失われた30年に沈む中国。なぜ世界は「日本の復活」に賭けたのか?我が国経済と株式市場が輝きを取り戻す理由

世界的なパワーバランスの大転換期にあたる2024年。「時代の変化に従い、日本株が史上最高値を更新する一方で、中国経済が停滞へ向かうのは偶然の一致ではない」と指摘するのは台湾出身の評論家・黄文雄氏です。日本経済が栄光を極めた1989年や、そこから凋落しはじめた1992年にいったい何があったのか?過去の歴史を振り返ることで、我々が今まさに目の当たりにしている「歯車の逆回転」と「日本復活」のメカニズムが見えてきます。(メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』より)

復活する日本、「失われた30年」に沈む中国

中国の経済凋落が止まりません。今年の年初に中国株は5年ぶりの安値まで減価しました。デフレは2015年になぞらえられるまで悪化しています。

共産党が中長期的な経済政策を討議する中央委員会第3回総会(3中総会)は、昨年年終盤に開催されるとみられていたが、日程すら決まっていません。

中国経済はいよいよ深刻な事態になってきています。

焦点:中国経済に「閉塞感」、限られる成長への選択肢 全人代も望み薄

その一方で、日本は2月22日、バブル時代である1989年の日経平均株価最高値を35年ぶりに更新し、その後も高値を更新し続けています。

日経平均株価、終値3万9239円 3日連続で最高値更新

以前の最高値だった1989年という年は、中国では天安門事件が起こった年でもありました。日本バブルが最高潮だった時代に、中国は動乱の時代だったわけです。西欧諸国は天安門事件で民衆を弾圧した中国政府に対して、経済制裁を加えました。

ところが、この国際的経済制裁を破るきっかけをつくったのは日本でした。1992年10月、ときの宮沢政権は、中国からの要請を受け入れ、天皇訪中を決定してしまいます。

これにより、国際協調制裁の輪が崩れてしまったのです。以降、先進国は中国への制裁を次々と解除していきました。そして本格化したのが、改革開放です。欧米はこぞって中国へ進出していきました。グローバリズムがこれを後押ししました。

これでもっとも割を食ったのが日本です。中国の安い労働力と競争にさらされ、日本国内ではデフレ化が進みました。また、中国へ進出する国内企業が急増し、産業の空洞化が深刻になっていきました。

グローバリズムに対する強烈な巻き返しが日本を浮上させる

それが、30年以上の時を経て、再び逆転しようとしているかのようです。

実際、ウクライナ戦争により、西側の自由主義陣営と、中国やロシアなどの専制主義という、新たな冷戦が始まっています。グローバリズムは終焉を迎えつつあります。

このような時代変化に従い、日本が史上最高値を更新する一方で、中国経済が停滞へ向かうというのは、偶然の一致ではないでしょう。

しかも、中国も景気低迷の主因は不動産バブルの崩壊です。

かつてはバブル崩壊後の日本から富を吸い上げていったのが中国でした。そのため日本は「失われた30年」といわれる過酷な時代に突入してしまいました。

しかしいま、歯車が逆回転し、バブル崩壊した中国から富が逃げ出しています。

ドリフ仲本工事さん「事故死の謎」解明へ。仲本さんを「死に導いた」週刊誌を内縁妻・純歌さんが提訴。死因は自死か、事故死か?

22年10月18日午前9時頃、横浜市内の道路を横断中にワゴン車にはねられ救急搬送され、翌19日午後10時過ぎに帰らぬ人となったザ・ドリフターズのメンバーでタレントの仲本工事さん81歳の生涯を「芸能界の第一線」で駆け抜けた人気者の突然の訃報に、日本中が悲しみに暮れた。

そんな仲本さんの内縁の妻で歌手の三代純歌さん56)が27日、週刊誌の報道により名誉を傷つけられたとして、新潮社光文社主婦と生活社を相手取り計8,250万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたと会見で明らかにした。

【関連】「虚偽の記事で人間でないような扱いを受けた」仲本工事さん妻・三代純歌さんが大手出版社3社を提訴

会見で純歌さんは、仲本さんが事故に遭った原因は『週刊新潮22年10月13日発売号の記事にあると主張。いったいどういうことなのだろうか。

純歌さんが問題視した記事に書かれていたこと

純歌さんが問題視した記事が掲載された『週刊新潮』22年10月20日号の広告には、こんな文字が。

「ドリフ『仲本工事』を虐げる27歳下『モンスター妻』」
「ゴミ屋敷に夫放置で監視カメラの老人虐待」

該当記事は、仲本さんと12年に「再婚」した純歌さんが21年に犬猫と夫をゴミ屋敷に置き去りにして家を出てしまい、仲本さんが悲惨な状況に置かれていたと伝えている。

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そもそもなぜ仲本夫妻は別居していたのだろうか。芸能関係にも精通するネットニュースサイトの40代男性デスクに聞いた。

「これについては仲本さんご夫婦とも親交があるコラムニストが書かれていたのですが、純歌さんが横浜でカレー店を開いたこと、彼女の趣味の海釣り行くのにこれまで仲本さんと住んでいた目黒の家よりも横浜のほうが都合がいいという理由で別居していたらしいです」

そう語ってソース記事を送ってくれたが、そこには仲本さんが純歌さんに対して「オレが純歌を信じて別居をしているんだから、他人に文句を言われる筋合いはないだろう」と話したとも記されている。

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また、仲本さんが頻繁に純歌さん宅を訪れていたと複数のメディアが伝えている。

「週刊誌報道が仲本さんを死に追いやった」と主張する根拠

例の掲載誌が発売されたのは上述した通り10月13日。仲本さんが事故に遭う5日前のことだ。会見で語った純歌さんによると、仲本さんはこの記事を見て激怒し、心を痛めていたともいう。

「私は面識はないのですが、業界でも温厚と噂される仲本さんが激怒したとなると相当な話です」

と語るのは、在京キー局でバラエティ番組の制作経験もある50代のテレビ関係者だ。彼はこう続ける。

「仲本さんが激怒したという純歌さんの発言を信じるならば、新潮さんの記事に“真実ではないこと”が含まれていたと考えることも可能だと思います」

そんな仲本さんが事故当日、純歌さんの部屋に向かった理由について、日刊スポーツはこのように報じている。彼女が会見で語った内容だ。

「横浜の家にも記者2人が来て、朝7時くらいにうろうろしていたので(仲本さんに)伝えたら『俺が言ってやるよ、純歌はなにも言わなくていいから、俺が守ってやる』と言って来ている途中に事故に遭いました」

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これが純歌さんの「仲本さんが事故に遭った原因は『週刊新潮』22年10月13日発売号の記事にある」との主張の根拠だ。

仲本さんの事故死に残る2つの疑問

それでも仲本さんの事故死には疑問点が残ると、大手週刊誌に執筆経験のある50代の男性ライターが口を開く。

「事故に遭ったのが、記者から純歌さんを守るため、彼女の部屋に向かっている最中だったら分かるんです。一刻でも早く彼女の元に駆けつけなければと交通量も多くて横断歩道のない道路を横断したという仮説が成り立ちますから」

しかし事故現場は純歌さんの部屋ではなくカレー店から近い場所で、しかも当日仲本さんは純歌さん宅を訪れていなかったと書く記事もある。

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「そこなんですよね。どうして記者対応するつもりだった仲本さんが、純歌さんの部屋ではなくカレー店付近にいたのか。私の周りの人間も首を傾げています。しかもそのカレー店に仲本さんは訪れたことがあるはずで、土地勘がまったくなかったわけでもないでしょうから…」

ネット上で囁かれていた“自殺”の線はないのだろうか。これについては前出のテレビ関係者がこう話す。

「仲本さんに限って、というのが当時の業界内の空気でした。とは言っても人の心の中を覗くのは不可能ですし、想像でものを言うのも仲本さんに失礼ですから」

2つの謎の真相を知るのは天国の仲本さんのみだ。そんな仲本さんは、純歌さんが起こした訴訟の行方を見守っていることだろう。

本人は冷静な反応。プーチンを「狂った野郎」呼びしたのは誰だ?

ロシアによるウクライナ侵攻から丸2年が経過し、国内外で多くのメディアがこの戦争の現状を改めて伝えました。中には、中国が「漁夫の利を得た」という見方を示すものもあったようですが、実際はどうなのでしょうか。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』で、多くの中国関連書を執筆している拓殖大学の富坂聰教授は、「ロシアが勝利すれば中国の台湾侵攻を助長する」との見方については「子供っぽい」と一蹴。この戦争で中国が得た教訓と、かつてないほど深まった中ロ関係について解説しています。

3年目に突入したロシア・ウクライナ戦争、中国が「漁夫の利を得た」という指摘は的を射ているのか

「狂った野郎(crazy SOB)」──。国際政治の舞台で他国のトップをこれほど悪しざまに罵るのは北朝鮮の指導層だけかと思っていたら、そうでもないらしい。アメリカのジョー・バイデン大統領だ。

発言が飛び出したのは選挙資金集めのイベントでのこと。「人類にとって最後の存亡の危機は気候(変動)だ」と強調する流れのなかで「プーチンのような狂った野郎がいて、核戦争の懸念は常にあるが」と前置きしたのだ。気候変動問題の大切さを語るためのおまけの発言ともとれるが、それにしても刺激的だ。

今月14日、ウラジミール・プーチンはロシア国営テレビのインタビューで「バイデン大統領とトランプ前大統領のどちらがロシアに望ましい大統領か」と問われ、「バイデン氏だ」と答えたばかり。そのプーチンに冷や水を浴びせかけたのだから、ロシアの反応に注目が集まった。

しかしプーチンはこれを冷静に受け止めた。国営テレビに出演し〈「われわれは(アメリカの)大統領が誰であれ協力する用意がある」とした上で、笑みを浮かべながら、「ロシアにとり、バイデン氏の方が好ましい大統領だと確信している。今回の彼の発言から判断すると、私は断然正しい」と述べた〉(ロイター通信2月23日)のである。

先週も触れたが、ロシアに「トランプ待望論がある」との見方は西側メディアに定着している。ゆえにプーチン発言はその裏をかいたものなのか。それとも「誰が大統領になってもロシア弱体化の試みをアメリカが放棄するわけではない」という意味なのか、憶測を呼んだ。

いずれにせよドナルド・トランプかバイデンかという問いにはあまり意味がない。アメリカの、どの利益を代表して他国と向き合うのかの違いであり、中国やロシアが利益を拡大しようとすれば必ずどこかでアメリカの利益とはぶつからざるを得ないからだ。

個人的な関係はその衝突を解消してくれるわけではなく、別の形になるだけのことだ。トランプは「習近平を尊敬している」と言いながら中国製品に高い関税を課し、人権問題では「無関心」と批判されながらも政権の後半にはウイグル問題で中国に強く干渉した。同じようにプーチンを高く評価しながらも、ノルドストリームを激しく攻撃し、欧州のロシアへのエネルギー依存を放棄させようと圧力をかけ続けた。

つまり中ロにとってはどちらが大統領になろうと、扱いにくさに多少の違いが生じるだけで、一長一短なのだ。ただウクライナとヨーロッパにとってトランプの再登板は、やはり悪夢かもしれない。明らかにウクライナ支援に消極的だからだ。

高校サッカー名将・小嶺忠敏の心を支えた地元の“麦踏み”と“竹”

高校サッカーの名将として知られている小嶺忠敏氏の人生の支え、それは母親から聞いた「いくつかの言葉」でした。今回のメルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、「無理だ」と言われたことを実現する力をどこから出すのかについて語った小嶺さんのインタビューを紹介しています。

高校サッカーの名将を支えた母の言葉

長崎県の国見高校や、長崎総合科学大学附属高校の監督を務め、サッカー界の名将として知られた小嶺忠敏氏。

その小嶺氏が人生の支えとなったというお母様の言葉を、『致知』の取材で紹介してくださったことがあります。

『致知』2006年11月号より、記事の一部をお届けします。
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麦は踏まれて強くなる
小嶺忠敏/長崎県立国見高等学校サッカー部総監督
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私の場合は、母に育てられましたから、母の教えが人生の支えとなっています。

うちの地方では麦踏みというのがあるんですよ。麦は少し背丈が伸びたら踏み倒す。

一週間くらいたって、また伸びてきたら、また踏み倒す。それを三回くらい繰り返すんですよ。小さい頃、私はそれが不思議でならなかった。

ある日、母に

「どうして何度も麦を踏み倒すの」

と聞いたら、

「踏まれた麦は上を向いてスクスク育っていくが、踏まれていない麦は冬に霜や雨が降るとしおれてしまって、作物にならない」

と。続けて

「人間も同じだよ。小さい頃や若い頃に苦労して、踏まれて踏まれて大きくなった人間が将来大物になるんだぞ」

と教えられました。

もう一つ心に残っている教えがあります。

九州は昔から台風が多いのですが、台風が去った後、母が「あれを見てごらん」と指した方向に、大木が何本も折れて倒れていたのです。

一方で、大木の横にある竹やぶの竹は一本も折れていない。

母は

「竹にはところどころに節がある。だから強いんだ。人間も遊ぶ時は遊んでもいいが、きちっとけじめをつけて、締めるところは締めないといけない」

と教えてくれました。

「節ありて竹強し」なんですね。

これらの教えが辛い時、私の支えでした。

実際、長崎の島原にいながら県立高校で日本一を目指すことは、当時の常識で考えれば不可能に近いことで、高校の同級生たちからは

「バカか、おまえは。こげんとこで日本一になれるものか。もしおまえが日本一になったら、俺らは島原中を逆立ちをして歩くたい」

と言われましたよ。

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「国民年金だけ給付」の人は、老後どのくらい年金が貰えるのか?

自営業の人は国民年金のみの加入が基本ですが、それだけでは老後は不安だと言われています。今回は人気メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』の著者で年金アドバイザーのhirokiさんが、国民年金期間が主の人は将来いくら年金を貰えるのか、詳しく計算して紹介しています。

国民年金のみの期間が全体の期間に占める割合が多い人の年金額

年金には国民年金と厚生年金がありますが、自営業者は基本的には国民年金のみの加入で、サラリーマンや公務員は厚生年金に加入しています。

この両者の年金は別物という感覚はありますが、厚生年金に加入している人は20歳から60歳までは国民年金にも加入している状態であり、厚生年金のみ加入してた人も将来は65歳になると国民年金からの給付である老齢基礎年金を受給する事になります。

また、国民年金は加入期間に比例する年金であり、厚生年金は過去の給与記録に比例する年金のため計算する時は全く違うものになります。

厚生年金に加入していた人は加入期間に比例する年金である国民年金と、過去の給与に比例した年金である厚生年金を受給する事ができるのでサラリーマンや公務員期間が長かった人は比較的手厚い年金を受給する事ができます。

しかし、自営業者などの人は国民年金のみの期間が長かった人は将来は老齢基礎年金のみしかもらえない事になるため、低額の年金になりがちであります。

よって、国民年金のみの人は将来の保障を手厚くするためにも、民間にあるような年金商品や貯蓄などをしておく必要が高いともいえます。

今回はその国民年金期間が主な人の将来の給付額がどのくらいなのかを計算してみましょう。

対面ではなく「電話で話す」ことでも高齢者の精神が安定するという研究結果

コロナ禍で人との接触をできるだけ避けるようになった際、高齢者の活動低下による精神状態の影響が指摘されました。それを緩和するために「電話が有効だ」という研究結果が、今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』で紹介されています。

電話による行動活性化の効果

◎要約:『孤独になりやすい環境下において、高齢者に対する電話を用いた行動活性化は、精神状態を改善する効果があるかも知れない』

COVID-19によるパンデミックで行動制限が行われた際に、対人的交流を含む活動の低下が精神状態に大きな影響を与える可能性が指摘されてきました。

今回は、パンデミック期間中の高齢者に対して、行動活性化を内容として含む電話を用いた介入でどのような効果があったのかを調べた研究をご紹介します。

Behavioural activation to mitigate the psychological impacts of COVID-19 restrictions on older people in England and Wales (BASIL+): a pragmatic randomised controlled trial

COVID-19による制限の影響を緩和するために高齢者に対して行った行動活性化

2021年2月から2022年2月までのパンデミック期間中の高齢者(平均75.7歳)を対象としています。

対人交流を含む活動を促進する内容の行動の活性化を電話を介して行い(最大8回)、精神状態の尺度(PHQ-9)を用いて、影響を調べています。

結果として、以下の内容が示されました。

・3ヶ月の経過で電話での行動活性化を行ったグループ(218人)では、通常のケアのみだったグループ(217人)に比べてPHQ-9の尺度が低くなっていました(-1.65)。

・介入の副作用と思われる影響はありませんでした。

実際の対面を含むカウンセリングではなくても、このようなアプローチが高齢者の精神状態に対して一定の効果をもたらす可能性を示していました。

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日本の「失われた30年」は本当か?経済“低成長”時代に得ていた大切なモノ

日本中が異常とも言える好景気に沸いたバブル経済が崩壊し、その後訪れた「失われた30年」と呼ばれる時代。マイナスのイメージで語られることがほとんどですが、ファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんは「失われてばかりではなかった30年」と言います。坂口さんは今回、自身のメルマガ『j-fashion journal』で、日本が経済低成長時代に得たものを具体的に列挙。その上で、「失われた30年は日本を良い方向に導いた」と結論づけています。

失われてばかりではない30年

1.空気と水がきれいになった

バブル崩壊後、日本経済は低迷した。1990年代初頭から2020年代初頭までは、失われた30年と呼ばれている。しかし、失われたことばかりではない。

第一に、空気と水がきれいになった。バブル崩壊後、急速に日本の製造業は淘汰が進んだ。工場が減少したことは残念だったが、一方で、大気汚染、水質汚染もなくなった。全国の河川、海の水質も大幅に向上した。

一方で、中国経済は急激に成長すると共に、中国の大気汚染、水質汚染も急激に進んだ。日本企業は低価格の商品を発注し、中国企業は環境保護より低コスト経営を優先した。日本企業が法律に違反していないし、環境を汚染したのは中国企業だ。だから、日本企業に責任があるわけではない。

しかし、結果を見る限り、製造業の移転と共に環境汚染も移転したといえる。

空気と水だけではなく、日本全国の道路もきれいになった。タバコの吸殻やゴミが消えたのだ。経済成長時代は、仕事優先、お金優先であり、お金を稼ぐことが社会貢献と考えていたし、町を汚しても、お金を払って清掃してもらえばいい、という発想だった。

経済低成長時代は、頑張っても収入は増えない。社会貢献は助け合いであり、公共道徳を守ることだという認識が広がった。ごみ箱を維持するお金がないのなら、ゴミは持ち帰ればいい、と考えるようになったのである。

2.日本人のセンスが向上した

1998年、FIFAワールドカップフランス大会が開催された。あまり知られていないが、当時のパリでは「最近、街中でお洒落なアジア人が増えたね」と評判になっていた。日本人サポーターのファッションが評価されていたのだ。

高度経済成長時代のファッションはブランド全盛であり、有名ブランドの高額な服を着ていることがお洒落だった。バブル景気のジャパンマネーでパリのブランドショップの商品を買いあさっていたのだ。しかし、当時の日本人は人気がなかった。趣味の悪い成金と思われていたのだ。

しかし、バブル崩壊後、日本でもブランド離れが起きた。センスの良い若者は、古着、スポーツウェア、デザイナーズブランド等を組合せた、個性的なスリートカジュアルを楽しむようになった。そして、先進国のセンスの良い若者の共感を集めるようになったのだ。

一方で、中国が経済成長を遂げ、かつての日本人のようにパリのブランドショップで商品を買いあさるようになった。そして、成金のアジア人となったのだ。

経済の中心が日本から中国に移転し、バブリーな成金趣味のライフスタイルも日本から中国に移転した。

失われた30年の中で、日本人は謙虚な姿勢を身につけ、他人の気持ちを気づかう優しさを身につけた。そして、日本は世界から高い評価を受けるようになり、インバウンドの観光客も増加している。

この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ

プーチンと“敵対”した男。富豪ロスチャイルド氏の死去で「ひとつの時代」が終わった

世界の支配層の1人と囁かれ、「超富豪系陰謀論」における重要人物でもあったジェイコブ・ロスチャイルド氏。そんな銀行家であり慈善活動家の顔を持つJ・ロスチャイルド氏の死が2月26日、英国メディアにより伝えられました。このニュースを取り上げているのは、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。北野さんはメルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で今回、J・ロスチャイルド氏とロシアのプーチン大統領との緊迫した関係性を紹介するとともに、「超富豪系陰謀論」のもう1人の主役であったデビッド・ロックフェラーに続くJ・ロスチャイルド氏の死を受け感じた、偽らざる心情を吐露しています。

ジェイコブ・ロスチャイルドの死、ロスチャイルドvsプーチン

全世界のRPE読者の皆様、こんにちは!北野です。

「陰謀論」にも流行があるようです。今大流行しているのは、「ディープステイト陰謀論」ですね。なんといっても、トランプ前大統領自身が流行らせているのですから。

陰謀論にもいろいろありますが、「超富豪系陰謀論」といえば、「ロックフェラー陰謀論」と「ロスチャイルド陰謀論」が代表的でしょう。

しかし、「ロックフェラー陰謀論」は衰退しました。なぜかというと、「陰謀論者」から「世界皇帝」と呼ばれていたデビッド・ロックフェラーが2017年3月20日、101歳でなくなったからです。

では、もう一つの「ロスチャイルド陰謀論」はどうでしょうか?こちらも、これから衰退しそうです。なぜでしょうか?ロンドン・ロスチャイルド家当主のジェイコブ・ロスチャイルドが、亡くなったからです。『ブルームバーグ』2月26日。

銀行家で慈善活動家のジェイコブ・ロスチャイルド氏が死去した。87歳だった。一族の銀行を辞め、ロンドンの金融街シティーに自らの金融帝国を打ち立てた。

 

ロスチャイルド家は英PA通信に対する発表文で、同氏の死去を確認。死因は明らかにされていない。

なぜ米国発のキャンセルカルチャーは「日本人の癪にさわる」のか?有色人種差別から動物の権利まで 滲むカルト性

欧米発のムーブメントがなぜか「グローバル・スタンダード」として持て囃され、その御旗のもとに日本固有の文化や価値感が破壊されていく現状に、人気漫画家の小林よしのり氏は危機感を募らせる。今回のキーワードは「キャンセルカルチャー」と「動物の権利」。この2つには価値観の押売りという共通点があるが、小林氏によれば“日本人のシャクにさわる”理由はさらに深いところにあるようだ。(メルマガ『小林よしのりライジング』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題「ゴーマニズム宣言・第525回『動物権というカルト』」

キャンセルカルチャーと「グローバル・スタンダード」という虚構

『ゴーマニズム宣言SPECIAL 日本人論』が3月21日発売される。この本では、昨年ジャニーズ事務所に対して吹き荒れた「キャンセル・カルチャー」を題材として、日本には欧米とは異なる、日本独自の文化や価値観があるということを論じている。

そもそも、日本人に対して「日本には欧米とは異なる、日本独自の文化や価値観がある」などとわざわざ主張しなければならないこと自体がおかしな話なのだが、実際に今の日本人はこんな簡単なことすら見失っていて、いともたやすく欧米の価値観に洗脳されてしまう。その端的な例がジャニーズに対するキャンセル・カルチャーだったわけで、だからこそこの本を書かなければならなくなったのである。

これからはことあるごとに、「日本には日本の価値観がある」「グローバル・スタンダードの価値観などない」ということを唱えていかなければならないのだろう。

「人権」にせよ、「民主主義」にせよ、グローバル・スタンダードは存在しない。

それぞれの国ごとに、その国の文化や歴史に基づいた人権感覚があり、民主主義が形成されるものだし、国によっては決して民主主義が成立しないということだってあるものなのだ。

日本人の動物に対する認識は「素朴かつ程々」

さて少々前の話になるが、昨年の秋ごろ、熊が頻繁に人里に出没するようになり、これを駆除したら抗議が殺到したというニュースがあった。

それについてわしは昨年11月17日のブログで、(https://yoshinori-kobayashi.com/27487/)「最近、『熊権』を主張する人々が現れたことは実に日本人らしい」「欧米人なら『熊権』なんて絶対認めない」「日本人は欧米人とは違う。人間にも熊にも生きる権利があると考えるのだ」と書いたのだが、そうしたら「欧米にも『動物権』の思想がある」という指摘があった。

確かにそれは事実であり、欧米人の中には日本人の人権よりも「鯨権」や「イルカ権」の方が上と思っているような者がいる。だが、これって一体何なのだろうか?

今回は、この問題について整理しておきたい。

わしの子供時代、『しゃあけえ大ちゃん』(1964.7-1965.1 TBS系で放送)という子供向けの人気ドラマがあった。

主人公は岡山の山奥から東京に出てきた大ちゃんという子供で、バカボンみたいな絣の着物に学帽を被った風体で、「しゃあけえ、しゃあけえ」(岡山弁で「でも」「そうはいっても」といった意味らしい)が口癖というキャラだ。

そのエピソードのひとつに、大ちゃんが普段の食事で食べている肉が、動物を殺して得たものであるということに気づき、動物が可哀想になってしまって「しゃあけえ、食べられんじゃないの~」と言い出すという話があった。

当時10歳のわしは、子供心にこのドラマにものすごい問題提起をされてしまい、「本当だ、これじゃあ肉が食べられんじゃないか、どうするんやろ?」と思いながら見た。

そしてこのドラマの結末は、和尚さんみたいな老人が「豚とか鶏とかいうものは、そもそも人間に食べられるために生まれてきたんじゃ」というようなことを言って、それで大ちゃんを納得させるというものだった。

おそらくこの老人の説明は、仏教の輪廻転生観あたりから来ているものだろう。前世の因縁によって、豚は豚に、鶏は鶏に生まれてくるものであり、人間に食べられることが運命づけられているのだというわけだ。

ということは、自分が食べた豚や鶏も、今度は人間に生まれ変わるかもしれないし、自分も行いが悪ければ、来世は豚や鶏に生まれ変わって、人間に食べられるかもしれないということになるわけだが、まあ、そんなところまでいちいち考える人はいないだろう。

わしはその説明で大ちゃんが納得したのに影響されて、「そうなのか~、動物は人間に食べられるために生まれてくるのか~」と、原体験にその感覚が刷り込まれていた。

それで、ともかく日本人の庶民感覚としては漠然と「豚や鶏や牛は人間に食べられるために生まれてきた」程度の回答でもいいんじゃないかと、今でも思っている。

「次は東欧を侵攻」の嘘。ウクライナ戦争の本質に気づかない人々

開戦から2年が経った現在も、各地で激しい戦闘が続くウクライナ戦争。泥沼化したこの戦争を終結させる手立ては、もはや存在しないのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野さんが、戦争にまで至った「ウクライナ問題」の本質を上げるとともに、それを踏まえ冷静に考えれば「戦争の出口」は簡単に導き出せると断言。さらにクリミアの返還が終戦交渉の対象とならない理由を解説しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2024年2月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

なぜ気づかぬ。泥沼「ウクライナ戦争」の出口

ロシアのウクライナ侵攻から2年/泥沼の戦争に出口はあるのにどうして気がつかないのか?

2022年2月24日にロシアがウクライナに軍事侵攻してから丸2年で、戦況はどうなのか、泥沼状態を終わらせる妙策はあるのかと議論が喧しい。が、注意深い読者はお気づきのことと思うが、本誌は22年の春から夏にかけてはウクライナ情勢を頻繁に論じたものの、それ以降はほとんどこの問題を取り上げていない。理由は簡単で、このことの戦略論的本質を踏まえない議論ばかりが横行するマスコミの有様に心底ウンザリし、そこへ参入していく気が全く起こらないからである。

ウクライナが犯した致命的な誤り

ウクライナ問題の本質とは何か。東部諸州のロシア系住民が多数を占める地域において、彼らのロシア語を喋る権利を含めた一定の自治権を付与する恒久法を、キーフ政府が責任を以て制定するという2014年9月のウクライナ、ロシア、およびドネツクとルガンスクの自治政府による「ミンスク合意」、それらに後見役としてドイツとフランス、そして緩衝・仲介役としてOSCE(全欧安保&協力機構)が加わった15年2月の「新ミンスク合意」を実現することであって、それ以外に難しいことは何もない。

2014年2月の米国務省とネオコン勢力の支援を受けた反露派クーデターの後にトップに躍り出たポロシェンコ大統領、19年5月に取って代わったゼレンスキー大統領のどちらかがミンスク合意を実現していれば、そもそもロシアの侵攻は起こり得なかった。もちろん、だからと言ってプーチン露大統領の軍事侵攻という選択が正しかったということにはならないどころか、完全に間違っていたことは、結果としての現状を見れば一目瞭然ではあるけれども、それにしても、ウクライナ側がミンスク合意を真面目に取り扱わなかったのは致命的な誤りだった。

なぜなら、仮に昨年9月以降のウクライナ側の東部諸州に対する「反攻」作戦が成功して、ロシア軍を国境外まで押し返したとしても、そこでゼレンスキーが直面するのは、20年前と同じく、東部のロシア系住民にどれほどの自治権を付与してウクライナ国内で生きる権利を保証するのかという問題でしかないからである。それが出来ないなら東部をロシアに割譲することを受け入れなければならない。

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