年間1万円のダウン。なぜ物価は上がっているのに年金額が減るか

多くの方の「老後資金の要」となる年金。そんな年金の支給額が令和4年の4月分から0.4%も減額となり、高齢者から不満の声が上がっています。物価高騰の流れが続くこのご時世にあって、なぜ年金は減らされてしまったのでしょうか。そんな疑問に明快な答えを提示しているのは、ファイナンシャルプランナーで『老後資金は貯めるな!』などの著書でも知られ、NEO企画代表として数々のベストセラーを手掛ける長尾義弘さん。長尾さんは今回、年金支給額と現役世代の給与との関係性と、彼らの給与アップが国民全体の幸せにつながる理由を解説しています。

プロフィール:長尾 義弘(ながお・よしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP、日本年金学会会員。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。新聞・雑誌・Webなどで「お金」をテーマに幅広く執筆。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『最新版 保険はこの5つから選びなさい』『老後資金は貯めるな!』『定年の教科書』(河出書房新社)、『60歳貯蓄ゼロでも間に合う老後資金のつくり方』(徳間書店)。共著に『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)。監修には年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

年金が下がった理由は、現役世代の給与に問題があった!

2022年4月から、年金の支給額が0.4%下がりました。

厚生労働省で発表している年金額でいうと、基礎年金(満額の場合)は6万5,075円が259円少なくなって6万4,816円です。厚生年金は、夫婦2人分の標準的な年金額は、22万0,496円が903円少なくなって、21万9,593円になります。

月額903円少なくなるということは、年間にすると約1万円少なくなります。年金だけの生活をしている人が多いと考えると厳しくなりますね。

さらに、いまは値上げラッシュが続いています。物価がどんどん高くなっていて、支出が増えています。そんな時に「なぜ!年金が減る?」と怒りを抱く人も多いかと思います。

なぜ、年金が減ったのかというと、それはコロナ禍で現役世代の給与が減ったからです!高齢者の年金だけが減ったのではなく、現役世代の賃金も減っているのです。

今回は、年金が減った理由は、どこにあるのか?を考えてみたいと思います。

現役世代の賃金が0.4%下がったから年金も下がった?

年金の支給額は、物価や現役世代の賃金によって毎年度増減しています。

2021年から、物価よりも賃金の下落幅が大きい場合は、賃金にあわせるというルールになりました。

これを受け、2022年度の改定の参考にした指標とは次の数値です。物価(2021年)はマイナス0.2%、現役世代の賃金(2018~2020年の平均)はマイナス0.4%、マクロ経済スライドのスライド調整マイナス0.3%です。

つまり現役世代の賃金がマイナス0.4%になっているので、2022年の年金の支給額がマイナス0.4%減ったというわけです。

「マクロ経済スライドがあるから、年金が減った」とか、「このまま、ずっと年金が減り続ける」などと勘違いをしている人がいます。これはまったくの間違いです。なぜなら、年金の改定率がマイナスになる場合はマクロ経済スライドは発動しません。また、これからずっと年金が減るわけわけでもありません。

異なりすぎる命の重さ。ウクライナ以外の地の紛争で死を待つ人々

プーチン大統領の蛮行により国家存亡の危機に直面するウクライナに対して、最大限の支援を続ける西側諸国。しかし世界には、長期にわたりウクライナ以上の人道危機にさらされている人々が多数存在することをご存じでしょうか。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』では著者でジャーナリストの伊東森さんが、今現在、世界で続いている紛争の数々を詳しく解説。ウクライナ以外の地でも多くの命が失われている現実を紹介しています。

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世界では今、どのような紛争が起きているのか?

ロシアのウクライナ侵攻が始まって、まもなく4カ月が経過する。一方で、ウクライナにかぎらず、紛争と呼ばれるものは世界中で発生しているのが現実だ。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は4月13日、黒人と白人に影響を及ぼしている緊急事態をめぐり、世界の関心に偏りがあると訴えた(*1)。

まず事務局長は記者会見で、ロシアがしたウクライナに対する支援について、「世界全体に影響を及ぼす」ことから、「とても大事」であると言及。

一方で、世界の違う場所で人道危機に陥っているエチオピアのティグレ州やイエメン、アフガニスタンやシリアは、ウクライナと同じくらいの注目を集めていないと指摘。

これらの地域が受ける支援は、ウクライナへの支援のごく一部して寄せられていないとする。

さらに、

黒人の命と白人の命について、世界は本当に同じだけの関心をもっているのか疑わしい。
BBC NEWS JAPAN 2022年4月14日

とまで発言した。

つづけて、

率直に言って、世界は人類を等しく扱っていない。人類は平等だが、特別扱いを受けている人というのは存在する。これを指摘するのは心が痛む。目に見えることだからだ。非常に受け入れ難いが、現実だ。
BBC NEWS JAPAN 2022年4月14日

と語った。

そもそも、テドロス氏自身が、言及したエチオピアのティグレ州の出身。ティグレ州は、国連が、救命のために1日に100台分の人道物資の供給が必要であるとしている場所だ。

ティグレ州では、2020年にエチオピアの政治を30年近く支配してきた地域政党のティグレ人民解放戦線(TPLF)とエチオピア政府軍による戦争が勃発。

これまでに多数の民間人を含む数千人の死者が出ており、今なお人道支援を必要としている人が数百万人に上るとされるも、しかし政府は救援活動を妨害しているとされ、批判を受けている。

また、現地では戦争にかかわるすべての当事者が、超法規的な処刑をし、性暴力もふるっているという。

イエメンについては国連が長らく、「世界最悪の人道危機」であると強調。アフガニスタンでは、2,400万人が生存のための人道支援を必要としていると、国連は認定。

シリアでは内戦が11年続き、死者は50万人近くにのぼり、何百万人もの人が住む家を失ったとされる。

世界では今、どのような紛争が起きているのか。

目次

  • エチオピア ティグレ州 複雑な民族構成による衝突 35万人が飢餓状態
  • イエメン 世界最大の人道危機
  • アフガニスタン アメリカ史上最長の戦争
  • シリア 内戦は11年にも及ぶ

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松山三四六氏、中絶偽名報道に「選挙後に対応」の不誠実ぶり。当選後は「ご理解いただいた」自民党いつものパターンか

与党の圧勝と予想されている今回の参議院選挙。しかし、自民党公認のタレント候補の“アラ”が次々と露呈している。今度は参院選長野選挙区(改選数1)から立候補したタレントの松山三四六氏に女性スキャンダルが発覚した。

20代女性を妊娠させ中絶同意書を偽名で署名

7月10日の文春オンラインは約10年前に松山氏は当時20代の女性と不倫関係になり、女性が妊娠すると人工妊娠中絶手術に偽名で署名していたと報じた。

女性と松山氏が関係をもったのは2012年頃。長野のホテルのレストランで食事をした後、二人は上層部の部屋に入ったといい、松山氏が避妊具をつけたのは行為の最後の瞬間だけだったという。

その後、女性の妊娠が発覚。松山氏は女性に中絶費用を渡した際、同意書にもサインをした。しかし、松山氏は本名を書くのをためらい、下の名前だけを偽名にした。その同意書のコピーがオンライン上に提示されている。

この記事を受けて、松山氏はTwitter上で「多大なるご心配ご迷惑をおかけしましたこと心から深くお詫び申し上げます」と謝罪したものの、事実関係への言及は避けた。

その上で、「この度の報道に関しまして、選挙後の然るべきタイミングで取材対応したいと考えております」とし、選挙期間中には対応しない旨を明かした。

こうした“逃げ腰”の姿勢にSNSでは批判が殺到。「とりあえず当選してからってことね」「その間に裏で手を打とうとしているのでは」などの声が上がっている。

スポニチによると松山氏は7日、街頭演説に集まった報道陣に対して、「何も言うことはありません。そのままですので、何も反論はございません。過去のことですので、いまは選挙のことをしっかりと頑張りたい。しっかりと反省し頑張っております」と述べたという。

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ボロ出まくりの自民党タレント候補者たち

松山氏は物真似タレント「三四郎」として人気を博し芸能界で活躍。1998年には女優の網浜直子と結婚し、2児をもうけている。2001年に長野県に拠点を移すと、地元では知らない人のいないローカルタレントとして、不動の地位を築いた。

しかし、松山氏の女性スキャンダルはこれだけではないようで、文春では松山氏と地元女子アナとの不倫疑惑も報じている。

今回、参院選に出馬した松山氏はいわゆるタレント枠になるが、この急造候補者たちのダメダメぶりがここへきて目立ち始めている。

先日お伝えした通り、同じく自民党から立候補している生稲晃子氏は各新聞社が行う政策アンケートにまったく真逆の矛盾回答をして炎上。他にも、推薦者名簿の中に故人の名前があったり、他候補者の答えを丸パクリしたようなアンケートを提出したりするなど、ツッコミどころ満載となっている。

松山氏に関しても、女性スキャンダル以外の疑惑が浮上した。

選挙公示日に応援にかけつけた師匠である歌手の松山千春氏が応援演説の中で持ち歌の「大空と大地の中で」の一部を熱唱。しかし、これが公職選挙法違反にあたるのではとの声があがっている。

プロの歌は本来有償で提供されるが、候補者を当選させる目的で有権者に無償提供していれば、公選法第221条で規定された買収及び利害誘導罪に該当するという。

元おニャン子クラブの生稲晃子、元SPEEDの今井絵理子の応援演説で歌手仲間がかけつけても、けして歌を歌わないのはこの規定に気遣っているからだ。

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もともと政治家を目指してきたわけではないため、芸能人候補者たちはさまざまな過去を抱えている。有権者たちが不信感を募らせないよう、何か起きた際には誠実な態度を取ることが必要だろう。

プーチンが無視、ゼレンスキーも呆れ。悪評の国連事務総長「停戦」も提案できぬ惨状

ロシアのウクライナ侵攻が始まって早4ヶ月以上。多くの犠牲者を出しながら「停戦」の兆しも見えないこの間、世界の平和を維持するために活動しているはずの国連はいったい何をしていたのでしょうか。今回のメルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「虫の目、鳥の目、歴史の目」』では、著者の嶌信彦さんが、世界で評判の悪い国連の現状を解説。さらにトップである事務総長のアントニオ・グテレス氏が、プーチンやゼレンスキー両大統領と会談しながら、「停戦」の提案もできない情けなさを憂いています。

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悪評の国連事務総長の停戦案

国連の評判が悪い。ロシアによるウクライナ侵攻に対し、国連は3月2日に緊急特別総会を開き「ロシアの即時撤退」に141カ国が賛成した。反対したのはロシア、ベラルーシ、シリア、北朝鮮、エリトリアの5カ国で、中国やインドなど35カ国は棄権した。決議は日米など96カ国が共同提案した。緊急特別会合はロシアが非難決議に拒否権を発動した事を受けて行われたのだが、そもそもロシアのウクライナ侵攻に対する国連の動きが遅かったという批判も強い。

過去の国際紛争では国連事務総長が早期に仲介へ乗り出すケースが多かった。しかし、アントニオ・グテレス事務総長がロシアのプーチン氏に懸念を伝えたのは、ロシアの侵攻が始まってから2カ月以上経ってからであまりにも対応が遅かったのだ。もともとグテレス氏は、今回の侵攻を巡っても米欧の強い働きかけに背中を押され動き出したもので、米欧からは口先だけの”嫌々ながらの仲介”だと批判されていた。

グテレス氏は、ポルトガルの政治家で第114代ポルトガル首相、欧州理事会議長、社会主義インターナショナル議長などを経験し2017年から第9代国連事務総長を務めている。ただ国内では社会党党首などを歴任したが2001年の選挙で大敗してポルトガルの政治家を辞任し、その後国際機関の幹部に転身していた。潘基文氏の退任後、2017年に首相経験者としては初の事務総長に就任した。

2021年、中国の新疆ウイグルへの弾圧に対し責任を果たしていないと批判され、2022年のウクライナ侵攻に際しても国連本部から侵攻を止めるよう訴えたが、10分後にロシアの侵攻が始まった。今回グテレス事務総長は仲介役を任じてプーチン大統領、ゼレンスキー・ウクライナ大統領と会談。プーチン大統領は「親露派の要請に応じた行動であり、国連憲章に則って行われたものだ」と無視した。またゼレンスキー大統領は「プーチン大統領と会う前にキーウ(キエフ)の惨状を視察すべきだった」と述べたが、ゼレンスキー大統領との会談の1時間後にロシア軍のミサイル攻撃があった。そのためゼレンスキー大統領は「これはロシア指導部が国連を辱めようとしたものだ」と語ったほどだ。

グテレス総長は、結局、プーチン大統領に停戦の提案もできず、代わりに人道支援を870万人に倍増する原則合意を取り付けただけだった。しかし、この人道支援の具体化に関する方法もまとまっていないようで、米国、ロシア、中国など大国の利害が一致しない人道支援にも国連の無力さをさらけ出した格好だ。人道問題にすら力を発揮できない国連では、その存在価値が根本から問われよう。(初出:『財界』2022年6月8日号 第567回)

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プーチンの思う壺。中東諸国でアメリカ離れが始まった当然の理由

トルコがフィンランドとスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)への加盟を一転して支持したことで、状況が変わりつつある世界秩序。これは単に北欧の2国がNATOに参加するというだけでは収まらず、そこには複雑な情勢が絡んでくることになります。そこで今回は、そもそもの発端となっているアメリカの中東外交の失敗について解説していきます。

中東を混乱させたアメリカの失政

最大の失敗は何といってもジョージ・W・ブッシュ大統領が2003年3月に始めたイラク戦争です。

ブッシュ大統領は、何としてもイラクに部隊を派遣したくて、国連決議の承認が無い状態で有志連合軍を率いてイラクを攻撃し、僅か1か月で首都のバグダッドを陥落させる訳ですが、ブッシュ大統領がこの戦争をしたかった理由は、石油の利権、軍需産業の繁栄、湾岸戦争からの因縁(父のブッシュ元大統領)などが言われています。

兎に角侵攻を正当化するために、3つの大義と言われる、サダムフセイン政権がアルカイダを支援していること、大量破壊兵器の保有、そしてイラクの民主化、を掲げました。

しかし、アルカイダ支援も大量破壊兵器の保有も虚偽であったということで、アメリカ合衆国の国際的な信頼を大きく失墜させることになりました。

そして、戦後のイラクに新政府を樹立させましたが、この新政府の運営にブッシュ政権は完全に失敗して、サダムフセインさえいなくなれば民主化が出来ると思っていたのが、そうはなりませんでした。

皆さんも宗派対立はお聞きになられたことあると思いますが、スンニ派とシーア派があって、フセイン政権はスンニ派です。

以前要職に就いていたスンニ派は政府や役所だけでなく軍隊、警察から全て追放した結果、今まで抑圧されていたシーア派がスンニ派を弾圧し、スンニ派がやり返す泥沼の内戦状態となり、結局、アメリカの有志連合軍が撤退するのは2011年、実に8年間も続きました。

そしてこの泥沼の内戦の隙をついて、アルカイダ系の過激組織が登場します。これが後のイスラム国です。つまり、イスラム国は、アメリカが、利権獲得の為に始めた戦争と、その後の戦後処理の不味さ、失敗によって生まれた、アメリカが生んだものなのです。

その時、シリアで起きたこと

一方でその頃シリアですが、2010年にアラブの春の流れを受けて民主化運動が起こります。これを独裁政権のアサド政権が弾圧。それに反発した人々が自由シリア軍と呼ばれる反政府軍となって、アサド政権との戦いをおこします。

アメリカは反政府軍を支援しますが、アサド政権はそもそもロシアと友好関係にあり、シリアの地中海沿岸にあるタルトゥース港にロシア海軍の基地がありますが、手厚い支援を受けていました。

そして、ここも宗派対立があって、アサド政権はシーア派でシーア派の盟主であるイランが支援して、イラン軍だけではなく色んなイランの息の掛かった武装組織が介入してきた結果、アメリカとロシアの代理戦争プラス宗派対立と、こちらも泥沼の内戦となりました。

そしてここで急激に勢力を拡大してきたのが、IS、イスラム国です。イラクでアメリカが引き起こした政治的混乱の中で2014年に誕生し、イラクとシリアで大勢力を作ったこの超過激組織ですが、アメリカはイラクでもシリアでもISを掃討すべく攻撃をしています。

特にシリアでは、前回最後にお話ししたクルド人民防衛隊(YPG、これはISと対峙したシリア民主軍の主軸でした)を積極的に支援しましたので、当時トルコのエルドアン大統領は激怒し、クルド人の支配地域を攻撃するなど、NATO加盟国内で直接衝突が起こりかねない事態となりました。

トランプ政権後も続く混乱

そしてトランプ政権となり、2019年に一方的にシリアから撤退してトルコはシリア北部のクルド人居住地域に即時に大規模侵攻。YPGは今まで敵対してきたアサド政権と手を組み、アサド政権は息を吹き返し、アサド政権を支援し続けてきたロシアも中東への影響力を強める、という流れになっています。

自国の利益の為にイラクで大混乱を起こし、イスラム国を生んだ結果、死者40万人、1200万人を超えると言われる難民を生み出し、今でもこの地域を混乱させているアメリカ。

こういった歴史を把握した上で、今の対ロ対応や、今後の対中国でアメリカが何を行うのか、しっかり見定めていくことが重要だと思います。

出典:メルマガ【今アメリカで起こっている話題を紹介】欧米ビジネス政治経済研究所

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プーチンまた激怒。「二次的制裁」恐れ露を見放す覚悟を決めた習近平

6月23日に開かれたBRICSのオンライン首脳会議で、その結束の強さをアピールしていた中国とロシア。しかし習近平国家主席は、プーチン大統領との直接会談を望んではいないようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、中国が事実上、対ロ経済制裁に加わっている証拠を提示。その上で、習氏がプーチン氏からの訪露要請を断るなど、ロシアに対して冷淡な態度を取る理由を解説しています。

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【冷遇】なぜ習近平はプーチンに会いたくないのか?

先日、「カザフスタンのトカエフ大統領が、プーチンを裏切った」という話をしました。

【関連】プーチンを裏切り激怒させた男。ロシアに反旗を翻した国はどうなるのか?

昨日は、「トルコのエルドアン大統領がプーチンを裏切った」という話をしました。

【関連】またも裏切られたプーチン。今度はどの国が彼の手を離したのか

今回は、中国の話です。習近平は、プーチンに会いたくないのでしょうか?読売新聞オンライン7月4日。

北京の外交筋によると、ロシアのプーチン大統領は、6月15日に中国の習近平(シージンピン)国家主席と電話会談した際、69歳の誕生日を迎えた習氏に祝意を示した上で、ロシア訪問を要請した。これに対し、習氏は新型コロナウイルス対策を理由として、近い将来の訪露は困難との認識を示したという。

そういえばプーチン、2月24日のウクライナ侵攻前に、北京を訪問していました。

両首脳は2月4日の北京五輪開幕に合わせたプーチン氏の訪中の際に対面で会談し、共同声明で「両国の協力に上限はない」と強調していた。
(同上)

「両国の協力に上限はない」というのは、本当でしょうか?

「誰が真の友かは、困難な時にわかる」といいます。プーチンにとって習近平は、「真の友」なのでしょうか?それともカザフスタンのトカエフ大統領や、トルコのエルドアン大統領のように、「偽の友」なのでしょうか?

壮大なムダ。東洋大ZOOM講演会でゼレンスキー大統領が見せた「怒り」の訳

7月4日、東洋大学白山キャンパスで行われ、全国14の大学にもリアルタイム配信されたゼレンスキー大統領のオンライン講演会。世界中が注目する指導者から直接メッセージを受け取った参加者たちは、どのような思いを抱いたのでしょうか。今回、そんな講演会の模様や舞台裏を明かしているのは、指導する学生たち28名と視聴する機会を得た、立命館大学政策科学部教授で政治学者の上久保誠人さん。上久保さんは記事中、イライラした表情を見せたゼレンスキー大統領の様子や、講演後に学生たちから挙がった大統領に対する質問や疑問を紹介するとともに、自身が抱いた率直な感想を記しています。

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)
立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

当たり障りない「ゼレンスキー講演会」に参加して感じた“壮大な無駄”

ウォルディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領のオンライン講演会が、東洋大学白山キャンパスで開催された。「ウクライナから留学している学生と日本人の学生にメッセージを伝えたい」というゼレンスキー大統領の意向を受けた「在日ウクライナ大使館」の提案に東洋大学が応えた。

講演会には、全国14大学もオンラインで参加し、立命館大学からはBKC(びわこ草津キャンパス)でウクライナ人学生が参加し、OIC(大阪いばらきキャンパス)で政策科学部「上久保ゼミ」の学生28名(日本人25人、マレーシア人、中国人、韓国人各1名)が参加した。

上久保ゼミは、過去「香港民主化運動家・周庭氏」や「香港中文大学」などとのオンラインディベートを多数経験してきた。今回は、東洋大学以外の会場からの質疑応答は許可されなかったため、視聴するだけの参加となった。

だが、ウクライナ戦争を指揮しているゼレンスキー大統領と、オンラインとはいえ空間・時間を共有した。大統領の顔を見て、生の声を聴くことだけは、得難い経験となったと多くの学生が感想を述べていた。貴重な機会を提供してくださった東洋大学の皆様の尽力に、まずは感謝を申し上げたい。

18時に、ZOOMのスクリーンにゼレンスキー大統領が現れた。大統領の講演は20分間の予定だった。だが、冒頭、主催者側の挨拶が約5分間続いた。その間、大統領はただ座っていた。挨拶は同時通訳されず、大統領にはただ日本語の「音」が聞こえていたのだろう。

私は気づかなかったのだが、講演会の後に提出させたゼミ生のコメントの多くに指摘されていたことがある。開会挨拶が3分ほど経過した時、ゼレンスキー大統領が明らかにイライラした表情をした。「まだ、始まらないのか」と怒ったのだとゼミ生たちは動揺した。

ゼレンスキー大統領が、ロシアの東部ウクライナに対する大攻勢に徹底抗戦を続けている。この日も、ロシアがルハンスク州のほぼ全域を制圧したという報道が流れていた。ウクライナ軍が、最後まで死守しようとした主要都市の1つシチャンスクからの撤退を表明した。

ロシアが、ドネツク州を含む東部ドンバス地方全域の支配を目指して、攻勢を強めている最中に、この講演会は行われているのだ。分刻みのスケジュールで戦争を指揮しているゼレンスキー大統領の貴重な「5分間」を無駄に過ごさせたことに対して、日本側は配慮がなさすぎた。

もちろん、講演会のプログラム上は、18時~18時5分が主催者挨拶となっており、問題はない。だが、それならば大統領には18時5分に登壇してもらうべきだった。

ゼミ生の中には、「この無駄な5分間に、ゼレンスキー大統領が開戦以降会えていない奥様とお子さんに電話をしてもらったらよかったのではないか」という意見を書いた者もいた。それくらい、大統領に失礼なことをしたと、多くのゼミ生が感じた時間だった。

在来線切り捨ては確実。新幹線をゴリ押しする「JR」の傍若無人な企業体質

工事着工から14年、ようやく今年9月23日に部分開業を迎える西九州新幹線。しかしながら1973年の整備計画決定から49年を経た今となっても、全線開通の見通しは立っていません。その原因はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』では著者でジャーナリストの伊東森さんが、西九州新幹線を巡るこれまでの歴史を振り返るとともに、問題の本質を考察。そこから見えてきたのは、公共事業者の顔をしたJRの「傍若無人な企業体質」でした。

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9月23日、西九州新幹線が開業 一方で、未開通の部分も 開業ルート案も3つ存在 問われるJRの“公共”性

JR九州は今年9月23日、「九州新幹線西ルート」と呼ばれた西九州新幹線を開業させる。5月から車両走行の試験が始まっているほか、沿線では開業を見込み開発も進む。

ただ、実際に開業されるルートは、武雄温泉(佐賀県武雄市)と長崎(長崎市)との部分開業にとどまる。九州を南北に貫く九州新幹線と接続する新鳥栖(佐賀県鳥栖市)-武雄温泉との間は、整備方式などをめぐり国と佐賀県との対立が続き、開業のめどは立っていない。

開業する武雄温泉と長崎との距離は、約66キロメートル(*1)。途中新設される駅は、嬉野温泉(佐賀県嬉野市)と新大村(長崎県大村市)、諫早(長崎県諫早市)の3駅。

列車の名称は「かもめ」となった。これは、博多(福岡市)と長崎との間を走る、現在の在来の特急から名付けられた。

車両は、最新型の「N700S」をベースに、白を基調に赤のライン、黒い縁取り。デザインは、豪華寝台列車「ななつ星in九州」などを手がけた工業デザイナーの水戸岡鋭治氏によるもの。

開業していない新鳥栖や博多方面へは、当面、武雄温泉と博多(一部は門司港)との間に在来線の特急「リレーかもめ」で対応する。新幹線の開通により、博多-長崎間の所要時間は、最速で約1時間20分と、従来から30分ほど短くなった。

運賃と料金については、自由席を利用した場合、長崎-博多間が計5,520円。この価格は、現在の在来線特急利用料金から460円ほど高い値段となる。

目次

  • 残る未開通区間のゆくえは? ルート案も3つ存在
  • 佐賀県の反対
  • 問題の本質 JRは、本当に公共事業者か?

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就任2か月で叩かれ出した尹錫悦。早くも文在寅と同じ“大統領病”か

前政権の汚点を払拭すべく期待されていた韓国の尹錫悦大統領。しかし、すでに暗雲が立ち込めている様子が見られます。今回のメルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、尹錫悦大統領が発足2か月で叩かれることになった原因について語っています。

強く雄々しくあれ、しかし傲慢にはなるな

尹錫悦(ユン・ソンニョル)の人事が政権の足を引っ張っている。過去に不正の明確な人間を次々と人事候補にあげ、叩かれている。彼と昔友人関係だったとか、司法修習生時代の同期だったとかいう理由でなんとか大臣に任命しようとしているのだ。

たとえば過去に飲酒運転で罰をうけたことのある女性を教育部長官に任命しようとしたり(1度の飲酒運転摘発で校長職を辞めさせられたり、年金ストップになったりする教師があまたいることを付記しておく)。

これでは文政権時代と何がちがうのかと誰しもが考える。しかし7月5日の毎朝恒例の庁舎入口での記者らへの声掛けで、「文政権時代に長官に指名された人間で素晴らしいという者がいたか?」という言葉を投げ、物議をかもしている。

確かに文の人事はくそのようなものだった。しかし新大統領が心の中だけで思うのではなく大向こうを相手に「口に出して」言う内容なのか、これが。

こんなことでは先が思いやられるが、きょう、朝鮮日報の筆者の好む「金大中コラム」に尹に期待しながらもシッタもいとわない文章が出ていた。ご紹介したい。以下がそれ。

尹錫悦政権は成功できるだろうか。発足して2か月余りの政権に向けて、このような性急な質問を投げかけるのは、今の韓国の状況がそれだけ切迫しているためだ。

世界的な経済危機の中、そして前政権の無責任で無分別な政策乱調の結果、韓国は経済3高(高物価・高金利・高為替レート)の泥沼に陥っている。貿易収支にも赤信号が灯った。

「初心者」大統領の尹錫悦は政治家出身ではない。経済を扱った経験もない。検察以外には人脈もない。一言で「準備された大統領」ではない。

この不吉な組み合わせがこの厳しい危機をどう克服できるのか。これは単に左右の理念的対峙や与野党政治ゲームの次元を越え、国民の安寧と国の存立という命題と密接に関係している。

なぜ、ピース綾部はアメリカ語学留学で成果を上げられないのか?

日本人がアメリカに英語を習うために留学をする。よく聞く話ではありますが、実はこれは失敗することが多いようです。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生がピース綾部祐二の話から、英誌エコノミストの記事を引き、英語教育の流れについて語っています。

この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ

世界が模索する英語教育の流れ

今回は世界の英語教育の流れについて書きましょう。お笑い芸人のピース綾部。2017年に英語を学びにニューヨークに行きました。

ユーチューブ動画で自らの英語留学を失敗として「いきなり米国人に英語を習っても英語は上達しない。まずは英語ができる日本人に英語を習った方がよい」と発言をしています。

わざわざNYに行って日本人に英語を習っているのであれば何のために渡米したのか?と思われるかもしれませんが、まさにこれは正しいと思います。

以前の英誌エコノミストの記事を思い出しました。

アフリカやアジアでも経済成長のおかげで、英語で授業を行う私立学校が増えているそうです。「これからの国際化の時代、英語ぐらいできなくては」と思うのは、どの国の親も一緒なのでしょう。

それについて記した2019年2月23日の記事です。

英語による教育は、もはやエリート層だけのものではない。
パキスタンで露天商を営む女性は3人の子どもを私立学校に通わせている。「英語が話せなければ、学位も仕事も得られません。私はウルドゥー語で教育を受けたことが恥ずかしい」。
インドでは私立学校が急増している。その大きな魅力のひとつは英語を指導言語としていることです。ある学校では教育をヒンディー語から英語に切り替えたところ、入学者数が半年で50%以上増加した。
インドでは、ウッタルプラデシュ州をはじめ、多くの州政府が英語による教育を拡大しつつある。ジャンムー・カシミール州ではすべての小学校が英語教育になり、アンドラ・プラデシュ州でも小学校の英語化を発表した。
パキスタンでは、2009年にパンジャブ州政府が英語教育への移行を発表し、2013年にはカイバル・パフトゥンクワ州が同様の発表を行った。
しかし英語による教育には問題がある。エリート校を除き、ほとんどの「英語教育」の学校では、教師も生徒も英語をあまり話せないため、面接は現地語で通訳を介して行わなければならない。
ラクナウの小学校では、教頭と教師4人のうち2人はそれなりに英語が話せるが、残りの2人はほとんど話せない。しかし生徒の親はほとんど読み書きができないので、そのことを意識することはないだろう。
母国語以外の言語で教育を受けることの効果について、歴史はいくつかの興味深い例を示している。
1955年の南アフリカ共和国の政策変更では子供たちが母語で受ける学校教育の年数を増やした。フランス語や英語で教育を受ける代わりに母語で2年間余分に教育を受けると、識字率と賃金の両方が向上した。
パキスタンのパンジャブ州では前政権の英語授業への移行を撤回した。教育相は「資格を持った教師が足りない」と言う。「農村部の子どもたちは英語では学べない。子供たちは自分が分かる言葉で学ぶ必要がある。」
親は子供が歴史や算数を学ぶことよりも、英語を話せるようになることを重視するかもしれない。よい仕事につくため母国語教育で得られる知識や理解の一部を犠牲にする価値があると考えるかもしれない。
しかし、そのようなトレードオフの関係はないように思われる。
カメルーンにある12校の学校の調査によると、入学3年間後のテストで、現地語で授業を受けている子供の成績は、すべての科目を英語で授業を受けている子供よりも高かった。そして 5年目語のテストでは、英語においても英語で授業を受けている子どもたちの成績を上回った 。
パキスタンで1,500の学校を運営し子どもたちをウルドゥー語で教えている慈善団体のジア・アバス氏は言う。 「親は教科としての英語と指導言語としての英語の違いを理解していません。子どもたちは結局、英語を学べず、何も学べないのです」 。

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