新型コロナ治療で富士フイルムの「アビガン」に有効性を確認

新型コロナウイルスの治療薬として、富士フイルムのグループ会社が開発した新型インフルエンザ薬「アビガン」が有効となりそうだ。中国科学技術省が17日に開いた記者会見で、新型コロナウイルス感染患者の治療薬として、アビガンの有効性を臨床試験で確認したことを明らかにしたと時事通信が伝えている。重症化を防ぐ治療薬のひとつとして、政府の診療指針に正式に採用する方針だ。アビガンは日本でも先月から患者への投与が始まっている。

アビガンが新型コロナに有効性

新型コロナウイルスをめぐり国内の2つの医療機関が行った臨床研究の結果、富士フイルムのグループ会社が開発したインフルエンザ治療薬「アビガン」、一般名「ファビピラビル」に治療効果が認められた。

NHKによると、湖北省武漢の医療機関が行った患者240人を対象にした臨床研究では、アビガンを投与した場合は熱が下がるまでの平均日数が2.5日で、投与しなかった場合の4.2日よりも短かったとという。また、せきの症状が早い段階で緩和されることもわかった。

一方、広東省深センの医療機関が行った患者80人を対象にした臨床研究では、アビガンを投与した患者ではウイルス検査の結果が陽性から陰性になる日数の中央値が4日だったのに対し、投与しなかった患者では11日だったという。

アビガンの有効成分「ファビピラビル」に関するライセンス契約を富士フイルムと2016年に結んだ中国の製薬大手・浙江海正薬業が、後発医薬品を量産する方針。同社は先月、中国国家薬品監督管理局から認可を取得している。

「夜の交番で警官同士が性行為」報道にネットざわつくも「解散」

兵庫県警尼崎東署の男女2人の警察官が昨年12月~今年2月、夜間勤務中に交番で性行為をしていたとして、同県警が2人を19日付で処分したことが関係者への取材でわかったと、朝日新聞産経新聞などが報じた。男性警察官は既婚者で、独身の女性警察官を誘った「不倫」だったという。ほかの警察官が上司に相談して判明。2人は事実関係を認めているとしている。


産経新聞によると、処分理由は不適切な交際(不倫)をしたほか、交番勤務中の深夜から未明にかけて休憩室内で数回にわたり性行為をし、職務を怠ったとしている。今年2月に関係者が2人の上司に報告し発覚したが、いずれも反省しているという。県警は信用失墜行為として、19日付で男性巡査部長を減給10分の1(1カ月)の懲戒処分に、女性巡査を本部長訓戒にしたとしている。

この報道について、朝日新聞デジタルの「夜の交番、勤務の警官同士で性行為 尼崎東署の2人処分」というタイトルに、いわゆる「腐女子」が即座に反応。男性警官同士の事件と勘違いしたのか、報道内容を詳しく確認し、男女の警官による不倫とわかるや否や「解散」というTwitter上の投稿が多数見られたことが話題となっている。

Twitterの反応







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source: 朝日新聞産経新聞

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森友改ざんで自殺した元職員の手記公開も、再調査は行わない意向

「森友学園」の公文書改ざんに関与させられたことを苦に自殺した近畿財務局職員の手記が18日、公開されたと、日テレnews24TBS NEWS時事通信NHK毎日新聞などが報じた。当初は週刊文春の独占スクープとして報じられたが、遺族が18日に国と佐川宣寿理財局長(当時)を相手に大阪地裁へ提訴したことで記者会見がおこなわれ、手記の内容が公開された。手記には、改ざんにいたるまでの経緯や遺書が残されていた。この手記公開を受けて安倍首相は「(すでに)財務省において事実を徹底的に明らかにした」と述べ、菅長官も「すでに調査報告書で事実関係は明らかになっており、厳正な処理が行われた」としている。

「佐川氏には誰も背けない」

手記には、3〜4回にわたる森友学園の公文書改ざんはすべて財務省理財局が行なったこと、森友学園の籠池泰典理事長(当時)との交渉は財務省が主導であったこと、指示はすべて佐川元理財局長であったこと、そして会計検査院の特別検査を巡る財務省幹部の国会答弁は虚偽であったことなどが書かれていた。決済文書の改ざんの経緯と佐川氏の指示も詳細に記載されており、「修正作業の指示が複数回あり現場として私はこれに相当抵抗しました」「管財部長に報告し、当初は応じるなとの指示でしたが、本省理財局の総務課長をはじめ国有財産審理室長などから部長に直接電話があり、応じることはやむを得ないとした」「本省からの出向組の次長は、調書の修正を悪いこととも思わず、本省の補佐の指示に従い、あっけらかんと修正作業を行い、差し替えを行ったのです」「パワハラで有名な佐川局長の指示には誰も背けないのです」と驚きの実態を明らかにしている。


手記公開に安倍首相と菅官房長官は

これを受けて安倍首相は18日、「まじめに職務を精励していた方が自ら命をたたれる大変痛ましい出来事であり、本当に胸が痛む」などと述べたが、「財務省においては、麻生大臣のもとで事実を徹底的に明らかにしたところでありますが、改ざんは二度とあってはならず、今後、しっかりと適正に対応していくものと考えております」と、すでに事実解明が行われたとの認識を示した。

菅官房長官も「亡くなったことに関しては残されたご遺族のみなさんのお気持ちを思うと言葉もなく、謹んでご冥福を申し上げたい」と述べたが、「すでに一昨年の財務省の調査報告書において、理財局の関与などの事実関係が詳細に書かれており、関与した職員に対しては厳正な処理が行われたものという風に承知している」として再度調査は行わない考えを述べた。記者から安倍首相や麻生大臣の責任について問われると「麻生氏はたしか給与返上とかそうしたことをやられたのだろうと思っています」と言葉を濁した。

コロナ内定取り消し相次ぐ。ネットには悲痛の声も「また就活…」

新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、今春就職予定の学生の内定の取り消しが複数の企業で行われていることが厚生労働省の発表でわかったと、共同通信テレ朝newsNHKなどが報じた。厚労省によると、17日までに12社で20人が採用の内定を取り消されたという。

入社まで半月を切るなか「内定取り消し」の非情

62の大学に通う4700人余りの学生を対象に就職内定率を調査したところ、2月1日時点で92.3%。前年比で0.4ポイント高く、平成8年以降で過去最高となった。一方で、新型コロナウイルスの感染拡大による業績不振の影響から、上記の通り12社で20人の採用が内定が取り消された。20人のうち5社12人が高校生、7社8人が大学生や専門学校生だったという。また、うち4社10人が宿泊業や飲食業となっている。厚労省は「就職まですでに半月を切っており、学生にとって大きな影響がある」として、企業に対して内定を取り消さないよう指導しているという。

内定取り消しの学生を救う企業も続々と

日本のネット上にも、「コロナのせいで内定取り消された」「ニュースで見てて他人事だと思ってたけど当事者になりました」「3月からまた就活…」「コロナで内定取り消しです」など、就職への影響を訴える声があがっている。その悲痛な声の多さから、厚労省が発表した「20人」という規模では済まない可能性もある。

学生の内定取り消しが相次ぐなか、こうした学生向けに採用試験を行うと発表した企業も続出している。たとえば、急遽新卒の追加募集をすることを決めたという、企業のコンテンツマーケティングやメディアビジネス等を支援する「サムライト株式会社」。同社は、会社説明会や面接、交流イベントなどをオンラインでも対応する。代表CEOの池戸氏は「学校に行けない、卒業式もできない、旅行もできない、オフィスにも行けない、働きたくても働けない…」と、当たり前のことが当たり前ではなくなった現状について触れ、「自社の労働環境も例外なくリモートワークに変わった」ことを明かした。さらに「内定取り消しになっても、就活は何度でもチャレンジできます。まだ間に合います!」と熱いメッセージを寄せている。

この「コロナ内定取り消し」問題について、ネット上では取り消しを決めた企業や政府などに対して厳しい声が多数上がっている。

Twitterの声






source:共同通信テレ朝newsNHKPR TIMES

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栗原心愛ちゃん虐待死事件、父親に懲役16年の判決。千葉地裁

千葉県野田市で小学校4年生の栗原心愛ちゃん(当時10歳)を虐待して死亡させたとして、傷害致死などの罪に問われた父親の勇一郎被告(42)に対し、千葉地方裁判所は懲役16年の判決を言い渡したと、NHKニュース共同通信などが速報で報じた。


共同通信によると、被告側は傷害致死罪の成立を認める一方、死亡に至るまでの暴行の多くを否定。公判では、心愛さんの母(33)=傷害ほう助罪で執行猶予付き有罪判決確定=が、冷水をかけられるなど娘が虐待を受けていたと証言していた。検察側は他の児童虐待事件より重い量刑が必要と強調。弁護側は「しつけが行き過ぎた結果だ」と情状酌量を求めていたという。

source:NHKニュース共同通信

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世界に衝撃。WHO本部で働く職員2人の新型コロナ感染が判明

WHO(世界保健機関)の本部職員2人が新型コロナウイルスに感染していたことがわかった。感染が確認されたのは、スイス・ジュネーブの本部に勤務する職員。2人は症状を示していて、現在は自宅で療養している。これを受け、WHOは他の職員の検査も進めているという。

WHO職員のコロナ感染に衝撃

およそ2400人が勤務するジュネーブのWHO本部。2人の職員は先週、それぞれ仕事を終えて帰宅したあとに症状を訴えた。同じオフィスで働いていた同僚も検査を受けたが、今のところ他に感染者は確認されていないという。

2人は自宅療養をしているが、大半の他の社員も自宅で仕事をするテレワークに勤務形態を切り替えている。WHOは連日行っている記者会見を13日から電話会議の形式に変更。記者は会場に集まるのではなく、インターネットや電話で参加する形式となっている。

世界各地で8000人以上が死亡し、20万人以上が感染している新型コロナウイルス。世界的な大流行、パンデミックへの国際的な対応を統括するWHOで、その中枢である本部職員が感染したことに、多くの人たちが衝撃を受けている。

新型コロナ蔓延の今、安倍首相が「国連通貨」発行を提案すべき訳

もはや世界の人と物の流れを断ち切りつつある、新型コロナウイルスによる感染症。この新しいウイルスがここまで蔓延した原因のひとつとして、巨額な拠出金を提供する中国に「忖度」したとしか思えぬWHOの後手に回った対応が挙げられています。今後再発するとも限らないこのような事態を防ぐため、各国はどのような対策を取るべきなのでしょうか。元国税調査官で作家の大村大次郎さんは自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で今回、「国連通貨」の発行を提案。その完璧とも言えるシステムを詳しく解説しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』2020年3月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

今こそ国連通貨の発行を!

国連通貨についてのお話です。

今回、新型コロナが世界的に被害が拡大した背景には、WHOの対応のまずさが大きな原因の一つになっています。WHOがもっと早い段階でパンデミックを宣言したり、中国との渡航に警戒を呼び掛けていれば、これほど早く被害が世界に広がることはなかったはずです。WHOの対応が後手に回った背景には、中国に対する遠慮があります。

世界各国がWHOへの拠出金を渋ろうとしている中で、大金を出してくれる中国は大事な「顧客」でもあります。またWHOのテドロス事務局長の母国はエチオピアであり、エチオピアは中国から多額の支援を受けています。テドロス氏がWHOの事務局長になれたのも中国のおかげだという見方もあります。

それもこれも元はといてば、国連機関が独自の財政基盤を持たないからでもあります。国連機関は加盟国の拠出金によって運営されています。必然的に拠出金の大きい国ほど発言力が強くなります。これでは真に世界に役に立つ機関がつくれるはずがありません。先進国はどこも財政赤字を抱えて国連の拠出金を出し渋るようになっています。一方、経済成長が著しい中国は財政に余裕があり、国連への拠出金も積極的に増額しています。だから国連の諸機関は、中国の影響が非常に強くなっているのです。

欠陥だらけの現在の通貨システム

また現在の世界の金融システムというのは大きな矛盾を抱えています。

現在の金融システムというのは、銀行から誰かがお金を借りることによって社会に回るようになっています。そして驚くべきことに、お金が社会に出るためのルートは、これ一本しかありません。社会で使われているどんなお金も、元をたどれば、誰かの借金なのです。貿易などで得た外貨を円に交換するときにも、新しいお金が社会に出てくることになりますが、その外貨は外国において誰かの借金により社会に流れ出たものなので、煎じ詰めれば、「誰かの借金」ということになるのです。

世の中に出回っているお金というのは、実はすべてが借金なのです。借金というものは、いずれ返さなくてはならないものです。しかも利子をつけて、です。

が、銀行が貸し出しているお金は元金だけです。社会には元金しか流れていないのに、利子をつけて銀行に返還することは数理学的に不可能です。

なのに、なぜ社会が銀行にお金を返せているかというと、常に誰かが新たに借金をしているからです。借金によって社会に流れるお金が増え続けているので、とりあえず「そのときそのときの利子」は返せるというわけです。

しかし、逆に言えば、我々の社会は常に借金を増加させ続けなくては回っていかないシステムなのです。そして、社会が銀行からあまり借金をしなくなれば、社会の金回りは非常に悪くなります。実際に、バブル崩壊後の日本の社会では、企業が借入金を減らしたために金回りが非常に悪くなり、不景気が続きました。

だからといって、必要もないのに借金を増やすということはなかなかできるものではありません。特に先進国では、それほど大きな巨額のインフラ整備や設備投資などは必要ありませんから、企業の借入金は減る傾向にあります。それを補うためには、政府が借金をしてお金を社会に回さなくてはなりません。現在、先進国の多くは赤字財政となっていますが、ある意味、社会にお金が流れるようにするためには、仕方ないことだともいえるのです。

かといって、政府の赤字があまり大きくなりすぎれば、政府の信用が揺らぎ、国債の価値が下がり、金融不安を招くこともあります。

「家族の一体感」という呪縛。夫婦別姓と犯罪を結びつける人々

先進国の中で日本のみが義務化されているという、夫婦同姓。「選択的夫婦別姓」についてもさまざまな場で議論がなされていますが、その法制化にはまだ高い障壁があるようです。そんな現状を象徴するような愛媛県会議員の信じがたい発言を自身のメルマガ取り上げているのは、健康社会学者の河合薫さん。河合さんは今回、『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、その発言がいかに根拠無根かを指摘するとともに、法制化反対派がたびたび口にする「家族の一体感」がどれだけの人間を追い詰めているかを白日の下に晒しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2020年3月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

「家族の一体感」という呪いの言葉

「安易な選択的夫婦別姓は犯罪が増えるのではないか」――。

愛媛県議会で行われた「選択的夫婦別姓制度導入を求める請願」への審査で、自民党の森高康行県議の件の発言により、反対多数で不採択になるという“珍事”が起こりました。

“珍事”?はい、珍事です。だって、この発言の根拠も、真意もよくわからないからです。

(以下、全文)

――いろんなかたちで議論してきた課題ではあるが、子どもの殺人事件等の解説を聞くと、離婚ということで、パートナーとの事実婚が起因した虐待、殺人等が非常にニュースで目につくようなことも最近多いなということを私は感じている。本来の家庭、家族という価値観が日本社会で崩壊しつつあるのではないかと心配もしていて、私は安易な選択的夫婦別姓はより犯罪が増えていくようなことにもなりゃせんかなと心配をもつ立場であるので、より慎重にこのことについてあるべきだということを意見表明しておきたいと思う。――(by 森高氏)

このように「パートナーとの事実婚が起因した虐待」と指摘されてますが、選択的夫婦別姓は「事実婚」では決してありません。むしろ逆です。「選択夫婦別姓が認められないから「事実婚」を選ぶ人は、少なくありません。

また、森高氏は新聞社の取材に対して、「日本社会で離婚が多くなり、本来あった家族の価値観が崩壊しつつある。それが目につくような事件が多い」と答えたと報じられています。「選択夫婦別姓」と「離婚」が、なぜ結びつくのか?その真意はどこからきているのか?まったくもって意味不明です。

つまり、森高氏の思考を整理すると、「選択的夫婦別姓を認める→『離婚』が増える→『事実婚』が増える→虐待や殺人が増える」ということを懸念している、ということなのでしょう。

選択的夫婦別姓については、かねてから「選択的なんだから反対する意味がわからない」という容認派と、「家族が同じ姓を名乗ることで家族の一体感が生まれ、子供たちが健全に育つ」という反対派が対立してきました(反対派の見解は、2009年に自民党の山谷えり子議員を通じて法務委員会に提出された請願書に書かれているので、興味のある方はこちら「選択的夫婦別姓の法制化反対に関する請願」をご覧ください)。

森高氏の「犯罪が増える」という意見の背後には、反対派の「一体感」がなくなるというロジックが存在しているのでしょうが、増えているのは、「同じ姓」を名乗る家族間の殺人事件です。

警察庁によると、2016年に摘発した殺人事件(未遂を含む)は770件で、1979年に比べほぼ半減しました。ところが、親族間が占める割合は44%から55%に増加。実に半数以上が“家族間の悲劇”で占められていたのです。

家族間の悲劇は、2004年以降急激に増えました。

2003年までの25年間は検挙件数全体の40%前後で推移してきましたが、2004年に45.5%と増加に転じ、その後、増え続けているのです。

兵法の大家・孫子の言葉の誤解で知った「生兵法は大怪我のもと」

「危機管理においては『巧遅拙速』を旨とせよ」。軍事アナリストで危機管理の専門家でもある小川和久さんが、災害やテロ、そして新たな感染症などに対峙する側の心構えとして、事あるごとに発してきた言葉です。小川さんはこの言葉の出典を『孫子』としてきましたが、それが誤りであるとの指摘を受けたようです。今回、主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』で、自身の不明を正直に告白し、孫子の言葉と意味を危機管理や軍事の教訓として読み解き直しています。

「拙速」と言った『孫子』に「巧遅」はない

これまで、ことあるごとに「巧遅は拙速にしかず」と、古代中国の戦略の書『孫子』を引用したかのように、知ったかぶりをしてきましたが、親切な方から教えていただきましたので、おのれの不明を恥じつつ、以下、書かせていただきます。

私は、どんなに立派に仕上がったものでも、タイミングを逸してしまったら何の意味もない。むしろ、雑な部分が沢山残ることは覚悟のうえで最優先すべき目的だけを達成するために素早く行動することが、戦争でも、大規模災害でも、感染症対策でも重要だと述べてきました。

考え方自体はこれでもよいのですが、『孫子』に出てくる言葉は「ゆえに兵は拙速なるを聞くも、いまだ巧の久しきを睹ざるなり」というもので、「巧遅」という言葉は使われていないのです。この言葉の意味は、「拙速で勝った例はあるけれども、巧みにやろうとして勝った例は知らない」というものです。

教えてくださった方によれば、それに関連して『孫子』は次のような意味のことを言っているそうです。
「遠征で自軍を疲弊させては兵の士気と多額の資金を失うので、長期にわたる持久戦をすることになれば国家経済は窮乏する。そうなったら中立だった諸侯も、その疲弊につけ込んで攻めてくることがある。いったんこうした窮地に立ってしまえば、いかに知謀の人でも、善後策を立てることはできない」

ちなみに「巧遅」のほうの出典は、南宋の科挙のための受験参考書『文章軌範』とのことで、模範的な簡潔な文章を書くためのポイントとして「巧遅は拙速に如かず」とあるそうです。辞典の類いにも、『孫子』と『文章軌範』を合体させたと思われる「巧遅拙速」という言葉があり、それにすっかり惑わされてしまったようです。

一般社団法人・孫子塾のウェブサイトには、読者の質問に対して次のような回答が掲載されています。

「拙速の出典は『孫子』ですが、拙速を巧遅より貴ぶのは、『兵には』という前置きがありました。戦争の最中に丁寧に事を運んで、負けてしまっては何にもなりませんね。定石や先例に反していても、結果として戦争に勝つことのほうが優先されます。『拙速は良くない』というのは常識ですが、私(孫子)は戦争ではその常識は通用しないと言いたい、ということです。あえて常識に反することを言っているのです」

これを聞いて、少しは安心しました。やはり、緊急事態にはもたもたしないで早く目的を達成することが第一、ということです。旧軍で「兵は拙速を旨とすべし」と教育されたという話を聞きますが、軍人勅諭、戦陣訓、作戦要務令には見当たらないようです。ご存じの方、教えてください。

今回の教訓。「生兵法は大怪我のもと」。親の言いつけはちゃんと守らなければ。(小川和久)

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シリア情勢再加熱とイラク情勢複雑化。トルコとロシアの狙いは?

このところ断続的に届いていたトルコとシリアの武力衝突のニュース。3月5日にシリア北西部イドリブ県での停戦が合意されましたが、状況はいまだ安定を見ていません。複雑でわかりにくいシリア情勢と、その影響を大きく受けているイラク情勢をメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』の著者で、国際交渉人の島田久仁彦さんが解説します。トルコ、ロシアの思惑とEUやアメリカ、そしてISの出方は?目が離せない状況にあると声を上げています。

シリア情勢再加熱の恐れ。その背景とは

シリア情勢は9年の歳月と苦悩を経て、アサド大統領側がほぼ全土掌握するまでに勢力を回復し、“落ち着いた”と伝えられていました。それに呼応するかのように、ISの勢いも削がれ、シリアやイラクを舞台にしたISの夢は無残に散ったかのように報じられていました。

その楽観的なムードを一転させたのが、トランプ大統領が突如打ち出した『米軍のシリアからの撤退』と、そこに機を見出したトルコ・エルドアン大統領のギャンブルじみたシリア・イドリブ県への侵攻です。

以前にもお伝えした通り、イドリブ県は、アサド政権軍が唯一奪還できておらず、反政府武装勢力の最後の拠点となっていましたが、トルコにとって大問題だったのは、ここにクルド人勢力が多数存在したことでした。

シリア内戦を巡るチーム分けとしては、トルコは、アサド大統領に反対する反政府組織をバックアップしてきましたが、アメリカの介入で突如、クルド人勢力が反政府組織に加えられたことでとても複雑な状況に追い込まれました。

反政府武装勢力の健闘も虚しく、イドリブ県以外はアサド政権軍が奪還に成功しますが、そのイドリブ県で反政府武装組織とクルド人武装組織が拠点を作り、対アサド大統領の最後の戦線をはることになります。

アメリカも反政府武装組織をサポートしていましたが、一方的な撤退のアナウンスがなされたことで、『反政府武装組織へのサポート』という建前を用いて、宿願のクルド人勢力の壊滅という本当の目的を果たすべく、力の空白と混乱の最中、トルコ軍が国境越えをしたのが、確か昨年秋でした。

その後、散発的な戦闘がシリア軍とトルコ軍の間で繰り広げられていたのですが、小競り合いが次第にエスカレートしたことで、双方に死者が出て、一触即発の危機が訪れましたが、シリアの後ろ盾であるロシア・プーチン大統領が仲介することで、イドリブ県における停戦合意を昨年12月に締結し、事態が落ち着くかに思われました。

しかし、今年に入って、停戦合意は破られ、再度、シリアとトルコの戦闘が始まりました。エルドアン大統領は、ロシアがシリアに停戦合意を守らせていないと批判したことで、一気にトルコとロシアの関係がぎくしゃくし、2月末までに数度、シリアに派遣されているロシア軍とトルコ軍が対峙するという緊張状態に陥ることになりました。

トルコとしては、ロシアとの戦闘はどうしても避けたいと願っており、またロシアとしても、ウクライナ問題を抱え、またシリアを死守したいとの思惑があることから3月5日に首脳会談を開催することで合意しました。

しかし、ご存じの通り、6日からイドリブ県におけるbuffer zoneをロシアとトルコが共同でパトロールするという合意ができましたが、実際には両国の認識に大きな差があり、火種は消えていません。