ソーダ味」と言えばブルーの色をイメージするのが一般的だが、ソーダに水色をつけたのは、「ガリガリ君」が初めてである。

赤城乳業で「ガリガリ君」をはじめ数々のヒット商品を生み出し、現在は同社の監査役となっている鈴木政次氏は、人は追い込まれると集中する、と語る。

新しいヒット商品を作りたいと思ったらまず、目の前にある自社のヒット商品を「否定する」。否定からスタートすることで自分の逃げ場をなくし、自分を追い込むことができる。

追い込まれると、ゾーンに入る、つまり普段想像できないような力を発揮する。「否定新しいことにつながるチャンスであるということを覚えておくべきだ、と鈴木政次氏は述べている。

うーん、休み明けは必ず体調が… 改善方法はあるのか?

「休み明けになると、きまって体調が悪くなる」「月曜日の朝がツライ…」

こんな悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか?

心身ともに健康な状態で休み明けを迎えるにはどうすればよいのか、ごいっしょに考えてみましょう。

日曜の夜や月曜日に体調が悪くなる人は多い

休み明けやその前日などに、「明日から仕事(学校)だ…」と憂うつな気分になった経験はありませんか?

多くの人が経験するこの現象には、「サザエさん症候群」という名前がつけられています。毎週日曜日の夜に放送される「サザエさん」が、翌日から始まる仕事や学校でのストレスの多い日々を連想させ、憂うつな気分に陥ることから、このネーミングがつけられているようです。

この現象は何も日本だけに限ったことではありません。

海外でも、同じように休み明けやその前に憂うつな気分になる人はたくさんいて、「ブルーマンデー症候群」と名づけられています。

このように、国内外でそれぞれ名前をつけられるほど、休み明けに体調が悪くなる人は少なくありません。

サザエさん症候群の原因と対策

では、なぜ休み明けやその前になると、憂うつな気分になるのでしょうか?考えられる原因と対策をご紹介していきましょう。

原因1:週末に生活リズムが乱れ、身体も頭もスッキリしない

まず考えられる原因として挙げられるのが、週末の過ごし方。金曜日の夜、1週間頑張ったご褒美に飲みに行き、そのまま土日は寝て過ごして終わってしまう…、こんな週末の過ごし方をしていませんか?

このような生活をしていると、当然ながら生活リズムは乱れ、日曜日から月曜日にかけての睡眠時間が減ることになります。

その結果、休み明けの朝をぐったりとした身体で迎えることになります。そして、カラダとココロは繋がっているので、気持ちも憂うつになっていきます。

原因2:休日からの切り替えができず、ミスが増える

いつも休み明けにミスをしてしまう人は少なくないのではないでしょうか。ディップ株式会社が行ったアンケート調査(※)の中でも同様の結果が出ています。

「仕事のミスが多い曜日」を質問したところ、「月曜日」と答えた回答者がもっとも多いという結果になりました。

この原因として、休み明けの月曜日は休日からの切り替えがうまくいかず、ミスが多くなりやすいことが考えられます。月曜日にミスをするという経験が積み重なることで、休み明けや前の日になると、憂うつな気分になってしまう人もいるでしょう。

対策

どちらの場合も、まずは休み中の生活習慣を見直してみましょう。

とくに、休みの最終日は翌日とできるだけ同じ生活リズムで過ごすように心がけます。そのためにも、日中は適度に運動するなどして活動的に過ごし、平日と同じ時間に就寝できるようにしましょう。

屋内で運動するのも悪くありませんが、できれば外で活動するのが好ましいですね。太陽の光を浴びることで分泌される脳内神経物質の「セロトニン」によって、身体を覚醒状態に導くことができ、体内時計が整いやすくなり、夜も眠りやすくなります。

また「原因2」で挙げた仕事中のミスも、質の良い睡眠をしっかりとって頭の切り替えがしやすくなることで、減らすことができるでしょう。

加えて、月曜日にあえて好きなことをする習慣をつけるのも対策のひとつです。

たとえば、好きなテレビ番組を録画しておいて月曜日に見たり、自分の好きなものを食べるといった簡単なことでも構いません。ちょっとした生活の工夫で、「月曜日=憂うつな日」ではなく、「月曜日=楽しい日」に変えてみましょう。

病気が隠れている場合もある!?

ここまで、休み明けに体調が悪くなる原因について、休み中の生活習慣に関連して説明してきました。

しかし、なかには軽症うつ病の症状として体調不良の症状が出ている可能性もあります。

うつ病は、脳の機能異常によって、抑うつ症状(やる気が出ない、気持ちが落ち込むなど)や食欲低下、不眠などの症状が現れる病気です。人は誰でもやる気が出なかったり、落ち込むことはありますが、通常であれば1週間ほどでだんだん元に戻ってきます。

ところがうつ病になると、このような症状が2週間以上続き、自分の力では健康な状態に戻すことができなくなってしまいます。

うつ病は、日常生活に及ぼす影響の度合いによって、「軽症」「中等症」「重症」に分けることができます。このうち、軽症うつ病は、うつ病と同じような症状が出てはいるものの、生活への支障が少ないものを指します。

サザエさん症候群もそれ自体が病気というわけではありません。

ところが、仕事や学校が始まってもなかなか憂うつな気分が改善されなかったり、体調不良が続くという場合には、軽症うつ病の可能性が考えられます。

「軽症」と聞くと、大したことがないと思われがちですが、放っておくことでさらに悪化することがあるので、注意が必要です。休み明けやその前に現れる憂うつな気分や体調不良が2週間以上続く場合や、症状が悪化している場合には心療内科を受診するようにしましょう。

【参考】はたらこねっと『はたらこねっとユーザーアンケート -仕事の失敗談 編-』

執筆:伊坂 八重(メンタルヘルスライター)

医療監修:株式会社とらうべ

 

<執筆者プロフィール>
伊坂 八重(いさか・やえ)
メンタルヘルスライター。
株式会社 とらうべ 社員。精神障害者の相談援助を行うための国家資格・精神保健福祉士取得。社会調査士の資格も保有しており、統計調査に関する記事も執筆

 
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

 

image by: Shutterstock

 

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【映画野郎】観る価値ある?お正月話題の3作を斬る激辛トーク!

この年末年始は映画ファン垂涎の大作が次々公開されました。その中から『映画野郎【無料メルマガ版】』恒例の激アツトークの俎上に載せられたのは、スター・ウォーズのスピンオフ『ローグワン』、バイオハザード最終作『バイオハザード:ザ・ファイナル』、そして映画野郎読者の皆さんなら見逃せないスリラー映画『ドント・ブリーズ』の3本の話題作。映画を誰よりも愛する編集部のお三方が語り尽くします!

『ローグ・ワン』『バイオ』そして『ドンブリ』! 2016-2017年末年始の注目三大映画特集トーク!!

じょ~い小川(以下、小川):さて、久々となりました通常版シネトーク、今回は2016年12月に公開となった『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』と『バイオハザード:ザ・ファイナル』。映画野郎読者の皆さんとしては、いま最注目といえる正月2大SFアクション大作について、存分に語っていきたいと思いますが……。

原口一也(以下、原口):ちょっと待った! これに公開規模が小さいけど、やはり野郎読者なら見逃せないスリラー映画『ドント・ブリーズ』も加えてよ。どうせ2人も見ているでしょ?

小川:もちろん! 単純に公開規模と話題性で先の2本にしましたが、改めて『ドント・ブリーズ』を加えた3本を柱にした2016年末の映画を語りましょう、と。

KANTO:『ドント・ブリーズ』は、『ローグ・ワン』と同じ週に公開ですが、映画野郎ど真ん中なジャンル映画なので、むしろメインで扱うべき作品ですよね。初日の1回目に観ましたよ。半年前から楽しみで。

原口:それくらいの作品だとは思うけど、公開しているスクリーン数が先の2本とぜんぜん違うんだよね……やってないシネコンがいっぱいある。で、この3本、単品ずつレビューするのもいいけど、共通点などもあったりして、比較したりするとまた見えてくるものもあると思うんで。

KANTO:なるほど。話し込むうちに、誰も気がつかなかない部分まで掘り下げることが出来るかも。

原口:まず、3本見たうちのどれがよかったかの順番が聞きたい。おれからいくけど、1番はもう断然、ドンブリ』。

小川:丼? ドンブリね(笑)。

KANTO:そりゃ呼びやすい。

原口:『ドント・ブリーズ』の略で『ドンブリ』。「ドント・ブリーズ」ってちょっと言いづらいんで。ソニー・ピクチャーズのプロモーションでも「通称:ドンブリ!」って言っちゃってるし。

小川:配給公認ですか(笑)。

原口:そうそう。で、次がバイオ』。最後がローグ・ワン』かなー。『バイオ』は意外と言っては何だけど、面白かった。

小川:うーん、実は同列……と言いたいけど、微妙に『ドンブリ』>『ローグ・ワン』>『バイオ』かな。点数で言えば同じ4つ星ですね。

KANTO:ダントツは、やはりローグ・ワンで次がドンブリ』。『バイオ』は、今年観た全ての映画のずっと後ろに置かせてもらいます。理由は後ほど。

原口:それぞれなんでその順位になっているかは、単体で語る中で明らかにしていきましょう。