企業が「動画の内製化」を進める今、映像制作会社に生き残り策はあるか?

販売や広報、人材採用にCSRの取り組みなど、企業のあらゆる活動に動画が活用されるようになり、社内で制作したいという需要が高まっているようです。映像制作会社にはコンサルの依頼が舞い込むものの、将来的には不安もあって、『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の著者で人気コンサルの永江一石さんに相談が届きました。永江さんは、動画制作のノウハウを伝えるならば、コンサルよりも稼げる方法があるとアドバイスしています。

地方の映像制作会社の生き残り戦略

Question

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永江さん、こんにちは。早速ですが質問です。私は映像制作事業を地方でやっている者です。近頃動画ニーズが高まっている影響で、企業内で「動画制作を内製化したいのでコンサルをして欲しい」という声を聞くようになってきました。動画需要は高まっているものの、プロに頼むより自分たちで作りたいと考える人が増えてきたように思います。

そこで、動画制作の現場から少しずつコンサルやセミナーのような形に業務をシフトしていければと考えておりますが、どのように進めていけば良いと思われますか?ちなみに現在は大学講師や企業内での動画コンサルも何本かやりつつ、動画制作も並行してやっている状態です。

永江さんからの回答

コンサルはお金をいくらもらえるか次第ですが手間がかかって割に合わないかもしれないので、オンラインサロンや講座形式にするのが良いんじゃないかと思います。

まず最初に、いま動画を内製化できるようになりたいというニーズは高いでしょう。だって動画を使ったプロモーションで短編動画を作るたびに外注していたらかなりのコストがかかってしまうから。

動画製作のコンサルは、価格設定とどこまでやるかにもよりますが、もし一つ一つの動画シナリオに手を入れたり、撮影方法を手取り足取りで個別指導までしていたらかなり手間がかかってしまい、割に合わない可能性もあります。

なので、わたしなら動画製作のノウハウを修得できる講座やセミナー・オンラインサロンの方が筋があるように思います。動画製作の教材や実践練習するプログラムを用意して、参加者が一定期間受講していればある程度の動画が作れるようになる講座であれば、企業も自社の社員に受講させたいと思うのではないでしょうか。

ご質問者さんは大学で講師を務めていらっしゃるとのことですので、教材や実習プログラムを作って授業を進めるのもやりやすいはずだと思います。

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ホンマでっか池田教授が「感染症は人間と友達になりたい」と語るワケ

デルタ株が猛威を振るい、いまだ収束が見えてこない新型コロナウイルス。人類は感染症と戦いながら生きてきましたが、大昔の100人くらいの小集団で暮らしていた頃の人類には、人間にだけ感染するウイルス由来の感染症はなかったようです。その理由についてウイルスの起源から紐解くのは、メルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』著者でCX系「ホンマでっか!?TV」でもおなじみの池田教授。農耕を開始し集団の人口が増え定住するようになり、ウイルスにとって人類は「友達になりたい」存在になったと伝えています。

感染症は人間と友達になりたがっている?

新型コロナウイルスによるパンデミックで世界は大変な目に遭っているが、そもそも感染症と人間の関わりはいつから始まったのだろうか。感染症の病原体はウイルス、細菌、原虫(単細胞の真核生物)、多細胞の寄生虫などであるが、最近のパンデミックはウイルスにより引き起こされるものが多いので、ウイルスとは何者かについてまず話したい。

ウイルスは、自らの力だけで、外界から栄養を取り入れて、代謝をし、複製をして子孫を作ることができないので、一般的な観点からすると生物とは言えない。専ら生物の細胞に入ってきて、細胞の代謝機能と複製機能を利用して、自身を複製する、タンパク質と核酸(DNAまたはRNA)からなる高分子である。通常、他の生物の細胞に入らないと壊れてしまうが、タバコモザイクウイルスのように結晶になってしまうものもある。

かつては、ウイルスは生物になる寸前の原始的なプレ生物と考えられていた時もあったが、現在では生物の細胞の中の核酸の一部が、細胞から独立したものだと考えられている。大腸菌に感染するウイルスであるTemperate phage のDNAが大腸菌のゲノムに組み込まれたり、高等動物でも、レトロウイルス(逆転写酵素を持つRNAウイルス、HIV=ヒト免疫不全ウイルスなど)が逆転写酵素を使ってDNAに変身して、宿主のゲノムに潜り込んだりする現象(レトロウイルス由来のDNAはプロウイルスと呼ばれる)は、これらのウイルスが、本来、生物の細胞のゲノムの一部であったことを示唆している。

大澤省三は、ウイルスの遺伝子は細胞のゲノムにとって不要であったり有害であったりしたDNAではないかと述べている(「ウイルスの起源を問う」、私達の教育改革通信、2021年6月号)。親に捨てられたウイルスが、親が恋しくて里帰りをしているか、実家に殴り込んで暴れているといった状況を思い描いてくれても良い。もう一つの傍証はウイルスと細胞は相性があって、多くのウイルスは特定の生物細胞にしか入り込めないのだ。植物に感染するウイルスは人には感染しない。特定の生物種(群)に感染するウイルスは、その生物種(群)の遠い祖先のDNA由来かも知れない。

米アフガン撤退で思い出す、ベトナム戦争「アーミテージ氏の勇断」

アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンとの合意により軍の完全撤退を進めるアメリカは、1万8千人ものアフガニスタン国内の米軍への協力者を受け入れる準備を始めたそうです。この報道に、ベトナム戦争時のアーミテージ氏の行動を想起すると語るのは、メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さん。現地協力者を大切にするアメリカの姿勢は、アーミテージ氏が南ベトナムの協力者たちを見捨てなかったことに始まり、アメリカに対する世界の信頼を高めてきたと紹介しています。

アフガン撤退とベトナムのアーミテージ

8月末までにアフガニスタンから米軍を撤退させるに当たり、米政府は最後の仕上げとも言うべき「大仕事」に取り組んでいます。通訳など、米軍の仕事をしていたアフガニスタン人を米国に迎え入れようというのです。

米に協力した通訳「救援を」 タリバーン拡大、危機感

 

「アフガニスタンからの駐留米軍の撤退をめぐり、米政府は14日、通訳などとして米軍に協力したアフガン人と家族らの国外退避を「7月最終週から始める」と発表した。米軍撤退を尻目に反政府勢力タリバーンが支配地域を広げるなか、協力者たちは「誰ひとり置き去りにせず、救援を急いでほしい」と訴えている。

 

ホワイトハウスのサキ報道官は、同日の会見で「彼らは勇気のある人々だ。この数年間で果たしてくれた役割をしっかり認識し、評価したい」と述べた。

 

米メディアによると、米軍や北大西洋条約機構(NATO)軍で通訳などとして働いた協力者のうち、米国の特別移民ビザの発給を望む人は、1万8千人に上る。米政府が1カ月に発給できるビザは600人程度で、8月末の撤退期限までに発給を終えるのは難しい。そこで発給を待つ間に、協力者たちを飛行機に乗せ、国外退避させることになった。

 

米軍はすでに撤退作業の95%を終えたが、現地ではタリバーンが支配地域を拡大している。米議会では議員から「米軍を助けてくれた人々が殺される」と懸念する声が上がっていた。(中略)

 

首都カブールで2014年から約7年間、米警備会社の通訳として働いたアフガン人男性(34)は、朝日新聞助手の取材に「申請中の米国ビザが出ると信じている。おびえて暮らすのは、もうたくさんだ」と語った。米軍の撤退作業が本格化した約2カ月前、同僚の米国人たちが突然、オフィスからいなくなった。オフィスは閉まり、職を失った。「ともに働いた仲間に、何も告げずに帰国するなんて」と声を落とす。(後略)」(出典:2021年7月16日付朝日新聞

記事の「同僚の米国人たちが突然、オフィスからいなくなった」というくだりを読んで、1975年4月末のベトナムの光景が頭に浮かびました。このとき米軍は、迫り来る北ベトナム軍とベトコンを前に、何万人ものベトナム人協力者を見捨てようとしたのです。そこに登場したのが日本人にはお馴染みのリチャード・アーミテージ氏です。弱冠30歳でした。

「げぇっ菅総理!絡みたくねぇ…」五輪アスリートの偽らざる本音とは?感染拡大はノーコメント、金メダルには便乗で選手たちに風評被害

東京都では新たに3117人の新型コロナウイルス感染が確認され、国内の新たな感染者も9576人の過去最多を記録するなど、感染拡大が止まらない。そんな中、菅首相は28日、西村康稔経済再生担当相、田村憲久厚生労働相ら関係閣僚と協議したが、「本日はお答えする内容がない」として取材対応に応じなかった。東京新聞が報じた。

感染者急拡大にもかかわらず菅首相「話す内容がない」

東京都で新規感染者が3000人を超えるのは初めてで、これで2日連続で過去最多を更新。全国でも9000人を超えたのは初で、これまでの最多だった1月8日の7958人を1600人超も上回った。

日本中で感染が急拡大していることは明白だが、菅首相は「何も話すことがない」という。国民の生命と暮らしを守るべきはずの首相が、過去最大の感染者数を記録したというのにだんまりを決め込むという異常事態。

菅首相は話す内容がないのではなく、そもそも「答える気がない」のではないか。それとも、官僚が原稿を用意してくれなかったのだろうか。

コロナ対応には何も発しない一方、菅首相は自身のツイッターでは連日、メダルを獲得した日本人選手たちにメッセージを送り祝福している。

取材拒否した28日にも女子ソフトボールチームにはじまり、競泳女子の大橋悠依、柔道女子の新井千鶴に「おめでとうございます!」と動画を添えてツイート。菅首相のツイッターは今、ほぼ大半が五輪関係で占められている。

日本に最初の金メダルをもたらした柔道男子60キロ級の高藤直寿に“直電”をするなど、コロナそっちのけで五輪推しのパフォーマンスを見せる菅首相。今後もその対応ぶりは変わらなそうだ。

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菅首相の祝福に実はアスリートたちも大迷惑!?

国民からは反感を買っている菅首相だが、実際に五輪で戦っているアスリートたちはどう思っているのだろうか。五輪関連を取材するスポーツ紙の記者は次のように語る。

「いまだに五輪中止の声があるということは選手たちももちろん知っています。そんな難しい状況の中だけに、取材対応にも慎重になっている選手がほとんどで、菅首相や政府とはあまり関わりたくないというのが本音です。とばっちりを受けてしまう可能性が大きいですから、本当は少しうんざりしているという話を耳にしました」

本来であれば、一国の総理大臣から祝福されることはとても名誉なことであるはずだが、今の菅首相にはネガティブなイメージしかない。人気回復のために「自分が利用される」と危険を察知する選手もいるだろう。

「メダリストともなればCN出演が決まったり、テレビ番組に引っ張りだこになったりと、人生がガラリと変わります。五輪というステージは自らの力と努力を発揮するだけの場だけではなく、自分を売り込む場所でもあるのです。それが菅首相と“共演”することでイメージダウンに繋がってしまうのではと心配する選手もいますね」(スポーツ紙記者)

メダルを獲得してその名を広く知らしめたいが、菅首相とは絡みたくない、それがリアルな選手たちの声なのかもしれない。

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ノー天気なツイート連発 菅首相はハメられているのか?

菅首相のツイッターを見ていると違和感を抱くこともある。選手たちへのメダル祝福コメントはまるでテンプレートのようにほぼ同じような文面で、まったく感情が入っておらず、誰かが機械的にツイートしているのではないかという疑問だ。

ツイッターを駆使して情報を発信し続けたトランプ前米大統領ならともかく、とても菅首相が朝の6時台からツイッターで投稿しているとは考えにくい。

永田町や霞が関の動向に詳しい記者は「妙な動きがあるかもしれません」と語る。

「菅首相の空気の読めなさは今に始まったことではありませんが、いくら何でも過去最大を記録したコロナ感染者数の取材を拒否したその日に、“おめでとうございます!”とはツイートしないでしょう。本人が発信していないのは明らかですが、総理周辺の誰かが炎上を狙ってわざとツイートしたのではとの見方すら出ています」

菅首相のあまりにも無能な対応ぶりに周囲も愛想を尽かしてしまったということなのだろうか。

毎日新聞によると、菅首相は29日午前、首相官邸に入る際、記者団からコロナの感染拡大について問われ、「今日、確認してから説明する」と答えたという。

【関連】矛盾だらけ菅総理にサイコパス説。「遊ぶな、五輪みろ、改憲するぞ」虚言のしわ寄せ食う若者世代の敵に

どうやら前日の取材拒否が炎上してしまったことを受け、説明することにしたようだが、そもそも批判されるということを想定できないことに、菅首相の問題があるといえるかもしれない。

ゼットスケーラー日本・アジア代表の金田博之氏が伝授。ビジネス戦略は「たった1枚の図」で説明できる

MBA(経営学修士)の経営フレームワークを身につける機会がないビジネスマンに、低コストで実践的に学習する環境を「動画」と「テキスト」で提供するメルマガ『金田博之のMBA実践メルマガ~ゼットスケーラー日本・アジア代表が動画と教材で教える経営フレームワークのすべて』。このメルマガ著者で昨年12月にクラウドセキュリティ業界を牽引する「ゼットスケーラー株式会社」の日本・アジア事業責任者として代表取締役に就任した金田博之さんは今回、たった一枚で企業やチームの「戦略」を説明できる独自の図を示しながら、3つの着眼点による「経営戦略」の立て方をわかりやすく丁寧に伝授しています。

【緊急告知・LIVE配信のお知らせ】
ゼットスケーラー日本・アジア事業責任者、金田博之さんがオンラインで無料勉強会を開催します。 これまで有料で開催してきた勉強会を無料公開。この機会にぜひご参加ください。

テーマ:【たった1枚の図で説明】ディズニーから学ぶ「経営戦略」とは?

日時:2021/8/28(土)10:00~10:45

視聴方法はこちらから。

 

たった1枚の図で説明。3つの着眼点で考える「経営戦略」とは?

課題背景:戦略ってよくわからない

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あなたは、仕事をする上で「戦略」を意識しているでしょうか?

私の経験上、管理職でも「なんとなくわかっている」という程度の人は多いと感じています。

一見すると、経営陣など、上位層だけが意識すればいいようなニュアンスの言葉ですが、実は現場レベルであってもこの「戦略」を意識しているかどうかでパフォーマンスが大きく変わると言っても過言ではありません。

なぜなら、会社という単位の中でも部や課、さらにはプロジェクトごとのチームといった小規模の組織ですら、何かしらの戦略に沿って動いており、それに反した行動をしてしまうとパフォーマンスが下がり、逆に戦略に沿った働きをすることで目標へ最短ルートで進むことができるからです。

つまり、あなたが仕事をする上で戦略を意識しているかしていないかでこれから先の仕事のありかたが大きく変わっていくでしょう。

このように、「戦略」という言葉を含んだ質問に対して、あなたは適切な回答をすることができるでしょうか?

多くの人はできません。

戦略はビジネスにおいて非常に重要な要素のひとつですが、それを正しく理解している人は多くないのです。

というわけで、今回はその「経営戦略」の重要性について解説していきます。

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戦略とは? 

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仕事は何かしらの戦略に沿って動いているということは冒頭でお伝えしました。 

つまりあなたが今任されている仕事も、会社ないしはチームの戦略に沿った意思決定の上で生まれたものです。

では、それがどんな戦略なのか、あなたは答えられますか?

明確に答えられなければ、一流のビジネスマンとは言えません。

まずは「そもそも戦略とはなんなのか」を考えてみましょう。

わかりやすくした図を下に用意しました。

戦略を1枚で表すと?

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「現在の姿」「目指す姿」という2つの円がありますね。 

その間に「壁」があって、それを突き抜けるように左から右へ矢印が伸びています。

「目指す姿」がビジネスの目的であり、「壁」というのがそのための課題。

そしてその矢印が、「現在の姿」から「目指す姿」へどうすれば行きつくのか、その手段を意味していて、それがまさに「戦略」です。

よくビジネスでは、どうやって問題解決をするのか?ということが語られますが、それはあくまでミクロな視点でのものであり、「戦略」ではなく「戦術」です。

同じ目標であっても戦略は企業によって異なります。

例えばカフェのチェーン店であるスタバとドトールを比較してみましょう。

両者とも目標は「自社の店舗を増やすこと。コーヒー店の売上を上げること」ですが、スタバはほとんどが直営店で店舗展開しているのに対してドトールはフランチャイズで店舗展開しています。

また、ドトールは客の回転率を重視しており席は狭くたくさんの人が座れるように設計されていますが、スタバは客の長居を想定して高めの値段設定で落ち着いた空間づくりを意識した店舗のデザインになっています。

これが戦略の違いです。

この戦略の違いは働き方の違いにも影響します。

コーヒー店の例でいくと、ドトールは回転率重視のため安い値段で多くの人に来てもらうため原価を抑えた商売をすることになります。逆にスタバは落ち着いた空間を長く楽しんでもらうコンセプトなので、高い値段設定だけでなく、カップにサインをするなど従業員のサービスも重要視しています。

この例からも、同じ目標であっても戦略が変わると中身が大きく変わるということがおわかりいただけたでしょう。

オフィスワークでも、戦略を持っている人はその戦略に基づき、手段・道筋をしっかり考えた上で適切な意思決定ができます。

逆に持ってない人は、目標に対して「こうなりたい」と願望を思い描くだけで、目先のことを場当たり的にこなすだけになってしまいます。

ではどうすれば「戦略をしっかり考えている」状態と言えるのでしょうか?

それは、以下の4つの質問にしっかりと答えられるかどうかで計ることができます。

  • 競争相手はどこか?(ライバル、競合)
  • どんな独自価値を提供するか?(差別化ポイント)
  • どんなリソース能力を活かせるか?(ヒト・モノ・カネなど、何をどこまで使えるか)
  • どうやって独自価値を維持するか?(継続性)

これらを網羅していれば、しっかりとした戦略だと言えるでしょう。

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ここまで、戦略とはどういうものか説明いたしました。その上で、この質問の答えを考えてみてください。

しっかり答えることができれば、きっとあなたは会社(ないしはチーム)の戦略について理解できていると言えるでしょう。

では、なぜ戦略が重要なのか。次はそれについて説明したいと思います。

 

五輪なら何をやってもOKなのか。根拠なきIOC「30秒ルール」のトンデモ

何から何まで異例ずくめと言っても過言ではない東京オリンピックですが、運営側のドタバタぶりも過去に例を見ない状況となっているようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、「コロナ対策」に関するルールをコロコロと変えるJOCや政府に組織委員会、そしてIOCを強く批判。殊に、そのあまりの科学的根拠に依らない姿勢を問題視しています。

 

IOCの根拠なき30秒ルール

いよいよ東京五輪が始まってしまいましたが、1964年の東京五輪の時、NHKが開始直前に実施した全国世論調査によると、「東京五輪に関心を持っている」が84%、「東京五輪は(戦後の)復興に役立つ」が92%だったそうです。そこで今回、大阪大学の三浦麻子教授らの研究チームが、当時と同じ設問で7月中旬に全国世論調査を実施したところ、「東京五輪に関心を持っている」は33ポイント減の51%、「東京五輪は(震災からの)復興に役立つ」は3分の1の31%にまで激減してしまいました。

また、朝日新聞社が7月中旬に「今年の夏休みの過ごし方」を調査した中の「東京五輪は楽しめそうか」との設問では、「はい」が9%、「わからない」が25%、「いいえ」が65%でした。しかし、23日の開会式の平均視聴率は、関東地区が56・4%、関西地区が49.6%と、いずれも高い数字を記録し、良い意味でも悪い意味でも今回の東京五輪の注目度の高さが証明されました。菅義偉首相は「始まってしまえば皆がテレビに夢中になり政権への追い風になる」などと言っていましたので、この視聴率にホッとしているのではないでしょうか。

しかし、日本のテレビ局の視聴率がそれなりに高かった一方で、アメリカのテレビ局の希望する時間に合わせて開会式を行なったのにも関わらず、アメリカでは33年ぶりの低視聴率だったそうです。それなら、日本人が観やすいように、もっと早い時間に開催したほうが良かったですよね。何故なら、立憲民主党の参議院議員であたしが応援している塩村あやかさんが、『女性自身』の「五輪開会式 深夜の子ども出演が波紋…橋本聖子が4日前に任命」という記事をリンクした上で、次のツイートをしたからです。

一昔前、テレビ番組で仕事をしていましたが、子どもの出演と時間は厳格でした。P(プロデューサー)もピリピリしてました。開会式を見て、ボランティアだから適用しないということだろうけど、深夜にとビックリ。記事によると条例には引っかかるようで…。五輪は何もかも特別で切り抜けてゆく

このツイートの最後に書かれている通り、今回の東京五輪は、何もかもに理不尽な「特別」がまかり通っています。東スポや日刊ゲンダイなどは、この塩村あやかさんのツイートを大きく取り上げ、五輪という大義名分によって法律まで捻じ曲げているJOCや政府のやり方を厳しく批判しました。

 

裁量労働制“法案削除”から3年。対象拡大を画策する勢力から漂う嫌なニオイ

2018年、厚労省のデータ不備が明るみになり、働き方改革関連法案から全面削除された裁量労働制の対象拡大ですが、今月26日、同省が再びその議論を開始したことがメディアで伝えられています。推進派は「裁量労働制の拡大が労働生産性を高める鍵」と声高に主張しますが、果たしてそれは真実なのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、実態調査で明らかになった裁量労働制のネガティブデータを紹介。その上で、企業サイドに存在する現在の生産性の低さの根本原因を明らかにしています。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

 

裁量労働制の対象業務を「拡大したい勢力」から漂う“嫌な”匂い

厚労省は26日、裁量労働制を巡る有識者検討会の初会合を開き、対象業務の拡大や運用改善の議論をはじめました。

裁量労働制は「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」とは異なり、労働基準法がすべて適応されるため、労働時間はあらかじめ決められたみなし残業を含み、深夜手当などの割増賃金が発生します。

裁量労働制をめぐっては3年前に成立した働き方改革関連法で当初、対象業務の拡大が盛り込まれましたが、厚生労働省の調査に多くの不備が見つかり法案から削除。そこで「どうにかして拡大したい勢力」が再び動き始めたわけです。

先月、厚労省は「裁量労働制の実態に関する調査の結果」を公表したのでその結果を“エビデンス”に、「だってほら、こんなにみんな拡大してほしい、運用を簡単にして欲しいっていってるじゃん!」という思惑だと、個人的にはとらえています。

もし、件の検討会で実態調査で浮かび上がった「ネガティブデータ」についても、しっかりと議論し実効性のある政策・制度に改善するというなら、検討を進めることは大賛成です。

しかし、非正規雇用を拡大させていったときに、「だって自分から積極的に非正規になった人は多い」と、非正規雇用の問題点を置き去りし、挙げ句の果てに、非正規という言葉が持つイメージの悪さから「言葉狩り」にいたったのです。

忘れちゃった方も多いかもしれませんが、2019年4月に厚労省内に「非正規と呼ぶな!」と指示したメールが出回りました。雇用環境・均等局の担当者名で省内の全部局に送られたもので、国会答弁などでは「パートタイム労働者」「有期雇用労働者」「派遣労働者」などの呼称を使うことを指示。「非正規」という言葉が象徴する低賃金や格差問題から目を逸らすために、「非正規」のみや「非正規労働者」という言葉は用いないよう注意を促したのです。

 

フランスの小売店「セフォラ」に学ぶ、“小型店舗”出店加速のメリット

コロナ禍で営業時間が規制され、外出自粛が呼びかけられたことで、化粧品などをリアル店舗で試してから買うことが自由にできなくなり、ネットでの販売を強化するなど、売り方の変化が必要になりました。今度はワクチン普及後に再び起こる変化に備える必要がありそうです。今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では、フランスの化粧品チェーン「セフォラ」がアメリカのショッピングモールに小型店舗を展開する戦略を紹介。その戦略に学び、成功させるためには何が必要かを伝えています。

なぜ、小型店舗を出す小売業が増えているのか?フランスの小売店「セフォラ」に学ぶチャネルシフトの戦略

売り上げが上がらない、新規顧客が取れない、という売れない問題はついて回ります。その時に、売り物を一から変えようとするのは、大きなリスクを伴います。まず考えるのは、売り場所と売り方を変えること。今号では、フランスの小売店「セフォラ」の、アメリカでの小型店舗出店戦略の事例から、学んでいきましょう。

アメリカではコロナのワクチン接種の普及にともなって、ここのところ控えられていた、小売り店舗の出店が増えてきているようです。なかでも、ショッピングモールの中に小型店を出す、という傾向が増えています。

やはり、大型店舗を出そうとすると、集客できるかどうかということが不確定であり、初期投資の金額も大きいため、回収までに時間がかります。その意味でも、コストの負担が軽く、出店しやすく融通がきく、小型の店舗を出す小売業が増えているのです。

日経新聞によると、化粧品チェーンの「セフォラ」は、アメリカの百貨店大手「コールズ」と提携して、2023年までにコールズの全店舗の、7割にあたる850店に小型店を出店するとのことです。

セフォラは、化粧品や香水を扱うフランスの小売店で、1997年からルイビトンモエヘネシーグループ。本国のフランスには、路面店を多く展開しています。日本にも一時期あったのですが、撤退して今はありません。アメリカには1998年に進出して、積極的にインターネット通販もやっています。

LVMHのホームページには、「トレンドの最先端でユニークな、ショッピング体験を提供します。世界中の美容ファンに、幅広い高級ブランドの香水や化粧品の中から、お気に入りのものを選ぶことができる」とあるように、セフォラは、多くの商品の中から、選ぶ楽しさとか、お試しができる、ということが特徴の小売店です。

やはり化粧品や香水は、試してから買いたいものです。いくらインターネットが便利になったとしても、リアルに手にとって試す、ということはできません。

コロナで外出できなかったため、ファッションが好きな人たちは、新作のコスメや香水を試したいと思っていても、かないませんでした。

ワクチンがある程度普及した今、アメリカで外出ができるようになってきました。今回のこのセフォラの小型店舗出店は、モールなどに行ってお試しができるようになる、という市場の伸びをチャンスだ、と狙ってきたものでしょう。

東京に響く虚しさ。オリンピック開催で「レガシー」が残るという幻想

少なくとも五輪の延期決定以前までは、至る場所、あらゆるタイミングで聞かれた「五輪のレガシー」という言葉ですが、いざ開幕を迎えるや、すっかり耳にしなくなっています。その原因はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』では、要支援者への学びの場を提供する「みんなの大学校」を運営する引地達也さんが、五輪を喜べない状況に導くとともに、レガシーを叫べなくしているものの正体について考察しています。

 

東京五輪のレガシーがなくなった街のあらたな希望に向けて

東京五輪が始まった。

この五輪が開催されている都市に住むことにここ数年こだわってきた自分がいる。

特に23区内に居住することで五輪開催都市を生活者としてみておこうという好奇心。

選手を応援するにしても、運営を批判するにしても、そこに住むことで見えてくることを刻み込んでおくことが人生の糧になるのだという思いが強かった。

しかし、開催することで、いくつかの命が危険に脅かされることを思うと、批判する気持ちのほうが強い。

競技があれば試合に挑むのが選手だから、その選手の純粋な努力を否定したくないし、褒めたたえたいという思いも強いから、なおさらに開催は罪である。

その中で、五輪開催都市で日々仕事をする自分が感じるのは、その静けさ。

何とも不気味な感覚。

これが祝祭ではなくなった五輪の姿だと思うと納得もいくが、どこか市民の怒りが静かに渦巻いているような気がしてならない。

開催前に叫ばれていた「東京レガシー(文化的遺産)」との言葉の露出はめっきり減った。

その演出された言葉の空虚さがあらためて強調されることになったが、五輪を行うことで得る遺産とは何だろうか。

それを考えると、作家、遠藤周作の『死海のほとり』を思い出す。

信仰から離れた筆者がイスラエルを訪れ、それでもイエス・キリストの足跡を辿ろうとして、同地に住む旧知の友人から「そんなものはない」と言われ幻滅するシーンである。

「エルサレムはイエスの死後、幾度も破壊され、再建された。ローマ軍がこわし、十字軍やイスラム軍が砕き、廃墟になった街の上にあたらしい街をつくった。次々と崩した街の上に街をつくると丘のようになる」との説明だ。

この友人曰く、「だから、イエスの跡はこの城壁のなかにだって、ほとんど存在していないね」という。

遠藤周作はこの言葉を受け「私の心のように、このエルサレムにも昔、存在していたイエスの姿はほとんど消えている」と結んだ。

街は破壊と建設の繰り返しであり、五輪を開催することでレガシーが生成されることは、幻想に過ぎない。

それは、前回の東京五輪と今をつなぐイメージの連鎖反応を狙ったキャッチコピーなのだろう。

 

主婦の創業した企業が「門柱に蛇口をつける」ことを思い付いた理由

新型コロナウイルスの蔓延により、手洗いを習慣にすることが必須となっている今の日本。色んな場所を触ってしまう子供には特にきちんと手を洗ってもらいたいものですよね。そんな主婦の悩みから生まれた門柱が注目されています。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、新たな生活様式における悩みを解決するその企業の戦略について詳しく解説しています。

問題発見

今号は、玄関アプローチに設置する水栓付機能門柱を分析します。

株式会社テクテクワークスが展開している門柱「arantia(アランティア)」

汚れた手で家に入られることに抵抗がある方をターゲットに「無いなら作ってしまおう」というマインドに支えられた「家に入る前に手が洗える」等の強みで差別化しています。

新型コロナウイルス感染症対策につながる新しいサービスとして、注目を集めています。

■分析のポイント

我が家には、5才の男の子がいますが、子どもは、とにかく色々なモノに触ります。ですので、手がキレイな状態で家に帰って来るということは、少ないです。

そして、手を洗うのをよく忘れます。玄関から、リビングや自分の部屋に向かう導線に洗面所が無いと、スルーされてしまうのです。そうなると、もしウイルスが付いていたらと思うとゾッとしますね。

恐らく、近しい悩みをお持ちの親御さんも多いのではないでしょうか。やはり、ウイルスは目に見えないので、可能な限り、家に入れない対策をしたいと思うのは自然の流れだと思います。

そういった悩みに応えるのが、今回、取り上げた「アランティア」です。玄関のアプローチに水栓付きの門柱を設置するという発想はありそうで、無かったものだと思います。

玄関のドアに向かう導線に水栓があれば、手を洗うことを忘れにくいですし、習慣化もしやすいでしょう。これにより、ウイルスが家の中に侵入することも防ぐことにつながるのですから、有効なコロナ対策と言えると思います。

今回のポイントは問題を見つけられるか?ということです。汚れた手で家に入ることが問題と捉えられなければ、「アランティア」は生まれていなかったはずです。

周囲が気づいていない問題に気づくというのはビジネス上、非常に重要です。多くの企業が、顕在化している問題の解決策で勝負しているわけですが、問題が顕在化する前に気づくことができれば先行者優位を築くことにつながるからです。

ですが、問題に気づくことは簡単ではありません。ヒントになるのが「アランティア」の開発につながった女性の視点です。

ある特定の業界に染まってしまうと、目の前のことが当たり前すぎて、なかなか疑問を持つことが難しくなるものです。ですので、男性が中心となっている業界では、女性の視点が有効になりますね。

最近は、副業人材をとり入れている企業も増えていますが、そういった他社・他業界の視点は、自社にとっては貴重なものになるでしょう。

女性の視点を活かした「アランティア」が、今後、どのように拡がっていくのか注目していきたいです。