いい大人こそ迷わず「ミニファミコン」を買うべき、これだけの理由

11月10日に発売されたばかりの、手のひらサイズのファミコン『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』(ミニファミコン)。現在、あまりの人気で品切れ状態が続いているとのことですが、まぐまぐニュースにて「昭和オモチャ列伝」を不定期連載中のライター・小暮ひさのりさんは、当然のようにゲットされたようで……。さっそく、その“感動のレビュー”が届きました。

いま甦る、ファミコン少年時代の自分

「また変なもの買って、それあったよね。2階のガラクタの中に」

私がニヤニヤしながら『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』をAmazonの箱から取り出す姿を見て、妻は呆れた顔をして言いました。私は一言「同じじゃないんだよ」と諭します。

妻とは年齢差があり、彼女はファミコン世代ではありません。これがどんなものか、どんな歴史を積み上げたものなのか、これにどれほどの人々が熱狂したかを、延々と説明せねばならないという思いが燃え上がりました。しかし、妻を説き伏せるよりも何よりも、早くファミコンで遊びたいのです。

遊びすぎて母親にACアダプターを何度も隠されました。

RFアダプターの接触の悪さに、何度も接続を直しました。

スカスカになったコントローラーを自力で交換できた時は誇らしい気持ちで一杯でした。

セーブデータは何度も消えました。

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この姿を見たら、そんなことが昨日のことのように思い出されました。33年経っても何も変わっていません。私は変わらずファミコン少年でした。

『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』とは?

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『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』は、任天堂が発売した新ハードです。任天堂は先日『Switch(コードネーム「NX」)』を発表したばかりですが、その発売に先駆けて登場したかたちになります。その特徴を一言で表すならば、見たまま『ファミコン』です。

ただし、いくつか『初代ファミコン』と違う点があります。簡単にまとめました。

・サイズが小型化されている
HDMI出力で最新のテレビに接続できる
・ファミカセはセットできない
・30本の名作タイトルが収録されている
どこでも中断セーブできる

『初代ファミコン』RFアダプターでテレビと接続しましたが、地デジとなった液晶テレビではファミコンは接続できないのです。AVケーブルで接続できる『ニューファミコン』も、現在入手困難で高額。『初代ファミコン』をAV出力に改造するのも知識が必要です。『Wii』や『Wii U』のバーチャルコンソールサービスでは、こういったファミコンゲームの名作をプレイできますが、ゲーム機本体やネット接続が必要になります。

このような状況のため、現在ファミコンゲームを遊ぶための手段は限られます。そこで登場したのが、この『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』です。

ファミカセは使えませんが、最初から当時一世を風靡した名作タイトルが30本収録されています。収録タイトルは以下のとおり。

ドンキーコング
マリオブラザーズ
パックマン
エキサイトバイク
バルーンファイト
アイスクライマー
ギャラガ
イー・アル・カンフー
スーパーマリオブラザーズ
ゼルダの伝説
アトランチスの謎
グラディウス
魔界村R
ソロモンの鍵
メトロイド
悪魔城ドラキュラ
リンクの冒険
つっぱり大相撲
スーパーマリオブラザーズ3
忍者龍剣伝
ロックマンR2 Dr.ワイリーの謎
ダウンタウン熱血物語
ダブルドラゴンⅡ ザ・リベンジ
スーパー魂斗羅
ファイナルファンタジーRⅢ
ドクターマリオ
ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会
マリオオープンゴルフ
スーパーマリオUSA
星のカービィ 夢の泉の物語

30本全てを遊んだという人も少なくないのではないでしょうか。

30年ぶりのウルテク!

ファミコンゲームはプログラマーの遊び心から、バグによる意図しない現象など、さまざまな「裏技」がありました。『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』はファミコンを正確に再現しているため、それらの裏技も同じように再現できます。

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『スーパーマリオブラザーズ』で有名な技としては、バグ面である「マイナス1面」に行けるというものがあります。こちらがその画面。延々と続く水中ステージに取り残されて、クリア不能になるというバグです。他にもマリオは裏技が多々ありました。3-1で無限アップチビファイアースケートなど、どれも完璧に再現できますし、サウンドの再現なども完璧です。

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ファミコンゲームにしては難しすぎる難易度の『魔界村』も、面セレクトができます。タイトル画面でコントローラーの右を押しながら、Bを3回、上を1回、Bを3回、左を1回、Bを3回、下を1回、Bを3回押してからスタート。

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上上下下左右左右BA……『グラディウス』のコナミコマンドも使えました。

画面の「にじみ」を再現。ノスタルジックなモードも

任天堂の完璧を目指す姿勢は、グラフィックの表現にも現れています。

デジタルな映像出力であるHDMIで接続することで、『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』はファミコンのドットがクッキリと美しく表示されます。

しかし、こんなクッキリとした映像はファミコンではありません。小さなテレビのにじみ揺れる画面で目を凝らしながら遊んだアレこそがファミコンです。

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任天堂は常にベストを尽くします

『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ』では画面の出力設定を変更でき、その中には当時のテレビを忠実に再現した「アナログテレビ」モードがあるのです。

これが刺さるのは30代後半~40代といった当時を知る人でしょう。逆に言うなれば、ブラウン管テレビにRFアダプターで接続していた少年少女たちでしか評価できないモードです。ゲームをプレイするにあたっては、全く必要ない機能のはずです。

しかし「これはファミコンである」「ファミコンと同じものを再登場させたい」といった任天堂のスピリッツを強く感じさせるものでした。そう、この機能のお陰です。この画面だからこそ、私はあの日に帰ることができたのです。

おもちゃ箱にしまった宝物を引き上げるような……

当時はクリアできなくて、悲しさと悔しさのあまりカセットを投げたこともありました。

でも、今はレッドアリーマーにやられても、足場を踏み外しても、宝箱の敵に即死されても、「ああ……あぁ……、あったなぁ」と嬉しくもなるのです。それは思い出という名前のおもちゃ箱に手を突っ込んで、宝物を引き上げるような楽しさがありました。

この日は3時間、じっくりとファミコンをプレイしました。

心が浄化されるというのはオーバーかもしれません。しかし、テレビに向かっている間、私は少年だった時の心を取り戻していたように思えます。何度もゲームオーバーになりましたが、私の心は不思議と晴れ晴れした気分なのです。

30年ほど前のぼくなら、「明日学校から帰ったらこの続きをするんだ!」と言っていたのでしょうか。それが時を経て、私の言葉は「この続きは、明日仕事が終わってからにしようか!」へと変わりました。

しかし心の中は当時のまま。キラキラと輝いていた冒険の日々が帰ってきたかのようです。

『ミニファミコン』は買うべきか?

こんなにもオーバーに感動したのは、稀有な例なのかもしれません。

正直言うと、発表当時は買おうかどうか悩んでいたのです。「遊ぶ時間が無いのでは?」「コントローラーが小さくて遊びづらいのではないか?」といった不安もありました。そして、同じ不安を抱えて買いあぐねている方も多いのではないでしょうか。

背中を押させてください。

このCMを見て胸の高鳴りを感じた人は、必ず買うべきです。

コントローラーは確かに小さいものの、アクションゲームも遊べます。Bダッシュ中のジャンプも問題ありません。

現在は転売が横行しており、定価以上の値段が付いているためオススメはできませんが、再入荷して流通が落ち着いてきた頃を見計らって、ぜひ購入しましょう。30代、40代……私たちがかつての少年少女だった時のゲームたちは、必ずや私たちをまた熱狂させてくれます

これらの名作を次の世代に伝えるためだとか、子供と一緒にゲームの歴史を教えたいだとか、そういった建前は殴り捨てて、素直に楽しみましょう。自分のために楽しみましょう。

大人には、思い出を取り戻すための時間も必要なのです。

……もっと語りたいことがありますが、私の心はもうこのコラムを早く仕上げて、『ファイファン3』の続きをプレイしたい気持ちで一杯です。私の記憶が正しければ、きっともうすぐ浮遊大陸を脱出できるはずです。

私は……ぼくは はやくファミコンであそびたいんだ!

 

文/小暮ひさのり
ガジェット類が大好物。雑誌やWebで執筆しているテクニカルライター。群馬県在住で農業が趣味であるため「兼業ライター」と揶揄されることもあるが、本人的には農業1割、執筆9割。

なぜネットで「感動記事」を広める人は、騙されて損をするのか

「悪役の俳優を本当の悪人だと思っているおばさん」を見てバカだなと笑う方、もしかしたらあなたも同じ穴のムジナかもしれません。無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さんは、世の中は「演出」で溢れかえっているにもかかわらず、それを疑いもしない「本質を知らない人」が多すぎると指摘。それは先に述べたおばさんのみならず、感動のスピーチをした人を本当の善人だと思い込み、SNSで大量に拡散させるネット民も同じだという厳しい意見を記しています。

演出な世の中

プロレスラーの中には、「ヒール」と呼ばれる人がいます。これは悪役悪玉の人です。例えば凶暴なラフファイトで攻撃をしたり、観客をバカにしたりします。

もちろん、これは「」です。主役と悪役が戦っていて、主役が悪役に苦戦しているけれども、そのうち主役が悪役に勝つと、盛り上がります。もしくは悪役が主役に勝ってしまうと、まさかの番狂わせに、これも盛り上がります。

つまり、それぞれに役があるからプロレスの試合が盛り上がるのであって、ヒールの人は本当に極悪人ではないのです。悪役という演出をしているだけです。

これは、例えばスポーツ選手の会見にも言えることですし、政治家の演説にも言えることです。いろいろな発言をしているのですが、演出なのです。すごくいいことを言っている時には、「いいことを言う」という演出をしていて、すごく嫌われることを言っている時には「嫌われることを言う」という演出をしています。

書籍などを読んで、その著者が書いていることも大抵は演出です。世の中で目にすることは演出だらけなのです。それが分かっていない人は、これからの時代は非常に大変です。

昔はよかったのです。テレビで悪役を演じている人を見て、「この人、本当に悪い人だね」などと本気で思うオバサンがいても、勝手に思っておけばいいだけでした。ところが、今のようにSNS時代になると、「この人はいい人だ! いいこと言ってるし!」「この人は悪い人だ! 悪いこと言ってるし!」なんていう勘違いを平気で他の人へと発信してしまいます。

現に、ネット上では定期的に「伝説のスピーチ」みたいな話題が拡散され、「涙が止まらない」とか「素晴らしすぎる」とか、やたら書き込む人が増えます。涙が止まらないなら勝手に泣けばいいのに、別に涙が出ているわけでもないのに「涙が止まらない」なんて平気で書くのです。

でも、そのスピーチは、「涙が止まらないとか書かせて拡散させるために原稿を書いた裏方のブレーンが作っています。ブレーンが作った良い原稿を、演者が読んだだけなのに、「この演者は良い。素晴らしい」と錯覚して、それを平気で他の人に押し付けてしまう。

「そういうものにはブレーンがいるものだ」という演出を分かる聡い人も増えてきましたが、それでも演出だと分からない鈍い人が拡散させるツールが進化してきたことで、演出の効果はますます肥大化していっています。

中国が仕掛ける「トランプ氏」懐柔工作。日本は太刀打ちできるのか?

トランプ氏の米大統領選勝利を受け、日米関係も大きく変わろうとしていますが、それは米中関係とて同様です。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では、著者の北野幸伯さんが、現在の米中の微妙な関係と中国サイドの思惑を分析、さらに日本が今後アメリカとの良好な関係を維持するためのポイントについても考察しています。

トランプと習近平が電話会談

トランプさんと習近平さんが電話で会談したそうです。何を話したのか?

習氏、トランプ氏と電話会談「協力こそ唯一正しい選択」

朝日新聞デジタル11/14(月)19:42配信

 

中国の習近平(シーチンピン)国家主席は14日、米国のトランプ次期大統領と初めて電話会談した。国営新華社通信が明らかにした。

 

習氏は「協力こそ両国の唯一の正しい選択」と述べ、トランプ氏も「米中両国はウィンウィンを実現できる」と応じた。

 

両氏は早い時期に会い、両国間の問題について話し合うことでも一致した。

もう少し具体的に見てみましょう。

習氏は米大統領選での当選に祝意を述べた上で、両国の協力には重要なチャンスと巨大な潜在力があると指摘。「中米関係をきわめて重視しており、米国側とともに関係推進に努力したい」と呼びかけた。

 

また、「双方が協調を強め、各分野での交流や協力を広げていきたい」と訴えた。
(同上)

これが中国の偉いところですね。中国は、心の中でどう思っているかは知りませんが、「アメリカと仲良くしたい!」というメッセージは一貫しています。ヒラリーさんを含む政治家、マスコミ、教授などにも金をばらまき、しっかり取り込んでいる

トランプさんは、どう応じたのでしょうか?

新華社によると、トランプ氏は「習氏の米中関係の見方に賛同する」とし、「中国は偉大で重要な国家だ。あなたと一緒に米中両国の協力を強化したい。関係がさらに発展できると信じている」と述べたという。トランプ氏側は会談内容を明らかにしていない。
(同上)

中国は偉大で重要な国家だ。あなたと一緒に米中両国の協力を強化したい。関係がさらに発展できると信じている」だそうです。トランプさん、選挙戦中は結構中国を批判していましたが。

トランプ氏は大統領選で中国が輸出を有利にするため、人民元安に誘導しているとし、中国を「為替操作国」に認定すると公約。中国では、中国製品に高い関税を課すと主張してきたトランプ氏の保護主義的な姿勢に警戒感が広がっているが、両氏の初会談では、まずは協力という原則論を確認したとみられる。(北京=西村大輔)
(同上)

トランプさん、勝利後の言動を見ていると、過激さは全然なくなっています

またも廃案の危機?「カジノ法案」の前に立ちはだかる大きな壁

日本で『カジノ』が現実味。超党派議員で『法案早期成立』に追い風」でもお伝えしたように、いよいよ日本でのカジノ解禁が現実味を帯びてきました。しかし、メルマガ『鍛野ミミの「カジノの目線で」-ここだけばなし-』の著者でカジノコンサルタント兼ディーラーの鍛野ミミさんは、カジノ法案の記事が広く報道されるようになり、多くの人たちから注目されるようになった一方で、IR関係者でも法案可決を先送りしようとする人もおり、まだ楽観視できないとの見方を示しています。

カジノ法案は本当に通過する?

カジノ法案はもともと早ければ今月9日から審議入りすると言われていました。

しかしその後TPP委員会での農水大臣の失言と強硬採決を受け野党が反発、全委員会が一旦止まってしまいました。

そして16日(水)に審議入りが再予定されていたわけです(IR議連秘書より)。

そのため、海外のメディア関係者やゲーミング業界の知人から、連絡が頻繁に入るようになり、私も16日が濃厚と伝えてきました。

実際に、Seeking Alphaで定期的にゲーミング記事を書いているHoward Jay Klein氏の記事も14日に掲載され、今日の審議入りの可能性に触れていました。

Japan Casino Bill Update:

Abe’s IR Giren Party Committee

Will Consider Bill November 16

Seeking Alpha News 2016.11.14

さて次のチャンスは18日(金)ということのようですが、審議入りすらままならないカジノ法案は今国会で本当に成立するのでしょうか?

先に紹介した毎日新聞によると与野党の足並みがそろわないのが審議入りしない主な理由です。

自民維新の両党が観光振興の起爆剤としてIRに期待」するのに対して、民進党はギャンブル依存症が増える」ことを懸念。

今まではどちらかと言うと公明党がギャンブル依存症をメインに反対をしていた流れがありました。しかし公明党が軟化、それによりカジノ法案の推進派たちが、今国会での審議入り・成立に意欲を示しているわけです。

借金8億で倒産寸前。傲慢社長の謝罪から生まれた「奇跡のジャム」

「夢は見るものではなく、叶えるもの」を地で行く名物社長がいます。美味しいジャムやワイン、地方の隠れた逸品を取り揃える「サンクゼール」の久世良三社長です。「テレビ東京『カンブリア宮殿』(mine)では、放送内容を読むだけで分かるようにテキスト化して配信。絶対に諦めない粘り強さとチャレンジ精神で夢を形にしたものの、傲慢さがたたって借金8億円のどん底に陥った久世社長を救ったのは、家族と社員の「愛」でした。

食べたら買いたくなる~主婦が殺到、珠玉の食材店

埼玉県越谷市の大型ショッピングモール「イオンレイクタウン」の中に、女性たちに大人気の食料品店サンクゼールがある。売っているのはドレッシングに、自家製のソーセージなどのこだわり食材。あちこちで試食が行われている。

大人気の「オールフルーツジャム ラ・フランス」は617円。厳選したフルーツを原料に、砂糖を使わずフルーツの甘みだけで仕上げたもの。保存料や着色料を使っていない自然派ジャムだ。ジャムと並ぶ売れ筋のパスタソース。「ガーリック&トマト」(699円)など、バラエティに富んだ味が10種類も揃っている。人気の「トマトクリーム」はパスタの本場、イタリアのトマトと北海道の生クリームで製造。具を加えて茹でたパスタにあえれば、簡単に本格的なイタリアンパスタが味わえる。

ワインだって試飲し放題。サンクゼールはひと味違うものをバンバン試食してもらう「試食マジック」で、女性客の心を掴んでいる。

サンクゼールの本店は、長野県北部に位置する飯綱町の田園を見下ろす小高い丘の上に建つ。店内を覗くとこちらも大盛況。本店にはワイナリーが併設されていて、ワインコーナーが充実している。

ショップの隣にはデリカテッセンのコーナーが。自家製のソーセージ盛り合わせ(1400円)、キッシュ(700円)などの手軽なメニューも揃う。お客はそれを芝生の広がるガーデンに持ち出し、ワインと一緒に楽しむことができるのだ。

サンクゼールの本店はただの店ではなく、「ヨーロッパの田舎町のイメージで作られたテーマパーク。東京や大阪など県外からのお客も続々。年間12万人を引き寄せる観光スポットとなっている。

お客の目当ては買い物や食事だけではない。ソーセージ作りなど、様々な体験イベントが用意され、家族で楽しめる。この日、限定の体験ツアーで向かった先はサンクゼールの自社農園。ワイン用のぶどう畑だ。行われたのは年に1回だけのブドウの収穫体験。収穫の後は、去年仕込んだワインなどが飲み放題に。

この本店を中心に、サンクゼールは今や全国46店舗。年商は65億円に迫る勢いだ。

転機はヨーロッパ~田舎にこそポテンシャルがある

長野・信濃町。サンクゼールを作り上げた久世良三を社長室に訪ねると、不在。外で池の掃除をしていた。掃除の次は、ショベルカーに乗り込み、急な坂もおかまいなしで降りていく。広大なテーマパークを作る時も、久世は重機で大活躍したと言う。

仕事というより趣味みたいなもの。いろいろな道を作ったり、新しいことに挑戦することにやりがいを感じるんです」と語る久世は、やってみたいことを見つけたら挑戦せずにいられない、夢を追い続ける人生を送ってきた。

東京都豊島区出身。地元でも有名な食品卸問屋の三男として生まれた。学生時代は長野県に通い詰めスキー三昧。何不自由ない毎日を送った。大学を卒業後は一旦家業を手伝ったが、学生時代からの夢が捨てきれず、1975年、長野・斑尾高原にペンションを開業。スキー客を中心に繁盛した。

転機は34歳の時。妻のまゆみさんと共に旅したフランスで、その後の人生を変える出会いが待っていた。

訪ねたのはフランスの田舎町ノルマンディー。リンゴの発泡酒、シードルの名産地だ。そこで目にしたのは、リンゴ畑の中で牛が飼われるのどかな光景。同じ敷地にはシードルを作る工房もあった。しかも、村人たちは誇りを持って、世界に認められる本物を作っていたのだ。

当時の日本の田舎と言えば、若者たちが離れ、過疎が進んでいく、先の見えないイメージ。そんな日本とはまったく違う田舎の姿に久世は衝撃を受けた。

「世界中にお客さんを持っていて、でも作っている場所は本当に田舎。田舎にこそポテンシャルがあると気づかされ、それを長野でやってみたいな、と」

フランスから帰国した久世は、山を購入し切り開くと、加工工場やワイナリーを建設。そこで農産物を自社栽培し、加工、そして販売まで行うように。今で言う6次産業だが、そんな言葉もなかった時代の挑戦だった。

フランスで見つけた夢をそのまま形にした商品もある。それがノルマンディーで見たシードルだ。

久世がこれを作るのに使ったのが地元にあった幻のリンゴ。「高坂リンゴ」という品種で大きさは普通の3分の1ほど。日本古来の和リンゴだ。ただし酸味が強すぎて食用には向かず、作る農家もほとんどなくなっていた。高坂リンゴをシードルの原料に使うことで、地元のリンゴ農家にも恩恵をもたらした。そのシードルは今、人気商品になっている。

フランス旅行から32年。久世は今、田舎から全国に本物を届ける夢を現実にした。

「小さな会社ですが、日本中、そして世界の皆さんに愛されるブランドに育てていきたい。農村に無限の可能性を感じていて、まだやれることはいっぱいあると思います」


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倒産寸前、借金地獄を救った夫婦愛

この日、本店のデリカで販売する新商品の試作が行われていた。名産のリンゴにシナモンをまぶしパイ生地の上へ。特製のアップルパイだ。普通はあらかじめリンゴを煮ておくが、生のまま包んで焼くことで、食感のいいパイになるという。

新商品の開発責任者は、久世の妻、まゆみさん。これまで多くのサンクゼールの味を手がけてきた。だが、まゆみさんが支えてきたのはサンクゼールの味だけではない。

二人の出会いは40年前。久世が始めたペンションにまゆみさんが客として訪れ、半年後の1976年に結婚した。育児とペンションの仕事で大忙しとなったが、そんな中、「果樹園があって、味は美味しいけど形が悪いりんごがコンテナで売っていたんです。これをジャムにしたらいいんじゃないかと思って」(まゆみさん)、宿泊客のために、砂糖を抑え、りんごの味を生かしたジャムを手作りすることに。これが夫婦の運命を変えたと言う。

「まず自分のペンションで売ったら飛ぶように売れまして、これはいけるかもしれない」と思った久世は、ペンションをたたみ、古い民家を借りて、ジャムの販売会社を作る。そして1987年、「サンクゼールの丘」事業に着手。フランスで見た光景を再現すべく山を切り開き、レストランや自社工場を作ったのだ。

しかし当時はバブルの絶頂期。田舎の、それも山の中までお客がくるはずもなく、閑古鳥が泣いた。無理な投資もたたり、借金は8億円にまで膨らんだ。こうなると銀行も黙っていない。サンクゼールは倒産の危機に追い込まれた

「夜、眠れなくて睡眠薬を飲んだり、それでも眠れなくて、声がだんだん出なくなりました。やはり自分を責めますよね、経営者として情けなくて」

久世は、連帯保証人になっていた妻だけでも守ろうと、離婚を申し出る。

「『離婚してほしい』と言った時に、妻が怒って、『私はペンションが好きで結婚したわけじゃない。あなたが好きでついてきたので、一番大変な時こそ私が支える。そんなこと言わないでほしい、ふざけないで』と」

妻に励まされた久世はギリギリの状態ながら会社を守り抜く。

すると会社から爆発的なヒット商品が生まれた。長野オリンピックが地元で開催された際、サンクゼールのジャムが公式商品に認められ注文が殺到した。翌年、軽井沢に直営店をオープンさせると、この店も大ヒット。こうして久世は最大の危機を乗り越えたのだ。

「本当にオオカミ少年みたいに、嘘というか、ビジョンばかり言っているので、嫌気がさしたこともあったんですけど、結果的に、言ったことはすべて実現しているんですよね」(まゆみさん)

久世の追い求めた理想郷。その存続の危機を救ったのは夫婦の絆だった。

傲慢社長が涙の謝罪~危機を乗り越えた感動秘話

古くからいる社員に昔の久世の印象を聞いてみた。経理部の山口幸枝は「今とはまったく違って、人を寄せ付けない雰囲気があったかなと思います」という。さらにMD本部本部長の山田保和によれば、「自分の意に合わないとすぐカッとなる。自分の考えと違う企画書だったりすると、『方向性が違う』と放り投げて、『こんなのやってられないよ』と」。

今の久世からは想像もできないワンマンの傲慢社長だったのだ。久世は「人に対して弱みを見せてはいけない。社員がついてこなくなる、と思い込んでいたんです」という。

しかし8億円の借金を抱え、にっちもさっちも行かなくなった時、久世は社員を集め、こう話した。

「今のままいくと、この会社は今年中に潰れるかもしれない。全部私の責任です。許してください」

涙を流しながら社員に心から謝った

「本音を話してくれたのはすごく嬉しかったですね。『じゃあ一緒に頑張ろう、立て直せるようにしよう』と思えました」(山田)

そこから社員たちは一丸となって頑張り、あのオリンピックジャムの逆転劇を呼び込んだのだ。

スタジオで「あれがなければ会社は元気がなく、活性化していなかった」と、当時を振り返る久世。村上龍が興味を抱いたのは、人間関係などでは反省をすることで壁を乗り越えながら、一方で「いやなものはいや」を貫いたその生き方だった。久世はこう語る。

「世界を見てきて理想があるので、それは譲れない。結構、頑固だと思います」

地方の逸品が大集結~和の食材で世界に挑め

ヨーロッパの田舎」をテーマに成功した久世がまた違った店を打ち出した。

千葉県千葉市の「イオンモール幕張新都心」にある「久世福商店」。ここで売られているのは普通のスーパーなどにはまず並ぶことのない和の食材だ。自社製造しているサンクゼールとは違い、作っているのは地方のメーカー。それも特にこだわっている隠れた逸品を探し出し、一堂に集めている。

例えば「さば節屋のさばスモーク」(432円)。屋久島で揚がったゴマサバを使った無添加の燻製。半ナマで品のいい味わいだが、地元以外にはほとんど出回っていない。金沢のメーカーが作った味噌汁「お吸い物最中」(280円)は、最中の皮がモチモチした具になる。

「地方のメーカーさんを回ったら、皆さん未来に対する漠然とした不安を感じている。そういう皆さんと一緒に成長できる、海外の人に知ってもらえるブランドを作りたいとひらめきました」(久世)

地方メーカーとタッグを組んで世界進出を狙う久世福商店。中には3年間で累計267万個を売った大ヒット商品もある。それが「風味豊かな万能だし」(5袋入り648円)。このだしを作ったのは静岡県焼津市の老舗鰹節メーカー「新丸正」。昔ながらの伝統製法にこだわって薫り高い極上の鰹節を作ってきた。その鰹節を使いだしパックを作ったが、地元以外に販路がなかった

これに目を付けたのが久世福。日本一のだしパックを作ろうと、3年前から共同開発に乗り出した。「新丸正」の久野徳也社長は、「当初の『だしパック』より28倍の数量が動いています。非常にありがたいビジネスをさせていただいています」と語る。

地方の埋もれた商品をどう売れる商品に変えるのか。そこには久世福流の仕掛けがあった。ある日、サンクゼールの商品検討会議で提案されたのは、新潟県内でしか売られていないお菓子「新潟チップス」。一旦、炊いた米を潰さないようにチップスにする。特許製法で作った、他にはない味わいだ。

味は申し分ない。しかし、そのままでは売れないことが多いと言う。始まったのはパッケージの検討。中身はそのままに、外側を売れるように変えているのだ。バイヤーの佐々木道子が取りかかったのは最も重要な部分。パッケージに乗せるキャッチコピーだ。

端的にどんな味なのか、どう美味しいのかが想像できなければダメ。これを2行で表現する。

店頭に並べられた商品の最終形を見てみると、商品名は「新潟チップス」から「お米チップス、米職人」に。キャッチコピーは、「こんなお菓子食べた事ない!」「ご飯から作った特許製法のお米チップス」になっていた。

狙うは年間3万6000個。地方の埋もれた商品が次々とお宝に変わる

 

~村上龍の編集後記~

日本も本当の豊かさに気づきつつある、久世さんと話していて、そう思った。

貧しい国は、衣食住など、切実に優先すべきことがあり、田舎にこそ美しい風景があるというような実感を持つのがむずかしい。

「外部の視線を持ったよそ者だったから信州の風景の良さを発見できた」 久世さんはそう言う。

ただ、よそ者として存在するのは簡単ではない。往々にして孤立する。だが、孤立から目をそむけず、現実に立ち向かうとき、必ず同志が現れる。

つまり、孤立を恐れない永遠のよそ者だけが、同志を得て、新たなる地平を拓くのである。

 

 

<出演者略歴>

久世良三(くぜ・りょうぞう)1950年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、ダイエー入社。1973年、父の会社、久世に入社。1975年、ペンション経営を開始。1982年、斑尾高原農場設立、社長就任。2005年、社名をサンクゼールに変更。

 

source:テレビ東京「カンブリア宮殿」

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帰りたいけど生活レベル落とすの嫌。疲労と残業の狭間で悩む人達

労働問題に関連する様々な話題を、分かりやすい会話形式で解説してくださる『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』。今回は、電通新入社員の過労自殺問題でも話題に上がった「36協定」と、安部総理が掲げる「働き方改革」がテーマです。政府はこれ以上苦しむ人が出ないように、どのように法律を変えようとしているのでしょうか?

36(さぶろく)協定

主人公26才男性、フリーターの新米幸多(しんまい こうた)。たまたま本屋で、「社労士で年収1,000万円稼げる本」を読み、必死に勉強!! ギャンブル気分?? で試験にチャレンジ、運良く見事合格!! 無事に? 社労士事務所に勤めることは出来たが、今までのフリーター仕事とは打って変わり、業務の細かさと責任感に戸惑う毎日。はてさて、これからどうなることやら?

朝礼前、今日はボスが事務所にいる。

E子 「今朝、また労働時間のことニュースでやってましたね~!ボス、見ました?」

所長 「あぁ、カトクのこと? それとも36協定違反のことかな?」

E子 「あ、36協定の方です」

所長 「最近、労働時間のこと、よく取り上げられているね。うちのお客様にもより伝えていかないといけないね」

E子 「監督署の調査も最近多いですよね」

所長 「そうだね。でも、労基法違反に対してはまだまだ甘いからな」

E子 「今朝のニュースは、あれ、要するにどういうことですか?」

所長 「時間外労働が1ヵ月45時間1年360時間を超えているから法違反だと伝えていたね」

新米 「え、それだけ?」

所長 「いや、その後、実際の時間外労働は月に113時間だとか言ってたな。詳しいことはわからないけれど、特別条項もないのに、時間外労働が100時間を超えているということなんじゃないかな」

新米 「36協定の上限を超えているから、労基法違反っていうことですか?」

E子 「特別条項って、使っていても年のうち半分しか使えないんだから、年中残業時間が長いってところは絶対に労基法違反になってますよね」

所長 「そういうことだよな。特別条項は、あくまで『特別』なときしか使えないっていうのが前提だから、年中45時間を超えていたらダメだね」

海外と比べても長いと言われる、日本の労働時間。こうした状況の中で、残業のあり方を変えようという動きが始まっています。

政府は働き方改革の一環として、労働者の残業時間に上限を設けたり、上限を超えた場合の罰則について検討を進めています。そんな中、大きな焦点となっているのが、36協定なのです。

また学校側の隠蔽。原発避難いじめでも明らかになった教師の無能

東京電力福島第1原発事故で、福島県から横浜市に自主避難した生徒が転入先の横浜市の学校でいじめに遭い、総額150万円もの金銭を脅し取られたという事件。現在多くのメディアに取り上げられ、大きな話題となっています。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』ではこの案件に関する学校側の責任逃れや言い訳を記した上で、いじめ防止対策推進法を学校側がまったく守ろうとせず、むしろ隠蔽を行っているとして厳しく糾弾、その対策を論じています。

守られないいじめ防止対策推進法

また悲しい事件が明らかになりました。原発避難の生徒がいじめで不登校になり、小学校の卒業式にも出られず、中学になった今でも不登校が続き、現在はフリースクールに通っています。報道によりますと、この生徒は小学2年だった平成23年8月、原発事故で福島県から横浜市に自主避難し横浜市立小学校に転校。その直後から、名前に菌をつけて呼ばれたり、蹴られたりするなどのいじめを受けました。また、小5のときには、同級生に「(東電から原発事故の)賠償金をもらっているだろう」と言われ、遊ぶ金として5万~10万円を計10回ほど、総額150万円ほど払わされたと証言しています。

父親は、何度相談しても一向に動こうとしない学校に不信感を持ち、弁護士に相談しながら、学校側やいじめたとされる同級生の保護者らと話し合ったが、改善せず、昨年12月に第三者委に調査を申し入れました。第三者委は、学校の対応について、一昨年に生徒側から相談を受けていたにも関わらず、適切に対応しなかったことを「教育の放棄に等しい」と批判しました。市教委に対しても、重大事態と捉えず調査の開始が遅れ生徒側への適切な支援が遅れたと指摘しました。生徒は中学1年の現在も不登校が続き、カウンセリングを受けていますが、今は、フリースクールに通い前向きに過ごし始めています。

いじめ防止対策推進法では、不登校や金品の被害があれば、学校は「重大事態として速やかに市教委を通じて有識者でつくる第三者委員会で調査するよう定めています。しかし父親の話では、学校側は「お金が絡んでいるので警察に相談してください」と言うだけで同級生への指導はしてくれなかったといいます。また、市教委は「学校が調べたところ、被害者と加害者の証言が食い違い、いじめの認定ができなかった」と釈明しています。しかし、文科省生徒指導室は「自治体には、いじめと確定していなくても第三者委で調査するよう指導している。証言が食い違うからこそ、中立公平な第三者委が早く調査する必要がある」としています。

さらに、文科省生徒指導室の担当者は「今回のように、学校が重大事態と認識せず対応が遅れる例は全国的にある」と説明。速やかに第三者委を立ち上げられるよう、マニュアルを策定し、指導を強化する方針だということです。

つまむなら鼻より耳を。押せば効く耳ツボと叩けば効く足裏刺激法

鼻つまみ者は周囲から嫌われてしまいますが、「耳つまみ」は全身マッサージと同じ効果があり、代謝が活発になるのだとか。無料メルマガ『美容と健康ひとくちメモ』では、自分でできる耳ツボマッサージの方法と、下半身の血行を良くする足裏刺激法が紹介されています。

耳をつまむだけで…

耳には全身の各器官に働きかけるツボ(反射区)があり、東洋医学ではその人の分身とまで言われているそうで、耳を刺激すると体中の血液のめぐりを改善し、代謝を活発にすることができ、全身をくまなくマッサージするのと同様の効果があるそうです。

また、耳の周辺には顔の筋肉に繋がる動脈や静脈がながれているので、耳をつまむだけの簡単な方法で、周囲の筋肉がほぐれ、圧迫されている血管が拡張し、目や顔への血流が促進される大きな効果があるのだそう。

耳つまみの方法は、下から上へ向かってつまむ場所を移しながら1周を1日3セット。強さは気持ちいいと感じられるぐらいがベストで、あまり強い刺激を与えると、痛みで血管を収縮させて血流を悪くしてしまうそうですのでご注意ください。

不眠解消の足裏マッサージ

不眠解消に繋がるツボは、失眠(しつみん)。このツボは、足裏のかかとのふくらみの部分、ここのちょうど中心にあたる所です。

このツボを朝と寝る前、1日2回、片足30秒ずつ、こぶしで軽くたたきます。失眠への刺激は、下半身の血行を良くしていくことで、脳の神経興奮を鎮め、脳や全身をリラックスさせ、呼吸を深くして安眠へと導いてくれるのだそうです。

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日本が1位を獲得。「世界読み書き能力ランキング」が意味すること

世界の大学を順位付けした「世界大学ランキング」は、世界中が注目する影響力の強い指標となっていますが、近年日本の大学のランク低下による凋落ぶりがメディアでもよく取り上げられています。しかし、それは一面的な見方なのかもしれません。というのも、先日、OECD(経済協力開発機構)が発表した「大人の読み書き能力」のランキングでは日本が1位に輝いているからです。

OECDの「読み書き能力ランキング」で日本は1位

BBCは先日、OECDが毎年発表している「Education at a Glance(図表でみる教育)」を考察し、「どの国の学生が1番賢いか?」という分析記事を掲載しています。

記事の中では、大学を卒業した25歳〜64歳までの大人を対象にした、世界の読み書き能力ランキングに注目していますが、この1位に輝いたのは日本。

続いて、フィンランド、オランダ、スウェーデン、オーストラリア、ノルウェイ、ベルギー、ニュージーランド、イギリス、アメリカという順位となりました。

OECDが発表した「読み書き能力テスト ランキング」

1位 日本
2位 フィンランド
3位 オランダ
4位 スウェーデン
5位 オーストラリア
6位 ノルウェイ
7位 ベルギー
8位 ニュージーランド
9位 イギリス
10位 アメリカ

英インディペンデント紙は、「英国は日本や他のヨーロッパ諸国よりも下位だった」と、この結果を懸念した内容で報じています。

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image by: OECD

同紙は、この結果を踏まえた上で、アメリカやイギリスは世界大学ランキングの上位を占めているのに、OECDのテスト結果ではなぜ上位ではないのか、といった疑問を投げかけています。

こちらが、イギリスの評価機関が毎年発表している「世界大学ランキング」です。

世界大学ランキング(QS World University Rankings 2016-17)

1位 マサチューセッツ工科大学 (アメリカ)
2位 スタンフォード大学 (アメリカ)
3位 ハーバード大学 (アメリカ)
4位 ケンブリッジ大学(イギリス)
5位 カルフォルニア工科大学 (アメリカ)
6位 オックスフォード大学(イギリス)
7位 ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(イギリス)
8位 チューリッチ工科大学(スイス)
9位 インペリアル・カレッジ・ロンドン(イギリス)
10位 シカゴ大学 (アメリカ)

ご覧の通り、世界大学ランキングの表を見てみると、MITやスタンフォード、ハーバード、ケンブリッジなどのアメリカやイギリスの名門校が上位を独占しています。

しかし、OECDのランキングに名を連ねる国は、トップの日本を含め1つもありません。

この違いから見えてくるものとは?

国際的な指標として知られるこの2つのランキングの違いは何でしょう?

【対象者】

OECDテスト:高等教育を受けた者が対象

大学ランキング:エリートグループに分類される各大学を指標化したもの

【重視する点】

OECDテスト:テストの結果を重視

大学ランキング:個々の大学の制度に重点を置き、評判、職員数から研究論文まで、広範囲に渡る要因が測定されている

根本的に対象者やランキングの測り方が違いますが、どちらかというと、OECDはテスト結果に基づいているので、各国の学力をフェアに比較することができます。

インディペンデント紙は、OECDのトップ35カ国の中で、日本は高学歴者が最も多く、2位のフィンランドも同じ状況で、どちらの国も15歳の生徒を対象にした「国際学力調査(PISA)」でも上位を占めていることを指摘。

つまり、日本やフィンランドは子供も大人も国際的に学力が高いということが言えます。

一方、「大学ランキング」のトップを占めているアメリカはどうでしょう。

「アメリカのすべての大学を比較した場合、最上位と最下位のどちらにもランクインするだろう」(OECDの教育ディレクターのAndreas Schleicher氏)という見方もされているように、国単位で考えた場合、名門大学を抱えるアメリカ全体の学力には差があり、極めて2極化した教育システムを形成しているため、エリート層を対象にした大学ランキングシステムではその対極にある部分は見えてこないというのです。

また、「読解力」や「数的思考力」は移民を受け入れている国で低い傾向があり逆に移民の少ない日本においては、均一的な学力が備わっているという見方もあります。

移民を多く抱えるアメリカやフランスなどは、確かにこのランキングでは下位にあり、少なからずとも影響を与えているのかもしれません。

また、2013年の国際成人調査の結果が発表された際に、ワシントンポスト紙は、他国と比べて、アメリカ人の大人の学力が低いことを深刻な問題として報じています。

高度な読み書き能力を身につけるという意味では、下位にランクインしたイタリア、スペイン、ギリシャの大学や職業専門校を卒業するよりも、日本、フィンランド、オランダにおける高卒資格の方が良いかもしれない」(Schleicher氏)

世界的にみて、日本人の大卒者は高度な読み書き能力があるという結果は、日本人としては喜ばしいことですね。

一方では、「数的思考スキル」、「データ読解」なども考慮に入れて、その総計を図るべきだというも上がっているように、何を持って「優秀さ」や「頭の良さ」を図るかは意見の分かれるところではあります。

今回のOECDの結果のような「大学ランキング」とは違ったデータをみると、世界的に日本の学力の高さが判明しましたが、OECDのデータもまた新たな視点から日本と世界を比較する大きな指標になるのではないでしょうか。

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Source by: BBC,  OECD

文/桜井彩香