他人のせいにしなくなる。心理のプロが勧める「肯定話法」とは

たとえ相手に非があったとしても、その部分を責め立てたり否定してばかりでは、円滑なコミュニケーションは望めません。さらにそんな姿勢は、自分をネガティブな方向に引っ張る可能性すらあるものです。思い当たる方にお勧めしたいのが、心理カウンセラーの吉田こうじさんが無料メルマガ『東北の人気メンタルトレーナーが送る『自信をはぐくむ、幸せな自分のなり方』』で紹介している「肯定話法」。吉田さんは今回、ご自身も驚いたというその効果を記しています。

前向きな自分になる技術

振り返ると、「あの瞬間から人生が変わった」という経験はありませんか?特に後ろ向き(ネガティブ)で、批判的な自分から、前向き(ポジティブ)で建設的、創造的な自分に自然となっていた…。こんな経験ってありませんか?

僕の経験でいうと、会社員時代に営業の仕事をしていたのですが、その頃は本当にコミュニケーションがまるでダメダメで…。例えばお客さまには、「この書類では受付できません」「ここの記載箇所が間違っています」などと、何かと否定的な表現ばかり使っていたせいで、仕事がうまくいっていなかった時期があります。

「サービスが悪い!」とクレームを言われたとしても、「だって、何回説明してもお客さまが理解してくれないんです。間違って書類を提出してきたお客さまの方が悪いんです!」などと、自分のことを棚に上げて他責にしてばかりいました。

でも、あるとき、いやいや参加させられた研修で、「肯定話法」という練習をさせられました。それは「~のせいでできません」ではなく「~になればできます」など、「できる」ことを前提にした表現にするというものでした。「書類が間違っているから受付できません」ではなく、「書類のこの部分をこういうふうに訂正していただければ受付が可能です」みたいな感じですね。

最初は「どうして間違いを指摘しちゃダメなんだ?」「悪いのはお客さまの方じゃないか」などと、かなり不満があったのですが、そもそもお客さまを不快にすることをしていて仕事がうまくいくはずがないくらいのことは理解していたので、仕方なく、渋々、練習をしてました。でも、実際、現場で活用してみると、肯定的な表現をした方が、圧倒的に相手は受け取ってくれやすいし、聞き耳を持ってもらいやすくなることを実感したのです。

表現の仕方を、否定形から肯定系に直すというたったこれだけのことで、相手の反応がガラッと変わるという経験を通して、正しい知識と技術を知らないことの恐ろしさを実感するとともに、僕自身の学習意欲に火がつきました。

実際、この研修に参加したことが、僕がネガティブ思考からポジティブ思考にシフトチェンジする大きなきっかけになったことは間違いありません。というのも、相手に対して肯定的に表現しようとするには、まずは自分が否定的な思考を肯定的に変えていく必要があったからです。言い換えるなら、「自問自答のやり方」を変えたと言ってもいいでしょう。

それまでの僕だったら、「どうしてこの人は理解してくれないんだ?」「どうして俺が怒られなきゃならないんだ?」といった「どうして?」という原因追求型の自問自答ばかりでした。起きたことを分析し改善するための原因追求であればいいのですが、僕の場合は「他責にすることが目的」だったり「現実逃避することが目的」で原因追求思考を無意識の習慣にしていたのです。

でも、肯定話法を教わってから、原因追求型の思考の習慣をできるだけやらないようにして、その代わりに「どうすれば次はうまくいくだろう?」といった未来解決思考型の自問自答を癖つけるようにしました。

この思考の転換は、そのあとの僕の人生を大きく変えていきました。たとえば…

これまで→

「上司はどんな面倒臭い仕事をふってくるだろうか?」

「どうしていつも俺にだけ面倒臭い仕事を言いつけるんだ?」

変化後→

「面倒臭い仕事がふられたとしても焦らず取り組むためには、今のうちに片付けておいた方がいいことは何か?」

「とりあえず後回しにしておいた経理伝票の整理と日報だけは今日中に仕上げておこう。そして、もしも面倒臭い仕事が来なかったら、今日はさっさと切り上げて彼女と飲みにでも行こう」

こんなふうに、ちょっとだけ自問自答する際の質問を「未来解決志向」に変えるだけで、心構えや行動も変わります。それによって気分はもちろん、人生が大きく変わることは少なくありません。

「普段、自分で自分にどんな質問を投げかけてるのか?」

この答えは、あなたが想像している以上に、あなたの人生をいい方向にも悪い方向にも大きく左右する原因を生み出しています。

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「家賃支援給付金」申請受付スタートもネット「複雑」不満の声

新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた中小企業などの家賃負担を軽減するための「家賃支援給付金」の申請受付が、経済産業省のホームページで14日から始まった。しかし、ネット上では早くも「わかりづらい」「複雑」「手続きが大変」という声が上がっている。

家賃支援給付金のオンライン申請がスタート

家賃支援給付金は、「中小企業などの法人で最大600万円」「フリーランスを含む個人事業主で最大300万円」が一括で支給される。経済産業省のホームページには、「5月の緊急事態宣言の延長等により、売上の減少に直面する事業者の事業継続を下支えするため、地代・家賃(賃料)の負担を軽減する給付金を支給します」と書かれている。

支給対象となるのは、資本金10億円未満の中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者で、条件はことし5月から12月の間の売り上げが、去年の同じ時期と比べてひと月で50%以上、または連続する3か月の合計で30%以上減少したこととなっている。

申請の期間は2020年7月14日から2021年1月15日までで、受付は原則としてオンラインのみで行われる。申請には賃貸借契約書や直近3ヵ月分の賃料支払実績を証明する書類、売上台帳など、必要となる書類が多いので注意が必要だ。

気になるのは申請してから、実際にどれくらいで給付金を受け取ることができるのか、ということだろう。経済産業省によると、確認事項が多くなるため、申請から2週間程度としている持続化給付金事業よりも時間がかかる見通しだという。

家賃支援給付金
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ネットからは早くも不満の声

事業を営む人たちにとって、大きな負担となっている月々の家賃支払い。一刻も早い支援が必要となるが、申請したらすぐに給付されるというわけにはいかなそうだ。

すでに申請をしたという人たちは多くいるようだが、ネット上では「持続化給付金の時より大変」「時間がかかる」「申請はしたけど不備がないか心配」など不満の声が上がる一方、「計算したら給付の対象外だった」という悲痛な叫びもあるようだ。

家賃支援給付金の申請完了。
コレ持続化給付金とかの比じゃないくらい大変だな。今まで色々申請した中で1番手間取った。。。

諸々の書類準備してたけど数回の問い合わせ込みで2時間くらいかかったわ。不備が無いといいなあ/(^o^)\

— 阿波連 大竜 (@VoguA_Boss) July 14, 2020

家賃支援給付金もまた書類がめんどくせーよーー!!!

— ち✩るしー(橋本環奈) (@chell_dq10) July 14, 2020

家賃支援給付金の申請めちゃくちゃ時間かかる
終わったけど持続化給付金より大変だ…
チェックの方も骨折れるわ

— yuk (@yuk19898585) July 14, 2020

家賃支援給付金が始まった。持続化給付金のときよりさらに複雑になってるから申請不備がめっちゃ起こりそう

— たくと (@OTakuto0829) July 14, 2020

家賃支援給付金の申請サポートしたけど、持続化と比べてめっちゃ面倒いな

— 仲大盛 充司行政書士 琉球らぁめんマン (@atsu_nakaomori) July 14, 2020

家賃支援給付金
準備する書類が多くて萎える

— ころすけ@暇さえあればカジノ (@COVID19875) July 14, 2020

家賃支援給付金が対象外だった。政治が悪い。

— nittukyo (@nittukyo) July 14, 2020

※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

source&image by: 経済産業省ホームページ

熊本に派遣の高松市職員コロナ感染。ネット「自分を責めないで」

豪雨災害の応援のため熊本県に派遣された高松市の30代の男性保健師が、新型コロナウイルスに感染していたことがわかった。時事通信NHKが13日までに報じた。症状はなく、感染経路は不明。保健師は避難所で避難者の健康相談対応を行っていたという。

熊本の被災地に派遣された高松市の職員がコロナ感染

熊本県の発表などによると、保健師は8~11日の間に人吉市や多良木町の避難所で避難所の運営に従事。派遣を終え、香川に戻った後の13日にPCR検査を行ったところ、陽性と判明した。NHKによると、「業務中はマスクを着用し、同じ避難者と15分以上接触したことはなかった」という。

接触した可能性があるのは、避難者と県内外の応援職員ら400人程度とみられるが、避難者には濃厚接触者はいないとしている。同じ班で活動していた香川県からの派遣職員5人が濃厚接触者とされ、その内2人はPCR検査で陰性が確認された。

13日夜に記者会見を開いた高松市の大西秀人市長は「現地の被災者の皆さまに大きな心配を掛け、大変心苦しいと思っている」と述べた一方、「衛生管理は徹底しており、被災者の方と濃厚接触した事実はないと聞いている」と対応に問題はなかったとした。また、香川県の浜田恵造知事は「今後は派遣前に検査をする方向で検討したい」と考えを述べた。

熊本県は保健師が業務をしていた避難所の消毒をすでに行い、避難者の検査については随時行っていくとしている。

感染が判明した職員を心配する声も

被災地を支援するために派遣された職員のコロナ感染が判明したということは衝撃だ。濃厚接触者は5人とされているが、接触した可能性がある避難者は不安で仕方がないだろう。ネット上ではこの報道に胸を痛めるとともに、「職員を責めないで欲しい」など、陽性が確認された職員を心配する声も上がっている。

コロナのこと本当に腹立つけど、対象はコロナだけにして欲しいな。
熊本の支援に来てた、高松市の保健師さんは叩かないでほしい。
誰がかかってもおかしくない。
支援に来てくれてありがとう。

— くま (@asu_msgirl) July 13, 2020

どうかご自分を責めてませんように。

<速報>高松市の保健師が新型コロナ感染 人吉市、多良木町の避難所で活動 | 2020/7/13 – 熊本日日新聞 https://t.co/TgEq8OJcz0

— よしえ (@pakupakuguriko3) July 13, 2020

高松市の30代の保健師のコロナ感染…
災害派遣から帰ってきてからのPCRかぁ
かかってないが前提だね
熊本の避難所の方、不安しかないね

— アール (@h26cBpE50bvVfyE) July 13, 2020

保健師も常に感染リスクを負って仕事している
熊本まで応援派遣ももちろん気をつけながらやっているでしょう

コロナはどんだけ気をつけてもなる時はなる。

絶対にこの高松の保健師を悪くいうのはやめてほしい

医療従事者とかは常にリスクを負ってやっていることを理解してほしい#保健師を守りたい

— kam (@ph4mok) July 13, 2020

豪雨被害のある熊本県に派遣され、避難所で対応していた高松市の保健師が新型コロナウイルスに感染したが、派遣職員の派遣前のPCR検査と、着任時のPCR検査が必要だと思う😐

豪雨で熊本派遣の高松市職員 新型コロナに感染確認 | NHKニュース https://t.co/Dtgp8q9i9T

— ひがくぼきみお (@higakubo) July 13, 2020

市から派遣され、熊本の災害支援に入った保健師のコロナ感染に、言葉がない。どこで感染したかは、まだ、解ってないけど、行く前に、市は、体調の簡易検査は、やらなかったのだろうか?高松で感染したのか、熊本の避難所で感染したのか?災害が起きたら、支援に行きたくても、課題は山積み

— 下町のリリアン (@ririan10043) July 14, 2020

※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

source: 時事通信NHK

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既にコロナ第2波か?それでも国が60歳以上に外出自粛を求めぬ訳

東京都内の感染者数が連日3桁を超えるなど、またも予断を許さぬ状況に再突入した観のある、新型コロナウイルスの流行拡大。7月22日からは観光需要喚起策である「GoToキャンペーン」がスタートしますが、感染の広がりに拍車が掛かるような事態は避けられるのでしょうか。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、現時点で把握しうるさまざまな事実を総合し、新型コロナ「第2波」について考察しています。

新型コロナで第2波が起こるか?

7月10日、東京で243人の新規感染者が分かるなど、コロナ新規感染者が増えている。この動向と今後を検討しよう。

トランプ大統領とバイデン候補のダメさ加減の戦い

トランプ大統領は、コロナ感染拡大を止められなく、中国は止めた実績で優位に立っている。この対比から中国は勝ったとの思いから、しかし、内情は特別給付もなくコロナで店などを失った多くの国民の不満もあり、海外に対して強気に出て、愛国心で国をまとめようとしている。

もう1つ、ロシアがアフガニスタンのタリバンに対して、米軍兵士を殺したら報奨金を出していたと米情報機関は、大統領に報告していたが、トランプ大統領は、ロシアがそのようなことするはずがないと発言した。

このように中露を敵としないで、トランプ大統領は、11月の再選に向けて、海外の敵ではなく国内に敵を作り、分断を大きくしても自分の支持層をまとめて勝とうと方針を変更したようだ。このため、黒人の抗議デモを共産主義者とか、無政府主義者とかと言い、それを打倒することが必要と演説している。

黒人デモで警察解体と叫んだが、警察力を削いだ都市では、犯罪が多くなり、白人層から不満が出ているので、この不満を味方にしようとしている。このため、益々、米国の分断は大きくなっている。

トランプ大統領は、今までは中国を敵として、それに勝とうと演説していたが、中国は、農産物の輸入などを確約した米中貿易交渉の第1段階合意の履行を中止して、米国の出方を見ている。

このため、中国の許容範囲であろうと思われるウイグル人イスラム教徒に対する人権侵害阻止として、同自治区の高官5人に制裁を科した。自治区トップの陳全国党書記を含む3人に対しては、米国内の資産凍結に加え、米国ビザの発給拒否の措置が取られた。しかし、実害はないようである。

次の「香港自治法」は、北京の政府高官が対象になり、これにトランプ大統領が署名するかどうかが焦点となる。どちらにしても、トランプ大統領は、今中国とは喧嘩ができない。農産物の輸出がなくなると中南部州の農家の票をなくすことになる。

中国には実質的な被害がないことをしているが、仏のデジタル課税の報復として、仏製品への25%関税UPを行うとして、依然、欧州の同盟国には厳しい。

もう1つ、再選に向けて、黒人ラップ歌手のカニエ・ウェスト氏が大統領選に立候補するが、黒人票をバイデン候補から奪い取ることを目的としたトランプ大統領の援護射撃のようである。裏でトランプ陣営が動いているように感じる。

しかし、姪であるメアリー・トランプの暴露本の内容がNYタイムズに出て、そのハチャメチャな人生が明らかになっているし、米最高裁は、トランプ氏の財務記録の提出拒否を認めないことで、今後、脱税などが明らかになる。しかし、トランプ氏は、今までも多くの不利なことを乗り越えてきたので、その2つが出ても支持する有権者層には影響がない。

このトランプに対して、バイデン候補もやっと、本格的に公約を発表し始めてきた。まず、コロナ不況対策として、0.75兆ドルの米国製品購入で、500万人の雇用を生み出すとした。

法人税を21%から28%に戻し、最低賃金を7.5ドルから10ドルにして、富裕税を増税して、高齢者医療保険開始を65歳から60歳に引き下げるなどを公約としている。これらのことから当選すると、企業収益が大きく減り、NYダウが大きく下落することになると思われている。このため、ウォール街では悲観的空気になっている。

しかし、最後まで指名争いをしたサンダース氏が掲げていた社会主義的な公約を棚上げにしている。

バイデン大統領になれば、環境問題のパリ協定に戻り、WHOからの脱退もなく、イランとの核合意にも復帰することになる。しかし、TPPに復帰するかどうかはわからない。日米FTAで、実質TPP同等の条件を得ているからだ。

このほかにも政策提言を出したが、その中に対中政策がない。そして、容中派のスーザン・ライス元大統領補佐官が副大統領候補に浮上してきた。トランプ大統領より対中国では穏健な政策になる可能性が出ている。

それと、黒人デモでの要求の警察解体で犯罪が多くなり、特に警察力を削減したのが、民主党市長の都市であり、民主党全体への非難も出ている。

というように、バイデン候補にも問題点があり、両候補ともに問題児で、より少ない駄目さ加減を競うことになるようだ。

というように、現時点の支持率では負けているトランプ大統領にもまだチャンスがあり、トランプ大統領がお得意の予想もしないような何をすることで、逆転はあり得るようだ。

ということで、まだ、わからないことになってきた。

廃墟マンション、ついに解体。費用1300万円は誰が負担したのか?

以前掲載の記事「『廃墟マンション騒動』に見る、日本中でアスベストが飛散する日」で紹介した滋賀県野洲市のマンションですが、その解体工事がようやく終わったことが各メディアにより伝えられました。費用負担を巡っては、今後、県、市、区分所有者の間で話し合いが持たれることになりますが、どのような決着を見るのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では、著者でマンション管理士の廣田信子さんが今後の動きを占うとともに、行政としては慎重に進めるべきとしてその理由を記しています。

区分所有者が負う廃墟マンションの解体費用は1,300万円

こんにちは!廣田信子です。

先日、マンションの区分所有者の責任の重さを考えさせられる逗子斜面崩落事故の話を書きました。

女子高生土砂崩れ死亡事故で痛感する、土地所有者に問われる責任

もうひとつ、区分所有者は、その責任から逃れられないと改めて感じさせられる話がありました。

2019/03/04の記事「『廃墟マンション騒動』に見る、日本中でアスベストが飛散する日」で紹介した、滋賀県野洲市のアスベストむき出しの廃墟マンションの解体工事が、6月末、ようやく終わりました。野洲市が空き家対策特別措置法に基づき行政代執行したものです。

昨年の時点での報道では、解体費用は、アスベストの処理費用も含んでいるので、5,000万~6,000万かかる可能性がある…と。これでも、すごい金額だと思いました。9人の区分所有者がいますから、5,000万としても、戸当たり560万円です。

しかし、現実はもっと厳しいものでした。解体費用は、その後の調査で、当初の試算の2倍の約1億円かかるとされました。さらに、1月から野洲市によって解体工事が始まると、建物内部の崩壊が想像以上に進んでいたため施工方法を見直さざるを得なくなりました。3月26日までだった工期も見直しが必要になり、6月末までに延長されたのでした。そして、工法変更に伴い、費用も約1,700万円増加し、総額1億1,800万円にまでなったのです。

野洲市は、7月18日に代執行の終了宣言を行った後に、区分所有者9人に費用を請求するとしています。請求するのは、当然と言えば当然ですが、金額がすご過ぎます。1人1,300万円です。すでに廃墟になっているものを解体するだけで、1,300万円の請求がくるのです。

簡単に支払える金額ではなく、市は回収の見通しは立っていない…と。今後、どこまで厳しく取り立てるのか…が気になります。

市は、区分所有者から回収できなかった分は、建築基準法に基づく勧告を長期間放置してきた責任があるとして、滋賀県にも費用を請求すると言います。区分所有者が、どこまで支払えて、残額を市と県がどのように費用を分担するのかが、注目されます。結論が出るまでには、長い時間がかかると思われます。

市と県が負担するということは、どちらにせよ税金から支払うということです。結果的に解体工事が公費で行われるとなると、管理不全マンションを放置してスラム化したら、行政が解体してくれるから、使いつぶしてもだいじょうぶ…なんて思われかねないので、行政としては、慎重に進める必要があると思います。

中に入るのさえ危険な状況になる前に解体していたらこれほどの解体費用は掛からなかったでしょう。区分所有者としては、事情があって住まなくなったマンションをそのままにしていた…それだけだったのかもしれません。でも、区分所有者は、所有者としての責任を見逃されることはないのです。

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山本太郎氏を呼び捨てにし「敬称ポリス」に捕まった池田教授の話

日本語には多くの敬語や敬称があり、どう使うか選択に迷うことが多くあります。それが面倒になってくると、誰に対してもどんなときも「さん」付けや「ですます」にしておけば無難で、それをマナーだと考える人もいるようです。フジテレビ系「ホンマでっか!?TV」でおなじみの池田教授は、都知事選に立候補した山本太郎氏を呼び捨てにして、指摘を受けたとのこと。今回のメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』では、呼び捨てだからといって相手を軽視しているとは限らないと主張。敬称や敬語が文脈や状況に依存することについて綴っています。

敬称の文脈依存性について

都知事選に立候補していた山本太郎を応援すべく、ツイッターに檄文を投稿したら、「太郎、太郎、と呼び捨てにしてお前はどんだけ偉いんだ。わきまえろ。太郎さんだろ。どんな教育をされてきたんだよ」というリプライが来て、笑ってしまった。「歴史に残る人は呼び捨てでいいんだよ。夏目漱石さんとか森鴎外さんとか言わねえだろ」と返したらそれ以上何も言ってこなかった。「歴史に名を残そうが残すまいが、誰に対しても呼び捨てだろうが、敬称を付けようが、好きにしていいんだよ」とさらに返そうと思ったけれど、そう書くと絡んでくる奴がいっぱいいそうで、面倒くさかったので、思いとどまった。

コメントの中で一番秀逸だったのは「最近は敬語マナーポリスがはびこっていて嫌ですね」というものだった。世の中にはよく分かっている人もいる。少し前までのマスコミは犯罪の容疑者の名前は呼び捨てだった。批判が多かったせいか今は〇〇容疑者と呼ぶようになった。有罪と決まったわけではないのに、なぜ〇〇さんじゃいけないんだろうね。「敬語マナーポリス」はこの件についてなにも言わないのかしら。

昔どこかに書いたことがあるが、25年以上前、シドニーのオーストラリア博物館で客員研究員をしていた頃、僕より10歳近く若い、Shane・McEveryというショウジョウバエの研究者が、自分よりずっと先輩の、双翅目分類の世界的権威であるDavid・McAlpineを『David! David!』と大声で呼び捨てにして探していたのを見たことがある。オーストラリアでは私的に使用する敬称という習慣がないので、上司でも部下でも同僚でもすべて呼び捨てである。ちなみに私は「キーヨ」と呼ばれていて、昆虫セクションで働いている人は大先生のMcAlpineからアルバイトのお姉さんまで、皆、私のことを「キーヨ」と呼んでいた。日本語で車の鍵を指して『これは車のキーよ』というときの発音と同じであった。

私的な敬称がない代わりに、オーストラリア社会は公的な肩書にはひどくこだわっていた。借りていたフラット(アパートをオーストラリアではflatと呼ぶ)に届く電気料金の請求書の宛先はDr.K.Ikedaであった。あるいは、オーストラリア博物館の研究者には、ニュー・サウス・ウエールズ州の国立公園で、自分の研究対象の分類群を自由に採集できるライセンスが発行されるのだが、十数人の昆虫セクションの研究者のトップにProf.K.Ikedaと載っていた。オーストラリア(イギリスやドイツでも同じ)ではProf.はDr.より格上の称号のようで、昆虫セクションの研究者の大半はDoctorでProfessorは私しかいなかったので、公文書にはそう載っていたのであろう。

「ダムがあれば」球磨川氾濫に抱く思い。日本の治水のあり方とは

九州や岐阜県、長野県を襲った記録的な豪雨により、多くの川が氾濫し、多くの方が避難を余儀なくされています。なかでも、球磨川流域の熊本県球磨村、人吉市、八代市では多くの犠牲者が出てしまいました。八代市で育ち友人知人も多くいるという軍事アナリストで危機管理の専門家でもある小川和久さんは、主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』で、熊本県知事が推進してきた脱ダム路線が、気候変動や地域の環境の変化に対応できていたかを問いかけます。そして、治水や水資源の活用というテーマは官邸主導で動かしていくべきと訴えています。

気候変動とダム再考

60人以上の死者・行方不明者を出した熊本県をはじめ、九州各地を襲った豪雨災害は、日本の治山治水が気候変動に対応できていない現実を突きつけました。私が育った熊本県八代市の二見本町では、大規模な床上浸水が発生、復旧に取り組んでいる友人知人の様子が伝わってきました。

河川が氾濫するニュース映像を前に、さしたる根拠はないものの、「ダムがあれば」と思った人も少なくないと思います。今回の惨状を前に、脱ダムの路線を進めてきた熊本県の蒲島郁夫知事も、次のようなコメントを口にしています。

「熊本県南豪雨による球磨川の氾濫を受け、蒲島育夫(注・新聞の誤字です)知事は5日、報道陣の取材に応じ、球磨川支流の川辺川ダム建設計画に反対を表明した過去の対応について『反対は民意を反映した。私が知事の間は計画の復活はない。改めてダムによらない治水策を極限まで追求する』と述べ、従来の姿勢を維持する考えを示した。

 

蒲島知事は2008年9月、治水目的を含んだ川辺川ダム計画に反対を表明。翌年の前原誠司国土交通相(当時)による計画中止表明につながった。国と県、流域12市町村はその後、ダムによらない球磨川治水策を協議。河道掘削や堤防かさ上げ、遊水地の設置などを組み合わせた10案からダム代替案を絞り込む協議を本格化させる予定だった。」(7月6日付熊本日日新聞)

そのとおりです。脱ダムがひとつの流れとなった2001年ごろからと比べても、地球規模で進む気候変動のスピードは予測をはるかに上回っているのです。関東学院大学名誉教授(河川工学)の宮村忠氏も7月6日付夕刊フジで次のように語っています。

「今回の氾濫で『ダムがあれば』と考えた人は当時の反対派にも少なくないのではないか。問題は記録的な豪雨だけでなく、豪雨に備える体制にもあった」

 

「人吉周辺は以前は人も少なく、ある程度の氾濫を受け入れて立ち上がることができた。しかし、現在は、交通インフラも整い、施設も増え、氾濫を受け入れる選択肢はない。だとすれば、ダムによる治水が必要だった。それぞれの時代に合った技術を適用すべきだということだ」

事実、民主党政権で工事を中断した群馬県の八ッ場(やんば)ダムは、工事を再開し、試験貯水中だった昨年10月の台風19号で治水効果を発揮しています。

ダムと環境問題については、果てしない議論が続いてきました。大規模建設による環境破壊問題に始まり、水質・水温の変化、土砂の堆積、生態系の変化など、ありとあらゆるテーマが俎上に載せられてきました。

一方、大規模河川の流量調節、大都市圏を中心とする夏場の渇水対策、化石燃料や原子力に頼らない水力発電なども、ダムの棄てがたいメリットとして、一概に否定できない重みを持ってきました。国土の70パーセントが山岳地形の日本です。水資源のコントロールと活用は、国民が意識している以上に重要なテーマだと思います。

ここはひとつ、国土交通省だけの所管事項に詰め込んでしまうのではなく、気候変動、環境問題、エネルギー問題、災害対策といった関連するテーマを総合的に検討し、早急に優先順位を決めてモデルケースを実現するような取り組みを、それこそ首相官邸主導で動かすべきではないかと思います。

人の心だけでなく、自然の変化は避けがたいものです。それに柔軟に対応できるかどうかで、人類の未来が決まってくることを忘れてはならないでしょう。(小川和久)

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習近平が台湾と世界に叩きつけた挑戦状。「米中新冷戦」の行方

世界各国が新型コロナウイルスの感染拡大の対応に追われるなか、内外で不穏な動きを活発化させている中国。習近平国家主席の狙いは「One China」と「太平洋進出」という2つの宿願成就にあると元国連紛争調停官で国際交渉人の島田久仁彦さんが、メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』で解説。この動きに対抗するアメリカとの「新冷戦」は、日本列島が最前線になると分析しています。

ついに世界の緊張の中心になったアジア太平洋地域

『新型コロナウイルス感染拡大は、紛争を凍結させるどころか、逆に誘発してしまった』以前、このコーナーでもこう切り出しました。

新型コロナウイルス感染拡大は、日本でされる報道では感染のスピードが弱まったと言われていますが、世界全体に目を移してみると、まだまだ第1波の最中と思われる地域も多くある一方、予想よりもはるかに早い第2波の到達を疑わせる状況が起きています。

コロナを“克服”したはずの中国の首都・北京郊外では、新型コロナウイルス感染拡大の再拡大の様子が見られますし、アメリカでも11州で感染の再拡大が見られます。それが第1波の続きなのか、それとも第2波なのかはまだ分かりませんが、経済活動が再開されいよいよ夏を迎える北半球で、コロナからの復興の出鼻を挫くかのようにウイルスの拡大が襲い掛かっています。アメリカではついに全世界の感染者数の25%に匹敵する300万人の感染者が確認されていますし、全世界での死者数も55万人に到達しようとしています。

また、ブラジルではボルソナロ大統領自身が感染し、一応無事であるアピールをしていますが、これはブラジルにおけるコロナ封じ込め対策の失敗の象徴であると捉えられています。インドを中心とした南アジアでは第1波の終わりが見えず、大きな成長が見込まれていたはずの経済も、『失われた10年』を経験しそうな感じに陥っています。

新型コロナウイルス感染拡大は、世界中でヒトとモノの動きを止め、実質的に経済を停止させました。その影響は報じられるとおり甚大で、落ち切った需要と移動の自由を元に戻すには早くとも2024年まで待たないといけないという悲観的な観測が大半を占めるようになりました。まさに世界は新型コロナウイルス感染拡大によって停止状態に追い込まれたとも言えます。

しかし、唯一、新型コロナウイルスが止めることが出来なかった、いや、勢いづけてしまったのが、世界各国で見られる“争い”です。トルコが中東・北アフリカで仕掛ける賭け(リビア、シリア、EUやイスラエルを相手にした地中海の権益争いなど)や、ロシアが仕掛けそして止めを刺しに行っているともいわれるウクライナ情勢、インドと中国の長年の国境地帯を巡る領有権問題の再加熱化、急に目覚めたかのように動き出した北朝鮮による威嚇など、例を挙げればキリがない状態ですが、やはり最大の争いと言えば、米中間での多方面での争いの激化だと考えられます。

新型コロナウイルス感染拡大前は、どちらかと言えば、アメリカのトランプ大統領が中国に難癖をつけて対立を煽り、報復関税をはじめとする制裁措置の発動をチラつかせて、中国から妥協を引き出すという手法が続けられていました。今年1月15日に合意された米中貿易合意第1弾(アメリカ産の農産物を中国が購入する)はその典型例です。

しかし、中国発の新型コロナウイルスの世界的なパンデミックは米中間のパワーバランスを大幅に変え、中国に巻き返しと勢力拡大の絶好のチャンスを与えてしまいました。

例年以上に疲れて迎える今年の夏。鍼灸師が教える夏バテ予防法

コロナによる外出自粛と近年にはなかった雨の多い梅雨により、今年は例年以上に体がダメージを受けていても不思議ではありません。夏が始まる前から「夏バテ」のような状態のいま、気をつけたい3つのポイントと夏バテ予防に効く「モモ上げ」の仕方をメルマガ『鍼灸師・のぶ先生の「カラダ暦♪」』の著者、のぶ先生が教えてくれます。

梅雨の最後に夏バテ予防

【いつもの年より夏バテ】

今年は梅雨が明けると早々に夏バテする人が増えそうです。というか、梅雨の間にすでにバテている人が、多いんじゃないかな。「バテる」というのは、要するに「疲れている」ということ。

今年は5月からのジメジメ雨で、梅雨に入ってからも暴風雨とか雷雨とか、すでにゲリラ豪雨なんてのも全国あちこちであったみたい。気圧と湿度の影響と、不慣れな生活習慣を強いられての今年の梅雨明けは、すでに疲れた体で夏を迎えても仕方がない。

【夏バテ解消ポイント】

  • 寝不足をしない
  • 栄養失調しない(とくに冷たいものばかりの偏食は要注意)
  • 運動不足しない

この中でも、夏入り前の今時分、一番取り組んでいただきたいのが「運動不足解消」です。具体的には、足腰をよく使うこと。もっとピンポイントで言えば、太ももの前側から腹筋を刺激すること。わかりやすいのが、1段2段ぬかしの階段上り。

【夏バテ予防はモモ上げ】

メルマガでは頻繁にご紹介していますが、消化器と全身の血流を促し、のぼせや肩こり予防にも効果的な「モモ上げ」をご紹介します。体幹部まで刺激する「モモ上げ」は、単純にひざをあげればよいというものではないのです。

ポイントは、「おへそのあたりからひざをわきの下のほうまで上げる」イメージ。これは、ひざをまっすぐ上げるよりも、少し外側に開く方が関節可動域を十分に動かせるので、足腰の血流促進に効果が表れやすくなります。また、股関節や鼠径部からではなく、イメージだけでもできるだけ高いところ(おへそ当たり)から、ひざをあげることで体幹部をしっかり刺激できます。

注意点としては、カラダが反り返ったり、腰が抜けた状態でやらないこと。できるだけ、背筋から尾てい骨のあたりまで、まっすぐストンッと伸ばした状態で、軽やかに行いましょう。左右合計30回程度を目安に、一日数セットやっておくと、食欲も落ちることなく、体温調整もかないやすい疲れ知らずの体を手に入れられるんじゃないかな。

そうはいっても、今年の夏は猛暑の予報。備えあれば患いなしですが、残暑を過ぎるまではくれぐれも油断大敵ですね。

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デキる男はやっている。成功者たちの「シナリオ書き換え力」とは

世の中で成功している人たちについて、前回の記事「あのイチローも。成功者になるパターンは2通りしかない納得の訳」の中で、「シナリオ通りに人生を歩む人」と「シナリオを書き換える力を持っている人」に大別できると述べた、米国の邦字紙「NEWYORK BIZ」CEOの高橋克明さん。今回の記事では、多くの人たちが目指すべきは後者のパターンだとし、長期的にポジティブであり、一定数のエラーが必要だと、自身のメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』でその秘訣を明かしています。

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自己啓発より自己破壊を! あるいは、セミナーや講演会で伝えきれなかった、僕がいちばん伝えたいこと ~後編 ~

Can Swim ではなく、Swim といえば、もうひとり、思い出す方がいます。ウエディングデザイナーの桂由美先生。僕はこの世界的ブライダルファッションデザイナーにおそらく3回か、4回、単独インタビューをしました。あのローマ法王が、復活祭で、着用するほどの衣装をデザインした、全世界でもっとも有名なブライダルファッションデザイナーです。

先生にインタビューする際、いつも思うのは、「過去の話を振った際、ものすごく、めんどくさそうな顔をされる」ということ(笑)です。インタビュアーのこちらとしては、数々の今までの栄光の話も聞きたいわけです。

あのニューヨークの老舗有名デパートのライバル関係である、サックス・フィフス・アベニューと、ヘンリー・ベンデルの両巨頭は、五番街を挟んで同じデザイナーの服を売らないことは有名ですが、YUMI KATSURA だけ、わざわざ別のデザインを発注して、両店舗が売り場の商品に並べました。その時の話も聞きたい。そして、80年代に、パリにおいて、日本人デザイナー初のグランドコレクションを敢行。それだって聞きたい。それらを取材で外すわけにはいきません。

でも、先生は、いつも「うーーーーん…どうだったかしら…。忘れたわ」「……(笑)」

ところが「来年の目標はなんですか?」と話が未来、この先のことに変わると、途端、目をキラキラさせて、いっぱいいっぱいお話しくださいます。

「今ね、京都の幽庵焼きってわかる?その色、素材を使って、まったく新しい生地を開発してて、どーのこーの、どーのこーの…」話は止まりません。

先生にとって、過去はどうでもいいことみたいです。それが世界的に名誉あることでも過去は過去。過ぎ去ったことに興味はない。先生はその時、すでに80を超えてらっしゃたと思います。でも、先生の目は前にしか向いていない。それは、努力とか、根性とか、ガッツでしょうか?

断言して違う、と言い切れます。先生は、また新たなウエディングドレスをこの世に生み出すことが、楽しくて楽しくてしょうがないのだと思います。

実際、ニューヨークでの先生のコレクションをお手伝いした時のこと。数ヶ月かかったイベントの当日。ショーの開始前、僕はランウェイの最前列、先生の真横の席に座っていました。で、いざショーが始まると、隣の先生は、そのままスーっっと寝てしまいました。唖然とする僕。

ええええええ! このイベントに向けて、先生もスタッフも数ヶ月かかりっきりだったのに。やっとショー当日を向けたのに。最前列で寝ちゃうの!!??

起こした方がいいのかな、と迷っていると、後部座席のお付きの方から、「そのまんま、寝させてあげてください」と耳打ち。ここ数ヶ月、先生は今回のショーのため、極度の睡眠不足だったのだとか。それにしても、ランウェイは数十分、すぐに終わります。

でも、先生にとっては、イベントそのものも、もう過去なのでしょう。あとはモデルさんの仕事。自分が手がけるのは、そのモデルさんが着る衣装。また新しいウエディングドレスを作りたい。やっぱり未来しか見ていないのだと思います。まさしくウエディングドレスを作るために、この世に生まれてきた人間。

果たして、たとえ、どのジャンルであれ、僕たちは先生のようになれるでしょうか。彼らは、やはり、常人には理解できない域まで達している。

簡単に言うと「天才」という言葉になってしまうのかもしれません。もちろん、圧倒的な努力をしています。でも、そのありえないほどの努力ができる、というのも、ある種、才能なのかもしれません。もちろん、彼らから学ぶことは山ほどありますが、正直なことを言うと、本質的な意味でリアルに彼らのようになれるとはどうしても思えない。

やはり、天に愛された人たちなのだと思います。よく日本の自己啓発本で「ICHIRO選手に学ぶ成功哲学」とか、「イチロー名言集」とか発刊されているのを目にしますが、多くの勉強になるのは間違いないとして、果たして、その言葉面だけを真似しても、本質的な意味でたどり着けないようにも思えてしまいます。

彼らのような人間は、今まで1000人インタビューしてきて、その1000人は、全員、すでにもちろん成功者で大物なのですが、その1000人の中でも、おそらく、20人~30人しかいなかったと思います。常人では理解できないほどの、圧倒的な才能、努力、意志力で、人生をシナリオ通りに運ぶ、パワーを持った人たち。

そして、僕たちが、参考にすべきは、それ以外の970人~、980人の成功者の方ではないでしょうか。実際に、シナリオ通りに人生が行かなくても、それでも、シナリオを書き換え、現実的な成功を手に入れた人たちの方です。彼らの方こそ、リアルに僕たちが参考になる生き方をしている気がします。本質的に同じ人間。感性も思考も真似できなくはない。そして、僕たちと同じように、僕たちと同じ種類の挫折を、同じくらいの回数の挫折を、経験してきています。