元国税が暴露、子育て世代を苦しめる「税金の無駄遣い」のヤバさ。夏を前に考えたい「なぜ私たちは国に舐められるのか?」

そろそろ夏の選挙が話題にあがる頃ですが、具体的な政策などを見て投票先を決める前に知っておくべきこと、それは私たち日本国民が支払っている「税金」の使われ方です。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、夏の参院選を前に、有権者が知っておくべき「税の無駄遣い」の実態を喝破しています。

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プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

 

あなたの想像より何倍もひどい、日本の税金無駄遣い

筆者は元国税調査官なのですが、その国税調査官の目から日本の政治を見た場合、「日本人は、政治家や官僚のことを信じすぎている」といえます。

日本のメディアや世論でも、政治家や官僚のことをあれこれ叩くこともあります。政官と大企業や業界との癒着、贈収賄、不正な金稼ぎ、その他もろもろのスキャンダルは、いつもマスコミやネットで話題になっています。

が、日本人の多くはこう思っているはずです。

「なんやかんや言っても、基本は国民のためにちゃんとやってくれているはず」と。

筆者も、国税に入る前はそう思っていました。が、国税に入ってから、その考えは完全に崩壊しました。

「税」という国の根幹を担う業務が、これほどいい加減で、これほど杜撰で、これほど不公平に運営されているとは……この事実を知ったとき、筆者は愕然としました。

日本の中間層以下では、この20〜30年間、消費税の増税、社会保険料の段階的な引き上げ、介護保険の創設などで、税や社会保険料の負担が激増しています。

平均的なサラリーマンは、税金、社会保険料、消費税の負担率を合わせると、だいたい収入の4割程度を取られています。これは江戸時代の年貢よりも高い水準であり、もちろん世界的にも非常に高い負担です。

その一方で、高額所得者や富裕層の税金は、この30年で20%以上も下げられているのです。

しかもこの税金、徴収の仕方だけではなく、使い方においてもひどいものです。今、日本の税金は、「多少無駄遣いされている」というような生易しい状況ではありません。税金の大半が、「税金ビジネス」による「汚い利権」によって浪費されているのです。国民のためにはほとんど使われていません。

 

校閲のプロが教える、打つ位置で意味が変わるテン(、)のあれこれ

日々文章を書いていて悩ましいのが「、」読点、いわゆるテンの位置です。位置だけでなく、テンを打つか打たないかという問題もあります。今回のメルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』では、著者で朝日新聞の校閲センター長を務めていた前田安正さんが、打つ場所によって意味がまったく変わってしまったり、意味合いが微妙に変わったりして悩ましいテン(読点)の働きや使い方について、具体例をあげ比較しながらわかりやすく教えてくれます。 

 

テンは小粒でぴりりと…

ここではきものを脱いでください。

テン(読点)をどこに打つかによって、意味が変わる例に用いられる文です。

1)ここで、はきもの(履き物)を脱いでください。
2)ここでは、きもの(着物)を脱いでください。

読点を打つ位置で、脱ぐものが「履き物」と「着物」に分かれるというのです。ところが初めから漢字を使えば、読点の問題はなくなります。

1-2)ここで履き物を脱いでください。
2-2)ここでは着物を脱いでください。

文も短いし、読点がなければ誤読を招くという要素もないので、1-2と2-2のように読点を入れる必要はないのです。

「ここで」は、「ここ」という場所を示す指示代名詞に、動作・作用の行われる場所を示す格助詞「で」がついたものです。「ここでは」は、「ここ+で」に、意味や語勢(語調)を強める副助詞「は」を重ねてつけたものです。つまり「ここで」よりも「ここでは」の方が、場所を強調しているということになります。

テンのあるなしで、何が変わる?

視点を変えて、読点がある場合とない場合では何が変わるのかを見ていきたいと思います。

ここで、履き物を脱いでください。
ここで履き物を脱いでください。

ここでは、着物を脱いでください。
ここでは着物を脱いでください。

読点のあるなしを比較すると、読点を使うことによって、「ここで」と「ここでは」という場所を表す語句がさらに強調されています。

字を追って読んでいく際に、読点を打ったところで若干、間が空きます。話しことばでも重要なことばを伝えるときは、そのことばの後に間を取ります。文章の中では、読点に間を取る役割があります。この「間」によって直前の語句が強調されるのです。

3)僕は公園でジョギングをした。

これを

3-2)僕は、公園でジョギングをした。
3-3)僕は公園で、ジョギングをした。

とすると、3-2はジョギングをした「主体=僕」を強調し、明確にしています。3-3は「場所=公園」を強調していることがわかると思います。つまり、

読点は前の語句を強調する役割がある

のです。

日付の後にあるテンの意味

新聞のストレートニュースでも、

ロシアは25日、ウクライナの南東部マリウポリを~

のような書き方をします。本来なら

ロシアは、25日、ウクライナの南東部マリウポリを~

などとすべきところです。「ロシアは25日」という書き方は「リンゴは果物」と同じ構造をしています。ところが「リンゴ=果物」と解釈することはあっても「ロシア=25日」と解釈する人はいないと思います。これは新聞独特の書き方になじんでいるからです。

新聞などでは、事件などの発生主体(主語)と日時が、重要な意味を持ちます。そのため本来は

25日、ロシアはウクライナの南東部マリウポリを~

と書けばいいのです。ところが、発生主体をまず示し、次に日時「25日」をつなげるという書き方が定着しています。これは情報の重要性を考慮した結果だと思います。その結果、独特の読点の位置が生み出されたのです。

読点の打ち方がわからない、という声をよく聞きます。何げなく使っている読点にも、それなりの意味があるはずです。次回も読点の働きについて、考えていきたいと思います。

 

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新垣結衣、引きこもり生活は星野源が原因?『鎌倉殿』の後は再び充電期間へ、本格的な“妊活”スタートか

NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(日曜午後8時)が好調です。評判となっているのは主演の小栗旬(39)よりも、どちらかといえば脇を固める俳優陣で、特に大河初出演の新垣結衣(33)に注目が集まっています。そんな新垣といえば、夫である星野源(41)との結婚生活がまったく見えてこず、「本当は同居していないのではないか」との噂まで出るほど。果たして真相はどうなのでしょうか?芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんが新垣の“謎プライベート”に迫ります。

新垣結衣、晒さないプライベートと充電期間明けの仕事

好評な『鎌倉殿の13人』の、新垣結衣のラストシーンが刻一刻と近づいています。

そもそも“八重姫”の存在自体が伝承の域を出ず、その最期は入水自殺をしたとか自害したという“不合の死”を遂げたと語り継がれているものですから、脚本家・三谷幸喜が彼女の最後をどう演出してみせるのか…関係者や視聴者の間で注目されています。

初めての時代劇、初めての大河となったその終焉は、彼女自身の女優としても大きな節目を迎えることになるでしょう。

それはこの『鎌倉殿~』、映画では7月22日公開予定の『GHOST BOOK おばけずかん』の仕事を終え、完全な形のフリーになるからです。

今までは所属事務所が営業交渉をして仕事を取ってきたわけですが、これからの新垣は企画段階から彼女が参加し、ギャランティの交渉から作品の吟味まで、自らが責任を以って決めていくわけです。

ドラマ関係者は、これまでのお仕着せの仕事ではなく、新垣がどのような作品を選択していくのかに興味津々です。

「ドラマは多くて1年1本、映画は2~3年に1本くらいのペースになるでしょうね。彼女の性格を考えても次から次に仕事を入れることは考えられません。主役にはこだわらず、年齢相応の充実感がある仕事をしたいというのが彼女の希望ですから、エンターテイメント色の強い作品に積極的に出演することはなくなるでしょう。義理堅い彼女のことですから、今までお世話になったプロデューサーや演出家、脚本家のキャスティング以外はなかなか難しいでしょうね」(芸能プロダクション関係者)

【関連】新垣結衣&星野源、別居婚は真実なのか?広がる憶測にファンを安心させた“源さんの男気”とは

『コード・ブルー』や『逃げ恥』も大切にしたいけれど、年齢にあらがうのではなく、歳を重ねていく自分を楽しんでいきたい…そんな将来像を描いているようです。

一方で、“新垣は、深津絵里のようになるのでは…”という声も囁かれています。

50代で資産5億円、私のインフレ対策実践記。「食費と快適性はケチるな」節約・運用・収入アップの好循環を生むために今やっていること

このゴールデンウィークはのんびり羽を伸ばしつつ、少し長期の視点でお金のことを考えてみませんか?メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』の著者にして、お金のプロで資産5億円の午堂登紀雄氏に、値上げラッシュに負けない節約術などを赤裸々にお話いただきました。これからの日本で「悪いインフレ」でも生き残る方法とは?

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プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお) 米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。

 

悪いインフレ=スタグフレーションに向かう日本

コロナによる物流の混乱、ロシアのウクライナ侵攻による資源高、金利差による急速な円安により、物価が急上昇しています。一方で給料など所得は上がっておらず、現状はスタグフレーションの様相を呈しています。

スタグフレーションは、「Stagnation(景気停滞)」と「Inflation(物価上昇)」を組み合わせた言葉。景気が停滞しているのにも関わらず、物価が上昇し続ける現象のことで、「悪いインフレ」とも呼ばれています。

なぜ悪いインフレと呼ばれるかというと、賃金が上がらないのに物価だけが上昇すれば、単純に人々の生活が苦しくなるからです。

コロナによる物流の混乱・資材や部品の不足などで、もともと資源高の傾向にありましたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて小麦や原油、木材など資源はもちろん、食糧品までも全般的に値上がりしています。

さらに世界は利上げに舵を切っていますが、それとは真逆の低金利政策を維持する日本円はほぼ全ての通貨に対し売られまくっています。そのため急激に円安に振れており、輸入物価に跳ね返るのは時間の問題です。

原油価格が上がれば、電気代やガソリン代はもちろん、原油由来のプラスチックや樹脂製品などの値段も上がります。私が契約していた新電力小売企業のエルピオでんきは事業停止を発表し、電力会社の変更手続きを余儀なくされました。100円ショップやサイゼリヤはこの先も価格を維持できるでしょうか。

コメや野菜、鶏肉や豚肉などは国産もあるから大丈夫かと思いきや、肥料や農薬、飼料も輸入に頼っています。ハウス栽培では温度管理で重油や灯油を使いますし、漁業も漁船の燃料に重油を使います。北半球を回る貨物航空はロシア上空を飛べなくなり、ルート変更で運輸コストも上がっています。

ロシア産木材も経済制裁では入って来ず、その前から起きていたウッドショック(コロナにより住居ニーズが戸建てに移り木材不足)に拍車がかかり、戸建てはもちろんマンション価格も部材価格上昇により値上がりします。

日銀は大量に保有する国債の利払いが気になるのか、あるいは企業活動への影響を考慮してなのか、なかなか利上げには踏み切れないようですが、ローンの固定金利はすでに上昇を始めています。

現日銀総裁・黒田氏の任期は2023年春までで、次の総裁がどのような金融政策を取るかわかりませんが、このままインフレが続けば多少なりとも引き締めに走らざるを得ない気もします。すると住宅ローン金利も上がると予想され、変動金利型が住宅ローンの9割を占めると言われていますから、その影響は小さくないでしょう。

かように、今後数年かけて、家も車も家電製品も消耗品も外食も食品も、あらゆるモノの値段が上がっていくのでは?という懸念を持っています。

ロシアが勝っても負けても経済制裁は続くと思われますし、世界的なインフレでそれを抑えるために各国の中央銀行は利上げしますから、日本も影響を受けることになる。

一方、賃上げは一部の大手企業や好業績企業(グローバル企業や輸出型企業)に限定され、多くの企業は一般家庭と同様に資源高と円安の影響を受けており、業績に先行き不安があります。

つまり給料を増やすことができないから収入は増えない。なのに、私たち個人がこのまま無策でいれば、ただ生活が苦しくなるばかりなのは誰の目にも明らかでしょう。

そこでどんな対策を打つべきか?ということで、私が現在リアルタイムでやっていることを参考までにご紹介します。ただし、私は数年前から円安やインフレを見越して対応してきているので、読者が今からすべての対策を始めるべきかどうかの判断は難しいところ。それを念頭にご覧ください。

 

 

プーチンが死ぬまで続く。ロシアの核使用で始まる“戦争の時代”

第2次世界大戦終了後80年近くの長きにわたり平和を謳歌してきた我が国ですが、戦時の生活を覚悟しなければならない時に来ているようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、ロシアの核兵器使用による世界規模の戦争勃発が、もはや避けられない状況にあることを解説。さらにこの戦争における日本の役割を記すとともに、大戦後に訪れるであろう世界の姿についての考察も試みています。

 

世界戦争を覚悟する ウクライナ戦争の推移

ウクライナ戦争が、プーチンの覚悟で世界戦争になる方向である。ロシアの核攻撃になると世界戦争になる。その戦争と結果を検討する。

ウクライナ東部での戦争は、膠着状態である。徐々に重火器がウ軍に配備されて、ロシア軍は押されている。ロシア領内の石油貯蔵施設や鉄道、兵器庫へのドローン爆撃やミサイル攻撃は頻繁になっていた。

そして、いよいよウクライナ戦車隊が、ハルキウから追撃でクルスク方面のロシア本土へ攻撃を強化している。このことで、ロシア軍は防衛ラインを国内に構築する必要になってきた。反撃開始である。

当初ロシア領内攻撃の多くは、バイラクタルTB2ドローンでの攻撃であり、このため、3機がロシア領内で撃墜されている。ドローンとして自爆スイッチブレードやフェニックス・ゴーストなどがウ軍には供与されるので、ウクライナ領内のロシア軍攻撃はそちらに任せて、TB2は足が長く、レーダー捕捉されにくいので、ロシア領内の攻撃に使うようである。

前回英情報筋は、ウクライナ側の弱点を「大型兵器の不足」と指摘したが、米国の榴弾砲の半分が実戦配備されたようである。重火器も徐々にウ軍に供給されてきた。

このため、ロシア軍の被害が増えているようである。ロシア軍としては、西側諸国からの重火器援助を止める必要になっている。このため、モルドバ国内のロシア人の多いトランスニストリア地域からウクライナ西部に入り、ウクライナ東部への支援物資輸送を止めたいようである。

このためには、その地域にロシア軍が行く必要があり、ドニエストル川を上流に上るルートを侵略する必要があり、オデッサを迂回する可能性がある。またはルーマニアのブルト川河口付近での上陸作戦になるが、ルーマニアはNATO加盟国であり、これをすると、NATO軍との激突になる。

このため、ドニエストル川河口はウ軍の弱い地域でもあるので、上陸作戦も可能と見ている可能性もある。そして、モルドバ国内のトランスニストル共和国では、兵役年齢のすべての男性が同国領を離れることを禁止した。ということは本気だ。

それに対して、ゼレンスキー大統領は、「私たちは向こうの能力を理解しているし、ウクライナ軍はこれへの準備ができており、恐れていない」と述べた。上陸作戦に対応する準備があるということだ。もしかすると、準備できていないルーマニアでの上陸作戦もありえる。

そして、モルドバは、欧州で一番貧しい国であり、今までは対ロシア制裁にも加わらないで、ロシアを刺激しないようにしていたが、ロシアのモルドバ侵攻計画が出て、ウクライナへの軍事支援やロシア制裁に舵を切った。ロシアは、また1つ敵を増やしたようである。

もう1つが、プーチンは核戦争リスクに言及して、NATO諸国の援助をけん制している。しかし、NATO諸国は支援を止めるはずもなく、ロシアは、本気で核ミサイルを打つ可能性が出てきている。弾薬が少なくなり、稼働する戦闘機の枯渇もあり、このままでは、戦争に負ける可能性が出てきたことが大きい。

ロシア軍は5月9日の対独戦勝記念日に向けて猛烈な攻撃したが、ウ軍の重火器による反撃で、進めない状況である。目標としたドンバス地域の支配地拡大は、全然できないでいる。南部ヘルソンとマリウポリの制圧しかできていない。

 

だから維新は嫌われる。足りぬ政治学の基本、勉強し直して国民政党に脱皮せよ

参議院選挙の一部選挙区での選挙協力を進めていた日本維新の会と国民民主党が2日、合意を白紙に戻すことがわかりました。28日には「破棄なら破棄でいいですから。そういう政党だということです、国民民主党は」と声を荒げていた松井一郎代表。参院選でさらなる飛躍を目指していた維新の会には大きな痛手となるかもしれません。そんな維新の会に対し、「大阪という地方政党から、国民政党に脱皮することが必要」と説くのは、立命館大学政策科学部教授で政治学者の上久保誠人さん。上久保さんは今回、維新の会が新たな政策を始めていることは評価すべきとしつつ、国民政党へと変化するために必要なことを提示しています。

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)
立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

維新の会は大阪という地方政党から国民政党に脱皮せよ

参院石川選挙区補欠選挙が4月24日に投開票されて、比例から転じた自民党の宮本周司氏(公明党推薦)が当選した。この補選は、岸田文雄首相や泉健太立憲民主党代表など、与野党の幹部が次々と応援に入り、今夏の参院選の前哨戦と位置づけられていた。

選挙戦では、宮本氏が安定した戦いを展開した一方で、野党側は候補者を一本化せず、各政党がそれぞれ公認候補を擁立したが、存在感を示せなかった。補選の結果は、野党が選挙の候補者を一本化する「野党共闘」の崩壊をあらためて示した。

野党共闘は、これまでもほとんど期待された結果を出すことができなかった。16年、19年の参院選で、野党共闘はそれぞれ11、10の選挙区で勝利した。しかし、「野党が候補者を一本化できれば自民党に勝てる」と期待されたほどの成果ではなかった。

昨年10月の衆議院議員総選挙では、野党共闘は改選前より議席を減らしてしまい、自公連立政権の継続を許してしまった。選挙前、新型コロナウイルス感染症への対応や、東京五輪・パラリンピック開催に批判が高まり、自公連立政権の支持率が落ちていた。野党共闘は、政権交代の「千載一遇」のチャンスだと言われていた。それでも勝てなかったのだ。

野党共闘に対して、国民の根強い不信感があることが本質的な問題だ。かつて、民主党政権時に、政策をめぐって内部分裂し、混乱の果てに崩壊したことを、国民がしっかり覚えていることだ。

「寄り合い所帯」では政権担当はできないという、国民の不信感が払拭されない以上、野党共闘が政権交代を実現する勢いを得ることはないということだ。

それにもかかわらず、衆院選の前、立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組の野党4党は、数合わせの「共闘」に総選挙ギリギリまで必死だった。そのため、政党として最も大事なことである「政策」の立案を「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(以下、市民連合)なる外部の組織に丸投げしてしまったのだ。国民は、それをしっかりとみていた。だから、野党は信用されなかったのだ。

野党4党は、市民連合と「野党共通政策」を合意した。その骨子は(1)憲法に基づく政治の回復、(2)科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化、(3)格差と貧困を是正する、(4)地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行、(5)ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現、(6)権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する、の6つであった。

内容をみれば、(1)は意味不明だ。安倍晋三・菅義偉政権で完成した英国流「交代可能な独裁」の導入というべき首相の指導力強化の改革は、現在の野党側の政治家が民主党時代に主導して実現したものだ。それを「立憲主義」に反するというのは無理がある。実際、どこが憲法違反なのか、具体的によくわからない。

(6)の「権力の私物化」も、具体的には何を指すのだろうか。例えば「森友学園問題」では、財務省が安倍元首相夫妻に「忖度」したのは明らかだろうが、元首相夫妻が権力を私物化したという証拠は出てこない。

そして、より深刻な問題は、(2)から(5)について、自民党も問題はあるが、似たような主張をしていて、違いがよくわからなかったことだ。

自民党の公約には、岸田首相の主張の中心である「分配政策で分厚い中間層を再構築」に加えて、地方創生分野で、デジタル化で都市と地方の距離を縮めて地方活性化を図る「デジタル田園都市国家構想」、そして、野田聖子少子化相が訴える「子どもを真ん中に据えた『こどもまんなか』社会」も含まれていた。

さらに重要なのは、自民党が成長と分配の両立を図る「新しい資本主義」を打ち出すことで、政策の幅を「保守から中道左派」まで大きく広げ始めたことだ。その狙いは、野党との差別化ではない。むしろ、野党との違いを曖昧にして、自民党こそ、実行力があると訴える。いわば、野党の存在を「消す」ことだったのだ。

自民党は、安全保障政策を除けば、政策的に左旋回している。特に、コロナ禍で一律10万円の特別給付金を出して以降、財政規律のタガが完全に外れてしまっている。そして、参院選を前に「予備費」の支出を連発し、さらに左に寄っている。

岸田首相は、持ち前の「聞く力」を発揮し、野党の予算要求があれば、さからうことなくあっさりと受け入れる。「野党さんもそうおっしゃっているので」といって、どんどんバラマキを行う。野党は、左傾化していく自民党の「補完勢力」となってしまっている。存在意義自体がなくなっているのだ。

あえていえば、これからは立憲民主党、共産党、社民党、れいわ新選組という自民党の左側に位置する野党は不要だ。むしろ、自民党の右側に位置する野党が必要ではないかと主張したい。

自民党は、「包括政党」(キャッチ・オール・パーティ)だ。それは、「カップラーメンから人工衛星まで扱う」といわれる「総合商社」のような存在だ。社会に存在する政策課題については、安全保障から、社会民主主義的なものまで、ほとんどすべて網羅している。その政策の幅広さは、岸田政権になってより顕著になっているのだ。

つまり、自民党政治の問題は、個別の政策の「有無」ではない。ほとんどすべての政策に取り組んでいるのだ。ただ、問題はそれが「Too Little(少なすぎる)」「Too Late(遅すぎる)」そして「 Too Old(古すぎる)」ことである。

一線を越えてしまった日本。露からの「ミサイル飛来」の覚悟が必要なワケ

泥沼化の様相を呈しているウクライナ情勢。すべてをプーチンのせいにして戦争を長引かせたい勢力があると語り、ロシアが窮地に陥ったケースでの最悪の幕引きシナリオに関する重大な警鐘を鳴らすのは、心理学者の富田隆さんです。今回のメルマガ『富田隆のお気楽心理学』では、日本が支援物資輸送に「空中給油機」を使用したことでロシアを本気で怒らせてしまったと指摘。与野党すべての政治家に対し、日本がスケープゴートとして利用される材料を与えた自覚があるのかを問います。そして、富田さん自身は、ミサイルの飛来を覚悟しながら生活を始めたと伝えています。

 

クマ踏んじゃった:ウクライナ紛争はまだまだ続く

ロシアは当初からリストアップしていた攻撃目標(キーウなどの占領は最初から計画外でした)をほぼ全て攻略し、大方の勝敗はついているのに、英米や日本のメディアでは、まだウクライナの側に勝機があるかのような報道をしています。

要するに、まだまだ戦争が続いて欲しいのです。このように、外野の応援団が鉦や太鼓で気勢を上げ、ゼレンスキーが「徹底抗戦」を叫び続けている間にも、ウクライナの国民は毎日命を落としています。

しかし、米国のバイデン「大統領」にしてみれば、秋まで戦争状態が続いてくれないと11月の選挙は絶望的です(なぜか、米国では戦争が起こると大統領の支持率は高くなります)。それに、ウクライナをめぐる息子ハンター・バイデン絡みの汚職問題を米国内の主要メディアも報道し始めました。FBIも重い腰を上げたようです。これの証拠や証人を葬り去るためにも、もっと時間が欲しいところです。

さらに、米国内のインフレは収まらず、先週に続き今週も株価は大暴落、こうした経済上の失政をすべてプーチンに擦り付け続けるためにも、戦争を続ける必要があります。

しかも最悪なことに、これまで米国防省やクリントン財団などが係わって来たウクライナ国内の「生物兵器研究所」などは、すべてロシア軍に制圧されてしまいました。戦争が終われば、バイデンやネオコンにとって都合の悪い「証拠」をロシア側が全て暴露するでしょう。

さらに、逮捕されたアゾフ連隊の要人や外国人傭兵なども、ロシア系住民への虐殺行為やロシア兵への拷問などを証言するでしょう。ついでに、彼らのスポンサーの名前も出て来るかもしれません。これだけは避けたい。何とかもみ消すための時間が欲しい。

そんなわけですから、バイデンやネオコン、英米の国際金融資本や産軍複合体は、ウクライナで何年も戦争が続き、泥沼化するように動いています。そして、できるだけ多くの関係国をこの泥沼に引きずり込みたいのです。

ドイツのショルツ首相が言うように、このままロシアとの関係が悪化して石油や天然ガスが止まるようなことになれば(今はロシアからの供給が続いています)、ヨーロッパの経済は破綻してしまいますが、ネオコンや一部の国際金融資本にとって、そんなことは気になりません、と言うより、それこそが「グレート・リセット」であり、狙い通りなのです。

彼らは、ヨーロッパもロシアも滅茶滅茶になって構わないのです。もちろん、ウクライナの国民が戦争で死ぬのも織り込み済みです。彼らは「尊い犠牲」であり、みんな「プーチンが悪い」で片付けることができるのです。

 

核戦争は不可避か。プーチン「怒りの炎」に油を注いだ独首相の発言

国連事務総長が訪問中のウクライナの首都キーウにミサイルで攻撃を加えるなど、完全に理性を失ったかのようにも感じられるプーチン大統領。しかし彼にとってウクライナ侵攻はまだまだ「序章」に過ぎないようです。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、旧知の元ロシア国連関係者から直接聞いたという、プーチン大統領自らが作成した「チェックリスト」の恐ろしい内容を紹介。さらに核兵器の使用も含めたロシアの今後の動きを考察するとともに、この紛争の「裏側にあるもの」を見る方法を教示しています。

 

ウクライナでは本当は何が起きているのか?

「くに、プーチン大統領は単に自らが作成したチェックリストを順にこなしていっているだけだよ」

これは今週久々に話した友人の言葉です。彼は私がニューヨークにいた際、ロシア政府国連代表部で確か次席大使を務めていました。とてもバランス感覚に優れ、様々な難題を解決する際、いろいろとアドバイスをくれ、そして自ら走り回ってくれました。

数年前に退任し、ロシア政府を離れている彼が、比較的自由な立場で語ってくれました。

「ジョージア(かつてのグルジア)、南オセチア、クリミア、ドンバス地方、そして今回のウクライナのケースも、プーチン大統領が権力の座についた際に彼によって作成されたTo do listに載っていた。彼はそれを着実にこなそうとしているだけで、残念ながらさほど驚かない。もちろん、僕はそんなことに付き合いきれないが、こういったことが根底にある」

「彼にとっては、ウクライナもベラルーシも旧ソ連を形成していた中核で、基本的に同じと見なしている。ここの結束は崩れてはならず、またその中心にはロシアがいなくてはならないという強い思いがある」

「NATOの東方拡大は確かにロシアの国家安全保障にとっては脅威だが、それが理由ではない。どちらかというと、自分もそうなのだが、“結局、ロシアのことは誰も理解できない。嫌っている”という感覚が根底にあり、欧米諸国などとは相いれないし、理解しあえないということを固く信じてしまっている」

「ロシアでメディアや情報への自由なアクセスがないというのは、誰かが作った嘘のイメージ。情報には自由にアクセスできる環境にあるが、根底にあるコンプレックスや警戒心が邪魔をし、それがプーチン大統領への支持につながっているというのも現実」

など、いろいろなポイントを挙げてくれ、まさに目から鱗が落ちる思いをしました。

「それでも、やっぱり戦争を仕掛けていいなんてことはないよね?」と尋ねたら、「もちろん。それは当たり前だよ」と返ってきました。

そのような対話を続けていた際、グティエレス国連事務総長が“調停”のため、ロシアとウクライナを訪問し、両首脳と会談をするというニュースが入ってきました。

このメルマガを書いている時にはすでにモスクワでのプーチン大統領やラブロフ外相との会談は終わり、人道回廊の設置を強く訴えかけていましたが、果たしてどこまで成果が挙げられたのでしょうか?

実際にこの情報も、国連側からの一方的な発表であり、ロシアからのコメントも報道も、今のところ全く存在しません。そう、先日のマリウポリの人道回廊の再開についてのケースと同じです。

恐らくロシア側は、プーチン大統領以下、まだチェックリスト上の目的は達しておらず、国際社会、とくにこれまでロシアを散々こき下ろしてきた勢力の話には聞く耳を持たない心理状況だと思われますので、対話・調停による解決策の模索のドアはまだ開いていないと見ています。

特にグティエレス事務総長はロシアの侵攻から2か月経ってやっと重い腰を上げたということと、これまでロシアに対して非常に辛辣な批判を繰り返し、中立性に疑問符が打たれるような状況だと評価されていることもあり、プーチン大統領やラブロフ外相がまともに指示に従うとは思えません。

それでも、個人的には、きちんとプーチン大統領やラブロフ外相に向き合ったことには敬意を表します。

 

安倍晋三の“息の根”を止めろ。元秘書が立憲から出馬、最強の刺客で戦々恐々の元首相

7月の参院選で、安倍元首相のお膝元・山口選挙区では安倍氏の元秘書・秋山賢治氏が立憲民主党から出馬する。14年にわたって安倍事務所で私設秘書を務めた人物が反旗を翻した形だ。秋山氏から何らかの“暴露”があるのではとの声も上がる中、大切なのはそこではないと語るのは、元毎日新聞で政治部副部長などを務めたジャーナリストの尾中 香尚里さん。尾中さんは今回、秋山氏が立憲民主党から出馬した意味を解説するとともに、国民の政治不信を招いた「安倍政治」に対して強く批判しています。

プロフィール:尾中 香尚里(おなか・かおり)
ジャーナリスト。1965年、福岡県生まれ。1988年毎日新聞に入社し、政治部で主に野党や国会を中心に取材。政治部副部長、川崎支局長、オピニオングループ編集委員などを経て、2019年9月に退社。新著「安倍晋三と菅直人 非常事態のリーダーシップ」(集英社新書)、共著に「枝野幸男の真価」(毎日新聞出版)。

安倍氏秘書が立憲民主党から出馬の衝撃

安倍晋三元首相の「口だけ番長」ぶりは相変わらずだ。例えば、ウクライナへの侵攻を指揮するロシアのプーチン大統領について「力の信奉者。戦国時代の武将みたいなもの」と評した(4月21日)。

何が言いたいのか全く分からない。「プーチン氏との個人的関係」というメッキがはがれ、この非常事態に自身が何の外交力も発揮できない現実から目をそらそうとしているわけだ。

一方、急激な円安が国民生活を直撃すると「右往左往する必要は全くない」「日本のように輸出の工業力があり、外国からの観光客が再び戻ってくれば、円安は日本にとって間違いなくプラスの環境になる」などと強弁した(25日)。アベノミクスのメッキがはがれた現実を、何としても認めたくないのだろう。

外交でも経済政策でもその失敗が次々と可視化されつつある安倍氏だが、そのお膝元の山口県でも興味深い動きがあった。

夏の参院選の山口選挙区(改選数1)で、安倍氏の私設秘書を務めていた新人の秋山賢治氏(52)が、野党第1党の立憲民主党から立候補すると、13日に発表したのだ。

山口と言えば、あの「桜を見る会」前夜祭問題の主要な舞台である。安倍氏に批判的な勢力からは早速「どんな爆弾発言が飛び出すか」といった期待の声が聞こえる。

しかし筆者は、秋山氏自身による何らかの「暴露」の有無には、あまり興味はない。「桜を見る会」問題については、現在表に出ている情報だけで、安倍氏を政界から去らせるには、すでに十分過ぎるからだ。だいたい「国会で118回の虚偽答弁」だけでも、安倍氏はすでに首相はおろか、政治家を続ける資格がない。

だが、筆者は秋山氏の出馬表明について、そういうこととは違う期待をしている。秋山氏のような、古い保守政治のど真ん中を生きてきた人が、その限界に気づき、自民党と異なる「目指すべき社会像」の模索を始めることへの期待である。

秋山氏は安倍氏の選挙区・衆院山口4区に含まれる下関市の出身。1993年から2007年まで、14年にわたって安倍氏の私設秘書を務めた。

1993年と言えば、安倍氏が初当選した年であり、2007年と言えば、第1次安倍政権が突然終わった年である。秋山氏は安倍氏の新人議員時代から首相に上り詰めるまでを見届けたわけだ。

安倍事務所退職後は、2度の地方選に無所属で立候補し落選した。注目されるのは、その後一度政界を離れ、老人保健施設で支援相談員を務めていたことだ。

秋山氏によれば、安倍氏は秋山氏が務めていた老健施設を訪ねたこともあるそうで、少なくとも出馬の動機は、この世界によくある「仲間割れ」「遺恨」などではないようだ。

自己保身の極致。韓国の文在寅大統領が5年間も逆に回した民主主義の時計

2017年の就任から5年、今月9日24時をもって任期を終える韓国の文在寅大統領。この間、日韓関係はかつてないほどの冷え込みを見せましたが、韓国ではその政治手腕や為政能力はどのような評価を得ているのでしょうか。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、地元紙に掲載された文大統領を総括したコラムの内容を、翻訳する形で紹介しています。

裸の王様遊び

文在寅の悪口ばかりで恐縮だ。5月9日夜の12時に役割終了するが、これまでの5年間を総括しておく必要はあろう。東亜日報のコラムがよくまとまっているので(筆者のことばで)ご紹介したい。

数日前に文在寅が退任インタビューを受けたが、その内容は自画自賛と自己合理化で埋め尽くされていた。これが、自分を客観化させる能力に欠けている結果なのか、それとも実際には真実を知っていながらも気にせずに自分が正しかったと主張できる鉄面皮の産物なのか、あえて区分する必要はない。

「歴代政府の中で一番疎通が上手だった」「不動産価格の上昇幅が最も小さかった」などと文在寅はこの5年間を自画自賛しているけれど、現実はそれと全く反対の結果だったことは三尺童子(=幼な子のこと。韓国語の使い方)でさえも知っていることだ。

文在寅が最大の誇りとして掲げているのが、北との戦争危機を解消し対話局面に転換させたという論理だ。もちろん、2017年下半期の韓半島危機論が高まり、2018年の対話局面に急変したことは事実だ。

しかしその変化の動力は、米国の最高レベルの圧迫の結果、脱出口が必要になった金正恩の急旋回だった。金正恩は2018年新年のあいさつで「平昌冬季五輪参加」と「南北対話」を明確にした。誰が大統領だったとしても、その変化モードを逃さなかっただろうし、交渉局面に転換しただろう。

文在寅と民主党は尹錫悦(ユン・ソンヨル)次期大統領の安保関連発言について、「適切でない」「危険な発想」と非難する。しかし、国民が見るには本当に危険で不適切なのは、「金正恩の非核化意志」を金正恩に代わって保証してあげ、(北の)核・ミサイル高度化の時間だけを稼いであげたことだ。連絡事務所の爆破のような挑発や、中国の傍若無人覇権主義に一言も言えない屈従外交こそ危険でなくて何だろうか。

李起洪・東亜日報大記者は、文大統領が国内外の政策に取り入れて惨憺たる失敗に終わった左派的アプローチを、成功したかのように自画自賛し大統領当選者(尹錫悦)を批判する背景には、明確な目的意識が敷かれていると考える。

すなわち左派の核心と支持層に「私は最後までわれわれの陣営(左派陣営)を裏切らない。あなたたちも私を最後まで保護してほしい」というメッセージを送っているのだ。昔、支持層内の核心グループにそっぽを向かれた盧武鉉(ノ・ムヒョン)学習効果で、味方に背を向けられれば、退任後の安全保障は難しいという考えにとらわれ、味方を満足させる言動だけを選ぶやり方だ。

民主党の強硬派も「検捜完剥」で呼応している。現在の検捜完剥(コムスワンバク=検察の捜査権を完全剥奪する)は、捜査-起訴権分離に対する賛否を離れ、あらゆる面で常識と民主主義の原則の観点からして到底ありえない様相を呈している。