日本に生まれた事を感謝したくなる。「古旅館の床の間」という美

一般家庭では見られなくなってきた、床の間。目にする機会といえば、せいぜい旅先の宿くらいではないでしょうか。今回の無料メルマガ『ホテルの遊び方』では著者の西田淑子さんが、知らないままではもったいない、古い旅館が内包する建築技術の素晴らしさや、奥深い魅力に溢れた床の間の味わい方を指南しています。

古い旅館は謎解きの宝庫

こんにちは、ホテルの遊び方の西田淑子です。

古い旅館を取材してきて、分かったことは、日本の伝統的な建築技術の宝庫、ということです。ところが、その美しさだと技術の凄さに気がついていない人が多いことも分かりました。もったいないですね。

日本家屋の客間には床の間があります。元来は、床のある部屋=床の間、で、その部屋の一段上がった部分=床、ですが、現在は、床=床の間、と認識されています。旅館の各部屋は、全て客間ですから、どの部屋にもおおよそ床の間があります。

床の間は、実際、とても自由にデザインされています。泊まった部屋以外の部屋も見ることが出来たら、そのデザインの違いに驚かれるでしょう。

西洋建築は、パッと見てすぐに分かる違いをデザインするのが特徴的です。日本建築は、パッと見て、なんとなく違いがあると思ってじっくりと分かっていくのが、西洋建築と比べて異なる特徴です。一種の謎解きのように楽しめます

例えば、分かりやすいところで、床の間の柱、これは床柱(とこばしら)と言います。例えば、床柱に使う木材の種類、杉、ヒノキ、ケヤキ、シタン、コクタン、クワ…、その木材をどのように加工して使うか、より自然に近いまま使うか、どれだけ手を入れるか。木材と技術を組み合わせるだけでもかなりの数になります。

それらが、殆どの旅館では、各客室に異なるデザインを施しています。大工さんの腕の見せ所でもあったのでしょうね。

こういったことを知らなければ、単に古くて価値はないものだと、消去されていくだけです。

古い旅館は謎解きの宝庫です。丸い竹を四角く育てる技術、床の間と天井板と床板の模様を対比させる美的感覚、人生の船出という意味を船底天井として表す柔軟な発想。

面白いですね。「日本の老舗」という小冊子に4ヶ月毎に取材文を書き続けています。その各号で、古い旅館を取材しています。

● SIC【サクセスインサイド・コミュニケーション】

image by: Shutterstock.com

手を出したら終わり。現役弁護士が危険ドラッグと同一視するもの

最初から仕事で手を抜こうと考える人はあまりいないでしょうが、慣れてくるとついつい誘惑に負けてしまうこともないとはいえません。無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』の著者で現役弁護士の谷原誠さんは今回の記事中、癖になりがちな「手抜きの怖さ」について、違法ドラッグの習慣性にたとえてわかりやすく解説しています。

手抜きと戦う勇気

こんにちは。弁護士の谷原誠です。

音楽が好きな、ある若い男性は、仕事が終わると、音楽をかけて踊るクラブに通うのが日課でした。そのクラブである男性と知り合い、仲良くなりました。ある日、その男性から、違法ドラッグをやってみないかと誘われました若い男性は激しく拒絶しました。違法なことはまっぴらごめんでした。

しばらくして、若い男性は、仕事で大きなミスをして上司からひどく叱られ落ち込んでいました。クラブに行っても踊る気になれず、酒ばかり飲んでいました。すると、先日知り合いになった男性が来て、とても気分が良くなるから、違法ドラッグをやってみないか、と誘われました。

若い男性は、ひどく酔っていたこともあり、「この気分が晴れるなら一度だけだもう二度とやらない」と自分で誓った上で、違法ドラッグをやってみました。すると、とても良い気分になり、その日は踊り狂いました。

しばらくして、若い男は、交際中の彼女と喧嘩をして、嫌な気分になりました。クラブに行くと、違法ドラッグの男性がいたので、「またやりたい」と言い、違法ドラッグをやって気分が良くなりました

違法ドラッグをやると快感を感じ、かつ、警察に見つかることもなさそうなので、あまり悪いことだと思わなくなっていきました。その後、男性は、嫌なことがあると違法ドラッグに依存するようになっていき最後には逮捕されました。

さて、私たちは、仕事をしていて、100の品質を目指している時、80くらいのところで、「もう疲れた。このくらいでいいんじゃないか」と手抜きしそうになることがあります。はじめのうちは、「そんなことではダメだ」と自分を奮い立たせて100の品質まで仕上げるよう頑張ります。しかし、ある時、「今回だけだ。こんなに疲れているんだから、妥協しよう。次回からはまた100を目指そうと一度手抜きをします

すると、何が起こるか。

手抜きして楽をした快感を覚え、手抜きしても許されたという経験があると、次の時にも、「前回も80で大丈夫だったのだから、今回も大丈夫だろう。100はむしろやり過ぎなのではないかなどと正当化しはじめます。そして、その人の品質は、常時80になっていってしまうのです。そして、その人の仕事に関する評価はどんどんと落ちていきます。

仕事における品質の手抜きは、違法ドラッグのように、私たちの精神をむしばんでいくのです。

忙しく仕事をしている時に、あと一歩のところは、とても苦しいものですが、その時に怠けたい気持ちが出てきたらそれは違法ドラッグだと思って断固拒絶していきたいものです。

「百里を行く者は九十を半(なか)ばとす」(戦国策)

今日は、ここまで。

image by: Shutterstock.com

「知の巨人」渡部昇一が身をもって体験した夢を実現化させる方法

夢を叶えるには、まずその願いを強く思い描かなければなりませんが、それはどうすれば可能なのでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、英語学者で保守派の論客としても知られた故・渡部昇一氏が、人生の恩師と出会った瞬間のエピソードを交えつつ、夢を抱く強い意志・信念の大切さについて論じた遺稿を紹介しています。

夢を叶える秘訣

現代の知の巨人と呼ばれた渡部昇一先生。

渡部先生が生前最後に執筆された遺言とも呼べる原稿には、ご自身の生い立ちや若き日の歩みと共に、自ら体得された勉強術、運を掴む方法、逆境に処する態度など、人生をよりよく生きるためのヒントが満載です。

その中でもとりわけ興味深い夢を叶える秘訣」に迫ります──。


人生の恩師との出逢いも忘れられない。高校時代に英語の授業を担当していただいた佐藤順太先生である。佐藤先生は知識を愛する人という表現がぴったりな方で、私は知らず知らずのうちに知識欲を掻き立てられ、身を乗り出して佐藤先生の授業を聴いていた。

卒業の際、遊びに来いとお誘いいただき、数名の同級生とご自宅に伺ったことがある。私はそこで生まれて初めて本物の書斎を見た。天井まで書棚があり、数々の和綴じの本や『小泉八雲全集』の初版、イギリスの百科事典24巻などが収蔵されている。とても山形県の田舎の一教師の書斎とは思えなかった。佐藤先生は着物姿でゆったり書斎に腰を掛けながら、いろんな話をしてくださった。

その時、私はこういう老人になりたいと強く思った。一生の目的が定まった瞬間だったと言っても過言ではない。まさしく佐藤先生に痺れたのである。

ただ不思議なことに他の同級生は誰一人痺れなかった。それどころか、後年同窓会で集まると、「そういえばそんな先生もいたな」と言う人が大半だった。もちろん彼らはそれぞれ他の先生の影響を受けたのだろう。だが、同じ先生に学びながら、全く影響を受けない者もいれば、私のように揺るぎない影響を受けた者もいる。受け手の求める心や感性の如何によってそこから学び取れる質と量は天と地ほどの差になる、と言えるのではなかろうか。

私はあの日以来、今日に至るまでの約70年間、佐藤先生のお姿や書斎のイメージが頭から離れたことはなくいまも痺れっぱなしである。70代になって新たに家を建て、そこに10万冊ほどの本を収めた書庫をつくり、夢を叶えることができた。

ゆえに、若いうちに何になりたいかという強い意志を持つこと。その願望を思い描き、頭の中で鮮明に映像化し、信念にまで高めることが重要であると思う。脊髄の奥で沸々と願望を燃やしていると天の一角からチャンスが下りてくるものである。

image by: Shutterstock.com

出世欲アジア最下位。日本から元気を奪った「かくれ富裕層」たち

MicrosoftでWindows95の設計に携わり、現在は米シアトル等世界中で活躍する世界的エンジニアの中島聡さん。中島さんは自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で、アジア14カ国中で出世意欲が最下位になった日本の現状について、格差を固定化する原因には日本人の国民性があるのでは、と指摘されています。さらに、日本政府の「AI戦略」には効果がないと、海外事例と比較しつつ述べられています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2019年9月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじまさとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

日本は出世意欲が最低、断トツで自己研鑽していない国に

日本が、「上昇志向」「自己研鑽」「起業・独立志向」において、アジア14カ国の中でもっとも低い、という調査結果です。この記事は、「なぜそんな状況にあるのか」にまでは踏み込んでいませんが、そこに関しては、成毛眞氏の Facebook でのコメントがとても鋭い指摘をしているので紹介します。

スクリーンショット 2019-09-05 15.26.07

パーソル総合研究所「APACの就業実態・成長意識調査(2019年)」

要約すると、嫉妬しやすい国民性だから、成功した人がロールモデルとして表に出てこない、という話です。

米国では、そもそも慈善事業は、税金ではなく、個人の寄付によって成り立っているため、お金持ちが大口の寄付をするのは当たり前だし、それも記名式(誰がいくら寄付したのかが公開される)が一般的です。私自身も、地元の Seattle Symphony や Children’s Hospital に毎年のように寄付をしているし、寄付集めのイベントのために自宅を提供して音楽会を開いたこともあります。Roger Federer とテニスをすることが出来たのも、Roger Federar Foundation に寄付をしたからです。

そんな活動をしていれば、自然とその地域では誰がお金持ちか、どんな家に住んでいるかを知られることになりますが、それもごく自然の話で、社会の反応も、大半は「自分もいつかは成功して、そんな生活がしたい」というポジティブなものです。

文化の違いと言ってしまえばそれまでですが、それが結果として、日本人の上昇志向にマイナスの影響を与えているというのは大きな問題だと思います。

じゃがいも専用に特化したピーラーが、なぜここまで売れるのか?

ある用途に特化してターゲットを絞り込む戦略は、高額であっても売れる可能性が高いとされています。今回、MBAホルダーの青山烈士さんが取り上げているのは、100円ショップでも買えるものに、実に13倍ものお金を出してでも欲しいと思わせる価値を付随させ人気となっているポテトピーラー。その戦略・戦術について、青山さんが自身の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』で詳細に分析しています。

用途を特化

今号は、ある用途に特化した皮むき器を分析します。

● 食器具や調理器具、ヘルスケア用品などの製造・販売を手掛ける「ののじ株式会社」が提供している「じゃがいも専用のピーラー

戦略ショートストーリー

じゃがいもを使った料理をよくする方をターゲットに「多様なピーラーを手掛けてきたノウハウ」に支えられた「皮を薄く・早く・簡単に剥ける等の強みで差別化しています。

じゃがいもの皮むきに特化することで、既存のピーラーなどを使用したじゃがいもの皮むきに不満を抱えてるユーザーからの支持を得ています。

■分析のポイント

「ののじ」はポテトピーラーだけでなく、様々なピーラーを手掛けていて、例えば、極薄の「千切りキャベツ」を簡単に作ることができる「キャベツピーラー」や、トマトの薄皮をさらに薄く、極薄に剥ける「トマトピーラー」など、消費者の用途に合わせたピーラーを提供しています。

「消費者の用途に合わせた」というところが今回のポイントです。

多くの既存のピーラー(皮むき器)は、万能タイプと言えますので、基本的に様々な皮むきに使用できます。しかし、万能(様々な用途に使える)とはいえ、弱点はあります。じゃがいもの皮むきの場合、既存のピーラーでは、皮が厚く剥けてしまったり、皮むきに時間がかかってしまうといったことが弱点ですね。そういった弱点に不満を抱えているユーザーがじゃがいも専用ピーラーに価値を感じてくれるユーザーになるわけです。

このような既存製品の用途ごとの不満を抽出して製品開発に活かすということは、一つのセオリーといえますが、「じゃがいも専用ピーラー」という商品をとおして、「ののじ」の「毎日の暮らしにひとつでも多くの笑顔をふやす」という姿勢が表れていると感じます。

既存の万能タイプのピーラーは100円ショップでも販売されていますし、市販されているものの多くが数百円で購入できる中で、「ののじ」のポテトピーラーの価格は、1,300円であり、市販のピーラーと比較すると高額という印象もあります。100円ショップとの価格差は13倍ですからね。

なぜ、高額でも売れるのかというと、ひとつの用途に絞れば、その用途に特化した価値消費者にとっての嬉しさを伝えやすくなるからです。そして、多くの嬉しさを提供する商品であることが顧客に伝われば、顧客にとっては、1,300円の価値があると納得してもらえる可能性が高まるでしょう。これは、消費者の用途に合わせて、用途を特化することの効果の一つと言えます。

今回の事例は、ひとつの用途に特化することで、一部のユーザーから高い評価を得ることにつながり、既存の製品よりも高額で販売できる可能性があるということを示しています。

今後の「ののじ」のモノづくりに注目していきたいです。

松本人志「何をするにも理由が三つ要る」の言葉に驚嘆した理由

大学の教授が唱えた「三点ルール」の考え方に影響を受けたというメルマガ『8人ばなし』の著者の山崎勝義さんは、その先生と接点があったとは思えないダウンタウンの松本人志さんから同様の言葉が発せられたのを聞き驚いたと語ります。天才と呼ばれる人たちは、立場や境遇が違っても同じ境地達する場合があることに山崎さんは感嘆し、同じ「3」にこだわって「三大〇〇」を新たに定め悦に入る自分を恥じています。

三点ルールのこと

大学時代、卒論指導の教授がこんなことを言っていた。

「証拠や好例が三つそろえば、大筋においてその論は正しいと思っていい。三点が決まれば即ち面が決まる。面が決まれば論理は安定する」

右手の親指と人差し指と中指で作った三点の上に、左手の手の平で作った面を置くようなジェスチャーをしながらそう言う先生を今でもはっきりと憶えている。

その話をした後、先生はこう続けた。「自分のキャリアも東京の私立、大阪の公立、京都の国立と、三都三立に亘っている」。こういう人は理論と経験が面白いほど符合するものである。

自分はこの考え方に結構な影響を受けた。これにはもともと数字としての3が好きであったというのもある。素数の中で最小の奇数であるというのがその理由なのだが共感していただけるかどうかは若干自信がない。

ともかく数字の3好きが、三点ルールというある種のお墨付きを与えられた訳だから、嬉しいには違いない。爾来、やたらと何でも三つそろえる妙な習慣ができた。

話しは変わるが、以前何かのテレビ番組でダウンタウンの松本人志氏がこの教授と全く同じことを言っていた。「何をするにも理由が三つ要る。というのも三点が決まれば面が決まるからである」。それが自分の行動原理だと言うのである。ついでに言うと、ジェスチャーまで同じであった。

これには大いに驚いた。私の大学時代の恩師と松本人志氏の間に直接的な接点はまずあり得ない。さらに先生の著作のどこにもこの「三点ルール」は書かれていないから間接的にもない

天才と呼ばれるような人は偶然に同じような結果を導き出す、というようなことをよく聞くが、これほど置かれている立場や境遇が違うにもかかわらずこれほどまでに同じ境地に達するものなのか、とただただ驚愕するばかりである。

一方自分はと言うと、この三つ揃えへのこだわりがバカげた言葉遊びにまで成り下がって、共通要素のある人名や文物を出鱈目に三つ揃えては「日本三大…」「世界三大…」と名付けて人に聞かせるという迷惑千万な趣味となってしまった。

例えば、「金ヤン(かねやん)、端ヤン(ばたやん)、カラヤン(Karajan)」これは「世界三ヤン」である。以前、この『8人ばなし』でも「世界三フレミング」というのを紹介した記憶がある。

その最新作が、「香川照之、関根勤、五月みどり」で「日本三大カマキリ」である。その心はWikiで調べてもらいたい。ノーヒントで全部分かる人はなかなかの昭和-平成人である。

それにしても天才の行動原理をここまで台無しにしてしまう凡人としての業の深さを我ながら恥じ入るばかりである。

image by: Shutterstock.com

どんなに良い品も、手に取る前に詳しく解説すると売れなくなる訳

販売員として商品知識は多く兼ね備えるべき基本的スキルですが、接客中に膨大な知識をお客さんへ披露するタイミングを読み誤ると、購買意欲を減退させてしまうこともあるようです。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、お客さんが「商品についてもっと知りたい」と思う接客中のタイミングについて解説しています。

語りすぎの愚

店で接客を受けていて、商品説明をされる時、やたらと語ってくれる販売員の方に出会うことがあります。

「こちらの商品は、〇〇という素材を使っていて、非常に軽量なんですよ。だから、こういう場面で使う時なんかには、すごく重宝するんです。実際に、買っていただいたお客様からも、こういう意見をいただいているんです。だから、おすすめしているんですよね」

商品の魅力を最大限に伝えてくれようとしていることはよくわかるのですが、こういう場合、たいていは、まだ私自身が商品に大した興味も持っていなければそもそも商品に触れてもいないということも少なくありません。

そんな状況で、商品のことを延々と語られると、どうなるか。

商品への興味がどんどん薄れていってしまうのです。

これは、語りすぎることで、お客様が目の前にある商品を触ったりする必要がなくなるからという点がひとつと、さらに付け加えるなら、感動を強制されている感が出てしまうのですね。

商品について、先にあれこれ語ってしまうと、お客様は、商品を見る前から前情報を仕入れることになります。すると、もう商品そのものを触る必要性もなくなるし、その情報がよほど興味の持てる情報でない限りは、「試さなくてもいいやと思ってしまいます

よほど興味の持てる情報を伝えるためには、お客様が何を求めているかをきちんと知っておく必要があるので、結局、失敗するわけです。

そして、感動を強制される感覚については、とてもわかりやすい例があります。

よく飲食店なんかでやたらと語ってくる店主を見かけることがありませんか?「うちの天ぷらは、どこどこで取れた、こんなに新鮮な魚介を、これだけ良い油で、こうやって揚げているんですよ。だから、こんな風に美味しく出来上がるんですよね。この美味しさがわかってくれる人が多いから、ウンタラカンタラ」みたいな。そんな説明よりも早く食べさせてよ、という感じです。

で、実際に食べてみると、本当はそうでもないのに、美味しいと言わないと何だか悪いような気がしてしまいます本末転倒です。

こうなると、その店で飲食をすることがやたらとハードルの高いものになるのですが、これと同じことが、小売の店頭でも起こってしまっているということです。

「この商品はこんなにすごいんですよ!」ということをやたらと前情報で語られてしまった後に、「どうぞ試してみてください」と言われても、やはり同じ感覚を覚えます。「こんなに良い素材なんです!」と言われたら良い素材ですねとしか言いようがありません

では、語りすぎないためには、どうすればいいのか。

まずは、お客様に商品に触れてもらうことです。実は、語りすぎることが悪いのではなくて、お客様が自分で感じる前に語ってしまうことが問題なんですね。順序の話です。

先ほどの天ぷらではありませんが、まずお客様に食べてもらうことができたら、本当に良いものならお客様は感動してくれます。その上で、「どうですか?この味を出すのに、これだけのこだわりがあるんですよ」ということが伝えられれば、お客様は当然納得してくれます。

小売販売でも同じで、お客様が求めるものを提案して触れてもらうことで、お客様は、「え!これいいじゃん!」と思ってくれます。その上で、「そうなんです。これはこれこれこういうものでして…」という語りができれば、お客様は、感動に上乗せされた納得感のある情報を得ることができて、欲しくなります。

ちょっとした順序の違いが、お客様にとっては、大きな影響を与えてしまうんですね。

お客様に商品の魅力やこだわりを語る時どんなタイミングで語るべきなのか。実際にロープレなどを使って、試してみると良いかもしれません。

今日の質問です。

  • やたらと語ってくると思う人の接客にはどんな特徴がありますか?
  • 同じように語っているはずなのに、そう感じない接客との違いはどこにありますか?

image by: Shutterstock.com

【書評】人口減少で年金破綻、という理論が現実にならない理由

 世界における日本の立ち位置についてはさまざまな考察がなされていますが、「国際会議などで撮影された写真を見ればよくわかる」とするのは、元大蔵省職員で経済学者の高橋洋一氏。昨年のG20の写真から読み解ける日本の国際的な立場とは?今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では編集長の柴田忠男さんが、そんな内容や高橋氏が専門とする「数字」で読み解く我が国の未来が記された一冊をレビューしています。

偏屈BOOK案内:高橋洋一『この数字がわかるだけで日本の未来が読める』 

71aEvW3qFZLこの数字がわかるだけで日本の未来が読める
高橋洋一 著/KADOKAWA

世界における日本の立ち位置を知るのに好都合な材料が、国際会議などで撮影された集合写真である、と著者が解説する。2018年11月30日~12月1日にアルゼンチンのブエノスアイレスでG20が開かれた。この時の集合写真に見る首脳たちの立ち位置は、いまの国際社会における各国の影響力をよく表しているというのだ。前列の真ん中が、主催国のマウリシオ・マクリ大統領である。

向かって左側に日本の安倍首相、トランプ米大統領、マクロン仏大統領らが並ぶ。向かって右側には習近平中国国家主席やウラジミール・プーチン露大統領らが並ぶ。主催国の大統領が中心に立つのは当然だが、その隣が安倍首相だったことは、国際社会における日本の存在感の大きさと無関係ではない

国際会議の立ち位置については、各首脳が競い合うのではなく、シンプルなルールがあるそうだ。

  1. 議長国の首脳が中央
  2. 首相よりも大統領が内側
  3. 在任期間の長い首脳が内側

もちろん立ち位置は議長国がその都度決めてもかまわないが、多くの場合は慣例となっているルールによって決まる。

ブエノスアイレスG20での安倍首相の立ち位置は、開催国首脳の隣には次期開催国の首脳が来るという慣例にも則っているが、それを割り引いたとしても、集合写真での安倍首相は目立っていた。この写真にはメルケル独首相が写っていない。専用機のトラブルで開催に間に合わなかったからだが、それにより安倍首相は写っている中で最も在任期間の長い、先進国の首脳となった。

集合写真右側も興味深い。議長国の隣に習主席、リー・シェンロン・シンガポール首相、プーチン大統領の順で、通常はシェンロン首相がこの位置にいることはありえない。シェンロン首相は英語、中国語、ロシア語も堪能だ。つまり、通訳の役目も兼ねて中露の間に呼ばれた、と著者は推測する。なるほどねー。

このG20には「ジャーナリストのジャマル・カショギ氏を暗殺を指示した人物」と国際社会から見られている、サウジアラビアのサルマン皇太子が参加した。その根拠となる情報は、敵対するトルコが提供した。集合写真ではトルコ大統領は前列左端、サルマン皇太子は後列右端に位置している。無難に会議を進められるように、事前に立ち位置が決められたのだろうと著者は考えた。

著者は数字とともに生きてきた人。だから本のタイトルも「この数字がわかるだけで日本の未来が読める」と言い切る人。「統計データを見極め、正しい数字を読み解ければ、『現在』の立ち位置を見誤ることはないし、じつは『未来』もかなり正確に予測できる。消費増税から少子高齢化、さらには安全保障まで日本の正しい未来を知りたければ、まず正しい数字を論拠にすることである」

国のバランスシートを1995年に初めて作成したのは大蔵省の役人だった著者である。いま財務省のHPにアクセスすれば、バランスシートは誰でも見ることができる正確な数字が並んでいる。国の「資産」はオープンな数字であるにもかかわらず、財務省は「負債」の数字だけを使いトリックの危機感を煽っている。天下り先を確保するための増税理論武装に他ならない。あ~あ。

首相官邸サイト G20ブエノスアイレス・サミット出席等 -1日目-

小規模企業共済は本当に得なのか。「損益分岐点」を計算してみた

従業員の数が20人以下の会社役員や個人事業主の場合、月に7万円まで積み立て可能な退職金制度、「小規模企業共済」に加入することができます。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、この制度について詳しく解説するとともに、メリットやデメリットを紹介しています。

小規模企業共済の謎

今日は、先代から代替わりする新社長と労務関係の引き継ぎで、U社さんへ伺う深田グループリーダーに同行させてもらった。

ひととおり引き継ぎが終わって…お茶を頂戴していたら、ボクの答えられない質問が…。お客様からの質問は、生きた勉強になりますっ!


U社専務 「役員には、月に7万円まで積み立てることができる退職金制度ってあるでしょ。あれって、得なんですかね?」

深田GL 「小規模企業共済のことですね。所得税の節税って面では、効果的ですよ」

U社専務 「考えてみようかなぁ…。僕の場合は、条件に該当するよね?」

深田GL 「小規模企業共済制度には、常時使用する従業員の数が商業やサービス業の場合は、5人以下ですが、原則20人以下の会社役員さんや個人事業主さんの場合、加入いただけます。規模条件には該当していますよ」

U社専務 「どのくらい効果があるの?」

深田GL 「積立金額の月額上限は、7万円。年収が1,000万円だと年間36万7,000円の所得税の節税ができます。サラリーマンだと、ちょっとした賞与1回分ですね」

U社専務 「僕の場合、月70万円の役員報酬だから年収に直すと840万円ですが、どんなものですか?」

深田GL 「簡易表で見ると、800万円が近いですね。年収800万で約28万円の節税になります」

U社専務 「そっかー、節税効果はありそうだね。で、いつやめることになるのかな?定年?」

深田GL 「定年、満期や満額という概念はないんです。また、共済契約者の立場や請求事由によって受け取ることができる共済金の種類が違ってきます

共済金Aは、個人事業を廃業した場合や法人が解散した場合、共済契約者の方が亡くなった場合(個人)。

共済金Bは、病気や怪我、または65歳以上で役員を退任した場合、老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)共済契約者の方が亡くなった場合(法人役員)。

準共済金は、個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなった場合、法人の解散、病気、怪我以外の理由で、または65歳未満で役員を退任した場合。

あとは、任意解約や滞納による解約などの4種類ですね」

U社専務 「なんかたくさん種類があるんですね」

深田GL 「はい、このやめる理由によって受取額がかなり変わってくるんですよ」

U社専務 「そうなんですかー」

深田GL 「月額1万円を20年間積立した場合、共済金Aなら2,786,400円、共済金Bなら2,658,800円、準共済金なら2,419,500円が受取額です。つまり、掛金合計額240万円に対して、最大278万6,400円+36万6,400円が増額され受け取れるということです。節税対策と高い運用益を受け取れる一石二鳥の制度ともいえます」

U社専務 「制度としては、良さそうだね。でも、せっかく入るなら、もっと効果を高く考えたいし…。掛金を7倍の月額7万円にしたなら、えーっと…」

深田GL 「掛金合計額1,680万円に対して、共済金Aなら19,604,800円、共済金Bなら18,611,600円、準共済金なら16,936,500円、最大19,604,800円+280万4,800円が受け取れるということですね」

U社専務 「共済金Aなら、19,604,800円。積立額は、16,800,000円。差額が280万4,800円。損にはならないね」

深田GL 「そうですね。共済金Aで止めることは少ないかもしれませんが、毎年の節税も大きいですしね…」

U社専務 「毎年28万円を20倍したら、560万円の節税かー。それなりに効果はありそうですね」

深田GL 「年末調整や確定申告のタイミングで、小規模企業共済の掛金の全額最大で年間84万円を所得控除できるということです」

U社専務 「正式に考えてみようかな…」

深田GL 「ただ、小規模企業共済は20年未満の任意解約解約手当金という扱いになると元本割れすることもありますから、止める理由には、気をつけてくださいね」

U社専務 「共済金A・B、準共済金以外のやめ方をしないようにするということですね。気をつけるようにします」

キーワード「NCW」で解く。アメリカが「宇宙軍」を発足した理由

8月29日に米軍に11番目の統合軍が発足。その任務は宇宙分野での活動に特化された「宇宙軍」だと報じられています。アメリカは何と戦い、何を守ろうとしているのでしょうか?メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さんが米軍の狙いをわかりやすく解説。連動する形で変わっていくであろう自衛隊の動きからも目を離せないと結びます。

なぜ「宇宙軍」なのか

米国で11番目の統合軍が発足し、日本の防衛政策にも大きな影響を及ぼすことになりそうです。

「米軍は29日、地域や機能別に設ける11番目の統合軍として、宇宙分野の任務を統括する組織となる『宇宙軍』を新たに発足させた。主に人工衛星の運用や宇宙での監視などにあたる。宇宙での軍事活動を強化している中国やロシアに対抗する狙いがある」(8月30日付日本経済新聞)

防衛省も同じ方向に動きを見せ始めています。

「防衛省は30日、総額5兆3223億円の令和2年度予算の概算要求を決めた。今年度当初予算比1・2%増で、過去最大規模となった。海上自衛隊の護衛艦『いずも』を戦闘機搭載可能な事実上の空母に改修する費用を計上。昨年策定した『防衛計画の大綱』で安全保障上重要な新領域に位置づけた『宇宙』における能力強化に向け、宇宙作戦隊新設費用も盛り込んだ。

航空自衛隊には宇宙作戦隊を新設し、自衛隊の活動に不可欠な日本の人工衛星を外国の妨害から守る。日本の人工衛星への電磁波妨害を地上から監視する装置の開発などに40億円、宇宙空間に設置する光学望遠鏡の開発に33億円を計上した。2年度は20人態勢で、必要に応じて増強する」(8月31日付産経新聞)

なぜ、宇宙軍なのでしょうか。宇宙で中国やロシアと戦争でも始めるつもりなのでしょうか。その疑問を解くキーワードは「NCW(ネットワーク中心の戦い)」です。

NCWは、高次の情報ネットワークによって情報を伝達・共有することで、意思決定を迅速化するとともに戦力運用を効率的に行うことを目的としており、作戦展開速度の向上、殺傷力の増大、残存性の増大が獲得できるとされています。

高度3万6000キロに位置する早期警戒衛星から始まり、F-35戦闘機、イージス艦、戦闘ヘリコプター、ハイテク化歩兵などのあらゆるプラットホームをネットワークでつなぎ、それを戦力化しようというものです。

そういうNCWです。ネットワークを守るためのサイバー面の能力も不断に向上しています。それぞれのプラットホームの防御力も進化しています。その中で、宇宙が最も注目されるのには理由があります。

地球を回る軌道上にある様々な軍事衛星は、早期警戒と偵察のほか通信とデータ中継などを担っており、米軍にとって目であり、耳であり、五感の全てといってよいほどの重要な位置づけにあります。米軍の優位性は宇宙と地上、海上、空中の戦力を結ぶNCWにかかっているといっても過言ではありません。

このNCWで米国に肩を並べられる国はありません。中国とロシアは、NCWで圧倒的に水を空けられているからこそ、自分たちの能力でもなんとかなりそうな衛星攻撃兵器などを開発し、米国に対抗しようとしてきたのです。

発足した米国の宇宙軍は、そうした中国やロシアの動きを封殺するための存在ですが、はたしてどのような動きを見せるのでしょうか。それに連動する形で自衛隊がどのように変わっていくのか、特にここ数年は目を離すことができません。(小川和久)

image by: Shutterstock.com